JP7032223B2 - バンパ締結構造 - Google Patents

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Description

本発明は、バンパの締結構造に関し、特にバンパをフェンダに締結する構造に関する。
車両衝突時の衝撃を吸収する保護部材であるバンパは、隣接部材であるフェンダに締結される。車両の軽衝突等によりバンパが凹んだり擦れてしまったときに新品のバンパに交換できるように、バンパは、ねじ(スクリュー)によりフェンダに締結される。
このねじ締結に際して、リテーナまたはクリップとも呼ばれる取り付け部品が用いられる。例えば特許文献1、2に例示されるように、リテーナは、フェンダ末端のフランジに設けられた貫通孔に嵌め込まれるツメと、側面視がU字形状であってバンパ末端のフランジを挟持する(くわえ込む)本体部を備える。
また特許文献2では、ピン形状のツメの内部にねじ孔が穿孔される。フェンダの貫通孔にツメが嵌め込まれ、リテーナがフェンダに仮固定された後に、ねじ孔にねじが螺入される。ねじは例えばタッピングねじが使用される。ここで図16に例示するように、ねじ径W2はねじ孔径W1よりも大径となっており、ねじ孔100にねじ102を螺入させることでツメ104が拡径され、リテーナ106がフェンダ108に強固に固定される。
特許文献2では、上記の仮固定の間に、バンパがリテーナから外れないように、バンパに貫通孔が設けられるとともに、リテーナには当該貫通孔に嵌る筒部が形成される。
特開2003-231448号公報 特開2004-175299号公報
ところで、ねじを螺入させてツメを拡径させる際に、図17に例示するように、ねじ孔の中心軸L100に対してねじ102の中心軸L200が傾いた状態で螺入される、いわゆる斜め締めが生じると、ツメ104の拡径量が不均一となる。例えば図17では、破線で示すように、ツメ104の、相対的に上方のRW軸方向(車幅方向)の拡径量が、下方の同拡径量よりも大きくなる。このように拡径量が偏ることで、フェンダ108の意匠面108A(外表面)とバンパ110の意匠面110Aとが位置ずれし、外観(見栄え)が悪化する。
そこで本発明は、螺入角の厳密な管理等の作業の負担増加を避けつつ、従来よりもバンパとフェンダの位置合わせを精度良く行うことの可能な、バンパ締結構造を提供することを目的とする。
本発明は、保持部材であるリテーナを介して、バンパをフェンダに締結させる、バンパ締結構造に関する。リテーナは、本体部及び固定爪を備える。本体部はU字形状であって、バンパの末端部であるバンパフランジを挟持する一対の挟持壁と当該一対の挟持壁を接続する接続壁を有する。固定爪は、一方の挟持壁の外面から突設され、フェンダの末端部であるフェンダフランジに形成された嵌合孔に嵌め込まれる。固定爪には、固定爪の突設方向に穿孔されたねじ孔が形成される。一対の挟持壁の少なくとも一つの内面には、仮固定突起が突設される。他方の挟持壁には、ねじ孔の延長線上に穿孔された第一の貫通孔が形成される。一対の挟持壁の少なくとも一つの内面は傾斜面を含み、一対の挟持壁の内面間の離間距離が、ねじ孔に近接するに連れて広がる楔形空間が形成される。バンパフランジは、第二の貫通孔、係合部、及び楔形状部が形成される。第二の貫通孔は、ねじ孔及び第一の貫通孔に位置合わせされる。係合部は仮固定突起と係合される。楔形状部は楔形空間に対応するものであって、第二の貫通孔の中心軸方向に沿った厚さが、第二の貫通孔に近接するに連れて厚くなる。さらにバンパ締結構造は、第一及び第二の貫通孔を経由してねじ孔に螺入され、固定爪を拡径させるとともに、一対の挟持壁及びこれらに挟持されたバンパフランジを締め付けるねじを備える。
上記発明によれば、仮固定突起と係合部との係合によって仮固定されたリテーナ及びバンパフランジにねじが螺入される。リテーナには楔形空間が形成され、バンパフランジには、これに対応する楔形状部が形成される。ねじの締め付けに応じて楔形空間が狭められ、その結果、楔形状部がねじ孔の中心軸側に押し出される。このように、ねじの締め付けトルクを制御することで、バンパフランジとリテーナとの相対移動量が調整可能となり、その結果、バンパと、リテーナが固定されるフェンダとの位置合わせが可能となる。
また上記発明において、仮固定突起は、一方の挟持壁の内面に、ねじ孔を囲むように突設された円筒状の突起であってよい。この場合、仮固定突起はバンパフランジの第二の貫通孔内に挿入され、かつ、仮固定突起の外周面と第二の貫通孔の内周面との間が離間される。
上記発明によれば、仮固定突起の外周面と第二の貫通孔の内周面との間が離間されるので、バンパフランジとリテーナとの相対移動が阻害されずに済む。
また上記発明において、バンパは、バンパフランジの一端に接続され意匠面を有するバンパ本体を備え、バンパフランジの他端が、リテーナの接続壁と対向する先端部となってよい。また、フェンダは、フェンダフランジの一端に接続され意匠面を有するフェンダ本体を備えてよい。この場合、リテーナの接続壁にバンパフランジの先端部が当接したときに、バンパ本体とフェンダ本体の意匠面が位置合わせされる。
上記発明によれば、バンパフランジの先端部がリテーナの接続壁に当接したことを以ってバンパとフェンダの意匠面が位置合わせされるので、バンパフランジとリテーナとの相対移動量を定めるねじの締め付けトルクの管理負担が軽減される。
本発明によれば、螺入角の厳密な管理等の作業の負担増加を避けつつ、従来よりもバンパとフェンダの位置合わせを精度良く行うことが可能となる。
本実施形態に係るバンパ締結構造が搭載される車両を例示する斜視図である。 図1のA-A斜視断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の各構成を例示するA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の各構成の寸法等を説明するA-A断面図である。 リテーナを例示する斜視図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造を用いた、バンパの締結プロセス(1/4)を説明するA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造を用いた、バンパの締結プロセス(2/4)を説明するA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造を用いた、バンパの締結プロセス(3/4)を説明するA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造を用いた、バンパの締結プロセス(4/4)を説明するA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の変形例(第二の貫通孔の変形例)を示すA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の変形例(仮固定突起の第一変形例)を示すA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の変形例(仮固定突起の第二変形例)を示すA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の変形例(仮固定突起の第三変形例)を示すA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の変形例(楔形状部及び楔形空間の変形例)を示すA-A断面図である。 本実施形態に係るバンパ締結構造の変形例(ねじ穴の穿孔角度の変形例)を示すA-A断面図である。 従来のバンパ締結構造を説明する図である。 ねじの、いわゆる斜め締めが生じたときの、バンパとフェンダの意匠面のずれを説明する図である。
図1~図15を参照して、本実施形態に係るバンパ締結構造を説明する。なお図1~図15において、車両前後方向(以下適宜、車長方向と記載する)を記号FRで表される軸で示し、車両幅方向(以下適宜、車幅方向と記載する)を記号RWで表される軸で示し、鉛直方向(以下適宜、車高方向と記載する)を記号UPで表される軸で示す。記号FRはFrontの略であり、車長方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、車幅方向軸RWは車幅右方向を正方向とする。また車高方向軸UPは上方向を正方向とする。
図1には、本実施形態に係るバンパ締結構造が搭載される車両の前方斜視図が例示される。以下の説明では、バンパの例としてフロントバンパ10が示され、フェンダの例としてフロントフェンダ20が示される。しかしながら、リアバンパ及びリアフェンダについても本実施形態に係るバンパ締結構造を適用することができる。
図1を参照して、フロントバンパ10の両サイド(両側端)はフロントフェンダ20に締結される。またフロントバンパ10の中央部上方は、図示しないラジエータサポートリテーナに締結される。これらの締結構造のうち、前者の締結構造(両サイドの締結構造)として、本実施形態に係るバンパ締結構造が用いられる。
図2には、図1のA-A断面斜視図が例示される。本実施形態に係るバンパ締結構造は、フロントバンパ10、フロントフェンダ20、リテーナ30、ねじ50及びワッシャ60を備える。
本実施形態に係るバンパ締結構造では、保持部材であるリテーナ30を介して、フロントバンパ10がフロントフェンダ20に締結される。詳細は以下に記載するが、バンパフランジ12がリテーナ30の本体部31に挟持される。さらにリテーナ30の固定爪32がフェンダフランジ22の嵌合孔23に嵌まり込む。加えて、ねじ50によってリテーナ30の本体部31及びバンパフランジ12を締め付けることで、バンパフランジ12の楔形状部14が移動して、最終的にフロントフェンダ20の意匠面24とフロントバンパ10の意匠面17とが位置合わせ(いわゆる面一の状態に)される。
フロントフェンダ20は、車両前方両側面に配置され、フロントホイール70(図1参照)を覆うパネル部材である。フロントフェンダ20は、例えばアルミパネルをプレス成形することで製作される。フロントフェンダ20は、フェンダ本体21及びフェンダフランジ22を備える。フェンダ本体21は略垂直に配置されるパネル部材であって、外表面に意匠面24を備える。意匠面24は車両の外形意匠を形作る要素の一部となる。
フェンダ本体21の下端には、フロントフェンダ20の末端部であるフェンダフランジ22が接続される。フェンダフランジ22は略水平方向に延設される板部材であって、その延設長は、車両幅とエンジンルームの幅(車幅方向長さ)等に応じて適宜定められる。
フェンダフランジ22には、その厚さ方向に貫通される嵌合孔23が穿孔される。この嵌合孔23にリテーナ30の固定爪32が嵌め込まれる。嵌合孔23の内径は、固定爪32の最大外径R1(図3参照)未満であってよい。つまり、嵌合孔23に固定爪32を嵌め込む際には、固定爪32が一旦潰された(縮径された)状態で嵌合孔23に挿入される。
フロントバンパ10は、車両前端部に設けられた保護部材であって、図1に例示されるように、車両の全幅に亘って延設される。上述したように、フロントバンパ10の車幅中央部上方は、図示しないラジエータサポートリテーナに締結支持される。またフロントバンパ10の車幅方向両側端は、リテーナ30を介してフロントフェンダ20に締結される。フロントバンパ10は、例えばアルミパネルをプレス成形することで製作される。
フロントバンパ10は、バンパ本体11とバンパフランジ12を備える。バンパ本体11は略垂直に延設されるパネル部材であって、車両衝突時に障害物に衝突し、変形することで衝撃が吸収される。さらにバンパ本体11は外表面に意匠面17を備える。意匠面17はフロントフェンダ20の意匠面24とともに車両の外形意匠を形作る要素の一部となる。
フロントバンパ10の締結に際して、フロントバンパ10の意匠面17とフロントフェンダ20の意匠面24とが位置合わせされていることが要求される。例えば両意匠面17,24が面一となるように位置合わせされ、一方が他方に対して突出することのないように位置合わせされることが要求される。後述するように、本実施形態に係るバンパ締結構造では、ねじ50の締め付けによって、意匠面17,24の位置合わせを行う。
バンパ本体11の上端には、フロントバンパ10の末端部であるバンパフランジ12が接続される。より正確には、フロントバンパ10の最上端には、フロントバンパ10の締結後に、バンパフランジ12やリテーナ30等を車外から見えなくさせるためのリブ18が設けられる。このリブ18より下方から水平方向にバンパフランジ12が延設される。バンパフランジ12は、略水平に延設される板部材であって、その延設長は、車両幅とエンジンルームの幅(車幅方向長さ)等に応じて適宜定められる。バンパフランジ12の、バンパ本体11と接続される一端と対向する他端は、リテーナ30に差し込まれる先端部13となる。
バンパフランジ12は、楔形状部14及び第二の貫通孔15が形成される。第二の貫通孔15は、バンパフランジ12の厚さ方向(UP軸方向)に貫通される。後述するように、バンパフランジ12がリテーナ30の挟持壁33,34間に挟持されるときに、第二の貫通孔15と、リテーナ30のねじ孔40及び第一の貫通孔38とが同軸上に配置されるように位置合わせされる。
図3を参照して、第二の貫通孔15は、例えばプレス成形によって穿孔される。第二の貫通孔15の内周面15Bの少なくとも一部には、プレス後にバンパフランジ12から金型を抜くための抜き勾配15Aが形成される。しかしながら、例えば図10に例示するように、金型を抜いた後に切削等を行うことで抜き勾配を除去して、第二の貫通孔15の内径を一定にしてもよい。
また、図7に例示されるように、バンパフランジ12がリテーナ30の挟持壁33,34間に挟持される(くわえ込まれる)ときに、第二の貫通孔15内にリテーナ30の仮固定突起41が挿入される。後述するように、バンパフランジ12は、ねじ50の締め付けに応じて、リテーナ30と相対移動する。このことから、第二の貫通孔15の内径は、これに挿入される、リテーナ30の仮固定突起41の外径、及び、ねじ50の外径(呼び径)よりも大きい(余裕がある)ことが好適である。
すなわち図7の間隔D1に示されているように、第二の貫通孔15に仮固定突起41が挿入されたときに、第二の貫通孔15の内周面15Bと仮固定突起41の外周面41Aとの間が所定の間隔で、少なくとも車幅方向(RW軸方向)に離間されていることが好適である。この間隔により、バンパフランジ12とリテーナ30との相対移動距離(ストローク)が定められる。
また、リテーナ30の仮固定突起41が第二の貫通孔15に挿入されることで、第二の貫通孔15内に仮固定突起41が引っ掛かることになるから、バンパフランジ12がリテーナ30に仮固定される。なお仮固定とは、ねじ50の締め付けによる本固定と対の概念であって、ねじ50の締め付け前において、リテーナ30によるバンパフランジ12の挟持によってバンパフランジ12のリテーナ30からの抜けが抑えられている状態を示す。またこのような仮固定構造に基づくと、第二の貫通孔15の内周面15Bは、仮固定突起41と係合する係合部に該当する。
図4を参照して、バンパフランジ12には楔形状部14が形成される。楔形状部14は、A-A断面視(UP-RW平面断面視)で楔形状をしており、この形状は、バンパフランジ12の上面及び下面の少なくとも一方の、少なくとも一部に、傾斜面16を形成することで得られる。
楔形状部14は、第二の貫通孔15の中心軸C2に沿った厚さ(例えばD2,D3)が、第二の貫通孔15の中心軸C2に近接するに連れて連続的に厚くなる(D2 < D3)ように形成される。例えば図4では、バンパフランジ12の上面19は水平方向に延設される一方で、下面の傾斜面16は第二の貫通孔15に近接するほど鉛直下方向に向かう、下り勾配となるように形成される。また楔形状部14は、例えば第二の貫通孔15よりもバンパ本体11側に形成される。
楔形状部14は、リテーナ30の楔形空間39に対応した形状となるように形成される。つまり、楔形状部14の上面19とリテーナ30の挟持壁33の内面33Aとが平行であって、楔形状部14の傾斜面16とリテーナ30の挟持壁34の傾斜面43とが平行となるように、楔形状部14、挟持壁33,34が形成される。
後述するように、ねじ50によって挟持壁33,34及びこれらに挟まれたバンパフランジ12を締め付けると、挟持壁33,34が近接される。これに伴い楔形空間39が狭められるので、傾斜面16,43に沿ってバンパフランジ12がリテーナ30の接続壁35寄りに移動する。このような締め付けに伴うバンパフランジ12とリテーナ30との相対移動を通じて、フロントフェンダ20の意匠面24とフロントバンパ10の意匠面17との位置合わせが行われる。
図5には、リテーナ30の斜視図が例示される。リテーナ30は、フロントバンパ10を保持するとともにフロントフェンダ20に固定される保持部材である。リテーナ30は、例えば樹脂材料から成形される。
リテーナ30は、バンパフランジ12を挟持する(くわえ込む)本体部31と、フェンダフランジ22に形成された嵌合孔23に嵌め込まれるガイドピン36及び固定爪32を備える。
固定爪32及びガイドピン36は、本体部31を構成する挟持壁33の(対向する挟持壁34とは反対側の)外面33Bから当該外面33Bに対して垂直に突設される。ガイドピン36は、平面視H型の部材であって、対向する一対のフランジ36C,36Cとフランジ36C,36C間を先端部36Aに繋ぐリブ36Bとを備える。
フランジ36C,36Cは、外面33Bから高さ方向に離間する上端が先細りされリブ36Bに収束するような形状となっており、これに伴い、ガイドピン36の上端は、先細りされた先端部36Aとなっている。この先端部36Aがガイドとなって、フェンダフランジ22の嵌合孔23にガイドピン36が挿入される。また、リブ36Bはその下方(外面33B側)がくり貫かれており、ねじ50の進入スペースとなっている。
ガイドピン36のフランジ36C,36Cに挟まれるようにして、一対の固定爪32,32(図2参照)が外面33Bから突設される。固定爪32,32は、相対的に径の大きい大径部32Aと、大径部32Aを高さ方向に挟み相対的に径の小さな小径部32B,32Bを備える。図3に示されているように、大径部32Aの直径R1は、フェンダフランジ22の嵌合孔23の直径よりも大きく形成されてよい。
図2~図5を参照して、固定爪32,32と、リブ36Bの対向する内面36B1,36B1とによって、ねじ孔40が形成される。ねじ孔40は、固定爪32,32の突設方向に沿って、その上端から下端である挟持壁33の内面33Aまで穿孔される。螺入されるねじ50がタッピングねじである場合、ねじ孔40は、その内周面に雌ねじが切られていない、いわゆる下穴であってよい。またこれに代えて、ねじ孔40の内周面に雌ねじが切られていてもよい。
ねじ孔40は、その内径(孔径)がねじ50の外径(呼び径)より小さくなるように形成される。これにより、ねじ孔40にねじ50が螺入されたときに、固定爪32,32が拡径され、固定爪32,32がより強固にフェンダフランジ22に固定(嵌合)される。
本体部31は、バンパフランジ12を挟持する一対の挟持壁33,34と、挟持壁33,34を接続する接続壁35とを備えるU字形状の部材である。一対の挟持壁33,34は鉛直方向(UP軸方向)に沿って対向する。一方の挟持壁33の(他方の挟持壁34とは反対側の)外面33Bには、上述したように固定爪32,32およびガイドピン36が突設される。
他方の挟持壁34には、ねじ孔40の延長線上に穿孔された第一の貫通孔38が設けられる。例えば、第一の貫通孔38は、ねじ孔40と同軸となるように穿孔される。後述するように、この第一の貫通孔38を経由して、ねじ50がねじ孔40に螺入される。例えば、第一の貫通孔38の内径は、ねじ50の外径(呼び径)より大きくなるように構成される。
一方の挟持壁33の(他方の挟持壁34と対向する)内面33Aには、仮固定突起41が突設される。例えば図2、図3に例示されるように、仮固定突起41は、ねじ孔40を囲むように、挟持壁33の内面33Aから挟持壁34に向かって突設される円筒状の突起であってよい。
また、他方の挟持壁34の(一方の挟持壁33と対向する)内面34Aにも、仮固定突起42を突設させてもよい。このとき、図4を参照して、仮固定突起42と一方の挟持壁33の内面33Aとの離間距離D6が、バンパフランジ12の先端部13の厚さD7と等しく形成されていることが好適である。
図7に例示されるように、バンパフランジ12が挟持壁33,34に挟持される際に、第二の貫通孔15に仮固定突起41が挿入される。この状態で、第二の貫通孔15の内周面15Bが仮固定突起41と係合する係合部として機能し、バンパフランジ12の、車幅方向(RW軸方向)の移動(抜け)が制限される。また、他方の挟持壁34に設けられた仮固定突起42によって、バンパフランジ12の、車高方向(UP軸方向)の移動(がたつき)が制限される。
仮固定突起41,42については種々の変形例が適用可能である。例えば一方の挟持壁33と他方の挟持壁34の内面33A,34Aの少なくとも一つに、仮固定突起41,42が突設されていればよい。
例えば図11に例示するように、挟持壁33の内面33Aを凹凸のない平面状として、他方の挟持壁34の内面34Aに仮固定突起41,42を突設させてもよい。この場合、仮固定突起41は第一の貫通孔38を囲むように突設される円筒形状の突起となる。この仮固定突起41に、バンパフランジ12の第二の貫通孔15の内周面15Bが係合部となり、仮固定突起41と内周面15Bとの係合によって、バンパフランジ12のリテーナ30からの抜けが抑制される。
また、図12に例示するように、ねじ孔40及び第一の貫通孔38とは異なる箇所に、仮固定突起41を設けてもよい。例えば本体部31の入り口、つまり、挟持壁33の、接続壁35との接続部とは逆側の末端部における内面33Aに、仮固定突起41を突設させてよい。この場合、バンパフランジ12の上面19にも、鉤形状の係合部19Aが形成されてよい。
なお、車高方向のがたつきを抑える仮固定突起42を省略することもできる。要するに、挟持壁33,34の内面33A,34A間の距離とバンパフランジ12の先端部13の厚さが等しければがたつきが生じない。そこで例えば図13に例示するように、挟持壁34の、第一の貫通孔38から接続壁35までの内面34Aと、挟持壁33の、仮固定突起41から接続壁35までの内面33Aとを平行にして、その離間距離D6がバンパフランジ12の先端部13の厚さD7と等しくなるようにしてもよい。
図3に戻り、リテーナ30の本体部31内には、楔形空間39が形成される。楔形空間39は、例えば、ねじ孔40及び第一の貫通孔38よりもフロントフェンダ20の意匠面24側、言い換えると、バンパフランジ12を本体部31に差し込む際の入り口側に形成される。
楔形空間39を構成するために、挟持壁33,34の内面33A,34Aの少なくとも一方の、少なくとも一部に傾斜面が形成される。図3、図4では、バンパフランジ12の傾斜面16に合わせて、挟持壁34の内面34Aの一部に傾斜面43が形成される。すなわち上述したように、挟持壁33の内面33Aと楔形状部14の上面19とが平行であって、挟持壁34の傾斜面43と楔形状部14の傾斜面16とが平行となるように、楔形状部14、挟持壁33,34が形成される。
なお、楔形状部14及び楔形空間39の形状は図3、図4に例示されたものに限定されない。要するに、楔形状部14の、第二の貫通孔15の中心軸C2に沿った厚さが、第二の貫通孔15の中心軸C2に近接するに連れて連続的に厚くなる(D2 < D3)ように形成され、また同様に、楔形空間39の、内面33A及び34Aの離間距離が、ねじ孔40の中心軸C1に近接するにつれて連続的に広がって(D4 < D5)いればよい。
このため例えば図3、図4のような片テーパ構造に代えて図14に例示するような両テーパ構造としてもよい。ここでは、挟持壁33の内面33Aに、図示上り勾配の傾斜面43Bが形成され、挟持壁34の内面34Aに、図示下り勾配の傾斜面43Aが形成される。同様にしてバンパフランジ12には、その上面に図示上り勾配の傾斜面16Bが形成され、下面には図示下り勾配の傾斜面16Aが形成される。
後述するように、フロントバンパ10のフロントフェンダ20への締結プロセスでは、楔形空間39が狭められて楔形状部14が移動される。これによりフロントバンパ10がリテーナ30及びフロントフェンダ20に対して相対移動する。この相対移動の終点を、バンパフランジ12の先端部13が、リテーナ30の接続壁35に当接した時点としてもよい。言い換えると、接続壁35を、バンパフランジ12の移動を止めるストッパとして機能させてもよい。
この場合、例えば図4に例示されるように、まず、接続壁35の内面35Aを起点としてフェンダフランジ22の延設方向に沿った直線L1の、フロントフェンダ20の意匠面24からの延長線L2との交点bまでの距離W1を定める。さらに、バンパフランジ12の先端部13の末端(前端)を起点としてバンパフランジ12の延設方向に沿った直線L3の、フロントバンパ10の意匠面17との交点cまでの距離W2を定める。これらの距離W1,W2が等しくなるように、バンパフランジ12及びリテーナ30が形成される。
このようにバンパフランジ12及びリテーナ30を形成することで、バンパフランジ12の先端部13が接続壁35に当接した際に、フロントフェンダ20の意匠面24とフロントバンパ10の意匠面17とが面一に位置合わせされる。
図2を参照して、ねじ50は、リテーナ30の第一の貫通孔38、及び、バンパフランジ12の第二の貫通孔15を経由して、ねじ孔40に螺入される。ねじ50はタッピングねじであってよく、ねじ50の螺入に伴ってねじ孔40の内周面にねじ孔が切られる。
<フロントバンパの締結プロセス>
図6~図9を参照して、本実施形態に係るバンパ締結構造による、フロントバンパ10の締結プロセスを説明する。まず、フェンダフランジ22の嵌合孔23に、リテーナ30の固定爪32及びガイドピン36(図2参照)が嵌め込まれる。これによりリテーナ30がフェンダフランジ22に固定される。
次に図6に例示するように、フロントバンパ10末端のバンパフランジ12がリテーナ30のU字形状の本体部31に差し込まれる。このとき、リテーナ30の挟持壁34が押し下げられ挟持壁33,34の間が広げられた状態で、バンパフランジ12が本体部31(挟持壁33,34の間)に差し込まれてもよい。
図7には、バンパフランジ12が挟持壁33,34に挟持され(くわえ込まれ)、かつ、ねじ50が螺入される前の仮固定の状態が例示される。このとき、バンパフランジ12の係合部である、第二の貫通孔15の内周面15Bがリテーナ30の仮固定突起41と係合されているため、リテーナ30から車幅方向(RW軸方向)にバンパフランジ12が抜けることが抑制される。
また図7に例示されるように、第二の貫通孔15の内周面15Bと仮固定突起41の外周面41Aとは車幅方向に離間される。したがって、その離間分(D1分)、バンパフランジ12はリテーナ30及びリテーナ30が固定されたフロントフェンダ20に対して相対移動可能となる。
図8を参照して、仮固定状態のリテーナ30及びバンパフランジ12にねじ50が螺入される。ねじ50は下から上に螺入され、リテーナ30の第一の貫通孔38及びバンパフランジ12の第二の貫通孔15を経由してねじ孔40に螺入される。またこの螺入に際して、座面圧を分散するとともに座面積を拡大させるために、ワッシャ60を介してねじ50をねじ孔40に螺入させてもよい。
ねじ50の螺入により固定爪32が拡径され、フェンダフランジ22との締結が強固になる。また、ねじ50の螺入によりリテーナの挟持壁33,34及びこれらに挟持されたバンパフランジ12が締め付けられる。図9に例示されるように、挟持壁33,34の締め付けに応じて楔形空間39が狭められ、これに応じてバンパフランジ12の楔形状部14がねじ孔40側(接続壁35側)に押し出される。その結果、フロントフェンダ20に対してフロントバンパ10が相対移動し、フロントフェンダ20の意匠面24とフロントバンパ10の意匠面17とが車幅方向に相対移動する。
このように、本実施形態に係るバンパ締結構造では、ねじ50の締め込みに応じて、フロントフェンダ20の意匠面24とフロントバンパ10の意匠面17とを位置合わせできる。言い換えると、ねじ50の締め付けトルクに応じて、意匠面17,24の相対位置を調整可能となる。
締め付けトルクとフロントバンパ10の移動量との関係がシミュレーション等によって既知であるならば、意匠面17,24の位置合わせをねじ50の締め付けトルク管理によって行うことができる。例えば、仮固定状態(図7参照)における、フロントフェンダ20の意匠面24からの、フロントバンパ10の意匠面17の突出量D8を求める。さらに突出量D8に対応する締め付けトルク値を求めて、これをトルクレンチの締め付けトルクの上限値として設定する。設定後のトルクレンチを用いてねじ50をねじ孔40に螺入させることで、意匠面17,24を面一に位置合わせ可能となる。
または、バンパフランジ12の先端部13を接続壁35に当接させるまで移動させて、これによって意匠面17,24の位置合わせを行ってもよい。言い換えると、接続壁35を、バンパフランジ12の移動を止めるストッパとして機能させてもよい。
上述したように、図4に示す距離W1と距離W2とを等しくすることで、バンパフランジ12の先端部13が接続壁35に当接したときに、意匠面17,24が面一に位置合わせされる。この位置合わせ方法によれば、締め付けトルクの管理を厳格に行う必要がなくなり、例えば目視にてバンパフランジ12の先端部13が接続壁35に当接したことをもって、意匠面17,24の位置合わせが完了される。
<その他の実施形態>
図1~図14では、フェンダフランジ22に対して垂直に固定爪32を設け、ねじ孔40、第一の貫通孔38、及び第二の貫通孔15の中心軸をフェンダフランジ22に対して垂直に設けていたが、この形態に限らない。要するにねじ50による締め込みで楔形状部14が移動すればよいのであるから、例えば図15に例示するように、フェンダフランジ22に対して固定爪32を非垂直に設け、さらにねじ孔40、第一の貫通孔38、及び第二の貫通孔15の中心軸もフェンダフランジ22に対して非垂直に設けてもよい。
10 フロントバンパ、11 バンパ本体、12 バンパフランジ、13 バンパフランジの先端部、14 楔形状部、15 第二の貫通孔、15B 第二の貫通孔の内周面(係合部)、16 楔形状部の傾斜面、17 バンパの意匠面、20 フロントフェンダ、21 フェンダ本体、22 フェンダフランジ、23 フェンダフランジの嵌合孔、24 フェンダの意匠面、30 リテーナ、31 本体部、32 固定爪、33,34 挟持壁、33A,34A 挟持壁の内面、33B,34B 挟持壁の外面、35 接続壁、38 第一の貫通孔、39 楔形空間、40 ねじ孔、41,42 仮固定突起、41A 仮固定突起の外周面、43 楔形空間の傾斜面、50 ねじ。

Claims (3)

  1. 保持部材であるリテーナを介して、バンパをフェンダに締結させる、バンパ締結構造であって、
    前記リテーナは、
    前記バンパの末端部であるバンパフランジを挟持する一対の挟持壁と当該一対の挟持壁を接続する接続壁を有するU字形状の本体部と、
    一方の前記挟持壁の外面から突設され、前記フェンダの末端部であるフェンダフランジに形成された嵌合孔に嵌め込まれる固定爪と、
    を備え、
    前記固定爪には、前記固定爪の突設方向に穿孔されたねじ孔が形成され
    他方の前記挟持壁には、前記ねじ孔の延長線上に穿孔された第一の貫通孔が形成され、
    一対の前記挟持壁の少なくとも一つの内面には、前記ねじ孔又は前記第一の貫通孔を囲むように仮固定突起が突設され、
    一対の前記挟持壁の少なくとも一つの前記内面は傾斜面を含み、一対の前記挟持壁の前記内面間の離間距離が、前記ねじ孔に近接するに連れて広がる楔形空間が形成され、
    前記バンパフランジは、
    一対の前記挟持壁の延設方向に間隔が空いた状態で前記仮固定突起が挿入されるとともに、前記ねじ孔及び前記第一の貫通孔に位置合わせされる第二の貫通孔と
    前記第二の貫通孔の中心軸方向に沿った厚さが、前記第二の貫通孔に近接するに連れて厚くなる、前記楔形空間に対応する楔形状部と、
    が形成され、
    前記第一及び第二の貫通孔を経由して前記ねじ孔に螺入され、前記固定爪を拡径させるとともに、一対の前記挟持壁及びこれらに挟持された前記バンパフランジを締め付けるねじを備える、
    バンパ締結構造。
  2. 請求項1に記載のバンパ締結構造であって、
    前記仮固定突起は前記ねじ孔を囲むように突設された円筒状の突起であって
    前記第二の貫通孔の内径は前記仮固定突起の外径よりも大きい、
    バンパ締結構造。
  3. 請求項1または2に記載のバンパ締結構造であって、
    前記バンパは、前記バンパフランジの一端に接続され意匠面を有するバンパ本体を備え、前記バンパフランジの他端が、前記リテーナの前記接続壁と対向する先端部となり、
    前記フェンダは、前記フェンダフランジの一端に接続され意匠面を有するフェンダ本体を備え、
    前記リテーナの前記接続壁に前記バンパフランジの前記先端部が当接したときに、前記バンパ本体と前記フェンダ本体の前記意匠面が位置合わせされる、
    バンパ締結構造。
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