以下に、本願発明を具体化した実施形態を、普通型コンバインに適用した図面(図1〜図15)に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2は同右側面図、図3は同平面図である。まず、図1〜図3を参照しながら、コンバインの概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図1〜図3に示す如く、実施形態における普通型コンバインは、走行部としてのゴムクローラ製の左右一対の履帯2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、稲(又は麦又は大豆又はトーモロコシ)等の未刈り穀稈を刈取りながら取込む刈取装置3が単動式の昇降用油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。
走行機体1の左側には、刈取装置3から供給された刈取穀稈を脱穀処理するための脱穀装置9を搭載する。脱穀装置9の下部には、揺動選別及び風選別を行うための穀粒選別機構10を配置する。走行機体1の前部右側には、オペレータが搭乗する運転台5を搭載する。動力源としてのエンジン7を、運転台5(運転座席42の下方)に配置する。運転台5の後方(走行機体1の右側)には、脱穀装置9から穀粒を取出すグレンタンク6と、トラック荷台(またはコンテナなど)に向けてグレンタンク6内の穀粒を排出する穀粒排出コンベヤ8を配置する。穀粒排出コンベヤ8を機外側方に傾倒させて、グレンタンク6内の穀粒を穀粒排出コンベヤ8にて搬出するように構成している。
刈取装置3は、脱穀装置9前部の扱口9aに連通したフィーダハウス11と、フィーダハウス11の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー12とを備える。穀物ヘッダー12内に掻込みオーガ13(プラットホームオーガ)を回転可能に軸支する。掻込みオーガ13の前部上方にタインバー付き掻込みリール14を配置する。穀物ヘッダー12の前部にバリカン状の第1刈刃15を配置する。穀物ヘッダー12前部の左右両側に左右の分草体16を突設する。また、フィーダハウス11に供給コンベヤ17を内設する。供給コンベヤ17の送り終端側(扱口9a)に刈取り穀稈投入用ビータ18(フロントロータ)を設ける。なお、フィーダハウス11の下面部と走行機体1の前端部とが昇降用油圧シリンダ4を介して連結され、後述する刈取入力軸89(フィーダハウスコンベヤ軸)を昇降支点として、刈取装置3が昇降用油圧シリンダ4にて昇降動する。
上記の構成により、左右の分草体16間の未刈り穀稈の穂先側が掻込みリール14にて掻込まれ、未刈り穀稈の稈元側が第1刈刃15にて刈取られ、掻込みオーガ13の回転駆動によって、穀物ヘッダー12の左右幅の中央部寄りのフィーダハウス11入口付近に刈取穀稈が集められる。穀物ヘッダー12の刈取穀稈の全量は、供給コンベヤ17によって搬送され、ビータ18によって脱穀装置9の扱口9aに投入されるように構成している。なお、穀物ヘッダー12を水平制御支点軸回りに回動させる水平制御用油圧シリンダ(図示省略)を備え、穀物ヘッダー12の左右方向の傾斜を前記水平制御用油圧シリンダにて調節して、穀物ヘッダー12、及び第1刈刃15、及び掻込みリール14を圃場面に対して水平に支持することも可能である。
また、図1、図3に示す如く、脱穀装置9の扱室内に扱胴21を回転可能に設ける。走行機体1の前後方向に延長させた扱胴軸20に扱胴21を軸支する。扱胴21の下方側には、穀粒を漏下させる受網24を張設する。なお、扱胴21前部の外周面には、螺旋状のスクリュー羽根状の取込み羽根25が半径方向外向きに突設されている。
上記の構成により、ビータ18によって扱口9aから投入された刈取穀稈は、扱胴21の回転によって走行機体1の後方に向けて搬送されながら、扱胴21と受網24との間などにて混練されて脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網24から漏下する。受網24から漏下しない藁屑等は、扱胴21の搬送作用によって、脱穀装置9後部の排塵口23から圃場に排出される。
なお、扱胴21の上方側には、扱室内の脱穀物の搬送速度を調節する複数の送塵弁(図示省略)を回動可能に枢着する。前記送塵弁の角度調整によって、扱室内の脱穀物の搬送速度(滞留時間)を、刈取穀稈の品種や性状に応じて調節できる。一方、脱穀装置9の下方に配置された穀粒選別機構10として、グレンパン及びチャフシーブ及びグレンシーブ及びストローラック等を有する比重選別用の揺動選別盤26を備える。
また、穀粒選別機構10として、揺動選別盤26に選別風を供給する唐箕ファン29等を備える。扱胴21にて脱穀されて受網24から漏下した脱穀物は、揺動選別盤26の比重選別作用と唐箕ファン29の風選別作用とにより、穀粒(精粒等の一番物)、穀粒と藁の混合物(枝梗付き穀粒等の二番物)、及び藁屑等に選別されて取出されるように構成する。
揺動選別盤26の下側方には、穀粒選別機構10として、一番コンベヤ機構30及び二番コンベヤ機構31を備える。揺動選別盤26及び唐箕ファン29の選別によって、揺動選別盤26から落下した穀粒(一番物)は、一番コンベヤ機構30及び揚穀コンベヤ32によってグレンタンク6に収集される。穀粒と藁の混合物(二番物)は、二番コンベヤ機構31及び二番還元コンベヤ33等を介して揺動選別盤26の選別始端側に戻され、揺動選別盤26によって再選別される。藁屑等は、走行機体1後部の排塵口23から圃場に排出されるように構成する。
さらに、図1〜図3に示す如く、運転台5には、操縦コラム41と、オペレータが座乗する運転座席42とを配置している。操縦コラム41には、エンジン5の回転数を調節するアクセルレバー40と、走行機体1の進路を変更する操縦レバー43と、走行機体1の移動速度を切換える主変速レバー44及び副変速レバー45と、刈取装置3を駆動または停止操作する刈取クラッチレバー46と、脱穀装置9を駆動または停止操作する脱穀クラッチレバー47が配置されている。また、運転台5の上方側にサンバイザー支柱48を介して日除け用の屋根体49を取付けている。
図1、図2に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム50を配置している。トラックフレーム50には、履帯2にエンジン7の動力を伝える駆動スプロケット51と、履帯2のテンションを維持するテンションローラ52と、履帯2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ53と、履帯2の非接地側を保持する中間ローラ54とを設けている。駆動スプロケット51によって履帯2の前側を支持させ、テンションローラ23によって履帯2の後側を支持させ、トラックローラ53によって履帯2の接地側を支持させ、中間ローラ54によって履帯2の非接地側を支持させるように構成する。
次に、図4〜図5を参照してコンバインの駆動構造を説明する。図5に示す如く、図示しない走行油圧ポンプ及び油圧モータを有する走行変速用の油圧無段変速機64をミッションケース63に設けている。走行機体1前部の右側上面にエンジン7を搭載し、エンジン7左側の走行機体1前部にミッションケース63を配置している。また、エンジン7から左側方に突出させた出力軸65と、ミッションケース63から左側方に突出させた入力軸66を、エンジン出力ベルト67を介して連結している。なお、昇降用油圧シリンダ4等を駆動するチャージポンプ68と、冷却ファン69をエンジン7に配置し、チャージポンプ68及び冷却ファン69をエンジン7にて駆動するように構成している。
さらに、扱胴軸20の前端側を軸支する扱胴駆動ケース71(カウンタケース)を備えている。脱穀装置9の前面壁体に扱胴駆動ケース71を設けている。また、前記刈取装置3と扱胴21を駆動するためのカウンタ軸72を扱胴駆動ケース71に軸支している。唐箕ファン29を軸支した唐箕軸76の右側端部に、唐箕入力プーリ83を設けている。エンジン7の出力軸65に、テンションローラを兼用した脱穀クラッチ84と脱穀駆動ベルト85を介して、唐箕軸76右側端部の唐箕入力プーリ83を連結している。即ち、エンジン7の出力軸65に脱穀駆動ベルト85を介して唐箕軸76を連結している。そして、エンジン7から離れた側の唐箕軸76の左側端部に扱胴駆動プーリ86を設ける。
また、エンジン7から離れた側のカウンタ軸72の左側端部にカウンタ入力プーリ88を配置する。扱胴駆動プーリ86に、常張り状の扱胴駆動ベルト87を介して、カウンタ軸72左側端部のカウンタ入力プーリ88を連結する。左右方向に延設したカウンタ軸72の右側端部に、ベベルギヤ機構75を介して扱胴軸20の前端側を連結する。唐箕軸76からカウンタ軸72を介して扱胴軸20の前端側にエンジン7の動力を伝達させ、扱胴21を一方向に回転駆動させるように構成している。
即ち、オペレータの脱穀クラッチレバー47操作によって、脱穀クラッチ84が入り切り制御される。脱穀クラッチ84の入り操作によって、カウンタ軸72を介して扱胴21が駆動されて、ビータ18から投入された穀稈が扱胴21によって連続的に脱穀されるように構成している。
さらに、一番コンベヤ機構30の一番コンベヤ軸77の左側端部と、二番コンベヤ機構31の二番コンベヤ軸78の左側端部とに、コンベヤ駆動ベルト111を介して唐箕軸76の左側端部を連結している。揺動選別盤26後部を軸支したクランク状の揺動駆動軸79の左側端部に揺動選別ベルト112を介して二番コンベヤ軸78の左側端部を連結している。なお、一番コンベヤ軸77を介して揚穀コンベヤ32が駆動されて、一番コンベヤ機構30の一番選別穀粒がグレンタンク6に収集される。また、二番コンベヤ軸78を介して二番還元コンベヤ33が駆動されて、二番コンベヤ機構31の藁屑が混在した二番選別穀粒(二番物)が揺動選別盤26の上面側に戻される。
一方、ビータ18を軸支するビータ軸82を備える。刈取り駆動ベルト114及び刈取クラッチ115(テンションプーリ)を介して、カウンタ軸72の左側端部にビータ軸82の左側端部を連結する。供給コンベヤ17の送り終端側を軸支するコンベヤ入力軸としての刈取入力軸89を備える。刈取入力軸89の左側端部に正逆転切換ケース121(刈取入力軸89の軸受手段)を設ける。正逆転切換ケース121内に刈取入力軸89の左側端部を挿入すると共に、正逆転伝達軸122と正逆転切換軸123を正逆転切換ケース121に設ける。なお、刈取入力軸89と正逆転伝達軸122を略同一軸心線上に配置する。また、ビータ軸82に刈取駆動チェン116及びスプロケット117,118を介して正逆転伝達軸122の左側端部を連結している。
図5に示す如く、穀物ヘッダー12の右側部背面側にヘッダー駆動軸91を回転自在に軸支する。左右方向に延設したヘッダー駆動軸91の左側端部に、ヘッダー駆動チェン90を介して刈取入力軸89の右側端部を連結する。掻込みオーガ13を軸支する掻込み軸93を備える。掻込み軸93の右側端部に、掻込み駆動チェン92を介してヘッダー駆動軸91の中間部を連結している。
また、掻込みリール14を軸支するリール軸94を備える。リール軸94の右側端部に、中間軸95及びリール駆動チェン96,97を介してヘッダー駆動軸91の中間部を連結している。ヘッダー駆動軸91の右側端部には、第1刈刃駆動クランク機構98を介して第1刈刃15が連結されている。刈取クラッチ242の入り切り操作によって、供給コンベヤ17と、掻込みオーガ13と、掻込みリール14と、第1刈刃15が駆動制御されて、圃場の未刈り穀稈の穂先側を連続的に刈取るように構成している。
図5、図12に示す如く、正逆転伝達軸122に一体形成する正転用ベベルギヤ124と、刈取入力軸89に回転自在に軸支する逆転用ベベルギヤ125と、正転用ベベルギヤ124に逆転用ベベルギヤ125を連結させる中間ベベルギヤ126を、正逆転切換ケース121に内設する。正転用ベベルギヤ124と逆転用ベベルギヤ125に中間ベベルギヤ126を常に歯合させる。一方、刈取入力軸89にスライダ127をスライド自在にスプライン係合軸支する。爪クラッチ形状の正転クラッチ128を介して正転用ベベルギヤ124にスライダ127を係脱可能に係合可能に構成すると共に、爪クラッチ形状の逆転クラッチ129を介して逆転用ベベルギヤ125にスライダ127を係脱可能に係合可能に構成している。
また、スライダ127を摺動操作する正逆転切換軸123を備え、正逆転切換軸123に正逆転切換アーム130を設け、正逆転切換アーム130を揺動させて、正逆転切換軸123を回動し、正転用ベベルギヤ124または逆転用ベベルギヤ125にスライダ127を接離させ、正転クラッチ128または逆転クラッチ129を介して正転用ベベルギヤ124または逆転用ベベルギヤ125にスライダ127を択一的に係止し、正逆転伝達軸122に刈取入力軸89を正転連結または逆転連結させるように構成している。
さらに、脱穀装置9の前方で、走行機体1上に左右の刈取り支柱231を立設している。左右の刈取り支柱231に右の刈取り軸受体232と左の軸受ホルダ233を介して刈取入力軸89の両端部を回転自在に軸支している。図13に示す如く、右の刈取り支柱231に刈取り軸受体232をボルト230締結する。図9、図12に示す如く、左の刈取り支柱231に正逆転切換ケース121をボルト230締結し、正逆転切換ケース121に左の軸受ホルダ233を固着している。また、左右の刈取り支柱231に刈取入力軸89を介してフィーダハウス11の後端部を回動可能に支持する。フィーダハウス11を介して、刈取入力軸89に刈取装置3全体を昇降動可能に支持する。なお、左右の刈取り支柱231の間に、ビータ軸82を介してビータ18を軸支している。
さらに、図5に示す如く、エンジン7の出力軸65にテンションプーリ状のオーガクラッチ56及びオーガ駆動ベルト57を介してオーガ駆動軸58の右側端部を連結する。オーガ駆動軸58の左側端部にベベルギヤ機構59を介してグレンタンク6底部の横送りオーガ60前端側を連結する。横送りオーガ60の後端側にベベルギヤ機構61を介して穀粒排出コンベヤ8の縦送りオーガ62を連結している。また、前記オーガクラッチ56を入り切り操作する穀粒排出レバー55を備えている。グレンタンク6前面のうち運転座席42後方の前面に穀粒排出レバー55を取付け、運転座席42側からオペレータが穀粒排出レバー55を操作可能に構成している。
図4に示す如く、バリカン状の第1刈刃15と略同一長さ形状のバリカン状の第2刈刃133を備える。また、走行機体1に第2刈刃133を装着する第2刈刃フレームとして、左側フレーム134、右側フレーム135、中央フレーム136を備える。左側フレーム134、右側フレーム135、中央フレーム136の先端側に、第2刈刃台137を固着し、第2刈刃機構132を構成している。第2刈刃台137の両端部に左右の接地橇体138を設ける。第2刈刃台137のうち左右の接地橇体138の間に第2刈刃133を往復動可能に取付ける。一方、走行機体1の運転台フレームに右側軸受体を介して右側フレーム135の基端側を回動可能に支持している。また、走行機体1の前側フレームに支持フレーム体140を介して中央フレーム136の基端側を回動可能に支持している。
さらに、フィーダハウス11と中央フレーム136の間に第2刈刃高さ調整機構150を設けている。第2刈刃高さ調整機構150は、伸縮可能な四角筒状の昇降下フレーム151と昇降上フレーム152を有する。昇降上フレーム152の中空部に下方側から、昇降下フレーム151の上端側を摺動可能に挿入している。一方、フィーダハウス11の上面側に補強フレーム154を固着している。補強フレーム154に昇降軸体153を介して昇降上フレーム152を高さ調整可能に固着している。
図5に示す如く、前記正逆転切換ケース121から第2刈刃133に駆動力を伝達する第2刈刃駆動機構171を備えている。第2刈刃駆動機構171は、第2刈刃133に駆動力を伝達する第2刈刃駆動軸172と、ベベルギヤ機構173を介して第2刈刃駆動軸172に連結する偏心回転軸174と、偏心回転軸174に連結する第2刈刃駆動クランク機構175を有する。正逆転切換ケース121内に第2刈刃駆動軸172の一端側を突入させて、第2刈刃駆動軸172に前記中間ベベルギヤ126を係合軸支し、中間ベベルギヤ126を介して正逆転伝達軸122に第2刈刃駆動軸172を連結している。
第2刈刃駆動クランク機構175は、偏心回転軸174に設ける偏心回転体176と、偏心回転体176に揺動変換体177を介して連結する揺動回転軸178と、揺動回転軸178に連結する揺動駆動アーム179と、揺動駆動アーム179に第2刈刃133を連結する押し引きロッド180を有する。偏心回転軸174の一方向回転を、揺動回転軸178の揺動回転(一定範囲内で正逆転させる往復回転)に変換して、揺動駆動アーム179を揺動させ、押し引きロッド180を介して第2刈刃133を往復摺動させ、第2刈刃133によって圃場の穀稈を切断するように構成している。
また、第2刈刃駆動軸を内設する円筒状の伝動フレーム181と、ベベルギヤ機構173を内設する四角箱状のベベルギヤケース182を備える。ベベルギヤケース182から突設した偏心回転軸174に、前記左側フレーム134基端のフレーム軸受部134aを回動可能に支持する。正逆転切換ケース121に伝動フレーム181の一端側を着脱可能に締結し、伝動フレーム181の他端側にベベルギヤケース182を着脱可能に締結している。即ち、偏心回転軸174、ベベルギヤケース182、伝動フレーム181を介して、正逆転切換ケース121に左側フレーム134を支持している。なお、第2刈刃駆動クランク機構175は、左側フレーム134に着脱可能に支持した第2刈刃駆動カバー185内に配置している。
上記の構成により、刈取クラッチ115の入り操作によって刈取装置3を駆動することにより、第1刈刃15と共に第2刈刃133が作動し、第1刈刃15によって圃場の未刈り穀稈の穂先側を刈取り、その穀稈の穂先側をフィーダハウス11から脱穀装置9に搬入し、穀粒選別機構10からグレンタンク6に穀粒を取出す。一方、第1刈刃15によって圃場の穀稈が刈取られた跡に残る切株は、第2刈刃133にて適宜高さに切断され、収穫作業後に圃場に残る切株の高さが略一定高さに揃えられる。収穫作業後の圃場に残る切株の高さを低くすることにより、圃場の後処理作業(耕耘作業など)性を向上できる。
次に、図8〜図15を参照して、刈取装置3を正逆転切換操作する正逆転切換レバー212構造を説明する。図8〜図15に示す如く、前記正逆転切換軸123に正逆転切換アーム130を設け、スライダ127を切換える正逆転切換アーム130に、操作ロッド211を介して正逆転切換操作具としての正逆転切換レバー212を連結している。右の刈取り支柱231の右側面にレバー支持用のブラケット体213を介して正逆転切換レバー212を回動可能に支持する。右の刈取り支柱231と運転台5の間に正逆転切換レバー212を配置する。運転座席42に座乗したオペレータが左手で正逆転切換レバー212を切換え操作可能に構成する。
図13〜図15に示す如く、右の刈取り支柱231にコ形状のレバーブラケット221の両端部を溶接固定する。レバーブラケット221中間の垂直面に正逆転切換レバー212支持用のブラケット体213をボルト222締結する。ブラケット体213にレバー軸受筒体214の外周面を溶接固定する。右の刈取り支柱231と平行にレバー軸受筒体214を立設支持する。また、正逆転切換レバー212は、レバー軸受筒体214の内孔に内挿するレバー垂直部212aと、レバー垂直部212aの上端側を横向きに折り曲げて形成したL形状のレバー水平部212bを有する。レバー水平部212bの先端側にレバー握り部212cを設ける。
即ち、レバー垂直部212aの垂直軸芯線(縦軸)回りに、レバー握り部212c(正逆転切換レバー212)を横向きに水平回動可能に構成すると共に、レバー垂直部212aの垂直軸芯線方向に、レバー握り部212c(正逆転切換レバー212)を縦向きに昇降動可能に構成する。レバー軸受筒体214にレバー垂直部212aを貫通させる。レバー軸受筒体214の下端側から下方にレバー垂直部212aの下端部を突出する。レバー垂直部212aの下端部に前記リンク体215の一端側をキ―嵌合する。レバー垂直部212aの下端部にそのリンク体215の一端側をボルト216にて着脱可能に締結する。なお、リンク体215の他端側に連結ピン体217を介して操作ロッド211が連結されている。
さらに、レバー軸受筒体214の上端側に、ロックプレート体224を溶接固定する。ロックプレート体224の水平面部に、正逆転切換レバー212を正転切換位置に支持する正転位置決め孔224aを開設する。一方、レバー軸受筒体214の上端側から上方に突出したレバー垂直部212aの上端部に、係合プレート体225を溶接固定する。係合プレート体225にロックピン体226を溶接固定している。
即ち、レバー軸受筒体214の内孔に、その上端側からレバー垂直部212aを挿入する。ロックプレート体224の上面側に、上方から係合プレート体225の下面側を当接させる。正転位置決め孔224aに、係合プレート体225の下面側に突出させたロックピン体226を係脱可能に係入させている。正転位置決め孔224aにロックピン体226を係入させた場合、刈取装置3が正転駆動される収穫作業位置に、正逆転切換レバー212が支持される。
また、レバー握り部212cを握って、正逆転切換レバー212を持上げ、レバー軸受筒体214に対してレバー垂直部212aを上昇動させ、正転位置決め孔224aからロックピン体226を脱出させた場合、レバー握り部212cを握って、正逆転切換レバー212を軸心回りに回動させ、正転位置または逆転位置に正逆転切換レバー212を移行させることができ、正転クラッチ128または逆転クラッチ129の一方を切り作動し、他方を入り作動できる。
さらに、レバー支持用のブラケット体213の底部に一方のバネ受けアーム体161を固着し、ブラケット体213の底部から下向きにバネ受けアーム体161を突設すると共に、リンク体215に他方のバネ受けアーム体162を固着し、リンク体215の下面から下向きにバネ受けアーム体162を突設し、各バネ受けアーム体161,162間に支点越えバネ体163を張設している。
したがって、正転位置決め孔224aからロックピン体216を離脱させて、正逆転切換レバー212を切換操作した場合、レバー握り部212cから手を離すと、刈取装置3が正転駆動される収穫作業位置(正転切換位置)、または刈取装置3が逆転駆動されるメンテナンス作業位置(逆転切換位置)のいずれかに、正逆転切換レバー212が、支点越えバネ体163にて弾圧支持される。なお、正逆転切換レバー212の自重で、正転位置決め孔214aにロックピン体216が係入支持されるから、機械振動などによって正逆転切換レバー212が誤作動するのを防止できる。
上記の構成により、オペレータが前記正逆転切換レバー212を操作して、正転用ベベルギヤ124に正転クラッチ128を介してスライダ127を係合させ、正逆転伝達軸122に刈取入力軸89を正転連結させた状態で、オペレータが脱穀クラッチ84を入り操作して脱穀装置9を作動させると共に、刈取クラッチ115を入り操作して刈取装置3を作動させ、圃場の穀稈を連続的に刈取りながら脱穀し、グレンタンク6に穀粒を収集する。
一方、前記収穫作業中、フィーダハウス11またはビータ18などに刈取穀稈が詰って停滞した場合、先ず、オペレータが正逆転切換レバー212を操作して、逆転用ベベルギヤ125に逆転クラッチ129を介してスライダ127を係合させ、正逆転伝達軸122に刈取入力軸89を逆転連結させた状態で、脱穀クラッチ84と刈取クラッチ115を入り操作して、供給コンベヤ17(刈取装置3)を逆転作動させ、フィーダハウス11内などに詰った穀稈を穀物ヘッダー12側に逆戻り移動させ、フィーダハウス11内などに詰った穀稈を穀物ヘッダー12側から外部に取出すように構成している。
さらに、図8〜図11、図13、図15に示す如く、運転台5の操縦コラム41に隣接するサイドコラム39の上面側に、主変速レバー44や副変速レバー45を配置している。また、サイドコラム39の上面側のうち、正逆転切換レバー212取付け部に近い上面側に、アクセルレバー40を配置する。サイドコラム39の上面に形成されたレバーガイド溝38に沿ってアクセルレバー40を移動可能に設けている。前後方向に長い長溝形状にレバーガイド溝38を形成し、アクセルレバー40を後方側に傾倒させて、エンジン7を低速作動する一方、アクセルレバー40を前方側に傾倒させて、エンジン7を高速作動させるように構成している。
また、図10、図13、図15に示す如く、正転切換位置の正逆転切換レバー212のレバー握り部212cは、サイドコラム39に沿って前方に延設する一方、図11、図13、図15に示す如く、逆転切換位置の正逆転切換レバー212のレバー握り部212cは、サイドコラム39の上面側に延設される。アクセルレバー40の低速回転操作位置と正逆転切換レバー212の逆転切換操作位置とを一致させている。
即ち、正逆転切換レバー212の操作軌跡の一部とアクセルレバー40の操作軌跡の一部を交叉させて形成し、逆転切換操作位置に移行する正逆転切換レバー212の操作によって、アクセルレバー40を低速回転側に移行させるもので、正逆転切換レバー212を逆転切換操作位置に移行させたときに、アクセルレバー40が低速回転側に移行するように構成している。換言すると、正転切換操作位置から逆転切換操作位置に移行させる正逆転切換レバー212がアクセルレバー40に当接し、正逆転切換レバー212の逆転切換操作にてアクセルレバー40が低速回転側に移行するように構成している。
したがって、脱穀クラッチ84と刈取クラッチ115を入り操作して、供給コンベヤ17(刈取装置3)を逆転作動させ、フィーダハウス11内などに詰った穀稈を穀物ヘッダー12側から外部に取出す場合、エンジン7が低速運転され、フィーダハウス内などの詰り藁を、フィーダハウスなどの穀稈取入れ側から無理なく(低圧縮状態で)放出させることができる。フィーダハウスなどの穀稈取入れ側に内部の詰り藁を低圧状態で戻すことができる場合もあるから、詰り解除後に、供給コンベヤ17(刈取装置3)を正転作動させるだけで、穀稈取入れ側に戻された詰り藁を、フィーダハウス11内に再び取入れることができる。その場合、穀稈取入れ側に戻された詰り藁を穀物ヘッダー12側から外部に取出す手間を省くことができる。
次に、図16を参照して、第2実施形態を示すアクセルレバー40と正逆転切換レバー212の取付け構造を説明する。図16に示す如く、高速回転側から低速回転側にアクセルレバー40を強制的に戻す低速回転操作具としての低速回転用ワイヤ241を備えている。低速回転用ワイヤ241を介して正逆転切換レバー212にアクセルレバー40を連結し、正転操作位置から逆転操作位置に切換える正逆転切換レバー212の操作により、高速回転側から低速回転側にアクセルレバー40を強制的に移行可能に構成している。
したがって、正転操作位置から逆転操作位置に正逆転切換レバー212を切換えたときに、低速回転用ワイヤ241が引張られ、高速回転側から低速回転側にアクセルレバー40を強制的に移行させる。エンジン7の回転速度が低速になり、第1実施形態と同様に、供給コンベヤ17(刈取装置3)を低速(アイドル回転)にて逆回転作動できる。なお、正転操作位置に正逆転切換レバー212を切換えた状態下では、低速回転側から高速回転側にアクセルレバー40を移行させても、低速回転用ワイヤ241が緩むから、正逆転切換レバー212が正転操作位置のとき、アクセルレバー40を任意位置に操作できる。
次に、図17、図18を参照して、第3実施形態を示すアクセルレバー40と正逆転切換レバー212の取付け構造を説明する。図17、図18に示す如く、アクセルレバー40のレバー握り部40aと、正逆転切換レバー212のレバー握り部212cを、運転座席42に座乗したオペレータが左手で同時に握れる位置に配置している。即ち、高速回転操作位置のアクセルレバー40のレバー握り部40aと、正転操作位置の正逆転切換レバー212のレバー握り部212cを、上下に近接させた状態で配置する。また、低速回転操作位置のアクセルレバー40のレバー握り部40a(操作部)と、逆転操作位置の正逆転切換レバー212のレバー握り部212c(操作部)を、上下に近接させた状態で配置する。正逆転切換レバー212を逆転操作位置に切換える操作と、アクセルレバー40を低速回転側に移行させる操作を同時に実行可能に構成している。
したがって、正逆転切換レバー212のレバー握り部212cを握った手で、アクセルレバー40のレバー握り部40aも握り、正転操作位置から逆転操作位置に正逆転切換レバー212を切換える操作と、高速回転側から低速回転側に移アクセルレバー40を行させる操作を、同時に実行できる。換言すると、正転操作位置の正逆転切換レバー212の操作部(レバー握り部212c)、または高速回転側のアクセルレバー40の操作部(レバー握り部40a)のいずれか一方を握った手で他方の操作部も握ることができる。第1実施形態と同様に、供給コンベヤ17(刈取装置3)を低速(アイドル回転)にて逆回転作動できる。
一方、逆転操作位置から正転操作位置に正逆転切換レバー212を切換える操作と、低速回転側から高速回転側にアクセルレバー40を移行させる操作を、同時に実行できる。換言すると、逆転操作位置の正逆転切換レバー212の操作部(レバー握り部212c)、または低速回転側のアクセルレバー40の操作部(レバー握り部40a)のいずれか一方を握った手で他方の操作部も握ることができる。なお、正逆転切換レバー212のレバー握り部212cと、アクセルレバー40のレバー握り部40aを各別に握り、正逆転切換レバー212と、アクセルレバー40を各別に独立して操作できることは詳述するまでもない。
図1、図8〜図15に示す如く、刈刃15を設ける刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、エンジン7及び運転座席42を設ける走行機体1と、刈取装置3を正転回転または逆転回転させる正逆転切換レバー212を備え、刈取装置3を正転回転または逆転回転させるコンバインにおいて、エンジン7の回転数を調節するアクセルレバー40を備える構造であって、正逆転切換レバー212を逆転操作位置に移行させたときに、アクセルレバー40が低速回転側に移行するように構成している。したがって、正逆転切換レバー212の逆転操作によって、アクセルレバー40が低速側に切換操作され、刈取装置3を逆転させることができる。圃場の穀稈を刈取る収穫作業中、例えばフィーダハウス11内などに藁が詰っても、正逆転切換レバー212とアクセルレバー40の同時操作(一動作)にて刈取装置3を逆転させることができ、フィーダハウス11内などの詰り藁を速やかに除去できる。刈取装置3を逆転させる場合、エンジン7の回転が確実に低速になり、フィーダハウス11内などの詰り藁を、フィーダハウス11などの穀稈取入れ側から無理なく(低圧縮状態で)放出させることができる。
図8〜図15に示す如く、正逆転切換レバー212の操作軌跡の一部とアクセルレバー40の操作軌跡の一部を交叉させて形成し、逆転操作位置に移行する正逆転切換レバー212の操作によって、アクセルレバー40を低速回転側に移行させるように構成している。したがって、正逆転切換レバー212の操作部を握った手でアクセルレバー40の操作部も握り、正逆転切換レバー212を逆転操作位置に切換える操作と、アクセルレバー40を低速回転側に移行させる操作を、同時に実行できる。刈取装置3の逆転操作と連動してエンジン7の回転を下げる構造を簡略化でき、低コストに構成できる。
図8〜図15に示す如く、アクセルレバー40の低速回転操作位置と、正逆転切換レバー212の逆転操作位置とを、一致させるように構成している。したがって、正逆転切換レバー212とアクセルレバー40の回動規制位置を一致させることができ、正逆転切換レバー212またはアクセルレバー40が、誤操作などにて損傷するのを容易に低減できる。
図8〜図15に示す如く、正転操作位置から逆転操作位置に移行させる正逆転切換レバー212の操作部としてのレバー握り部212cを、高速回転側のアクセルレバー40の操作部としてのレバー握り部40aに当接させ、正逆転切換レバー212の逆回転切換操作にてアクセルレバー40を低速回転側に移行させるように構成している。したがって、正逆転切換レバー212を逆転操作位置に切換える操作によって、アクセルレバー40を低速回転側に移行させることができる。刈取装置3の逆回転切換操作と連動してエンジン7の回転を下げる構造を簡略化でき、低コストに構成できる。