JP5957794B2 - 積層シート及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層シート及びそれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高機能化の進展に伴って、半導体装置に対して小型化、薄型化及び電気特性の向上(高周波伝送への対応など)が求められている。これに伴い、従来のワイヤーボンディングで半導体チップを基板に実装する方式から、半導体チップにバンプと呼ばれる導電性の突起電極を形成して基板電極と直接接続するフリップチップ接続方式への移行が始まっている。
半導体チップに形成されるバンプとしては、はんだや金で構成されたバンプが用いられているが、近年の微細接続化に対応するために、銅バンプの先端にはんだが形成された構造のバンプが用いられるようになってきている。
また、高信頼性化のために、金属接合による接続が求められており、はんだバンプを用いたC4接続や銅バンプの先端にはんだが形成された構造のバンプによるはんだ接合だけでなく、金バンプを用いた場合でも、基板電極側にはんだを形成して、金−はんだ接合させる接続方法が採用されている。
さらに、フリップチップ接続方式では半導体チップと基板の熱膨張係数差に由来する熱応力が接続部に集中して接続部を破壊するおそれがあることから、この熱応力を分散して接続信頼性を高めるために、半導体チップと基板の間の空隙を樹脂で封止充てんする必要がある。一般に、樹脂の封止充てんは、半導体チップと基板をはんだなどを用いて接続した後、空隙に液状封止樹脂を毛細管現象を利用して注入する方式が採用されている。
チップと基板を接続する際には、はんだ表面の酸化膜を還元除去して金属接合を容易にするために、ロジンや有機酸などからなるフラックスが一般的に用いられている。ここで、フラックスの残渣が残ると、液状封止樹脂を注入した場合にボイドと呼ばれる気泡発生の原因になったり、酸成分によって配線の腐食が発生し、接続信頼性が低下することから、残渣を洗浄する工程が必須であった。しかし、接続ピッチの狭ピッチ化に伴い、半導体チップと基板との間の空隙が狭くなっているため、フラックス残渣の洗浄が困難になる場合があった。さらに、半導体チップと基板との間の狭い空隙に液状封止樹脂を注入するのに長時間を要して生産性が低下するという課題があった。
このような液状封止樹脂の課題を解決するために、はんだ表面の酸化膜を還元除去する性質(フラックス活性)を備えた封止樹脂を用いて、封止樹脂を基板に供給した後、半導体チップと基板とを接続するのと同時に、半導体チップと基板の間の空隙を樹脂で封止充てんし、フラックス残渣の洗浄を省略することが可能となる先供給方式と呼ばれる接続方法及び先供給方式に対応した封止樹脂が提案されている(特許文献1参照)。
フラックス活性を備えた樹脂組成物としては、以下のものが開示されている。例えば、フラックス性能及び良好なポットライフ特性を兼ね備える液状エポキシ樹脂組成物(特許文献2参照)、フラックス活性を有するそれぞれ異なる第一の硬化剤と、第二の硬化剤とを含む液状樹脂組成物(特許文献3参照)又はエポキシ樹脂および硬化剤と共に、無機充填材を含む樹脂組成物(特許文献4参照)である。一方で、半導体製造時の取扱い性を向上させるため、樹脂組成物をフィルム化する方法も提案されている。この場合、半導体ウェハに当該フィルムをラミネートした後、半導体ウェハと共に当該フィルムをダイシングすることで個片化し、樹脂層付き半導体チップを回路基板に実装する。
特開2007−107006号公報 特開2007−284471号公報 特開2007−326941号公報 特開2009−203292号公報
しかしながら、先供給方式では、半導体チップと回路基板とを接続する直前に半導体チップ又は基板にペースト状やフィルム状の封止充てん用の樹脂が供給されるため、半導体ウェハの回路面が剥き出しになったままにダイシングが行われることが多い。このため、ダイシング時に発生する切りくず等により回路が損傷して半導体チップと回路基板との接続信頼性が悪化し、半導体製造の歩留りの低下させる問題がある。一方、フィルム方式では、半導体ウェハの回路面に樹脂層をラミネートした後ダイシングするものの、ダイシング時に発生する切りくずや樹脂くずが樹脂層に付着する。このため、半導体チップと回路基板とがはく離したり、マイグレーションが発生したりして信頼性の低下につながっている。特に、薄型の半導体ウェハをダイシングする場合、レーザーダイシングを用いて樹脂層と半導体ウェハを同時に切断するために、樹脂層の表面がレーザーによる切断時に飛び散った樹脂くずによって汚染される恐れがあった。
加えて、上述した先供給方式のいずれの場合も、半導体チップと回路基板とを接続する際に、樹脂層が半導体チップの突出電極を完全に覆っている。このため、接続前に絶縁物である樹脂を機械的に除去するか、若しくは接続時に接合部を高圧力で圧着しない限り、接続部の樹脂の噛みこみによる信頼性低下が生じる。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、上述した問題を改善し、半導体チップと回路基板との接続信頼性を十分に確保できる積層シート、及びこれを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基材フィルムと、該基材フィルム上に積層された2層以上の樹脂層と、を備える積層シートであって、上記2層以上の樹脂層のうち、基材フィルムに最も近い第一樹脂層の方が、基材フィルムから最も遠い第二樹脂層よりもアルカリ現像液又は有機溶剤に対する溶解速度が速く、少なくとも第二樹脂層が、接着性を有する層である、積層シートを提供する。
上記積層シートを用いて半導体装置を製造した場合、半導体ウェハに積層シートを貼り付けた状態でダイシングできるため、半導体ウェハの回路面を保護しながらダイシングが可能である。また、第一樹脂層の方が、第二樹脂層よりもアルカリ現像液又は有機溶剤に対する溶解速度が速いため、第二樹脂層側から半導体ウェハに積層シートを貼り付けた状態でダイシングした後にアルカリ現像液又は有機溶剤を用いて現像を行うことにより、第二樹脂層を残して第一樹脂層のみを除去する等、樹脂層の一部のみを除去することができる。このため、半導体ウェハのダイシング時に発生する切りくずや樹脂くずを簡易に除去することができる。更に、上述したように樹脂層の一部を除去することにより、半導体チップと回路基板とを接続する際に、接続部の樹脂の噛みこみによる接続信頼性の悪化を抑えることができる。したがって、上記積層シートによれば、半導体装置の製造に使用した場合に半導体チップと回路基板との接続信頼性を十分に確保することができる。
また、第二樹脂層の方が、第一樹脂層よりも流動性が高いことが好ましい。半導体ウェハに貼り付ける第二樹脂層の方が第一樹脂層よりも流動性が高いことにより、半導体装置の製造時に、第二樹脂層が突起電極間の隙間を埋め易く、半導体チップと回路基板との接続信頼性が良好となる。加えて、第一樹脂層の流動性が第二樹脂層よりも低いことで、積層シートはフィルム形状を維持し易く、積層シートの貼付工程において積層シートを取り扱い易い。
本発明はまた、積層シートの第二樹脂層側に半導体ウェハ又は基板を貼り付けた状態で、半導体ウェハをダイシングするダイシング工程と、ダイシング工程の後、積層シートにおける2層以上の樹脂層の一部をアルカリ現像液又は有機溶剤を用いた現像により除去する現像工程と、を含む、半導体装置の製造方法を提供する。
このような製造方法では、半導体ウェハに積層シートを貼り付けた状態でダイシングできるため、半導体ウェハの回路面を保護しながらダイシングが可能である。また、第一樹脂層の方が、半導体ウェハに貼り付ける第二樹脂層よりもアルカリ現像液又は有機溶剤に対する溶解速度が速いため、上記現像工程により、第二樹脂層を残して第一樹脂層のみを除去する等樹脂層の一部のみを除去することができる。このため、半導体ウェハのダイシング時に発生する切りくずや樹脂くずを簡易に除去することができる。更に、上述したように樹脂層の一部を除去することにより、半導体チップと回路基板とを接続する際に、接続部の樹脂の噛みこみによる接続信頼性の悪化を抑えることができる。したがって、上記製造方法によれば、半導体チップと回路基板との接続信頼性が十分に確保された半導体装置を製造することができる。
また、本発明の半導体装置の製造において、半導体ウェハに突起電極が形成されており、現工程により除去する樹脂層の厚さを除いた残りの樹脂層の厚さが、突起電極の高さ以下であることが好ましい。この場合、現像工程後に突起電極を樹脂層から露出させることができる。そのため、半導体チップと回路基板とを電気的に接続する際に、樹脂の噛み込みがなく、接合部を高圧力で圧着させなくとも両者間の接続信頼性を確保できる。
本発明によれば、半導体チップと回路基板との接続信頼性を十分に確保できる積層シート、及びこれを用いた半導体装置の製造方法を提供できる。
本発明に係る積層シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法における積層シートの樹脂層の厚さを説明するための模式断面図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施形態を示す図である。 実施例において現像前後の樹脂層表面を撮影したSEM像である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(積層シート)
図1は、本発明に係る積層シート10の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、積層シート10は、基材フィルム1上に、樹脂層2が積層された構成を有しており、樹脂層2は、基材フィルム1に最も近い第一樹脂層2aと基材フィルム1から最も遠い第二樹脂層2bが積層されている。後述するように、積層シート10は、半導体装置を製造する際に、突出電極を備えた半導体ウェハに貼り付けることを想定している。この際、積層シート10の第二樹脂層2b側の面F1が半導体ウェハの突出電極がある回路面と接するように貼り付けられる。このため、第二樹脂層2bは接着性を有する層である。なお、本明細書において、単に「樹脂層2」との記載は、第一樹脂層2aと第二樹脂層2bとを含めた層を指すものとする。
第一樹脂層2aは、第二樹脂層2bよりもアルカリ現像液又は有機溶剤に対する溶解速度が速い。第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bの溶解速度は特に限定されるものではないが、第一樹脂層2aの溶解速度が第二樹脂層2bの溶解速度の2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。溶解速度が上記条件である積層シート10を用いて半導体装置の製造した場合、現像工程において短時間で第一樹脂層2aを除去することが可能となる。このため、切りくずや樹脂くずを更に効率的に除去することが可能となる。
溶解速度とは、使用するアルカリ現像液又は有機溶剤に対して溶解する速度のことを示しており、例えば、以下のように測定される。10mm×10mm×0.05mm(縦×横×厚さ)の単層の樹脂層を用意し、この単層の樹脂層をアルカリ現像液又は有機溶剤を満たしたサンプル瓶に全体が沈むように入れ、完全に溶解するまでの時間を測定する。本明細書においては、当該測定時間を「溶解速度」と呼び、この測定時間が短いほど溶解速度が速いことを意味する。すなわち、第一樹脂層2aの溶解速度が第二樹脂層2bの溶解速度の2倍以上である、及び4倍以上であるとは、測定時間が1/2倍以下である、及び1/4倍以下であることを意味する。
積層シート10は、第二樹脂層2bの方が、第一樹脂層2aよりも流動性が高いことが好ましい。また、突起電極間の隙間をより埋め易くする観点から、各層の流動性を示す流動値は、第二樹脂層2bが第一樹脂層2aの1.1倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることが更に好ましく、2倍以上であることが最も好ましい。
流動値は以下のように定義する。それぞれ単層の樹脂層のフィルムを10mm×10mm×0.05mm(縦×横×厚さ)で切り出し、20mm×20mm×0.14mm(縦×横×厚さ)のガラスチップに挟み込んで温度T(ラミネート温度)で5kg/10sの圧力と時間をかけ、各辺の最も流れ出した部分の流れ出した距離を測定し、その平均値を算出する。本明細書においては、この平均距離を「流動値」と呼び、この値が大きいほど流動値が高いことを意味する。
第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bの各層の厚さは特に限定されるものではないが、取扱い性の観点から、各層とも通常5μm〜200μmが好ましく、半導体チップを実装する回路基板などの埋め込み性を確保する観点から、20μm〜150μmがより好ましい。
第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bは、樹脂組成物を用いて形成することができる。以下、第一樹脂層2a、第二樹脂層2bを形成するための樹脂組成物について説明する。樹脂組成物は、少なくとも(A)有機溶剤又はアルカリ性水溶液に可溶な熱可塑性樹脂を含有する。(A)熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、これらの共重合体、これらの前駆体(ポリアミド酸等)の他、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、重量平均分子量が10,000〜1,000,000の(メタ)アクリル共重合体、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂の主鎖及び/又は側鎖に、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール基、カルボキシル基及び/又は水酸基が付与されたものであってもよい。
また、溶解性及び流動性の調整、並びに、接続信頼性向上のため、これらの樹脂に適宜(B)熱硬化性樹脂や(C)光硬化性樹脂、(D)光開始剤、(E)フラックス剤(F)フィラーなどを適宜加えてもかまわない。
(B)熱硬化性樹脂としては特に制限はないが、本実施形態において熱硬化性成分とは、熱により架橋反応を起こしうる反応性化合物から構成される成分である。このような化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含有する樹脂、トリアリルトリメリタートを含有する樹脂、シクロペンタジエンから合成された熱硬化性樹脂、芳香族ジシアナミドの三量化による熱硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、高温において優れた接着力を持たせることができる点で、エポキシ樹脂、シアネート樹脂またはビスマレイミド樹脂が好ましく、作業性、生産性の点からエポキシ樹脂が特に好ましい。これら熱硬化性樹脂は単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記エポキシ樹脂としては、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を含むものがより好ましく、硬化性や硬化物特性の点から、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が特に好ましい。このような樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型(又はAD型、S型、F型)のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルアミン、ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのエポキシ樹脂には、不純物イオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、特に塩素イオンや加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロマイグレーション防止や金属導体回路の腐食防止のために好ましい。
(B)熱硬化性樹脂を用いる場合、これを硬化させるために、硬化剤、硬化促進剤、触媒等の添加剤を樹脂組成物に適宜加えることができる。触媒を添加する場合は助触媒を必要に応じて使用することができる。
また、(B)熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、熱硬化性成分は、エポキシ樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤を含むことが好ましい。硬化剤及び/又は硬化促進剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物等が挙げられる。
(C)光硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和基としてはビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリル基などが挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリル基が好ましい。
このような(メタ)アクリル基を用いた場合、パターン形成性と低温熱圧着性の観点から、(C1)単官能(メタ)アクリレートと(C2)多官能(メタ)アクリレートを組合せて使用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートは、熱圧着時のボイド発生を低減すると共に、加熱時のアウトガスを抑制することができるため、5%質量減少温度が100℃以上であり、1分子中にイミド基又は芳香族環を含有するものを使用することが好ましい。
(C)光硬化性樹脂の全含有量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して0〜300質量部であることが好ましく、10〜250質量部であることがより好ましい。この含有量が300質量部を超えると、重合により熱溶融時の流動性が低下し、熱圧着時の接着性が低下する傾向にある。
(D)光開始剤としては、放射線照射によって遊離ラジカルを生成する光ラジカル開始剤、放射線照射によって塩基を発生する光塩基発生剤、放射線照射によって酸を発生する光酸発生剤等が挙げられる。(D)光開始剤としては、感度を良くするために、300〜500nmにおいて吸収帯を有するものが好ましく、波長365nmの光に対する分子吸光係数が1000ml/g・cm以上であることがさらに好ましい。また、アウトガス低減及び高温接着性向上の点で、5%質量減少温度が150℃以上である(D)光開始剤を用いることが好ましい。なお、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−3310」(商品名))を用いて吸光度を測定することにより求められる。
(D)光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂組成物には、適宜(E)フラックス剤を加えることが好ましい。この場合、半導体チップと回路基板とをはんだ等を用いて接続した場合、はんだ表面の酸化膜を還元除去できるため、上記接続が容易となる。
(E)フラックス剤としてはアルコール類、フェノール類、カルボン酸類の中から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが望ましい。
上記アルコール類としては、分子内に少なくとも2個以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1,5−ペンタンジオール、2,5−フランジメタノール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、リビトール、ソルビトール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、N−ブチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)イソプロパノールアミン、ビス(2−ヒドロキシメチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,1’,1’’,1’’’−(エチレンジニトリロ)テトラキス(2−プロパノール)などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール類としては、少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシハイドロキノン、ピロガロール、メチリデンビフェノール(ビスフェノールF)、イソプロピリデンビフェノール(ビスフェノールA)、エチリデンビフェノール(ビスフェノールAD)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ポリp−ビニルフェノールなどが挙げられる。さらに、少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物として、フェノール性水酸基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物から選ばれる少なくとも1種類以上の化合物、及び、ハロメチル基、アルコキシメチル基またはヒドロキシルメチル基を分子内に2個有する芳香族化合物、ジビニルベンゼン及びアルデヒド類から選ばれる少なくとも1種類以上の化合物との重縮合物も用いることができる。
フェノール性水酸基を分子内に少なくとも1個以上有する化合物としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール、ナフトール、クレゾール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシハイドロキノン、ピロガロール、メチリデンビフェノール(ビスフェノールF)、イソプロピリデンビフェノール(ビスフェノールA)、エチリデンビフェノール(ビスフェノールAD)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ポリp−ビニルフェノールなどが挙げられる。
また、ハロメチル基、アルコキシメチル基またはヒドロキシルメチル基を分子内に2個有する芳香族化合物としては、例えば、1,2−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニルなどが挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド(その水溶液としてホルマリン)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。
重縮合物としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドの重縮合物であるフェノールノボラック樹脂、クレゾールとホルムアルデヒドとの重縮合物であるクレゾールノボラック樹脂、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合物であるナフトールノボラック樹脂、フェノールと1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼンとの重縮合物であるフェノールアラルキル樹脂、ビスフェノールAとホルムアルデヒドの重縮合物、フェノールとジビニルベンゼンとの重縮合物、クレゾールとナフトールとホルムアルデヒドの重縮合物などが挙げられ、これらの重縮合物をゴム変性したものや分子骨格内にアミノトリアジン骨格やジシクロペンタジエン骨格を導入したものでもよい。また、これらの化合物の性状としては、室温において固体状でも液状でも構わないが、金属表面の酸化膜を均一に還元除去し、はんだの濡れ性を阻害しないために、液状のものを用いることが望ましく、例えば、これらのフェノール性水酸基を有する化合物をアリル化することによって液状したものとして、アリル化フェノールノボラック樹脂、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビフェノールなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カルボン酸類としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸のいずれであってもよく、25℃で固体状のものが好ましい。脂肪族カルボン酸としては、例えば、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、アリルマロン酸、2,2’−チオジ酢酸、3,3’−チオジプロピオン酸、2,2’−(エチレンジチオ)ジ酢酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、ジチオジグリコール酸、ジグリコール酸、アセチレンジカルボン酸、マレイン酸、リンゴ酸、2−イソプロピルリンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、1,3−アセトンジカルボン酸、トリカルバリン酸、ムコン酸、β−ヒドロムコン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、グルタル酸、α−ケトグルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、クエン酸、アジピン酸、3−tert−ブチルアジピン酸、ピメリン酸、フェニルシュウ酸、フェニル酢酸、ニトロフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、ニトロフェノキシ酢酸、フェニルチオ酢酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、マンデル酸、ヒドロキシマンデル酸、ジヒドロキシマンデル酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、4,4’−ジチオジ酪酸、けい皮酸、ニトロけい皮酸、ヒドロキシけい皮酸、ジヒドロキシけい皮酸、クマリン酸、フェニルピルビン酸、ヒドロキシフェニルピルビン酸、カフェ酸、ホモフタル酸、トリル酢酸、フェノキシプロピオン酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ベンジルオキシ酢酸、フェニル乳酸、トロパ酸、3−(フェニルスルホニル)プロピオン酸、3,3−テトラメチレングルタル酸、5-オキソアゼライン酸、アゼライン酸、フェニルコハク酸、1,2−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジ酢酸、ベンジルマロン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ウンデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、ジシクロヘキシル酢酸、テトラデカン二酸、2,2−ジフェニルプロピオン酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、4,4-ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ピマール酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、アガト酸などが挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2-ナフトエ酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−フェノキシ安息香酸、ビフェニル−4−カルボン酸、ビフェニル−2−カルボン酸、2−ベンゾイル安息香酸などが挙げられる。これらの中でも、保存安定性や入手容易さの観点から、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、アジピン酸、3,3’−チオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、セバシン酸、フェニルコハク酸、ドデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、アビエチン酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸などを用いることが望ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら(E)フラックス剤の配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部であり、さらに好ましいのは1〜10質量部である。配合量が0.1より少ない場合には、はんだ表面の酸化膜除去効果が十分に発現せずに接続不良を起こす恐れがある。一方、15質量部を超える場合には、(E)フラックス剤がボイドの原因となる可能性がある。
さらに、樹脂組成物は、粘度調整や硬化物の物性制御のために(F)フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては有機フィラー、無機フィラーのいずれでも構わないが、特に半導体封止充てん用樹脂組成物として使用する場合、低熱膨張化を図るために無機フィラーを含んでいることが望ましい。
無機フィラーとしては、例えば、ガラス、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、カーボンブラック、マイカ、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用してもよい。また、2種類以上の金属酸化物を含む複合酸化物(2種類以上の金属酸化物が単に混合されてなるものではなく、金属酸化物同士が化学的に結合して分離不能な状態となっているもの)であってもよく、例えば、二酸化ケイ素と酸化チタン、二酸化ケイ素と酸化アルミニウム、酸化ホウ素と酸化アルミニウム、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムと酸化マグネシウムなどからなる複合酸化物が挙げられる。
(F)フィラーの形状は破砕状、針状、リン片状、球状と特に限定されないが、分散性や粘度制御の観点から、球状のものを用いることが好ましい。また、フィラーのサイズは、フリップチップ接続した際の半導体チップと基板の間の空隙よりも平均粒径が小さいものであればよいが、充てん密度や粘度制御の観点から、平均粒径10μm以下のものが好ましく、5μm以下のものがより好ましく、3μm以下のものが特に好ましい。さらに、粘度や硬化物の物性を調整するために、粒径の異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
(F)フィラーの配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、300質量部以下とすることが望ましく、200質量部以下とすることがより望ましい。この配合量が300質量部より多いと、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、流動性が低下するため、接続不良が起きるおそれがある。
樹脂組成物には更に、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸化防止剤、レベリング剤、イオントラップ剤などの添加剤を配合してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。配合量については、各添加剤の効果が発現するように調整すればよい。
樹脂組成物は、上述した各成分をプラネタリミキサ、らいかい機、ビーズミルなどを用いて攪拌混合することによって作製することができる。また、(F)フィラーを配合する場合、3本ロールを用いて混練し、(F)フィラーを樹脂組成物中に分散させることが好ましい。
さらに室温においてフィルム状とする場合、上記樹脂組成物に更にトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒を含有させ、プラネタリミキサやビーズミルを用いて混合することによってワニスを作製し、そのワニスを、ナイフコーターやロールコータを用いて、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート樹脂などのフィルム基材上に塗布した後、有機溶媒を乾燥除去することによってフィルム状の樹脂層を製造することができる。
第一樹脂層2aと第二樹脂層2bとのアルカリ現像液又は有機剤に対する溶解速度及び流動性は、各層を形成する樹脂組成物の成分やその含有量を変化させることで調整できる。第二樹脂層2bの溶解速度よりも第一樹脂層2aの溶解速度を高くするためには、(A)熱可塑性樹脂の主鎖及び/又は側鎖に付与するカルボキシル基の濃度を高くしたり、(A)熱可塑性樹脂の平均分子量を低くしたりすればよい。また、第二樹脂層2bの溶解速度を第一樹脂層2aの溶解速度よりも遅くさせるためには、第二樹脂層2bに(C)光硬化性樹脂を加え、半導体ウェハ3に積層シート10をラミネートした後に露光して第二樹脂層2bを光硬化させればよい。さらに、第二樹脂層2bに接着性を持たせるためには、第二樹脂層2bの樹脂組成物に(B)熱硬化性樹脂を含有させることが必要である。より信頼性を向上させるためには、(B)熱硬化性樹脂に加えて、(F)フィラーを含有させることが好ましい。
第一樹脂層2aは、現像によりその一部又は全部が除去される層であり、接着性を有していても良く、有していなくても良い。第一樹脂層2aに接着性を持たせる場合、上述した第二樹脂層2bと同様の成分を含有させる。一方、第一樹脂層2aに接着性を持たせない場合、第一樹脂層2aは(A)熱可塑性樹脂のみ又は(A)熱可塑性樹脂と(F)フィラーのみで構成しても良い。
積層シート10を製造する方法としては、基材フィルム1上に第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bを順次塗布して製造する方法、又は、第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bをそれぞれフィルム状としたものを張り合わせて製造する方法が挙げられる。
第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bを順次塗布する場合は、同時塗工(多層塗工)又は逐次塗工で行うことができる。例えば、(i)基材フィルム1上に第一樹脂層2aを積層した後、続いて、第二樹脂層2bを積層する方法、(ii)基材フィルム1上に第一樹脂層2aと第二樹脂層2bとを同時に積層する方法、等が挙げられ、作業性の観点からは、(ii)の方法が好ましい。なお、上記塗工は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。
第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bをそれぞれフィルム状としたものを張り合わせる方法は、以下のような手順で行われる。まず、第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bの樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散してワニスとし、これを別の基材フィルム1上にそれぞれ塗布した後、加熱により溶剤を除去する。次いで、各樹脂組成物が塗布された基材フィルムを、第一樹脂層2aと、第二樹脂層2bとが接触する状態で重ねながら加熱圧着することで層状フィルムを形成する。その後、層状フィルムの第二樹脂層2b側の基材フィルム1を剥離することによって積層シート10を得ることができる。
基材フィルム1の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、離型紙、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔が挙げられる。これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。基材フィルム1にはマット処理、コロナ処理、離型処理を施してもよい。
積層シート10は、例えば、円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵されることが好ましい。また、積層シート10を巻芯に巻き取る際、基材フィルム1が1番外側になるように巻き取ることが好ましい。ロール状の感光性フィルムの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。
(半導体装置の製造方法)
次に、積層シート10を用いて半導体装置を製造する方法について説明する。
図2〜4及び図6,7は、本発明に係る半導体装置の製造方法の好適な一実施形態を示す図である。また、図5は、本発明に係る半導体装置の製造方法における積層シート10の樹脂層2の厚さを説明するための模式断面図である。本実施形態に係る製造方法は、主に以下の工程から構成される。
工程1(図2,図3):半導体ウェハ3の回路面S1上に積層シート10をラミネートした後、基材フィルム1をはく離して積層体30を得る。
工程2(図4):半導体ウェハ3の裏面S2側に粘着テープ4を貼り付けた後、半導体ウェハ3をダイシングにより複数の半導体チップ12に切り分ける。
工程3(図5):樹脂層2の一部をアルカリ現像液又は有機溶剤を用いた現像により除去する。
工程4(図6,7):半導体チップ12をピックアップして半導体素子搭載用の支持部材15に圧着(マウント)する。以下、各図面を参照しながら、各工程について説明する。
(a)工程1(図2,図3)
図2に示すように、半導体ウェハ3を回路パターンが設けられている側(回路面)S1を上にしてラミネータRに配置した後、半導体ウェハ3の回路面S1と積層シート10の第二樹脂層2b側の面F1とが接するように半導体ウェハ3に積層シート10を貼り付ける。その後、基材フィルム1をはく離することにより、樹脂層2/半導体ウェハ3が積層された積層体30を得る(図3を参照)。半導体ウェハ3の回路面S1には、突出電極(図示せず)が設けられている。
ここで突出電極としては、はんだバンプ、めっきや蒸着や金属ワイヤを用いて形成される金バンプ、銅バンプ、ニッケルバンプ、又は、銅ピラーの先端にはんだ又はスズ層が形成された構造のバンプ等が挙げられる。また、樹脂によって形成された導電樹脂バンプや樹脂をコアとし表面に金属を蒸着した樹脂コアバンプでもよい。突出した回路電極は単一の金属で構成されている必要はなく、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、ビスマス等複数の金属成分を含んでいてもよいし、これらの金属層が積層された形をしていてもよい。
工程1におけるラミネート条件は、例えば、真空ラミネータを用いる場合、チャンバ内圧力/温度が100Paから1000Pa/20℃から100℃の範囲で条件を決め、加圧ラミネートでは温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分であることが好ましい。上記条件で半導体ウェハ3と樹脂層2とをラミネートする場合、半導体ウェハ3の回路面S1の凹部への埋め込み性が向上し、ボイドの発生を抑制できる。
(b)工程2(図4)
先ず、半導体ウェハ3の裏面S2側にダイシングテープなどのはく離可能な粘着テープ4を貼り付ける。粘着テープ4は、予めフィルム状に成形された粘着テープをラミネートする方法により貼り付けることができる。次いで、図4に示すように、ダイシングラインDに沿って半導体ウェハ3を樹脂層2とともに切断する。このダイシングにより、半導体ウェハ3が、それぞれの回路面S1に樹脂層2が設けられた複数の半導体チップ12に切り分けられる。ダイシングは、粘着テープ(ダイシングテープ)4によって全体をフレーム(ウェハリング)5に固定した状態でダイシングブレード6を用いて行われる。
(c)工程3(図5)
ダイシング後、樹脂層2の一部をアルカリ現像液又は有機溶剤を用いた現像により除去する。ここで、樹脂層2の厚さについて説明する。図5は、樹脂層2の厚さを説明するための模式断面図である。図5(a)が半導体ウェハ3の回路面S1に樹脂層2を貼り付けた後、樹脂層2の一部を現像により除去する前(現像前)の状態の模式断面図であり、(b)が樹脂層2の一部を現像により除去した後(現像後)の状態の模式断面図である。
積層シート10を用いて半導体装置を製造する場合、半導体ウェハ3としては、突起電極13を備えた半導体ウェハ3を用いる。例えば、図5に示すように、半導体ウェハ3の回路面S1の回路パターン7上にある端子8の表面に突起電極13を備えたものを使用することができる。突起電極13は、端子8と直接接続しているピラー電極9と、ピラー電極9の先端に設けられたはんだボール11とからなる。半導体製造時に積層シート10を半導体ウェハ3の回路面S1に貼り付ける際には、図5(a)に示すように、半導体ウェハ3の突起電極13の高さをHとした場合、現像前の樹脂層2の厚さAは突起電極13の高さH以上であることが好ましい。この場合、半導体ウェハ3をダイシングする際に突起電極13が樹脂層2に覆われているため、ダイシング時に発生する切りくずなどにより突起電極13が損傷することを回避できる。また、図5(b)に示すように、現像後の樹脂層20の厚さBは突起電極13の高さH以下であることが好ましい。この場合、現像後に突起電極13を樹脂層20から露出させることができるため、半導体チップ12と回路基板とを電気的に接続する際に、樹脂の噛み込みがなく、接合部を高圧力で圧着させなくとも、両者間の接続信頼性を確保できる。
現像により、通常、溶解速度の速い第一樹脂層2aが除去され、第二樹脂層2bが残る。なお、第一樹脂層2aの一部が残っても良いし、第二樹脂層2bの一部が除去されてもよい。この場合でも、樹脂層2の一部が除去されているため、半導体チップ12と基板とを接続する際に、接続部の樹脂の噛みこみによる接続信頼性の悪化をおさえることができる。したがって、半導体チップ12と回路基板との接続信頼性が十分確保された半導体装置を製造することができる。
(d)工程4(図6、7)
現像後、切り分けられた半導体チップ12を、ダイボンド装置50によって樹脂層20とともにピックアップし(図6)、半導体チップ12を上下反転させてから、熱盤14上に配置された半導体装置用の基板(半導体素子搭載用支持部材)15に圧着(マウント)することで半導体装置60が得られる(図7)。圧着は加熱しながら行なうことが好ましい。
圧着により、半導体チップ12が基板15又は他の半導体チップに接着される。半導体チップ12と基板15又は他の半導体チップとの260℃におけるせん断接着強度は、0.2MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることがより好ましい。せん断接着強度が0.2MPa未満であると、リフロー工程などの熱履歴によってはく離が生じ易くなる傾向がある。
ここでのせん断接着強度は、せん断接着力試験機「Dage−4000」(商品名)を用いて測定することができる。より具体的には、例えば以下のような方法で測定される。まず、表面に接着剤層となる樹脂層を形成した半導体ウェハ3の全面を露光した後、3×3mm角の半導体チップを切り出す。切り出された接着剤層付きの半導体チップを、予め準備した5×5mm角の半導体チップに載せ、100gfで加圧しながら、120℃で2秒間圧着する。その後、120℃1時間、次いで180℃3時間オーブンで加熱して、半導体チップ同士が接着されたサンプルを得る。得られたサンプルについて、せん断接着力試験機「Dage−4000」(商品名)を用いて260℃におけるせん断接着力を測定する。
以上、本発明の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
例えば、本実施形態の積層シート10の樹脂層2は、第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bの2層より構成されたが、樹脂層2の構成は2層に限られない。樹脂層2が3層以上で構成されても構わない。但し、積層シート10の製造プロセスを最も簡略化できる点から、樹脂層2は2層であることが好ましい。
樹脂層2が3層以上からなる場合、樹脂層2のうち、基材フィルム1から最も遠い第二樹脂層2bがアルカリ現像液又は有機溶剤に対する溶解速度が最も遅いことが好ましい。このような積層シート10を用いて半導体装置を製造した場合、積層シート10を第二樹脂層2b側から半導体ウェハ3に貼り付けると、現像工程においてアルカリ現像液又は有機溶剤が第二樹脂層2bにより浸透しにくくなる。この場合、半導体ウェハ3に接着している第二樹脂層2bが現像後確実に残るため、半導体ウェハ3をダイシング後そのまま半導体チップを回路基板に接続することができる。
また、本実施形態の半導体装置の製造方法において、粘着テープ4の貼り付け、ダイシング及び現像の各工程の順序を適宜入れ替えることが可能である。また、第二樹脂層2bの溶解速度を第一樹脂層2aより更に遅くする等の目的で、半導体ウェハ3のダイシング前又は後に、露光工程を行ってもよい。露光工程は、樹脂層2に活性光線を照射することで行う。露光時にはネガ型マスクやポジ型マスクを使用しても構わない。また、半導体ウェハ3の研磨工程を適宜追加しても構わない。
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
(ポリイミド樹脂PI−1の合成)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAA(商品名、和歌山精化社製、5,5’−メチレン−ビス(アントラニリックアシッド)、分子量286.3)を5.72g(0.02mol)、D−400(商品名、BASF社製、ポリエーテルジアミン、分子量:452.4)を12.99g(0.03mol)、BY16−871EG(商品名、東レ・ダウコーニング社製、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)−ジシロキサン)を2.48g(0.01mol)、及び1,4−ブタンジオール ビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成製、商品名:B−12、分子量:204.31)8.17g(0.04mol)と、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4−オキシジフタル酸二無水物)27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)3.84g(0.02mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温した。次に得られたワニスをメタノールに再沈殿し、回収したポリイミドを室温で一日放置した後、真空乾燥機を用いて60℃で8時間の条件で乾燥させ、ポリイミド樹脂PI−1を得た。PI−1のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=21,000であった。また、PI−1のTgは55℃であった。
(ワニスの調整)
表1に示す組成に基づいて、各材料をトルエン−酢酸エチル溶媒中に固形分濃度が50質量%になるように溶解混合して第一樹脂層と第二樹脂層を形成するためのワニスをそれぞれ作製した。
表中の各成分の詳細は以下の通りである。
(A)成分:PI−1
PKCP−80(ε−カプロラクトン変性フェノキシ樹脂(Inchem Corporation製、製品名))
(B)成分:EP1032H60(トリスフェノールメタン型多官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、製品名))
YH307(3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物1−イソプロピル−4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物の混合物(ジャパンエポキシレジン株式会社製、製品名))
フラックス剤:アジピン酸(シグマアルドリッチ製、製品名、融点152℃)
硬化促進剤:PX−4PB(テトラ(n−ブチル)ホスホニウムテトラフェニルボレート(日本化学工業株式会社製、製品名))
フィラー:R972(日本アエロジル社製、疎水性フュームドシリカ(平均粒径:約16nm))
SE2050(球状シリカ(アドマテックス株式会社製、製品名))
(フィルムの作製)
作製した第一樹脂層のワニスをセパレータフィルム(PETフィルム)上にナイフコーターを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させることによって、厚さ25μmの第一樹脂層のフィルムを作製した。同様に、作製した第二樹脂層のワニスをセパレータフィルム(PETフィルム)上にナイフコーターを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させることによって、厚さ30μmの第二樹脂層のフィルムを作製した。
(積層シートの作製)
得られた第一及び第二樹脂層のフィルムを、第一樹脂層と第二樹脂層とが接するように貼り合わせた状態でラミネータを用いてロール加圧(温度60℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)した。その後、第二樹脂層側のPETフィルムを剥離することによってPETフィルム上に第一樹脂層及び第二樹脂層をこの順に備える積層シートを得た。
(樹脂層の溶解速度の測定)
第一樹脂層と第二樹脂層の単層の樹脂層のフィルムをそれぞれ作成した後、10mm×10mm×0.05mm(縦×横×厚さ)に切り出し、切り出した各フィルムをアルカリ現像液(テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド(TMAH)2.38%)が入ったサンプル瓶に全体が沈むように入れ、ミックスロータで回転させながら、完全に溶解するまでの時間を測定した。第一樹脂層は3分間で全て溶解したが、第二樹脂層は30分以上経過してもフィルムが残存していた。以上より、第一樹脂層の溶解速度は、第二樹脂層の溶解速度の10倍以上であることが分かった。
(樹脂層の流動値の測定)
第一樹脂層と第二樹脂層の単層の樹脂層のフィルムを10mm×10mm×0.05mm(縦×横×厚さ)でそれぞれ切り出し、20mm×20mm×0.14mm(縦×横×厚さ)のガラスチップに挟み込んで温度80℃(ラミネート温度)で5kg/10sの圧力と時間をかけ、各辺の最も流れ出した部分の流れ出した距離を測定し、その平均値を算出した。その結果、第一樹脂層は5μm、第二樹脂層は100μm流動した。以上より、第二樹脂層の流動値は、第一樹脂層の流動値の20倍であることがわかった。
(チップへのラミネート)
銅ピラー電極先端に鉛フリーはんだ層(Sn−3.5Ag:融点221℃)を有する構造のバンプが形成された半導体チップとして、日立超LSIシステムズ製JTEG PHASE11_80(サイズ7.3mm×7.3mm、バンプピッチ80μm、バンプ数328、厚み0.55mm、商品名)を用意した。続いて、前記で得られた積層シートをロール加圧(温度60℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層シートの第二樹脂層と半導体チップのバンプがある回路面が接するように積層した。この時、バンプが樹脂層に覆われており、露出していないことを確認した。
(現像)
続いて、得られた半導体チップをバットに入れたTMAH2.38%のアルカリ性水溶液に浸し、3分後に、純水で満たしたバットに5分浸した。その後、半導体チップを取り出し、洗瓶にて表面を洗浄した。図8は現像前後の第二樹脂層表面を撮影したSEM像である。図8(a)が現像前のSEM像であり、図8(b)が現像後のSEM像である。図8に示すように、現像前には露出していなかったバンプの表面が現像後に樹脂層から露出していることを確認した。
(チップと基板の接続)
基板としてプリフラックス処理によって防錆皮膜を形成した銅配線パターンを表面に有するガラスエポキシ基板を準備した。フリップチップボンダーFCB3(パナソニックファクトリーソリューションズ製、製品名)の40℃に設定したステージ上に基板を吸着固定し、半導体チップと位置合わせした後、仮固定工程として、荷重25N、ヘッド温度100℃で5秒間圧着を行い(到達温度90℃)、半導体チップを基板上に仮固定した。次いで、第一工程として、フリップチップボンダーのヘッド温度を210℃に設定し、荷重25Nで10秒間圧着を行った(到達温度180℃)。さらに、第二工程として、フリップチップボンダーのヘッド温度を290℃に設定し、荷重25Nで10秒間圧着を行った(到達温度250℃)。
(導通検査)
半導体チップと基板を接続した半導体装置について、328バンプのデイジーチェーン
接続が確認できたため、導通検査は合格とした。
1…基材フィルム、2…樹脂層、2a…第一樹脂層、2b…第二樹脂層、3…半導体ウェハ、10…積層シート、13…突起電極、60…半導体装置。

Claims (3)

  1. 基材フィルムと、該基材フィルム上に積層された2層以上の樹脂層と、を備える積層シートであって、
    前記2層以上の樹脂層のうち、前記基材フィルムに最も近い第一樹脂層の方が、前記基材フィルムから最も遠い第二樹脂層よりもアルカリ現像液又は有機溶剤に対する溶解速度が速く、
    少なくとも前記第二樹脂層が、接着性を有する層であり、
    前記第二樹脂層の方が、前記第一樹脂層よりも流動性が高い、積層シート。
  2. 請求項1に記載の積層シートの前記第二樹脂層側に半導体ウェハを貼り付けた状態で、前記半導体ウェハをダイシングするダイシング工程と、
    前記ダイシング工程の後、前記積層シートにおける前記2層以上の樹脂層の一部を前記アルカリ現像液又は前記有機溶剤を用いた現像により除去する現像工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
  3. 前記半導体ウェハに突起電極が形成されており、前記現工程により除去する樹脂層の厚さを除いた残りの樹脂層の厚さが、前記突起電極の高さ以下である、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
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