JP2019085813A - 接着系アンカーおよび接着系アンカーの施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的浅い埋込み深さで十分な引張り耐力を発揮させることができる接着系アンカー等を提供する。【解決手段】定着体Cに形成されたアンカー穴AHに挿入されるアンカーボルト11Aと、アンカー穴AHとアンカーボルト11Aとの間隙に充填される接着剤12と、を備え、アンカーボルト11Aが、スリーブ部14に対し、ボルト部15を介してコーン部16を相対的に引き付けることにより、スリーブ部14の拡張部17を拡張させる形式の金属拡張アンカーである。【選択図】 図1
Description
本発明は、あと施工アンカーにおける接着系アンカーおよび接着系アンカーの施工方法に関するものである。
従来、接着系アンカーとして、ロッド本体に埋込み深さを表示する表示ゲージが形成されたケミカルアンカーロッドと、ロッド本体と埋込み孔の内壁との間隙に充填された接着剤と、から成るものが知られている(特許文献1参照)。
このケミカルアンカーロッドは、母材に穿孔された埋込み孔に嵌挿された全ネジのロッド本体を備え、ロッド本体の露出部分の頭部には、最大差し渡しが多くともロッド本体の直径と同じ長さの、平面視が多角形の締結端が設けられている。また、ロッド本体の胴部には、ロッド本体の外周に亘って埋込み深さを表示する表示ゲージが切り込まれている。そして、締結端にハンマードリル等を適応させることで、ロッド本体を埋込み孔に容易に埋め込むことができ、また、表示ゲージを目安にして、ロッド本体を埋込み孔に適正な埋込み深さで埋め込むことができるようになっている。
このケミカルアンカーロッドは、母材に穿孔された埋込み孔に嵌挿された全ネジのロッド本体を備え、ロッド本体の露出部分の頭部には、最大差し渡しが多くともロッド本体の直径と同じ長さの、平面視が多角形の締結端が設けられている。また、ロッド本体の胴部には、ロッド本体の外周に亘って埋込み深さを表示する表示ゲージが切り込まれている。そして、締結端にハンマードリル等を適応させることで、ロッド本体を埋込み孔に容易に埋め込むことができ、また、表示ゲージを目安にして、ロッド本体を埋込み孔に適正な埋込み深さで埋め込むことができるようになっている。
ところで、あと施工アンカーにおいて、金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)の埋込み深さ(有効埋込み長さ)がアンカーの本体径の4〜5倍(確実性を担保せんとする場合には7倍)とされているのに対し、上記のような従来の接着系アンカー(ケミカルアンカーロッド)の埋込み深さは、アンカー径の10倍以上(推奨は、15倍)とされている(例えば、文献:「あと施工アンカー」、1990年6月10日発行、著者:岡田恒男等、発行所:(株)技術書院の、P53〜P67)。
同文献には、接着系アンカーにおいて、埋込み深さ(有効埋込み長さ)がアンカー径の5倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態でコンクリートのコーン破壊が生ずること。埋込み深さがアンカー径の7〜8倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態で、浅い位置におけるコンクリートのキノコ状の破壊、および深い位置における接着剤とコンクリートとの間の付着破壊が生ずること、さらには、十分な引張り耐力を得るためには、埋込み深さがアンカー径の10倍以上が好ましいこと(但し、この場合もキノコ状の重畳破壊となる)等、が記載されている。なお、有効埋込み長さ(le)=コンクリートの穿孔深さ(l)−アンカーボルトの径(de)である。この接着系アンカーにおける特有の現象(特にキノコ状の重畳破壊)は、出願人が行った引抜き試験によっても確認されている。
このように、従来の接着系アンカーは、金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)に比してその埋込み深さ深く、施工性が劣る問題があった。
同文献には、接着系アンカーにおいて、埋込み深さ(有効埋込み長さ)がアンカー径の5倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態でコンクリートのコーン破壊が生ずること。埋込み深さがアンカー径の7〜8倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態で、浅い位置におけるコンクリートのキノコ状の破壊、および深い位置における接着剤とコンクリートとの間の付着破壊が生ずること、さらには、十分な引張り耐力を得るためには、埋込み深さがアンカー径の10倍以上が好ましいこと(但し、この場合もキノコ状の重畳破壊となる)等、が記載されている。なお、有効埋込み長さ(le)=コンクリートの穿孔深さ(l)−アンカーボルトの径(de)である。この接着系アンカーにおける特有の現象(特にキノコ状の重畳破壊)は、出願人が行った引抜き試験によっても確認されている。
このように、従来の接着系アンカーは、金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)に比してその埋込み深さ深く、施工性が劣る問題があった。
本発明は、比較的浅い埋込み深さで十分な引張り耐力を発揮させることができる接着系アンカーおよび接着系アンカーの施工方法を提供することを課題としている。
本発明の接着系アンカーは、定着体に形成されたアンカー穴に挿入されるアンカーボルトと、アンカー穴とアンカーボルトとの間隙に充填される接着剤と、を備え、アンカーボルトが、スリーブ部に対し、ボルト部を介してコーン部を相対的に引き付けることにより、スリーブ部の拡張部を拡張させる形式の金属拡張アンカーであることを特徴とする。
この構成によれば、接着剤を介して金属拡張アンカーがアンカー穴に定着された状態で、ボルト部に引張り力(引抜き力)が作用すると、引張り力は、コーン部を介してスリーブ部に圧縮力として作用する。この場合、スリーブ部は、アンカー穴との間に充填した接着剤により固着されているため、金属拡張アンカーは、定着体に対し拡張部の部分でクサビ効果を発揮する。また、スリーブ部には、コーン部を介して先端側から引張り力(圧縮力)が作用するため、引張り力がスリーブ部の基端側に集中的に作用することがなく、定着体の浅い部分に破壊(キノコ状の重畳破壊)が生ずることはない。したがって、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、ボルト部は、接着剤に直接接することがなく、構造物の支持に有用な金属拡張アンカー(ボルト部)の靱性が損なわれることはない。
なお、定着体には、コンクリートの他、接着系アンカーが一般的に採用される石材等をも含むものである。
なお、定着体には、コンクリートの他、接着系アンカーが一般的に採用される石材等をも含むものである。
この場合、金属拡張アンカーは、拡張部を拡張させたものであることが好ましい。
この構成によれば、金属拡張アンカーは、先端部(拡張部)が広がった状態で定着される。このため、金属拡張アンカーの引張り耐力をより一層向上させることができる。
なお、拡張した拡張部は、必ずしもアンカー穴の穴壁に圧接されている必要はない。
なお、拡張した拡張部は、必ずしもアンカー穴の穴壁に圧接されている必要はない。
また、アンカー穴と拡張部を除いた前記スリーブ部との間隙が、1.5〜5mm程度であることが好ましい。
この構成によれば、金属拡張アンカーを、接着剤を介してクサビ効果を発揮する接着系アンカーのアンカーボルトとして機能させることができる。
また、アンカー穴は、拡張部が臨む穴奥部に拡径部を有することが好ましい。
この構成によれば、拡径部付きのアンカー穴に充填された接着剤と、アンカーボルト(金属拡張アンカー)とが一体化するため、全体として引張り耐力を向上させることができる。
本発明の接着系アンカーの施工方法は、上記した接着系アンカーの施工方法であって、定着体に対しアンカー穴を穿孔すると共に、アンカー穴の穴内清掃を行う穿孔・清掃工程と、アンカー穴に接着剤を注入する注入工程と、金属拡張アンカーをアンカー穴に挿入する挿入工程と、接着剤が硬化するまで、金属拡張アンカーのアンカー穴内での姿勢を維持する養生工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、養生工程を経て接着剤が硬化すると、引張り力に対し金属拡張アンカーは、接着剤を介してクサビ効果を発揮することになる。したがって、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮する接着系アンカーを構成することができる。
この場合、挿入工程では、金属拡張アンカーをアンカー穴に挿入した状態で、拡張部を拡張させることが好ましい。
同様に、挿入工程では、金属拡張アンカーを、予め拡張部を拡張させた状態でアンカー穴に挿入することが好ましい。
これらの構成によれば、金属拡張アンカーを、接着剤を介してクサビ効果を発揮する接着系アンカーのアンカーボルトとして機能させることができる。
穿孔・清掃工程では、スリーブ部の径よりも3〜10mm程度大きい径となるようにアンカー穴を穿孔することが好ましい。
この構成によれば、金属拡張アンカーを、接着剤を介してクサビ効果を発揮する接着系アンカーのアンカーボルトとして機能させることができる。
穿孔・清掃工程では、アンカー穴の穴奥部に前記拡張部が臨む拡径部を更に形成し、挿入工程では、金属拡張アンカーをアンカー穴に挿入した状態で、拡径部に入り込むように拡張部を拡張させることが好ましい。
この構成によれば、拡径部付きのアンカー穴に充填された接着剤と、アンカーボルト(金属拡張アンカー)とが一体化するため、全体として接着系アンカーの引張り耐力を向上させることができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る接着系アンカーについて説明する。接着系アンカーは、コンクリート(定着体)に穿孔したアンカー穴の穴壁に接着剤を食い込ませ、硬化した接着剤のせん断抵抗により、アンカーボルトをコンクリートに固着するものである。特に、本実施形態の接着系アンカーは、アンカーボルトの先端部に引張り力を集中させ、コンクリートに適切な支圧強度を発揮させんとするものである。
[第1実施形態]
図1および図2は、第1実施形態に係る接着系アンカー10Aにおける非拡張状態および拡張状態の構造図である。両図に示すように、接着系アンカー10Aは、コンクリートC(定着体)に形成されたアンカー穴AHに挿入されるアンカーボルト11Aと、アンカー穴AHとアンカーボルト11Aとの間隙に充填される接着剤12と、を備えている。そして、アンカーボルト11Aは、スチール製やステンレス製のいわゆる金属拡張アンカーで構成されている。
図1および図2は、第1実施形態に係る接着系アンカー10Aにおける非拡張状態および拡張状態の構造図である。両図に示すように、接着系アンカー10Aは、コンクリートC(定着体)に形成されたアンカー穴AHに挿入されるアンカーボルト11Aと、アンカー穴AHとアンカーボルト11Aとの間隙に充填される接着剤12と、を備えている。そして、アンカーボルト11Aは、スチール製やステンレス製のいわゆる金属拡張アンカーで構成されている。
すなわち、このアンカーボルト11Aは、スリーブ部14に対し、ボルト部15を介してコーン部16を相対的に引き付けることにより、スリーブ部14の拡張部17を拡張させる形式の金属拡張アンカーで構成されている。具体的には、アンカーボルト11Aは、スチールやステンレス等で形成された、いわゆるスリーブ打込み式の金属拡張アンカーで構成されている。本実施形態の金属拡張アンカー(アンカーボルト11A)は、ボルト部15と、ボルト部15の先端に連なるコーン部16と、ボルト部15からコーン部16に亘って装着したスリーブ部14とを備えている。
また、ボルト部15とコーン部16とは、一体に形成されている。スリーブ部14の先端部には、複数のスリット部18を有する拡張部17が形成されており、ボルト部15(コーン部16)に対しスリーブ部14を打ち込むことにより、拡張部17が拡開(拡張)するようになっている(図2参照)。
アンカー穴AHの開口部Haから外部に突出したボルト部15の部分には、雄ネジ部15aが形成されており、この雄ネジ部15aには支持される対象物(構造物)がボルト止めされるようになっている(図示省略)。なお、アンカーボルト11Aの径(呼び径)は、このボルト部15の径となる。
アンカー穴AHは、開口部Haから穴底Hbに向かってストレート形状に形成されており、非拡張状態のスリーブ部14とアンカー穴AHの穴壁Hcとの間隙は、細径(例えば13mm)のアンカーボルト11Aにおいては、1.5〜2.5mm程度、太径(例えば25mm)のアンカーボルト11Aにおいては、5mm程度としている。
接着剤12は、アンカーボルト11AおよびコンクリートCに強い接着力を有するエポキシ系接着剤で構成されている。この場合、接着剤12(エポキシ系接着剤)には、2液タイプのものが用いられる。また、2液タイプの接着剤12には、2液をカプセルに封入しこれをアンカー穴AH内で砕き、2液を撹拌・混合させるカプセル型と、予め2液を撹拌・混合しておいて、アンカー穴AHに注入する注入型とがある(詳細は後述する)。
なお、接着剤12は、エポキシ系接着剤の他、ポリエステル系接着剤やエポキシアクリレート系接着剤等の有機系接着剤であってもよいし、セメント系の無機系接着剤であってもよい。特に、近年の無機系接着剤は、コンクリートCよりも強度があり、且つ劣化に強いことから、接着系アンカー10Aの接着剤12として有用である。
ここで、図3および図4を参照して、接着系アンカー10Aの施工方法について説明する。上述のように、接着系アンカー10Aの接着剤12には、カプセル型と注入型とがあり、図3は、注入型の接着剤12を用いた場合の説明図であり、図4は、カプセル型の接着剤12を用いた場合の説明図である。いずれの場合も、コンクリートCに対しアンカー穴AHを穿孔すると共に、アンカー穴AHの穴内清掃を行う穿孔・清掃工程と、アンカー穴AHに接着剤12を注入する注入工程と、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入する挿入工程と、接着剤12が硬化するまで、アンカーボルト11Aのアンカー穴AH内での姿勢を維持する養生工程と、を備えている。
穿孔・清掃工程の詳細は、カプセル型および注入型を問わず、同じ作業工程となる。アンカー穴AHの穿孔では、振動ドリルやハンマードリルを用い、コンクリートCに所定の径および深さの穿孔を行う。この場合、アンカー穴AHの穿孔径は、細径のアンカーボルト11Aにおいては、スリーブ部14の径よりも3〜5mm程度大きい径に、太径のアンカーボルト11Aにおいては、10mm程度大きい径とする。アンカー穴AHの穴内清掃では、例えばエアー吸引等によるコンクリート粉(切粉)の吸引・除去と共に穴壁Hcのブラッシングにより、穴内のコンクリート粉を入念に除去する。実際の清掃工程は、吸引、ブラッシング、吸引の手順となる。
図3の注入型における接着剤12の注入工程では、予め接着剤12を構成する2液を撹拌・混合しておいて、注入器等によりアンカー穴AHに注入する。この場合、注入される接着剤12は、ほぼアンカー穴AHの容積からアンカーボルト11Aの埋め込み部分の体積を減算した量(幾分多め)とすることが好ましい。アンカー穴AHに接着剤12を注入したら、アンカーボルト11Aをその先端部が穴底Hbに達するようにアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)。
この挿入工程において、アンカーボルト11A(金属拡張アンカー)をアンカー穴AHに挿入した後、スリーブ部14を打ち込んで拡張部17を拡張させるようにする(図2参照)。この場合、拡張した拡張部17は、必ずしもアンカー穴AHの穴壁Hcに圧接していなくてもよい。また、アンカーボルト11Aは、予め拡張部17を拡張させてからアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)ものであってもよい(図2参照)。もっとも、アンカーボルト11Aを、拡張部17を拡張させることなくそのままアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)ものであってもよい(図1参照)。
そして、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入したら、余剰の接着剤12を拭き取り、接着剤12が硬化するまでアンカーボルト11Aが動かないように養生を行う(養生工程)。
一方、図4のカプセル型における接着剤12の注入工程では、アンカー穴AHの径および穿孔深さに対応するカプセルK(実際には、グラム表示)を用意し、これをアンカー穴AHに投入する。これと相前後して、アンカーボルト11Aの雄ネジ部15aにカプラーを取り付け、カプラーを介してアンカーボルト11Aをドリル(例えば振動ドリル)にセットする。なお、カプセル型に対応させるべく、アンカーボルト11Aの先端部を、45°の角度で片側からカットしておくことが好ましい。
ここで、アンカーボルト11Aをドリルにセットした状態で、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入し、回転させながらカプセルKを砕くと共に2液を撹拌・混合させる。そして、この接着剤12の撹拌・混合を持続させながらアンカーボルト11Aを埋め込む(挿入工程)。アンカーボルト11Aを埋め込んだら、ドリルを外す。
この場合も、アンカーボルト11A(金属拡張アンカー)をアンカー穴AHに挿入した後、スリーブ部14を打ち込んで拡張部17を拡張させるようにする。或いは、アンカーボルト11Aを、予め拡張部17を拡張させてからアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)。また、アンカーボルト11Aを、拡張部17を拡張させることなくそのままアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)ものであってもよい。このようにして、アンカーボルト11Aを埋め込んだら、接着剤12が硬化するまでアンカーボルト11Aが動かないように養生を行う(養生工程)。
以上のように、第1実施形態の接着系アンカー10Aによれば、ボルト部15に引張り力(引抜き力)が作用すると、引張り力は、コーン部16を介してスリーブ部14に圧縮力として作用する。この場合、スリーブ部14は、アンカー穴AHとの間に充填した接着剤12により固着されているため、アンカーボルト11A(金属拡張アンカー)は、コンクリートCに対し拡張部17の部分でクサビ効果を発揮する。
また、スリーブ部14には、コーン部16を介して先端側から引張り力(圧縮力)が作用するため、引張り力がスリーブ部14の基端側に集中的に作用することがなく、コンクリートCの浅い部分に破壊(キノコ状の重畳破壊)が生ずることはない。したがって、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、ボルト部15は、接着剤12の影響を受け難いため、その伸び(靱性)を生かすことができる。
なお、本実施形態のアンカーボルト11A(金属拡張アンカー)において、ボルト部15とコーン部16とは別体(例えばネジ接合)に形成されていてもよいし、また、スリーブ部14は、その本体部分と拡張部17とが別体であってもよい。
[第2実施形態]
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る接着系アンカー10Bについて説明する。なお、第2実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカー穴AHに拡径部Hd(拡底部)が形成されており、拡開した拡張部17がこの拡径部Hdに入り込むようになっている。このため、アンカーボルト11Bは、第1実施形態と同様の基本形態を有しているが、コーン部16のテーパー角が大きく、拡張部17が大きく拡開するようになっている。
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る接着系アンカー10Bについて説明する。なお、第2実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカー穴AHに拡径部Hd(拡底部)が形成されており、拡開した拡張部17がこの拡径部Hdに入り込むようになっている。このため、アンカーボルト11Bは、第1実施形態と同様の基本形態を有しているが、コーン部16のテーパー角が大きく、拡張部17が大きく拡開するようになっている。
アンカー穴AHは、ストレート形状の下穴部Hと、下穴部Hの奥部に形成された拡径部Hdとを有している。拡径部Hdは、テーパー形状に形成され開口部Ha側のテーパー穴部Hdaと、ストレート形状に形成された穴底Hb側の拡底穴部Hdbと、を有している。そして、このテーパー穴部Hdaに、挿入したアンカーボルト11Bの拡張部17が対峙するようになっている。
そして、第2施形態に係る接着系アンカー10Bの施工方法は、第1実施形態と同様であるが、穿孔・清掃工程において、アンカー穴AHの穿孔した後、アンカー穴AHの穴奥部に拡径部Hdを形成する(図示省略)。すなわち、穿孔した上記のアンカー穴AH(ストレート穴)は、いわゆる下穴であり、この下穴に、電動ドリルに装着した拡径用ドリルビットを挿入し、穴奥部の穴壁Hcを研削して拡径部Hdを形成する。
また、挿入工程において、アンカーボルト11B(金属拡張アンカー)をアンカー穴AHに挿入した後、スリーブ部14を打ち込んで拡張部17を拡張させるようにする。この場合の拡張部17は、コーン部16により、下穴部Hよりも大きく広がって(拡開して)拡径部Hdに入り込むように設計されている。
以上のように、第2施形態の接着系アンカー10Bよれば、アンカーボルト11Bに作用する引張り力は、コーン部16に集中的に作用すると共に、スリーブ部14においてコンクリートCの浅い部分に破壊(キノコ状の重畳破壊)に至るような引張り力が作用することがない。よって、アンカーボルト11Bは、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、ボルト部15は、接着剤12の影響を受け難いため、その伸び(靱性)を生かすことができる。
しかも、アンカー穴AHに拡径部Hdが形成されているため、拡底形状の接着剤12とアンカーボルト11B(金属拡張アンカー)とが一体化し、全体として引張り耐力を向上させることができる。また、この一体化により、例えばアンカーボルト11Bを跨いでコンクリートCにひび割れが生ずることがあっても、アンカーボルト11Bの引張り耐力を維持することができる。
[第3実施形態]
次に、図6を参照して、第3実施形態に係る接着系アンカー10Cについて説明する。なお、第3実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Cが、締付け式の金属拡張アンカーで構成されている。
次に、図6を参照して、第3実施形態に係る接着系アンカー10Cについて説明する。なお、第3実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Cが、締付け式の金属拡張アンカーで構成されている。
すなわち、アンカーボルト11Cは、ボルト部15を介してコーン部16を引き付けることにより、スリーブ部14の拡張部17を拡張させる締付け方式の金属拡張アンカーで構成されている。具体的には、アンカーボルト11Cは、スチールやステンレス等で形成された、いわゆるテーパーボルト式の金属拡張アンカーで構成されている。すなわち、本実施形態の金属拡張アンカー(アンカーボルト11C)は、全ネジのボルト部15と、ボルト部15の先端部に螺合したコーン部16と、ボルト部15に装着したスリーブ部14とを備えている。この場合には、ボルト部15を回転させてコーン部16を引き付けることにより、スリーブ部14の拡張部17を拡開(拡張)するようになっている。
そして、第3施形態に係る接着系アンカー10Cの施工方法においても、アンカーボルト11C(金属拡張アンカー)をアンカー穴AHに挿入した後、ボルト部15を回転させて拡張部17を拡張させるようにする。或いは、アンカーボルト11Cを、予め拡張部17を拡張させてからアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)。また、アンカーボルト11Cを、拡張部17を拡張させることなくそのままアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)ものであってもよい。
以上のように、第3実施形態の接着系アンカー10Cによれば、第1実施形態と同様に、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、ボルト部15は、接着剤12の影響を受け難いため、その伸び(靱性)を生かすことができる。
なお、アンカーボルト11Cは、コーンナット式、ダブルコーンナット式、ウェッジ式等の締付け方式の金属拡張アンカーであってもよい。
なお、アンカーボルト11Cは、コーンナット式、ダブルコーンナット式、ウェッジ式等の締付け方式の金属拡張アンカーであってもよい。
10A,10B,10C…接着系アンカー、11A,11B,11C…アンカーボルト、12…接着剤、14…スリーブ部、15…ボルト部、16…コーン部、17…拡張部、AH…アンカー穴、C…コンクリート、Ha…開口部、Hb…穴底、Hc…穴壁、Hd…拡径部、Hda…テーパー穴部
Claims (9)
- 定着体に形成されたアンカー穴に挿入されるアンカーボルトと、
前記アンカー穴と前記アンカーボルトとの間隙に充填される接着剤と、を備え、
前記アンカーボルトが、スリーブ部に対し、ボルト部を介してコーン部を相対的に引き付けることにより、スリーブ部の拡張部を拡張させる形式の金属拡張アンカーであることを特徴とする接着系アンカー。 - 前記金属拡張アンカーは、前記拡張部を拡張させたものであることを特徴とする請求項1に記載の接着系アンカー。
- 前記アンカー穴と前記拡張部を除いた前記スリーブ部との間隙が、1.5〜5mm程度であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着系アンカー。
- 前記アンカー穴は、前記拡張部が臨む穴奥部に拡径部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の接着系アンカー。
- 請求項1に記載された接着系アンカーの施工方法であって、
定着体に対しアンカー穴を穿孔すると共に、前記アンカー穴の穴内清掃を行う穿孔・清掃工程と、
前記アンカー穴に接着剤を注入する注入工程と、
前記金属拡張アンカーを前記アンカー穴に挿入する挿入工程と、
前記接着剤が硬化するまで、前記金属拡張アンカーの前記アンカー穴内での姿勢を維持する養生工程と、を備えたことを特徴とする接着系アンカーの施工方法。 - 前記挿入工程では、前記金属拡張アンカーを前記アンカー穴に挿入した状態で、前記拡張部を拡張させることを特徴とする請求項5に記載の接着系アンカーの施工方法。
- 前記挿入工程では、前記金属拡張アンカーを、予め前記拡張部を拡張させた状態で前記アンカー穴に挿入することを特徴とする請求項5に記載の接着系アンカーの施工方法。
- 前記穿孔・清掃工程では、前記スリーブ部の径よりも3〜10mm程度大きい径となるように前記アンカー穴を穿孔することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の接着系アンカーの施工方法。
- 前記穿孔・清掃工程では、前記アンカー穴の穴奥部に前記拡張部が臨む拡径部を更に形成し、
前記挿入工程では、前記金属拡張アンカーを前記アンカー穴に挿入した状態で、前記拡径部に入り込むように前記拡張部を拡張させることを特徴とする請求項5に記載の接着系アンカーの施工方法。
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CN115678270A (zh) * | 2022-10-19 | 2023-02-03 | 安徽尚德轨道设备制造有限公司 | 玻纤改性聚酰胺及其套筒 |
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Cited By (2)
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CN115678270B (zh) * | 2022-10-19 | 2024-04-09 | 安徽尚德轨道设备制造有限公司 | 玻纤改性聚酰胺及其套筒 |
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