JP7357548B2 - アンカー、アンカーを取り付けた足掛け具およびアンカーの固定方法 - Google Patents
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Description
足掛け具取付装置を使用して、マンホールのコンクリート壁に足掛け具を固定して取り付けるには、以下の工程を経る。
1)穿孔手段のドリルにより、コンクリート壁100に足掛け具の埋め込み部(アンカー)23と外径と同じ程度の径の取付用孔を穿設する。
2)挿入押込手段により、足掛け具20の2つの埋め込み部(アンカー)23を取付用孔に挿入して押し込む。
3)打込み手段により、挿通孔24を介して、先端部が先の尖った楔状であるピン25を打ち込む。
このことにより、埋め込み部(アンカー)23の先端部が拡開して取付用孔の内周側面に食い込み、足掛け具20が固定される。
4)足掛け具の足踏み部21に形成された挿通孔にキャップ蓋あるいはパテ26を施して防水する。
以上の工程により、足掛け具20をマンホールのコンクリート壁100に固定することができる。
図7に示すように、グリップアンカー30は円筒体31と拡開コーン32からなる。円筒体31は、円管状であり、その一方の端部を含む部位には、通常、4本の割り溝(スリット)33が円周に等間隔で軸方向に形成されている。また、円筒体31の割り溝33が形成されている部位の外周面には、固定強度をより高めるために、円環状の段部34が形成されている。なお、円筒体31の他方の端部を含む部位の内周側面には、通常、雌ネジ溝35が形成されている。拡開コーン32は、円錐台状の形状であり、外径の小さい側の端部を、円筒体31の割り溝(スリット)33が形成された一方の端部に挿入した状態で〔図8(a)参照〕、コンクリート壁の取付用孔に挿入して使用される〔図8(c)参照〕。
1)ドリルにより、コンクリート壁100に、グリップアンカー30の円筒体31と外径が同じ程度の径の取付用孔50を穿設する〔図8(b)参照〕。
2)挿入手段により、グリップアンカー30を一方の端部(円筒体31の拡開コーン32が挿入された端部、すなわち割り溝33が形成された側の端部)から取付用孔50に挿入し、拡開コーン32の底部をコンクリート壁100の取付用孔50の底に接近あるいは接触させる〔図8(c)参照〕。このとき、円筒体31の他方の端部(円筒体31の拡開コーン32が挿入されていない端部、すなわち割り溝33が形成されていない端部)はコンクリート壁100から飛び出ている〔図8(c)参照〕。
3)円筒体31の他方の端部を直接的あるいは間接的にハンマーなどで強打して、円筒体31の他方の端部端面がコンクリート壁100の表面近くあるいは表面と面一になるように押し込む。
そして、コンクリート壁100の取付用孔50に固定されたグリップアンカー30の雌ネジ溝35(図7参照)に構造部材などのネジ部を螺合させて、コンクリート壁100に構造部材などを取り付けることができる。
[1]円筒体と拡開コーンからなるアンカーであって、円筒体の一方の端部を含む部位には、円周において互いに対向する位置に同じ長さの割り溝が形成され、拡開コーンは本体とコーンピンからなり、本体は、形状が円錐台状であり、一方の端部の断面の外径が円筒体の内径よりも小さいとともに、他方の端部の断面の外径が円筒体の内径よりも大きく、コーンピンは、本体の軸方向に対して直角の方向に本体の頭部を貫通してその両端部が本体外に飛び出ており、円筒体の一方の端部を含む部位に形成された割り溝にコーンピンの両端部を収めて、拡開コーンの本体をその頭部側から円筒体の割り溝が形成された一方の端部を含む部位に進入させることにより、円筒体の割り溝が形成された一方の端部を含む部位が拡開することを特徴とするアンカー。
[2]前記円筒体の一方の端部を含む部位の外周部に、円環状の段部を形成したことを特徴とする[1]に記載のアンカー。
[3]コンクリート壁に固定される足掛け具であって、足踏み部とその両側に脚部を有し、脚部には[1]または[2]に記載のアンカーが接続されていることを特徴とする足掛け具。
[4][1]または[2]に記載のアンカーをコンクリート壁に固定する方法であって、コンクリート壁に穿設した取付用孔に、アンカーを、拡開コーンが挿入された前記円筒体の割り溝が形成された一方の端部の方から、該割り溝に前記コーンピンの両端部を収めて挿入し、次いで、円筒体の他方の端部を直接的あるいは間接的に押し、コーンピンを円筒体の割り溝の付け根部に達するまで円筒体を取付用孔に埋め込み、円筒体の割り溝が形成された一方の端部を含む部位を拡開させることにより、アンカーをコンクリート壁に固定することを特徴とする、[1]または[2]に記載のアンカーをコンクリート壁に固定する方法。
図1にアンカーの外観斜視図を示した。ここで、1はアンカー、2は円筒体、3~5は、それぞれ円筒体に形成された割り溝、段部、雌ネジ溝であり、6は拡開コーン、7は拡開コーンの本体、8はコーンピンである。以下、アンカー1を構成する部材について詳述する。
拡開コーン6は、後述するように、本体7の外径の小さい側の端部を、円筒体2の割り溝(スリット)3が形成された一方の端部に挿入した状態で、コンクリート壁の取付用孔に挿入して使用される(図3参照)。
割り溝3は、円筒体2の円周方向に90°の間隔で4本形成すると、円周において互いに対向する位置に形成される割り溝の組が2組できる。本発明においては、このような組の割り溝を少なくとも1組以上必要であり、複数組の割り溝を形成してもよいが、コーンピン8の両端部が収まることになるのはこのうちの一組の割り溝である。
段部4は、アンカー1がコンクリート壁に固定されたときに、円筒体2の割り溝が形成された部位が拡開して、コンクリート壁の取付用孔の内周側壁に食い込み、固定強度をより高めるためのものである。十分な固定強度が得られる場合は段部4を設けなくともよい。
段部4の外径は、円筒体2の外径と同じであり、このような段部は、円筒体(円管)の表面を切削して円環状の凹部を複数条形成するなどして付与することができる。
拡開コーン6の端面の角部にはアール(丸み)を付けることが望ましい。
図2に示したものは2つの実施形態であり、円錐台状の本体7はこの2つに限るものではない。
したがって、断面の外径が円筒体2の内径よりも大きい本体7の部位の断面の外径は、円筒体2の割り溝3が形成された部位が拡開してアンカー1がコンクリート壁の取付用孔に堅固に固定されるのに十分な外径の大きさを有していなければならない(後述の図3参照)。
コーンピン8は、拡開コーン6に貫通させて取付け、接着剤や溶接などで固定するすることができる。
円筒体2の割り溝3が形成された一方の端部から円筒体2の内部に向かって、拡開コーン6の頭部を進入させて、コーンピン8の本体7から飛び出ている2つの部位(両端部)のそれぞれを円筒体2の2つの割り溝3のそれぞれに収めつつ、拡開コーン6をさらに円筒体2の内部に進入させると、コーンピン8は、割り溝3に沿って本体7とともに、円筒体2の割り溝3が形成された部位の内部を移動することになる(図1、図3参照)。このように、コーンピン8は、円筒体2の割り溝3が形成された部位の内部に本体7を案内する機能を有している。
なお、コーンピン8は、図3(a)では紙面に垂直の方向に、図3(c)、(d)では紙面に平行にそれぞれ描かれている。
アンカー1は、コーンピン8の両端が円筒体2の割り溝3に収められた状態で、円筒体2の割り溝3が形成された一方の端部に本体7の断面の外径が円筒体の内径以下である部位が挿入された状態にある〔図3(a)参照〕。
1)コンクリート壁100に円筒体2の外径と同程度の径を有する取付用孔50を穿設する〔図3(b)参照〕。取付用孔50の深さは、本体7のコーンピン8の位置(厳密には該ピン8のコンクリート壁100表面に接する位置)から本体7の底部の底面までの長さより大きくする〔図3(c)参照〕。
2)アンカー1を、拡開コーン6が挿入されている円筒体2の割り溝3が形成された一方の端部の方から、割り溝3にコーンピン8の両端部が収められた状態で、取付用孔50に挿入するとともに、円筒体の他方の端部(割り溝が形成されていない方の端部)に直接的あるいは間接的に外力を加えて押し、コーンピン8が円筒体2の割り溝3の付け根部に達するまで円筒体2を取付用孔50に埋め込み〔図3(d)参照〕、円筒体2の割り溝3が形成された一方の端部を含む部位を拡開させる。
この円筒体2がさらに埋め込まれるときに、本体7の外径が円筒体2の内径よりも大きい部位が円筒体2の一方の端部を含む部位(割り溝3が形成されている部位)に進入して拡開する。
したがって、工程2)において、コーンピン8がコンクリート壁100の表面に接した後は、本体7はコーンピン8によりコンクリート壁100の表面で支持された状態になり、取付用孔50の深さ方向に向かって移動することはないので、本体7の底部の底面が取付用孔50の底に触れることはない。
また、工程2)において、円筒体2の他方の端部を含む部位の内周面に雌ネジ溝を形成しておき、該ネジ溝に螺合するボルトなど装着して、該ボルトなどを強く押して、間接的に円筒体2を強く押してもよい。アンカーを構造部材など(例えば足掛け具)に溶接して取り付けた場合も、構造部材などを強く押して、アンカーを固定すればよい。
図4に示すように、足掛け具10は、足踏み部11とその両側に連なる脚部12および脚部12に接続されたアンカー1から構成される。ここでは、足踏み部11と脚部12は一体ものであるが、図4、5に示されるように、足踏み部11と脚部12とを接合したものでもよい。
なお、図4では、脚部12の端部がアンカー1の円筒部2の他方の端部(割り溝3が形成されていない端部)に挿入されて接合されている。
ネジ溝の螺合を利用する場合は、例えば、アンカー1の円筒体2の割り溝3が形成されていない部位(他方の端部を含む部位)の内周面に雌ネジ溝を形成するとともに、足掛け具10の脚部12の外周面に雄ネジ溝を形成しておき、両ネジ溝を螺合させて、脚部12にアンカー1を接合することができる。
足掛け具10をコンクリート壁100に固定するには、上述の1)~2)に記載したアンカーを固定する方法と同様に行えばよく、例えば、足掛け具10の両脚の間隔に保持された2本のドリルを備える穿孔手段で、取付用孔50を穿設し、次いで、足掛け具10の両脚部12に接続されたアンカー1を同時に挿入し、押し込めば、コンクリート壁100にアンカー1を固定でき、同時に足掛け具10も固定することができる。
取付用孔50の穿設も、上述したアンカー1を固定する場合と同様であり、その深さは本体7のコーンピン8の位置(厳密には該ピン8のコンクリート壁100に接する位置)から本体7の底部の底面までの長さより大きくするだけであり、拡開コーン6の底部の端面が取付用孔50の底を触れないので、コンクリート壁100を損傷・破壊することはない。
アンカー1を押し込むには、足掛け具10の足踏み部11をコンクリート壁に向かって押圧するか、軽く複数回叩くことにより行うことができ、グリップアンカーの場合のように強打する必要はない。
また、先端部が先の尖った楔状であるピンを打ち込む従来の足掛け具に比べて、該ピンを打ち込む工程や該ピンを挿入するための挿通孔を足掛け具の足踏み部に穿設する前工程、挿通孔やピンが露出することのないようにキャップ蓋やパテを施して防水する工程を省略することができる。
2:円筒体
3:割り溝
4:段部
5:雌ネジ溝
6:拡開コーン
7:本体
8:コーンピン
10:(本発明の)足掛け具
11:足踏み部
12:脚部
20:(従来例の)足掛け具
21:足踏み部
22:脚部
23:埋め込み部(アンカー)
24:挿通孔
25:先端部が先の尖った楔状であるピン
26:キャップ蓋またはパテ
30:グリップアンカー
31:円筒体
32:拡開コーン
33:割り溝
34:段部
35:雌ネジ溝
50:取付用孔
100:コンクリート壁
Claims (4)
- 円筒体と拡開コーンからなるアンカーであって、
円筒体の一方の端部を含む部位には、円周において互いに対向する位置に同じ長さの割り溝が形成され、
拡開コーンは本体とコーンピンからなり、
本体は、形状が円錐台状であり、一方の端部の断面の外径が円筒体の内径よりも小さいとともに、他方の端部の断面の外径が円筒体の内径よりも大きく、
コーンピンは、本体の軸方向に対して直角の方向に本体の頭部を貫通してその両端部が本体外に飛び出ており、
円筒体の一方の端部を含む部位に形成された割り溝にコーンピンの両端部を収めて、拡開コーンの本体をその頭部側から円筒体の割り溝が形成された一方の端部を含む部位に進入させることにより、円筒体の割り溝が形成された一方の端部を含む部位が拡開することを特徴とするアンカー。 - 前記円筒体の一方の端部を含む部位の外周部に、円環状の段部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のアンカー。
- コンクリート壁に固定される足掛け具であって、
足踏み部とその両側に脚部を有し、脚部には請求項1または2に記載のアンカーが接続されていることを特徴とする足掛け具。 - 請求項1または2に記載のアンカーをコンクリート壁に固定する方法であって、
コンクリート壁に穿設した取付用孔に、アンカーを、拡開コーンが挿入された前記円筒体の割り溝が形成された一方の端部の方から、該割り溝に前記コーンピンの両端部を収めて挿入し、次いで、円筒体の他方の端部を直接的あるいは間接的に押し、コーンピンが円筒体の割り溝の付け根部に達するまで円筒体を取付用孔に埋め込み、円筒体の割り溝が形成された一方の端部を含む部位を拡開させることにより、アンカーをコンクリート壁に固定することを特徴とする、請求項1または2に記載のアンカーをコンクリート壁に固定する方法。
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