JP2019085812A - 接着系アンカー用のアンカーボルト、接着系アンカーおよび接着系アンカーの施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的浅い埋込み深さで十分な引張り耐力を発揮させることができる接着系アンカー用のアンカーボルト等を提供する。【解決手段】定着体Cに形成されたアンカー穴AHに、接着剤12を介して定着される接着系アンカー用のアンカーボルト11Aであって、アンカー穴AHの開口部Haから穴奥部まで延びる筒状のアンカーリング部14と、アンカーリング部14の内周面に螺合すると共に引張り力が作用するシャンク部15と、を備え、アンカーリング部14は、引張り破断に至る伸び率が8%以下の金属材料で構成されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、あと施工アンカーにおける接着系アンカーに関し、特に接着系アンカー用のアンカーボルト、接着系アンカーおよび接着系アンカーの施工方法に関するものである。
従来、接着系アンカーとして、ロッド本体に埋込み深さを表示する表示ゲージが形成されたケミカルアンカーロッドと、ロッド本体と埋込み孔の内壁との間隙に充填された接着剤と、から成るものが知られている(特許文献1参照)。
このケミカルアンカーロッドは、母材に穿孔された埋込み孔に嵌挿された全ネジのロッド本体を備え、ロッド本体の露出部分の頭部には、最大差し渡しが多くともロッド本体の直径と同じ長さの、平面視が多角形の締結端が設けられている。また、ロッド本体の胴部には、ロッド本体の外周に亘って埋込み深さを表示する表示ゲージが切り込まれている。そして、締結端にハンマードリル等を適応させることで、ロッド本体を埋込み孔に容易に埋め込むことができ、また、表示ゲージを目安にして、ロッド本体を埋込み孔に適正な埋込み深さで埋め込むことができるようになっている。
このケミカルアンカーロッドは、母材に穿孔された埋込み孔に嵌挿された全ネジのロッド本体を備え、ロッド本体の露出部分の頭部には、最大差し渡しが多くともロッド本体の直径と同じ長さの、平面視が多角形の締結端が設けられている。また、ロッド本体の胴部には、ロッド本体の外周に亘って埋込み深さを表示する表示ゲージが切り込まれている。そして、締結端にハンマードリル等を適応させることで、ロッド本体を埋込み孔に容易に埋め込むことができ、また、表示ゲージを目安にして、ロッド本体を埋込み孔に適正な埋込み深さで埋め込むことができるようになっている。
ところで、あと施工アンカーにおいて、金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)の埋込み深さ(有効埋込み長さ)がアンカーの本体径の4〜5倍(確実性を担保せんとする場合には7倍)とされているのに対し、上記のような従来の接着系アンカー(ケミカルアンカーロッド)の埋込み深さは、アンカー径の10倍以上(推奨は、15倍)とされている(例えば、文献:「あと施工アンカー」、1990年6月10日発行、著者:岡田恒男等、発行所:(株)技術書院の、P53〜P67)。
同文献には、接着系アンカーにおいて、埋込み深さ(有効埋込み長さ)がアンカー径の5倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態でコンクリートのコーン破壊が生ずること。埋込み深さがアンカー径の7〜8倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態で、浅い位置におけるコンクリートのキノコ状の破壊、および深い位置における接着剤とコンクリートとの間の付着破壊が生ずること。さらには、十分な引張り耐力を得るためには、埋込み深さがアンカー径の10倍以上が好ましいこと(但し、この場合もキノコ状の重畳破壊となる)等、が記載されている。なお、有効埋込み長さ(le)=コンクリートの穿孔深さ(l)−アンカーボルトの径(de)である。この接着系アンカーにおける特有の現象(特にキノコ状の重畳破壊)は、出願人が行った引抜き試験によっても確認されている。
このように、従来の接着系アンカーは、金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)に比してその埋込み深さが深く、施工性が劣る問題があった。
同文献には、接着系アンカーにおいて、埋込み深さ(有効埋込み長さ)がアンカー径の5倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態でコンクリートのコーン破壊が生ずること。埋込み深さがアンカー径の7〜8倍程度であると、十分な引張り耐力が得られない状態で、浅い位置におけるコンクリートのキノコ状の破壊、および深い位置における接着剤とコンクリートとの間の付着破壊が生ずること。さらには、十分な引張り耐力を得るためには、埋込み深さがアンカー径の10倍以上が好ましいこと(但し、この場合もキノコ状の重畳破壊となる)等、が記載されている。なお、有効埋込み長さ(le)=コンクリートの穿孔深さ(l)−アンカーボルトの径(de)である。この接着系アンカーにおける特有の現象(特にキノコ状の重畳破壊)は、出願人が行った引抜き試験によっても確認されている。
このように、従来の接着系アンカーは、金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)に比してその埋込み深さが深く、施工性が劣る問題があった。
本発明は、比較的浅い埋込み深さで十分な引張り耐力を発揮させることができる接着系アンカー用のアンカーボルト、接着系アンカーおよび接着系アンカーの施工方法を提供することを課題としている。
本発明の接着系アンカー用のアンカーボルトは、定着体に形成されたアンカー穴に、接着剤を介して定着される接着系アンカー用のアンカーボルトであって、アンカー穴の開口部から穴奥部まで延びる筒状のアンカーリング部と、アンカーリング部の内周面に螺合すると共に引張り力が作用するシャンク部と、を備え、アンカーリング部は、引張り破断に至る伸び率が8%以下の金属材料で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、アンカーリング部の引張り破断に至る伸び率が、8%以下であるため、アンカーリング部は、引張り力が作用してもほとんど伸びることがない。このため、接着剤を介してアンカーボルトがアンカー穴に定着された状態で、シャンク部に引張り力(引抜き力)が作用すると、引張り力は、アンカー穴に位置するアンカーリング部の全体に分散して作用し、ひいてはアンカーリング部に接する接着剤に分散して作用する。すなわち、引張り力がアンカーリング部の基端側に集中的に作用することがなく、定着体の浅い部分に破壊(キノコ状の重畳破壊)が生ずることはない。したがって、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。
なお、この場合のアンカーリング部は、炭素鋼(C45C)やニッケルモリブデン鋼(SNCM439)を焼入れしたもの(焼戻しはしない)、析出硬化型ステンレス(SUS631)、鋳鉄等であることが好ましい。また、定着体には、コンクリートの他、接着系アンカーが一般的に採用される石材等をも含むものである。言うまでもないが、カプセル型の接着剤を用いる場合には、アンカーリング部の先端部を45°カット等の形状とすることが好ましい。
なお、この場合のアンカーリング部は、炭素鋼(C45C)やニッケルモリブデン鋼(SNCM439)を焼入れしたもの(焼戻しはしない)、析出硬化型ステンレス(SUS631)、鋳鉄等であることが好ましい。また、定着体には、コンクリートの他、接着系アンカーが一般的に採用される石材等をも含むものである。言うまでもないが、カプセル型の接着剤を用いる場合には、アンカーリング部の先端部を45°カット等の形状とすることが好ましい。
この場合、アンカーリング部は、接着剤に接する外周面が凹凸形状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、アンカーリング部とアンカー穴との間に充填した接着剤において、そのせん断抵抗を十分に発揮させることができる。
また、アンカー穴の穴奥部に挿入され、シャンク部の先端に連なると共にシャンク部よりも太径に形成されたヘッド部を、更に有し、アンカーリング部の先端部は、ヘッド部に突き当てられていることが好ましい。
この構成によれば、ヘッド部により全体としてアンカーボルトの引抜き抵抗(接着剤のせん断抵抗)をアップすることができる。
また、アンカーリング部は、先端部に他の部分より太径に形成された太径部を有していることが好ましい。
この構成によれば、太径部により全体としてアンカーボルトの引抜き抵抗(接着剤のせん断抵抗)をアップすることができる。
本発明の接着系アンカーは、上記した接着系アンカー用のアンカーボルトと、アンカー穴とアンカーボルトとの間隙に充填される接着剤と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、接着剤を介してアンカー穴に固着したアンカーボルトにおいて、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。
本発明の接着系アンカーの施工方法は、上記した接着系アンカーの施工方法であって、定着体に対しアンカー穴を穿孔すると共に、アンカー穴の穴内清掃を行う穿孔・清掃工程と、アンカー穴に接着剤を注入する注入工程と、アンカーボルトをアンカー穴に挿入する挿入工程と、接着剤が硬化するまで、アンカーボルトのアンカー穴内での姿勢を維持する養生工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、養生工程を経て接着剤が硬化すると、引張り力に対しアンカーボルトは、アンカーリング部の全体が引張り抵抗を発揮することになる。したがって、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮する接着系アンカーを構成することができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る接着系アンカーについて説明する。接着系アンカーは、コンクリート(定着体)に穿孔したアンカー穴の穴壁に接着剤を食い込ませ、硬化した接着剤のせん断抵抗により、アンカーボルトをコンクリートに固着するものである。特に、本実施形態の接着系アンカーは、アンカーボルトに作用する引張り力を硬化した接着剤に分散して作用させ、コンクリートに本来の支圧強度を発揮させんとするものである。なお、「アンカーボルト」の語は、以下、接着系アンカーにおいて、構造物を支持するためにコンクリートに埋め込まれる部材の総称(ボルトに限定されない)として用いるものとする。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る接着系アンカー10Aの構造図である。同図に示すように、接着系アンカー10Aは、コンクリートC(定着体)に形成されたアンカー穴AHに挿入されるアンカーボルト11A(接着系アンカー用のアンカーボルト)と、アンカー穴AHとアンカーボルト11Aとの間隙に充填される接着剤12と、を備えている。アンカーボルト11Aは、アンカー穴AHの開口部Haから穴奥部まで延びる筒状のアンカーリング部14と、アンカーリング部14の内周面に螺合すると共に引張り力が作用するシャンク部15と、を備えている。シャンク部15は、スチールやステンレス等で形成され、またアンカーリング部14は、引張り破断に至る伸び率が8%以下のスチール等の金属材料で構成されている。
図1は、第1実施形態に係る接着系アンカー10Aの構造図である。同図に示すように、接着系アンカー10Aは、コンクリートC(定着体)に形成されたアンカー穴AHに挿入されるアンカーボルト11A(接着系アンカー用のアンカーボルト)と、アンカー穴AHとアンカーボルト11Aとの間隙に充填される接着剤12と、を備えている。アンカーボルト11Aは、アンカー穴AHの開口部Haから穴奥部まで延びる筒状のアンカーリング部14と、アンカーリング部14の内周面に螺合すると共に引張り力が作用するシャンク部15と、を備えている。シャンク部15は、スチールやステンレス等で形成され、またアンカーリング部14は、引張り破断に至る伸び率が8%以下のスチール等の金属材料で構成されている。
アンカー穴AHは、開口部Haから穴底Hbに向かってストレート形状に形成されており、アンカーリング部14とアンカー穴AHの穴壁Hcとの間隙は、細径(例えば13mm)のアンカーボルト11Aにおいては、1.5〜2.5mm程度、太径(例えば25mm)のアンカーボルト11Aにおいては、5mm程度としている。
シャンク部15は、外周面の全域に雄ネジを形成した、いわゆる全ネジボルトで構成されている。また、シャンク部15は、アンカー穴AHに埋め込まれる埋込み部21と、埋込み部21に連なり、アンカー穴AHの外部に突出する突出支持部22と、で一体に形成されている。突出支持部22は、対象物を支持する部分であり、突出支持部22に支持される対象物(構造物)は、この突出支持部22にボルト止めされることになる(図示省略)。なお、アンカーボルト11Aの径(呼び径)は、このシャンク部15の径となる。
接着剤12は、アンカーボルト11AおよびコンクリートCに強い接着力を有するエポキシ系接着剤で構成されている。この場合、接着剤12(エポキシ系接着剤)には、2液タイプのものが用いられる。また、2液タイプの接着剤12には、2液をカプセルに封入しこれをアンカー穴AH内で砕き、2液を撹拌・混合させるカプセル型と、予め2液を撹拌・混合しておいて、アンカー穴AHに注入する注入型とがある(詳細は後述する)。
なお、接着剤12は、エポキシ系接着剤の他、ポリエステル系接着剤やエポキシアクリレート系接着剤等の有機系接着剤であってもよいし、セメント系の無機系接着剤であってもよい。特に、近年の無機系接着剤は、コンクリートCよりも強度があり、且つ劣化に強いことから、接着系アンカー10Aの接着剤12として有用である。
全ネジボルトで構成されたシャンク部15に対しアンカーリング部14は、その内周面の全域に雌ネジが形成され、シャンク部15の埋込み部21に対応する部分に螺合している。また、接着剤12に接するアンカーリング部14の外周面14aは、凹凸形状に形成されている。この場合の凹凸形状は、アンカーボルト11Aの引張り耐力に寄与するものであればよく、例えば全ネジのような凹凸であってもよいし(実施形態のものは、全ネジの凹凸)、異形鉄筋のような凹凸であってもよい。
そして、本実施形態のアンカーリング部14は、その引張り破断に至る伸び率が8%以下である、金属材料で構成されている。具体的には、一般的なアンカー用鋼材の引張り破断に至る伸び率20〜40%であるところ、このアンカーリング部14(金属材料)の引張り破断に至る伸び率が8%以下であり、ほとんど伸びのないものとなっている。例えば、アンカーリング部14は、炭素鋼(C45C)やニッケルモリブデン鋼(SNCM439)を焼入れしたもの(焼戻しはしない)、析出硬化型ステンレス(SUS631)、鋳鉄等のであることが好ましい。
ここで、図2および図3を参照して、接着系アンカー10Aの施工方法について説明する。上述のように、接着系アンカー10Aの接着剤12には、カプセル型と注入型とがあり、図2は、注入型の接着剤12を用いた場合の説明図であり、図3は、カプセル型の接着剤12を用いた場合の説明図である。いずれの場合も、コンクリートCに対しアンカー穴AHを穿孔すると共に、アンカー穴AHの穴内清掃を行う穿孔・清掃工程と、アンカー穴AHに接着剤12を注入する注入工程と、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入する挿入工程と、接着剤12が硬化するまで、アンカーボルト11Aのアンカー穴AH内での姿勢を維持する養生工程と、を備えている。
穿孔・清掃工程の詳細は、カプセル型および注入型を問わず、同じ作業工程となる。アンカー穴AHの穿孔では、振動ドリルやハンマードリルを用い、コンクリートCに所定の径および深さの穿孔を行う。この場合、アンカー穴AHの穿孔径は、細径のアンカーボルト11Aにおいては、アンカーリング部14の径よりも3〜5mm程度大きい径に、太径のアンカーボルト11Aにおいては、10mm程度大きい径とする。アンカー穴AHの穴内清掃では、例えばエアー吸引等によるコンクリート粉(切粉)の吸引・除去と共に穴壁Hcのブラッシングにより、穴内のコンクリート粉を入念に除去する。実際の清掃工程は、吸引、ブラッシング、吸引の手順となる。
図2の注入型における接着剤12の注入工程では、予め接着剤12を構成する2液を撹拌・混合しておいて、アンカー穴AHに注入する。この場合、注入される接着剤12は、ほぼアンカー穴AHの容積からアンカーボルト11Aの埋め込み部分の体積を減算した量(幾分多め)とすることが好ましい。アンカー穴AHに接着剤12を注入したら、アンカーボルト11Aを穴底Hbに達するようにアンカー穴AHに挿入する(挿入工程)。すなわち、シャンク部15にアンカーリング部14を螺合した状態で、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入する。そして、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入したら、余剰の接着剤12を拭き取り、接着剤12が硬化するまでアンカーボルト11Aが動かないように養生を行う(養生工程)。
一方、図3のカプセル型における接着剤12の注入工程では、アンカー穴AHの径および穿孔深さに対応するカプセルK(実際には、グラム表示)を用意し、これをアンカー穴AHに投入する。これと相前後して、アンカーボルト11Aの突出支持部22にカプラーを取り付け、カプラーを介してアンカーボルト11Aをドリル(例えば振動ドリル)にセットする。なお、カプセル型に対応させるべく、アンカーボルト11Aの先端部は、好ましくは先端部を45°の角度で片側からカットしたものが用いられる。
ここで、アンカーボルト11Aをドリルにセットした状態で、アンカーボルト11Aをアンカー穴AHに挿入し、回転させながらカプセルKを砕くと共に2液を撹拌・混合させる。そして、アンカーリング部14の基端を埋込み深さの目安とし、接着剤を撹拌・混合させながらアンカーボルト11Aを埋め込む(挿入工程)。このようにして、アンカーボルト11Aを埋め込んだら、ドリルを外す。そして、接着剤12が硬化するまでアンカーボルト11Aが動かないように養生を行う(養生工程)。
以上のように、第1実施形態の接着系アンカー10Aによれば、アンカーリング部14の引張り破断に至る伸び率が8%以下であるため、アンカーリング部14は、強い引張り力に対しほとんど伸びることがない。このため、接着剤12を介してアンカーボルト11Aがアンカー穴AHに定着された状態で、シャンク部15に引張り力(引抜き力)が作用すると、引張り力は、アンカー穴AHに位置するアンカーリング部14の全体に分散して作用する。すなわち、引張り力がアンカーリング部14の基端側(開口部Ha側)に集中的に作用することがなく、コンクリートCの浅い部分に破壊(キノコ状の重畳破壊)が生ずることはない。したがって、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。
なお、実施形態のものは、シャンク部15がアンカーリング部14の全域に螺合しているが、アンカーリング部14の基端側或いは先端側を(いずれも、シャンク部15の径の1〜3倍程度)にのみ螺合するものであってもよい。
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、第2実施形態に係る接着系アンカー10Bについて説明する。なお、第2実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Bのアンカーリング部14に太径部32が形成されている。
次に、図4を参照して、第2実施形態に係る接着系アンカー10Bについて説明する。なお、第2実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Bのアンカーリング部14に太径部32が形成されている。
アンカーリング部14は、先端部に他の部分より太い太径部32を有している。すなわち、アンカーリング部14は、アンカー穴AHの開口部Haから穴底Hbに向かって延びるアンカーリング部本体31と、アンカーリング部本体31の先端に連なる太径部32とで一体に形成されている。この場合のアンカーリング部本体31には、外周面に凹凸はないが、凹凸を形成してもよい。そして、太径部32の径(外径)は、アンカー穴AHの径よりも0.5〜1.0mm細径に形成されている。なお、太径部32には、アンカーボルト11Bのアンカー穴AHへの挿入が円滑に行えるように、接着剤が流通する軸方向の溝や孔等の複数の流通部を形成しておくことが好ましい。
以上のように、第2実施形態の接着系アンカー10Bによれば、第1実施形態と同様に、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、シャンク部15は、接着剤12の影響を受け難いため、その伸び(靱性)を生かすことができる。しかも、アンカーリング部14に形成した太径部32により、アンカーボルト11Bの引抜き抵抗(接着剤のせん断抵抗)をより一層高めることができる。
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、第3実施形態に係る接着系アンカー10Cについて説明する。なお、第3実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Cにおけるシャンク部15の先端部にヘッド部41が設けられている。
次に、図5を参照して、第3実施形態に係る接着系アンカー10Cについて説明する。なお、第3実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Cにおけるシャンク部15の先端部にヘッド部41が設けられている。
すなわち、アンカーボルト11Cは、アンカーリング部14と、これに挿通したシャンク部15と、シャンク部15の先端部に取り付けたヘッド部41と、を備えている。ヘッド部41は、いわゆる雌ネジ部材で構成され、シャンク部15の先端部に螺合している。この状態で、シャンク部15の先端部にはアンカーリング部14が螺合し、アンカーリング部14の先端がヘッド部41に突き立てられている。
ヘッド部41は、アンカーリング部14よりも太径に形成され、ヘッド部41の径(外径)は、アンカー穴AHの径よりも0.5〜1.0mm細径に形成されている。この場合も、ヘッド部41には、接着剤が流通する軸方向の溝や孔等の複数の流通部を形成しておくことが好ましい。なお、ヘッド部41は、シャンク部15に溶接等で接合する形態であってもよい。
以上のように、第3実施形態の接着系アンカー10Cによれば、第1実施形態と同様に、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、シャンク部15は、接着剤12の影響を受け難いため、その伸び(靱性)を生かすことができる。しかも、シャンク部15に螺合したヘッド部41により、アンカーボルト11Cの引抜き抵抗(接着剤のせん断抵抗)をより一層高めることができる。
[第4実施形態]
次に、図6を参照して、第4実施形態に係る接着系アンカー10Dについて説明する。なお、第4実施形態の説明では、主に第3実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Dが第3実施形態と同様の形態を有する一方、アンカー穴AHに拡径部Hd(拡底部)が形成されており、ヘッド部41がこの拡径部Hdに対応した形態を有している。
次に、図6を参照して、第4実施形態に係る接着系アンカー10Dについて説明する。なお、第4実施形態の説明では、主に第3実施形態と異なる部分について説明を進める。この実施形態では、アンカーボルト11Dが第3実施形態と同様の形態を有する一方、アンカー穴AHに拡径部Hd(拡底部)が形成されており、ヘッド部41がこの拡径部Hdに対応した形態を有している。
アンカー穴AHは、ストレート形状の下穴部Hと、下穴部Hの奥部に形成された拡径部Hdとを有している。拡径部Hdは、テーパー形状に形成され開口部Ha側のテーパー穴部Hdaと、ストレート形状に形成された穴底Hb側の拡底穴部Hdbと、を有している。
一方、ヘッド部41は、軸方向において、テーパー面43aを有する基端側のテーパー面部43と、中間の円柱状部44と、ガイド面45aを有する先端側のガイド面部45と、を有している。そして、このテーパー面部43は、接着剤12を挟んでアンカー穴AHのテーパー穴部Hdaに対峙している。なお、テーパー面部43は、テーパー穴部Hdaと同一のテーパー角を有していることが、より好ましい。
そして、第4実施形態に係る接着系アンカー10Dの施工方法は、第1実施形態と同様であるが、穿孔・清掃工程において、アンカー穴AHの穿孔した後、アンカー穴AHの穴奥部に拡径部Hdを形成する(図示省略)。すなわち、穿孔した上記のアンカー穴AH(ストレート穴)は、いわゆる下穴であり、この下穴に、電動ドリルに装着した拡径用ドリルビットを挿入し、穴奥部の穴壁Hcを研削して拡径部Hdを形成する。
以上のように、第4実施形態の接着系アンカー10Dによれば、第1実施形態と同様に、従来のものに比して浅い埋込み深さで、十分な引張り耐力を発揮させることができる。また、シャンク部15は、接着剤12の影響を受け難いため、その伸び(靱性)を生かすことができる。しかも、アンカー穴AHに拡径部Hdが設けられているため、ヘッド部41に加わる引張り力のほとんどが、接着剤12を介してテーパー穴部Hdaで受けられる。
言い換えれば、アンカーボルト11Dと接着剤12とが一体化した状態で、テーパー穴部Hdaで受けられる。したがって、接着系アンカー10Dは、十分な引張り耐力を発揮する。また、拡底された接着剤12とヘッド部41とが一体化するため、例えばアンカーボルト11Dを跨いでコンクリートCにひび割れが生ずることがあっても、アンカーボルト11Dの引張り耐力を維持することができる。
10A,10B,10C,10D…接着系アンカー、11A,11B,11C,11D…アンカーボルト、12…接着剤、14…アンカーリング部、14a…外周面、15…シャンク部、21…埋込み部、32…太径部、41…ヘッド部、AH…アンカー穴、C…コンクリート、Ha…開口部、Hb…穴底、Hc…穴壁、Hd…拡径部、Hda…テーパー穴部
Claims (6)
- 定着体に形成されたアンカー穴に、接着剤を介して定着される接着系アンカー用のアンカーボルトであって、
前記アンカー穴の開口部から穴奥部まで延びる筒状のアンカーリング部と、
前記アンカーリング部の内周面に螺合すると共に引張り力が作用するシャンク部と、を備え、
前記アンカーリング部は、引張り破断に至る伸び率が8%以下の金属材料で構成されていることを特徴とする接着系アンカー用のアンカーボルト。 - 前記アンカーリング部は、前記接着剤に接する外周面が凹凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接着系アンカー用のアンカーボルト。
- 前記アンカー穴の穴奥部に挿入され、前記シャンク部の先端に連なると共に前記シャンク部よりも太径に形成されたヘッド部を、更に有し、
前記アンカーリング部の先端部は、前記ヘッド部に突き当てられていることを特徴とする請求項1または2に記載の接着系アンカー用のアンカーボルト。 - 前記アンカーリング部は、先端部に他の部分より太径に形成された太径部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の接着系アンカー用のアンカーボルト。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載された接着系アンカー用のアンカーボルトと、
前記アンカー穴と前記アンカーボルトとの間隙に充填される接着剤と、を備えたことを特徴とする接着系アンカー。 - 請求項5に記載された接着系アンカーの施工方法であって、
前記定着体に対し前記アンカー穴を穿孔すると共に、前記アンカー穴の穴内清掃を行う穿孔・清掃工程と、
前記アンカー穴に前記接着剤を注入する注入工程と、
前記アンカーボルトを前記アンカー穴に挿入する挿入工程と、
前記接着剤が硬化するまで、前記アンカーボルトの前記アンカー穴内での姿勢を維持する養生工程と、を備えたことを特徴とする接着系アンカーの施工方法。
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JP (1) | JP2019085812A (ja) |
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2017
- 2017-11-09 JP JP2017216548A patent/JP2019085812A/ja active Pending
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