JP2016113762A - 後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】拡開部をアンカー穴の拡径部に確実且つ適切に喰い込ませることができる後施工アンカー等を提供する。【解決手段】下穴部3の所定の深さ位置に拡径部4を形成したアンカー穴1にアンカリングされる内部コーン打込み式の後施工アンカー10であって、アンカー穴1に挿入される円筒状の筒状本体11と、筒状本体11の先端側に連なり筒状本体11と一体に形成された拡開部12と、拡開部12を内側から拡開させるコーン部13と、筒状本体11の基端部に設けられ、下穴部3の開口縁部6に突き当てられると共に、拡開部12の下穴部3の開口端3aaからの距離を規制する位置規制部14と、を備えたものである。【選択図】 図2
Description
本発明は、コンクリート等の躯体に穿孔したアンカー穴にアンカリングされる後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステムに関するものである。
従来、この種の後施工アンカーとして、内奥に拡径部を削成した孔(アンカー穴)に打ち込まれるアンカーボルトが知られている(特許文献1参照)。
このアンカーボルトは、先端部に張出顎を連設したボルト身と、先端部に展開スリーブが連設され、ボルト身が嵌挿された押圧用筒と、を備えている。展開スリーブは、縦割り状に分離した複数の展開片を円筒状に組み、この複数の展開片をスプリング等の結束条で結束して、構成されている。また、ボルト身に連設された張出顎は、展開スリーブを押し開くように展開させるテーパー面を有している。
孔(アンカー穴)にアンカーボルトを挿入し、外部から押圧用筒を打ち込むと、押圧用筒を介して展開スリーブが前進する。前進する展開スリーブは、張出顎のテーパー面に載り上げ展開するように押し開かれる。これにより、展開スリーブが拡径部に納まり、拡径部を介してボルト身が孔に定着される。
このアンカーボルトは、先端部に張出顎を連設したボルト身と、先端部に展開スリーブが連設され、ボルト身が嵌挿された押圧用筒と、を備えている。展開スリーブは、縦割り状に分離した複数の展開片を円筒状に組み、この複数の展開片をスプリング等の結束条で結束して、構成されている。また、ボルト身に連設された張出顎は、展開スリーブを押し開くように展開させるテーパー面を有している。
孔(アンカー穴)にアンカーボルトを挿入し、外部から押圧用筒を打ち込むと、押圧用筒を介して展開スリーブが前進する。前進する展開スリーブは、張出顎のテーパー面に載り上げ展開するように押し開かれる。これにより、展開スリーブが拡径部に納まり、拡径部を介してボルト身が孔に定着される。
ところで、後施工アンカーでは、理論上、打ち込みにより下穴内で拡開部(拡張部)が拡開し、そのクサビ効果により高い引抜き強度を得るとされている。しかし、実際の施工には、コンクリートの強度が勝って、拡開部が下孔に圧接されることはあっても、コンクリートに喰い込んで拡開することはない。したがって、理論上のクサビ効果を得るためには、下穴に何らかの拡径部を形成し、これに拡開部を喰い込ませる必要がある。
上記従来のアンカーボルトは、いわゆる本体打込み式の後施工アンカーであるため、ボルト身に対し押圧用筒を打ち込むことにより、展開スリーブがテーパー面に載り上げて展開(拡開)する。このため、前進しながら拡開する展開スリーブの移動軌跡と、拡径部の位置および形状が精度良くマッチングしていないと、展開スリーブを拡径部に納まるように打ち込むことができない問題があった。
もっとも、内部コーン打込み式の後施工アンカーでは、打ち込んだコーンにより、その拡開部が前進することなく拡開するため、上記のような高い精度は要求されない。しかし、この場合には、後施工アンカー(アンカー本体)の先端がアンカー穴の穴底に突き当てられるため、拡開部の位置と拡径部の位置とが合致せず、或いは拡開部の先端が穴底の形状により開き難くなる問題があった。すなわち、アンカー穴の穴底は円錐状を為しており、打ち込まれる拡開部の先端は、穴底から斜め内側に向く分力(反力)を受ける。このため、拡径部を穴底に接して形成できたとしても、拡開部の拡開が抑制され(コーンが打ち込めなくなる)、拡開部が拡径部に喰い込み難くなる問題があった(施工不良)。
上記従来のアンカーボルトは、いわゆる本体打込み式の後施工アンカーであるため、ボルト身に対し押圧用筒を打ち込むことにより、展開スリーブがテーパー面に載り上げて展開(拡開)する。このため、前進しながら拡開する展開スリーブの移動軌跡と、拡径部の位置および形状が精度良くマッチングしていないと、展開スリーブを拡径部に納まるように打ち込むことができない問題があった。
もっとも、内部コーン打込み式の後施工アンカーでは、打ち込んだコーンにより、その拡開部が前進することなく拡開するため、上記のような高い精度は要求されない。しかし、この場合には、後施工アンカー(アンカー本体)の先端がアンカー穴の穴底に突き当てられるため、拡開部の位置と拡径部の位置とが合致せず、或いは拡開部の先端が穴底の形状により開き難くなる問題があった。すなわち、アンカー穴の穴底は円錐状を為しており、打ち込まれる拡開部の先端は、穴底から斜め内側に向く分力(反力)を受ける。このため、拡径部を穴底に接して形成できたとしても、拡開部の拡開が抑制され(コーンが打ち込めなくなる)、拡開部が拡径部に喰い込み難くなる問題があった(施工不良)。
本発明は、拡開部をアンカー穴の拡径部に確実且つ適切に喰い込ませることができる後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステムを提供することを課題としている。
本発明の後施工アンカーは、下穴の所定の深さ位置に拡径部を形成したアンカー穴にアンカリングされる内部コーン打込み式の後施工アンカーであって、アンカー穴に挿入される円筒状の筒状本体と、筒状本体の先端側に連なる拡開部と、拡開部を内側から拡開させるコーン部と、記筒状本体の基端部に設けられ、下穴の開口縁部に突き当てられると共に、拡開部の下穴の開口端からの距離を規制する位置規制部と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、後施工アンカーを下穴に挿入すると、位置規制部が下穴の開口縁部(開口端)に当接し、拡開部が拡径部に対峙する。この状態で、コーン部を打ち込むと、拡開部が前進することなく拡開し拡径部の内周面に圧接される。すなわち拡径部の開口端からの距離が予め定まっていれば、位置規制部により、拡開部を拡径部に精度良く対峙させ、且つ拡開させることができる。したがって、開口縁部を受けとしてコーン部を打ち込む形式(内部コーン打込み式)の後施工アンカーであっても、拡開部を拡径部の位置で確実且つ適切に拡開させる(喰い込ませる)ことができる。また、拡開部は、穴底に突き当てられることなく拡開するため、コーン部の打込みが円滑かつ確実に行われる。このため、コーン部の打込み不良、すなわち施工不良を防止することができる。したがって、施工アンカーの引抜き強度(経時的な引抜き強度を含む)を格段に高めることができる。なお、筒状本体と拡開部とは、一体に形成されていることが好ましい。
この場合、位置規制部は、軸方向において拡開部の先端部が拡径部内に納まるように、拡開部の下穴の開口端からの距離を規制することが好ましい。
この構成によれば、拡径部や拡開部の位置に、製造上の誤差や施工上の誤差が生じても、拡開部の先端部を拡径部の位置で確実且つ適切に拡開させることができる。
また、位置規制部は、筒状本体の外周面にフランジ状に設けられ、下穴の開口縁部に当接する当接面を有することが好ましい。
この構成によれば、簡単な構造で位置規制部を構成することができると共に、位置規制部を開口縁部に適切に突き当てることができる。これにより、軸方向において、拡開部を拡径部に精度良く対峙させることができ、且つこの状態で拡開部を拡開させることができる。
この場合、位置規制部は、筒状本体と一体に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、位置規制部を設けたことによる後施工アンカーのコストアップを抑制することができる。なお、この後施工アンカーは、ロストワックス法で作製されることが好ましい。
一方、拡開部は、外周面に形成された複数の環状溝を有することが好ましい。
この構成によれば、打ち込みに際し、拡開部はその複数の環状溝の部分が優先的に変形する。このため、拡開部を拡径部の形状に倣うように変形させることができ、拡開部を拡径部に確実に喰い込ませることができる。
本発明の後施工アンカーの施工方法は、上記した後施工アンカーの施工方法であって、下穴を穿孔する穿孔工程と、下穴に拡径部を形成する拡径工程と、後施工アンカーを、アンカー穴に挿入する挿入工程と、コーン部を打ち込んで、拡開部を拡開させるアンカリング工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、後施工アンカーをアンカー穴に挿入した状態で、コーン部を打ち込むと、開口縁部(開口端)に当接している位置規制部が受けとなって、コーン部のみかが前進する。一方、位置規制部により拡開部は拡径部に対峙しており、コーン部の前進により、拡開部は拡径部に向かって円滑に拡開する。これにより、拡開部は拡開して拡径部の内周面に圧接される。したがって、拡開部は拡径部に対し抜止め状態(クサビ効果)で係止され、後施工アンカーをアンカー穴に強固に固定(定着)することができる。
この場合、拡径工程と挿入工程との間に、アンカー穴に接着剤を注入する注入工程を、更に備えることが好ましい。
この構成によれば、後施工アンカーを、アンカー穴に対しメカニカルに定着させ得るだけでなく、接着剤によって定着させることができる。したがって、後施工アンカーをアンカー穴により強固に固定(定着)することができる。
本発明の後施工アンカーシステムは、上記した後施工アンカーと、下穴の開口縁部に突き当てられる深さ調整用のアタッチメント、および下穴に拡径部を研削する切刃部を有する拡径用ドリルビットと、を備え、軸方向において、位置規制部の突当て端と拡開部の先端との間の距離に対し、アタッチメントの突当て端と切刃部の先端との間の距離が長いことを特徴とする。
この構成によれば、アタッチメントを下穴の開口縁部に突き当てた拡径用ドリルビットにより下穴に拡径部を形成することで、アンカー穴における拡径部と、アンカー穴にアンカリングされる後施工アンカーの拡開部と、を所望の位置関係に対峙させることができる。このため、アンカー穴にアンカリングされた後施工アンカーは、拡開部が拡径部にアンカリング(圧接)され、拡径部に対し抜止め状態となる。このため、振動等により緩みを生じても抜け落ちてしまうことがない。したがって、後施工アンカーをアンカー穴に強固に固定(定着)することができる。
この場合、位置規制部の突当て端は、後施工アンカーの軸線に直交する平面で構成され、アタッチメントの突当て端は、拡径用ドリルビットの軸線に直交する平面で構成されていることが好ましい。
この構成によれば、拡径用ドリルビットは、アタッチメントの突当て端で下穴の開口縁部に突き当てられ、後施工アンカーは、位置規制部の突当て端でアンカー穴の開口縁部に突き当てられる。この場合、それぞれの突当て端は、平面で構成され、共通の開口縁部に突き当てられる。したがって、拡径用ドリルビットにより形成された拡径部と、アンカー穴に挿入した後施工アンカーの拡開部と、を軸方向において精度良く対峙させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステムについて説明する。この後施工アンカーは、コンクリートの躯体や基礎等の定着体に対し、構造体を支持するために設けられる、いわゆる金属拡張アンカーである。特に、本実施形態の後施工アンカーは、特殊形状のアンカー穴と協働して定着体に強固に固定し得るものである。また、後施工アンカーシステムは、後施工アンカーと、この特殊形状のアンカー穴を形成するための拡径用ドリルビットと、をシステム化したものである。そこで、後施工アンカーの説明の前に、この特殊形状のアンカー穴について、簡単に説明する。
図1は、コンクリート製の定着体に形成されたアンカー穴を表している。同図に示すように、アンカー穴1は、定着体2(例えばコンクリート躯体やコンクリート基礎)に穿孔されたストレート形状の下穴部3(下穴)と、下穴部3の奥部(先端部)に、下穴部3よりも太径に形成された拡径部4とを有している。拡径部4は、2箇所の環状段部5を存して下穴部3から外側に張り出した円筒状の部分で構成されている。また、下穴部3は、拡径部4を挟んで開口部3a側の長い開口側穴部3bと、穴底3c側の短い底側穴部3dと、を有している。詳細は後述するが、このアンカー穴1に挿入される後施工アンカー10は、開口部3aの開口縁部6に突き当てられ、開口端3aaからの挿入深さが規制される。
そして、下穴部3は、後述する振動ドリル、ハンマードリル、コアドリル等の穿孔装置61により穿孔される(図示のものは、振動ドリルで穿孔)。したがって、下穴部3の穴底3cは、円錐形状に窪入形成されている。また、拡径部4は、後述する拡径用ドリルビット72を有する拡径装置62により形成される。なお、拡径部4は、必ずしも円筒状でなくてもよく、例えばテーパーの筒形状等であってもよい。
図2および図3は、実施形態に係る後施工アンカーの半部断面図(a)および下面図(b)であり、図4は、後施工アンカーの斜視図である。これらの図に示すように、後施工アンカー10は、いわゆる内部コーン打込み式のアンカーであり、アンカー穴1に挿入される円筒状の筒状本体11と、筒状本体11の先端に連なる拡開部12と、拡開部12を内側から拡開させるコーン部13と、筒状本体11の基端部に設けたフランジ状の位置規制部14と、を備えている。
筒状本体11と拡開部12と位置規制部14とは、スチールやステンレス等で一体に形成されている。これらと別体に形成されたコーン部13も、スチールやステンレス等で形成されている。
筒状本体11は、後施工アンカー10の本体を為す部位であり、アンカー穴1より僅かに細径の円筒状に形成されている。筒状本体11の内周面には、雌ねじ部16が形成されており。この雌ねじ部16には、図示しないが、支持対象物のための吊りボルトや繋ぎボルト等の連結ボルト(一般的には、全ねじボルト)がねじ込まれる。そして、この雌ねじ部16の径或いは連結ボルトの径が、後施工アンカー10の呼び径となる。なお、アンカリングされた後施工アンカー10のグラつき(ガタつき)を防止すべく、筒状本体11の基端部外周面に、アンカー穴1の開口部3aに食い込むように嵌合する嵌合部位を、設けるようにしてもよい(図示省略)。
拡開部12は、アンカー穴1の拡径部4に対応する部位であり、筒状本体11と同径に且つ一体に形成されている。拡開部12の外周面には、軸方向に間隙を存して複数の環状溝21が形成されている。各環状溝21が形成された部位は、薄肉に形成されており、打ち込みに際し、他の部分に比して優先的に変形する。また、各環状溝21は、変形時に応力集中が生じないように、断面半円形に形成されている。
また、拡開部12には、その先端から切り込んだ複数のスリット22が形成されている。この実施形態では、周方向に均等配置した6つのスリット22が設けられており(図2(b)参照)、各スリット22は、拡開部12の先端から筒状本体11に達する位置まで、軸方向に延在している。言うまでもないが、この6つのスリット22は、コーン部13の打ち込みによる拡開部12の拡開を促進する。なお、スリット22の個数は、4つ以上であることが好ましい(いずれも、周方向に均等配置する)。
拡開部12の内周面には、上記の雌ねじ部16に連なるように先細りテーパー形状のコーン案内部23が形成されており、このコーン案内部23にコーン部13が保持され(図2(a)参照)、且つコーン案内部23に沿ってコーン部13が打ち込まれる(図3(a)参照)。この場合、コーン案内部23のテーパーと、コーン部13のテーパーとは、同一の角度(テーパー角)に形成されている。
また、拡開部12は、後施工アンカー10をアンカー穴1に挿入したときに、拡径部4と対峙する位置に設けられている。この場合、アンカー穴1に挿入した後施工アンカー10は、その位置規制部14がアンカー穴1の開口縁部6に突き当てられ、開口部3aの開口端3aa(開口縁部6)を基準に軸方向の位置決めが為される。すなわち、拡開部12は、筒状本体11の基端部に設けた位置規制部14により、拡径部4と対峙するようになっている。
より具体的には、拡開部12の先端部が拡径部4に納まるように、すなわち拡開部12の先端が、拡径部4の先端側の環状段部5より幾分基端側(1mm〜2mm)に位置するようになっている。これにより、少なくとも拡開部12の先端部が、拡径部4内で確実に拡開する。一方で、拡径部4の開口端3aaからの深さ位置は、後述する拡径装置62との関係で規定される(図6(b)参照)。このため、筒状本体11における位置規制部14の位置は、拡径装置62との関係で設計されている(詳細は後述する)。
コーン部13は、先端側のテーパー部31と、基端側のストレート部32とで一体に形成されている。ストレート部32が外部から打ち込まれることにより、テーパー部31が上記拡開部12のコーン案内部23内を前進する。これにより、拡開部12は、そのスリット22により分割された各部が、コーン部13により押し開かれるように拡開する。また、コーン部13の打込み(前進)は、拡開部12が拡径部4の内周面に圧接されることで規制され、打込み音等によりその打込み完了が体感される。そして、コーン部13の打込みにより拡開部12は、拡径部4の内周面に倣った形状に変形する(図3(a)参照)。
位置規制部14は、筒状本体11にフランジ状(鍔状)に設けられ、筒状本体11の基端部に一体に形成されている。位置規制部14は、筒状本体11より十分に太径の円形フランジ状に形成され、少なくとも先端側の面(開口縁部6に突き当てられる突当て端)には、筒状本体11の軸線に直交する平面の当接面14aが形成されている。
後施工アンカー10をアンカー穴1に挿入すると、位置規制部14の当接面14aが下穴部3の開口縁部6に当接し、後施工アンカー10の開口端3aaからの挿入深さが規制される。すなわち、後施工アンカー10は、その拡開部12が上記のように拡径部4に対峙するように位置規制される。これにより、アンカー穴1に装着した拡開部12の先端は、拡径部4の先端側の環状段部5より幾分基端側(1mm〜2mm)に位置することとなる。
なお、位置規制部14は、筒状本体11に対し溶接等で固着されていてもよいし、ねじ式で固定されていてもよい。ねじ式の場合には、後施工アンカー10の挿入深さが微調整可能となる。
図5(a)、図5(b)および図5(c)は、位置規制部14の変形例を表している。
図5(a)の第1変形例に係る位置規制部14は、全体が所定の厚みを有して六角形に形成されている。また、開口縁部6に突き当てられる突当て端は、筒状本体11の軸線に直交する平面(当接面14a)で構成されている。なお、この六角形に代えて、多角形、四角形、三角形であってもよい。
図5(b)の第2変形例に係る位置規制部14は、全体が所定の厚みを有して十字状に形成されている。この場合も、突当て端は、筒状本体11の軸線に直交する平面(当接面14a)で構成されている。なお、この十字状に代えて、一文字状であってもよい。
図5(a)の第1変形例に係る位置規制部14は、全体が所定の厚みを有して六角形に形成されている。また、開口縁部6に突き当てられる突当て端は、筒状本体11の軸線に直交する平面(当接面14a)で構成されている。なお、この六角形に代えて、多角形、四角形、三角形であってもよい。
図5(b)の第2変形例に係る位置規制部14は、全体が所定の厚みを有して十字状に形成されている。この場合も、突当て端は、筒状本体11の軸線に直交する平面(当接面14a)で構成されている。なお、この十字状に代えて、一文字状であってもよい。
図5(c)の第2変形例に係る位置規制部14は、全体が所定の厚みを有して円形に形成されると共に、突当て端として十字状の峰部14bが形成されている。峰部14bが断面三角形に形成され、その先端で開口縁部6に当接する。なお、開口縁部6に対し、この峰部14bに代えて、複数点の点接触や複数線の線接触であってもよい。
次に、図6および図7を参照して、後施工アンカー10の施工方法(施工手順)について説明する。この施工方法は、穿孔装置61を用いて下穴部3を穿孔する穿孔工程(図6(a))と、拡径装置62を用いて下穴部3に拡径部4を形成する拡径工程(図6(b))と、注入装置63を用いてアンカー穴1に接着剤Aを注入する注入工程(図6(c))と、アンカー穴1に後施工アンカー10を挿入装着する挿入工程(図7(d))、挿入した後施工アンカー10の拡開部12を拡開させるアンカリング工程(図7(e))と、を備えている。
穿孔装置61は、コンクリート用ドリルビット71を装着した振動ドリルやハンマードリルで構成されている。コンクリート用ドリルビット71により穿孔した下穴部3は、その穴底3cが円錐形状となる。
拡径装置62は、電動ドリル(図示省略)に拡径用ドリルビット72を装着して構成されている。
図8に示すように、拡径用ドリルビット72は、例えば一対の切刃部73と、一対の切刃部73を径方向に移動自在に保持する切刃保持部74と、切刃保持部74を支持するシャンク部75と、シャンク部75に設けた深さ調整用のアタッチメント76と、を備えている。この拡径用ドリルビット72は、回転に伴う遠心力により、一対の切刃部73を径方向外方に拡開(移動)して、拡径部4を形成する(図6(b)参照)。なお、切刃部73は、ダイヤモンドの切刃や超鋼合金の切刃であることが好ましい。
図8に示すように、拡径用ドリルビット72は、例えば一対の切刃部73と、一対の切刃部73を径方向に移動自在に保持する切刃保持部74と、切刃保持部74を支持するシャンク部75と、シャンク部75に設けた深さ調整用のアタッチメント76と、を備えている。この拡径用ドリルビット72は、回転に伴う遠心力により、一対の切刃部73を径方向外方に拡開(移動)して、拡径部4を形成する(図6(b)参照)。なお、切刃部73は、ダイヤモンドの切刃や超鋼合金の切刃であることが好ましい。
アタッチメント76は、中心部がシャンク部75に挿通する段付き円筒状のアタッチメント本体81と、アタッチメント本体81の先端に支持された回転受容部82と、を有している。回転受容部82は、例えばスラストベアリング等で構成され、一方の面である突当て面82aがアンカー穴1の開口縁部6に突き当てられる。アタッチメント本体81には、シャンク部75に直交するように止めねじ83が設けられており、これを締め付けることにより、アタッチメント76がシャンク部75に固定される。
また、シャンク部75には、切刃部73の先端位置(挿入深さ)を表示する目盛75a(スケール)が設けられており、この目盛75aに回転受容部82の突当て面82aを合わせ込むことにより、切刃部73のアンカー穴1への挿入深さ、すなわち切刃部73の先端の開口端3aaからの距離が規定される。アタッチメント76を開口縁部6に突き当てた状態で拡径用ドリルビット72を回転させると、回転受容部82の突当て面82a側が開口縁部6に接触した状態を維持し(固定)、アタッチメント76の他の部分がシャンク部75と共に回転する(可動)。これにより、下穴部3の所望の深さ位置に拡径部4が形成される。なお、アタッチメント76は、アタッチメント本体81をシャンク部75に螺合させ、止めねじ83に代えてナット(ダブルナットとなる)を用いる構造としてもよい。
そして、この拡径用ドリルビット72と実施形態の後施工アンカー10とは、後施工アンカーシステムを構成している。具体的には、軸方向において、位置規制部14の突当て端(当接面14a)と拡開部12の先端との間の距離に対し、アタッチメント76の突当て端(突当て面82a)と切刃部73の先端との間の距離が長く(実施形態のものは、1mm〜2mm)形成されている。これにより、アタッチメント76を開口縁部6に突き当てた状態で、拡径用ドリルビット72よって拡径部4を形成すると、アンカー穴1に装着した拡開部12の先端は、拡径部4の先端側の環状段部5より幾分基端側(1mm〜2mm)に位置することとなる。また、この状態で、コーン部13が打ち込まれることとなる。
注入装置63は、ポンプ部(図示省略)とノズル部77とから成り、ポンプ部のポンピングにより、ポンプ部に貯留されている接着剤Aが、ノズル部77の先端から吐出しアンカー穴1に注入される(図6(c)参照)。
図6(a)の穿孔工程では、振動ドリルのコンクリート用ドリルビット71を回転させ、後施工アンカー10の呼び径に対応する深さの下穴部3を穿孔する。この場合、下穴部3の径(直径)が、後施工アンカー10の径(外径)より0.5mm前後の太い径となるコンクリート用ドリルビット71を用いるものとする。なお、この穿孔作業と、コンクリートの研削粉を吸引する吸引作業(清掃)と、を同時並行で行うことが好ましい。
図6(b)の拡径工程では、アタッチメント76を開口縁部6に突き当てるようにして、拡径用ドリルビット72を下穴部3に挿入し、電動ドリルにより拡径用ドリルビット72を回転させて(10秒程度)、拡径部4を研削する。これにより、開口縁部6(開口端3aa)から所定の深さ位置に、拡径部4が形成される。なお、この場合も、穿孔作業と、コンクリートの研削粉を吸引する吸引作業(清掃)と、を同時並行で行うことが好ましい。また、一対の切刃部73に、シャンク部75を介して冷却液を供給するようにしてもよい。この場合には、切刃部73の冷却とアンカー穴1の洗浄と、を同時に行うこととなる。
図6(c)の注入工程では、ノズル部77を穴底3cに突き当てるようにアンカー穴1に挿入し、接着剤Aをアンカー穴1の最奥部から注入する。この場合、接着剤Aは、例えばエポキシ樹脂系の接着剤Aを用いる。また、接着剤Aの注入量は、アンカー穴1(拡径部4を含む)の体積から後施工アンカー10の体積を減算した量とする。これにより、アンカー穴1に後施工アンカー10を挿入したときに、接着剤Aがアンカー穴1からはみ出すのを防止することができる。
図7(d)の挿入工程では、位置規制部14を開口縁部6に突き当てるようにして、後施工アンカー10をアンカー穴1内に挿入する。この挿入により、後施工アンカー10の拡開部12が、アンカー穴1の拡径部4に対峙した状態となる。
図7(e)のアンカリング工程では、打込み棒78を、コーン部13に当接するように筒状本体11に挿入し、ハンマー79等により、打込み棒78を介してコーン部13を打ち込む。これにより、コーン部13が拡開部12に強く押し込まれ、拡開部12が、拡径部4廻りの形状に倣って拡開する。これにより、拡開部12は、拡径部4および開口側穴部3bの一部に圧接される。なお、コーン部13は、筒状本体11の雌ねじ部16にねじ込んだ雄ねじ(ボルト等)により、打ち込む(前進させる)ことも可能である。
以上のように、本実施形態によれば、位置規制部14により、後施工アンカー10を下穴部3に挿入だけで、拡開部12の先端部を、拡径部4の先端側の環状段部5近傍に臨ませることができる。この状態で、コーン部13を打ち込むことで、拡開部12を拡径部4に確実(精度良く)に喰い込ませることができる。したがって、アンカリングされた後施工アンカー10に、理論上のクサビ効果を確実に発揮させることができる。
また、拡開部12を拡径部4内に拡開するため、コーン部13を円滑に打ち込むことができ、且つ拡開した拡開部12が拡径部4に圧接することで、打込みの完了を明確に体感することができる。したがって、コーン部13の打込み不良、すなわち後施工アンカー10の施工不良を有効に防止することができる。
なお、本実施形態の後施工アンカー10では、筒状本体11の雌ねじ部16に連結ボルトを介して支持対象物を取り付けるようにしているが、例えば筒状本体11の基端を、位置規制部を越えて延長すると共にこの延長部分に雄ねじを形成し、これに支持対象物を取り付ける(ナット止め)ようにしてもよい。
1 アンカー穴、2 定着体、3 下穴部、3a 開口部、3aa 開口端、4 拡径部、6 開口縁部、10 後施工アンカー、11 筒状本体、12 拡開部、13 コーン部、14 位置規制部、14a 当接面、21 環状溝、22 スリット、61 穿孔装置、62 拡径装置、63 注入装置、72 拡径用ドリルビット、73 切刃部、76 アタッチメント、82 回転受容部、82a 突当て面、 接着剤
Claims (9)
- 下穴の所定の深さ位置に拡径部を形成したアンカー穴にアンカリングされる内部コーン打込み式の後施工アンカーであって、
前記アンカー穴に挿入される円筒状の筒状本体と、
前記筒状本体の先端側に連なる拡開部と、
前記拡開部を内側から拡開させるコーン部と、
前記筒状本体の基端部に設けられ、前記下穴の開口縁部に突き当てられると共に、前記拡開部の前記下穴の開口端からの距離を規制する位置規制部と、を備えたことを特徴とする後施工アンカー。 - 前記位置規制部は、軸方向において前記拡開部の先端部が前記拡径部内に納まるように、前記拡開部の前記下穴の開口端からの距離を規制することを特徴とする請求項1に記載の後施工アンカー。
- 前記位置規制部は、前記筒状本体の外周面にフランジ状に設けられ、前記下穴の開口縁部に当接する当接面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の後施工アンカー。
- 前記位置規制部は、前記筒状本体と一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の後施工アンカー。
- 前記拡開部は、軸方向に間隙を存して形成された複数の環状溝を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の後施工アンカー。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の後施工アンカーの施工方法であって、
前記下穴を穿孔する穿孔工程と、
前記下穴に拡径部を形成する拡径工程と、
前記後施工アンカーを、前記アンカー穴に挿入する挿入工程と、
前記コーン部を打ち込んで、前記拡開部を拡開させるアンカリング工程と、を備えたことを特徴とする後施工アンカーの施工方法。 - 前記拡径工程と前記挿入工程との間に、前記アンカー穴に接着剤を注入する注入工程を、更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の後施工アンカーの施工方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の後施工アンカーと、
前記下穴の開口縁部に突き当てられる深さ調整用のアタッチメント、および前記下穴に前記拡径部を研削する切刃部を有する拡径用ドリルビットと、を備え、
軸方向において、前記位置規制部の突当て端と前記拡開部の先端との間の距離に対し、前記アタッチメントの突当て端と前記切刃部の先端との間の距離が長いことを特徴とする後施工アンカーシステム。 - 前記位置規制部の突当て端は、前記後施工アンカーの軸線に直交する平面で構成され、
前記アタッチメントの突当て端は、前記拡径用ドリルビットの軸線に直交する平面で構成されていることを特徴とする請求項8に記載の後施工アンカーシステム。
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- 2014-12-11 JP JP2014251246A patent/JP2016113762A/ja active Pending
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