JP2009046843A - コンクリートの表層部に有底穴を開ける方法及び有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具 - Google Patents

コンクリートの表層部に有底穴を開ける方法及び有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具 Download PDF

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Abstract

【課題】 アンカー金具を利用することにより、コンクリート躯体にアンカー施工以上の衝撃力を加えずにコンクリート表層部に有底穴を開ける方法及び有底穴を開ける作業に用いるアンカー金具を提供すること。
【解決手段】 有底穴を開ける方法が、コンクリート11に環状溝12を形成する第1工程と、環状溝12の中心部に環状溝12と略同深さのドリル穴13を形成する第2工程と、ドリル穴13の底部にアンカー金具14を施工する第3工程とからなり、アンカー金具を施工することによって環状溝12の底部に水平方向のひび割れを発生させ、これによって環状溝12の内側のコンクリート塊18を除去して円筒状有底穴19を形成する。アンカーの施工だけでは十分なひび割れが発生しない時は、施工されたアンカー金具を引き抜くとひび割れが発生する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、コンクリートの表層部に有底穴を開ける方法及び有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具に関するものである。
例えば、既設のコンクリート構造物に耐震工事又は補強工事などを行う場合において、コンクリート構造物に増設する部材を当該構造物に結合する時は、コンクリート壁の表面から結合用ボルトのボルト頭が突出しないことが要求される。
図1は、高速道路のコンクリート防護壁を示しており、防護壁1の上方に遮音壁2を増築する工事を行う場合を示している。増築工事においては、遮音壁2を防護壁1に固定するための結合ボルト3のボルト頭4が自動車走行路5側に突出しないことが安全上望ましいのである。そこで、具体的には、防護壁1の自動車走行路5側の壁面にボルト頭4が収容できる凹穴6を設け、該凹穴6に開口するボルト挿通孔7を設けて上記結合ボルト3により防護壁1と遮音壁2とを結合する。
従来から、コンクリート構造物に有底穴を開ける方法として、コアドリルによってコンクリート壁に環状溝を形成し、形成された環状溝内にマイナスドライバー状の工具を圧入して環状溝の底部でコンクリート塊に水平方向のひび割れを発生させ、当該コンクリート塊を除去して平面視円形の有底穴を形成することが知られている。しかし、環状溝の直径に対して環状溝の深さが浅い場合などでは、環状溝内に上記工具を圧入しても環状溝の底部でひび割れを発生させることができないことがあり、この場合は、環状溝の内側のコンクリートを手作業により除去しなくてはならなかった。
従来技術の一例として、岩石などの硬い材料に環状溝を形成し、当該環状溝の内側部分を除去して有底穴を形成する方法が、特表平6−504335号公報に記載されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の発明は、図1,2(特許文献の図であり、符号も特許文献のものである。)を参照して、環状溝10の中央穴12を有する岩石構造11が示され、円柱状のスラッグ16を中央穴12の底部まで挿入される。次いで、長いピン14がスラッグ16に接触するまで穴に挿入し、ピン14の先端にかなりの衝撃力を鉛直方向下方に向けて加える。このようにすることで、スラッグ16は圧力流体のような作用をして圧力を穴12の側壁に伝達し、コアは環状溝基部の横断面で破断し除去されるとしている。
特許文献1の発明は、岩石やコンクリートのような堅い材料を破断する方法であると紹介されているから、コンクリート構造物に応用できることは当然であるが、当該方法は、中央穴12の底部に挿入したスラッグ16にかなりの衝撃力を加えて堅い材料にひび割れを発生させるものであるから、岩石のように比較的材質の硬さが均一で極めて硬い材料の場合は、スラッグ16に加わる衝撃力によってコアが環状溝基部の横断面で破断するであろうと予測できるが、コンクリート構造物の場合は、骨材をモルタルで付着した構造なので、骨材とモルタルの堅さが異なるため硬さが均一でなく、スラッグ16が穴底面及び穴壁面の骨材と骨材に付着しているモルタル部分にめり込んだり、あるいは間に挟まったりするので、コンクリート面に対し不均一なせん断応力となり横断面で破断できないおそれが生ずる。
ところで、「あと施工アンカー」として分類されている金属拡張アンカーは、施工後に引張り力を加えた時の破壊形態、いわゆる破壊モードが、コンクリート躯体表面がコーン状に破壊する破壊モードと、アンカーボルト鋼材の降伏によるボルトが破壊する破壊モードとがみられる。ここで、アンカーボルト自体が破壊する場合は、アンカーの肉厚が薄い場合とか特殊な方法で使用した場合などでみられる現象であるが、金属拡張アンカーにおける一般的な破壊モードは、コンクリート躯体表面がコーン状破壊と言われるコーン形状に除去される破壊モードであり、アンカーとともに除去されるコンクリート塊は、通常120度の円錐状のコーン形状となっている。
金属拡張アンカーは、スリーブ先端を拡開させるものであるが、使用方法が「打込み方式」と「締付け方式」がある。打込み方式は、打込み棒を使用しており、打込み棒をハンマー等により叩打して拡開部を拡開するものである。また、締付け方式は、コーン形状を有する拡開軸を使用しており、拡開軸のコーン形状を拡開部に当接状態にして引き上げて拡開部を拡開するものである。
打込み方式は、アンカー金具の部材をハンマー等によって叩打するのでコンクリート躯体に衝撃荷重が加わるが、作業性がよいので多用されている方式である。しかし、コンクリート構造物が比較的薄い場合に打込み方式によってアンカーを施工すると、穴底で施工力を受ける場合は、穴底に衝撃荷重が加わりコンクリート構造物の躯体を損傷するおそれが生ずるが、コンクリート表面で施工力を受けるようにすれば、穴底には施工による衝撃力が加わらない。一方、締付け方式は、コンクリート躯体に静的荷重のみを加えるだけなので、コンクリート躯体に対して施工による衝撃力が加わらないので躯体を損傷するおそれはなく、したがって、コンクリート構造物が比較的薄い場合は、締付け方式によってアンカーを施工する方が優れていることになる。
社団法人日本建築あと施工アンカー協会が昭和62年6月1日に発行した「あと施工アンカー試験方法」3頁記載の「3.3アンカーの設置」では、『アンカーを単体で試験する場合、同一対象母材に2本以上アンカーを設置するときは、表−2を参考にして、隣接するアンカーが互いに影響しないように配慮する。』と説明しており、表−2において、金属拡張アンカーの引張り試験は、アンカー間隔が「≧3.5Le」(ここで、Leはアンカーの埋込み深さ)であると説明している(特許文献2)。
特許文献2では、コンクリート躯体に2本以上のアンカーを打込む時は、アンカーの埋込み位置が、アンカー埋込み深さの3.5倍以上の距離を隔てることが要件であると説明しているだけであり、コーン状に破壊された破壊塊の断面形状又は断面角度についての説明をしたものではない。しかし、特許文献2は、2本以上のアンカーを打込む時は上記した距離を隔てる必要があると説明しており、例えば、アンカーが内部コーン打込み式アンカーであって、外径12mm、埋込み深さ30mmの場合、2本のアンカーは105mm以上を隔てて打込む必要があることを説明している。すなわち、埋込み深さ30mmに施工されたアンカーを引っ張ってコーン状破壊を生じさせると、コーン状破壊塊の形状は、平面視直径105mmとなる断面120度の円錐形状を呈するのである。
円錐角120度のコーン状破壊が生じる位置は、アンカーの埋込み深さに係りなく一定の位置である。アンカーの外径が大きくなるとコーン状破壊位置は深くなるが、アンカーの外径が同じである場合、コーン状破壊は一定の位置で発生する。ここで、アンカーの埋込み深さがコーン状破壊位置よりも浅い場合は、埋め込んだ位置でコーン状破壊が生ずるが、埋込み深さがコーン状破壊位置よりも深い場合は、引っ張られたアンカーは、コーン状破壊位置までスリップしながら抜け出た後、当該位置で円錐角120度のコーン状破壊を生ずる。コンクリートに施工されたアンカーボルトは、引き抜き方向の荷重が加わると一定深さの位置でコーン状破壊が生じ、この時の形状が、埋込み深さの3.5倍の平面形状を有する円錐角120度のコーン形状となっている。
図2aは、コンクリートに打込んだアンカーを引き抜いた時、コンクリートから除去されたコーン状の破壊塊が、アンカー先端を基点とする断面120度の円錐形状を呈するコーン状コンクリート塊16となり、残った部分にコーン状円錐穴17が形成されることを説明したものである。また、図2bは、後に詳しく説明するように、コンクリートにアンカー金具14を打ち込む時に、先端部を基点とする断面120度の延長線がコンクリート表面上で交差する位置の内側に環状溝12を形成しておくと、アンカー金具14を引き抜いた際に、環状溝12の底部において水平方向のひび割れが発生し、当該環状溝12内のコンクリート塊18が除去され、除去された部分に円筒状有底穴19が形成されることを説明したものである。
特表平6−504335号公報 社団法人日本建築あと施工アンカー協会が昭和62年6月1日に発行した「あと施工アンカー試験方法」3頁記載の「3.3アンカーの設置」の項
なお、本明細書において、「アンカー」,「アンカーボルト」,「アンカー金具」という場合は、いずれも金属拡張アンカーのことである。
本発明の課題は、アンカーボルトを利用し、アンカーボルトを施工するドリル穴の底部に衝撃力を直接伝えないようにすることにより、コンクリート躯体を損傷することなくコンクリート表層部に有底穴を開ける方法及び穴開け作業に使用するアンカー金具を提供することである。
解決手段の第1は、コンクリートの表層部に有底穴を開ける方法であって、所望する有底穴と同径の環状溝を形成する第1工程と、上記環状溝の中心部にドリル穴を形成する第2工程と、上記ドリル穴にアンカー金具を施工する第3工程とからなり、上記ドリル穴内でアンカー金具を施工し若しくはドリル穴に施工したアンカー金具を引き抜くことにより、アンカーの拡開位置に水平方向のひび割れを発生させ、これによって当該環状溝の内側のコンクリート塊を除去して円筒状有底穴を形成することを特徴とするものである。
解決手段の第2は、解決手段の第1において、アンカー金具は、ドリル穴の底部付近で拡開させることにより、アンカー施工時に発生する衝撃荷重をドリル穴の底部に直接伝えないようにしたことを特徴とするものである。
解決手段の第3は、第1のアンカー金具が、第1のスリーブ本体と押込み棒とを有しており、上記第1のスリーブ本体は、先端開口部から軸方向に平行して複数のスリットを形成するとともに、先端部に筒体内径を小径に形成した拡開部を設け、基端部の外周に雄ネジを形成したものであり、上記押込み棒は、先端部に尖り形状を形成したものであり、アンカーの施工に際し、上記第1のスリーブ本体の雄ネジをコンクリート表面から突出し、コンクリート表面から突出した雄ネジに座金を介してナットをねじ結合し、第1のアンカー金具の拡開部をドリル穴の穴底付近で拡開させることを特徴とするものである。
解決手段の第4は、解決手段の第3において、第1のスリーブ本体は、先端部外周に第1の先鋭フランジを形成したものであることを特徴とするものである。
解決手段の第5は、第2のアンカー金具が、フランジ付心棒と、拡張部材と、第2のスリーブ本体と、C字リングとからなり、上記フランジ付心棒が、心棒部材を有し、該心棒部材の一端にフランジを形成すると共に当該心棒部材の根もと部分に半径方向に突出する四つの拡張突起を形成したものであり、上記拡張部材が、四つに分割された分割拡張部材を有し、リング状に組立てられた内側部分に上記拡張突起の先端を接合させ、横方向に切断したときの厚みが一端から他端に向って次第に厚くなるように形成したものであり、上記第2のスリーブ本体が、アンカー筒体を有し、該アンカー筒体に上記フランジ付心棒を挿入するものであり、上記拡張部材と対峙する側の端面に4本の回り止めピンを設け、上記フランジ付心棒に上記拡張部材に嵌合した状態で当該フランジ付心棒を上記アンカー筒体に挿入し、上記拡張部材の外周部に上記C字リングを装着したことを特徴とするものである。
解決手段の第6は、解決手段の第5において、拡張部材は、リング状に組立てられたときにフランジ付心棒の拡張突起を嵌合する凹窪部を設けて天板を形成し、該天板に上記フランジ付心棒の心棒部材が挿入できる通孔を設けたことを特徴とするものである。
解決手段の第7は、解決手段の第5又は6において、拡張部材は、外周部にC字リングを装着するための外側嵌合溝を形成したことを特徴とするものである。
解決手段の第8は、解決手段の第5から7のいずれかにおいて、拡張部材は、先端の外周部に第2の先鋭フランジを形成したことを特徴とするものである。
解決手段の第9は、解決手段の第5から8のいずれかにおいて、第2のアンカー金具は、アンカーの施工に際し、アンカー筒体の基端部をコンクリート表面と同高さに設置し、コンクリート表面から突出している心棒部材を挿通した覆板材と当該アンカー筒体とを連結用ピンによって固定して両者を回転不可とし、拡張部材をドリル穴の穴底付近で拡開させることを特徴とするものである。
解決手段の第10は、第3のアンカー金具が、第3のスリーブ本体と拡張軸とを有し、上記第3のスリーブ本体は、先端開口部から軸方向に平行して複数本のスリットを形成した拡開部を設けたものであり、上記拡開軸は、先端部に拡開コーン部材を形成したものであり、アンカーの施工に際し、上記第3のスリーブ本体の基端部をコンクリート表面と同高さに設置し、コンクリート表面から突出している上記拡張軸の雄ネジに座金を介してナットをねじ結合し、第3のアンカー金具の拡開部をドリル穴の穴底付近で拡開させることを特徴とするものである。
解決手段の第11は、解決手段の第10において、第3のスリーブ本体は、先端外周部に第3の先鋭フランジを形成したものであることを特徴とするものである。
請求項1は、コンクリートの表層部に開けた環状溝の中心部に形成したドリル穴でアンカー金具を拡開し、当該アンカー金具を拡開することによって環状溝の底部に水平方向のひび割れを発生させるものであるから、ドリル穴(特許文献1の中央穴)に挿入したアンカー金具(特許文献1のスラッグ)をドリル穴の底部で拡開する時、アンカーを打込み方式として使用した場合であっても、穴底で打込み力を受けずにコンクリート表面で受けるようにすれば、コンクリート穴底には衝撃荷重が加わらないので、比較的厚みの薄いコンクリート躯体であっても、躯体を損傷することなく表層部に有底穴を開けることができるものである。
また、請求項1は、環状溝の径が大きいこと等が原因となってアンカーの施工だけでは水平方向のひび割れが不十分な場合は、施工されたアンカー金具を引き抜くことにより確実にひび割れを発生させることができるので、この場合も、比較的厚みの薄いコンクリート躯体であっても表層部に有底穴を開けることができるものである。
請求項2は、アンカー金具をドリル穴の底部付近で拡開するものであるから、アンカーの拡開に際し生ずる衝撃荷重をドリル穴の底部に伝えないものであって、アンカー金具を打込み方式あるいは締付け方式のどちらの方式も使用可能であり、コンクリート躯体を損傷せずに表層部に有底穴を開けることができるものである。
請求項3は、第1のアンカー金具が、押込み棒を有しており、アンカーの施工に際して当該押込み棒を叩打して拡開部を拡開する構造であるが、アンカー金具をドリル穴の穴底ではなく、穴底付近の任意の位置に拡開するものであるから、押込み棒を叩打して施工してもドリル穴の穴底に衝撃荷重を加えることがなく、したがって、コンクリート躯体に大きな損傷を与えずに表層部に有底穴を開けることができるものである。また、押込み棒を油圧装置などにより押込む方法により施工することも可能であり、この場合もコンクリート躯体に何らの損傷を与えずに表層部に有底穴を開けることができるものである。
請求項4は、第1のスリーブ本体の先端部外周に第1の先鋭フランジを形成したものであるから、目的とする正確な位置に当該第1の先鋭フランジを食込ませてアンカー金具を施工できるので、一定の深さの有底穴が得られるものである。
請求項5は、第2のアンカー金具が、四つの拡張突起を有するフランジ付心棒と、四つに分割された拡張部材と、上記フランジ付心棒を挿入するアンカー筒体とからなり、上記拡張部材は各分割拡張部材の横方向の断面形状を一端から他端に向って次第に厚くなるように形成し、上記フランジ付心棒を拡張突起と拡張部材を係合させて組み立て、当該フランジ付心棒を回転させて上記拡張部材を半径方向に拡開してコンクリートに固着したものであるから、アンカー金具の施工がフランジ付心棒を回転させることで行えるものであって、アンカーを締付け方式として使用しているので、コンクリート躯体に大きな衝撃力を加えずに有底穴を開けることができ、したがって、比較的厚みの薄いコンクリート躯体であっても躯体を損傷することなくコンクリートの表層部に有底穴を開けることができるものである。
請求項6は、拡張部材がリング状に組立てられたときにフランジ付心棒の拡張突起を嵌合する凹窪部を設けて天板を形成し、該天板に上記フランジ付心棒が挿入できる通孔を設けたものであるから、拡張部材とフランジ付心棒の組立が容易となるものである。
請求項7は、拡張部材が外周部にC字リングを装着するための外側嵌合溝を形成したものであるから、上記外側嵌合溝に上記C字リングを装着することにより、上記拡張部材と上記フランジ付心棒の組立後に当該拡張部材が型崩れを生ずることを防止し得るものである。
請求項8は、第2のスリーブ本体の先端外周部に先鋭フランジを形成したものであるから、ドリル穴内でアンカー金具を施工する時、第2のアンカー金具をドリル穴の任意の位置に設置できるものであるから、目的とする正確な位置に当該第1の先鋭フランジを食込ませてアンカー金具を施工できるので、一定の深さの有底穴が得られるものである。
請求項9は、第2のスリーブ本体が有する心棒部材をコンクリートの表面から突出して設置し、該心棒部材に挿通した覆板材と上記第2のスリーブ本体とを廻止め用ピンによって固定したものであるから、アンカー金具を締付け方式として使用できるので、これによりコンクリート躯体を損傷せずに有底穴を開けることができるものである。
請求項10は、第3のアンカー金具が、第3のスリーブ本体と拡張軸を有し、該拡張軸には拡張コーン部材を形成したものであるから、アンカーを締付け方式として使用しているので、コンクリート躯体に大きな衝撃力を加えずに有底穴を開けることができ、したがって、比較的厚みの薄いコンクリート躯体であっても損傷することなく表層部に有底穴を開けることができるものである。
請求項11は、第3のスリーブ本体の先端部外周に第3の先鋭フランジを設けたものであるから、第3のアンカー金具が施工された時に先鋭フランジがドリル穴の任意の位置に設置できるので、目的とする正確な位置に当該第3の先鋭フランジを食込ませてアンカー金具を施工できるので、一定の深さの有底穴が得られるものである。
図3を参照してコンクリートの表面に有底穴を形成する方法を説明する。図3は有底穴を形成する手順を示す工程図である。
図3において、有底穴を形成する方法は、コアドリル10を使用してコンクリート11に環状溝12を形成する第1工程(図3a)と、該環状溝12の中心部に当該環状溝と略同深さのドリル穴13を形成する第2工程(図3b)と、該ドリル穴13の穴底にアンカー金具14を施工する第3工程(図3c)とからなり、アンカー金具14が施工された時に、図3cに示すように、ドリル穴13の底部においてコンクリート塊18に水平方向のひび割れを発生させることができる。そこで、アンカー金具14に引抜き棒15をねじ結合して当該引抜き棒15を引き抜くと、環状溝12の内側でコンクリート塊18がコンクリート11から分離する(図3d)。環状溝12内のコンクリート塊18を除去すれば、除去された部分に円筒状有底穴19を形成される(図3e)。
アンカー金具14をドリル穴13の底部に施工した時に、環状溝12の内側に水平方向のひび割れが発生するが、仮に、アンカーの施工だけではひび割れが発生しなかった場合は、アンカー金具14に引抜き棒15をねじ結合して当該引抜き棒15を引き抜くことにより、図3dに示すように、上記環状溝12の内側にひび割れを発生させてコンクリート塊18を除去して筒状有底穴19を形成することができることになる(図3e)。
この現象は、コンクリート表面に開口した環状溝12がアンカー先端を基点とする120度の延長線上の内側に形成されていると、コンクリート塊として除去される120度の円錐形の表面積と環状溝の横断面の面積とを比較して、環状溝(コアドリル)の横断面積の方が小さいので、アンカーの引っ張り力がアンカーの周辺に及ぶ際に、アンカーの引っ張り力が環状溝の底部に向って誘発されるからであり、これによって、環状溝の内側に形成されたコンクリートは当該環状溝の底部分から横断方向に破壊して円筒状のコンクリート塊が除去される。
アンカー金具14は、例えば、内部コーン打込み式の金属拡張アンカーであって、スリーブ内の先端部分にコーン部材14aを設けたものであり、アンカー金具14は、スリーブ内に打込み棒(図示しない)を挿入して上記コーン部材14aを叩打することにより、スリーブ先端がコーン部材14aにより拡開され、ドリル穴13の穴底部分に固着されるものである。実施形態のアンカー金具を使用すると、アンカーは打込み方式として使用することになり、コンクリートの穴底からコンクリートに衝撃荷重を加えることによりコンクリート躯体を破損させることがあるが、例えば、アンカーのネジ部側に図示しないフランジ等を設け、アンカー金具をドリル穴に挿入した時、アンカー金具が穴底に当らないようにすれば、施工による衝撃力は穴底には伝わらないからアンカーの施工に際しコンクリート躯体を損傷することがないものとなる。
本発明は、環状溝の中心部に形成したドリル穴に施工したアンカー金具によってコンクリート塊を除去することを特徴とするものであり、アンカー金具は、従来公知の金属拡張アンカーが使用できるが、以下に、本発明を実施するために開発されたアンカー金具を説明する。
アンカー金具の第1実施例
図4,図5はアンカー金具の第1実施例を示しており、図4は第1のアンカー金具の部品図、図5は同金具の施工状態を示す断面図である。
これらの図において、第1のアンカー金具100は、第1のスリーブ本体110と押込み棒140を有するものである。ここで、第1のスリーブ本体110は、先端開口部から軸方向に平行して複数本のスリット111を形成すると共に、先端の筒体内を小径部112に形成した拡開部113を設けたものであり、また、該第1のスリーブ本体110の先端部外周に第1の先鋭フランジ114を設け、さらに、上記拡開部113を除いた部分に雄ネジ115を形成したものである。図中、120は座金、130はナット、140は押込み棒であって、先端部に尖り形状を設けたものである。なお、第1のスリーブ本体110は、コンクリート11に施工した際に、コンクリートの表面から雄ネジ115が突出する長さを有している。
第1のアンカー金具100を施工するには、まず、コアドリルを使用してコンクリート11に環状溝12を開け、該環状溝12の中心部に当該環状溝の深さと略同じ深さのドリル穴13を開ける。次に、第1のスリーブ本体110を先端の拡開部113が穴底よりも僅かに浅い位置に設置されるように挿入し、コンクリート表面から突出している雄ネジ115部分に座金120を介してナット130をねじ結合する。この状態で第1のスリーブ本体110が抜け出ないように図示しない機具を使用して当該第1のスリーブ本体110を固定し、ここで、第1のスリーブ本体110の筒体内に押込み棒140を挿入する(図5a)。
第1のスリーブ本体110に挿入した押込み棒140を叩打すると、第1のスリーブ本体110の小径部112が拡開して当該部分がドリル穴13に固着して第1アンカー金具100がコンクリート11に施工される。押込み棒140は叩打されるが、第1のスリーブ本体110の底部が穴底に達していないので、アンカーは打込み方式による衝撃加重は加わっておらず、押し込みによる静的荷重が加わるだけである。この時、第1のスリーブ本体110の第1の先鋭フランジ114が上記ドリル穴13の底部側壁に食込み、第1のアンカー金具110はコンクリート11に対しよりいっそう強固に固着される。
第1のアンカー金具100が施工されると、環状溝12の底部付近においてコンクリート塊18に半径方向のひび割れが発生するので、当該環状溝内のコンクリート塊18が除去されて円筒状有底穴19が形成される(図5b)。ここで、第1のアンカー金具100は、ドリル穴13の穴底に当っていないので、打込み施工力は穴底で受けずにコンクリート表面で受けており、したがって、コンクリートの厚みが薄い場合であっても使用できるものである。
なお、第1のアンカー金具100をドリル穴13の底部に施工した時に、環状溝12の内側に水平方向のひび割れが発生するが、仮に、アンカーの施工だけでは十分なひび割れが発生しなかった場合は、第1のアンカー金具100を引き抜くことにより、上記環状溝12の内側にひび割れを発生させて筒状有底穴19を形成することができることになる(図5b)。
アンカー金具の第2実施例
図6から図9はアンカー金具の第2実施例を示しており、図6は第2のアンカー金具の部品図、図7は組立てた状態を示す断面図、図8は図7のA−A断面図、図9は同金具の施工状態を示す断面図である。
これらの図において、第2のアンカー金具200は、フランジ付心棒201と、平面視で四つに分割された拡張部材202と、上記フランジ付心棒201を挿入するアンカー筒体203を備えており、この他に、拡張部材202の外周部を保持するC字リング204を備えているものである。
上記フランジ付心棒201は、心棒部材210の一端にフランジ211を設けるとともに、当該心棒部材210の根もと部分に半径方向に突出する四つの拡張突起212を形成したものであって、心棒部材210の他端に雄ネジ213を設け、全体として上記アンカー筒体203に挿入したとき、当該筒体から上記雄ネジ213部分が突出する長さを有している。
上記拡張部材202は、リング状に形成された部材を平面視で四つに分割した分割拡張部材220を備えており、これら分割拡張部材220を結合した時に上記拡張突起212を嵌合する凹窪部221を設けて天板222を形成し、該天板222に上記心棒部材210が挿通できる通孔223が形成したものである。また、上記各分割拡張部材220は、リング形状に組立てられた内側部分に上記拡張突起212の先端を接合させるものであって、横方向に切断したときの厚みが一端から他端に向って次第に厚くなるように形成されているものである(図8を参照)。さらに、拡張部材202の外周部は、全周面に外側嵌合溝224が形成されており、該外側嵌合溝224に上記C字リング204を装着するものである。この他、上記分割拡張部材220の一端(天板222の反対側の端部)の外周部に第2の先鋭フランジ225が形成されている。
また、上記第2のスリーブ本体203は、アンカー筒体230を有し、該アンカー筒体230の中心部に軸方向の中央孔231を設けたものであって、上記拡張部材202と対峙する側の端面に4本の回り止めピン232が等間隔で設けられている。ここで、回り止めピン232は、第2のアンカー金具200を組立て時に拡張部材202の各分割拡張部材220の接合部の隙間に挿入されるものであって、フランジ付心棒201を回転したときに、供回りをしないで分割拡張部材220との係合状体を維持して当該拡張部材を拡開するものである。
第2のアンカー金具200を施工するためにアンカー金具を組立てる。まず、フランジ付心棒201の心棒部材210に拡張部材202を嵌合し、フランジ付心棒201の拡張突起212に拡張部材202の凹窪部221を接合する。この時、拡張部材202は外側嵌合溝224に予めC字リング204を装着しておき、分割拡張部材220のリング形状を保持しておく。また、拡張部材202にアンカー筒体203を重合し、回り止めピン232を分割拡張部材220の接合部に形成された隙間に挿入して両者が供回りをしないように組立てる。これにより、第2のアンカー金具200は、アンカー筒体203から心棒部材210が突出した状態で組立てられることになる。
次に、第2のアンカー金具200を施工するには、コンクリート11に開けた環状溝12にフランジ付心棒201のフランジ211をドリル穴13の底部付近に設置し、また、アンカー筒体230をコンクリート11の表面と同じ高さに設置する。なお、第2のアンカー金具200がドリル穴13内で供回り現象を起さないように、例えば、コンクリート11の表面に露出しているアンカー筒体230に覆板材205を連結用ピン206によって固定しておく(図9を参照)。なお、上記覆板材205及び上記連結用ピン206は、アンカー施工中に第2のアンカー金具200が供回りをするのを防止するためのものであるから、供回りが防止できれば上記構造に限定されないことは勿論である。
次いで、上記覆板材205とアンカー筒体230を固定して両者を回転不可に設置した後、コンクリート11の表面から突出している心棒部材210に図示しない回転駆動装置を連結してフランジ付心棒201を回転する。この時、フランジ付心棒201及び拡張突起212が時計方向に回転すると、拡張部材202は、分割拡張部材220が回り止めピン232と係合してアンカー筒体230と共に回転方向の移動が阻止されているので、拡張突起212の回転によって肉厚部分が次第に外側に張り出し、これにより、第2の先鋭フランジ225がドリル穴13に食い込み、第2のアンカー金具200がコンクリート11に対して強固に固着される(図9a)。ここで、第2のアンカー金具200が施工されると、環状溝12の底部においてコンクリート塊18に水平方向のひび割れが発生するので、当該環状溝内のコンクリート塊18を除去すれば円筒状有底穴19が形成される(図9b)。
第2実施例による第2のアンカー金具200は、フランジ付心棒201を回転させて拡張部材202の分割拡張部材220を半径方向に拡開してコンクリートに固着したものであるから、第2のアンカー金具200の施工が、フランジ付心棒201を回転させることで行えるものであって、アンカーを締付け方式として使用するものであり、コンクリート躯体に大きな衝撃力を加えることがないので、コンクリート躯体を損傷することなく表層部に有底穴を開けることができる。
なお、第2のアンカー金具200をドリル穴13の底部に施工した時に、環状溝12の内側に水平方向のひび割れが発生するが、仮に、アンカーの施工だけでは十分なひび割れが発生しなかった場合は、第2のアンカー金具200を引き抜くことにより、上記環状溝12の内側にひび割れを発生させて筒状有底穴19を形成することができることになる(図9b)。
アンカー金具の第3実施例
図10,図11はアンカー金具の第3実施例を示しており、図10は第3のアンカー金具の部品図、図11は施工状態を示す断面図である。
これらの図において、第3のアンカー金具300は、第3のスリーブ本体310と拡張軸320を有している。上記第3のスリーブ本体310は、先端開口部から軸方向に平行して複数本のスリット311を形成した拡開部を設けるとともに、先端外周部に第3の先鋭フランジ312を設けたものである。また、上記拡張軸320は、先端部に拡張コーン部材321を設けるとともに、基端部に雄ネジ322を設けたものである。図中、330は座金、340はナットである。
第3のアンカー金具300を施工するには、拡張軸320を第3のスリーブ本体310に、スリット311(第3の先鋭フランジ312)が拡張コーン部材321に接合するようにしてドリル穴13に挿入する。この時、拡張コーン部材321の底部はドリル穴13の底部に当らない位置に設置する(図11a)。次いで、座金330を固定してスリーブ本体310が抜け出ないようにしてナット340を締め付けると、第3の拡張軸320が上昇し、拡張コーン部材321によって第3のスリーブ本体310の拡開部が拡開されてコンクリート11に強固に固着される。さらに、ナット340を締付けると、環状溝12の底部付近においてコンクリート塊18に半径方向のひび割れが発生するので、当該環状溝内のコンクリート塊18を除去すれば円筒状有底穴19が形成される(図11b)。
第3実施例による第3のアンカー金具300は、ドリル穴13に施工された時に第3の先鋭フランジ312が上記ドリル穴13の底部側壁に食込んでいるから、第3のアンカー金具300とコンクリートが強固に固着され、コンクリートに対し容易にひび割れを発生させることができる。ここでも、アンカーを締付け方式として使用しているから、コンクリート躯体に大きな衝撃力を加えることがないので、コンクリート躯体を損傷することなく表層部に有底穴を開けることができる。
なお、第3のアンカー金具300をドリル穴13の底部に施工した時に、環状溝12の内側に水平方向のひび割れが発生するが、仮に、アンカーの施工だけでは十分なひび割れが発生しなかった場合は、第3のアンカー金具300を引き抜くことにより、上記環状溝12の内側にひび割れを発生させて筒状有底穴19を形成することができることになる(図11b)。
実施例の実験結果
第1実施例
a アンカー外径20,埋込深さ60,環状溝外径60,100,140
第2実施例
a アンカー外径28,埋込深さ50,環状溝外径60,140,200
b アンカー外径28,埋込深さ100,環状溝外径60,100,140,170
第3実施例
a アンカー外径25,埋込深さ50,環状溝外径60,100,140,170
b アンカー外径25,埋込深さ70,環状溝外径100,140,200,250
上記実験結果の数値は、いずれもmmである。実験は、各実施例において、外径が等しいアンカー金具を埋め込み深さを変えて実験施工したものであり、アンカー金具を同じ埋め込み深さに設定した場合に、複数の直径を有する有底穴が得られた。なお、実験に用いたコンクリートは、圧縮強度が245kg/cm2のものである。
特許請求の範囲および明細書において、アンカー金具の拡開位置を「ドリル穴の穴底付近」としたが、ここで、ドリル穴の穴底付近とは、穴底から2〜5mmの範囲をいう。また、アンカー金具の先端部外周に形成した「先鋭フランジ」は、高さを0.5〜1.0mmとした。
既設のコンクリート構造物に新たな部材を増築する例を示す断面図。 コンクリートに打込んだアンカーを引き抜くことでコンクリート塊が除去されることを示す説明図。 コンクリートの表面に有底穴を形成する作業手順を示す工程図。 第1のアンカー金具の部品図。 第1のアンカー金具の施工状態を示す断面図。 第2のアンカー金具の部品図。 第2のアンカー金具の組立て状態を示す一部破断の側面図。 図7におけるA−A拡大断面図。 第2のアンカー金具の施工状態を示す断面図。 第3のアンカー金具の部品図。 第3のアンカー金具の施工状態を示す断面図。
符号の説明
10 コアドリル
11 コンクリート
12 環状溝
13 ドリル穴
14 アンカー金具
15 引抜き棒
16 コーン状コンクリート塊
17 コーン状有底穴
18 コンクリート塊
19 円筒状有底穴
100 第1のアンカー金具
110 第1のスリーブ本体
111 スリット
112 小径部
113 拡開部
114 第1の先鋭フランジ
115 雄ネジ
120 座金
130 ナット
140 押込み棒
200 第2のアンカー金具
201 フランジ付心棒
202 拡張部材
203 第2のスリーブ本体
204 C字リング
205 覆板材
206 連結用ピン
210 心棒部材
211 フランジ
212 拡張突起
213 雄ネジ
220 分割拡張部材
221 凹窪部
222 天板
223 通孔
224 外側環状溝
225 第2の先鋭フランジ
230 アンカー筒体
231 中央孔
232 回り止めピン
300 第3のアンカー金具
310 第3のスリーブ本体
311 スリット
312 第3の先鋭フランジ
320 拡張軸
321 拡張コーン部材
322 雄ネジ

Claims (11)

  1. コンクリートの表層部に有底穴を開ける方法であって、所望する有底穴と同径の環状溝(12)を形成する第1工程と、上記環状溝の中心部にドリル穴(13)を形成する第2工程と、上記ドリル穴にアンカー金具(14)を施工する第3工程とからなり、上記ドリル穴内でアンカー金具を施工し若しくはドリル穴に施工したアンカー金具を引き抜くことにより、アンカーの拡開位置に水平方向のひび割れを発生させ、これによって当該環状溝の内側のコンクリート塊を除去して円筒状有底穴を形成することを特徴とするコンクリートの表層部に有底穴を開ける方法。
  2. アンカー金具は、ドリル穴の底部付近で拡開させることにより、アンカー施工時に発生する衝撃荷重をドリル穴の底部に直接伝えないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの表層部に有底穴を開ける方法。
  3. 第1のアンカー金具(100)が、第1のスリーブ本体(110)と押込み棒(140)とを有しており、上記第1のスリーブ本体は、先端開口部から軸方向に平行して複数のスリットを形成するとともに、先端部に筒体内径を小径に形成した拡開部(113)を設け、基端部の外周に雄ネジ(115)を形成したものであり、上記押込み棒は、先端部に尖り形状を形成したものであり、アンカーの施工に際し、上記第1のスリーブ本体の雄ネジをコンクリート表面から突出し、コンクリート表面から突出した雄ネジに座金を介してナットをねじ結合し、第1のアンカー金具の拡開部をドリル穴の穴底付近で拡開させることを特徴とする有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  4. 第1のスリーブ本体(110)は、先端部外周に第1の先鋭フランジ(114)を形成したものであることを特徴とする請求項3に記載の有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  5. 第2のアンカー金具(200)が、フランジ付心棒(201)と、拡張部材(202)と、第2のスリーブ本体(203)と、C字リング(204)とからなり、上記フランジ付心棒が、心棒部材(210)を有し、該心棒部材の一端にフランジ(211)を形成すると共に当該心棒部材の根もと部分に半径方向に突出する四つの拡張突起(212)を形成したものであり、上記拡張部材が、四つに分割された分割拡張部材(220)を有し、リング状に組立てられた内側部分に上記拡張突起の先端を接合させ、横方向に切断したときの厚みが一端から他端に向って次第に厚くなるように形成したものであり、上記第2のスリーブ本体が、アンカー筒体(230)を有し、該アンカー筒体に上記フランジ付心棒を挿入するものであり、上記拡張部材と対峙する側の端面に4本の回り止めピン(232)を設け、上記フランジ付心棒に上記拡張部材に嵌合した状態で当該フランジ付心棒を上記アンカー筒体に挿入し、上記拡張部材の外周部に上記C字リングを装着したことを特徴とする有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  6. 拡張部材(202)は、リング状に組立てられたときにフランジ付心棒(201)の拡張突起(212)を嵌合する凹窪部(221)を設けて天板(222)を形成し、該天板に上記フランジ付心棒の心棒部材(210)が挿入できる通孔(223)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  7. 拡張部材(202)は、外周部にC字リング(204)を装着するための外側嵌合溝(224)を形成したことを特徴とする請求項5又は6に記載の有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  8. 拡張部材(202)は、先端の外周部に第2の先鋭フランジ(225)を形成したことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  9. 第2のアンカー金具(200)は、アンカーの施工に際し、アンカー筒体(230)の基端部をコンクリート表面と同高さに設置し、コンクリート表面から突出している心棒部材(210)を挿通した覆板材(205)と当該アンカー筒体とを連結用ピン(206)によって固定して両者を回転不可とし、拡張部材(202)をドリル穴の穴底付近で拡開させることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  10. 第3のアンカー金具(300)が、第3のスリーブ本体(310)と拡張軸(320)とを有し、上記第3のスリーブ本体は、先端開口部から軸方向に平行して複数本のスリットを形成した拡開部を設けたものであり、上記拡開軸は、先端部に拡開コーン部材(321)を形成したものであり、アンカーの施工に際し、上記第3のスリーブ本体の基端部をコンクリート表面と同高さに設置し、コンクリート表面から突出している上記拡張軸の雄ネジに座金を介してナットをねじ結合し、第3のアンカー金具の拡開部をドリル穴の穴底付近で拡開させることを特徴とする有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
  11. 第3のスリーブ本体(310)は、先端外周部に第3の先鋭フランジ(312)を形成したものであることを特徴とする請求項10に記載の有底穴の穴開け作業に使用するアンカー金具。
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