JP5896978B2 - ピンニング工法 - Google Patents

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Description

本発明は、外壁や内壁等の壁体を補修するためのピンニング工法に関するものである。
従来、この種のピンニング工法として、「浮き」が生じたタイル張りの外壁を補修するものが知られている(特許文献1参照)。この補修対象となる外壁は、コンクリート躯体と、コンクリート躯体の上に張り付けた下地モルタルと、下地モルタルの上に張り付けた張付けモルタルと、張付けモルタルの上に張り付けたタイルとから成り、これら壁材の界面に「浮き」が生じた場合に、ピンニング工法による補修が行われる。
このピンニング工法は、「浮き」が生じた外壁の要補修箇所に対し、タイルおよび両モルタルを貫通し且つコンクリート躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、探査治具により浮き部の有無と、挿填穴の深さおよび壁材の境界部分に生じた浮き部を探査する探査工程と、挿填穴の最深部および複数の浮き部に合わせた長さのノズル筒を有する接着剤注入器を準備する注入器準備工程と、これら接着剤注入器を用いて、挿填穴および浮き部に接着剤を注入する接着剤注入工程と、挿填穴にアンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えている。
特開2007−46231号公報
このような、従来のピンニング工法は、一般的な圧着張りによるタイル張りの壁体には、適切な工法となるが、ダンゴ張りや金具留めによる石材や大型タイルの壁体には、不適切な工法となるおそれがある。すなわち、張付け材(モルタルや接着剤)を点状(島状)或いは帯状(ビード状)に盛り付けて、石材や大型タイルを張り付けるダンゴ張りやビード張り、或いはレールやスリットファスナーによる金具留め等では、張付け材や金具の無い空隙部分が存在するため、浮き(剥離)が生じている部分(張付け部分)を、打診により特定することが難しい問題がある。すなわち、アンカーピンを打つべき要補修箇所が正確に把握できない。一方、空隙部分にピンニングを実施すると、注入した接着剤が空隙部分に流れ出てしまい、接着剤による接着機能が損なわれる問題がある。
本発明は、躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた壁体に対し、適切に補修を行うことができるピンニング工法を提供することを課題としている。
本発明のピンニング工法は、躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、保持材から外れた空隙領域に、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、挿填穴に対応する径の筒状体を、前記挿填穴に装着する装着工程と、挿填穴および筒状体の内部に接着剤を注入する注入工程と、を備えたことを特徴とする。
この場合、装着工程では、筒状体を仕上げ材および躯体間に渡すように装着することが好ましい。
この構成によれば、筒状体を、好ましくは仕上げ材および躯体間に渡すように挿填穴に装着すると共に、挿填穴および筒状体の内部に接着剤を注入するようにしているため、筒状体の内部が接着剤で満たされると共に、挿填穴と筒状体とが接着剤により接着される。すなわち、接着剤により、筒状体を芯として躯体と仕上げ材とが一体化される。また、注入した接着剤が筒状体に保持され、空隙領域に無駄に液だれすることがない。したがって、躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた壁体に対し、適切な補修を行うことができる。なお、保持材は、湿式工法における点状または帯状に盛り付けた張付け材や、乾式工法における保持金具が、これに相当する。
これらの場合、筒状体を介して、アンカーピンを挿填穴に挿填する挿填工程、を更に備えることが好ましい。
この構成によれば、接着剤により、アンカーピンおよび筒状体を介して、躯体と仕上げ材とを一体化させることができる。したがって、仕上げ材を躯体に強固に接着することができる。
これらの場合、筒状体には、メッシュ状の多数の透孔が形成され、注入工程では、接着剤を、挿填穴および筒状体の内部に注入すると共に、多数の透孔から流出させて筒状体の外周面に囲繞するように付着させることが好ましい。
この構成によれば、挿填穴および筒状体の内部に注入した接着剤に加え、筒状体の外周面に囲繞するように付着させた接着剤により、仕上げ材を躯体に直接接着することができる。これにより、躯体に対する仕上げ材の接着強度(張付け強度)を向上させることができる。
この場合、注入工程では、接着剤を、筒状体を芯材とする、仕上げ材および躯体間のスペーサー様に付着させることが好ましい。
この構成によれば、仕上げ材および躯体間のスペーサー様に付着させた接着剤により、壁体に対する仕上げ材の接着強度を、より一層向上させることができる。なお、メッシュ状の多数の透孔は、外側に流出した接着剤が、個々の透孔を通過した直後に融合するような、配置や大きさであることが好ましい。
また、筒状体は、円筒状に形成したネット材で構成されていることが好ましい。
同様に、筒状体は、円筒状に形成したパンチング材で構成されていることが好ましい。
これらの構成によれば、外側に流出した接着剤が、個々の透孔を通過した直後に融合し易く、接着剤を、液だれを抑制しつつ筒状体の周囲に円筒状(スペーサー様)に付着させることができる。また、筒状体を簡単な構造のものとすることができる。
また、筒状体には、螺旋状のスリットが形成され、注入工程では、接着剤を、挿填穴および筒状体の内部に注入すると共に、スリットから流出させて筒状体の外周面に囲繞するように付着させることが好ましい。
この構成によれば、挿填穴および筒状体の内部に注入した接着剤に加え、筒状体の外周面に囲繞するように付着させた接着剤により、仕上げ材を躯体に直接接着することができる。これにより、躯体に対する仕上げ材の接着強度(張付け強度)を向上させることができる。
この場合、注入工程では、接着剤を、筒状体を芯材とする、仕上げ材および躯体間のスペーサー様に付着させることが好ましい。
この構成によれば、仕上げ材および躯体間のスペーサー様に付着させた接着剤により、壁体に対する仕上げ材の接着強度を、より一層向上させることができる。なお、螺旋状のスリットは、外側に流出した接着剤が、スリットを通過した直後に融合するような、配置や大きさであることが好ましい。
そして、筒状体は、円筒状のコイルスプリングで構成されていることが好ましい。
この構成によれば、外側に流出した接着剤が、スリットを通過した直後に融合し易く、接着剤を、液だれを抑制しつつ筒状体の周囲に円筒状(スペーサー様)に付着させることができる。また、筒状体を極めて簡単な構造のものとすることができる。
また、筒状体には、空隙領域に臨む躯体側の周方向部位および仕上げ材側の周方向部位に、切起こしにより複数の開口および複数の開口を存して起立した複数の鰭片がそれぞれ形成され、注入工程では、接着剤を、挿填穴および筒状体の内部に注入すると共に、それぞれの複数の開口から流出させて、躯体の表面および仕上げ材の裏面にはみ出させることが好ましい。
この構成によれば、挿填穴および筒状体の内部に注入した接着剤に加え、躯体の表面および仕上げ材の裏面にはみ出すように付着させた接着剤により、仕上げ材を、筒状体を介して躯体に接着することができる。これにより、躯体に対する仕上げ材の接着強度(張付け強度)を向上させることができる。なお、躯体の表面および仕上げ材の裏面にはみ出した接着剤が、鰭片を囲繞する程度に接着剤の注入が行われることが好ましい。
一方、アンカーピンは、皿状の頭部を有する全ねじピンで構成され、注入工程の後に挿填工程を行い、穿孔工程では、挿填穴を形成した後、球形のドリルビットにより挿填穴の開口部を皿もみしてザグリ部を形成し、挿填工程では、アンカーピンの挿填に際し、頭部の表面と仕上げ材の表面とが面一になるように、頭部をザグリ部に嵌合することが好ましい。
この構成によれば、球形のドリルビットにより挿填穴の開口部を皿もみしてザグリ部を形成するようにしているため、熟練を要することなく、所定の径のザグリ部を形成することができる。したがって、ザグリ部と同径の頭部を有するアンカーピン(ザグリ部に嵌合)を用いることで、アンカーピンを目立たないように施工(仕上)することができる。なお、アンカーピンの頭部表面を、仕上げ材と同色に着色しておくことが好ましい。
また、アンカーピンは、注入口付アンカーピンで構成され、注入工程の前に挿填工程を行い、挿填工程では、アンカーピンを挿填穴に挿填し且つ打ち込みによりアンカリングを行い、注入工程では、接着剤を、アンカーピンを介して挿填穴および筒状体の内部に注入することが好ましい。
この構成によれば、打ち込みにより、アンカーピンを躯体に物理的に固定することができる。これにより、アンカーピンを、躯体に強固にアンカリングすることができると共に、アンカーピンおよび筒状体を介して、仕上げ材を躯体に強固に接着することができる。したがって、仕上げ材の躯体への接着強度(張付け強度)を向上させることができる。
本発明の他のピンニング工法は、躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、保持材から外れた空隙領域に、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、挿填穴に対応する筒状体を、仕上げ材および躯体間に渡すように挿填穴に装着する装着工程と、接着剤を、筒状体の内部に注入すると共に外周面に回り込ませ、躯体側の挿填穴と筒状体との間隙から躯体の表面にはみ出させ、且つ仕上げ材側の挿填穴と筒状体との間隙から仕上げ材の裏面にはみ出させる注入工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、筒状体の内部が接着剤で満たされると共に、挿填穴と筒状体とが接着剤により接着される。さらに、躯体の表面が筒状体に接着されると共に、仕上げ材の裏面が筒状体に接着される。これにより、筒状体および接着剤を介して、躯体と仕上げ材とを一体化させることができる。また、注入した接着剤が、空隙領域に無駄に液だれすることがない。したがって、躯体に、点状または帯状に盛り付けた張付け材を介して仕上げ材が張り付けられた壁体に対し、適切な補修を行うことができる。なお、加えてアンカーピンの挿填工程を実施してもよい。
この場合、筒状体は、躯体側の挿填穴に面する部分および仕上げ材側の挿填穴に面する部分に、それぞれ複数の切欠き、複数のスリットおよび複数の貫通孔のうちのいずれかを有することが好ましい。
この構成によれば、筒状体の内部に注入された接着剤を、筒状体の外周面に効率良く回り込ませることができる。したがって、接着剤を、上記所望の部分に適切に行き渡らせることができると共に、所望の部分に適切に付着させることができる。
本発明の他のピンニング工法は、躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、保持材から外れた空隙領域に、仕上げ材を穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、メッシュ状の多数の透孔を形成した筒状体を、躯体に突き当てるように挿填穴に装着する装着工程と、挿填穴および筒状体の内部に接着剤を注入すると共に、注入した接着剤を、多数の透孔から流出させて筒状体の外周面に囲繞するように付着させる注入工程と、を備えたことを特徴とする。
同様に、本発明の他のピンニング工法は、躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、保持材から外れた空隙領域に、仕上げ材を穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、螺旋状のスリットを形成した筒状体を、躯体に突き当てるように挿填穴に装着する装着工程と、挿填穴および筒状体の内部に接着剤を注入すると共に、注入した接着剤を、スリットから流出させて筒状体の外周面に囲繞するように付着させる注入工程と、を備えたことを特徴とする。
これらの構成によれば、筒状体の内外に付着する接着剤により、躯体と仕上げ材との間に、筒状体を芯材とする接着剤の柱状体を構成することができる。すなわち、接着剤で構成されたこの柱状体により、躯体と仕上げ材とを一体化させることができる。また、注入した接着剤が、空隙領域に無駄に液だれすることがない。したがって、躯体に、点状または帯状に盛り付けた張付け材を介して仕上げ材が張り付けられた壁体に対し、適切な補修を行うことができる。なお、加えてアンカーピンの挿填工程を実施してもよい。
そして、仕上げ材が、石材および大型タイルのいずれかであることが好ましい。
この構成によれば、いわゆるダンゴ張りやビード張り、或いは金具留め等の石材や大型タイルを、躯体に対し適切に且つ効率良くアンカリング(ピンニング)することができる。
実施形態のピンニング工法を実施した壁体の正面図である。 第1実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。 アンカーピンおよび筒状体の分解斜視図である。 第1実施形態の変形例に係る筒状体の斜視図である。 第1実施形態のピンニング工法における施工手順(1)を表した断面図である。 第1実施形態のピンニング工法における施工手順(2)を表した断面図である。 第1実施形態の変形例に係るピンニング工法を説明する断面図である。 第2実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。 注入口付アンカーピンおよび筒状体の分解斜視図である。 第2実施形態のピンニング工法における施工手順を表した断面図である。 第3実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。 第4実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。 第5実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。 第5実施形態の変形例に係る筒状体の斜視図である。 第6実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。 第1実施形態のピンニング工法をレール工法の壁体に適用した第1適用例の断面図である。 第1実施形態のピンニング工法をスリットファスナー工法の壁体に適用した第2適用例の断面図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るピンニング工法について説明する。ピンニング工法(アンカーピンニング工法)は、タイルや石材等の仕上げ材に「浮き」(剥離)が生じた、外壁や吹き抜け・ホールの内壁等の壁体を補修するものである。実施形態のピンニング工法は、一般的なタイルと異なり、その大きさ(重量)に起因して特異な張付け形態を執る石材や大型タイルを対象とするものであり、以下、石材を仕上げ材とした壁体を補修する場合について説明する。
図1は、本実施形態のピンニング工法を実施した壁体の正面図であり、図2は、第1実施形態のピンニング工法を説明する断面図である。両図に示すように、壁体1(既設)は、例えば下地となるコンクリート躯体2と、コンクリート躯体2の表面に塗り付けた下地モルタル3と、張付け材4(保持材)を介して下地モルタル3の表面に張り付けた石材5(仕上げ材)と、を有している。なお、請求項に言う「躯体」は、上記のコンクリート躯体2と下地モルタル3とを合わせた概念である。石材5は、いわゆるダンゴ張りでコンクリート躯体2(下地モルタル3)に張り付けられている(湿式工法)。すなわち、石材5は、その裏面の5か所に点状(島状)に張付け材4を盛り付け、この状態で下地モルタル3に張り付けられている。
したがって、石材5と下地モルタル3との間には、5か所に設けた張付け材4と、張付け材4を除く空隙領域6とが生じている。また、張り付けられた石材5の相互間には、バックアップ材7を存して目地8が設けられている。そして、一部の張付け材4と石材5との間、或いは一部の張付け材4と下地モルタル3との間に剥離(「浮き」)が生じているものとする。そこで、本実施形態では、上記の空隙領域6を狙って、1の石材5につき4か所にピンニングを実施するものとする。なお、石材5には、規格石(大理石や花崗岩等)、テラゾ、テラコッタ、擬石等が含まれ、張付け材4には、モルタル、接着剤、漆喰等が含まれる。
図2に示すように、第1実施形態のピンニング工法では、先ず空隙領域6に位置して、コンクリート躯体2に達する挿填穴11が形成される。続いて、挿填穴11に、接着剤Rが注入され、さらにアンカーピン12が挿填される。単純にこの作業を行うと、注入された接着剤Rは、空隙領域6内に液だれしてしまうため、本実施形態では、接着剤Rを注入する前に、この無駄な液だれを防止すべく、挿填穴11にネット状の筒状体13を装着するようにしている。
図3は、アンカーピン12および筒状体13を表している。同図に示すように、アンカーピン12は、皿状の頭部12aを有する全ねじピンで構成されている。アンカーピン12は、例えばステンレス等で形成され、頭部12aの表面は、石材5の表面と同色に着色されている。アンカーピン12の頭部12aは、後述する挿填穴11のザグリ部14に嵌合すると共に、その表面は、石材5の表面と面一となるように挿填穴11に挿填される。これにより、施工後のアンカーピン12は、石材5の表面において、極端に目立たないものとなる。
筒状体13は、その全域にメッシュ状の多数の透孔13aを有するものであり、実施形態のものは、ネット材を挿填穴11の径に合わせて(挿填穴11の径より僅かに小径)筒状に形成したものである。また、筒状体13の長さは、挿填穴11の高さより僅かに短く形成されている。具体的には、筒状体13の長さは、穴底に突き当てるように挿填穴11に装着したときに、石材5およびコンクリート躯体2間に渡るように、且つ挿填穴11に挿填したアンカーピン12の頭部12aと抵触しないように形成されている。なお、筒状体13は、ステンレス等の金属、或いは樹脂で構成されている。
多数の透孔13aは、筒状体13の内部に注入した接着剤Rを、筒状体13の外側に導いて筒状体13の外周面に付着させることを意図したものである。したがって、多数の透孔13aを通過した直後の接着剤Rが相互に融合し一体化するように、接着剤Rの粘性と併せてそのメッシュの番手が定められている。これにより、筒状体13の外周面に押し出された接着剤Rは、一体化して筒状体13の外周面に均一に付着する。すなわち、接着剤Rは、筒状体13の外周面において、石材5とコンクリート躯体2(下地モルタル3)との間に設けたスペーサー様に付着する。なお、筒状体13は、挿填穴11の装着を円滑に行うべく、有底の円筒状であってもよい。また、筒状体13は、円筒でなくてもよく、例えば断面多角形等の筒状であってもよい。
次に、図4を参照して、筒状体13の変形例について説明する。
図4(a)の筒状体13Aは、ネット部13bの両端に、ネット部13bのバラケを防止する筒枠部13cを設けたものである。筒枠部13cにより、ネット部13bの形状が保持されると共に、挿填穴11の装着(投入)を円滑に行うことができる。
図4(b)の筒状体13Bは、円筒状に形成したパンチング材で構成されている。この場合も、多数の透孔13aを通過した直後の接着剤Rが相互に融合し一体化するように、接着剤Rの粘性と併せてそのメッシュの番手が定められている。なお、これらの筒状体13,13A,13Bにおいて、接着剤Rに液だれを考慮し、上側半部にのみ多数の透孔13aを形成するようにしてもよい。
一方、図4(c)の筒状体13C、円筒状のコイルスプリングで構成されている。この筒状体13Cでは、コイルスプリングを構成すべく、線材を螺旋状に折り曲げ形成しているため、螺旋状の線材に添って螺旋状のスリット13dが形成されている。この場合も、スリット13dを通過した直後の接着剤Rが相互に融合し一体化するように、接着剤Rの粘性と併せて線材の径および線材間の間隙幅が定められている。なお、筒状体13Cは、コイルスプリングに代えて、金属製或いは樹脂製の筒体に螺旋状のスリット13dが形成したものであってもよい。
ここで、図5および図6を参照して、第1実施形態のピンニング工法における施工手順について説明する。このピンニング工法は、空隙領域6に、石材5を貫通し且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔して挿填穴11を形成すると共に、穿孔した挿填穴11の開口部にザグリ部14を形成する穿孔工程(図5(a)および(b))と、筒状体13を、石材5およびコンクリート躯体2(および下地モルタル3)間に渡すように挿填穴11に装着する装着工程(図5(c))と、挿填穴11および筒状体13の内部に接着剤Rを注入する注入工程(図6(a))と、筒状体13を介して、アンカーピン12を挿填穴11に挿填する挿填工程(図6(b))と、を備えている。
穿孔工程では、穿孔装置21を用いて挿填穴を穿孔する。穿孔装置21は、例えば電動ドリル(図示省略)に、シャンク部23と切刃部24とから成るダイヤモンドビット22を装着して構成されている。ダイヤモンドビット22を石材5のマーキング箇所に当てがい、電動ドリルによりダイヤモンドビット22を回転させて穿孔を行う(図5(a)参照)。穿孔は、石材5に直角に且つ石材5を貫通してコンクリート躯体2の所定の深さ(25〜30mm)に達するように行う。なお、このダイヤモンドビット22では、シャンク部23を介して切刃部24に冷却液を供給するようにしている。
次に、電動ドリルにダイヤモンドビット22に代えて球形ビット25(ダイヤモンド)を装着し、挿填穴11の開口部にザグリ部14を形成する(図5(b)参照)。球形ビット25は、アンカーピン12の頭部12aの径と同径に形成されおり、皿もみの要領でザグリ部14が形成される。
装着工程では、筒状体13を開口部から差し込んで挿填穴11に装着する。この場合、差し込んだ筒状体13を挿填穴11の穴底に突き当てるようにする(図5(c)参照)。この状態で、筒状体13は、石材5とコンクリート躯体2(および下地モルタル3)との間に渡された状態となる。
注入工程では、手動式の樹脂注入器27を用いて接着剤Rの注入を行う。樹脂注入器27は、注入器本体(図示省略)と、注入器本体に進退操作可能に設けられた注入ノズル28と、注入の際に挿填穴11の開口部を封止するテーパー状の封止部29とを有している。封止部29により挿填穴11の開口部を封止した状態で、注入ノズル28を挿填穴11の最深部まで差し入れて、ポンピングにより接着剤Rの注入を行う(図6(a)参照)。ポンピングを開始すると、接着剤Rは、挿填穴11の最深部(筒状体13の先端部)から充填されてゆき、筒状体13の内部全体に充填される。さらにポンピングを続行すると、接着剤Rは、筒状体13からにじみ出るようにその外側に流出してゆく。
このとき、石材5側の挿填穴11およびコンクリート躯体2側の挿填穴11では、筒状体13からにじみ出た接着剤Rにより、挿填穴11と筒状体13との間隙が満たされる。また、筒状体13の空隙領域6に面する部分からにじみ出た接着剤Rは、筒状体13の外周面に膨らみを持って付着する。これにより、石材5とコンクリート躯体2(下地モルタル3)との間に接着剤Rの柱ができる。なお、空隙領域6が広い場合には、接着剤Rが筒状体13の内部全体に充填されたところで(実際には、ポンピング回数で推し量る)、注入ノズル28を空隙領域6の位置まで後退させて注入を行うことが好ましい(図6(a)参照)。また、空隙領域6において、小刻みに後退および注入を繰り返してもよい。
挿填工程では、注入ノズル28を引き抜いた後、挿填穴11(筒状体13)にアンカーピン12を挿入する。アンカーピン12を挿入してゆき、その頭部12aがザグリ部14の近傍に達したら、頭部12aにヘラ30等を突き当て、頭部12aの表面と石材5の表面とが面一になるように押し込む(図6(b)参照)。以降、接着剤Rが硬化するまで養生を行う。
このように、第1実施形態のピンニング工法によれば、ネット状の筒状体13を石材5およびコンクリート躯体2間に渡すように挿填穴11に装着すると共に、挿填穴11および筒状体13の内部に接着剤Rを注入し且つ筒状体13の外周面に接着剤Rを行き渡らせるようにしている。これにより、筒状体13およびアンカーピン12を心材とする接着剤Rの柱状体が形成され、この柱状体により、石材5がコンクリート躯体2(下地モルタル3)にアンカリングされる。また、注入した接着剤Rが筒状体13に保持され、空隙領域6に無駄に液だれすることがない。したがって、コンクリート躯体2に対する石材5の接着強度(張付け強度)を向上させることができ、ダンゴ張り等の特殊な張付け形態の壁体1に対し、適切な補修を行うことができる。
図7は、第1実施形態の変形例に係るピンニング工法を表している。この変形例では、第1実施形態の筒状体13に比して、十分に短い筒状体13が用いられている。すなわち、挿填穴11の穴底に突き当てるように装着した筒状体13は、第1実施形態のように、石材5とコンクリート躯体2(および下地モルタル3)との間に渡される程度に長くなく、基端が空隙領域6に位置する。このような構成でも、接着剤Rを注入すると、その粘性により石材5とコンクリート躯体2(下地モルタル3)との間に接着剤Rの柱ができる。なお、筒状体13は、その先端が空隙領域6に位置するように、挿填穴11の開口部側に装着するものであってもよい。
この変形例でも、筒状体13およびアンカーピン12を心材とする接着剤Rの柱状体が形成され、この柱状体により、石材5がコンクリート躯体2(下地モルタル3)にアンカリングされる。また、注入した接着剤Rが筒状体13に保持され、空隙領域6に無駄に液だれすることがない。したがって、コンクリート躯体2に対する石材5の接着強度(張付け強度)を向上させることができ、ダンゴ張り等の特殊な張付け形態の壁体1に対し、適切な補修を行うことができる。なお、図4の筒状体13A,13B,13Cにおいても、短く形成することが可能である。
次に、図8を参照して、第2実施形態に係るピンニング工法について説明する。同図に示すように、このピンニング工法では、上記全ねじのアンカーピン12に代えて、注入口付アンカーピン16を用いるようにしている。また、筒状体13は、第1実施形態(変形例を含む)と同一のものが用いられる。
図9に示すように、注入口付アンカーピン16は、本体筒状部42および拡開部43を有し、挿填穴11にアンカリングされる筒状アンカー41と、筒状アンカー41に打ち込まれ拡開部43を押し広げる拡張コーン44と、拡開部43と拡張コーン44との間に介設された拡張カラー45と、を備えている。すなわち、実施形態の注入口付アンカーピン16は、一般的な注入口付アンカーピンに、拡張カラー45を付加した構造を有している。この場合も、注入口付アンカーピン16は、ステンレス等で構成されている。
筒状アンカー41の拡開部43には、2つの割スリット46が形成され、本体筒状部42には、2つの連通スリット47が形成されている。割スリット46は、拡開部43の拡開に寄与すると共に接着剤Rの流出開口となる。同様に、連通スリット47も接着剤Rの流出開口となる。また、拡張カラー45には、拡張コーン44側から切り込んだ複数のスリット部48が形成されている。拡張コーン44を打ち込むと、拡張カラー45が拡開し、この拡張カラー45が拡開力を受けて筒状アンカー41の拡開部43が拡開する。
次に、図10を参照して、第2実施形態のピンニング工法における施工手順について説明する。このピンニング工法は、第1実施形態と同様の穿孔工程(図5(a)および(b))および装着工程(図5(c))を備えると共に、注入口付アンカーピン16を挿填穴11に挿填すると共に、打ち込みにより注入口付アンカーピン16のアンカリングを行う挿填工程(図10(a))と、接着剤Rを、注入口付アンカーピン16を介して挿填穴11および筒状体13の内部に注入する注入工程(図10(b))と、ザグリ部14を封止するキャッピング工程(図10(c))と、を備えている。ここでは、第1実施形態と同様となる穿孔工程および装着工程の説明は省略する。
挿填工程では、挿填穴11(筒状体13)に注入口付アンカーピン16を挿入し、打込み工具51を用いて拡張コーン44を打ち込む。拡張コーン44を打ち込むと、穴底に突き当たった拡張カラー45が拡開し、同時に筒状アンカー41の拡開部43が拡開する(図10(a)参照)。そして、拡開した拡開部43は、筒状体13を挟んで挿填穴11に圧接される。これにより、注入口付アンカーピン16および筒状体13が、コンクリート躯体2に物理的にアンカリングされる。なお、コンクリート躯体2側の挿填穴11にのみ接着剤Rを注入してから、挿填工程を行ってもよい。
注入工程では、上記の注入ノズル28を注入口付アンカーピン16に差し込み、ポンピングにより接着剤Rの注入を行う(図10(b)参照)。注入された接着剤Rは、注入口付アンカーピン16の内部を満たし、割スリット46および連通スリット47から注入口付アンカーピン16の外部に流出してゆく。さらにポンピングを続行すると、接着剤Rは、筒状体13の内部全体に充填され、さらに筒状体13からにじみ出るようにその外側に流出してゆく。そして、第1実施形態と同様に、にじみ出た接着剤Rは、挿填穴11と筒状体13との間隙が満たされると共に、筒状体13の外周面に膨らみを持って付着する。これにより、石材5とコンクリート躯体2(下地モルタル3)との間に接着剤Rの柱ができる。
キャッピング工程では、注入ノズル28を引き抜いた後、注入口付アンカーピン16の注入口部分に嵌合するように、化粧キャップ49を装着する。化粧キャップ49は、ザグリ部14と同径に形成され、その表面は石材5の表面と同色に着色されている。この場合も、第1実施形態と同様に、化粧キャップ49にヘラ30等を突き当て、化粧キャップ49の表面と石材5の表面とが面一になるように、これをザグリ部14に押し入れる(図10(c)参照)。
このように、第2実施形態のピンニング工法によれば、接着剤Rの柱状体により、加えて注入口付アンカーピン16により、石材5がコンクリート躯体2(下地モルタル3)にアンカリングされる。これにより、コンクリート躯体2に対する石材5の接着強度(張付け強度)を向上させることができ、この種の壁体1を適切に補修することができる。なお、この実施形態において、拡張カラー45の無い通常の注入口付アンカーピンを用いることも可能である。
次に、図11を参照して、第3実施形態に係るピンニング工法について説明する。同図に示すように、このピンニング工法では、アンカーピン12や注入口付アンカーピン16を省略した構成になっている。すなわち、第3実施形態のピンニング工法は、穿孔工程(図5(a)および(b)参照)と、装着工程(図5(c)参照)と、注入工程(図6(a)参照)と、キャッピング工程(図10(c)参照)と、を備えている。但し、この場合のキャッピング工程に用いる化粧キャップ53は、筒状体13に嵌合する形態のものを用いることが好ましい。
このように、第3実施形態のピンニング工法によれば、筒状体13を心材とする接着剤Rの柱状体により、石材5がコンクリート躯体2(下地モルタル3)にアンカリングされる。したがって、コンクリート躯体2に対する石材5の接着強度(張付け強度)を向上させることができ、この種の特殊な張付け形態を執る壁体1を、適切に補修することができる。
次に、図12を参照して、第4実施形態に係るピンニング工法について説明する。同図に示すように、このピンニング工法では、挿填穴11を石材5のみに形成し、装填穴11に装着する筒状体13をコンクリート躯体2(下地モルタル3)に突き当てるようにしている。したがって、筒状体13およびアンカーピン12は、第1実施形態のものに比して十分に短いものとなるが、施工手順は、第1実施形態と同様になる。なお、この第4実施形態においても、第3実施形態のようにアンカーピン12を省略することが可能である。
このように、第4実施形態のピンニング工法によれば、筒状体13を心材とする接着剤Rの柱状体により、石材5をコンクリート躯体2に強固に接着することができる。
次に、図13を参照して、第5実施形態に係るピンニング工法について説明する。同図に示すように、このピンニング工法では、多数の透孔13aの無い筒状体18が用いられている。第5実施形態に係るピンニング工法は、第1実施形態と同様に、穿孔工程(図5(a)および(b)参照)と、装着工程(図5(c)参照)と、注入工程(図6(a)参照)と、を備えている。
但し、この場合の注入工程では、多数の透孔13aの無い筒状体18を用いているため、接着剤Rは、筒状体18に充填された後、筒状体18の両端から筒状体18の外側に回り込むように流出する。すなわち、筒状体18の両端から流出した接着剤Rにより、コンクリート躯体2側の挿填穴11と筒状体18との間隙を満すと共に、石材5側の挿填穴11と筒状体18との間隙を満たすようにする。さらにポンピングを続行し、接着剤Rを、これらの間隙からコンクリート躯体2(実質上、下地モルタル3)の表面にはみ出させ、且つ石材5の裏面にはみ出させるようにする。これにより、下地モルタル3の表面には、筒状体18を中心に盛り上がるように接着剤Rが付着する。同様に、石材5の裏面には、筒状体18を中心に盛り上がるように接着剤Rが付着する。
次に、図14を参照して、上記の筒状体18の変形例について説明する。これら変形例は、接着剤Rの筒状体18の外側への回り込みを促進するものである。
図14(a)の筒状体18Aは、その両端部にそれぞれ外端から切り込んだ複数の切欠き部61(切欠き)が形成されている。
図14(b)の筒状体18Bは、その両端部にそれぞれ外端から切り込んだ複数のスリット開口61(スリット)が形成されている。
図14(c)の筒状体18Cは、その両端部にそれぞれ複数の小穴63(貫通孔)が形成されている。
これら複数の切欠き部61、複数のスリット開口62および複数の小穴63は、コンクリート躯体2側の挿填穴11に面する部分、および石材5側の挿填穴11に面する部分に形成されている。このため、筒状体18A、18B、18Cの外側に回り込んだ接着剤Rは、挿填穴11と筒状体18との間隙を満たした後、下地モルタル3の表面および石材5の裏面にはみ出す。なお、第1実施形態等のように、アンカーピン12(挿填工程)を設けるようにしてもよい。また、接着剤を、下地モルタル3の表面および石材5の裏面にはみ出させない構成であってもよい。
このように、第5実施形態のピンニング工法によれば、石材5は、挿填穴11と筒状体18との間の接着剤R、および石材5の裏面にはみ出した接着剤Rにより、筒状体18の先端側に強固に接着される。一方、筒状体18は、基端側において、挿填穴11と筒状体18との間の接着剤R、および下地モルタル3の表面にはみ出した接着剤Rにより、コンクリート躯体2に強固に接着される。これにより、コンクリート躯体2と石材5とを、一体化させることができる。
次に、図15を参照して、第6実施形態に係るピンニング工法について説明する。このピンニング工法は、第5実施形態で説明した接着剤のはみ出し(2箇所)を、円滑に且つ多量に行えるようにしたものである。同図に示すように、このピンニング工法では、複数の切起こし部分を有する筒状体19が用いられている。
筒状体19は、空隙領域6に臨むコンクリート躯体2(下地モルタル3)側の周方向部位および石材5側の周方向部位に、切起こしにより複数の開口65および複数の開口65を存して起立した複数の鰭片66をそれぞれ有している。より具体的には、筒状体19は、断面八角形を為す薄手の筒状に形成されている。そして、空隙領域6に臨む下地モルタル3側の周方向部位には、各辺に位置して(8箇所)、切起こしによる開口65および鰭片66が形成されている。この場合、下地モルタル3側に位置して開口65が形成され、且つこの開口65を存して鰭片66が起立するように形成されている。また、各鰭片66は、幾分下地モルタル3側に傾いている。そして、各鰭片66は弾力性を有しているため、筒状体19は、8つの鰭片66を開口65側に倒すようにすぼめて、挿填穴11に装填される。
同様に、空隙領域6に臨む石材5側の周方向部位には、各辺に位置して(8箇所)、切起こしによる開口65および鰭片66が形成されている。この場合、石材3側に位置して開口65が形成され、且つこの開口65を存して鰭片66が起立するように形成されている。また、各鰭片66は、幾分石材3側に傾いている。そして、各鰭片66は弾力性を有しているため、筒状体19を挿填穴11に装填すると、8つの鰭片66がいったん開口65側に倒れ、空隙領域6に達したところで開く。
第6実施形態に係るピンニング工法は、第5実施形態と同様に、穿孔工程(図5(a)および(b)参照)と、装着工程(図5(c)参照)と、注入工程(図6(a)参照)と、を備えている。
この場合の注入工程では、注入した接着剤Rは、筒状体19に充填されると共に、計16箇所の開口65から流出する。下地モルタル3側の8箇所の開口65からはみ出した接着剤Rは、8箇所の鰭片66に案内されて、下地モルタル3の表面に付着する。また、一部の接着剤Rは、鰭片66間の間隙からその背面側に回り込む。同様に、石材5側の8箇所の開口65からはみ出した接着剤Rは、8箇所の鰭片66に案内されて、石材5の表面に付着する。また、一部の接着剤Rは、鰭片66間の間隙からその背面側に回り込む。これにより、下地モルタル3の表面には、筒状体19を中心に冠球状に大きく盛り上がるように接着剤Rが付着する。同様に、石材5の裏面には、筒状体19を中心に冠球状に大きく盛り上がるように接着剤Rが付着する。
このように、第6実施形態のピンニング工法によれば、石材5は、挿填穴11と筒状体19との間の接着剤R、および石材5の裏面にはみ出した接着剤Rにより、筒状体19の先端側に強固に接着される。一方、筒状体19は、基端側において、挿填穴11と筒状体19との間の接着剤R、および下地モルタル3の表面にはみ出した接着剤Rにより、コンクリート躯体2に強固に接着される。これにより、コンクリート躯体2と石材5とを、一体化させることができる。
なお、本実施形態では、石材5がコンクリート躯体2にダンゴ張りされた壁体1の補修について説明したが、本発明は、張付け材4を帯状に盛り付けるビード張りの壁体1にも適用可能である。
以上の実施形態におけるピンニング工法は、いわゆる湿式工法で石材5が施工された壁体1に適用したものであるが、以下、乾式工法で石材5が施工された壁体1に適用したものを、第1実施形態のピンニング工法を例に説明する。
図16は、乾式工法のうちのレール工法で石材5が施工された壁体1Aに対し、第1実施形態のピンニング工法を実施したものである(第1適用例)。同図に示すように、壁体1A(既設)は、例えばコンクリート躯体2と、コンクリート躯体2の表面に下地として捨て張りしたボード71と、コンクリート躯体2にアンカリングしたレールユニット72(保持材)と、接着剤73を介してレールユニット72に取り付けた石材5(仕上げ材)と、を有している。
レールユニット72は、断面「コ」字状の上レール部75と、断面「コ」字状の下レール部76と、上・下レール部75,76を連結する連結レール部77と、下レール部76から延長した掛止めレール部78とから成るレール74を、図示しない縦通しの左右一対の縦レール枠に支持して、構成されている。また、レール74は、その連結レール部77の部分で、コンクリートビス79等でコンクリート躯体2にアンカリングされている。一方、石材5は、上端部および下端部にそれぞれ形成した掛止め溝5aを、掛止めレール部78に掛け止めされ、且つ接着剤73を介して上レール部75および下レール部76に接着されている。
このような壁体1Aに対し、接着剤73の劣化やレール74の腐食により、石材5に「浮き」や「ガタつき」が生じた場合、レール74(レールユニット72)を外れた空隙領域6の複数個所にピンニングを実施するようにしている(第1実施形態参照)。これにより、空隙領域6を有する壁体1Aを、適切に補修することができる。
図17は、乾式工法のうちのスリットファスナー工法で石材5が施工された壁体1Bに対し、第1実施形態のピンニング工法を実施したものである(第2適用例)。同図に示すように、壁体1B(既設)は、例えばコンクリート躯体2と、コンクリート躯体2にアンカリングした複数のスリットファスナー81(保持材)と、接着剤82および掛止めによりスリットファスナー81に取り付けた石材5(仕上げ材)と、を有している。
スリットファスナー81は、アンカー83によりコンクリート躯体2にアンカリングしたLアングル84と、調整ねじ85を介してLアングル84に取り付けた掛止めプレート86と、掛止めプレート86に係止した接着プレート87とで構成されている。そして、石材5は、上下の掛止め溝5aを、掛止めプレート86の先端部に掛け止めされ、且つ接着剤82を介して接着プレート87に接着されている。
このような壁体1Bに対し、接着剤82の劣化やスリットファスナー81の腐食により、石材5に「浮き」や「ガタつき」が生じた場合、複数のスリットファスナー81を外れた空隙領域6の複数個所にピンニングを実施するようにしている(第1実施形態参照)。これにより、空隙領域6を有する壁体1Bを、適切に補修することができる。
1,1A,1B 壁体、2 コンクリート躯体、3 下地モルタル、4 張付け材、5 石材、6 空隙領域、11 挿填穴、12 アンカーピン、12a 頭部、13,13A,13B,13C 筒状体、13a 透孔、13d スリット、14 ザグリ部、16 注入口付アンカーピン、18,18A,18B,18 筒状体、19 筒状体、22 ダイヤモンドビット、25 球形ビット、28 注入ノズル、61 切欠き部、62 スリット開口、63 小穴、65 開口、66 鰭片、72 レールユニット、74 レール、81 スリットファスナー、R 接着剤

Claims (18)

  1. 躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記保持材から外れた空隙領域に、前記仕上げ材を貫通し且つ前記躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、
    前記挿填穴に対応する径の筒状体を、前記挿填穴に装着する装着工程と、
    前記挿填穴および前記筒状体の内部に接着剤を注入する注入工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
  2. 前記装着工程では、前記筒状体を前記仕上げ材および前記躯体間に渡すように装着することを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法。
  3. 前記筒状体を介して、アンカーピンを前記挿填穴に挿填する挿填工程、を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のピンニング工法。
  4. 前記筒状体には、メッシュ状の多数の透孔が形成され、
    前記注入工程では、前記接着剤を、前記挿填穴および前記筒状体の内部に注入すると共に、前記多数の透孔から流出させて前記筒状体の外周面に囲繞するように付着させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のピンニング工法。
  5. 前記注入工程では、前記接着剤を、前記筒状体を芯材とする、前記仕上げ材および前記躯体間のスペーサー様に付着させることを特徴とする請求項4に記載のピンニング工法。
  6. 前記筒状体は、円筒状に形成したネット材で構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載のピンニング工法。
  7. 前記筒状体は、円筒状に形成したパンチング材で構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載のピンニング工法。
  8. 前記筒状体には、螺旋状のスリットが形成され、
    前記注入工程では、前記接着剤を、前記挿填穴および前記筒状体の内部に注入すると共に、前記スリットから流出させて前記筒状体の外周面に囲繞するように付着させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のピンニング工法。
  9. 前記注入工程では、前記接着剤を、前記筒状体を芯材とする、前記仕上げ材および前記躯体間のスペーサー様に付着させることを特徴とする請求項8に記載のピンニング工法。
  10. 前記筒状体は、円筒状のコイルスプリングで構成されていることを特徴とする請求項8または9に記載のピンニング工法。
  11. 前記筒状体には、前記空隙領域に臨む前記躯体側の周方向部位および前記仕上げ材側の周方向部位に、切起こしにより複数の開口および前記複数の開口を存して起立した複数の鰭片がそれぞれ形成され、
    前記注入工程では、前記接着剤を、前記挿填穴および前記筒状体の内部に注入すると共に、それぞれの前記複数の開口から流出させて、前記躯体の表面および前記仕上げ材の裏面にはみ出させることを特徴とする請求項2または3に記載のピンニング工法。
  12. 前記アンカーピンは、皿状の頭部を有する全ねじピンで構成され、
    前記注入工程の後に前記挿填工程を行い、
    前記穿孔工程では、前記挿填穴を形成した後、球形のドリルビットにより前記挿填穴の開口部を皿もみしてザグリ部を形成し、
    前記挿填工程では、前記アンカーピンの挿填に際し、前記頭部の表面と前記仕上げ材の表面とが面一になるように、前記頭部を前記ザグリ部に嵌合することを特徴とする請求項3に記載のピンニング工法。
  13. 前記アンカーピンは、注入口付アンカーピンで構成され、
    前記注入工程の前に前記挿填工程を行い、
    前記挿填工程では、前記アンカーピンを前記挿填穴に挿填し且つ打ち込みによりアンカリングを行い、
    前記注入工程では、前記接着剤を、前記アンカーピンを介して前記挿填穴および前記筒状体の内部に注入することを特徴とする請求項3に記載のピンニング工法。
  14. 躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記保持材から外れた空隙領域に、前記仕上げ材を貫通し且つ前記躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、
    前記挿填穴に対応する筒状体を、前記仕上げ材および前記躯体間に渡すように前記挿填穴に装着する装着工程と、
    接着剤を、前記筒状体の内部に注入すると共に外周面に回り込ませ、前記躯体側の挿填穴と前記筒状体との間隙から前記躯体の表面にはみ出させ、且つ前記仕上げ材側の挿填穴と前記筒状体との間隙から前記仕上げ材の裏面にはみ出させる注入工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
  15. 前記筒状体は、前記躯体側の挿填穴に面する部分および前記仕上げ材側の挿填穴に面する部分に、それぞれ複数の切欠き、複数のスリットおよび複数の貫通孔のうちのいずれかを有することを特徴とする請求項14に記載のピンニング工法。
  16. 躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記保持材から外れた空隙領域に、前記仕上げ材を穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、
    メッシュ状の多数の透孔を形成した筒状体を、前記躯体に突き当てるように前記挿填穴に装着する装着工程と、
    前記挿填穴および前記筒状体の内部に接着剤を注入すると共に、注入した接着剤を、前記多数の透孔から流出させて前記筒状体の外周面に囲繞するように付着させる注入工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
  17. 躯体に、部分的に設けた保持材を介して仕上げ材が張り付けられた、既設の壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記保持材から外れた空隙領域に、前記仕上げ材を穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、
    螺旋状のスリットを形成した筒状体を、前記躯体に突き当てるように前記挿填穴に装着する装着工程と、
    前記挿填穴および前記筒状体の内部に接着剤を注入すると共に、注入した接着剤を、前記スリットから流出させて前記筒状体の外周面に囲繞するように付着させる注入工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
  18. 前記仕上げ材が、石材および大型タイルのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載のピンニング工法。
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