JP5894851B2 - 工事用昇降機のマストの支持機構、工事用昇降機、及び、工事用昇降機のマストの延伸方法 - Google Patents

工事用昇降機のマストの支持機構、工事用昇降機、及び、工事用昇降機のマストの延伸方法 Download PDF

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本発明は、工事用昇降機のマストの支持機構、工事用昇降機、及び工事用昇降機のマストの延伸方法に関する。
逆打ち工法により地下躯体と地上躯体とを同時に施工する工事では、資材等を搬送するエレベータやリフト等の工事用昇降機のマスト(ガイドレール)を、工事が進行して地下の階層が増えていくのに合わせて下へ下へと延伸していくことが行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1、2に記載の工事用エレベータのマストの延伸方法では、既設のマストを支持体やクレーンから吊り下げた状態で、既設のマストの下に新設のマストを継ぎ足す。
また、特許文献3、4に記載の工事用エレベータのマストの延伸方法では、既設のマストを昇降装置で下降させて既設のマストの上にマストを継ぎ足す。また、当該延伸方法では、既設のマストの下部や各階の床に対応する位置に、突出及び引込み可能にアウトリガーを設けておき、通常の使用時にはアウトリガーを既設のマストから突出させて各階の床や梁に固定し、マストを昇降させる際にはアウトリガーを引込んでアウトリガーと各階の床や梁との緩衝を防止する。
特開2002−46961号公報 特開平8−231161号公報 特開平9−328271号公報 特開平10−167615号公報
特許文献1、2に記載の工事用エレベータのマストの延伸方法では、既設のマストを吊り下げる支持体やクレーンが必要になり、設備費用が増大する。また、地下階層が増えてマストが長くなりマストの重量が過大になって吊り下げることができなくなる可能性がある。
また、特許文献3、4に記載の工事用エレベータのマストの延伸方法では、既設のマストを昇降させる昇降装置やアウトリガー等が必要になるため、装置の構成が複雑になり、装置のコストが増大する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成及び方法での工事用昇降機のマストの延伸を可能にすることを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る工事用昇降機のマストの支持機構は、工事用昇降機の搬器及びカウンターウエイトを昇降可能に支持し、既設マストの下に新設マストを継ぎ足すことにより延伸されるマストの支持機構であって、前記工事用昇降機の荷重を受ける受け梁と、前記既設マストの下端に結合され、マストが延伸される際に前記新設マストの上端が結合される柱体であり、前記受け梁が貫通する貫通部と、該貫通部を貫通した前記受け梁に載ることにより前記工事用昇降機の荷重を受ける荷重受け部を有する載荷マストとを備え、前記荷重受け部が前記工事用昇降機の荷重に耐える強度を有し、前記受け梁が受けていた荷重が取除かれた状態で前記受け梁が前記貫通部から引き抜き可能となり、前記受け梁が前記貫通部から引抜かれた後に前記搬器及びカウンターウエイトの通過を妨げないように、前記載荷マストが構成されている。
また、本発明に係る工事用昇降機は、前記マストの支持機構と、前記支持機構により支持される前記既設マストと、前記既設マストに沿って昇降する前記搬器及びカウンターウエイトとを備える。
また、本発明に係る工事用昇降機のマストの延伸方法は、前記支持機構の設置階より下階に架台を設置して該架台の上に前記新設マストを設置する工程と、前記架台をジャッキで上げ、前記新設マストを介して前記既設マストを押し上げることにより、前記受け梁から前記ジャッキに荷重を盛り替える工程と、前記受け梁を前記貫通部から引き抜く工程と、前記ジャッキから前記架台に荷重を盛り替える工程とを備える。
本発明によれば、簡易な構成及び方法での工事用昇降機のマストの延伸が可能になる。
一実施形態に係る工事用エレベータを示す立面図である。 一実施形態に係る工事用エレベータを示す側面図である。 支持機構を拡大して示す正面図である。 支持機構を拡大して示す側面図である。 マストを延伸する手順を示す正面図である。 マストを延伸する手順を示す側面図である。 マストを延伸する手順を示す側面図である。 マストを延伸する手順を示す側面図である。 マストを延伸する手順を示す側面図である。 マストを延伸する手順を示す正面図である。 マストを延伸する手順を示す側面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る工事用でラック・ピニオン駆動方式のエレベータ10を示す立面図であり、図2は、該エレベータ10を示す側面図である。これらの図に示すように、エレベータ10は、搬器12、搬器12を昇降可能に支持するマスト20、左右一対のカウンターウエイト14、及び、マスト20の下端に設置されてマスト20を支持する支持機構100等を備えており、逆打ち工法により地下階を有する高層建築物を施工する建設工事現場に設置されている。
マスト20は、地下階から高層階まで延びる鉄塔であり、各階のフロアレベルで壁繋ぎ材13(図2参照)により施工中の躯体に繋がれている。ここで、壁繋ぎ材13は、マスト20を水平方向に拘束しており、マスト20の倒れを防止し、マスト20の微小な上下動は許容する。そして、エレベータ10の全荷重は、マスト20の下端に設置された支持機構100が受けている。
マスト20は、1〜数メートルの柱体22を継ぎ足すことにより地下階から高層階まで達している。各柱体22は四角柱形状のフレームであり、上下に重ねられた柱体22はボルトで結合される。また、マスト20には、駆動フレーム24が昇降可能に取り付けられており、搬器12が駆動フレーム24に、搬器12の背面の左右方向中央部がマスト20と対向するように取付けられている。
駆動フレーム24の下部には、電動機15と該電動機15により回転される不図示のピニオンが設けられ、マスト20の前面には、ピニオンと組み合わされるラック16が設けられており、電動機15が駆動されるとラック・ピニオン駆動方式により駆動フレーム12及び搬器12が昇降する。ここで、ラック16は、1〜数メートルのラック17を継ぎ足すことにより構成されており、各ラック17は、各柱体22にボルトで結合されている。
マスト20の上端には左右一対のヘッドシーブ18が設けられており、各ヘッドシーブ18にケーブル19が掛けられている。このケーブル19の一端及び他端は夫々、駆動フレーム24、カウンターウエイト14に取付けられている。また、マスト20の左右の側面にはカウンターウエイトガイドレール26(図2参照)が設けられており、各カウンターウエイトガイドレール26にカウンターウエイト14が昇降可能に取付けられている。即ち、左右のカウンターウエイト14は、マスト20の左側又は右側でカウンターウエイトガイドレール26に沿って昇降可能に吊り下げられており、駆動フレーム24が上昇すると下降し、駆動フレーム24が下降すると上昇する。
図3は、支持機構100を拡大して示す正面図であり、図4は、支持機構100を拡大して示す側面図である。これらの図に示すように、支持機構100は、搬器12の着床階より1階下の階に設置されており、マスト20は、当該設置階から上へ延びている。この支持機構100は、マスト20下端の柱体22にボルトで結合された特殊マスト110と、特殊マスト110を支持する架台120とを備えている。架台120は、特殊マスト110にボルトで結合された受け梁であるH鋼122と、H鋼122が載置される左右一対のH鋼124とを備えている。
左右のH鋼124は、設置階の床面上における特殊マスト110の左側又は右側に延設されている。各H鋼124の長手方向両端におけるウェブの両面には、H鋼125が溶接されており、このH鋼125と下方の躯体の梁1とを上下に挟むように上下一対の押さえ金物126が配され、この上下一対の押さえ金物126に挿通されたアンカーボルト127によりH鋼125が設置階のスラブ2及び梁1に固定されている。
H鋼122は、H鋼124と直交するように配されており、左又は右のH鋼124の長手方向中間の上部にボルトで固定されている。また、H鋼122の長手方向中間の上部には、特殊マスト110と結合するための凸部122Aが設けられている。この凸部122Aには平坦な上面が形成されている。
特殊マスト110は、四角柱形状の鋼製のフレームであり、4本の支柱112、梁材114、斜材116及び箱体118等が溶接されて構成されている。また、特殊マスト110の前部にはラック17がボルトで結合されている。
ここで、特殊マスト110を構成する支柱112や箱体118等の鋼材は、搬器12の直下及びカウンターウエイト14の直下には位置していない。即ち、特殊マスト110を構成する支柱112や箱体118等の鋼材は、マスト20を下方に延伸した後における搬器12の昇降路及びカウンターウエイト14の昇降路に位置していない。
特殊マスト110の前後両側では、上下両端及び上下方向中央部に配された梁材114で左右両側の支柱112が結合され、特殊マスト110の左右両側では、上下両端に配された梁材114で前後両側の支柱112が結合されている。また、特殊マスト110の前後両側では、下と真ん中の梁材114が斜材116で結合されている。また、特殊マスト110の前後両側の上端には、マスト20とボルトで結合するためのフランジ(不図示)が配されており、左右の支柱112の上端に結合されている。
箱体118は、板材を溶接することにより直方体形状に構成されており、特殊マスト110の上と真ん中の梁材114の間に配されている。特殊マスト110の前後両側では、箱体118の側板で左右の支柱112が結合され、特殊マスト110の左右両側では、箱体118の側板で前後の支柱112が結合されている。
ここで、特殊マスト110の左右両側では、上下方向中央部に梁材114が配されておらず、箱体118の下側に形成された空間110A(図4参照)にH鋼122が挿通されている。また、箱体118の底板と凸部122Aの上面とが当接しており、箱体118の底板がH鋼122の上部にボルトで結合されている。
即ち、マスト20の下端に特殊マスト110がボルトで結合され、その特殊マスト110の上部に設けられた箱体118に、その下に挿通されたH鋼122がボルトで結合され、そのH鋼122の長手方向両端が設置階の床面上の一対のH鋼124にボルトで結合されているため、マスト20の全荷重が、特殊マスト110と架台120とを介して設置階のスラブ2や梁1により受けられる。
ここで、特殊マスト110の箱体118と支柱112との結合部にはマスト20の全荷重がかかるため、当該結合部がマスト20の荷重に耐え得るように、箱体118と支柱112との結合強度を設定する。例えば、箱体118と支柱112との溶接長や溶接幅を調整することにより、箱体118と支柱112との結合強度を好適に設定する。
図5〜図11は、マスト20を延伸する手順を示す正面図又は側面図である。マスト20を延伸するにあたり、まず、図5及び図6に示すように、架台130を、既設の支持機構100の設置階よりも下の新設階の梁3上に設置する。架台130は、左右一対のH鋼132と、左右のH鋼132の長手方向中間部を結合するH鋼134とを備えている。H鋼132の長手方向両端部と梁3との間には束4を設置する。また、H鋼134の長手方向中央部がマスト20の直下に位置するように、架台130を設置する。また、新設の柱体22を固定するためのベース28を、H鋼134の長手方向中央部にボルトにより固定する。
H鋼132の長手方向両端部には、後述の新設階の床面上に設置されるジャッキ5(図8参照)を受けるジャッキ受けブラケット136が設けられている。このジャッキ受けブラケット136は、上フランジ132Aとリブ132Bとに結合されることにより補強されている。
次に、図7に示すように、複数の新設の柱体22を継ぎ足した新設のマスト21を、ベース28にボルトで固定する。この際、新設のマスト21の上端と特殊マスト110の下端との間隔を測定する。
次に、図8に示すように、新設階の梁3とジャッキ受けブラケット136との間にジャッキ5を設置する。また、上階の特殊マスト110とH鋼122とのボルトによる結合を解除する。そして、ジャッキ5を伸ばして新設のマスト21を介して既設のマスト20を押し上げることにより、既設のマスト20の荷重を、上階の支持機構100からジャッキ5に盛り替える。
次に、図9に示すように、新設階の架台130と束4との間にレベル調整用ライナーのプレート6をセットする。そして、ジャッキ5を下げて撤去することにより、既設のマスト20、特殊マスト110、及び新設のマスト21の荷重を、ジャッキ5からレベル調整用ライナーのプレート6に盛り替える。ここで、プレート6をセットしたことにより、セット前に比して特殊マスト110が上昇し、特殊マスト110の箱体118が、上階の架台120のH鋼122から浮いた状態になっている。
次に、上階の架台120のH鋼122を、H鋼124とのボルトによる固定を解除して、特殊マスト110の空間110Aから抜き出して撤去する。また、H鋼124を、梁1とのアンカーボルト127による固定を解除して撤去する。この際、マスト20の荷重は新設階の架台130に盛り替えられており、上階の架台120にはかかっておらず、また、H鋼122と特殊マスト110の箱体118との間に隙間が出来ているので、H鋼122を特殊マスト110の空間110Aから容易に抜き出すことが出来る。
次に、図10及び図11に示すように、新設階において、ジャッキ5を用いて架台130のレベル調整を実施する。その後、H鋼132の上に押さえ金物126を配し、この押さえ金物126と束4とにアンカーボルト127を挿通させ、該アンカーボルト127によりH鋼132を梁4に固定する。
以上説明したように、本実施形態に係る工事用エレベータ10のマスト20の支持機構100では、既設のマスト20の下端に結合された特殊マスト110に、受け梁であるH鋼122が貫通される空間110Aを設け、該空間110Aの上に、箱体118の4隅を支柱112に溶接してなる、マスト20の荷重に耐える耐荷重部を設けた。そして、既設のマスト20の荷重をH鋼122から下階に設置したジャッキ5に盛り替えた状態でH鋼122が空間110Aから引抜き可能となり、H鋼122が空間110Aから引抜かれた後に搬器12及びカウンターウエイト14の通過を妨げないように、特殊マスト110を構成した。
これにより、既設のマスト20を吊り下げる支持体やクレーンや、既設のマスト20を昇降させる昇降装置やアウトリガー等を用いることが無い簡易な構成及び方法により、既設のマスト20の下に新設のマスト21を継ぎ足してマスト20を延伸することができる。従って、クレーン等の設備費用を削減でき、昇降装置やアウトリガー等の装置のコストを削減でき、また、マストの重量化にも対応可能となる。
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上述の実施形態では、工事用エレベータを例に挙げて本発明を説明したが、工事用リフトにも本発明を適用できる。
1 梁、2 スラブ、3 梁、4 束、5 ジャッキ、6 プレート、10 エレベータ、12 搬器、13 壁繋ぎ材、14 カウンターウエイト、15 電動機、16、17 ラック、18 ヘッドシーブ、19 ケーブル、20、21 マスト、22 柱体、24 駆動フレーム、26 カウンターウエイトガイドレール、28 ベース、100 支持機構、110 特殊マスト(載荷マスト)、110A 空間、112 支柱、114 梁材、116 斜材、118 箱体、120 架台、122 H鋼(受け梁)、122A 凸部、124、125 H鋼、126 押さえ金物、127 アンカーボルト、130 架台、132 H鋼、132A 上フランジ、132B リブ、134 H鋼、136 ジャッキ受けブラケット

Claims (3)

  1. 工事用昇降機の搬器及びカウンターウエイトを昇降可能に支持し、既設マストの下に新設マストを継ぎ足すことにより延伸されるマストの支持機構であって、
    前記工事用昇降機の荷重を受ける受け梁と、
    前記既設マストの下端に結合され、マストが延伸される際に前記新設マストの上端が結合される柱体であり、前記受け梁が貫通する貫通部と、該貫通部を貫通した前記受け梁に載ることにより前記工事用昇降機の荷重を受ける荷重受け部を有する載荷マストとを備え、
    前記荷重受け部が前記工事用昇降機の荷重に耐える強度を有し、前記受け梁が受けていた荷重が取除かれた状態で前記受け梁が前記貫通部から引き抜き可能となり、前記受け梁が前記貫通部から引抜かれた後に前記搬器及びカウンターウエイトの通過を妨げないように、前記載荷マストが構成されている工事用昇降機のマストの支持機構。
  2. 請求項1に記載のマストの支持機構と、
    前記支持機構により支持される前記既設マストと、
    前記既設マストに沿って昇降する前記搬器及びカウンターウエイトと、
    を備える工事用昇降機。
  3. 請求項2に記載の工事用昇降機のマストの延伸方法であって、
    前記支持機構の設置階より下階に架台を設置して該架台の上に前記新設マストを設置する工程と、
    前記架台をジャッキで上げ、前記新設マストを介して前記既設マストを押し上げることにより、前記受け梁から前記ジャッキに荷重を盛り替える工程と、
    前記受け梁を前記貫通部から引き抜く工程と、
    前記ジャッキから前記架台に荷重を盛り替える工程と、
    を備える工事用昇降機のマストの延伸方法。
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