JP6457757B2 - メルトブローン不織布 - Google Patents

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本発明は、極細糸から成るメルトブローン不織布に関する。より詳細には、本発明は、糸同士の融着や絡み合いを抑制し、繊維によって形成される孔径が極めて均一であり、従来にはない高いフィルター性能を有するメルトブローン不織布に関する。
一般的なメルトブローン法とは、曳糸性を有する熱可塑性樹脂を溶融した後、紡口ノズルから押し出す際に、小孔の列を挟む様に設けられた間隙(以下、エアギャップともいう。)から噴出される高温高速の紡糸ガスにより熱可塑性樹脂を牽引細化し、繊維状にしたものをネット上で集積させ、極細繊維から成る不織布を直接得る方法である。例えば、インダストリアル&エンジニアリングケミストリの第48巻第8号第1342〜1346頁(1956年)にはメルトブローン法の基本的な装置及び方法が開示されている。これらの方法装置は、極めて簡単な装置構成であり、極細繊維を容易に且つ安価で作ることが可能となる。
一般的なメルトブローン不織布の特徴として、繊維径が数μmの極細繊維で構成される為、極細繊維によって形成される孔径が緻密となり、他の不織布製法と比べて比表面積が大きいことが挙げられる。
メルトブローン不織布は上記特徴を活かして、各種フィルター用途やセパレータ用途等に多く用いられている。また、繊維間の間隙が狭くなることによるバリアー性を活かした使い捨ておむつ等の防漏性部材等にも利用されている。
メルトブローン不織布では、上記の性能を更に高める為に、構成される孔径の均一化が求められている。孔径を均一化することで、通常のメルトブローン不織布より低目付であっても、所望のフィルター性能を得ることが可能となり、コンパクト且つ低コスト化に繋がる。また、プレス加工をしなくとも小さい孔径が得られる為、メルトブローン法の特徴の一つである嵩高さを活かした構造となり、フィルター用途に使用した際のフィルター寿命が延びる。これらの効果は、近年求められている環境負荷の低減・省エネ・軽量化・コンパクト化等に繋がる為、メルトブローン不織布を用いている多様多種な分野からの性能向上要求が高く、世の中にとって非常に貢献度の高い技術と成り得る。
メルトブローン法において孔径を均一化する為の一般的な手法としては、繊維径を極細化することや高目付化が知られている。繊維径を極細化する為には、単孔吐出量を低下させる方法や紡口ノズルの間隔を広げる方法が挙げられる。
例えば、以下の特許文献1には、紡口ノズル間の距離を0.54mm以上となるように配置したことを特徴とするメルトブローン不織布の製造方法が開示されているが、生産性の観点でノズルピッチを広げる手法は好ましくない。
以下の特許文献2には、1インチにつき少なくとも100個のノズル密度を有する紡口を用いて、1分間あたりの単孔吐出量を0.01g以下にする方法が開示されているが、生産性の観点で単孔吐出量を下げる手法は好ましくない。
以下の特許文献3には、吐出された熱可塑性樹脂にメルトブローンダイヘッドの下で50℃以上の温度を有する二次ブローエアを吹き付けることで、熱可塑性樹脂に付加的な振動を励起させて均一化する方法が開示されているが、新たな設備が必要となる上、エネルギーを追加する必要がある為、製造コスト面で好ましくない。
以下の特許文献4には、空隙率が高く、孔径が小さく均一な不織布シートを提供する方法が開示されているが、本文献では熱可塑性樹脂をメルトブローン法により不織布状樹脂成形物に成形した後、当該不織布状樹脂成形物を、熱可塑性樹脂の融点未満の温度で、ヤング率が20〜600kg/cmの弾性を有する押圧手段により押圧成形することで空隙率を20〜45%に調整して孔径を均一化している為、フィルター寿命が著しく短くなる。
以下の特許文献5には、濾過精度が高い極細繊維集合体よりなる濾過材及び濾過方法を提供する方法が開示されているが、メルトブローン法により得られた不織布を熱プレスローラにより圧縮することで濾過材を構成する繊維集合体の空隙率を20〜65%の範囲に調整している為、フィルター寿命が著しく短くなる。
以下の特許文献6には、ミクロン又はサブミクロンの微小粒子の濾過精度が高い優れた濾過材を提供する方法が開示されているが、空隙率が5〜35%と極めて低空隙率である為、フィルター寿命が著しく短くなることが明白である。また、JIS11種粒子と0.6μm単分散アルミナ粒子を質量比で8対2の比で混合した粒子を0.025g/L分散させた水溶液の捕集効率が最高で84%との記載があり、濾過精度が顕著に改善されたものではない。
これらの方法により、幾分繊維径分布が均一となり、孔径分布が均一であるメルトブローン不織布を製造し得るものの、溶融押出時に生じる繊維の融着による平均繊維径の2倍以上である太繊維の発生や延伸切れに起因するポリマー球の発生を少量に抑えて紡糸することができないのが現状である。
また、メルトブローン法は繊維状に延伸された樹脂を吸引ファンによってコンベア上で無作為に集積する為、コンベアに着地する時に繊維同士の絡み合いや重なりを抑制することができないのが現状であり、孔径分布が均一であり、比表面積が極めて高く、高性能と成り得るメルトブローン不織布が切望されている。
メルトブローン法以外に極細且つ均一な繊維を得る方法としては、エレクトロスピニング法が挙げられるが、今後、工業化する際には、生産規模が小さく、バッチ式で生産しているところが多いことなどが問題となっている。また、スケールアップさせる為には、熱可塑性樹脂を複数のノズルから同時に噴射させる必要性があるが、ノズルの目詰まりやノズル間隔を狭くすると熱可塑性樹脂が融着する等の問題がある。最近はノズルを用いない製法も開発されているが、環境負荷を考慮した際に無溶媒化への課題が依然として残っている。また、一般的に熱可塑性樹脂をノズルから直接噴射する方式より、熱可塑性樹脂を溶媒に溶かした溶解液を噴射する方式の方が極細繊維を形成しやすいとされているが、溶解液を噴射する方式を工業化する際には、繊維中に残留した溶媒を完全に除去することが必要となり膨大なコストを要する。更に海島複合紡糸法も極細で均一な繊維を得る方法として挙げられるが、適用可能な熱可塑性樹脂が限られていることや第二成分除去に溶剤を使用する為、現在のエコ思考においては環境負荷が高いという問題がある。
特開2012−122157号公報 特表2009−534548号公報 特開2006−83511号公報 国際公開第2005/098118号パンフレット 特開平4−313311号公報 特開平7−24230号公報
上記従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、糸同士の融着や絡み合いや重なりを抑制し、孔径が緻密且つ均一であり、従来にはない高い比表面積を有する不織布を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、曳糸性を有する熱可塑性樹脂を高温高速のガスを用いて牽引することで得た極細糸をコンベア上で無作為に集積して不織布化するメルトブローン不織布の製造方法において、コンベア上の集積ネットを緻密にする事で集積ネット上の吸引風速を均一化し、繊維同士の局所的な絡み合いや重なりを抑制することで、孔径が著しく緻密且つ均一である従来にはない高いフィルター性能を有する不織布を得ることができることを発見し、かかる発見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]熱可塑性樹脂の繊維から構成され、孔径分布が下記式(1)及び下記式(2):
Dmax/Dave<2.00 ...式(1)
Dmax/Dmin<3.50 ...式(2)
{式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dave:平均孔径(μm)、Dmin:最小孔径(μm)である。}を満たし、Dmax(最大孔径)が2.61μm以上10μm以下であり、かつ、空隙率が70〜95%であり、かつ、該不織布の目付量が10〜25g/m の時に、地合指数が85以上125以下であることを特徴とするフィルター用不織布。
[2]前記繊維の平均繊維径が0.1μm以上5.0μm以下である、前記[1]に記載の不織布。
[3]前記不織布のDave(平均孔径)が5μm以下である、前記[1]又は[2]に記載の不織布。
]前記不織布のDmin(最小孔径)が3μm以下である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の不織布。
]前記不織布の表面に観察されるポリマー球が、0〜30個/mmである、前記[1]〜[]のいずれかに記載の不織布。
]前記[1]〜[]のいずれかに記載の不織布とスパンボンド不織布とを積層した積層体。
]前記[1]〜[]のいずれかに記載の不織布を2つのスパンボンド不織布層の間に有する積層体不織布。
]前記[1]〜[]のいずれかに記載の不織布又は前記[]若しくは[]に記載の積層体を用いたフィルター。
本発明に係る不織布は、糸同士の融着や絡み合いが抑制可能であり、極細繊維によって構成される孔径が緻密且つ均一であり、従来にない高い比表面積を有する不織布である。本発明に係る条件で紡糸されたメルトブローン不織布では、孔径を緻密且つ均一化する上での大きな問題である、融着繊維、繊維の絡み合いが著しく改善されたものであることができる。本発明に係る不織布では、メルトブローン不織布を構成する連続長繊維によって形成される孔径が緻密且つ均一となる為、通常のメルトブローン不織布より低目付であっても、所望のフィルター性能を得ることが可能となり、コンパクト且つ低コスト化に繋がる。また、プレス加工をしなくとも小さい孔径が得られる為、メルトブローン法の特徴の一つである嵩高さを生かした構造となり、フィルター用途に使用した際の寿命が延びる。さらに、メルトブローン法は他の細繊化技術の多くで必要となる溶媒の処理が全く必要ない。
メルトブローン法の全体工程図である。 メルトブローン法におけるスピンヘッドの詳細図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
ノズルから吐出された溶融樹脂は紡糸ガスや重力による牽引を受けて細繊化され、コレクターに設けられた吸引ファンによって、コレクターネット上に細繊化された糸が集積され、不織布を形成する。この際に、コレクターネットにより緻密なネットを用いる又はノズルからコレクターネットまでの距離を短くすることで、糸同士の絡み合いや重なりを著しく抑制することができる為、孔径が緻密且つ均一である理想的なメルトブローン不織布が得られる。
本実施形態に係る不織布は、熱可塑性樹脂の繊維から構成され、孔径分布が下記式(1)及び下記式(2):
Dmax/Dave<2.00 ...式(1)
Dmax/Dmin<3.50 ...式(2)
{式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dave:平均孔径(μm)、Dmin:最小孔径(μm)である。}
を満たすことを特徴とする。
孔径はDmax/Dave<2.00であり、Dmax/Dave<1.75が好ましく、Dmax/Dave<1.50が更に好ましい。ここで、Dmax/Dave=1が、理論上で不織布を構成する繊維で形成される孔径が完全に同一である理想的な状態における孔径分布である。また、Dmax/Dave≧2.00では、孔径分布が極めて不均一であり、各種フィルターやセパレータ用途として適切でない。また、Dmax/Dmin<3.50であり、Dmax/Dmin<3.25が好ましく、Dmax/Dmin<3.00が更に好ましい。ここで、Dmax/Dmin=1が、理論上で不織布を構成する繊維で形成される孔径が完全に同一である理想的な状態における孔径分布である。また、Dmax/Dmin≧3.50では、孔径分布が極めて不均一であり、各種フィルターやセパレータ用途として適切でない。
本実施形態に係る不織布では、平均繊維径が0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。平均繊維径は0.1μm以上2.0μm以下がより好ましく、0.1μm以上1.0μm以下が更に好ましい。また、近年の各種フィルター用途の高性能化及びコンパクト化(薄型)を考慮すると、平均繊維径の上限はナノファイバーの特徴的な優位性が得られる0.8μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。繊維を0.3μm以下まで細くすると、従来の繊維では得られなかった下記の新しい物理学的な性質が表れる。
(1)空気の抵抗が非常に小さくなる。
空気や液体の流れは物体に近づくほど遅くなり、これがフィルターの空気抵抗になるが、ナノサイズの物質では「スリップフロー効果」という現象が生まれ、流速がほとんど遅くならない。このためナノファイバーでフィルターを作ると、目の細かいフィルターを作っても、空気の通りがスムーズであるというメリットが生まれる。
(2)比表面積が大きくなる。
ナノファイバーは、比表面積が非常に大きく、繊維表面にたくさんの異物を吸着することができる為、浄化装置の性能をアップできる。また、繊維表面で起こる化学反応や電気反応の効率も高まる為、燃料電池などの効率アップにもつながる。
本実施形態に係る不織布では、平均孔径(Dave)が5μm以下であることが好ましく、Daveが4μm 以下がより好ましく、Daveが3μm以下 が更に好ましい。Daveは小さい程、捕集物質の通り抜けを防ぐことができる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、最大孔径(Dmax)が10μm以下であることが好ましく、Dmaxが8μm以下がより好ましく、Dmaxが6μm以下が更に好ましい。Dmaxは小さい程、捕集物質の通り抜けを防ぐことができる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、最小孔径(Dmin)が3μm以下であることが好ましく、Dminが2μm以下 がより好ましく、Dminが1μm以下 が更に好ましい。Dminは小さい程、孔径が緻密且つ均一となる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布は、空隙率70〜95%が好ましく、80〜90%がより好ましい。空隙率が大きい程、不織布の特徴である3次元構造を生かした堆積濾過が可能となり、フィルター寿命が顕著に延びる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布は、目付量10〜25g/mの時に地合指数≦125以下であることが好ましく、地合指数≦110がより好ましく、地合指数≦95が更に好ましい。地合指数は値が小さい程、不織布表面が均一である為、孔径分布の均一化に繋がり、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布表面に観察されるポリマー球が、0〜30個/mmであることが好ましい。
メルトブローン法による延伸中の熱可塑性樹脂のせん断速度X (s−1) は紡糸条件によって異なるが、X (s−1) は、学術雑誌AIChE Journal 第36巻 (1990) 第2 号第175〜186頁に記載されている計算方法で、紡糸条件 (ノズル径、単孔吐出量、紡糸ガス温度、紡糸ガス圧力、ポリマー物性) から見積もることができる。該計算方法を用いて検討した結果、本発明者らは、延伸中の熱可塑性樹脂のせん断速度X (s−1) が108.2<X<1010となる条件で紡糸を行うことにより、糸同士の融着やポリマー球の発生が抑制可能であり、更に繊維が極細且つ均一であるメルトブローン不織布が得られることを見出した。X≦108.2となる条件で紡糸を行うと、糸長方向で糸径斑が大きくなり本実施形態のメルトブローン不織布の特徴である極細糸が得られない。また、X≧1010となる条件で紡糸を行うと、延伸中の熱可塑性樹脂に働くせん断応力が強過ぎて延伸切れが起こり、ポリマー球が多発する。108.2<X<1010の範囲であれば、糸長方向の糸径斑が著しく改善され、繊維が極細化且つ均一化する。加えて、延伸切れに起因するポリマー球の発生が極めて少ない理想的な極細糸が得られる。
ポリマー球の測定方法は、形成された繊維をランダムに10枚SEMにて撮影し、不織布表面に観察されるポリマー球が30個/mm以下であり、10個/mm以下が好ましく、3個/mm以下が更に好ましい。ポリマー球が少ないと、より均一で且つ高比表面積であるメルトブローン不織布が得られる。
繊維を構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂であることができ、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独若しくは共重合体である高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、ポリプロピレンランダム共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体等のポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマーあるいはこれらの混合物等を例示することができる。
また、繊維を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレートは100〜2500g/10分であり、1000〜2000g/10分が好ましく、1300〜1800g/10分の範囲がより好ましい。
本発明において、メルトフローレートは日本ダイニスコ株式会社製のメルトインデクサーを使用し、ASTM D1238に準拠し、測定した。
図1に、メルトブローン法の全体工程図を、また、図2に、スピンヘッドの詳細図を示す。
溶融した熱可塑性樹脂をメルトブローン紡口に送り込み、多数の小孔が1列に並べられた紡口ノズル(図2符号12参照)から吐出するとともに、小孔の列を挟むように設けられたエアギャップから噴出される高温高速の紡糸ガスによって牽引することで繊維を細化させる。更に吸引ファン(図1符号4参照)を下部に有したコレクターネット上に繊維を集積させることで極細且つ均一であるメルトブローン不織布を製造することができる。
押出機でのポリマー溶融温度は各熱可塑性樹の融点よりも10℃〜60℃以上、好ましくは20℃〜50℃以上、さらに好ましくは30℃〜40℃以上高い範囲である。押出機(図1符号2参照)でのポリマー溶融温度が低過ぎるとノズルから吐出される溶融樹脂の流動性が不足し、紡糸工程において繊維が十分に細繊化されず、風合いの硬いメルトブローン不織布となってしまう。逆に押出機でのポリマー溶融温度が高過ぎると溶融樹脂の分解が進行し、安定した紡糸がし難くなるため好ましくない。
紡口ノズル(図2符号12参照)の孔は、直径0.05mm〜0.50mmの範囲が好ましく、0.08mm〜0.40mmがより好ましく、0.10mm〜0.30mmが更に好ましい。ノズル孔が小さ過ぎると溶融樹脂によって発生する圧力がノズル孔にかかるため、ノズル孔が割れる恐れがある。逆にノズル孔が大き過ぎると、ノズル孔に溶融樹脂による圧力がかかり難く、溶融樹脂を安定的に吐出することができなくなるサージングと呼ばれる現象が生じる。
ノズル孔のL/Dは5〜30の範囲が好ましく、7〜25がより好ましく、10〜20が更に好ましい。L/Dが小さ過ぎるとノズル孔に溶融樹脂によって圧力がかかり難く、溶融樹脂が安定に吐出することができないサージングと呼ばれる現象が生じる。逆にL/Dが大き過ぎるとノズル孔に対して溶融樹脂によってかかる圧力が上昇し、ノズル孔が割れる恐れがある。
エアギャップ(図2符号11参照)は、0.10mm〜3.00mmの範囲が好ましく、0.15mm〜2.00mmがより好ましく、0.25mm〜1.00mmが更に好ましい。エアギャップが狭過ぎると紡糸ガスが通過し難く、紡糸ガス圧力が上昇する為、所望の紡糸ガス流速が得られない。逆にエアギャップが広過ぎると紡糸ガス流速に速度差が生じる為、繊維径分布が不均一であるメルトブローン不織布となる。
紡糸ガス温度は各熱可塑性樹脂の融点よりも50℃〜300℃以上高いことが好ましく、100℃〜250℃以上高いことがより好ましく、150℃〜200℃以上高いことがさらに好ましい。紡糸ガス温度が低過ぎると、溶融樹脂を細繊化することができず、太径糸が混在したメルトブローン不織布となる。逆に紡糸ガス温度が高過ぎると、紡糸ガスからの伝熱によりダイ温度が上昇する為、溶融樹脂が分解し、糸化しない。
紡口から捕集支持体までの距離(以下、ディスタンスともいう。)は、50mm〜700mmの範囲が好ましく、80mm〜500mmがより好ましく、100mm〜300mmが更に好ましい。ディスタンスが小さ過ぎると、捕集支持体の下部に位置する吸引部によって紡口ノズルが冷やされ、溶融樹脂粘度が高くなる。また、高温ガスを噴射するため、噴射ガスの温度降下が十分でなく、牽引細化された繊維が捕集支持体上にて再溶融し、自己接着を起こす、又は大きな収縮を起こすことでメルトブローン不織布の風合いが著しく硬くなる。逆にディスタンスが大き過ぎると、吸引ファンが噴射された紡糸ガスのみでなく、周辺の空気までも随伴流として吸引してしまい、ノズルから吐出され極細化された溶融樹脂が吸引しきれず、繊維同士が捕集支持体上で絡み合わない為、繊維が飛散するフライという現象が生じる。
捕集支持体の通気抵抗は0.035kPa・s/m以下が好ましい。通気抵抗が0.035kPa・s/m以上であると捕集支持体の下部に位置する吸引部による繊維に対する吸引風速が弱まり、極細化した繊維や高目付繊維を捕集出来ずにフライが生じる。また捕集支持体を構成する繊維は700μm以下且つ300μm以上が好ましい。繊維径が700μm以上であると、捕集支持体上での吸引風速がばらつき、メルトブローン不織布の分散性が著しく悪化する。逆に繊維径が300μm以下であると、捕集支持体上の強度が弱くなり、長時間紡糸時に捕集支持体が破断される恐れがある為、使用できない。更に捕集支持体の目開きは500μm以下が好ましい。目開きが500μm以上であると、捕集支持体上での吸引風速がばらつき且つ目開き部の跡が不織布に転写される為、メルトブローン不織布の分散性が著しく悪化する。
溶融樹脂の単孔吐出量は、0.01g/min〜0.50g/minが好ましく、0.05g/min〜0.30g/minがより好ましく、0.10g/min〜0.20g/minが更に好ましい。単孔吐出量が小さ過ぎるとメルトブローン不織布の生産性が悪くなる。更にノズル先端に圧力がかからない為、安定的に溶融樹脂が吐出できない。逆に単孔吐出量が大き過ぎると溶融樹脂粘度が高い状態で吐出される。また、紡糸ガスによる溶融樹脂の単位重量あたりの牽引力が小さくなる為、細化が困難となる。
本実施形態に係る不織布は、構成される繊維が連続長繊維であることが好ましい。本発明に係る不織布を構成する繊維が連続長繊維であることを確認する為に、紡口ノズルを1ホールのみ有する単孔紡口を製作し、単孔紡口を用いて本発明の領域内で紡糸時の糸挙動の様子を高速度カメラで撮影した。メルトブローン法ではこれまで細繊化現象が分繊によるものなのか、延伸によるものなのか不明であったが、上記の鋭意検討の結果、1本のまま延伸によって細繊化していることが明確となった。分繊方法では繊維径及び繊維径分布のコントロールが非常に困難であるが、本発明の範囲では糸が1本のまま細繊化している為、均一性が高く且つ所望の平均繊維径を有する繊維から構成される不織布を得ることが可能となる。
本実施形態に係る不織布は、その用途によって様々な構成の一部として用いることが可能である。その例として、形成されたメルトブローン不織布を2つのスパンボンド不織布層の間に有する積層体や、形成されたメルトブローン不織布をスパンボンド不織布上に積層させた積層体が挙げられる。
本実施形態に係る不織布は、種々用途に応じて、他の層を積層してもよい。具体的には、例えば、編布、織布、不織布、フィルム等を挙げることができる。本発明に係る不織布と他の層を積層する場合は、熱エンボス加工、超音波融着等の熱融着法、ニードルパンチ、ウォータージェット等の機械的交絡法、ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤による方法、押出しラミネート等をはじめ、種々公知の方法を採用することができる。
本実施形態に係る不織布と積層される不織布としては、スパンボンド不織布、湿式不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布等が挙げられる。
本実施形態の方法により得られる不織布は、少なくとも片面に、好ましくは両面にスパンボンド不織布を積層した積層体であることができる。
本実施形態に係る不織布は孔径の均一性に優れることから、フィルターやセパレータ材として好んで使用することができる。また、フィルター材に使用できる形態としては限定されず、プリーツ形状やデプス形状であってもよい。
以下の実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。実施例等では以下の測定方法、装置等を使用した。
<平均繊維径>
装置型式:JSM−6510 日本電子株式会社製を用いた。
得られた不織布を10cm×10cmにカットし、上下60℃の鉄板に0.30MPaの圧力で90秒間プレスした後、不織布を白金にて蒸着した。そして上記のSEMを用いて、加速電圧15kV、ワーキングディスタンス21mmの条件にて撮影した。撮影倍率は、平均繊維径が0.5μm未満の糸は10000倍、平均繊維径が0.5μm以上1.5μm未満の糸は6000倍、1.5μm以上の糸は4000倍とした。それぞれの撮影倍率での撮影視野は、10000倍では12.7μm×9.3μm、6000倍では21.1μm×15.9μm、4000倍では31.7μm×23.9μmであった。ランダムに繊維100本以上を撮影し、全ての繊維径を測長することで平均繊維径を求めた。この際に、糸長方向で融着している繊維同士は測定から省いた。ここで、Dn:数平均繊維径とDw:重量平均繊維径の求め方を記す。
繊維径Di の繊維がNi 本存在するとき、DnとDwは、それぞれ、以下の式(3)と、(4):
Figure 0006457757
{式中、Xi=繊維径Di の存在比率=Ni/ΣNiである。}、
Figure 0006457757
{式中、Wi=繊維径Di の重量分率=Ni・Di/ΣNi・Diである。}
で計算した。
<比表面積>
装置型式:Gemini2360 株式会社島津製作所製を用いた。
不織布を円筒状に丸め比表面積測定用のセルに詰めた。この際に投入するサンプル重量は0.20〜0.60g程度が好ましい。サンプルを投入したセルを60℃の条件下で30分間乾燥した後に、10分間冷却を行った。その後、上記の比表面積測定装置にセルをセットし、サンプル表面への窒素ガス吸着により、下記BETの式(5):
Figure 0006457757
{式中、P0:飽和蒸気圧 (Pa)、Vm:単分子層吸着量 (mg/g)、C:吸着熱等に関するパラメータ(−)>0、であり、本関係式は特にP/P=0.05〜0.35の範囲でよく成り立つ。}を適用し、比表面積値を求めた。BET式とは、一定温度で吸着平衡状態である時、吸着平衡圧Pと、その圧力での吸着量Vの関係を表した式である。
<開孔径>
装置型式:Automated Perm Porometer(多孔質材料自動細孔径分布測定システム)Porous Materials, Inc.社製を用いた。
不織布サンプルを打ち抜き刃でφ25mmにカットし、GALWICK試液に浸漬させ、1時間脱気する。その後サンプルをセットし、エア圧を加える。GALWICK試液が毛細管内の液体表面張力に打ち勝ち、押し出される為、その時の圧力を測定することにより毛細管の式から導かれたWashburnの式で細孔直径を求めた。
<地合指数>
装置型式:FMT−MIII 野村商事株式会社製を用いた。
サンプルをセットしない状態で、光源点灯時/消灯時の透過光量をCCDカメラでそれぞれ測定した。続いて、A4サイズにカットした不織布をセットした状態で同様に透過光量を測定し、平均透過率、平均吸光度、標準偏差(吸光度のバラツキ)を求めた。地合指数は、標準偏差÷平均吸光度×10で求めることができる。地合指数は、目視との相関が極めて高く、不織布の地合を最も端的にあらわしている。また、地合指数は、地合が良い程小さく、悪いもの程大きな値になる。
<ポリマー球>
作製した不織布をSEMにて撮影した。それぞれのSEM撮影倍率での測定視野は、10000倍では12.7μm×9.3μm、6000倍では21.1μm×15.9μm、4000倍では31.7μm×23.9μmであった。上記の条件にてランダムにSEM画像を10枚撮影し、不織布表面に観察されるポリマー球を1mmあたり測定する。ポリマー球が少ないと、より均一で且つ高比表面積であるメルトブローン不織布が得られる。
[実施例1]
日本ダイニスコ株式会社製のメルトインデクサーを使用し、ASTM D1238に準拠して測定した結果、メルトフローレートが1700g/10minであるポリプロピレン樹脂を使用した。本樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.20mの紡口ノズルから単孔吐出量0.03g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度370℃、紡糸ガス圧力0.075MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径390μm、目開き400μm、通気抵抗0.032kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付20g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:0.52μm、Dmax:5.18μm、Dave:3.30μm、Dmin:1.52μm、空隙率:86.9%、ポリマー球:2個/mmであり、従来のメルトブローン法では得ることのできない形成された繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であった。
[実施例2]
メルトフローレートが1500g/10minであるポリエチレンテレフタラート樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度350℃、紡糸ガス圧力0.15MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径480μm、目開き440μm、通気抵抗0.033kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付20g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:0.97μm、Dmax:8.42μm、Dave:4.48μm、Dmin:2.63μm、空隙率:90.7%、ポリマー球:3個/mmであり、従来のメルトブローン法では得ることのできない形成された繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であった。
[実施例3]
メルトフローレートが1800g/10minであるポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.03g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度380℃、紡糸ガス圧力0.20MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径310μm、目開き250μm、通気抵抗0.033kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付25g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:0.43μm、Dmax:3.37μm、Dave:1.94μm、Dmin:0.99μm、空隙率:80.2%、ポリマー球:3個/mmであり、従来のメルトブローン法では得ることのできない形成された繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であった。
[実施例4]
メルトフローレートが1500g/10minであるナイロン6樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度350℃、紡糸ガス圧力0.125MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径310μm、目開き250μm、通気抵抗0.033kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付20g/mのメルトブローン不織布を作製した。
作製されたメルトブローン不織布は、繊維径:1.25μm、Dmax:9.52μm、Dave:4.87μm、Dmin:2.96μm、空隙率:87.5%、ポリマー球:0個/mmであり、従来のメルトブローン法では得る事の出来ない、形成された繊維によって構成される孔径が極小且つ均一である、本発明の特徴とするメルトブローン不織布を得た。
[実施例5]
メルトフローレートが1800g/10minであるポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度420℃、紡糸ガス圧力0.25MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径310μm、目開き250μm、通気抵抗0.033kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付15g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:0.29μm、Dmax:2.61μm、Dave:1.83μm、Dmin:1.13μm、空隙率:87.2%、ポリマー球:5個/mmであり、従来のメルトブローン法では得ることのできない形成された繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であった。
[比較例1]
メルトフローレートが1500g/10minであるポリエチレンテレフタラート樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.30mの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度350℃、紡糸ガス圧力0.15MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径800μm、目開き680μm、通気抵抗0.036kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付15g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:1.23μm、Dmax:11.21μm、Dave:5.48μm、Dmin:3.13μm、空隙率91.5%、ポリマー球:0個/mmであった。
[比較例2]
メルトフローレートが1800g/10minであるポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度400℃、紡糸ガス圧力0.20MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径510μm、目開き1010μm、通気抵抗0.017kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付15g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:0.73μm、Dmax:10.32μm、Dave:4.87μm、Dmin:2.84μm、空隙率:87.2%、ポリマー球:1個/mmであった。
[比較例3]
メルトフローレートが1500g/10minであるポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.30mの紡口ノズルから単孔吐出量0.09g/minで押し出した。上記の熱可塑性樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度360℃、紡糸ガス圧力0.15MPaの条件に設定し、熱可塑性樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。作製したメルトブローン繊維を、繊維径30μm、目開き20μm、通気抵抗0.156kPa・s/mである捕集支持体によって捕集し、目付10g/mのメルトブローン不織布を作製した。
得られたメルトブローン不織布は、繊維径:1.55μm、Dmax:18.24μm、Dave:8.83μm、Dmin:5.17μm、空隙率:90.5%、ポリマー球:4個/mmであり、本発明の特徴を有しないメルトブローン不織布であった。
Figure 0006457757
表1の実施例1〜5の結果から、本発明のメルトブローン不織布は極めて孔径分布が均一である為、フィルター用途として理想的なメルトブローン不織布であることが分かる。
表1中の比較例1〜3の結果から、本発明に該当しないメルトブローン不織布は、孔径分布が不均一であり、繊維同士の絡まりや重なりが多い為、フィルターの際に重要となる最大孔径が大きく、捕集物質が通過してしまい、フィルター用途として理想的ではないメルトブローン不織布であることが分かる。
本発明のメルトブローン不織布は、極細繊維によって構成される孔径を小さく且つ均一化する上での大きな課題である、繊維同士の絡まりや重なりを著しく改善することができる。メルトブローン不織布を構成する連続長繊維の繊維径から構成される孔径を均一化することで、通常のメルトブローン不織布より低目付であっても、所望のフィルター性能を得ることが可能となり、コンパクト且つ低コスト化に繋がる。また、プレス加工をしなくとも小さい孔径が得られる為、メルトブローン法の特徴の一つである嵩高さを生かした構造となり、フィルター用途に使用した際の寿命が延びる。また、上記の様な特性を生かして、セパレータ用途、塗工膜支持体用途、衛生資材用途、光拡散・反射シート等への応用も可能となる。更に、メルトブローン法は他の細繊化技術の多くで必要となる溶媒の処理が全く必要ない。これらは、近年求められている環境負荷の低減・省エネ・軽量化・コンパクト化に繋がる為、本発明は非常に貢献度の高い技術と成り得る。
1 ホッパー
2 押出機
3 スピンヘッド
4 吸引ファン
5 プレス機
6 巻取り機
7 ギヤポンプ
8 分配パック
9 紡糸ガス
10 リップ
11 エアギャップ
12 紡口ノズル

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂の繊維から構成され、孔径分布が下記式(1)及び下記式(2):
    Dmax/Dave<2.00 ...式(1)
    Dmax/Dmin<3.50 ...式(2)
    {式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dave:平均孔径(μm)、Dmin:最小孔径(μm)である。}を満たし、Dmax(最大孔径)が2.61μm以上10μm以下であり、かつ、空隙率が70〜95%であり、かつ、該不織布の目付量が10〜25g/m の時に、地合指数が85以上125以下であることを特徴とするフィルター用不織布。
  2. 前記繊維の平均繊維径が0.1μm以上5.0μm以下である、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記不織布のDave(平均孔径)が5μm以下である、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記不織布のDmin(最小孔径)が3μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記不織布の表面に観察されるポリマー球が、0〜30個/mm2である、請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布とスパンボンド不織布とを積層した積層体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布を2つのスパンボンド不織布層の間に有する積層体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布又は請求項若しくはに記載の積層体を用いたフィルター。
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