JP2020190057A - 不織布、不織布の積層体、及びそれらを含むフィルター - Google Patents

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悟 手塚
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康平 原田
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Abstract

【課題】高捕集効率と低流量圧損を両立した、フィルター性能バランスが良好である不織布、該不織布の積層体、並びに該不織布又は積層体を含むフィルターの提供。【解決手段】平均繊維径が0.1μm以上0.5μm未満であり、かつ、繊維径のCV値が20%以上65%未満であるポリアミド系樹脂繊維から構成され、かつ、目付量が10g/m2以上であることを特徴とする不織布、該不織布とスパンボンド不織布とが積層されている積層体、並びに該不織布又は該積層体を含む液体又は気体フィルター。【選択図】なし

Description

本発明は、不織布、該不織布の積層体、及びそれらを含むフィルターに関する。より詳しくは、本発明は、平均繊維径が極細であり且つ繊維径分布が均一であることにより、高捕集効率と低流量圧損とを両立したバランスの良いフィルター性能を有するポリアミド系樹脂繊維から構成される不織布に関する。
一般的なメルトブローン法とは、曳糸性を有する熱可塑性樹脂を溶融した後、紡口ノズルから押し出す際に、小孔の列を挟む様に設けられた間隙(以下、エアギャップともいう。)から噴出される高温高速の紡糸ガスにより熱可塑性樹脂を牽引細化し、繊維状にしたものをネット上で集積させ、極細繊維から成る不織布を直接得る方法である。例えば、以下の非特許文献1には、メルトブローン法の基本的な装置及び方法が開示されている。これらは、極めて簡単な装置構成であり、極細繊維を容易に且つ安価で作ることが可能となる。
一般的なメルトブローン不織布の特徴として、繊維径が数μmの極細繊維で構成される為、極細繊維によって形成される孔径が緻密となり、他の不織布製法と比べて比表面積が大きいことが挙げられる。
メルトブローン不織布は上記特徴を活かして、各種フィルター用途やセパレータ用途等に多く用いられている。また、繊維間の間隙が狭くなることによるバリアー性を活かした使い捨ておむつ等の防漏性部材等にも利用されている。
メルトブローン不織布では、上記の性能を更に高める為に、構成される孔径の均一化が求められている。孔径を均一化することで、通常のメルトブローン不織布より低目付であっても、所望のフィルター性能を得ることが可能となり、コンパクト且つ低コスト化に繋がる。また、プレス加工をしなくとも小さい孔径が得られる為、メルトブローン法の特徴の一つである嵩高さを活かした構造となり、フィルター用途に使用した際のフィルター寿命が延びる。これらの効果は、近年求められている環境負荷の低減・省エネ・軽量化・コンパクト化等に繋がる為、メルトブローン不織布を用いている多様多種な分野からの性能向上要求が高く、世の中にとって非常に貢献度の高い技術と成り得る。
メルトブローン法において孔径を均一化する為の一般的な手法としては、繊維径を極細化することや高目付化が知られている。繊維径を極細化する為には、単孔吐出量を低下させる方法や紡口ノズルの間隔を広げる方法が挙げられる。
例えば、以下の特許文献1には、紡口ノズル間の距離を0.54mm以上となるように配置したことを特徴とするメルトブローン不織布の製造方法が開示されているが、生産性の観点でノズルピッチを広げる手法は好ましくない。
以下の特許文献2には、1インチにつき少なくとも100個のノズル密度を有する紡口を用いて、1分間あたりの単孔吐出量を0.01g以下にする方法が開示されているが、生産性の観点で単孔吐出量を下げる手法は好ましくない。
以下の特許文献3には、吐出された熱可塑性樹脂にメルトブローンダイヘッドの下で50℃以上の温度を有する二次ブローエアを吹き付けることで、熱可塑性樹脂に付加的な振動を励起させて均一化する方法が開示されているが、新たな設備が必要となる上、エネルギーを追加する必要がある為、製造コスト面で好ましくない。
以下の特許文献4には、空隙率が高く、孔径が小さく均一な不織布シートを提供する方法が開示されているが、熱可塑性樹脂をメルトブローン法により不織布状樹脂成形物に成形した後、当該不織布状樹脂成形物を、熱可塑性樹脂の融点未満の温度で、ヤング率が20〜600kg/cmの弾性を有する押圧手段により押圧成形することで空隙率を20〜45%に調整して孔径を均一化している為、フィルター寿命が著しく短くなる。
以下の特許文献5には、濾過精度が高い極細繊維集合体よりなる濾過材及び濾過方法を提供する方法が開示されているが、メルトブローン法により得られた不織布を熱プレスローラにより圧縮することで濾過材を構成する繊維集合体の空隙率を20〜65%の範囲に調整している為、フィルター寿命が著しく短くなる。
以下の特許文献6には、ミクロン又はサブミクロンの微小粒子の濾過精度が高い優れた濾過材を提供する方法が開示されているが、空隙率が5〜35%と極めて低空隙率である為、フィルター寿命が著しく短くなることが明白である。また、JIS11種粒子と0.6μm単分散アルミナ粒子を質量比で8対2の比で混合した粒子を0.025g/L分散させた水溶液の捕集効率が最高で84%との記載があり、濾過精度が顕著に改善されたものではない。
これらの方法により、幾分繊維径分布が均一となり、孔径分布が均一であるメルトブローン不織布を製造し得るものの、溶融押出時に生じる繊維の融着による平均繊維径の2倍以上である太繊維の発生や延伸切れに起因するポリマー球の発生を少量に抑えて紡糸することができないのが現状である。
また、メルトブローン法は繊維状に延伸された樹脂を吸引ファンによってコンベア上で無作為に集積する為、コンベアに着地する時に繊維同士の絡み合いや重なりを抑制することができないのが現状であり、孔径分布が均一であり、比表面積が極めて高く、高性能と成り得るメルトブローン不織布が切望されている。
メルトブローン法以外に極細且つ均一な繊維を得る方法としては、エレクトロスピニング法が挙げられるが、今後、工業化する際には、生産規模が小さく、バッチ式で生産しているところが多いことなどが問題となっている。また、エレクトロスピニング法で得られる不織布は、目付量が小さいため、十分な濾過性能が得られないという問題がある。また、スケールアップさせる為には、熱可塑性樹脂を複数のノズルから同時に噴射させる必要性があるが、ノズルの目詰まりやノズル間隔を狭くすると熱可塑性樹脂が融着する等の問題がある。最近はノズルを用いない製法も開発されているが、環境負荷を考慮した際に無溶媒化への課題が依然として残っている。また、一般的に熱可塑性樹脂をノズルから直接噴射する方式より、熱可塑性樹脂を溶媒に溶かした溶解液を噴射する方式の方が極細繊維を形成しやすいとされているが、溶解液を噴射する方式を工業化する際には、繊維中に残留した溶媒を完全に除去することが必要となり膨大なコストを要する。更に海島複合紡糸法も極細で均一な繊維を得る方法として挙げられるが、適用可能な熱可塑性樹脂が限られていることや第二成分除去に溶剤を使用する為、現在のエコ思考においては環境負荷が高いという問題がある。
特開2012−122157号公報 特表2009−534548号公報 特開2006−83511号公報 国際公開第2005/098118号 特開平4−313311号公報 特開平7−24230号公報
インダストリアル&エンジニアリングケミストリの第48巻第8号第1342〜1346頁(1956年)
前記した従来技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高捕集効率と低流量圧損を両立した、フィルター性能バランスが良好である不織布、該不織布の積層体、並びに該不織布又は積層体を含むフィルターを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、平均繊維径が極細であり且つ繊維径分布が均一であることにより、フィルターとして重要な性能である高捕集効率と低流量圧損とを両立したバランスの良いフィルター性能を有するポリアミド系樹脂繊維から構成される不織布を得ることができることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]平均繊維径が0.1μm以上0.5μm未満であり、かつ、繊維径のCV値が20%以上65%未満であるポリアミド系樹脂繊維から構成され、かつ、目付量が10g/m以上であることを特徴とする不織布。
[2]前記不織布の繊維融着数が、繊維100本あたり10箇所以下である、前記[1]に記載の不織布。
[3]前記不織布のDave(平均孔径)が5μm以下である、前記[1]又は[2]に記載の不織布。
[4]前記不織布のDmax(最大孔径)が10μm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布。
[5]前記不織布のDmin(最小孔径)が3μm以下である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の不織布。
[6]前記不織布の孔径分布が、下記式(1):
Dmax/Dave<2.00 ...式(1)
{式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dave:平均孔径(μm)である。}、及び下記式(2):
Dmax/Dmin<3.50 ...式(2)
{式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dmin:最小孔径(μm)である。}を満たす、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の不織布。
[7]前記不織布の目付量が20〜30g/mであるとき、地合指数が、125以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の不織布。
[8]前記不織布の表面に観察されるポリマー球が、0〜10個/mm2である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の不織布。
[9]前記不織布の水吸い上げ高さが、5cm/10分以上である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の不織布。
[10]前記不織布の水接触角が、75°以下である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の不織布。
[11]前記不織布の耐熱温度が、130℃以上である、前記[1]〜[10]のいずれかに記載の不織布。
[12]前記不織布の目付60g/mにおける0.5μm粒子径の捕集効率が、99%以上である、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の不織布。
[13]前記不織布の目付60g/mにおけるろ過流速が2mL/cmであるとき、流量圧損が20kPa以下である、前記[1]〜[12]のいずれかに記載の不織布。
[14]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の不織布とスパンボンド不織布とが積層されている積層体。
[15]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の不織布を、2つのスパンボンド不織布の間に有する、前記[14]に記載の積層体。
[16]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の不織布又は前記[14]若しくは[15]に記載の積層体を含む液体フィルター。
[17]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の不織布又は前記[14]若しくは[15]に記載の積層体を含む気体フィルター。
本発明に係る不織布は、平均繊維径が極細であり且つ繊維径分布が均一である為、高捕集効率と低流量圧損とを両立したフィルター性能バランスが良好であるポリアミド系樹脂繊維から構成される不織布である。かかる不織布又はその積層体は、フィルター濾材として好適に利用可能である。
メルトブローン法の全体工程図である。 メルトブローン法におけるスピンヘッドの詳細図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る不織布は、平均繊維径が0.1μm以上0.5μm未満であり、かつ、繊維径のCV値が20%以上65%未満であるポリアミド系樹脂繊維から構成され、かつ、目付量が10g/m以上であることを特徴とする。
本実施形態に係る不織布は、ポリアミド系樹脂繊維から構成される。ポリアミド系樹脂繊維を用いることで、吸着効果が発現するため、本実施形態に係る不織布はフィルター用途においては捕集効率が向上する。更に、ポリアミド系樹脂は親水性が良好であるため、本実施形態に係る不織布は、液体フィルター用途においては低流量圧損となる。ポリアミド系樹脂としては、具体的にはナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等、これらの混合物等を例示することができる。本実施形態に係る不織布を構成するポリアミド系樹脂繊維は、30重量%以下の割合でポリアミド系樹脂以外の成分を含んでも構わない。
本実施形態に係る不織布では、平均繊維径が0.1μm以上0.5μm未満であり、0.1μm以上0.3μm未満がより好ましい。平均繊維径が0.5μm未満であれば、従来の繊維では得られなかった以下の(1)と(2)の物理学的な性質が表れる:
(1)空気の抵抗が非常に小さくなる。
空気や液体の流れは物体に近づくほど遅くなり、これがフィルターの空気抵抗になるが、ナノサイズの物質では「スリップフロー効果」という現象が生まれ、流速がほとんど遅くならない。このためナノファイバーでフィルターを作ると、目の細かいフィルターを作っても、空気の通りがスムーズであるというメリットが生まれる。
(2)比表面積が大きくなる。
ナノファイバーは、比表面積が非常に大きく、繊維表面にたくさんの異物を吸着することができる為、浄化装置の性能をアップできる。また、繊維表面で起こる化学反応や電気反応の効率も高まる為、例えば燃料電池用途においては効率アップにもつながる。
本実施形態に係る不織布では、繊維径のCV値が20%以上65%未満であり、20%以上60%未満であることが好ましい。尚、CV値とは、変動性の有用な尺度であり、平均繊維径からの標準偏差を平均繊維径で割り、得られた値に100を掛けることによって求める。CV値が65%未満であれば繊維径分布が均一であり、フィルター捕集効率の向上に繋がる。
本実施形態に係る不織布の目付量は、10g/m以上であり、15g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが更に好ましい。目付量が10g/m以上であることで、濾過精度が十分となり、また、濾材としての強度が高くなる。
本実施形態に係る不織布では、繊維融着数が繊維100本あたり10箇所以下であることが好ましく、5箇所以下であることがより好ましく、1箇所以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る不織布では、平均孔径(Dave)が5μm以下であることが好ましく、Daveが4μm 以下がより好ましく、Daveが3μm以下が更に好ましい。Daveは小さい程、捕集物質の通り抜けを防ぐことができる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、最大孔径(Dmax)が10μm以下であることが好ましく、Dmaxが8μm以下がより好ましく、Dmaxが6μm以下が更に好ましい。Dmaxは小さい程、捕集物質の通り抜けを防ぐことができる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、最小孔径(Dmin)が3μm以下であることが好ましく、Dminが2μm以下がより好ましく、Dminが1μm以下が更に好ましい。Dminは小さい程、孔径が緻密且つ均一となる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布の孔径分布は、下記式(1):
Dmax/Dave<2.00 ...式(1)
{式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dave:平均孔径(μm)である。}、及び下記式(2):
Dmax/Dmin<3.50 ...式(2)
{式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dmin:最小孔径(μm)である。}を満たすことが好ましい。不織布の孔径がDmax/Dave<2.00、且つ、Dmax/Dmin<3.50を満たすと、孔径分布が緻密、且つ、均一となり、更にフィルター捕集効率に大きな影響を与えるバブルポイントが小さくなる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布は、目付量が20〜30g/mであるとき、地合指数が125以下であることが好ましく、地合指数≦110がより好ましく、地合指数≦95が更に好ましい。地合指数は、値が小さい程、不織布表面が均一である為、孔径分布の均一化に繋がり、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布の表面に観察されるポリマー球が、0〜10個/mm2であることが好ましく、0〜8個/mm2であることがより好ましく、0〜5個/mm2であることが更に好ましい。ポリマー球はフィルター性能の悪化に寄与する為、ポリマー球が0〜10個/mm2であれば、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布の水吸い上げ高さが、5cm/10分以上であることが好ましく、6cm/10分以上であることがより好ましく、7cm/10分以上であることが更に好ましい。不織布の水吸い上げ高さが、5cm/10分以上であれば、フィルターの通液性が向上する為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布の水接触角が、75°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、65°以下であることが更に好ましい。不織布の水接触角が、75°以下であれば、フィルター初期透過圧力が低下する為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布の耐熱温度が、130℃以上であることが好ましい。不織布の耐熱温度が、130°以上であれば、高温ろ過においても適用できる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布の目付60g/mにおける0.5μm粒子径の捕集効率が、99.0%以上であることが好ましく、99.5%以上であることがより好ましく、99.8%以上であることが更に好ましい。不織布の目付60g/mにおける0.5μm粒子径の捕集効率が、99.0%以上であれば、高捕集効率とフィルター長寿命を両立できる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、不織布の目付60g/mにおけるろ過流速が2mL/cmであるとき、流量圧損が20kPa以下であることが好ましく、16kPa以下であることがより好ましく、13kPa以下であることが更に好ましい。不織布の目付60g/mにおけるろ過流速が2mL/cmであるとき、流量圧損が20kPa以下であれば、高捕集効率と低流量圧損を両立できる為、フィルター用途として好ましい。
本実施形態に係る不織布では、構成される繊維が連続長繊維であることが好ましい。以下に説明する好適な製造方法では、糸が1本のまま細繊化している為、均一性が高く且つ所望の平均繊維径を有する繊維から構成される不織布を得ることが可能となる。
本実施形態に係る不織布は、種々用途に応じて、他の層を積層してもよい。具体的には、例えば、編布、織布、不織布、フィルム等を挙げることができる。
本実施形態に係る不織布に他の層を積層する場合は、熱エンボス加工、超音波融着等の熱融着法、ニードルパンチ、ウォータージェット等の機械的交絡法、ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤による方法、押出しラミネート等をはじめ、種々公知の方法を採用することができる。
本実施形態に係る不織布に他の層として積層される不織布としては、スパンボンド不織布、湿式不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布等が挙げられる。
本発明の他の実施形態は、前記不織布の少なくとも片面に、好ましくは両面にスパンボンド不織布を積層した積層体であることができる。具体的な例として、本実施形態に係る不織布を2つのスパンボンド不織布層の間に有する積層体や、本実施形態に係る不織布をスパンボンド不織布上に積層させた積層体が挙げられる。
尚、本願明細書中において「スパンボンド不織布」とは、スパンボンド法によって製造される不織布であって、平均繊維径が5μm以上のものを言う。
本実施形態に係る不織布は、孔径の均一性に優れることから、液体用や気体用のフィルターやセパレータ材として好んで使用することができる。また、フィルター材に使用できる形態としては限定されず、プリーツ形状やデプス形状であってもよい。
以下、本実施形態に係る不織布の製造方法の一例を詳細に説明する。
メルトブローン法による延伸中の熱可塑性樹脂のせん断速度X(s−1)は、紡糸条件によって異なるが、学術雑誌AIChE Journal 第36巻(1990)第2号第175〜186頁に記載されている計算方法を用いて、紡糸条件(ノズル径、単孔吐出量、紡糸ガス温度、紡糸ガス圧力、ポリマー物性)から見積もることができる。かかる計算方法を用いて検討した結果、本発明者らは、延伸中の熱可塑性樹脂のせん断速度X(s−1)が108.2<X<1010となる条件で紡糸を行うことにより、糸同士の融着やポリマー球の発生が抑制可能であり、更に繊維が極細且つ均一であるメルトブローン不織布が得られることを見出した。X≦108.2となる条件で紡糸を行うと、糸長方向で糸径斑が大きくなり本実施形態のメルトブローン不織布の特徴である極細糸が得られない。他方、X≧1010となる条件で紡糸を行うと、延伸中の熱可塑性樹脂に働くせん断応力が強過ぎて延伸切れが起こり、ポリマー球が多発する。108.2<X<1010の範囲であれば、糸長方向の糸径斑が著しく改善され、繊維が極細化且つ均一化する。加えて、延伸切れに起因するポリマー球の発生が極めて少ない理想的な極細糸が得られる。
また、本実施形態に係る不織布の製造においては、繊維を構成するポリアミド系樹脂のメルトフローレートは100〜2500g/10分であることが好ましく、1000〜2000g/10分がより好ましく、1300〜1800g/10分の範囲が更に好ましい。
メルトフローレートの値は、日本ダイニスコ株式会社製のメルトインデクサーを使用し、ASTM D1238に準拠して測定したものである。
図1は、メルトブローン法の全体工程図であり、図2は、スピンヘッドの詳細図である。
溶融したポリアミド系樹脂をメルトブローン紡口に送り込み、多数の小孔が1列に並べられた紡口ノズル(図2符号15参照)から吐出するとともに、小孔の列を挟むように設けられたエアギャップから噴出される高温高速の紡糸ガスによって牽引することで繊維を細化させる。更に吸引ファン(図1符号5参照)を下部に有したコレクターネット上に繊維を集積させることで極細且つ均一であるメルトブローン不織布を製造することができる。
押出機でのポリマー溶融温度は各ポリアミド系樹脂の融点よりも10℃〜60℃以上、好ましくは20℃〜50℃以上、さらに好ましくは30℃〜40℃以上高い範囲であることができる。押出機(図1符号2参照)でのポリマー溶融温度が低過ぎるとノズルから吐出される溶融樹脂の流動性が不足し、紡糸工程において繊維が十分に細繊化されず、風合いの硬いメルトブローン不織布となってしまう。逆に押出機でのポリマー溶融温度が高過ぎると溶融樹脂の分解が進行し、安定した紡糸がし難くなるため好ましくない。
紡口ノズル(図2符号15参照)の孔は、直径0.05mm〜0.50mmの範囲が好ましく、0.08mm〜0.40mmがより好ましく、0.10mm〜0.30mmが更に好ましい。ノズル孔が小さ過ぎると溶融樹脂によって発生する圧力がノズル孔にかかるため、ノズル孔が割れるおそれがある。逆にノズル孔が大き過ぎると、ノズル孔に溶融樹脂による圧力がかかり難く、溶融樹脂を安定的に吐出することができなくなるサージングと呼ばれる現象が生じる。
ノズル孔のL(長さ)/D(直径)は、5〜30の範囲が好ましく、7〜25がより好ましく、10〜20が更に好ましい。L/Dが小さ過ぎるとノズル孔に溶融樹脂によって圧力がかかり難く、溶融樹脂が安定に吐出することができないサージングと呼ばれる現象が生じる。逆にL/Dが大き過ぎるとノズル孔に対して溶融樹脂によってかかる圧力が上昇し、ノズル孔が割れる。
エアギャップ(図2符号14参照)は、0.10mm〜3.00mmの範囲が好ましく、0.15mm〜2.00mmがより好ましく、0.25mm〜1.00mmが更に好ましい。エアギャップが狭過ぎると紡糸ガスが通過し難く、紡糸ガス圧力が上昇する為、所望の紡糸ガス流速が得られない。逆にエアギャップが広過ぎると紡糸ガス流速に速度差が生じる為、繊維径分布が不均一であるメルトブローン不織布となる。
紡糸ガス(図2符号12参照)の温度は、各ポリアミド系樹脂の融点よりも50℃〜300℃以上高いことが好ましく、100℃〜250℃以上高いことがより好ましく、150℃〜200℃以上高いことがさらに好ましい。紡糸ガス温度が低過ぎると、溶融樹脂を細繊化することができず、太径糸が混在したメルトブローン不織布となる。逆に紡糸ガス温度が高過ぎると、紡糸ガスからの伝熱によりダイ温度が上昇する為、溶融樹脂が分解し、糸化しない。
紡口から捕集支持体までの距離(以下、ディスタンスともいう。)は、50mm〜700mmの範囲が好ましく、80mm〜500mmがより好ましく、100mm〜300mmが更に好ましい。ディスタンスが小さ過ぎると、捕集支持体の下部に位置する吸引部によって紡口ノズルが冷やされ、溶融樹脂粘度が高くなる。また、高温ガスを噴射するため、噴射ガスの温度降下が十分でなく、牽引細化された繊維が捕集支持体上にて再溶融し、自己接着を起こす、又は大きな収縮を起こすことでメルトブローン不織布の風合いが著しく硬くなる。逆にディスタンスが大き過ぎると、吸引ファンが噴射された紡糸ガスのみでなく、周辺の空気までも随伴流として吸引してしまい、ノズルから吐出され極細化された溶融樹脂が吸引しきれず、繊維同士が捕集支持体上で絡み合わない為、繊維が飛散するフライという現象が生じる。
得られる不織布を構成する繊維の繊維径のCV値を65%未満とする為には、紡口ノズル直下の空気流れを整流して吐出直後の繊維の結晶化を促進することが好ましい。
また、本実施形態に係る不織布の分散性及び均一性を向上させる為には、ディスタンスの空気流れを整流して繊維同士の絡み合いを抑制することが好ましい。
溶融樹脂の単孔吐出量は、0.01g/min〜0.50g/minが好ましく、0.05g/min〜0.30g/minがより好ましく、0.10g/min〜0.20g/minが更に好ましい。単孔吐出量が小さ過ぎるとメルトブローン不織布の生産性が悪くなる。更にノズル先端に圧力がかからない為、安定的に溶融樹脂が吐出できない。逆に単孔吐出量が大き過ぎると溶融樹脂粘度が高い状態で吐出される。また、紡糸ガスによる溶融樹脂の単位重量あたりの牽引力が小さくなる為、細化が困難となる。
以下の実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。実施例等では以下の測定方法、装置等を使用した。尚、以下に示す測定において、所定の不織布のサイズが確保できない場合は、サイズを適宜変更してもよい。
<平均繊維径、CV値>
装置型式:JSM−6510 日本電子株式会社製を用いた。
得られた不織布を10cm×10cmにカットし、上下60℃の鉄板に0.30MPaの圧力で90秒間プレスした後、不織布を白金にて蒸着した。そして上記のSEMを用いて、加速電圧15kV、ワーキングディスタンス21mmの条件にて撮影した。撮影倍率は、平均繊維径が0.5μm未満の糸は10000倍、平均繊維径が0.5μm以上1.5μm未満の糸は6000倍、1.5μm以上の糸は4000倍とした。それぞれの撮影倍率での撮影視野は、10000倍では12.7μm×9.3μm、6000倍では21.1μm×15.9μm、4000倍では31.7μm×23.9μmであった。ランダムに繊維100本以上を撮影し、全ての繊維径を測長することで平均繊維径(数平均繊維径)を求めた。この際に、糸長方向で融着している繊維同士は測定から省いた。ここで、Dn:数平均繊維径の求め方を記す。
繊維径Di の繊維がNi 本存在するとき、Dnは以下の式(3):
{式中、Xi=繊維径Di の存在比率=Ni/ΣNiである。}、で計算した。
上記の平均繊維径を求める際に算出された標準偏差を平均繊維径で割り、得られた値に100を掛けることによってCV値(%)を算出する。
<比表面積>
装置型式:Gemini2360 株式会社島津製作所製を用いた。
不織布を円筒状に丸め比表面積測定用のセルに詰めた。この際に投入するサンプル重量は0.20〜0.60g程度が好ましい。サンプルを投入したセルを60℃の条件下で30分間乾燥した後に、10分間冷却を行った。その後、上記の比表面積測定装置にセルをセットし、サンプル表面への窒素ガス吸着により、下記BETの式(5):
{式中、P:吸着平衡圧(Pa)、V: 吸着平衡圧の吸着量(mg/g)、P0:飽和蒸気圧(Pa)、Vm:単分子層吸着量(mg/g)、C:吸着熱等に関するパラメータ(−)>0、であり、本関係式は特にP/P0=0.05〜0.35の範囲でよく成り立つ。}を適用し、比表面積値を求めた。BET式とは、一定温度で吸着平衡状態である時、吸着平衡圧Pと、その圧力での吸着量Vの関係を表した式である。
<平均孔径(Dave)、最大孔径(Dmax)、最小孔径(Dmin)>
装置型式:Automated Perm Porometer(多孔質材料自動細孔径分布測定システム)Porous Materials, Inc.社製を用いた。
不織布サンプルを打ち抜き刃でφ25mmにカットし、GALWICK試液に浸漬させ、1時間脱気する。その後サンプルをセットし、エア圧を加える。GALWICK試液が毛細管内の液体表面張力に打ち勝ち、押し出される為、その時の圧力を測定することにより毛細管の式から導かれたWashburnの式を用いて、平均孔径(Dave)、最大孔径(Dmax)、最小孔径(Dmin)をそれぞれ求めた。
<空隙率>
作製した不織布の空隙率は、不織布の面積、厚み、重量から、下記の式:
空隙率(vol%)={1−B/(M×A×t)}×100
{式中、M:樹脂密度(kg/cm3)、A:不織布の面積(m2)、B:不織布の重量(kg)、t:不織布の厚み(m)、である。}によって求めた。
<融着繊維>
作製した不織布をSEMにて撮影し、繊維同士が長手方向で接触し、繊維の界面が分からないものを融着繊維として測定する。それぞれのSEM撮影倍率での測定視野は、10000倍では12.7μm×9.3μm、6000倍では21.1μm×15.9μm、4000倍では31.7μm×23.9μmであった。上記の条件にてランダムにSEM画像を10枚撮影し、不織布表面に観察される融着繊維を1mmあたり測定する。融着繊維が少ないと、より均一で且つ高比表面積であるメルトブローン不織布が得られる。
<地合指数>
装置型式:FMT−MIII 野村商事株式会社製を用いた。
サンプルをセットしない状態で、光源点灯時/消灯時の透過光量をCCDカメラでそれぞれ測定した。続いて、A4サイズにカットした不織布をセットした状態で同様に透過光量を測定し、平均透過率、平均吸光度、標準偏差(吸光度のバラツキ)を求めた。地合指数は、標準偏差÷平均吸光度×10で求めることができる。地合指数は、目視との相関が極めて高く、不織布の地合を最も端的にあらわしている。また、地合指数は、地合が良い程小さく、悪いもの程大きな値になる。
<ポリマー球>
作製した不織布をSEMにて撮影した。それぞれのSEM撮影倍率での測定視野は、10000倍では12.7μm×9.3μm、6000倍では21.1μm×15.9μm、4000倍では31.7μm×23.9μmであった。上記の条件にてランダムにSEM画像を10枚撮影し、不織布表面に観察されるポリマー球を1mmあたり測定する。ポリマー球が少ないと、より均一で且つ高比表面積であるメルトブローン不織布が得られる。
<接触角>
協和界面科学株式会社製の自動動的接触角計「DCA-700型」を用いて測定する。水滴を不織布上に滴下し、測定子が水滴表面に触れると、水滴が測定子に対してぬれ上がる。この際に測定子の周囲に沿って表面張力がはたらき、測定子を液中に引き込もうとする。この引き込む力を読み取り、表面張力を測定する。
<水吸い上げ高さ>
作製した不織布を縦方向及び横方向に200mm×25mmで採取する。採取したサンプルが垂直になる様に上端を固定して下端を水に浸漬させる。10分間放置した後、水がサンプル内を上昇した高さ(cm)を測定する。
[実施例1]
日本ダイニスコ株式会社製のメルトインデクサーを使用し、ASTM D1238に準拠して測定した結果、メルトフローレートが1700g/10minであるナイロン6樹脂を使用した。本樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.20mの紡口ノズルから単孔吐出量0.03g/minで押し出した。上記のナイロン6樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度370℃、紡糸ガス圧力0.10MPaの条件に設定し、ディスタンスの空気流れを整流してナイロン6樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。
得られたメルトブローン不織布の各種物性を以下の表1に示す。尚、目付は30g/m、Dmaxは4.02μm、Daveは2.15μm、Dminは1.31μmであった。得られた不織布は、従来のメルトブローン法では得ることのできない極細繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であり、且つ親水性が良好であるメルトブローン不織布であった。
[実施例2]
メルトフローレートが1500g/10minであるナイロン6樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記のナイロン6樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度350℃、紡糸ガス圧力0.15MPaの条件に設定し、ディスタンスの空気流れを整流してナイロン6樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。
得られたメルトブローン不織布の各種物性を以下の表1に示す。目付は30g/m、Dmaxは6.12μm、Daveは3.18μm、Dminは1.93μmであった。得られた不織布は、従来のメルトブローン法では得ることのできない極細繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であり、且つ親水性が良好であるメルトブローン不織布であった。
[実施例3]
メルトフローレートが1600g/10minであるナイロン6樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.03g/minで押し出した。上記のナイロン6樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度380℃、紡糸ガス圧力0.20MPaの条件に設定し、ディスタンスの空気流れを整流してナイロン6樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。
得られたメルトブローン不織布の各種物性を以下の表1に示す。目付は20g/m、Dmaxは5.37μm、Daveは2.75μm、Dminは1.62μmであった。得られた不織布は、従来のメルトブローン法では得ることのできない極細繊維によって構成され、孔径が極小且つ均一であり、且つ親水性が良好であるメルトブローン不織布であった。
[比較例1]
メルトフローレートが1500g/10minであるナイロン6樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.30mの紡口ノズルから単孔吐出量0.09g/minで押し出した。上記のナイロン6樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度350℃、紡糸ガス圧力0.15MPaの条件に設定し、ディスタンスの空気流れを整流せずにナイロン6樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。
得られたメルトブローン不織布の各種物性を以下の表1に示す。目付は20g/m、Dmaxは9.81μm、Daveは4.18μm、Dminは2.77μmであった。
[比較例2]
メルトフローレートが1700g/10minであるナイロン6樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.06g/minで押し出した。上記のナイロン6樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度370℃、紡糸ガス圧力0.10MPaの条件に設定し、ディスタンスの空気流れを整流せずにナイロン6樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。
得られたメルトブローン不織布の各種物性を以下の表1に示す。目付は30g/m、Dmaxは7.22μm、Daveは3.23μm、Dminは1.81μmであった。
[比較例3]
メルトフローレートが1800g/10minであるポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し、ノズル径0.25mmの紡口ノズルから単孔吐出量0.03g/minで押し出した。上記のポリプロピレン樹脂を押し出す際に、紡糸ガスは紡糸ガス温度370℃、紡糸ガス圧力0.20MPaの条件に設定し、ポリプロピレン樹脂を牽引細化することで連続長繊維からなるメルトブローン繊維を作製した。
得られたメルトブローン不織布の各種物性を以下の表1に示す。目付は30g/m、Dmaxは5.15μm、Daveは2.41μm、Dminは1.47μmであった。
表1中の実施例1〜3及び比較例1〜3の不織布サンプルを目付60g/mに調整した後、フィルター性能評価を行った結果を以下の表2に示す。
表2の実施例1〜3の結果から、本発明のメルトブローン不織布は0.5μm粒子の捕集効率が99%以上で良好且つ流量圧損が低く、フィルター用途として理想的である「高捕集・低圧損」を両立できるメルトブローン不織布であることが分かる。他方、本発明に該当しない比較例1、2のメルトブローン不織布は、平均繊維径が大きく、また繊維径のCV値が大きい為、0.5μm粒子の捕集効率が低く、フィルター用途として理想的ではないことが分かる。また、比較例3のメルトブローン不織布は、ポリアミド系樹脂繊維ではなくポリプロピレン繊維から構成されている為、流量圧損が高く、フィルター用途として理想的ではないことが分かる。
本発明に係る不織布は、平均繊維径が極細であり且つ繊維径分布が均一である為、高捕集効率と低流量圧損とを両立したフィルター性能バランスが良好であるポリアミド系樹脂繊維から構成される不織布である。かかる不織布又はその積層体は、フィルター濾材として好適に利用可能であり、また、セパレータ用途、塗工膜支持体用途、衛生資材用途、光拡散・反射シート等への応用も可能となる。更に、本発明に係る不織布はメルトブローン法で製造できるため、他の細繊化技術の多くで必要となる溶媒の処理が全く必要ない。これらは、近年求められている環境負荷の低減・省エネ・軽量化・コンパクト化に繋がる為、本発明は非常に貢献度の高い技術と成り得る。
1 ホッパー
2 押出機
3 三方弁
4 ドレン口
5 吸引ファン
6 プレス機
7 アキュームレータ
8 自動検反機
9 巻取り機
10 ギヤポンプ
11 分配パック
12 紡糸ガス
13 リップ
14 エアギャップ
15 紡口ノズル

Claims (17)

  1. 平均繊維径が0.1μm以上0.5μm未満であり、かつ、繊維径のCV値が20%以上65%未満であるポリアミド系樹脂繊維から構成され、かつ、目付量が10g/m以上であることを特徴とする不織布。
  2. 前記不織布の繊維融着数が、繊維100本あたり10箇所以下である、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記不織布のDave(平均孔径)が5μm以下である、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記不織布のDmax(最大孔径)が10μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記不織布のDmin(最小孔径)が3μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記不織布の孔径分布が、下記式(1):
    Dmax/Dave<2.00 ...式(1)
    {式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dave:平均孔径(μm)である。}、及び下記式(2):
    Dmax/Dmin<3.50 ...式(2)
    {式中、Dmax:最大孔径(μm)、Dmin:最小孔径(μm)である。}を満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記不織布の目付量が20〜30g/mであるとき、地合指数が、125以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 前記不織布の表面に観察されるポリマー球が、0〜10個/mm2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 前記不織布の水吸い上げ高さが、5cm/10分以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布。
  10. 前記不織布の水接触角が、75°以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布。
  11. 前記不織布の耐熱温度が、130℃以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布。
  12. 前記不織布の目付60g/mにおける0.5μm粒子径の捕集効率が、99%以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の不織布。
  13. 前記不織布の目付60g/mにおけるろ過流速が2mL/cmであるとき、流量圧損が20kPa以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の不織布。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の不織布とスパンボンド不織布とが積層されている積層体。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の不織布を、2つのスパンボンド不織布の間に有する、請求項14に記載の積層体。
  16. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の不織布又は請求項14若しくは15に記載の積層体を含む液体フィルター。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の不織布又は請求項14若しくは15に記載の積層体を含む気体フィルター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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