JP5903087B2 - スプリングクリップ、および自動車のフェンダパネルの取り付け構造 - Google Patents

スプリングクリップ、および自動車のフェンダパネルの取り付け構造 Download PDF

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Description

本発明は、スプリングクリップ、および自動車のフェンダパネルの取り付け構造に係り、特に、クリップ本体にスプリング部材を装着したスプリングクリップ、および自動車のフェンダパネルの取り付け構造に関する。
従来、車両のデザイン性等の観点からフロントフェンダパネルの上縁部からフロントピラーまで延びる突出部を設け、この突出部でフロントピラーの下端部を被覆する車体構造が知られている。
このような車体構造を採用した場合には、樹脂製クリップを使用してフロントフェンダの突出部を車体に固定する必要が生じる(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の樹脂製のクリップは、開口部を有するコ字状断面をなし、コ字状断面の内側にフェンダパネルを挿入することで、挟持力を発生してフェンダパネルを保持できるようになっている。
この樹脂製クリップを使用する特許文献1に記載のフェンダパネル取り付け構造は、樹脂製クリップを予め車体(アウトサイドパネル)にリベットで固定し、樹脂製クリップにフェンダパネルのフランジ部を挿入して、フランジ部を樹脂製クリップによる挟持力で保持しながらフェンダパネルの位置合わせをすることができるため取り付け作業性が向上されている。
国際公開第2013/108494号(図2参照)
しかしながら、一般に、樹脂製のクリップでは、取り付け時は挟持力を発現していても、経年変化、およびメンテナンスや修理により繰り返しパネルを着脱すると挟持力が低下する可能性があるため、例えば、車両デザインにより、フェンダパネルの上縁部から延びる突出部がよりシャープにより長くなり、挟持力を増大させたいという課題があった。
また、樹脂製のクリップでは、挟持力を増大しようとすると大型化してしまうため、いわゆる三角窓部分の狭い箇所に適用しにくくなるという問題があった。
また、樹脂製のクリップでは、フェンダパネルの取り付け反力を受けた状態で塗装・焼付け工程を通過すると、昇温により樹脂製のクリップが軟化して、コ字形状に開きが生じて挟持力が低下する場合があるため、検査および修正作業工数が増大するという問題があった。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、パネルの取り付け作業性がよく、確実な挟持力を発揮して信頼性が高く、繰り返し着脱しても安定した挟持力を維持することができるスプリングクリップ、および自動車のフェンダパネルの取り付け構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、車体に組み付けた第1のパネルに固定して、この第1のパネルに対して第2のパネルを着脱可能に保持するスプリングクリップであって、一端側から前記第2のパネルが挿入される開口部を有するコ字状断面に形成され前記第2のパネルを挟持して保持するクリップ本体と、このクリップ本体に適合するコ字状断面に形成され前記クリップ本体に装着して挟持力を付与するスプリング部材と、前記クリップ本体と前記スプリング部材とを前記第1のパネルに締結する締結部材と、を有し、前記クリップ本体は、前記第2のパネルを前記車体内側から保持する内ベース部と、前記第2のパネルを前記車体外側から保持する外ベース部と、前記開口部に対する他端側に配設され前記内ベース部と前記外ベース部を連結する連結部と、を有し、前記スプリング部材は、前記内ベース部に係合されるスプリング内ベース部と、前記外ベース部に係合されるスプリング外ベース部と、前記スプリング内ベース部と前記スプリング外ベース部を連結するスプリング連結部と、を有し、前記連結部は前記スプリング内ベース部が挿通される挿通孔を備え、この挿通孔に挿通された前記スプリング内ベース部を車体外側から前記内ベース部に係合し前記スプリング外ベース部を車体外側から前記外ベース部に係合した状態で、前記締結部材は、当該スプリング内ベース部と当該内ベース部とを前記第1のパネルに締結すること、を特徴とする。
本発明に係るスプリングクリップは、前記クリップ本体に装着して挟持力を付与するスプリング部材を備えたことで、クリップ本体を摩擦抵抗の小さい樹脂製としスプリング部材を剛性の高い金属製とすることができるため、クリップ本体で第2のパネルの挿入抵抗を軽減して挟持しながら、クリップ本体に対してスプリング部材により安定した確実な挟持力を付与することができる。
このため、第2のパネルをスプリング部材による挟持力で保持した状態で円滑に位置合わせをしながら第1のパネルに取り付けることができるため、パネルの取り付け作業性を向上し、かつ繰り返し着脱しても安定した挟持力を維持することができる。
また、スプリングクリップが第2のパネルを保持した際の第2のパネルから受ける反力をスプリング部材で確実に負担することができるため、塗装・焼付け工程を通過しても昇温によるスプリングクリップの変形を防止して挟持力の低下を抑制することができる。
また、本発明に係るスプリングクリップは、前記クリップ本体部の連結部に挿通孔を備えたことで、挿通孔からスプリング内ベース部を挿通して内ベース部とスプリング内ベース部を係合させるため、クリップ本体に対するスプリング部材の位置ずれを防止しながら円滑かつ確実にクリップ本体とスプリング部材とを係合させることができる。
このため、クリップ本体とスプリング部材との組み立て作業がしやすく、かつクリップ本体とスプリング部材との位置ずれを防止することにより、クリップ本体とスプリング部材とを締結部材で第1のパネルに強固に固定して、安定した挟持力を発揮させて第2のパネルを保持することができる。
このようにして、本発明に係るスプリングクリップは、パネルの取り付け作業性がよく、確実な挟持力を発揮して信頼性が高く、繰り返し着脱しても安定した挟持力を維持することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスプリングクリップであって、前記内ベース部は、前記第2のパネルを当接させて保持する線状凸部を備え、前記線状凸部は、前記第2のパネルが挿入される方向に沿って前記内ベース部の両側に一対が形成され、前記両側の線状凸部の間に挟まれるように案内されて前記スプリングベース部が前記内ベース部に係合されていること、を特徴とする。
請求項2に係るスプリングクリップは、前記内ベース部に前記第2のパネルを当接させて保持する線状凸部を備えたことで、第2のパネルとの当接部が挿通方向に線接触になるため、摩擦抵抗を低減しながら挟持圧力を増大させることができる。このため、クリップ本体に第2のパネルを挿入して位置を調整する際の移動抵抗を低減しながら確実に挟持力を付与してパネルの取り付け作業性を向上させることができる。
また、線状凸部を内ベース部の両側に備えたことで、スプリング内ベース部を挟むように案内して内ベース部にスプリング内ベース部を係合させることができるため、挿通方向に直交する方向の位置ずれを抑制して内ベース部とスプリング内ベース部とを確実に係合させることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のスプリングクリップであって、前記スプリング部材は、前記スプリング内ベース部が前記挿通孔から挿通される方向に沿って前記スプリング外ベース部の側面部に延設され、前記側面部から前記スプリング内ベース部側に曲がる折曲部を備え、前記折曲部に前記外ベース部の側面部が係合されていること、を特徴とする。
請求項3に係るスプリングクリップは、前記挿通方向に沿って側面部に延設された前記折曲部に前記外ベース部の側面部が係合されることで、クリップ本体に対するスプリング部材の位置ずれを防止しながら円滑に確実に係合させることができる。
このため、クリップ本体とスプリング部材との組み立て作業がしやすく、かつクリップ本体とスプリング部材との位置ずれを防止することにより、クリップ本体とスプリング部材とを締結部材で第1のパネルに強固に固定して、安定した挟持力を発揮させて第2のパネルを保持することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスプリングクリップであって、前記スプリング外ベース部を車体外側から前記外ベース部に係合した状態で、当該スプリング外ベース部の挿通方向先端部を係止する係止部を前記外ベース部の車体外側に備えたこと、を特徴とする。
請求項4に係るスプリングクリップは、スプリング外ベース部の挿通方向先端部を係止する係止部を前記外ベース部の車体外側に備えたことで、クリップ本体の外ベースに対するスプリング外ベース部の位置ずれを防止しながら円滑かつ確実に係合させることができる。
このため、クリップ本体とスプリング部材との組み立て作業がしやすく、かつクリップ本体にスプリング部材を確実に係合させることにより、不用意に外れないようにしてより安定した挟持力を発揮させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4に記載のスプリングクリップを使用した自動車のフェンダパネルの取り付け構造であって、前記第1のパネルは、ボディサイドパネルであり、前記第2のパネルは、上縁にフロントピラーの下端部を被覆する突出部を有するフェンダパネルであり、前記フェンダパネルは、前記突出部から下方に延びるフランジを備え、前記サイドパネルは、前記フランジに対応する位置に前記締結部材により固定された前記スプリングクリップを備え、前記スプリングクリップの開口部に前記フランジが挿入されて当該スプリングクリップによる挟持力で保持されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記スプリングクリップを使用してサイドパネルにフェンダパネルを取り付けることで、フロントフェンダパネルの上縁部から延びる突出部がよりシャープにより長くなるような車両デザインを採用しても、挟持力を増大させて確実に保持することができる。
このため、本発明に係るスプリングクリップは、いわゆる三角窓部分等の狭くて手が入りにくい作業性の悪い箇所でも好適に適用することができる。
本発明に係るスプリングクリップ、および自動車のフェンダパネルの取り付け構造は、パネルの取り付け作業性がよく、確実な挟持力を発揮して信頼性が高く、繰り返し着脱しても安定した挟持力を維持することができる。
本発明の実施形態に係るスプリングクリップを使用してフェンダパネルをサイドパネルに取り付ける様子を示す正面図であり、車体を左側方から見た図である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップを使用してフェンダパネルをサイドパネルに取り付けた状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップの構成と組み立て方法を示す斜視図であり、(a)はクリップ本体にリベットスリーブを装着する工程、(b)はスプリング部材の装着、(c)はリベットの装着、(d)はリベットを装着して車体に固定する前の状態を示す。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップのクリップ本体を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップのスプリング部材を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップを示す図であり、(a)はクリップ本体の斜視図、(b)はスプリング部材の斜視図、(c)はクリップ本体にスプリング部材を係合させた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップを固定するリベットを装着する様子を説明するための半断面を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップを使用してフェンダパネルをサイドパネルに取り付ける工程を示す模式的断面図であり、(a)はクリップ本体にリベットスリーブを装着した工程、(b)と(c)はスプリング部材の装着工程、(d)はリベットの装着工程である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップを使用してフェンダパネルをサイドパネルに取り付ける工程を示す模式的断面図であり、(e)はリベットを装着したスプリングクリップをサイドパネルに装着する工程、(f)はリベットをかしめる工程、(g)はリベットのリベットピンを切断してフェンダパネルをスプリングクリップに装着する工程である。 本発明の実施形態に係るスプリングクリップを使用してフェンダパネルをサイドパネルに取り付けた状態を示す図であり、(a)は図2のX−X線断面図、(b)は図2のY−Y線断面図である。
本発明の実施形態に係るスプリングクリップ1によるフェンダパネル12の取り付け構造10について適宜図1から図10を参照しながら詳細に説明する。
参照する図1と図2は、フェンダパネル12およびサイドパネル11の一部、つまりフロントピラー11bの付け根のいわゆる三角窓部11aの周りを示している。サイドパネル11は車体(車両)に組み付けられた状態である。三角窓部11aには、凹部が形成され着色されたガラスが装着されているが、説明の便宜上、三角窓部11aに装着されるガラスを外してスプリングクリップ1が見えるようにしたものである。
フェンダパネルの取り付け構造10は、図1と適宜図2に示すように、スプリングクリップ1を使用して、車体(不図示)に組み付けた第1のパネルであるサイドパネル11に第2のパネルであるフェンダパネル12を取り付ける車体構造である(図2参照)。
スプリングクリップ1は、開口部20を有するコ字状断面(図7参照)に形成され、サイドパネル11に締結部材であるリベット4で固定した状態で使用され(図10参照)、挟持力を発揮してフェンダパネル12を保持できるようになっている。
なお、本実施形態においては、締結部材としてリベット4を使用するが、これに限定されるものではなく、ボルトやビス等であってもよい。
サイドパネル11は、前方上縁部に配設された三角窓部11aと、三角窓部11aから後方に向かって傾斜しながら上方に延びるフロントピラー11bと、を備えている。
三角窓部11aには、フェンダパネル12のフランジ12bに対応する位置にリベット4でスプリングクリップ1が固定される(図7参照)。
フェンダパネル12は、前部の上縁から後方に向かって傾斜しながら上方に延びる突出部12aと、突出部12aから下方に延びるフランジ12bと、を備えている。
フェンダパネル12は、フランジ12bをスプリングクリップ1に挿入した状態でスプリングクリップ1が発揮する挟持力で支持され、突出部12aがフロントピラー11bの下端部を被覆するようにサイドパネル11に嵌入して締結される。
[スプリングクリップ]
スプリングクリップ1は、図3に示すように、フェンダパネル12(図1参照)を挟持して保持するクリップ本体2と、クリップ本体2に装着されたリベットスリーブ40(図3(a)参照)と、クリップ本体2に適合するコ字状断面に形成されクリップ本体2に装着して挟持力を付与するスプリング部材3(図3(b)参照)と、サイドパネル11(図1参照)に締結するリベット4(図3(c)参照)と、を備えている。
スプリングクリップ1は、図3(b)に示すように、クリップ本体2に形成された挿通孔23aにスプリング部材3のスプリング内ベース部31を図3の(b)に示す方向(以下、「挿通方向」という。)から挿通してクリップ本体2とスプリング部材3とを重ね合わせて係合させた状態で使用される。
<リベット>
リベット4は、図7に示すように、頭部に鍔状のヘッド部41aが形成されたリベットチューブ41と、リベットチューブ41の図における下方から挿入されたリベットピン42と、を備えている。リベットチューブ41は、胴部が中空のチューブであり、リベットチューブ41の内部にリベットピン42が挿入されている。リベットピン42の図における下部には半球状頭部42aが形成され、リベットピン42の胴部にはかしめ加工時に切断される小径の切断部42bが形成されている。
リベット4は、図9に示すように、リベットチューブ41をスプリングクリップ1のリベットスリーブ40に挿通した状態でサイドパネル11に装着し(図9(e)参照)、かしめ工具(不図示)を使用してリベットピン42の上部(リベットチューブ41のヘッド部41aから上方に突き出した部分)を保持して上方に引くことで、リベットチューブ41をリベットピン42の半球状頭部42aで圧潰してかしめた後(図9(f)参照)、リベットピン42の上部をさらに上方に引き、切断部42b(図7参照)からリベットピン42を切断して、リベットピン42の上部は取り去られる(図9(g)参照)。
切断部42bからリベットピン42を切断することで、ヘッド部41aからリベットピン42が突出することがないので、フェンダパネル12(図9(g)参照)をスプリングクリップ1に挿入することができる。
<クリップ本体>
クリップ本体2は、合成樹脂からなり、図4と適宜図6(a)の斜視図に示すように、フェンダパネル12(図1参照)が挿入される一端側に形成された開口部20と、フェンダパネル12(図1参照)を車体内側(車室内側、車体の車幅方向内側)から保持する内ベース部21と、フェンダパネル12を車体外側(車室外側、車体の車幅方向外側)から保持する外ベース部22と、内ベース部21と外ベース部22を連結する連結部23と、を備え、内ベース部21、外ベース部22、および連結部23によりコ字状断面に形成されている。
内ベース部21は、平板状に形成され、内ベース部21の中央部に形成されたスリーブ装着孔21a(図4(e)参照)と、フェンダパネル12を当接させて保持する一対の線状凸部21b,21b(図4(b)参照)と、を備えている。
スリーブ装着孔21aには、リベットスリーブ40(図3(a)参照)が装着される。リベットスリーブ40には、リベット4(図3(c)参照)が挿入される。リベットスリーブ40は、リベット4に負荷されるかしめ力が内ベース部21にかからないように支持して、内ベース部21の潰れを防止するための部材である。
線状凸部21b,21bは、フェンダパネル12が挿入される開口部20(図4(c)参照)から連結部23の方向に沿って、コ字状断面内の両側に一対が形成されている(6(a)参照)。線状凸部21b,21bは、内ベース21からの高さがリベット4のヘッド部41aの高さよりも高く設定され、フェンダパネル12とヘッド部41aとの間に隙間が形成されるようになっている(図10(b)参照)。
かかる構成により、線状凸部21b,21bを内ベース部21の両側に配設したことで、フェンダパネル12との当接部が挿通方向に線接触になるため、摩擦抵抗を低減しながら挟持圧力を増大させることができる。このため、クリップ本体2にフェンダパネル12を挿入して位置を調整する際の移動抵抗を低減しながら確実に挟持力を付与してフェンダパネル12の取り付け作業性を向上させることができる。
また、線状凸部21b,21bにより、スプリング内ベース部31を挟むように案内して内ベース部21にスプリング内ベース部31を係合させることができるため、挿通方向に直交する方向の位置ずれを抑制して内ベース部21とスプリング内ベース部31とを確実に係合させることができる(図6(c)参照)。
外ベース部22は、平板状に形成され、リベット4(図3(c)参照)を内ベース部21のスリーブ装着孔21aに挿入してかしめるための作業孔22aと、スプリング外ベース部32の挿通方向先端部34を係止する係止部24(図6(a))と、を備えている。係止部24は、外ベース部22の車体外側(図の上側)に形成されている。
かかる構成により、スプリング外ベース部32を車体外側から外ベース部22に係合した状態で、スプリング外ベース部32の挿通方向先端部34を係止することで、挿通方向の位置ずれを抑制して外ベース部22とスプリング外ベース部32とを確実に係合させることができる(図6(c)参照)。
連結部23には、開口部20に対する他端側に配設されスプリング内ベース部31が挿通される挿通孔23aが形成されている。挿通孔23aは、内ベース部21の上面にスプリング内ベース部31を誘導する高さに形成されている。
かかる構成により、挿通孔23aからスプリング内ベース部31を挿通して内ベース部21とスプリング内ベース部31を係合させるため、クリップ本体2に対するスプリング部材3の位置ずれを防止しながら円滑かつ確実にクリップ本体2とスプリング部材3とを係合させることができる。
<スプリング部材>
スプリング部材3は、剛性が高く安定したばね力を発揮することができるアルミ合金やステンレス等の金属からなり、図5と適宜図6(b)の斜視図に示すように、内ベース部21に係合されるスプリング内ベース部31と、外ベース部22に係合されるスプリング外ベース部32と、スプリング内ベース部31とスプリング外ベース部32を連結するスプリング連結部33と、を備え、クリップ本体2のコ字状断面に適合するコ字形状断面に形成されている。
スプリング内ベース部31は、スプリング内ベース部31の中央部に形成されたスリーブ装着孔31aを備えている。スリーブ装着孔31aは、クリップ本体2に形成されたスリーブ装着孔21aに装着されたリベットスリーブ40に適合して、リベットスリーブ40にリベット4が挿入される(図7参照)。
スプリング外ベース部32は、リベット4(図3(c)参照)を内ベース部21のスリーブ装着孔21aに挿入してかしめるための作業孔32aと、外ベース部22に形成された係止部24(図6(a))に係止される挿通方向先端部34と、挿通方向に対する両側の側面部に配設された折曲部35,35と、を備えている。
折曲部35,35は、挿通方向の両側に沿ってコ字状断面の内側に曲がるように形成されている。
かかる構成により、挿通方向では係止部24に挿通方向先端部34が係止されるとともに、折曲部35,35に外ベース部22の側面部を係合させることができるため、挿通方向、および挿通方向に直交する方向の位置ずれを抑制して外ベース部22とスプリング外ベース部32とを確実に係合させることができる(図6(c)参照)。
なお、挿通方向先端部34の作用については、外ベース部22に形成された係止部24(図6(a))の作用と重複するため、詳細な説明は省略する。
スプリング連結部33は、クリップ本体2とスプリング部材3とが係合された状態で、クリップ本体2の連結部23に係合される部位である。かかる構成により、クリップ本体2のコ字状断面とスプリング部材3のコ字状断面が適合して、クリップ本体2とスプリング部材3とが確実に係合される。
また、スプリング連結部33は、フェンダパネル12が挿入される開口部20側の高さよりもスプリング連結部33側の高さの方が高くなるように設定され、スプリング連結部33から開口部20に向かうにつれて隙間が狭くなるため、フェンダパネル12が挿入されることで、クリップ本体2に挟持力を付与することができるようになっている。
続いて、本発明の実施形態に係るスプリングクリップ1を使用して、車体(不図示)に組み付けたサイドパネル11にフェンダパネル12を取り付ける際の動作について、主として図8と図9を参照しながら説明する。なお、図8と図9では、説明の便宜上、形状を簡略化し線状凸部21b(図4(b)参照)を省略している。
作業者(不図示)は、予めスプリングクリップ1を組み立てる。クリップ本体2にリベットスリーブ40を装着し(図8(a)参照)、クリップ本体2の連結部23に形成された挿通孔23aにスプリング部材3のスプリング内ベース部31を連結部23の後方から挿通して(図8(b)参照)、上方に傾けながら進入させる(図8(c)参照)。
そして、図8(d)に示すように、スプリング外ベース部32の先端側をクリップ本体2の外ベース部22に重なる位置まで下げながら、スプリング外ベース部32の挿通方向先端部34を外ベース部22の先端部に形成された係止部24に挿入して外ベース部22にスプリング外ベース部32を重ね合わせて係合させる。
このとき、スプリング内ベース部31は、クリップ本体2の内ベース部21に重ね合わされて係合される。そして、リベットスリーブ40にスプリング内ベース部31のスリーブ装着孔31aを適合させて、リベットスリーブ40にリベット4を挿入する。
作業者(不図示)は、図9(e)に示すように、リベットスリーブ40にリベット4を挿入した状態で、サイドパネル11の三角窓部11a(図1参照)に形成されたクリップ固定孔11cにリベット4のリベットチューブ41を挿入する。このクリップ固定孔11cは、フェンダパネル12のフランジ12bに対応する位置にスプリングクリップ1が固定されるように配設されている。
作業者(不図示)は、図9(f)に示すように、かしめ工具(不図示)を使用してリベットピン42の上部(リベットチューブ41のヘッド部41aから上方に突き出した部分)を保持して上方に引き、リベットチューブ41をリベットピン42の半球状頭部42aで圧潰してかしめ、内ベース部21とスプリング内ベース部31を係合させた状態でサイドパネル11に固定する。リベットピン42の上部をさらに上方に引き、切断部42b(図7参照)から切断してリベットピン42の上部を取り除く。そして、図9(g)に示すように、フェンダパネル12をスプリングクリップ1に挿入して取り付ける。
スプリングクリップ1を使用して、フェンダパネル12をサイドパネル11に取り付けた状態について、図10を参照しながら説明する。図10(a)は図2のX−X線、(b)はY−Y線断面図である。
サイドパネル11の三角窓部11aには、図10に示すように、フェンダパネル12のフランジ12bに対応する位置にリベット4でスプリングクリップ1が固定されている。
フェンダパネル12は、フランジ12bをスプリングクリップ1に挿入した状態でスプリングクリップ1が発揮する挟持力で支持されている。具体的には、スプリングクリップ1の内ベース部21に形成された線状凸部21bの頂部と外ベース部22の内面部でフランジ12bを挟持してフェンダパネル12を強固に保持している。
以上のように構成されたスプリングクリップ1は、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、スプリングクリップ1は、クリップ本体2を摩擦抵抗の小さい合成樹脂製としスプリング部材3を剛性が高く安定した挟持力を発揮することができるアルミ合金やステンレス等の金属製としているため、クリップ本体2でフェンダパネル12の挿入抵抗を軽減して挟持しながら、クリップ本体2に対してスプリング部材3により安定した確実な挟持力を付与することができる。
このため、フェンダパネル12をスプリング部材3による挟持力で保持した状態で円滑に位置合わせをしながらサイドパネル11に取り付けることができるため、パネルの取り付け作業性がよく、確実な挟持力を発揮して信頼性が高く、繰り返し着脱しても安定した挟持力を維持することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されず、適宜変形して実施することが可能である。例えば、本実施形態においては、スプリングクリップ1によりフェンダパネル12をサイドパネル11に取り付ける取り付け構造としたが、スプリングクリップ1の用途はこれに限定されるものではなく、他のアウタパネルやインナパネルであってもよいし、インナパネルに装着されるガーニッシュに適用することもできる。
1 スプリングクリップ
2 クリップ本体
3 スプリング部材
4 リベット
10 取り付け構造
11 サイドパネル
11a 三角窓部
11b フロントピラー
11c クリップ固定孔
12 フェンダパネル
12a 突出部
12b フランジ
20 開口部
21 内ベース部
21a スリーブ装着孔
21b 線状凸部
22 外ベース部
23 連結部
24 係止部
31 スプリング内ベース部
32 スプリング外ベース部
33 スプリング連結部
34 挿通方向先端部
35 折曲部
40 リベットスリーブ

Claims (5)

  1. 車体に組み付けた第1のパネルに固定して、この第1のパネルに対して第2のパネルを着脱可能に保持するスプリングクリップであって、
    一端側から前記第2のパネルが挿入される開口部を有するコ字状断面に形成され前記第2のパネルを挟持して保持するクリップ本体と、
    このクリップ本体に適合するコ字状断面に形成され前記クリップ本体に装着して挟持力を付与するスプリング部材と、
    前記クリップ本体と前記スプリング部材とを前記第1のパネルに締結する締結部材と、を有し、
    前記クリップ本体は、前記第2のパネルを前記車体内側から保持する内ベース部と、前記第2のパネルを前記車体外側から保持する外ベース部と、前記開口部に対する他端側に配設され前記内ベース部と前記外ベース部を連結する連結部と、を有し、
    前記スプリング部材は、前記内ベース部に係合されるスプリング内ベース部と、前記外ベース部に係合されるスプリング外ベース部と、前記スプリング内ベース部と前記スプリング外ベース部を連結するスプリング連結部と、を有し、
    前記連結部は前記スプリング内ベース部が挿通される挿通孔を備え、
    この挿通孔に挿通された前記スプリング内ベース部を車体外側から前記内ベース部に係合し前記スプリング外ベース部を車体外側から前記外ベース部に係合した状態で、前記締結部材は、当該スプリング内ベース部と当該内ベース部とを前記第1のパネルに締結すること、
    を特徴とするスプリングクリップ。
  2. 前記内ベース部は、前記第2のパネルを当接させて保持する線状凸部を備え、
    前記線状凸部は、前記第2のパネルが挿入される方向に沿って前記内ベース部の両側に一対が形成され、
    前記両側の線状凸部の間に挟まれるように案内されて前記スプリングベース部が前記内ベース部に係合されていること、
    を特徴とする請求項1に記載のスプリングクリップ。
  3. 前記スプリング部材は、前記スプリング内ベース部が前記挿通孔から挿通される方向に沿って前記スプリング外ベース部の側面部に延設され、前記側面部から前記スプリング内ベース部側に曲がる折曲部を備え、
    前記折曲部に前記外ベース部の側面部が係合されていること、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のスプリングクリップ。
  4. 前記スプリング外ベース部を車体外側から前記外ベース部に係合した状態で、当該スプリング外ベース部の挿通方向先端部を係止する係止部を前記外ベース部の車体外側に備えたこと、
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスプリングクリップ。
  5. 請求項1から請求項4に記載のスプリングクリップを使用した自動車のフェンダパネルの取り付け構造であって、
    前記第1のパネルは、サイドパネルであり、
    前記第2のパネルは、上縁にフロントピラーの下端部を被覆する突出部を有するフェンダパネルであり、
    前記フェンダパネルは、前記突出部から下方に延びるフランジを備え、
    前記サイドパネルは、前記フランジに対応する位置に前記締結部材により固定された前記スプリングクリップを備え、
    前記スプリングクリップの開口部に前記フランジが挿入されて当該スプリングクリップによる挟持力で保持されていることを特徴とする自動車のフェンダパネルの取り付け構造。
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