JP5905400B2 - 極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造方法及び極細繊維からなるメルトブロー不織布を製造するための装置 - Google Patents
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Description
直径200μm以下の多数の紡糸ノズルとその両側の空気ノズルとを具備するダイと、前記ダイの近傍に設けられた、多孔性の外周部を有する吸引ロールと、前記ダイより上流側及び下流側の位置に前記吸引ロールを覆うように設けられた一対の吸引フードとを有するメルトブロー装置を用い、
前記紡糸ノズルから吐出した溶融ポリマーを前記空気ノズルから噴出する加熱空気により延伸し、得られた前記ポリマーの極細繊維を吸引ロール上に捕集することにより、
数平均繊維径が1μm以下で、繊維径分布(重量平均繊維径/数平均繊維径)が1.3以下で、繊維径変動率が55%以下の極細繊維からなるメルトブロー不織布を製造する方法であって、
(1) 前記ダイと前記吸引ロールとの間隔を、前記溶融ポリマーの延伸が完了するとともに、得られた前記ポリマー繊維の振動が実質的に起こらない範囲内に設定し、(2) 前記吸引ロールの外周面と前記吸引フードのダイ側端部との間隔を、得られたメルトブロー不織布の表面に糸切れした繊維が付着又は接触しても吸引除去し得る範囲内に設定することを特徴とする。
直径200μm以下の多数の紡糸ノズルとその両側の空気ノズルとを具備するダイと、前記ダイの近傍に設けられた、多孔性の外周部を有する吸引ロールと、前記ダイより上流側及び下流側の位置に前記吸引ロールを覆うように設けられた一対の吸引フードとを具備し、(a) 前記ダイと前記吸引ロールとの間隔は、前記溶融ポリマーの延伸が完了するとともに、得られた前記ポリマー繊維の振動が実質的に起こらない範囲内に設定され、(b) 前記吸引ロールの外周面と前記吸引フードのダイ側端部との間隔は、得られたメルトブロー不織布の表面に糸切れした繊維が付着又は接触しても吸引除去し得る範囲内に設定されていることを特徴とする。
メルトブロー不織布を構成するポリマーとしては、メルトブロー可能な溶融ポリマーとなる熱可塑性樹脂であればよい。メルトブロー可能な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド等が挙げられる。本発明の極細繊維からなるメルトブロー不織布には、ポリオレフィン又はポリエステルが好ましく、ポリオレフィンが特に好ましい。
図1〜図10は、本発明のメルトブロー不織布の製造装置の一例を示す。この製造装置は、溶融ポリマーを極細繊維状に水平方向に吐出するダイ1と、ダイ1の近傍に設けられた極細繊維捕集用の吸引ロール2と、吸引ロール2の外周面の、前記ダイ1より上流側及び下流側の所定の位置に前記吸引ロール2を覆うように配置された一対の吸引フード(上流側吸引フード3a及び下流側吸引フード3b)とを具備する。ここで下流側とはダイ1から吐出された極細繊維により形成されたメルトブロー不織布4のウエブが流れていく側であり、上流側とはダイ1に対して前記メルトブロー不織布4が形成されていない側(下流側の反対側)である。
図7〜図10に示すように、ダイ1は、紡糸ノズル11cを形成する一対の溝付きプレート11a,11bと、加熱空気を送給する複数の貫通孔120を有するとともに、溝付きプレート11a,11bを両側から支持する一対のブロック12a,12bと、紡糸ノズル11cの先端部付近に開口する空気ノズル15,15に流路14,14を介して貫通孔120が連通するようにブロック12a,12bの下流側に設けられた一対の空気ジェットブロック13,13とを有する。第一のブロック12aは、押出機(図示せず)から紡糸ノズル11cに溶融ポリマーを送給する複数の貫通孔121を有する。
図1〜図6に示すように、紡糸ノズル11cから吐出及び延伸された前記ポリマーの極細繊維を連続的に捕集する吸引ロール2は、(a) 軸線方向に延在する開口部21aを有し、排気装置(図示せず)に連通する円筒部材21と、(b) 回転シャフト203に固定されたフランジ(201a)付き側板201と、ベアリング206aを介して円筒部材21を支持するフランジ(202a,202b)付き円筒状支持部202とに固定された多孔性円筒部材22と、(c) 多孔性円筒部材22の外周面上に設けられた円筒状メッシュ部材23とを有する。円筒部材21はベアリング205bを介して回転シャフト203と連結しているので、シャフト203が回転しても固定したままである。回転シャフト203は、支持体210に設けられたベアリング205aに回転自在に支持されており、その外端部にモータ(図示せず)に駆動されるプーリ204が固定されている。円筒状支持部202はフランジ202bの外周面で、支持体211に設けられたベアリング206bに回転自在に支持されている。円筒部材21の一部に、それを所定の円周方向位置に固定しておくための手段220が設けられている。前記多孔性円筒部材22と、その外周面上に設けられた円筒状メッシュ部材23とが一体に回転することにより、紡糸ノズル11cから吐出及び延伸された前記ポリマーの極細繊維を連続的に捕集しメルトブロー不織布4を形成する。
ダイ1と吸引ロール2の外周面との間隔d1は、溶融ポリマーの延伸が完了するとともに、得られた繊維の振動が実質的に起こらない範囲内にする必要がある(図5を参照)。図11に示すように、ダイ1の紡糸ノズル11cから吐出された溶融ポリマーは延伸されるとともに、所定の距離(dmax)を超えると振動が起こる。これは、高速の加熱空気流が周囲の空気との摩擦により乱流化するためであると考えられる。数μm以上の太さの繊維からなるメルトブロー不織布の場合、乱流による絡まりが起こっても性能上大きな問題にならないが、数平均繊維径が1μm以下と極細の繊維の場合、一旦起こった絡まりは連鎖的に進展して極端に大径化した部分が生成し、メルトブロー不織布の最大細孔径が大きくなってしまうだけでなく、糸切れによる飛散繊維も生じやすくなる。従って、溶融ポリマーの延伸が完了した後、振動が実質的に起こらない範囲内で前記ポリマーの極細繊維を吸引ロール2上に捕集する必要がある。
吸引フード3a,3bは、図1に示すように、ダイ1から吐出された極細繊維により形成されたメルトブロー不織布4のウエブが流れていく側(下流側)、及びダイ1に対して前記メルトブロー不織布4が形成されていない側(上流側)の両側に設ける。浮遊繊維は空気流に乗って下方(上流側)にも移動することがあるので、上流側の吸引フード3bを設けることにより,これらの浮遊繊維を効率よく除去することができる。吸引フード3a,3bは、吸引ロール2の外周面に沿った底部開口部35a,35bを有するフード本体部31a,31bと、フード本体部31a,31bの一辺に設けられ、ダクトを介して排気装置に連結された開口部33a,33bを有するパイプ部32a,32bとを有する。
吸引フード3a,3bの底部開口部35a,35bと吸引ロール2の外周面との間隔は全体的にほぼ一定であるのが好ましい。前記吸引フード3a,3bと吸引ロール2の外周面との間隔は少なくともダイ1側端部311a,311bにおいて、メルトブロー不織布4の表面に糸切れした繊維が付着又は接触しても吸引除去し得る間隔d2に設定されている必要がある。間隔d2は各吸引フード3a,3bの端部311a,311bと吸引ロール2の外周面との距離である。具体的には、間隔d2は10〜40 mmが好ましく、15〜35 mmがより好ましい。間隔d2が10 mm未満であると、吸引フード3a,3bに十分な空気が流入せず、浮遊繊維の除去が不十分である。また間隔d2が40 mm超であると、吸引フード3a,3bに流入する空気の流速が遅すぎ、メルトブロー不織布4の表面に付着又は接触した浮遊繊維を十分に除去できない。前記吸引フード3aと吸引ロール2の外周面との間隔、及び前記吸引フード3bと吸引ロール2の外周面との間隔は同じであっても異なっていても良い。
上記装置を用いてメルトブロー不織布を製造する本発明の方法は、
前記紡糸ノズル11cから吐出した溶融ポリマーを前記空気ノズル15,15から噴出する加熱空気により延伸し、得られた前記ポリマーの極細繊維を吸引ロール上に捕集することにより、数平均繊維径が1μm以下で、繊維径分布(重量平均繊維径/数平均繊維径)が1.3以下で、繊維径変動率が55%以下の極細繊維からなるメルトブロー不織布を製造する方法であって、
(1) ダイ1と吸引ロール2との間隔を、溶融ポリマーの延伸が完了するとともに、得られたポリマー繊維の振動が実質的に起こらない範囲内とすることにより、前記ポリマー繊維の糸切れ及び絡みを抑制し、(2) 吸引ロール2の外周面と吸引フード3a,3bのダイ側端部311a,311bとの間隔d2を、得られたメルトブロー不織布の表面に糸切れした繊維が付着又は接触しても吸引除去し得るように設定することを特徴とする。得られたメルトブロー不織布に対して、必要に応じて、カレンダー処理、帯電処理、親水化処理等を施しても良い。
前記ポリマーの溶融混練温度は(前記ポリマーの融点)〜(前記ポリマーの融点+280℃)が好ましい。ポリプロピレンの場合、溶融混練温度は160〜440℃が好ましく、170〜420℃がより好ましい。
溶融ポリマーを多数の紡糸ノズル11cから吐出するとともに、ノズル15,15から加熱空気を噴出し、前記ポリマーの極細繊維を形成する。ダイ1及び加熱空気の温度は(前記ポリマーの融点)〜(前記ポリマーの融点+50℃)とするのが好ましい。ポリプロピレンの場合、ダイ1及び加熱空気の温度は160〜220℃が好ましく、170〜210℃がより好ましい。ダイ1及び加熱空気の温度が前記ポリマーの融点未満では、ポリマーが紡糸ノズル11cから吐出した直後に急速に固化してしまうため、延伸が不十分である。一方、前記ポリマーの融点+50℃を超えると、形成されたポリマー極細繊維が融着し易くなり、繊維径のバラツキが大きくなる。
幅当たりの吸引ロール2の吸引量は、メルトブロー不織布4の所望とする物性に応じて適宜調節することができるが、単繊維同士の融着を抑制するために、空気ノズル15,15からの幅当たりの噴出量の5倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、12倍以上が最も好ましい。吸引ロール2の吸引量を加熱空気の噴出量の5倍以上とすると、加熱空気の大部分は多孔性円筒部材22の吸引孔22aを通って吸引ロール2内に吸引され、繊維流の乱れを抑制することができる。具体的には、幅当たりの吸引ロール2の吸引量は10,000 Nm3/hr/m以上が好ましく、15,000〜25,000 Nm3/hr/mがより好ましい。吸引ロール2の吸引量の上限は特に限定されないが、実用的には加熱空気の噴出量の50倍である。
得られたメルトブロー不織布にカレンダー処理を施すと、機械的強度が向上するだけでなく、細孔径が小さくなる。メルトブロー不織布がポリオレフィン極細繊維からなる場合、カレンダー処理を室温で行うことができる。カレンダー処理の圧力は1〜10 MPaが好ましく、3〜7 MPaがより好ましい。
必要に応じてメルトブロー不織布に、コロナ放電処理等の帯電処理を施しても良い。帯電不織布は10-11〜10-7クーロン/cm2程度の電荷量を有し、微粒子を静電気的に捕集できる。
メルトブロー不織布に親水化処理を施してもよい。親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理等により行うことができる。界面活性剤処理の場合、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
本発明のメルトブロー不織布は以下の物性を有する。なお、各物性は実施例の欄に記載の方法により測定した。
数平均繊維径が1μm以下だと、メルトブロー不織布は小さい平均細孔径及び最大細孔径、及び高い通気度を有し、微粒子捕捉性能に優れている。数平均繊維径は0.7μm以下が好ましく、0.3〜0.7μmがより好ましい。
重量平均繊維径が0.8μm以下だと、メルトブロー不織布は小さい平均細孔径及び最大細孔径、及び高い通気度を有し、微粒子捕捉性能に優れている。重量平均繊維径は0.3〜0.8μmが好ましい。
繊維径分布が1.3以下だと、メルトブロー不織布は小さい平均細孔径及び最大細孔径を有し、目付が小さくても微粒子捕捉性能に優れている。繊維径分布は1.05〜1.25が好ましい。
繊維径変動率が55%以下だと、メルトブロー不織布は小さい平均細孔径及び最大細孔径を有し、目付が小さくても微粒子捕捉性能に優れている。繊維径変動率は50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。
平均細孔径が6μm以下であると、メルトブロー不織布は優れた微粒子捕捉性能を有する。平均細孔径は5.5μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
最大細孔径が12μm以下であると、メルトブロー不織布は優れた微粒子捕捉性能を有する。最大細孔径は10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましい。
通気度が5 mL/cm2/秒未満ではメルトブロー不織布の目詰まりが速い。通気度は5〜30 mL/cm2/秒が好ましい。一方、通気度が30 mL/cm2/秒超だと微粒子捕集効率が低い。
平均目付が12 g/m2超だと通気度が悪い。平均目付は1〜12 g/m2が好ましく、2〜10 g/m2がより好ましく、3〜9g/m2が最も好ましい。
目付変動率が5%超だと最大細孔径が大きく、通気度の均一性が悪い。目付変動率は4%以下が好ましい。
平均膜厚が0.05〜0.5 mmのメルトブロー不織布はフィルタに好適である。
充填率が1%未満では、メルトブロー不織布は十分な微粒子捕集率を有さない。一方20%超だと、通気度が悪い。充填率は2〜10%が好ましい。
1〜15 N/50 mm幅の長手方向引張破断強度を有するメルトブロー不織布はフィルタに好適である。引張破断強度は1.2〜13 N/50 mm幅が好ましい。
微粒子捕集率が90%以上だと、フィルタとして用いるのに適している。微粒子捕集率は95%以上が好ましい。
メタロセン系重合触媒を用いて調製されたポリプロピレンPP[MFR(JIS K7210、2.16 kg、230℃):1,550 g/10分、重量平均分子量(Mw):7×104、分子量分布(Mw/Mn):2.5、融点:155℃]を原料として、図1〜図10に示す装置を用い、表1に示す条件で幅300 mmのメルトブロー不織布を作製した。なお吸引フード3a,3bは、図6における(S1+S2+S3)が吸引ロール2の半周分となるようにダイ1の上流側及び下流側対称に配置した。
トータルギャップTGを0.7 mmとした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
紡糸ノズル当たりのポリプロピレン吐出量を6.7 mg/分とし、吸引ロールの回転速度を7.2 m/分とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
吸引フード3a,3bの大きさを変更して、すなわち図6において、S3は変更せずにS1及びS2のみを均等に小さくして、ロール被覆率[(S1+S2)/(S1+S2+S3)×100]を60%とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
吸引フード3a,3bの大きさを変更して、すなわち図6において、S3は変更せずにS1及びS2のみを均等に大きくして、ロール被覆率を85%とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
紡糸ノズルの長さLが3 mmで、直径Dが0.1 mmで、L/Dが30で、紡糸ノズルの数が1,001個で、トータルギャップTGが0.5 mmのダイを用い、溶融混練温度を400℃とし、紡糸ノズル当たりのポリプロピレン吐出量を22.5 mg/分とし、加熱空気の流速及び噴出量をそれぞれ225 m/秒及び1,650 Nm3/hr/mとし、ロール吸引量/加熱空気噴出量の比を11.8とし、ダイと吸引ロールとの間隔d1を90 mmとし、吸引ロールの回転速度を11.0 m/分とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
L/Dを50とし、紡糸ノズル当たりのポリプロピレン吐出量を5.6 mg/分とした以外実施例6と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
フード吸引量を2,400 Nm3/hrとし、フード吸引量/ロール吸引量の比を0.38とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
フード吸引量を3,600 Nm3/hrとし、フード吸引量/ロール吸引量の比を0.58とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
メタロセン系重合触媒を用いて調製されたポリプロピレン[MFR:1,200 g/10分、重量平均分子量:74,000、分子量分布:3.4、融点:158℃]を用いた以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
実施例1のメルトブロー不織布に、コロナ放電処理(印加電圧:17 kV)を施した(表1を参照)。
実施例1のメルトブロー不織布に、室温でカレンダー加工(圧力:5 MPa)を施した(表1を参照)。
吸引フードのダイ側端部と吸引ロール外周面との間隔d2を30 mmとした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
吸引ロール2のダイ1から下流側のみに、図13に示すように、吸引フード301を設けた装置を用い、吸引量を6,000 Nm3/hrとし、フード吸引量/ロール吸引量の比を0.96とした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。なお吸引フード301のウエブ進行方向長さは700 mmであった。
図14に示すように、繊維流41全体を覆うようにダイ1に接合された吸引フード302a,302bを有する装置を用いた以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
ダイと吸引ロールとの間隔d1を150 mmとした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
吸引フードのダイ側端部と吸引ロール外周面との間隔d2を5 mmとした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
吸引フードのダイ側端部と吸引ロール外周面との間隔d2を50 mmとした以外実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を作製した(表1を参照)。
市販のポリプロピレンメルトブロー不織布(商品名「SYNTEX nano」,三井化学株式会社製)を用いた。
平均膜厚は、メルトブロー不織布の幅方向に3カ所(端部から50 mm、150 mm及び250 mmの部分)の膜厚をダイヤルシックネスゲージにより測定し、平均することにより求めた。
平均目付は、100 mm×100 mmの10枚のメルトブロー不織布試験片に対して、温度23℃及び湿度50%における水分平衡状態の質量(g)を測定し、平均することにより求めた。
目付変動率は、前述の平均目付を測定した10点のデータから、目付変動率(%)=(目付の標準偏差)/(平均目付)×100の式により求めた。
数平均繊維径は、メルトブロー不織布の電子顕微鏡写真から任意の10カ所について各10本ずつ、直径を0.1μmオーダーまで繊維径を測定し、それらを平均して求めた。図15に実施例1〜3及び比較例6のメルトブロー不織布の繊維径分布を示す。
重量平均繊維径は、繊維径Diの繊維の本数をNiとし、重量平均繊維径(μm)=ΣDi2・Ni/ΣDi・Niの式により求めた。
繊維径分布=重量平均繊維径/数平均繊維径の式により求めた。
繊維径変動率(%)=(繊維径の標準偏差/数平均繊維径)×100の式により求めた。
平均細孔径及び最大細孔径は以下に示すバブルポイント法(ASTM F316-86、JIS K3832)により測定した。まず自動細孔径分布測定器(型式「CFP-1200AEX」、ポーラス・マテリアルズ社製)に、乾燥した直径25 mmのメルトブロー不織布試験片をセットし、一方の面にかける空気圧を徐々に増大させて、空気が乾燥試験片を透過し始めたときの圧力P1を求めるとともに、図16に示すドライ流量曲線を作成し、それから透過流量を1/2としたハーフドライ流量曲線を作成した。同様に、表面張力16 dyne/cmの溶媒(商品名「POREWICK」、ポーラス・マテリアルズ社製)で細孔を満たした直径25 mmのメルトブロー不織布試験片の一方の面にかける空気圧を徐々に増大させて、空気が湿潤試験片を透過し始めたときの圧力P2を求めるとともに、図16に示すウェット流量曲線を作成した。
DAV=4γcosα/(Pcross - P1)
[ただし、γは溶媒の表面張力であり、αはポリプロピレンに対する溶媒の接触角である。]
DMAX=4γcosα/(P2 - P1)
通気度は、100 mm×100 mmのメルトブロー不織布試験片に対して、JIS L 1096に従ってフラジール型試験機により測定した。
充填率(%)=[平均目付(g/m2)/平均膜厚(m)/樹脂密度(g/m3)]×100の式により求めた。
幅50 mmの短冊状メルトブロー不織布試験片に対して、製造時の長手方向の引張破断強度をJIS L 1085に従って測定した。
微粒子捕集率は、面積100 cm2のメルトブロー不織布試験片に対して、粒径0.3μmのNaCl粒子を0.025 mg/Lの濃度で含む空気を、31.8 L/分の流量で3秒間通過させる間、JIS Z8813による光散乱光量積算方式の測定機により不織布試験片通過前後のNaCl粒子濃度(mg/m3)を1秒間隔で3回測定し、下記式により求めた各捕集率を平均して示した。
捕集率(%)=[(通過前のNaCl粒子濃度 - 通過後のNaCl粒子濃度)/通過前のNaCl粒子濃度]×100
メルトブロー不織布1 m2中に存在する塊状物(同じ面積を有する円の直径が0.2 mm以上のものに限る。)の個数を目視でカウントし、樹脂塊の個数とした。
実施例1で得られた極細繊維不織布6枚からなる厚み0.1 mmの6層品を、カレンダーロールを用いた積層加工により以下の手順で作製した。実施例1で得られた極細繊維不織布2枚を、ロール間隔約0.04 mmで室温下で積層加工して2層品(厚み約0.08 mm)を作製し、この2層品2枚を、同じ条件で再度積層加工して4層品(厚み約0.14 mm)を作製し、さらにこれらの4層品と2層品とをロール間隔約0.08 mmで室温下で積層加工して6層品を作製した。
実施例14で作製した4層品と2層品とを、実施例14と同様にして、ロール間隔約0.16 mmで室温下で積層加工して厚み0.2 mmの6層品を作製した。
Claims (9)
- 直径200μm以下の多数の紡糸ノズルとその両側の空気ノズルとを具備するダイと、前記ダイの近傍に設けられた、多孔性の外周部を有する吸引ロールと、前記ダイより上流側及び下流側の位置に前記吸引ロールを覆うように設けられた一対の吸引フードとを有するメルトブロー装置を用い、
前記紡糸ノズルから吐出した溶融ポリマーを前記空気ノズルから噴出する加熱空気により延伸し、得られた前記ポリマーの極細繊維を吸引ロール上に捕集することにより、
数平均繊維径が1μm以下で、繊維径分布(重量平均繊維径/数平均繊維径)が1.3以下で、繊維径変動率が55%以下の極細繊維からなるメルトブロー不織布を製造する方法であって、
(1) 前記ダイと前記吸引ロールとの間隔を30〜100 mmの範囲内に設定し、(2) 前記吸引ロールの外周面と前記吸引フードのダイ側端部との間隔を10〜40 mmの範囲内に設定し、(3) 前記吸引ロールの前記ダイ側の半周面のうち、前記一対の吸引フードで被覆される割合を60〜90%とすることを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造方法において、前記吸引ロールの前記ダイ側の半周面のうち、前記一対の吸引フードで被覆される割合を60〜90%とすることを特徴とする方法。
- 請求項1又は2に記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造方法において、前記吸引ロールの外周面に対する吸引領域の面積割合を1/6〜1/3とすることを特徴とする方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造方法において、幅当たりの前記加熱空気の噴出量を800 Nm3/hr/m以上とし、前記吸引ロールによる吸引量を前記加熱空気の噴出量の5倍以上とし、前記一対の吸引フードによる合計吸引量と前記吸引ロールによる吸引量との比を0.2〜0.9とすることを特徴とする方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造方法において、前記ダイ及び前記加熱空気の温度を(前記ポリマーの融点)〜(前記ポリマーの融点+50℃)とすることを特徴とする方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造方法において、前記ポリマーとして1,000〜2,000 g/10分のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、荷重2,160 g)を有するポリプロピレンを使用することを特徴とする方法。
- 数平均繊維径が1μm以下で、繊維径分布(重量平均繊維径/数平均繊維径)が1.3以下で、繊維径変動率が55%以下の極細繊維からなるメルトブロー不織布を製造する装置であって、直径200μm以下の多数の紡糸ノズルとその両側の空気ノズルとを具備するダイと、前記ダイの近傍に設けられた、多孔性の外周部を有する吸引ロールと、前記ダイより上流側及び下流側の位置に前記吸引ロールを覆うように設けられた一対の吸引フードとを具備し、(a) 前記ダイと前記吸引ロールとの間隔が30〜100 mmの範囲内に設定され、(b) 前記吸引ロールの外周面と前記吸引フードのダイ側端部との間隔が10〜40 mmの範囲内に設定され、(c) 前記吸引ロールの前記ダイ側の半周面のうち、前記一対の吸引フードで被覆される割合が60〜90%であることを特徴とする装置。
- 請求項7に記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造装置において、前記吸引ロールの外周面に対する吸引領域の面積割合が1/6〜1/3であることを特徴とする装置。
- 請求項7又は8に記載の極細繊維からなるメルトブロー不織布の製造装置において、前記紡糸ノズルが1インチ当たり50個以上の密度で前記ダイに一列に配設されていることを特徴とする装置。
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