JP5904487B2 - プラスチックまたはプラスチック複合材料の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
また、有害ガス等の気体を浄化する方法として、酸化チタン等の酸化物半導体の流動床にガスを導き浄化する方法(特許文献1)やハニカム構造等の多孔性基材に半導体(酸化物半導体)を担持した基板と、発熱体とを一体化させた構造体(以下、この構造体を「触媒ユニット」という)を用いて処理気体を分解する方法を提案した(特許文献2)。
本発明に係る分解作用は、(1)半導体を真性領域にまで加熱することにより、正孔キャリアーを大量に生成させる、(2)半導体と被処理物との界面において正孔キャリアーの作用により被処理物のポリマーが酸化されてカチオン・ラジカルが生成され、ラジカルがポリマー鎖の中を伝播し、ポリマー鎖全体を不安定化し、巨大ポリマー分子を裁断して小分子ラジカルを生成する(ラジカル開裂:ラジカルの自己増殖)、(3)小分子化されたフラグメントが空気中の酸素と反応して水と二酸化炭素に完全分解(完全燃焼)される作用からなる。
例として、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、ポリアミド、ポリイミド、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、石油樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリブテン、フッ素樹脂、ポリアクリレート等の熱可塑性ポリマーがあり、フェノール樹脂、ウレタンフォーム、ポリウレタン、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性ポリマーがある。熱硬化性ポリマーを使用している被処理物を分解する場合は、熱可塑性ポリマーを分解する場合よりも分解温度を多少高く設定する。
このように、半導体はなんらかの方法により被処理物の表面に接触する状態が得られればよい。半導体粉末を含む粘着テープを被処理物に貼付することや、被処理物の表面に粘着剤をスプレーし、半導体粉体を付着させる方法も可能である。
必要なら、触媒担持ハニカムと発熱体から構成される「触媒ユニット」を配置し、所望の温度を自在に確保するようにすることもできる。触媒担持ハニカムあるいは触媒ユニットを用いると酸素の供給も十分に行えるので、フラグメント・ガスは完全分解され、異臭は一掃され、発火することもなく、被処理物の分解処理は安定に進行する。被処理物の分解反応が終了すると、反応熱が放出されないため電気炉に投入するパワーが上昇するので、反応の終点を容易に知ることができる。
前述した触媒担持ハニカム上に被処理物を載せて分解処理する方法の場合は、被処理物から放出されるフラグメント・ガスを水と二酸化炭素に分解する触媒担持ハニカムの作用を併せて利用できるという利点もある。
以下では、炭素繊維の織布を強化繊維として使用した繊維強化プラスチック(CFRP)を被処理物として分解処理する方法例について説明する。炭素繊維は450℃以上では酸素と反応して、二酸化炭素となりガス化する。このため、処理温度は400℃として実験を行った。
触媒ユニット22a、22bは、セラミックス等からなるブロック形状の多孔体の表面に半導体(たとえばCr2O3)を担持させた触媒担持ハニカムと、この触媒担持ハニカムを加熱する発熱体とを一体に形成したものである。図5では、発熱体を省略している。
なお、処理装置の他の構成として、加熱炉を所定の長さの横型炉とし、加熱炉内を、触媒ユニットの上に被処理物をのせ、あるいは触媒ユニットにより被処理物を囲む状態を保持しながら、搬送コンベアにより被処理物を通過させて分解処理する構成とすることもできる。このように連続的に被処理物を搬送しながら分解処理する方法によれば、大量の被処理物を効率的に処理することができる。
図7は、このCFRP板の表面に半導体として酸化クロムをコーティングし、400℃の加熱炉で10分処理した状態を示す。図7は、CFRP板を分解処理した後、多孔体の触媒ユニットの上に炭素繊維の織布が残った状態を示している。CFRP板を構成していたポリマー(エポキシ樹脂)が内部の微細な繊維の隙間部分まで完全に分解されて除去され、炭素繊維の織布のみが残っている。
上記処理例では、被処理物の分解処理を安定して行うため触媒担持ハニカムと発熱体とを一体化した触媒ユニット22a、22bを使用した。加熱炉20のヒータ24、25のパワーが十分に大きく、触媒ユニット22a、22bの温度が被処理物10aの温度と同程度である場合には、触媒ユニット22a、22bのかわりに発熱体を省いた触媒担持ハニカムを用いることができる。
触媒担持ハニカムに被処理物を接触させて、被処理物とともに触媒担持ハニカムを加熱すると、触媒担持ハニカムに担持された半導体の作用により、被処理物のポリマーのラジカル開裂が誘起されて被処理物が分解される。
また、触媒担持ハニカムあるいは多孔体基板の上に被処理物を載せて処理する際に、触媒担持ハニカムあるいは多孔体基板の上に半導体の粉体をあらかじめ付着させておき、その上に被処理物を載せることにより、被処理物に半導体を作用させて処理することも可能である。
また、被処理物を部分的に分解させるような場合、例えば、被処理物を部分的に分解して被処理物に開口部を設けるといった場合には、被処理物で開口させたい部分のみに半導体を付着させ、この部分をロッド・ヒーターあるいはレーザー等の手段で局所的に加熱すれば良い。基本的には加熱された部分のポリマーのみが分解されるが、深さ方向ばかりでなく、平面方向にも若干開口部が広がることがあるので、開口径を制御する必要がある場合は、ポリマーが分解される度合いを考慮して半導体を付着させる範囲を設定することが好ましい。
図9は、本方法によりモールドモータを分解して回収したコイル部分、図10は回収したコイルの連結部分を外してコイルを開いた状態を示す。
モールドモータでは、ローターと呼ばれる回転磁石とステイターと呼ばれるコイル部分は熱硬化性モールド樹脂で個別にモールドされている。このようなプラスチック複合材料についても、本発明方法を利用することによって、樹脂部分を完全に分解除去して、ローター、ステイター(コイル部分)のみを回収することができる。
この処理例では、モールドモータを酸化クロムの分散液にディップして、モールドモータの外面に酸化物半導体として酸化クロムの被膜を形成した後、この被処理物を400℃に加熱した加熱炉で分解処理した。処理時間は約20分である。
図11は、モールドモータに設けられていた樹脂基板(ガラス・エポキシ基板)を分解した例である。このガラス・エポキシ基板は、樹脂基板上に配線や電子部品が搭載されていたものである。本発明に係る処理方法によって分解処理したことにより、ガラス・エポキシ基板中にモールドされていたガラス繊維の織布と、基板に形成されていた導体部分が出現すると同時に、基板に搭載されていたICチップ等の電子部品の樹脂部分は完全に分解されていることが分かる。
本発明に係る処理方法においては、プラスチックまたはプラスチック複合材料を処理する際に、分解処理する被処理物が大量にあるとフラグメント・ガス等の放出ガスが大量に発生する。放出ガスは前述した触媒ユニットを利用することで二酸化炭素と水に分解することができるが、場合によっては、触媒ユニットを使用しても放出ガスが分解されずに処理装置から排出される場合があり得る。また、被処理物を処理した際に有害ガスが発生するといったことが起こり得る。このような場合には、被処理物の処理装置の後段にVOC浄化装置(揮発性有機化合物の浄化装置)を連結し、分解されずに排出された放出ガスや有毒ガスを浄化するようにするとよい。
VOC浄化装置30では、容器31の内部に触媒ユニット34a、34b、34cを被処理気体の通流方向に対して交差する向きに三段に配置している。各々の触媒ユニット34a、34b、34cは、多孔体(たとえば、ハニカム状支持体)の表面に半導体(主として酸化物半導体)を担持した触媒担持ハニカム32a、32b、32cと、これらを加熱する発熱体としてのヒータ33a、33b、33cとからなる。
なお、浄化装置は、被処理物を処理する加熱炉20から排出されるガスの廃熱を触媒ユニット34a、34b、34cの加熱に利用する熱交換器を装備する構成とすることもできる。
なお、本実施形態に示す浄化装置30は半導体を担持した触媒担持ハニカムを備える触媒ユニットを用いてガスを浄化する例として示したものであり、浄化容器31内における触媒ユニットの配置や触媒ユニットの設置段数、ヒータの配置等については適宜構成とすることができる。
13 被膜
20 加熱炉
22a、22b 触媒ユニット
24、25 ヒータ(加熱機構)
26 エアの供給機構
30 浄化装置
32a、32b、32c 触媒担持ハニカム
34a、34b、34c 触媒ユニット
Claims (3)
- 被処理物であるプラスチック板またはプラスチック複合材料板の表面に、多孔体の表面に半導体を担持した触媒担持ハニカムを接触させ、酸素存在下において、前記半導体が真性電気伝導領域となる温度で被処理物とともに前記触媒担持ハニカムを加熱することにより、プラスチックまたはプラスチック複合材料のポリマーを分解することを特徴とするプラスチックまたはプラスチック複合材料の処理方法。
- 被処理物であるプラスチック板またはプラスチック複合材料板の表面に、多孔体の表面に半導体を担持した触媒担持ハニカムを接触させた状態で、前記被処理物と前記触媒坦持ハニカムを前記半導体が真性電気伝導領域となる温度に加熱する加熱炉と、該加熱炉内にエアを供給するエアの供給機構と、を備えることを特徴とするプラスチックまたはプラスチック複合材料の処理装置。
- 前記処理装置の前記加熱炉の後段に、多孔体の表面に前記半導体を担持した前記触媒担持ハニカムを備え、前記半導体が真性電気伝導領域となる温度に前記触媒坦持ハニカムが加熱されることにより、前記加熱炉からの被処理気体を分解、浄化するVOC浄化装置を連結することを特徴とする請求項2に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料の処理装置。
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