以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
以下、本発明における半導体装置、及びその製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。近年は様々な構造の半導体装置が提案されており、本発明の製造方法は、以下に説明する構造の半導体装置及びその製造方法に限定されるものではない。
図1〜10は、半導体装置の製造方法の一実施形態を示す模式図である。本実施形態に係る製造方法は、以下の工程を備える。
工程1(接着剤層形成工程):金属バンプ12が形成された半導体ウェハ10の回路面S1に液状感光性接着剤5を塗布する(図1及び2を参照)。
工程2(Bステージ化工程):塗布された液状感光性接着剤からなる感光性接着剤層側から露光を行い、感光性接着剤層をBステージ化する。(図3及び4を参照)。
工程3(半導体ウェハ圧着工程):接着剤層6が設けられた半導体ウェハ10に、別の半導体ウェハ50を位置合わせした後、ウェハ圧着機により圧着する(図5を参照)。これにより、半導体ウェハ積層体60が得られる。
工程4(バックグラインド工程):半導体ウェハ積層体の研削したい側とは反対側の面(裏面)に、剥離可能な粘着テープ(バックグラインドテープ等)30を貼り付ける。貼り付け後、半導体ウェハ積層体を粘着テープ30の反対側より研削して、半導体ウェハ積層体を所定の厚さまで薄くする(図6を参照)。
工程5(半導体ウェハ積層工程):研削により薄くした半導体ウェハ積層体の裏面に電極を出現させ、再配線工程により金属バンプを作製、再配線層上の接続部を残して封止樹脂で表面を封止して封止樹脂層(再配線層)18を設けた後、上記の工程1〜4(接着剤層形成工程/Bステージ化工程/ウェハ圧着工程)を繰り返すことにより半導体ウェハ積層体上に更に半導体ウェハを積層する(図7を参照)。
工程6(再配線及びハンダボール搭載工程):半導体ウェハ10の裏面を研削、研磨することにより電極を出現させ、当該面上に再配線工程により封止樹脂層(再配線層)18を設け、更に金属バンプ12上にハンダボール14を搭載する(図8を参照)。
工程7(ダイシング工程):半導体ウェハ積層体のハンダボールが搭載されている面とは反対側の面に粘着テープ(ダイシングテープ)34を貼り付け、ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、半導体素子56a,52a,16aが積層された半導体素子積層体に切り分ける(図9を参照)。
工程8(ピックアップ工程):半導体素子積層体をピックアップすることで半導体装置100を得る(図10を参照)。
以下、各工程について詳述する。
(接着剤層形成工程)
金属バンプ12が形成された回路面を有する半導体ウェハ10の回路面S1に液状感光性接着剤5を塗布する。塗布は、ボックス20内で、粘着テープ4が貼り付けられた半導体ウェハ10を治具21に固定した状態で行うことができる。粘着テープ4の役割としては、裏面の汚染を防ぐこと、ウェハ割れを防ぐことであり、汚染や割れを防ぐことができれば特に種類は問わない。また、粘着テープ4は使用せずに塗布することも可能である。
液状感光性接着剤の塗布方法は、印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ジェットディスペンス法及びインクジェット法などから選ばれる。これらの中でも、薄膜化及び膜厚均一性の観点から、スピンコート法(図2(a))やスプレーコート法(図2(b))が好ましい。スピンコート装置が有する吸着台には穴が形成されていてもよいし、吸着台がメッシュ状であってもよい。吸着痕が残りにくい点から、吸着台はメッシュ状であることが好ましい。スピンコート法による塗布は、ウェハのうねり、及びエッジ部の盛り上がりを防止するために、500〜5000rpmの回転数で行うことが好ましい。同様の観点から、回転数は1000〜4000rpmがさらに好ましい。液状感光性接着剤の粘度を調整する目的でスピンコート台に温度調節器を備えることもできる。
本発明における金属バンプの種類としては、特に限定されないが、銅、銀、金などで構成されるものが挙げられる。金属バンプ12上に、はんだボールが更に設けられていてもよい。はんだボールとしては、鉛含有のはんだや鉛フリーはんだ等の従来公知のはんだ材料から構成されるものが挙げられる。金属バンプとしては、作製の容易さやコストの観点から、金属バンプの場合は酸化膜が作製されにくい金、コストのかからない銅であることが好ましい。
半導体ウェハとしては、金属バンプから形成される突起電極を有する、又は、金属バンプ及びはんだボールから形成される突起電極を有するバンプ付ウェハを用いることができる。突起電極の高さは、金属バンプのみの場合5〜40μm程度、金属バンプ及びはんだボールからなる場合は、20〜60μm程度のものが挙げられる。また、ウェハの厚みはウェハサイズにより異なるが、6インチから12インチの範囲のウェハであれば、研削前のウェハ厚みが625〜775μmのものが使用できる。
接着剤層の厚みに関しては、圧着時の接続性及び樹脂充填性の観点から、金属バンプのみの場合は、バンプ高さx1と接着剤層の厚みyとの関係が0.85x1≦y≦1.2x1を満たすことが好ましい。金属バンプの上にハンダボールがある場合は、金属バンプ高さx2とハンダバンプx3と接着剤層の厚みyとの関係がx2≦y、x2+x3≧yを満たすことが好ましい。
液状感光性接着剤はシリンジなどで保存することができ、スピンコート装置のシリンジセット部分に温度調節器が備えられていてもよい。
半導体ウェハに液状感光性接着剤を例えばスピンコート法によって塗布する際、半導体ウェハのエッジ部分に不要な液状感光性接着剤が付着する場合がある。このような不要な接着剤をスピンコート後に溶剤などで洗浄して除去することができる。除去することにより、装置の汚染を抑制することができる。洗浄方法は特に限定されないが、半導体ウェハをスピンさせながら、不要な接着剤が付着した部分にノズルから溶剤を吐出させる方法が好ましい。洗浄に使用する溶剤は接着剤を溶解させるものであればよく、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコール及びメタノールから選ばれる低沸点溶剤が用いられる。
また、半導体ウェハのエッジ部分の不要な接着剤を除去する方法として、予めエッジ部にマスキングテープを貼り付けた半導体ウェハ上に接着剤をスピンコートした後、マスキングテープを剥がすことで接着剤層を目的とする領域に形成することができる。
(Bステージ化工程)
塗布により液状感光性接着剤から形成された感光性接着剤層5側から露光装置9によって活性光線(典型的には紫外線)を照射して、感光性接着剤層をBステージ化する。これによりBステージ化した接着剤層6が半導体ウェハ10上に固定されるとともに、接着剤層6表面のタックを低減することができる。こうして得られる接着剤層付き半導体ウェハは、取り扱い性に優れるとともに、バンプ部分のボイドが十分に低減されており、なおかつ研削後の反りを十分小さくすることができる。
露光は、真空下、窒素下、空気下などの雰囲気下で行なうことができる。酸素阻害を低減するために、離形処理されたPETフィルムやポリプロピレンフィルムなどの基材を感光性接着剤層上に積層した状態で、露光することもできる。また、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンや粘着テープ(バックグラインドテープ)を感光性接着剤層上に積層した状態で露光してもよい。これにより、本工程の後に半導体ウェハをバックグラインドする工程を行う際に、そのままバックグラインド工程に移ることができる。露光量は、タック低減及びタクトタイムの観点から、20〜2000mJ/cm2が好ましい。また、Bステージ化後のタック低減及びアウトガス低減を目的に、露光後100℃以下の温度で加熱を行なってもよい。
また、パターニングされたマスクを介して露光を行うこともできる。パターニングされたマスクを用いることにより、熱圧着時の流動性が異なる接着剤層を形成させることができる。前記のような流動性が異なる接着剤層を形成することで、例えば以下のようなことが可能となる。金属バンプ部分をマスクした状態で露光を行なうことによって、金属バンプ部分がより熱圧着流動性に優れた接着剤層を形成することができる。これによって、熱圧着時のボイドを低減したり、効率的に酸化膜除去性(フラックス性)を付与することができる。
また、本実施形態において、露光後の接着剤層の膜厚は、圧着時の接続性及び樹脂充填性の観点から、金属バンプのみの場合は、バンプ高さx1と接着剤層の厚みyとの関係が0.85x1≦y≦1.2x1を満たすことが好ましい。金属バンプの上にハンダボールがある場合は、金属バンプ高さx2とハンダバンプx3と接着剤層の厚みyとの関係がx2≦y、x2+x3≧yを満たすことが好ましい。
(半導体ウェハ圧着工程)
接着剤層6が設けられた半導体ウェハ10に、別の半導体ウェハ50を位置合わせした後、熱により圧着する(図5の(a))。本実施形態においては、半導体ウェハ10が有する金属バンプ(電極)12と接続される突起電極(金属バンプ12及びはんだボール14)を備える半導体ウェハ50と、半導体ウェハ10とが熱圧着される。なお、半導体ウェハ50は、半導体ウェハ10と同様に接着剤層が設けられた半導体ウェハであってもよい。
半導体ウェハ同士は、ウェハ圧着機を用いて、半導体ウェハの金属バンプを介して導通がとれるよう圧着されることが好ましい。圧着の条件としては、ハンダボールや銅バンプ等の酸化膜除去のためにフラックス成分を含む場合はフラックス成分が反応する温度で、金属電極の接合、ハンダボールの溶融による接合が可能であれば問題なく、例えば、温度:150℃〜400℃、圧力:0.1MPa〜2.0MPa、時間:10秒〜2時間、程度の範囲であれば上記の接合が可能になる。ウェハ圧着時には、位置あわせが必要であるため、接着剤層6は可視光透過性を有することが好ましい。接着剤層6は、可視光透過率が10%以上となるものであることが好ましい。可視光透過率が10%未満であると、ウェハ圧着機での認識マーク識別が行えなくなって、位置合わせ作業ができなくなる傾向がある。また、ウェハ圧着機で使用されるハロゲン光源とライトガイドの波長相対強度において550nm〜600nmが最も強いことから、接着剤層6は555nmの可視光透過率が10〜100%であることが好ましく、18〜100%であることがより好ましく、25〜100%であることがさらに好ましい。
本工程により、2つの半導体ウェハ10,50が接着剤層8により貼り合わされた半導体ウェハ積層体60が得られる(図5(b))。
(バックグラインド工程)
半導体ウェハ積層体をバックグラインドすることで薄型化することができる。この場合、半導体ウェハ積層体の研磨する側とは反対側の面(裏面)に、剥離可能な粘着テープ(バックグラインドテープ等)30を貼り付ける(図6の(a))。貼り付け後、半導体ウェハ積層体を粘着テープ30の反対側より研磨して、半導体ウェハ積層体を所定の厚さまで薄くする(図6の(b))。研磨は、粘着テープ30によって半導体ウェハ10を研磨用の治具に固定した状態で、グラインド装置32を用いて行うことが好ましい。
本実施形態においては、半導体ウェハ積層体中の半導体ウェハ50の厚さを10〜150μmにまで薄厚化することが好ましい。半導体ウェハ積層体中の薄厚化された半導体ウェハ52の厚さが10μm未満であると、半導体ウェハの破損が生じやすく、他方、150μmを超えると、半導体装置の小型化の要求に応えることが困難となる。研削後、半導体ウェハ積層体のバックグラインドテープを剥離することにより、薄型化された半導体ウェハ積層体を得ることができる。バックグラインドテープを剥離する方法としては、例えば、活性光線(典型的には紫外線)を照射することによって粘着性が低下する粘着テープを使用し、粘着テープ30側から露光した後、これをはく離する方法が挙げられる。
(半導体ウェハ積層工程)
研削により薄くした半導体ウェハ積層体の裏面にバンプ(電極)を作製することで、半導体ウェハ積層体に更に半導体ウェハを積層することができる。この場合、研削した半導体ウェハの裏面にバンプ12を作製し(図7の(a))、上記の工程1〜4を繰り返すことにより(図7の(b)、(c)、(d))、半導体ウェハを積層することができる。必要に応じて更に半導体ウェハの積層を増やすことも可能である。
(再配線及びハンダボール搭載工程)
まず、研磨後の半導体ウェハ積層体からバックグラインドテープ30を剥離し、剥がした面と反対の側に再度バックグラインドテープ30をラミネートする。その後、図8の(a)に示されるように、ウェハに隠れている電極が出現するようにバックグラインドすることにより裏面回路を出現させる。
電極が現れた半導体ウェハ16上に再配線して配線18を形成し、更に露出した電極上にはんだボール14を搭載する(図8の(b))。再配線は、乾式成膜法であるスパッタリングを用いる方法や湿式成膜法であるめっき法により行うことができる。また、はんだボールの搭載は、一般的に行われる方法、例えば市販されているはんだボール搭載装置などを用いて行うことができる。
(ダイシング工程)
半導体ウェハ積層体のハンダボールが搭載されている面とは反対側の面に粘着テープ(ダイシングテープ)34を貼り付ける(図9の(a))。ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、半導体素子56a,52a,16aが積層された半導体素子積層体に切り分ける(図9の(b))。ダイシングは、粘着テープ(ダイシングテープ)34によって全体をフレーム(ウェハリング)に固定した状態でダイシングブレード36を用いて行うことができる。
(ピックアップ工程)
切り分けられた半導体素子積層体をピックアップすることで半導体装置100を得る(図10)。
以上のような工程を経て、半導体素子が積層された構造を有する半導体装置を製造することができる。半導体装置の構成及び製造方法は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、上記の工程の順序を必要により入れ替えることが可能である。また、一部の工程を省略することができる。
接着剤層形成工程では、液状感光性接着剤を半導体ウェハの回路面に塗布した後、半導体ウェハを加温することによって液状感光性接着剤を低粘度化したり、超音波を印加したり、真空チャンバ内で減圧することにより、バンプ周辺のボイドを低減することもできる。
また、液状感光性接着剤を半導体ウェハの回路面に塗布して露光した後、更に液状感光性接着剤を塗布して露光することによって、厚膜の接着剤層を得ることができる。このとき、異なる組成の液状感光性接着剤を塗布して露光することによって、異なる物性を有する接着剤層を得ることもできる。
接着剤層に対しては、Bステージ化及び熱圧着後、100〜150℃で5〜120分の熱硬化処理を施してもよい。このような熱硬化処理により、170℃以上の高温熱履歴工程によるボイドやはく離を抑制でき、高信頼性の半導体装置を得ることができる。
また、図10に示す半導体装置は、例えば、更に他の半導体搭載用支持部材と接合し、その後必要に応じてワイヤボンディングや封止などが施されてもよい。
また、上記接着剤層形成工程において、金属バンプ12上にはんだボール14が更に設けられている半導体ウェハ10の回路面に接着剤層を形成し、上記Bステージ化工程を経た後、半導体ウェハ圧着工程において金属バンプ12を有する半導体ウェハ10と貼りあわせてもよい(図11)。この場合も、図12の(a)に示されるような半導体ウェハ積層体62を得ることができる。図12の(b)は、(a)に示されるb−b線における断面図である。なお、図11及び12では、ウェハ内部の電極については図示を省略している。
次に、本発明に係る半導体装置の製造方法で用いられる液状感光性接着剤について説明する。なお、本発明は、以下に説明する液状感光性接着剤を用いる場合に限定されるものではない。
液状感光性接着剤は、光照射によってBステージ化できるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、光によるラジカル反応、光によるアニオン反応、光によるカチオン反応などによってBステージ化できる系が挙げられる。光ラジカルによってBステージ化させる系としては、例えば、放射線重合性化合物と、光ラジカル開始剤などの光開始剤とを含む系が挙げられる。光アニオンによってBステージ化させる系としては、エポキシ樹脂と、光アニオン発生剤とを含む系が挙げられる。光カチオンによってBステージ化させる系としては、例えば、エポキシ樹脂と、光カチオン発生剤とを含む系が挙げられる。Bステージ化に要する時間やBステージ化後の保存安定性の観点から、光によるラジカル反応によってBステージ化が可能な系が好ましい。
本明細書において、「Bステージ」とは、硬化反応の中間的な段階、すなわち溶融粘度が上昇した段階を意味する。
Bステージ化された接着剤層は、加熱により軟化することができる。具体的には、Bステージ化された接着剤層の20℃〜60℃における溶融粘度の最大値(最大溶融粘度)が5000〜100000Pa・sであるのが好ましく、良好な取り扱い性及びピックアップ性の観点から10000〜100000Pa・sであることがより好ましい。また、Bステージ化された接着剤層の60℃〜200℃における溶融粘度の最小値(最低溶融粘度)が10〜30000Pa・sであるのが好ましく、良好な熱時流動性及び接続性の観点から50〜10000Pa・sであることがより好ましい。
ここでの最大溶融粘度もしくは最低溶融粘度とは、光量1000mJ/cm2で露光した後のサンプルを、粘弾性測定装置ARES(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定したときの20℃〜200℃における溶融粘度の最大値もしくは最低値を示す。なお、測定プレートは直径8mmの平行プレート、測定条件は昇温5℃/min、測定温度は20℃〜200℃、周波数は1Hzとする。
また、Bステージ化された接着剤層の25℃でのタック強度(表面タック力)が200gf以下となることが好ましく、熱圧着時の粘着性の観点から150gf以下であることがより好ましく、バックグラインドテープのはく離性の観点から100gf以下であることがさらにより好ましく、ダイシング時の付着物低減の観点から50gf以下であることが最も好ましい。また、ダイシング時の接着剤層のはく離などを抑制するために表面タック力が0.1gf/cm2以上であることが好ましい。表面タック力が0.1gf/cm2以下である場合、ダイシング時に接着剤と被着体の界面に水が浸入してチップ飛びが発生する、ダイシング時の付着物によるボイドや接続不良の原因となる、といった問題が生じやすくなる傾向にあるため、好ましくない。また、上記25℃での表面タック力が200gf/cm2を超えると、得られる接着剤層の室温における表面の粘着性が高くなり、取扱い性が悪くなる傾向にある。
ここでの表面タック力は以下のように測定した値である。液状感光性接着剤をBステージ後の膜厚が35μmとなるようにシリコンウェハ上にスピンコートによって塗布し、得られた塗膜に、25℃、空気下で、高精度平行露光機(オーク製作所製、「EXM−1172−B−∞」(製品名))により1000mJ/cm2で露光を行なう。その後、25℃での表面のタック強度をレスカ社製のプローブタッキング試験機を用いて、プローブ直径:5.1mm、引き剥がし速度:10mm/s、接触荷重:100gf/cm2、接触時間:1sにより、25℃におけるタック力を5回測定し、その平均値を算出する。
本発明においては、液状感光性接着剤は、(A)放射線重合性化合物、(B)光開始剤、及び(C)熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。このような構成を有する接着剤は、光照射によってBステージ化可能な接着剤とすることができる。
本実施形態の液状感光性接着剤は、1atm、25℃で液状であり、且つ、溶剤の含有量が5質量%以下である液状無溶剤型感光性接着剤であることが好ましい。上記の「無溶剤型」とは、接着剤中に含有される溶剤量が5質量%以下であることを意味する。
上記の溶剤とは、放射線重合性基やオキシムエステル基、α−アミノアセトフェノン、ホスフィンオキサイドなどの光反応性基、エポキシ基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物、イソシアネート、パーオキサイド、ジアゾ基、イミダゾール、アルコキシシランなどの熱反応性基を有さず、分子量が500以下でありかつ室温(25℃)において液状である有機化合物を意味する。このような溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン及びN−メチル−ピロリジノンなどが挙げられる。
溶剤量が上記範囲となることで、光照射によってタック低減させることができ、光照射後の取り扱い性が向上する。更に、熱圧着や加熱硬化時の発泡を抑制することができる。
(A)放射線重合性化合物としては、アルケン類やアルキン類など炭素原子間不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
なお、本発明において放射線とは、電離性放射線や非電離性放射線を指し、例えば、ArF、KrF等のエキシマレーザー光、電子線極端紫外線、真空紫外光、X線、イオンビームやi線やg線等の紫外光が挙げられる。放射線は、量産性の観点から、i線やg線等の紫外光が好ましく用いられる。
本実施形態の液状感光性接着剤は、(A)放射線重合性化合物として、25℃で液状であり分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。分子内に2つ以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物を配合した組成物の場合、光照射されると架橋構造が形成された状態となり、その後の熱時に溶融しにくく、またタックも発現しにくいため、熱圧着が困難となる傾向がある。これに対して分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を含有することによって、熱時流動性を十分得ることができ、熱圧着性を向上させることができる。中でも、低露光量でBステージ化が可能である点から、単官能(メタ)アクリレートが好ましい。
上記の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、(A)成分全量に対して20〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることが最も好ましい。単官能(メタ)アクリレートの配合量を上記範囲とすることでBステージ化後の被着体との密着性及び熱圧着性をより向上させることができる。
また、(A)成分は、25℃で液状であり且つ分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物に加えて、更に固形のアクリレートを配合してもよい。この場合の(A)成分の混合物は、25℃で液状であることが好ましい。
更に高水準の熱時流動性を得る観点から、(A)放射線重合性化合物として、分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を単独で接着剤組成物に含有させることが好ましい。なお、分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を単独で使用した場合、光照射後に得られるポリマーの分子量を数万以上にすることができ、硬化後の良好な接着性と信頼性を両立できる。ここで、分子内に2つ以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物が含まれると分子量が数万以上のポリマー同士のネットワークが形成され熱時の粘着性や流動性が低下する傾向がある。
上記(A)成分は、上記(B)成分及び(C)成分などの他の成分の溶解性の観点から、25℃での粘度が5000mPa・s以下であることが好ましく、更に薄膜化の観点から、3000mPa・s以下であることがより好ましく、2000mPa・s以下であることが更により好ましく、更に固形や高粘度の熱硬化樹脂を多く配合して接着性を向上させる観点から、1000mPa・s以下であることが最も好ましい。ここでの粘度とは、接着剤に含まれる(A)成分全体の値であり、東京計器製造所製のEHD型回転粘度計を用い、サンプル量0.4mL、3°コーンの条件下、25℃で測定した粘度の値である。
(A)成分の上記粘度が5000mPa・sを超えると、接着剤の粘度が上昇して薄膜化が困難となったり、塗布装置などのノズルから吐出させることが困難となる傾向がある。塗布時のピンホール発生を防止することや耐熱性を確保する観点から、(A)成分の25℃での粘度は10mPa・s以上であることが好ましい。
また、上記(A)成分は、塗布時の揮発抑制の観点から5%重量減少温度が120℃以上であることがより好ましく、熱硬化時に未反応の(A)成分が揮発することによって生じるはく離やボイドを抑制できる点で150℃以上であることが更により好ましく、180℃以上であることが最も好ましい。ここでの5%質量減少温度とは、接着剤に含まれる(A)成分全体の値であり、(A)成分を示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/min)下で測定したときの5%重量減少温度である。
また、接着剤の低粘度化、塗布後の表面凹凸抑制やBステージ化後の熱時流動性の観点から、有機化合物を主体とした材料設計が好ましいため、上記(A)成分の5%重量減少温度は500℃以下であることが好ましい。
本実施形態で用いる(A)成分としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリル基などが挙げられる。反応性の観点から、(A)成分は、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。ここでいう単官能とは、分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有することを意味し、それ以外の官能基を有していてもよい。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、硬化物を強靭化できる点でグリシジル基含有(メタ)アクリレートや4−ヒドロキシフェニルメタクリレートや3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミドなどのフェノール性水酸基含有(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシメチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレートが好ましく、耐熱性を向上できる点でフェノールEO変性(メタ)アクリレート、フェノールPO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールPO変性(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレートなどの芳香族含有(メタ)アクリレートが好ましく、Bステージ化後の密着性や熱硬化後の接着性を付与できる点で2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、O−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、など下記一般式(A−1)又は(A−2)で示される水酸基含有(メタ)アクリレート、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチルアクリレートなど、下記一般式(A−3)又は(A−4)で示されるイミド基含有(メタ)アクリレートが好ましく、接着剤組成物を低粘度化できる点でイソボロニル含有(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル基含有(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートなどが好ましいものとして挙げられる。中でもイミド基含有(メタ)アクリレートは半導体ウェハや有機基板などの塗布したときのハジキやピンホールを抑制でき、かつ硬化後に優れた接着性を発現できるため、特に好ましく用いられる。
一般式(A−1)及び(A−2)において、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R3は1価の有機基を示し、R2及びR4はそれぞれ2価の有機基を示す。R3は耐熱性の観点から芳香族基を有することが好ましい。R4は耐熱性の観点から芳香族基を有することが好ましい。
一般式(A−3)及び(A−4)において、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R5は2価の有機基を示し、R6、R7、R8、R9はそれぞれ炭素数1〜30の1価の炭化水素基を示し、R6及びR7はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよく、R8及びR9はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R6及びR7、並びに、R8及びR9が環を形成している場合、例えば、ベンゼン環構造、脂環式構造が挙げられる。ベンゼン環構造及び脂環式構造は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、エポキシ基などの熱硬化性基を有していてもよく、またアルキル基などの有機基を有していてもよい。
上記一般式(A−3)及び(A−4)で示される化合物は、例えば、単官能酸無水物とエタノールアミンとを反応させて得られるN−ヒドロキシアルキルイミド化合物と、アクリル酸エステル又はアクリル酸エステルとを公知の方法で反応させて合成することができる。この場合、単官能酸無水物として、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水化物、2,5−ノルボルナジエン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、シス−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸ヘキサヒドロ無水フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、などのジカルボン酸無水物を用いることができる。N−ヒドロキシアルキルイミド化合物としては、例えば、N−ヒドロキシエチルフタルイミド及びN−ヒドロキシエチルコハクイミドなどが挙げられる。
上記一般式(A−3)及び(A−4)で示される化合物としては、保存安定性、Bステージ化後の低タック性、Bステージ化後の密着性、熱硬化後の耐熱性、接着性、信頼性の観点から、下記一般式(A−5)〜(A−9)で示される化合物が好ましいものとして用いることができ、低粘度の観点から、下記一般式(A−5)、(A−7)〜(A−9)で示される化合物がより好ましいものとして用いることができる。
上記式(A−5)〜(A−9)中、R1は、水素原子又はメチル基を示す。
また、単官能(メタ)アクリレートとしては、Bステージ化後の被着体との密着性、硬化後の接着性、耐熱性の観点から、ウレタン基、イソシアヌル基、イミド基、フェノール性水酸基、水酸基のいずれかを有することが好ましく、特に分子内にイミド基を有する単官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
本実施形態の液状感光性接着剤において、25℃で液状であり且つ分子内に1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて配合することができる。
更に、単官能(メタ)アクリレートは、Bステージ化後の熱圧着性、熱時流動性の観点から、単官能(メタ)アクリレートを重合して得られた重合体のTgが100℃以下となるものが好ましく、Bステージ化の観点から、Tgが20℃以上となるものが好ましい。単官能(メタ)アクリレートの重合体のTgは、単官能(メタ)アクリレートに光開始剤であるI−379EG(チバ・ジャパン社製)を単官能(メタ)アクリレートに対し3質量%となる割合で溶解させた組成物を、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に膜厚35μmとなるように塗布し、この塗膜に、室温、空気下で高精度平行露光機(オーク製作所製、製品名:EXM−1172−B−∞)を用いて1000mJ/cm2で露光して得られたフィルムを膜厚150μmとなるように積層した積層体について、粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製、製品名:ARES)を用いて測定された−50℃〜200℃におけるtanδピーク温度である。なお、測定プレートは、直径8mmの平行プレートを用い、測定条件は、昇温速度5℃/min、測定温度−50℃〜200℃、周波数1Hzとする。
(A)成分の含有量は、接着剤組成物全量に対して10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、40〜90質量%であることが最も好ましい。(A)成分の含有量が10質量%未満であると、露光後の表面タック力が大きくなる傾向があり、95質量%を超えると熱硬化後の接着強度が低下する傾向があるため好ましくない。
(B)光開始剤としては、波長365nmの光に対する分子吸光係数が、Bステージ化が可能となる点で100ml/g・cm以上であるものが好ましく、露光後のタックをより低減できる点で200ml/g・cm以上であるものがより好ましく、酸素阻害をより低減できる点で400ml/g・cm以上であるものがさらにより好ましく、低露光量、短時間でBステージ化が可能となる点で1000ml/g・cm以上であるものが最も好ましい。なお、Bステージ化に要する時間は60s以内であることが好ましく、より効率的に半導体装置を製造できる点で30s以内であることがより好ましい。上記の分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−3310」(製品名))を用いて吸光度を測定することにより求められる。
上記(B)成分としては、例えば、1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニループロパンー1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチループロパンー1−オン、オキシーフェニルーアセチックアシッド2−[2−オキソー2−フェニルーアセトキシーエトキシ]エチルエステル、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルーベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、2−エチルヘキシルー4−ジメチルアミノベンゾエート、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9'−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイドやマレイミドを有する化合物などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(B)光開始剤は、空気雰囲気下(酸素存在下)中であっても露光によって効率的にBステージ化が可能となる点で、分子内にオキシムエステル骨格、又はモルホリン骨格を有する化合物であることが好ましい。このような化合物としては特に限定はしないが、下記一般式(B−1)で表わされるオキシムエステル基を有する化合物及び/又は下記一般式(B−2)、(B−3)若しくは(B−4)で表わされるモルホリン環を有する化合物であることが好ましい。具体的には、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましく用いられる。
式中、R
51及びR
52はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、又は芳香族系炭化水素基を含む有機基を示し、R
53及びR
54及びR
55は、炭素数1〜7のアルキル基、又は芳香族系炭化水素基を含む有機基を示し、R
56及びR
57は、芳香族系炭化水素基を含む有機基を示す。
上記芳香族系炭化水素基としては、特に制限はしないが、例えば、フェニル基及びナフチル基、ベンゾイン誘導体、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。また、芳香族系炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
上記(B)光開始剤として特に好ましいものは、オキシムエステル基及び/又はモルホリン環を有する化合物であって、波長365nmの光に対する分子吸光係数が1000ml/g・cm以上、且つ、5%質量減少温度が150℃以上の化合物である。
このような(B)光開始剤としては、例えば、下記構造式(B−5)〜(B−9)で表わされる化合物が挙げられる。
(B)光開始剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、Bステージ化のタクトやBステージ化後のタックの観点から、0.5〜10質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部を超えると、アウトガスが多くなり接着性が低下したり、保存安定性が低下する傾向がある。一方、上記含有量が0.1質量部未満であると、Bステージ化が困難となる傾向がある。
本実施形態の液状感光性接着剤においては、必要に応じて増感剤を併用することができる。この増感剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4’−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、アジド基を含む化合物などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上併用して使用することができる。上記増感剤の中で、Bステージ後のタックをより低減できる点で4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンが最も好ましく用いられる。
上記(C)熱硬化性樹脂としては、熱により架橋反応を起こす反応性化合物からなる成分であれば特に限定されることはなく、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、マレイミド樹脂、アリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含有する樹脂、トリアリルトリメリタートを含有する樹脂、シクロペンタジエンから合成された熱硬化性樹脂、芳香族ジシアナミドの三量化による熱硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、高温での優れた接着力を持たせることができる点で、エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を含むものが好ましく、熱圧着性や硬化性、硬化物特性の点から、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂がより好ましい。このような樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型(又はAD型、S型、F型)のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルアミン、ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、エポキシ樹脂としては、不純物イオンである、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、特に塩素イオンや加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロマイグレーション防止や金属導体回路の腐食防止の観点から好ましい。
(C)熱硬化性樹脂は、室温で液状、固形を問わず使用することができる。液状熱硬化性樹脂の場合は、より低粘度化が可能となり、固形熱硬化性樹脂の場合は、光照射後のタックをより低減することができる。また、液状熱硬化性樹脂と固形熱硬化性樹脂を併用してもよい。
液状の熱硬化性樹脂を用いる場合、その粘度は10000mPa・s以下であることが好ましく、5000mPa・s以下であることがより好ましく、3000mPa・s以下であることが更により好ましく、2000mPa・s以下であることが最も好ましい。粘度が10000mPa・sを超えると接着剤組成物の粘度が上昇し、薄膜化が困難となる傾向がある。このような液状の熱硬化性樹脂としては、特に限定はしないが、接着性、耐熱性の観点からエポキシ樹脂が好ましく、特に3官能型(又は4官能型)のグリシジルアミンやビスフェノールA型(又はAD型、S型、F型)のグリシジルエーテルが好ましく用いられる。
固形の熱硬化性樹脂を用いる場合、例えば、(A)成分に溶解させて用いることができる。固形熱硬化性樹脂としては、特に限定はしないが、熱圧着性と粘度の観点から、分子量が2000以下、好ましくは1000以下であることが好ましく、また軟化点が100℃以下、好ましくは80℃以下であることが好ましい。また、接着性、耐熱性の観点から3官能以上のエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、下記構造のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、(C)熱硬化性樹脂は、5%重量減少温度が150℃以上であるものが好ましく、180℃以上であるものがより好ましく、200℃以上であるものが更により好ましい。ここで、熱硬化性樹脂の5%質量減少温度とは、熱硬化性樹脂を示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/min)下で測定したときの5%重量減少温度である。5%重量減少温度が高い熱硬化性樹脂を適用することで、熱圧着又は熱硬化時に揮発することを抑制できる。このような耐熱性を有する熱硬化性樹脂としては、分子内に芳香族基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
(C)熱硬化性樹脂の含有量は、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、保存安定性とBステージ化の両立の観点から2〜50質量部であることがより好ましい。この含有量が100質量部を超えると、露光後のタックが上昇する傾向がある。一方、上記含有量が2質量部未満であると、十分な高温接着性が得られなくなる傾向がある。
本実施形態の液状感光性接着剤においては、硬化促進剤を更に含有することが好ましい。硬化促進剤としては、加熱によってエポキシ樹脂の硬化/重合を促進する化合物あれば特に制限はなく、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート、第3級アミン等が挙げられる。これらの中でも溶剤を含有しないときの溶解性、分散性の観点からイミダゾール類が好ましく用いられる。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.01〜50質量部が好ましい。また、接着性、耐熱性、保存安定性の観点からもイミダゾール類が特に好ましい。
イミダゾール類としては、反応開始温度が50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。反応開始温度が50℃以下であると保存安定性が低下するため、樹脂組成物の粘度が上昇し膜厚の制御が困難となるため好ましくない。
イミダゾール類としては、エポキシ樹脂に溶解するイミダゾールを用いることが好ましい。このようなイミダゾールを用いることで凹凸が少ない塗布膜を得ることができる。このようなイミダゾール類としては、特に限定はしないが、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。保存安定性、接着性、耐熱性の観点から、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが特に好ましく用いられる。
また、イミダゾール類としては、好ましくは平均粒径10μm以下、より好ましくは8μm以下、最も好ましくは5μm以下に粉砕した化合物を使用することができる。このような粒径のイミダゾール類を用いることで接着剤の粘度変化を抑制することができ、またイミダゾール類の沈降を抑制することができる。また、薄膜形成した際には、表面の凹凸を低減することができ、これにより均一な膜を得ることができる。更に、硬化時には樹脂中の硬化を均一に進行させることができるため、アウトガスを低減することができる。
また、本実施形態の液状感光性接着剤は、硬化剤としてフェノール系化合物を含有していてもよい。フェノール系化合物としては分子中に少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物がより好ましい。このような化合物としては、例えばフェノールノボラック、クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、キシリレン変性フェノールノボラック、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、テトラキスフェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ポリ−p−ビニルフェノール、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、数平均分子量が400〜4000の範囲内のものが好ましい。これにより、半導体装置組立加熱時に、半導体素子又は装置等の汚染の原因となる加熱時のアウトガスを抑制できる。上記フェノール系化合物は液状であることが好ましく、アリル変性フェノールノボラックが、液状かつ高耐熱であるために好適に用いられる。
フェノール系化合物の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して50〜100質量部であることが好ましく、60〜95質量部であることがより好ましい。
本実施形態の液状感光性接着剤は、(D)熱ラジカル発生剤を更に含有することができる。熱ラジカル発生剤としては、保存安定性と反応性の観点から有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物としては、1分間半減期温度が80℃以上であるものが好ましく、100℃以上であるものがより好ましく、120℃以上であることが最も好ましい。有機過酸化物は、接着剤組成物の調製条件、製膜温度、圧着、硬化条件、その他プロセス条件、貯蔵安定性等を考慮して選択される。使用可能な過酸化物としては、特に限定はしないが、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。上記の有機過酸化物を含有させることで、露光後に残存している未反応の放射線重合性化合物を反応させることができ、低アウトガス化、高接着化を図ることができる。
1分間半減期温度が80℃以上である熱ラジカル発生剤としては、例えば、パーヘキサ25B(日油社製)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)(1分間半減期温度:180℃)、パークミルD(日油社製)、ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:175℃)などが挙げられる。
(D)熱ラジカル発生剤の含有量は、(A)放射線重合性化合物全量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましく、0.5〜5質量%が最も好ましい。熱ラジカル発生剤の含有量が0.01質量%未満であると、硬化性が低下し、添加効果が小さくなり、5質量%を超えると、アウトガス量増加、保存安定性低下が見られる。
本実施形態の液状感光性接着剤は、塗布後の膜厚均一性、Bステージ化後の熱圧着性、熱硬化後の低応力性、被着体との密着性を向上させる点から、(E)熱可塑性樹脂を更に含有してもよい。
(E)成分のTgは150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらにより好ましく、80℃以下であることが最も好ましい。このTgが150℃を超える場合、接着剤組成物の粘度が上昇する傾向がある。また、被着体に熱圧着する際に150℃以上の高温を要し、半導体ウェハに反りが発生しやすくなる傾向がある。
ここで、(E)成分の「Tg」とは、(E)成分をフィルム化したときの主分散ピーク温度を意味する。具体的には、(E)成分のフィルムについて、レオメトリックス社製粘弾性アナライザー「RSA−2」(製品名)を用いて、フィルム厚100μm、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−150〜300℃の条件で測定し、Tg付近のtanδピーク温度をTgとして求める。
(E)成分の重量平均分子量は、5000〜500000の範囲内で制御されていることが好ましい。更に、(E)成分の重量平均分子量は、熱圧着性と高温接着性とを高度に両立できる点で、10000〜300000であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、島津製作所社製高速液体クロマトグラフィー「C−R4A」(製品名)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
(E)成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、これらの共重合体、これらの前駆体(ポリアミド酸等)の他、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、重量平均分子量が1万〜100万の(メタ)アクリル共重合体、ノボラック樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂の主鎖及び/又は側鎖に、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール基、カルボキシル基及び/又は水酸基が付与されたものであってもよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、(A)成分に対して、0.1〜50質量%が好ましく、成膜性や膜厚均一性、粘度上昇抑制の観点から0.5〜20質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が0.1質量%未満であると、添加の効果が見られなくなる傾向があり、50質量%を超えると、溶け残りなどによって膜厚均一性が低下したり、粘度が上昇し薄膜化が困難となる傾向がある。
本実施形態の液状感光性接着剤には、保存安定性、プロセス適応性又は酸化防止性を付与するために、キノン類、多価フェノール類、フェノール類、ホスファイト類、イオウ類等の重合禁止剤又は酸化防止剤を、硬化性を損なわない範囲で更に添加してもよい。
また、本実施形態の液状感光性接着剤には、適宜フィラーを含有させることもできる。フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉等の金属フィラー、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機フィラー、カーボン、ゴム系フィラー等の有機フィラー等が挙げられ、種類・形状等にかかわらず特に制限なく使用することができる。
上記フィラーは、所望する機能に応じて使い分けることができる。例えば、金属フィラーは、接着剤組成物に導電性、熱伝導性、チキソ性等を付与する目的で添加され、非金属無機フィラーは、接着剤層に熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等を付与する目的で添加され、有機フィラーは接着剤層に靭性等を付与する目的で添加される。
これら金属フィラー、無機フィラー又は有機フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、半導体装置用接着材料に求められる、導電性、熱伝導性、低吸湿特性、絶縁性等を付与できる点で、金属フィラー、無機フィラー、又は絶縁性のフィラーが好ましく、無機フィラー又は絶縁性フィラーの中では、接着剤組成物に対する分散性が良好でかつ、熱時の高い接着力を付与できる点でシリカフィラーがより好ましい。
上記フィラーは、平均粒子径が10μm以下、且つ、最大粒子径が30μm以下であることが好ましく、平均粒子径が5μm以下、且つ、最大粒子径が20μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が10μmを超える、または、最大粒子径が30μmを超えると、破壊靭性向上の効果が十分に得られない傾向がある。また、平均粒子径及び最大粒子径の下限は特に制限はないが、どちらも0.001μm以上であることが好ましい。
上記フィラーの含有量は、付与する特性又は機能に応じて決められるが、フィラーを含む接着剤全量に対して50質量%以下となることが好ましく、1〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。フィラーを増量させることにより、低熱膨張化、低吸湿化、高弾性率化が図れ、ダイシング性(ダイサー刃による切断性)、熱時の接着強度を有効に向上させることができる。フィラーを必要以上に増量させると、粘度が上昇したり、熱圧着性が損なわれる傾向にあるため、フィラーの含有量は上記の範囲内に収めることが好ましい。求められる特性のバランスをとるべく、最適フィラー含有量を決定することができる。フィラーを用いた場合の混合・混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
本実施形態の液状感光性接着剤には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点で、シラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基などの熱硬化性基やメタクリレート及び/又はアクリレートなどの放射線重合性基を有する化合物がより好ましい。
上記フィラーの中でも、他の樹脂成分との相溶性、高温接着性の観点から、シリカフィラーが好適に用いられ、エポキシ系、アクリレート系、フェニル系にシランカップリング剤処理されたシリカフィラーが最も好ましく用いられる。
また、上記シラン系カップリング剤の沸点及び/又は分解温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることより好ましく、200℃以上であることがさらにより好ましい。特に、200℃以上の沸点及び/又は分解温度で、かつエポキシ基などの熱硬化性基やメタクリレート及び/又はアクリレートなどの放射線重合性基を有するシラン系カップリング剤が最も好ましく用いられる。
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、接着剤100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましい。
本実施形態の液状感光性接着剤には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性を良くするために、イオン捕捉剤を更に添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、フェノール系還元剤等の銅がイオン化して溶け出すのを防止するための銅害防止剤として知られる化合物、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系、ズズ系及びこれらの混合系等の無機化合物が挙げられる。具体例としては、東亜合成(株)製の無機イオン捕捉剤、製品名、IXE−300(アンチモン系)、IXE−500(ビスマス系)、IXE−600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE−700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE−800(ジルコニウム系)、IXE−1100(カルシウム系)等がある。これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、接着剤100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
本実施形態の液状感光性接着剤には、はんだなどの表面の酸化膜を還元除去して、金属接合を容易にするために、フラックス剤を含むことが好ましい。
フラックス剤としてはアルコール類、フェノール類、カルボン酸類の中から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが望ましい。
アルコール類としては、分子内に少なくとも2個以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1,5−ペンタンジオール、2,5−フランジメタノール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、リビトール、ソルビトール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、N−ブチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)イソプロパノールアミン、ビス(2−ヒドロキシメチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,1’,1’’,1’’’−(エチレンジニトリロ)テトラキス(2−プロパノール)などを用いることができる。中でも、3級窒素原子を有する化合物、例えば、N−ブチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)イソプロパノールアミン、ビス(2−ヒドロキシメチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,1’,1’’,1’’’−(エチレンジニトリロ)テトラキス(2−プロパノール)は、その他の化合物に比較して、良好なフラックス活性を示すことから望ましい。良好なフラックス活性を示す詳細な理由は明らかではないが、アルコール性水酸基による酸化膜還元能と、3級窒素原子上の不対電子に由来する電子供与性による還元能が併せて作用することに起因していると推測される。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール類としては、少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシハイドロキノン、ピロガロール、メチリデンビフェノール(ビスフェノールF)、イソプロピリデンビフェノール(ビスフェノールA)、エチリデンビフェノール(ビスフェノールAD)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ポリp−ビニルフェノールなどが挙げられる。さらに、少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物として、フェノール性水酸基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とハロメチル基、アルコキシメチル基またはヒドロキシルメチル基を分子内に2個有する芳香族化合物、ジビニルベンゼン及びアルデヒド類から選ばれる少なくとも1種の化合物との重縮合物も用いることができる。フェノール性水酸基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール、ナフトール、クレゾール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシハイドロキノン、ピロガロール、メチリデンビフェノール(ビスフェノールF)、イソプロピリデンビフェノール(ビスフェノールA)、エチリデンビフェノール(ビスフェノールAD)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ポリp−ビニルフェノールなどが挙げられる。また、ハロメチル基、アルコキシメチル基またはヒドロキシルメチル基を分子内に2個有する芳香族化合物としては、例えば、1,2−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニルなどが挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド(その水溶液としてホルマリン)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。重縮合物としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドの重縮合物であるフェノールノボラック樹脂、クレゾールとホルムアルデヒドとの重縮合物であるクレゾールノボラック樹脂、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合物であるナフトールノボラック樹脂、フェノールと1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼンとの重縮合物であるフェノールアラルキル樹脂、ビスフェノールAとホルムアルデヒドの重縮合物、フェノールとジビニルベンゼンとの重縮合物、クレゾールとナフトールとホルムアルデヒドの重縮合物などが挙げられ、これらの重縮合物をゴム変性したものや分子骨格内にアミノトリアジン骨格やジシクロペンタジエン骨格を導入したものでもよい。さらに、これらのフェノール性水酸基を有する化合物をアリル化することによって液状したものとして、アリル化フェノールノボラック樹脂、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビフェノールなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸類としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸のいずれであってもよい。脂肪族カルボン酸としては、例えば、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、アリルマロン酸、2,2’−チオジ酢酸、3,3’−チオジプロピオン酸、2,2’−(エチレンジチオ)ジ酢酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、2-エチル−2−ヒドロキシ酪酸、ジチオジグリコール酸、ジグリコール酸、アセチレンジカルボン酸、マレイン酸、リンゴ酸、2-イソプロピルリンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、1,3−アセトンジカルボン酸、トリカルバリン酸、ムコン酸、β−ヒドロムコン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、グルタル酸、α−ケトグルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、クエン酸、アジピン酸、3−tert−ブチルアジピン酸、ピメリン酸、フェニルシュウ酸、フェニル酢酸、ニトロフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、ニトロフェノキシ酢酸、フェニルチオ酢酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、マンデル酸、ヒドロキシマンデル酸、ジヒドロキシマンデル酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、4,4’−ジチオジ酪酸、けい皮酸、ニトロけい皮酸、ヒドロキシけい皮酸、ジヒドロキシけい皮酸、クマリン酸、フェニルピルビン酸、ヒドロキシフェニルピルビン酸、カフェ酸、ホモフタル酸、トリル酢酸、フェノキシプロピオン酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ベンジルオキシ酢酸、フェニル乳酸、トロパ酸、3−(フェニルスルホニル)プロピオン酸、3,3−テトラメチレングルタル酸、5-オキソアゼライン酸、アゼライン酸、フェニルコハク酸、1,2−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジ酢酸、ベンジルマロン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ウンデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、ジシクロヘキシル酢酸、テトラデカン二酸、2,2−ジフェニルプロピオン酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、4,4-ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ピマール酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、アガト酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2-ナフトエ酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−フェノキシ安息香酸、ビフェニル−4−カルボン酸、ビフェニル−2−カルボン酸、2−ベンゾイル安息香酸などが挙げられる。これらの中でも、保存安定性や入手容易さの観点から、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、アジピン酸、3,3’−チオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、セバシン酸、フェニルコハク酸、ドデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、アビエチン酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸などを用いることが望ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の液状感光性接着剤は、接着剤の吐出性向上、薄膜化の観点から25℃での粘度が10〜30000mPa・sであることが好ましく、30〜20000mPa・sであることがより好ましく、接着剤の耐熱性や硬化後の接着性、塗布時の膜厚均一性の観点から50〜10000mPa・sであることがさらにより好ましく、100〜5000mPa・sであることが最も好ましい。上記粘度が10mPa・s未満であると、接着剤の保存安定性や耐熱性の低下や、接着剤を塗布したときにピンホールが生じやすくなる傾向がある。また、露光によるBステージ化が困難となる傾向がある。上記粘度が30000mPa・sを超えると、塗布時に薄膜化が困難となる傾向やノズルからの吐出が困難となる傾向がある。ここでの粘度とは、東京計器製造所製のEHD型回転粘度計を用い、サンプル量0.4mL、3°コーンの条件下、25℃で測定した粘度の値である。
本実施形態の液状感光性接着剤は、光照射によりBステージ化された接着剤の5%重量減少温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることが更に好ましく、200℃以上であることが最も好ましい。5%重量減少温度が150℃を下回ると、被着体圧着後の熱硬化時もしくはリフローなどの熱履歴時に被着体がはく離する傾向があり、熱圧着前に加熱乾燥が必要となる。また、接着剤の低粘度化、塗布後の表面凹凸抑制やBステージ化後の熱時流動性の観点から、有機化合物を主体とした材料設計が好ましいため、5%重量減少温度は500℃以下であることが好ましい。5%重量減少温度をこのような範囲とするためには、接着剤に含まれる溶剤量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。
ここでの5%重量減少温度とは以下のように測定した値である。液状感光性接着剤をシリコンウェハ上にBステージ後の膜厚が35μmとなるように、スピンコートによって塗布し、得られた塗膜に、25℃、空気下で高精度平行露光機((株)オーク製作所社製、製品名:EXM−1172−B−∞)により1000mJ/cm2で露光を行なう。その後、Bステージ化した接着剤を示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製、製品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/分)下で5%重量減少温度を測定する。
本実施形態の液状感光性接着剤は、高精度平行露光機を用いて露光した後、60℃〜200℃における最低溶融粘度が30000Pa・s以下であるものが好ましい。
ここでの最低溶融粘度とは、光量1000mJ/cm2で露光した後のサンプルを、粘弾性測定装置ARES(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定したときの20℃〜300℃における溶融粘度の最低値を示す。なお、測定プレートは直径8mmの平行プレート、測定条件は昇温5℃/min、測定温度は20℃〜300℃、周波数は1Hzとする。
上記最低溶融粘度は、熱圧着性の観点から10000Pa・s以下であることがより好ましく、薄膜形成時に熱圧着できる点で5000Pa・s以下であることが更に好ましく、より低温かつ短時間で熱圧着できる点で3000Pa・s以下であることが特に好ましい。上記範囲内の最低溶融粘度を有することにより、十分な低温熱圧着性を確保することができ、凹凸がある基板などに対しても良好な密着性を付与することができる。上記最低溶融粘度の下限値は特に設けないが、取り扱い性や熱時の粘着性付与等の点で10Pa・s以上であることが望ましい。
本実施形態の液状感光性接着剤は、光照射によりBステージ化され、更に加熱硬化を行なった後の5%重量減少温度が、熱履歴によってはく離を抑制する点で260℃以上であることが好ましく、熱履歴によるボイドを抑制する点で280℃以上であることがより好ましく、耐吸湿リフロー性の観点から300℃以上であることが最も好ましい。5%重量減少温度が260℃未満であると、リフロー工程などの熱履歴によってはく離が生じる傾向がある。
また、本実施形態の液状感光性接着剤は、Bステージ化後、140℃で1時間、次いで180℃で3時間オーブンで加熱した時(加熱硬化時)のアウトガス量が、はく離を抑制できる点で10%以下であることが好ましく、ボイドを抑制できる点で7%以下であることがより好ましく、硬化後の熱履歴によるボイドやはく離を更に抑制できる点で5%以下であることが最も好ましい。上記アウトガス量が10%を超えると、加熱硬化時にボイドやはく離が発生する傾向がある。
ここでのアウトガス量とは以下のように測定した値である。液状感光性接着剤をシリコンウェハ上にBステージ後の膜厚が35μmとなるように塗布し、得られた塗膜に、離型処理したPETフィルムを室温でハンドローラーを用いてラミネートし、高精度平行露光機により1000mJ/cm2で露光を行なう。その後、Bステージ化した接着剤を示差熱熱重量同時測定装置を用いて、窒素フロー(400ml/分)下で、昇温速度50℃/minで140℃に昇温させ、140℃で1時間ホールドし、更に昇温速度50℃/minで180℃に昇温させ、180℃で3時間ホールドするプログラムとした時の5%重量減少温度の値である。
本実施形態の液状感光性接着剤は、当該接着剤からなる接着剤層を被着体上に形成し、半導体素子を接着した段階での260℃におけるせん断接着強度が、熱履歴によってはく離を抑制する点で0.2MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることがより好ましく、耐吸湿リフロー性の観点から1.0MPa以上であることが最も好ましい。また、上記せん断接着強度は50MPa以下であることが好ましい。260℃におけるせん断接着強度を50MPa以上とするためには、熱硬化成分や無機粒子を多量に配合する必要があり、塗布後の膜厚均一性や接着剤組成物の保存安定性が損なわれ、また熱硬化後の応力が増大する傾向がある。
ここでのせん断接着強度とは、液状感光性接着剤をシリコンウェハ上にスピンコート(例えば、2000rpm/10s、4000rpm/20s)によって厚さが35μmになるよう塗布する。得られた塗膜に、離型処理したPETフィルムをラミネートし、高精度平行露光機(オーク製作所製、「EXM−1172−B−∞」(商品名))により1000mJ/cm2で露光を行なう。その後、3×3mm角にシリコンウェハを切り出す。切り出した接着剤付きシリコンチップを予め5×5mm角に切り出したシリコンチップ上に載せ、200gfで加圧しながら、120℃で2秒間圧着する。その後、140℃、1時間、次いで180℃、3時間オーブンで加熱し、接着サンプルを得る。得られたサンプルについて、せん断接着力試験機「Dage−4000」(製品名)を用いて260℃でのせん断接着力を測定し、これをせん断接着強度の値とする。
液状感光性接着剤は、接着剤層を光照射によりBステージ化したときに可視光透過率が10%以上となるものであることが好ましい。可視光透過率が10%未満であると、ウェハ圧着機での認識マーク識別が行えなくなって、位置合わせ作業ができなくなる傾向がある。また、ウェハ圧着機で使用されるハロゲン光源とライトガイドの波長相対強度において550nm〜600nmが最も強いことから、液状感光性接着剤のバンプ付きウェハへの塗工する膜厚と同様な膜厚において、555nmの可視光透過率が10〜100%であることが好ましく、18〜100%であることがより好ましく、25〜100%であることがさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜3の液状感光性接着剤の調製>
下記表1に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、実施例1〜3の液状感光性接着剤を得た。
実施例1の液状感光性接着剤は以下の手順により調製した。まず、放射線重合性化合物である「M−140」及び「AMP−20GY」に、エポキシ樹脂である「1032H60」、光開始剤である「I−379EG」及び「EAB」、並びにフラックス成分であるアジピン酸を加え、60℃のオイルバスを用いてかく拌、分散させた。得られた混合物を25℃に戻した後、硬化剤である1B2PZ及び熱ラジカル発生剤であるパークミルDを加え、かく拌した。
実施例2及び3の液状感光性接着剤は以下の手順により調製した。まず、放射線重合性化合物である「M−140」及び「AMP−20GY」に、フィラー成分を加え、撹拌し分散した。得られた分散物に、エポキシ樹脂である「1032H60」、光開始剤である「I−379EG」及び「EAB」、並びにフラックス成分であるアジピン酸を加え、60℃のオイルバスを用いてかく拌、分散させた。得られた混合物を25℃に戻した後、硬化促進剤である「1B2PZ」及び熱ラジカル発生剤であるパークミルDを加え、かく拌した。
表1において、各記号は下記のものを意味する。
M−140:東亜合成社製、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチルアクリレート(イミド基含有単官能アクリレート、5%重量減少温度:200℃、25℃での粘度:450mPa・s)。
AMP−20GY:新中村化学工業社製、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(単官能アクリレート、5%重量減少温度:175℃、25℃での粘度:16mPa・s)。
I−379EG:チバ・ジャパン社製、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルーベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン(5%重量減少温度:260℃、i線吸光係数:8000ml/gcm)。
EAB:東京化成社製、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン。
1032H60:ジャパンエポキシレジン社製、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型固形エポキシ樹脂(5%重量減少温度:350℃、固形、融点60℃)。
1B2PZ:四国化成社製、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール。
パークミルD:日油社製、ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:175℃)。
SE1050−SPP:アドマテックス社製、フェニルシラン表面処理シリカ(平均粒径:0.2〜0.3μm)。
X52−7030:信越シリコーン社製、シリコーン複合パウダー(平均粒径:0.8μm)。
アジピン酸:和光純薬工業(株)社製。
上記(A)成分の粘度については、東京計器製造所製のEHD型回転粘度計を用い、サンプル量0.4mL、3°コーンの条件下、25℃において測定した値である。
また、実施例1〜3で用いた(A)成分を光照射して得られる重合体のTgを以下の手順で測定した。
<(A)成分の重合体のTg>
実施例1〜3の液状感光性接着剤に配合される(A)成分に、I−379EG(チバ・ジャパン社製)を(A)成分に対し3質量%となる割合で溶解させた組成物を、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に膜厚35μmとなるように塗布し、この塗膜に、25℃、空気下で高精度平行露光機(オーク製作所製、製品名:EXM−1172−B−∞)によって1000mJ/cm2で露光した。こうして得られるフィルムを膜厚150μmとなるように積層して得られた積層体について、粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)社製、製品名:ARES)を用いて−50℃〜200℃におけるtanδピーク温度を測定し、(A)成分の重合体のTgを求めた。なお、測定プレートは、直径8mmの平行プレートを用い、測定条件は、昇温速度5℃/min、測定温度−50℃〜200℃、周波数1Hzとした。
<比較例1〜2の回路部材接続用接着剤の調製>
(比較例1及び2)
熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂「FX293」(東都化成株式会社製、製品名)20質量部、エポキシ樹脂として「1032H60」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、製品名:エポキシ当量170)20質量部及び「YL−983U」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、製品名:エポキシ当量184)10質量部、「EXA−4850−1000」(DIC株式会社製、製品名:エポキシ当量350)5質量部、マイクロカプセル型硬化促進剤として「HX−3941HP」(旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名)30質量部を混合した混合物を、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒中に溶解して接着剤組成物のワニスを得た。得られたワニスを計量した後、ここに、フィラーとしてシリカ粒子「SE2050」(株式会社アドマテックス社製、製品名、平均粒径0.5μm)を、ワニス85質量部に対して75質量部の割合で加え、さらに、有機微粒子「EXL−2655」(ロームアンドハースジャパン株式会社製、製品名、コアシェルタイプ有機微粒子)をワニス85質量部に対して15質量部の割合で加え、さらに、フラックス成分として、「アジピン酸」(和光純薬工業(株))5質量部を添加、撹拌し分散した。得られた分散物を、支持基材としてのセパレータフィルム(PETフィルム、厚み38μm)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させた。こうして、支持基材上に厚み35μmの接着剤層が形成されてなる回路部材接続用接着剤を得た。
<比較例3の樹脂ペーストの調製>
(比較例3)
熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂「FX293」(東都化成(株)社製、製品名)20質量部、エポキシ樹脂として「1032H60」(ジャパンエポキシレジン(株)社製、製品名:エポキシ当量170)20質量部、「YL−983U」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、製品名:エポキシ当量184)10質量部、及び「EXA−4850−1000」(DIC(株)社製、製品名:エポキシ当量350)5質量部、マイクロカプセル型硬化促進剤として「HX−3941HP」(旭化成ケミカルズ(株)社製、製品名)30質量部を混合した混合物を、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒中に溶解して接着剤組成物のワニスを得た。得られたワニスを計量した後、ここに、フィラーとしてシリカ粒子「SE2050」((株)アドマテックス社製、製品名、平均粒径0.5μm)を、ワニス85質量部に対して75質量部の割合で加え、さらに、有機微粒子「EXL−2655」(ロームアンドハースジャパン(株)社製、製品名、コアシェルタイプ有機微粒子)をワニス85質量部に対して15質量部の割合で加え、さらに、フラックス成分として、「アジピン酸」(和光純薬工業(株))5質量部を添加、撹拌し分散した。こうして、樹脂ペーストを得た。
実施例1〜3の液状感光性接着剤、比較例1〜2の回路部材接続用接着剤、及び比較例3の樹脂ペーストについて、下記の方法にしたがって粘度、光照射後のタック、光照射後の5%重量減少温度、接着剤層形成時のバンプボイド、研削後の反り、可視光透過性、及び接続性を評価した。結果を表1及び2に示す。
<粘度>
実施例1〜3の液状感光性接着剤及び比較例3の樹脂ペーストについて、東京計器製造所製のEHD型回転粘度計を用い、サンプル量0.4mL、3°コーンの条件下、25℃における粘度を測定した。
<光照射後のタック(表面タック力)>
実施例1〜3の液状感光性接着剤をそれぞれ、金属バンプが形成されたシリコンウェハの回路面上にBステージ化後の膜厚が35μmとなるようにスピンコート塗布した。得られた塗膜に、25℃、空気下で高精度平行露光機(オーク製作所製、「EXM−1172−B−∞」(製品名))により1000mJ/cm2で露光を行なった。その後、レスカ社製のプローブタッキング試験機を用いて、プローブ直径:5.1mm、引き剥がし速度:10mm/s、接触荷重:100gf/cm2、接触時間:1sにより、25℃での接着剤層表面のタック強度を5回測定し、その平均値を算出し、200gf以下であったものをA、200gfを上回ったものをBとした。
<光照射後の5%重量減少温度>
実施例1〜3の液状感光性接着剤をそれぞれ、金属バンプが形成されたシリコンウェハの回路面上にBステージ化後の膜厚が35μmとなるようにスピンコート塗布した。得られた塗膜に、25℃、空気下で高精度平行露光機により1000mJ/cm2で露光を行なった。その後、得られた接着剤を示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製、製品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/分)下で5%重量減少温度を測定した。
なお、評価に用いた上記のシリコンウェハは、ウェハ上に銅バンプが形成され、さらにその上にハンダボールが載っている構成を有する突起電極付ウェハである。具体的には、8インチサイズ(厚み:725μm)で、銅ピラー先端に鉛フリーはんだ層(Sn−3.5Ag:融点221℃)を有する構造のバンプが形成された、日立超LSIシステムズ製、JTEG PHASE11_80(サイズ7.3mm×7.3mm、バンプピッチ80μm、銅バンプ20μm、鉛フリーはんだ20μm、バンプ数328、厚み0.55mm、製品名)を用いた。
<接着剤層形成時のボイド>
実施例1〜3については、接着剤を、上記のシリコンウェハの回路面上に膜厚が35μmになるようにスピンコートし、25℃、空気下で高精度平行露光機(オーク製作所製、「EXM−1172−B−∞」(製品名))により1000mJ/cm2で露光を行なった。比較例1では、回路部材接続用接着剤を上記のシリコンウェハの回路面上に、ラミネーターを用いて、80℃、線圧1.0kgf/cm、送り速度0.5mm/分で貼りつけた。比較例2では、回路部材接続用接着剤を上記のシリコンウェハの回路面上に、真空ラミネーター(ニチゴーモートン(株)社製、製品名:V130)を用いて、ステージ温度40℃、ダイヤフラム温度80℃、脱気時間20秒、加圧時間20秒、加圧0.5MPaの条件で貼りつけた。比較例3では、樹脂ペーストを、上記のシリコンウェハの回路面上に加熱乾燥後の膜厚が35μmとなるようにスピンコートし、70℃のホットプレートで10分間乾燥させた。
接着剤層を形成した突起電極周辺のボイドについて、目視及び顕微鏡にて確認し、下記の判定基準で評価した。
A:バンプ周りにボイドが無い。
B:バンプ周りに少量のボイドが存在している。
C:バンプ周りに多量のボイドが存在している。
<研削後の反り>
6インチウエハ(厚み625μm)上へ上記と同様にして接着剤層を形成したウェハに、下記のバックグラインドテープAを貼り、バックグラインダー((株)ディスコ社製、製品名:DBG8540)にて厚さ50μmまで研削した。研削後のウェハを平坦な台に置き、ウェハの一番反っている高さを計測し、下記の判定基準で評価した。
A:ウェハの反りが10mm未満であった。
B:ウェハの反りが10mm以上であった。
(バックグラインドテープA)
主モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタクリレートを用い官能基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレートとアクリル酸を用いたアクリル共重合体を溶液重合法にて得た。この合成したアクリル共重合体の重量平均分子量は40万、ガラス転移点は−38℃であった。このアクリル共重合体100質量部に対し、多官能イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)社製、製品名:コロネートHL)を10質量部配合した粘着剤溶液を調整し、ポリオレフィンフィルム(厚さ150μm)の上に乾燥時の粘着剤厚さが10μmになるよう塗工乾燥した。更に、シリコーン系離型剤を塗布した二軸延伸ポリエステルフィルムセパレータ(厚さ25μm)を粘着剤面にラミネートした。この粘着フィルムを、室温で1週間放置し十分にエージングを行った。これをバックグラインドテープAとして試験に使用した。
<可視光透過性>
実施例1〜3の液状感光性接着剤をそれぞれ、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に膜厚35μmとなるように塗布し、この塗膜に、25℃、空気下で高精度平行露光機によって1000mJ/cm2で露光して測定用フィルムを得た。得られた測定用フィルムをPETからはく離し、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:U−3310)を用いて555nmの透過率を測定した。透過率が10%以上であるものをA、10%を下回るものをBとした。
比較例1〜2の回路部材接続用接着剤については、支持基材をはく離して上記と同様に可視光透過性を評価した。比較例3の樹脂ペーストについては、樹脂ペーストを、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に膜厚35μmとなるように塗布し、70℃のホットプレートで10分間乾燥させて測定用フィルムを得た。得られた測定用フィルムをPETからはく離し、上記と同様に可視光透過性を評価した。
<接続性>
半導体素子搭載用支持部材として、プリフラックス処理によって防錆皮膜が形成された銅配線パターンを表面に有するガラスエポキシ基板のパターン表面にSR−AUS308を塗布したものを準備した。
実施例1〜3及び比較例3では、「接着剤層形成時のボイド」の評価と同様にして接着剤層付きウェハを作製し、これをダイシングラインに従い7.3mm×7.3mmにダイシングして接着剤層付き半導体チップを得た。次に、第一工程として、接続部の温度が固形フラックス剤の融点以上でかつ鉛フリーはんだの融点より低い180℃となるようにフリップチップボンダー(パナソニックファクトリーソリューションズ(株)社製、製品名:FCB3)のヘッド温度を設定し(ステージ温度:40℃)、上記半導体素子搭載用支持部材と接着剤層付き半導体チップとを、荷重25N、10秒間圧着した。次に、第二工程として、接続部の温度が鉛フリーはんだの融点より高い250℃となるようにフリップチップボンダーのヘッド温度を設定し、荷重25N、10秒間圧着を行い、サンプルを作製した。なお、接続部の温度は、K型熱電対を半導体チップと基板の間に挟んだものを別途作製して測定した。
比較例1及び2では、回路部材接続用接着剤を9mm×9mmに切り出し、上記半導体素子搭載用支持部材の半導体チップが搭載される領域に80℃/0.5MPa/5秒の条件で貼り付けた後、支持体フィルムを剥離した。回路部材接続用接着剤が貼り付けられた基板と、半導体チップとを、フリップチップボンダーにて、荷重25N、温度100℃にて5秒間圧着し、半導体チップを基板上に仮固定した。次いで、上記の第一工程及び第二工程と同様の操作を行い、サンプルを作製した。
圧着後のサンプルについて、328バンプのデイジーチェーン接続による導通を確認し、下記の判定基準で接続性を評価した。
A:導通が確認された。
B:導通不良の箇所が存在した。