JP2017082478A - アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造 - Google Patents

アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2017082478A
JP2017082478A JP2015211502A JP2015211502A JP2017082478A JP 2017082478 A JP2017082478 A JP 2017082478A JP 2015211502 A JP2015211502 A JP 2015211502A JP 2015211502 A JP2015211502 A JP 2015211502A JP 2017082478 A JP2017082478 A JP 2017082478A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anchor pin
expanded
main body
concrete
perforation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015211502A
Other languages
English (en)
Inventor
清水 達也
Tatsuya Shimizu
達也 清水
勇輝 木村
Yuki Kimura
勇輝 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KFC Ltd
Original Assignee
KFC Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KFC Ltd filed Critical KFC Ltd
Priority to JP2015211502A priority Critical patent/JP2017082478A/ja
Publication of JP2017082478A publication Critical patent/JP2017082478A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)
  • Bridges Or Land Bridges (AREA)
  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)

Abstract

【課題】剥落が予想されるコンクリートの表層部に負荷をかけない設置を安定して行うことができ、落下防止材等の取付物をコンクリートに高い安定性で取り付けることを可能にする。
【解決手段】略筒状の本体2と、本体2の後端側に設けられ、本体2内に連通する樹脂注入口41が形成されている鍔部4と、本体2の先端寄りの外周に沿って形成され、形成箇所で本体2の肉厚を薄肉にする弧状溝22と、本体2の先端から弧状溝22を超えて切り込まれ、本体2の周方向の複数箇所に設けられているスリット24と、本体2に内装されている拡開体3と、本体2の弧状溝22より先端側の拡開部23で、少なくとも拡開体3の最大外径よりも小さな内径をなし拡開体3の進入を規制する段部が形成されている拡開体進入部28を備えることを特徴とするアンカーピン1。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば劣化コンクリートにコンクリート片の落下防止材を取り付ける場合に用いられる樹脂注入式のアンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造に関する。
従来、コンクリート構造物からコンクリート片が落下しないように、コンクリート表面を落下防止ネットで覆い、落下防止ネットにアンカーピンを挿通してコンクリートに取り付ける工法が知られている。この取り付けに通常用いられるアンカーピンは、本体の先端からスリットが形成されていると共に、先端部に凹凸が形成されており、先端部の内側に突出する凸部に内装された拡開体が打ち込まれて押圧することで、先端部が拡開するようになっている。更に、アンカーピンや落下防止ネットの固定を確実にするため、穿孔内や拡開したアンカーピンの本体内に樹脂を充填して硬化している(特許文献1、2参照)。
特開2011−6841号公報 特開2014−47605号公報
ところで、コンクリート片の落下防止対策が必要なコンクリートでは表層部が剥落し易くなっているが、落下防止ネットの取り付けのために、特許文献1、2のような通常のアンカーピンを叩き込みによって拡開すると、コンクリートの表層部に負荷がかかり、表層部に亀裂を生じさせコンクリート片の剥落を逆に誘発してしまうという問題がある。
即ち、図8に示すように、コンクリート101の表層部101aに形成した穿孔101bに、例えば落下防止ネット103とプレート104に挿通したアンカーピン102を挿入して拡開すると、拡開により外側に向かって白抜き矢印の方向にコンクリート表層部101aが押圧される。この結果、脆弱なコンクリート表層部101aに亀裂が生じ、コンクリート表層部101aが剪断破壊され、領域101cのような箇所が剥落することになる。通常のアンカーピンを用いて斯様な事態を避けるには、熟練者の勘と適格な叩き込みの力でアンカーピンを拡開させることが必要になるため、現実には画一的に安定した施工を行うことは難しい。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、剥落が予想されるコンクリートの表層部に負荷をかけない設置を安定して行うことができ、落下防止材等の取付物をコンクリートに高い安定性で取り付けることを可能にするアンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造を提供することを目的とする。
本発明のアンカーピンは、略筒状の本体と、前記本体の後端側に設けられ、前記本体内に連通する樹脂注入口が形成されている鍔部と、前記本体の先端寄りの外周に沿って形成され、形成箇所で前記本体の肉厚を薄肉にする弧状溝と、前記本体の先端から前記弧状溝を超えて切り込まれ、前記本体の周方向の複数箇所に設けられているスリットと、前記本体に内装されている拡開体と、前記本体の前記弧状溝より先端側の拡開部で、少なくとも前記拡開体の最大外径よりも小さな内径をなし該拡開体の進入を規制する段部が形成されている拡開体進入部とを備えることを特徴とする。
これによれば、先端寄りの弧状溝より先端側の拡開部において拡開体進入部に拡開体を進入させ、拡開し易くする薄肉の弧状溝により先端側の拡開部が安定して確実に拡開するので、コンクリートのより深い位置で拡開部を拡開させ、機械定着することができる。従って、剥落が予想されるコンクリートの表層部に負荷をかけないアンカーピンの設置を安定して行うことができ、落下防止材等の取付物をコンクリートに高い安定性で取り付けることが可能となる。また、アンカーピンのスリットにより、拡開による機械定着と樹脂注入による接着の両方の固着機能を得ることができる。また、拡開体が拡開体進入部に進入して段部に当接した際に作業者が手応えと当接音によって拡開を検知することができる為、コンクリートの深い位置で拡開するアンカーピンでも確実な施工ができる。さらに、アンカーピンはナットがないので、上向き施工をしてもナットの緩みによる脱落を生ずることがない。
本発明のアンカーピンは、前記本体に外嵌されて前記鍔部の先端側に設けられる環状シール材を備えることを特徴とする。
これによれば、鍔部の先端側に設けられる環状シール材により、表面が平滑ではないメッシュシート等の落下防止材を取り付けるためのプレート或いはワッシャーの有無や形状にかかわらず、注入した樹脂を的確にシールできる。また、環状シール材で鍔部の先端近傍を押さえておいて樹脂を後注入する方式を用いることが可能となり、これにより、例えばカプセル型樹脂を孔内に先に入れておく方式のように充填不足や液溢れを生ずることがない。また、コンクリート表層部の水による劣化や漏水対策にもなり、液垂れでコンクリート表面が汚れることを防止することもできる。
本発明のアンカーピンは、前記本体の根元から前記本体の外径の8倍の長さ以上の先端側に前記拡開部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、より確実に剥落の懸念があるコンクリート表層部以深で拡開させることができ、劣化コンクリートの表層部に負担をかけない落下防止材の取付けを確保することができる。
本発明のアンカーピンの設置方法は、コンクリートに、本発明のアンカーピンの埋込長に対して前記アンカーピンの前記本体の外径以上の長さだけ余分に深く穿孔を形成する第1工程と、前記コンクリートに取付物を添わせ、前記取付物に挿通するように前記穿孔内に本発明のアンカーピンを挿入する第2工程と、前記樹脂注入口から打込棒を挿入して前記アンカーピンの前記拡開体を先端側に打ち込み、前記拡開体を前記拡開体進入部に進入させて前記拡開部を拡開する第3工程と、前記樹脂注入口からの樹脂注入を行い、前記穿孔内と前記アンカーピンの前記本体内に樹脂を充填して硬化させる第4工程とを備えることを特徴とする。
これによれば、本発明のアンカーピンと同様の効果を得ることができると共に、アンカーピンの拡開による機械定着と樹脂注入による接着の両方の固着でアンカーピンと取付物を確実に固定することができる。また、樹脂注入によりコンクリート孔壁の劣化を防止することができる。
本発明のアンカーピンの設置方法は、前記打込棒の前記穿孔内に挿入する挿入部が握り部よりも高硬度材料で形成されていることを特徴とする。
これによれば、穿孔の深い位置にあるアンカーピンの拡開部をより確実に拡開させることができ、また、拡開したときの手ごたえや音の変化が作業者に伝わりやすくなる。また、握り部と別体をなす挿入部の長さをアンカーピンの拡開部の位置に対応させておくことで、アンカーピンの被打ち込み基端と打込み棒の握り部が接することで打込み完了となるため、目視で打込み具合を確認することができることから、施工の確実性を高めることができる。
本発明のアンカーピン設置構造は、コンクリートに添わせて配置されている取付物に本発明のアンカーピンが挿通されて、前記アンカーピンの埋込長よりも余分に深く形成されている穿孔に前記アンカーピンが挿入され、前記アンカーピンの前記拡開体が前記拡開部が拡開するように前記拡開体進入部に進入させた状態で配置され、前記穿孔内と前記アンカーピンの前記本体内に樹脂が充填されて硬化していることを特徴とする。
これによれば、本発明のアンカーピンと同様の効果を得ることができると共に、アンカーピンの拡開による機械定着と樹脂注入による接着の両方の固着でアンカーピンと取付物を確実に固定することができる。また、樹脂注入によりコンクリート孔壁の劣化を防止することができる。
本発明によれば、剥落が予想されるコンクリートの表層部に負荷をかけない設置を安定して行うことができ、落下防止材等の取付物をコンクリートに高い安定性で取り付けることができる。
本発明による実施形態のアンカーピンを示す斜視図。 (a)は実施形態のアンカーピンの正面図、(b)はその左側面図、(c)は実施形態のアンカーピンに内装されている拡開体の正面図。 実施形態のアンカーピンの縦断面図。 実施形態のアンカーピンによりトンネル覆工コンクリートに落下防止ネットが取り付けられた状態を示す説明図。 (a)〜(f)は実施形態のアンカーピンの設置方法の施工手順を示す一部縦断説明図。 実施形態のアンカーピンの設置方法で用いられる打込棒の正面図。 (a)は試験例のアンカーピンの寸法を示す正面図、(b)は試験例のアンカーピン、穿孔、埋め込み深さを示す説明図、(c)は試験例のアンカーピンにおける樹脂を充填した場合と充填しない場合の引抜試験の結果を示すグラフ。 従来のアンカーピンの拡開がコンクリート表層部に与える影響を説明する断面説明図。
〔実施形態のアンカーピン、アンカーピンの設置方法及び設置構造〕
本発明による実施形態のアンカーピン1は、図1〜図3に示すように、内側が中空部25になっている略筒状の本体2を有し、本体2は後部に位置する基部21と、基部21の先端側に形成されている弧状溝22と、弧状溝22の先端側に位置する拡開部23とから構成される。弧状溝22は、本体2の先端寄りの外周に沿って形成されていると共に、断面視孤形等の断面視略凹形で本体2の外周面がへこむように形成されており、弧状溝22の形成箇所では本体2の肉厚が基部21、拡開部23のいずれよりも薄肉になっている。
本体2には、先端から長手方向に弧状溝22を超えてスリット24が切り込まれており、スリット24は、拡開部23、弧状溝22のそれぞれを周方向に2分するように形成され、基部21の途中まで形成されている。図示例のスリット24は本体2の先端(図1左端)から基部21の中央近傍よりもさらに深い位置まで切り込まれている。換言すれば、拡開部23、弧状溝22はスリット24によって周方向に分断されている。また、スリット24は、本体2の周方向の複数箇所に設けられており、図示例では、対向する位置の2箇所にスリット24・24が形成されている。従ってアンカーピン1はスリット24が形成された部分において、中空部25が本体2の外周に対しても開放された状態を呈している。
本体2の中空部25は、アンカーピン1の基端(図1右端)から拡開部23の略中央付近までが、該中空部25内に収容される後述の拡開体3の最大外径と略同一内径に形成され、さらにそれより先端側(図1左側)が拡開体3の最大外径よりも小さな内径をなすように所定長さ分形成されている。本体2の中空部25の内径が拡開体3の最大外径よりも小さな内径をなす部分は拡開体進入部28に相当しており、従って、拡開体進入部28の基端側(図1右側)には第1段部26が形成されている。拡開体進入部28より先端側(図1左側)は、本体2の素材に中空部25が形成されることなくスリット24の切込みのみが存在しており、これによって、拡開体進入部28の先端側には拡開体3の進入を規制する第2段部27が形成されている。
本実施形態における第1段部26は、アンカーピン1の輸送中など打設施工前に拡開体3が拡開体進入部28に進入して拡開部23を拡開させないようにするものであり、また、第2段部27は、拡開体3の本体2内への進入が所定状態以上にならないように規制するものである。また、施工前のアンカーピン1の基部21と拡開部23の外径は長手方向の全体に亘って略一定となっており、よって、本体2の拡開体進入部28は半割環形状を一対に組み合わせた状態、第2段部27より先方側は半割円柱形状を一対に組み合わせた状態をそれぞれ呈している。
尚、第1段部26、第2段部27の構成はこれに限定されず、例えば第1段部26、第2段部27が内側に突出する段差箇所において弧状の突条或いは周方向に離間配置される点状の突起を形成する構成等とすることも可能である。また、本実施形態における主たる段部は第2段部27であり、第1段部26は、施工前の拡開体3の配置を固定し拡開動作をスムーズにする副次的なものであることから、第2段部27に相当する段部だけを設ける構成、或いは第1段部26が徐々に縮径する階段状の複数の小段からなる構成等とすることも可能である。
また、弧状溝22の先端側の拡開部23を設ける位置は、コンクリート表層部の亀裂や剪断破壊が生ずるリスクを所定基準以下に低減できる適宜の位置とすることが可能であり、例えば本体2の根元から本体2の外径の8倍の長さ以上の先端側に拡開部23を設けると好適である。8倍の長さ以上の先端側に拡開部23を設けることにより、一層確実に剥落の懸念があるコンクリート表層部以深、即ち外径に対して金属拡張型アンカーではあまり採用されない8×外径Dの位置で拡開部23を拡開させることができ、劣化コンクリートの表層部に負担をかけない落下防止材の取付けを確保することができる。
本体2には拡開体3が内装されている。本実施形態の拡開体3は、前部が後方に向かって拡径する略截頭円錐形、後部が略円柱形の形状をなす一体的な拡開コーンになっているが、少なくとも第2段部27を通過して拡開体進入部28に進入し拡開部23を拡開可能な適宜形状のものを用いることが可能である。アンカーピン1が施工位置のコンクリート穿孔中に打設セットされる前の状態では、図示例の拡開体3は、図2(c)左部に示す頭部部分が第1段部26に軽く嵌まり込んで配置固定されて拡開体進入部28への進入が規制された状態で中空部25の適宜位置に内装され、例えば弧状溝22に略後端が位置する位置に内装される。さらに好適には、弧状溝22が拡開体3の後部の外径より内側に突出するように形成され、拡開体3が第1段部26と弧状溝22に挟まれて動かないように配置固定されていることが望ましい。
本体2の後端側には外方に突出する周状の鍔部4が設けられており、本実施形態の鍔部4は本体2と一体的に形成されている。鍔部4の中央には本体2の中空部25に連通する樹脂注入口41が開口して形成されている。また、本実施形態では、環状シール材5が鍔部4の先端側で本体2に外嵌されており、図示例では鍔部4の先端面に隣接するようにして環状シール材5が基部21に外嵌されている。環状シール材5には所要のシール性を有する適宜のものを用いることが可能であり、例えばブチルシール等を用いることができる。
本実施形態のアンカーピン1は、例えばトンネル覆工コンクリートであるコンクリート50に、剥落したコンクリート片の落下を防止する落下防止ネット11を取り付ける場合に用いられ、コンクリート50に設置される(図4参照)。図4に実施形態のアンカーピン1によりトンネル覆工コンクリートに落下防止ネット11を取り付けた状態を示す。
このように落下防止ネット11の取り付け或いはアンカーピン1の設置を行う際には、図5(a)、(b)に示すように、まずコンクリート50にビット13で穿孔51を形成する。穿孔51は、アンカーピン1の埋込長に対してアンカーピン1の本体2の外径以上の長さだけ余分に深く形成し、樹脂注入の際に穿孔51の先端部分に樹脂溜まりが出来るようにする。形成した穿孔51にはブラシ14を挿入して内部を清掃する。
その後、コンクリート50の表面に取付物である落下防止ネット11を添わせ、落下防止ネット11を押さえるようにして押さえプレート12を配置し、落下防止ネット11、押さえプレート12に挿通するようにして、アンカーピン1を穿孔51内に挿入する(図5(c)参照)。なお、穿孔51の作成は、先にコンクリート50の表面に落下防止ネット11を添わせてから、このネット11を貫通するように穿孔しても構わない。
そして、穿孔51内に本体2を挿入したアンカーピン1の鍔部4の樹脂注入口41から打込棒15を中空部25に挿入して拡開体3の後端に当接させ、打込棒15をハンマー16で打撃することにより、打込棒を介して拡開体3を先端側に打ち込み、拡開体3に第1段部26を通り越させ、拡開体進入部28に進入させ、さらに第2段部27を押圧して拡開部23を拡開する(図5(d)参照)。
この打ち込みに用いる打込棒15は、図5及び図6の例では、手で握られる握り部151の先端側に、穿孔51内に挿入される棒状の挿入部152が握り部151に内嵌する等により固定されているものであり、好適には挿入部152が握り部151よりも高硬度材料で形成されているものとする。握り部151から突出している挿入部152の突出長はアンカーピン1の施工完了状態において拡開体3の後端面が配置すべき位置から樹脂注入口41までの長さよりも僅かに長く形成されている。これにより、打込棒15を用いた拡開体3の打ち込み時に、拡開体3の頭部はまず第1段部26を通過して、拡開体3の最大外径よりも小さな内径をなす拡開体進入部28内に進入し、第2段部27に当接し、さらに第2段部27の規制に抗ってそれより先方側に若干押し込まれ、これによって拡開部23全体が拡開してアンカーピン2がコンクリートに機械的に固着される。この打ち込み時の一連の動作に伴って、作業者は、拡開体3の頭部が第1段部26を通過して拡開体進入部28に進入し第2段部27に当接したことを手応えと音の変化により検知することが容易にできる。特に、高強度の挿入部152の先端を拡開体3に当接して拡開体3を打ち込むことにより、穿孔51の深い位置にある拡開部23をより確実に拡開させることができ、また、拡開したときの手ごたえや音が伝わりやすくなるため、施工の確実性を高めることができる。また、拡開部23は薄肉の弧状溝22以深である為、本体2が容易に変形し、拡開部23が確実に開く。こうして、アンカーピン1は、拡開部23の拡開によって本体2がコンクリートに押圧され、一次的に機械定着される。拡開部23の拡開は、弧状溝22以深の本体2の外径の8倍の長さ以上の先端部である為、コンクリートの表層部近傍にアンカー拡開による負荷がかかることが可及的に防止される。さらに、第2段部27より先端側の本体2は、中空25部がなくスリット24のみが存在する為、第2段部27の規制を越えて拡開体進入部28より先方側に拡開体3全体が進入してしまうことが規制され、拡開体3の本体2に対する突き抜け脱落が防止される。
拡開体3を拡開して打込棒15を穿孔51、中空部25から抜き出した後には、樹脂注入口41からの樹脂注入を行う。この樹脂注入は、図5(e)に示すように、樹脂注入ガン17の注入ノズル171を樹脂注入口41から中空部25に挿入し、注入ノズル171から樹脂を注入して行う。樹脂注入ガン17は、例えば樹脂主剤と樹脂硬化剤を注入ノズル171の途中で攪拌混合して注入するものとし、注入された樹脂は、ある程度の時間流動性を維持して所定時間経過後に硬化する。
注入された樹脂は、スリット24から外部の穿孔51内に流出し、穿孔51におけるアンカーピン1の埋込長より余分に形成された先端部分や、穿孔51とアンカーピン1との隙間の部分に流れ込み、穿孔51内に充填されると共に、本体2の内部にも充填され、所定時間経過後に硬化状態の樹脂6となる(図5(f)参照)。特にアンカーピン1は、本体内部に第1段部26、第2段部27が設けられ、拡開体3と本体2の拡開体進入部28が面接触することなく、段部26、27での線接触となるところから、注入された樹脂が拡開体3と本体2との間の隙間にも回り込み、樹脂充填が確実に行われる。
これにより、アンカーピン1の拡開体3が、拡開部23が拡開されるように拡開体進入部28内に進入して段部に相当する第2段部27に当接し、一次的な機械定着が図られて、且つ、穿孔51内とアンカーピン1の本体2内に樹脂6が充填されて硬化して二次定着された、落下防止ネット11の取付構造或いはアンカーピン設置構造が構築される。
本実施形態によれば、先端寄りの弧状溝22より先端側の拡開部23において、拡開体3の最大外径よりも小さな内径をなす拡開体進入部28に拡開体が進入して、第2段部27を、或いは第1段部26と第2段部27を介して拡開体3が拡開部23を押し広げ、拡開し易くする薄肉の弧状溝22により先端側の拡開部23が安定して確実に拡開するので、コンクリート50のより深い位置で拡開部23を拡開させ、機械定着することができる。従って、剥落が予想されるコンクリート50の表層部に負荷をかけないアンカーピン1の設置を安定して行うことができ、落下防止ネット11等の取付物をコンクリート50に高い安定性で取り付けることが可能となる。また、アンカーピン1の拡開による機械定着と樹脂注入による接着の両方の固着機能を得ることができる。また、拡開体3が拡開体進入部28に進入して段部に当接した際に作業者が手応えと当接音によって拡開を検知することができる為、コンクリートの深い位置で拡開するアンカーピン1でも確実な施工ができる。さらに、アンカーピン1はナットがないので、上向き施工をしてもナットの緩みによる脱落を生ずることがない。
また、鍔部4の先端側に設けられる環状シール材5により、メッシュシート等の落下防止ネット11を取り付けるためのプレート或いはワッシャーの有無や形状にかかわらず、注入した樹脂を的確にシールできる。また、環状シール材5で鍔部4の先端近傍を押さえておいて樹脂を後注入する方式を用いることが可能となり、これにより、例えばカプセル型樹脂を孔内に先に入れておく方式のように充填不足や液溢れを生ずることがない。また、コンクリート表層部の水による劣化や漏水対策にもなり、液垂れでコンクリート50の表面が汚れることを防止することもできる。
また、本実施形態のアンカーピン1の設置方法或いは設置構造によれば、アンカーピン1の拡開による機械定着と樹脂注入による接着の両方の固着でアンカーピン1と落下防止ネット11等の取付物を確実に固定することができると共に、樹脂注入によりコンクリート50の穿孔51の孔壁の劣化を防止することができる。
〔本発明によるアンカーピンの引抜試験例〕
本発明によるアンカーピン1の引抜試験例について説明する。使用したアンカーピン1は、図7(a)、(b)に示す寸法を有し、外径D=6.0mm、首下長L2=78.0mmである。また、コンクリートに形成した穿孔の寸法は、穿孔径7.0mm、穿孔深さL1=60.0mmである。コンクリートは試験例のため健全なコンクリートである。また、アンカーピン1の穿孔に対する埋め込み深さは50.0mmとした。
そして、アンカーピン1の拡開部23を拡開し、樹脂を充填して硬化させて埋め込んだ場合と、単にアンカーピン1の拡開部23を拡開して埋め込んだ樹脂なしの場合の引抜試験による荷重−変位の推移を示すデータを得た。図7(c)において、実線の曲線は、拡開部23を拡開して樹脂を充填、硬化させた場合の荷重変位曲線、破線の曲線は、樹脂注入をせずに単にアンカーピン1の拡開部23を拡開して埋め込んだ場合の荷重変位曲線である。
破線の荷重変位曲線から、樹脂注入しなかった場合には、引抜試験時にアンカーピン1自体の抜け出しによる変位がかなり大きくなり、又、試験体によって挙動にばらつきが生ずるものの、一定値P1以上の引抜耐力は十分得られることが分かる。この破線の曲線は、アンカーピン1を機械定着のみで一次定着させた状態の引抜試験の変位特性をあらわす。これに加えて、実線の荷重変位曲線から、樹脂注入を併用した場合には、機械的な定着と樹脂の接着の双方の固着で、アンカーピン1が抜け出すことなく大荷重まで変位が生じないことが分かる(最終的にはアンカーピン1は抜け出さずに弧状溝22の箇所で破断した)。更に、樹脂併用の場合には、試験体によって挙動がばらつくことなく安定的な性状を示している。従って、アンカーピン1の一次的な効果としてコンクリートの表層部に負荷をかけることなく確実にこれを機械定着させ、落下防止ネット11等の取付物を取り付けることができるが、さらに樹脂注入を二次的に併用した場合には、確実にアンカーピン1の内外に樹脂を回り込ませることができるため、安定的且つ大荷重にも耐える強固な取付構造となることがわかる。
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものであり、下記変形例も包含する。
例えば本発明のアンカーピンによる取付物は、落下防止ネット11等の落下防止材に限定されず適宜であり、例えば補修材や防水シート等の各種シート、コンクリート構造物の外装タイル等とすることが可能である。また、環状シール材5が嵌め込まれていないアンカーピンも本発明に含まれる。
本発明は、例えば劣化コンクリートにコンクリート片の落下防止材を取り付ける場合等に利用することができる。
1…アンカーピン 2…本体 21…基部 22…弧状溝 23…拡開部 24…スリット 25…中空部 26…第1段部 27…第2段部 28…拡開体進入部 3…拡開体 4…鍔部 41…樹脂注入口 5…環状シール材 11…落下防止ネット 12…押さえプレート 13…ビット 14…ブラシ 15…打込棒 151…握り部 152…挿入部 16…ハンマー 17…樹脂注入ガン 171…注入ノズル 50…コンクリート 51…穿孔 101…コンクリート 101a…表層部 101b…穿孔 101c…領域 102…アンカーピン 103…落下防止ネット 104…プレート

Claims (6)

  1. 略筒状の本体と、
    前記本体の後端側に設けられ、前記本体内に連通する樹脂注入口が形成されている鍔部と、
    前記本体の先端寄りの外周に沿って形成され、形成箇所で前記本体の肉厚を薄肉にする弧状溝と、
    前記本体の先端から前記弧状溝を超えて切り込まれ、前記本体の周方向の複数箇所に設けられているスリットと、
    前記本体に内装されている拡開体と、
    前記本体の前記弧状溝より先端側の拡開部で、少なくとも前記拡開体の最大外径よりも小さな内径をなし該拡開体の進入を規制する段部が形成されている拡開体進入部と
    を備えることを特徴とするアンカーピン。
  2. 前記本体に外嵌されて前記鍔部の先端側に設けられる環状シール材を備えることを特徴とする請求項1記載のアンカーピン。
  3. 前記本体の根元から前記本体の外径の8倍の長さ以上の先端側に前記拡開部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンカーピン。
  4. コンクリートに、請求項1〜3の何れかに記載のアンカーピンの埋込長に対して前記アンカーピンの前記本体の外径以上の長さだけ余分に深く穿孔を形成する第1工程と、
    前記コンクリートに取付物を添わせ、前記取付物に挿通するように前記穿孔内に請求項1〜3の何れかに記載のアンカーピンを挿入する第2工程と、
    前記樹脂注入口から打込棒を挿入して前記アンカーピンの前記拡開体を先端側に打ち込み、前記拡開体を前記拡開体進入部に進入させて前記拡開部を拡開する第3工程と、
    前記樹脂注入口からの樹脂注入を行い、前記穿孔内と前記アンカーピンの前記本体内に樹脂を充填して硬化させる第4工程と
    を備えることを特徴とするアンカーピンの設置方法。
  5. 前記打込棒の前記穿孔内に挿入する挿入部が握り部よりも高硬度材料で形成されていることを特徴とする請求項4記載のアンカーピンの設置方法。
  6. コンクリートに添わせて配置されている取付物に請求項1〜3の何れかに記載のアンカーピンが挿通されて、前記アンカーピンの埋込長よりも余分に深く形成されている穿孔に前記アンカーピンが挿入され、
    前記アンカーピンの前記拡開体が前記拡開部が拡開するように前記拡開体進入部に進入させた状態で配置され、
    前記穿孔内と前記アンカーピンの前記本体内に樹脂が充填されて硬化している
    ことを特徴とするアンカーピン設置構造。
JP2015211502A 2015-10-28 2015-10-28 アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造 Pending JP2017082478A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015211502A JP2017082478A (ja) 2015-10-28 2015-10-28 アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015211502A JP2017082478A (ja) 2015-10-28 2015-10-28 アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017082478A true JP2017082478A (ja) 2017-05-18

Family

ID=58714119

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015211502A Pending JP2017082478A (ja) 2015-10-28 2015-10-28 アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017082478A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019031845A (ja) * 2017-08-09 2019-02-28 株式会社ケー・エフ・シー コンクリート剥落防止工法
JP2021008760A (ja) * 2019-07-02 2021-01-28 東日本旅客鉄道株式会社 アンカー及びアンカー施工方法
CN113235731A (zh) * 2021-05-11 2021-08-10 太原理工大学 一种肋板位置可调的装配式焊接空心球节点加固装置
JP7466991B2 (ja) 2020-04-17 2024-04-15 株式会社ケー・エフ・シー 打撃検査対応アンカー及びその検査方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019031845A (ja) * 2017-08-09 2019-02-28 株式会社ケー・エフ・シー コンクリート剥落防止工法
JP2021008760A (ja) * 2019-07-02 2021-01-28 東日本旅客鉄道株式会社 アンカー及びアンカー施工方法
JP7339789B2 (ja) 2019-07-02 2023-09-06 東日本旅客鉄道株式会社 アンカー及びアンカー施工方法
JP7466991B2 (ja) 2020-04-17 2024-04-15 株式会社ケー・エフ・シー 打撃検査対応アンカー及びその検査方法
CN113235731A (zh) * 2021-05-11 2021-08-10 太原理工大学 一种肋板位置可调的装配式焊接空心球节点加固装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017082478A (ja) アンカーピン及びその設置方法、アンカーピン設置構造
JP5161668B2 (ja) 充填材の充填方法および栓部材
US9890511B1 (en) Rock bolt seal
JP5896978B2 (ja) ピンニング工法
CA2442320C (en) Method and device for drilling a hole and for securing an anchorage in a bore hole
TR201807752T4 (tr) Kalıcı ankraj yapısı.
JP5988922B2 (ja) 注入口付アンカーピン、これを用いたピンニング工法およびネットバリヤー工法
JP6779566B2 (ja) あと施工アンカー及びその設置構造
US20100021261A1 (en) Flat ring-shaped anchoring element
JP6486122B2 (ja) 壁体補修工法
JP4587886B2 (ja) ピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法
JP2018035510A (ja) あと施工アンカーの施工方法及びあと施工アンカー
KR20110008889A (ko) 외장재 고정용 앵커볼트 고정방법
JP2007092433A (ja) ピンニング工法用の拡張アンカーおよびこれを用いたピンニング工法
JP2011111715A (ja) アンカー
JP2018204378A (ja) ピンニング工法
JP7362210B2 (ja) コンクリート用アンカーの施工方法
JP2008007972A (ja) 拡張アンカーおよびこれを用いたピンニング工法
JP4221674B2 (ja) グランドアンカー工に於ける再生補修工法
JP4336169B2 (ja) ロックボルトの施工方法
JP7341474B2 (ja) 化粧キャップおよび剥離補修部材
JP7339789B2 (ja) アンカー及びアンカー施工方法
JP5642511B2 (ja) 接着系アンカーの接着剤受容具
JP7357548B2 (ja) アンカー、アンカーを取り付けた足掛け具およびアンカーの固定方法
JP2008002122A (ja) 拡張アンカーおよびこれを用いたピンニング工法