JP5891170B2 - 芳香族ポリカーボネート製偏光レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、偏光シートの一方の面に芳香族ポリカーボネートを射出して成形した、芳香族ポリカーボネート製偏光レンズに関するものである。
ポリカーボネート製の偏光シートは耐衝撃性に優れ軽量であることから液晶ディスプレイをはじめ、建物の窓や自動車のサンルーフ、マリンスポーツ、ウインタースポーツ、釣り等に用いるサングラスやゴーグルに使用されている。
ポリビニルアルコールフィルムを延伸して二色性色素で染色した偏光フィルムの両面に保護層として接着層を介して芳香族ポリカーボネートシートを貼った偏光シート(以下適宜、「芳香族ポリカーボネート偏光シート」と記す)は特に耐衝撃性に優れ、加えて高い耐熱性も併せ持つので、曲げ加工や射出成形を施して得られるサングラスやゴーグル用の偏光レンズに使用されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネートは光弾性定数が大きいので、サングラスやゴーグルのような球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工を施した際に、リタデーションによる着色干渉縞が生じやすく、この着色干渉縞が外観を損ね、眼精疲労を引き起こす等の問題を抱えている。
また、芳香族ポリカーボネート偏光シートを球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した偏光レンズでは、芳香族ポリカーボネート偏光シートの厚みムラにより像の歪みが生じてしまい、外観を損ね、眼精疲労を引き起こす等の問題も抱えている。
曲げ加工を施した際に生じるリタデーションについては、保護層に使用する芳香族ポリカーボネートシートに予め延伸処理を施して大きなリタデーションを生じさせておくことにより、着色干渉縞を見えなくした芳香族ポリカーボネート偏光シート(以下適宜、「延伸ポリカーボネート偏光シート」と記す)が知られており(特許文献1)、偏光レンズの中でも外観や眼精疲労に優れた製品に使用されている。
一方、前述の延伸ポリカーボネート偏光シートに曲げ加工を施して形成した偏光レンズよりもさらに耐衝撃性を向上させる、あるいは焦点屈折力を持つ矯正用レンズを形成する目的で、球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工した延伸ポリカーボネート偏光シートを金型内にインサートし、芳香族ポリカーボネートを射出して成形した偏光レンズ(以下適宜、「芳香族ポリカーボネート偏光レンズ」と記す)が知られている(特許文献2)。
芳香族ポリカーボネート偏光レンズは、金型内に芳香族ポリカーボネートを射出して充填するので、インサートした延伸ポリカーボネートシートの厚みムラが見えなくなるという利点もあり、焦点屈折力を持たないレンズにおいても耐衝撃性、外観や眼精疲労に対して特に優れた製品に使用されている。
ところで、芳香族ポリカーボネート偏光レンズのように金型内に熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を充填して得られるレンズにおいては、両面それぞれの金型の表面形状と両面の間隔を適宜設定することにより、成形されたレンズの両面それぞれの形状と肉厚を自由に設定出来るので、成形されたレンズの焦点屈折力、プリズム屈折力、および像歪が所望の値になるよう光学設計に基づいて金型の表面形状と両面の間隔が設定される。
成形されたレンズの表面形状と成形時に接していた金型の表面形状は多くの場合同一だが、レンズの表面形状に非常に高い精度が要求される場合には、金型内に充填した熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が固化する際に生じる体積収縮によるレンズ肉厚の減少や表面形状の変化を補償するために、両面それぞれの金型の表面形状と両面の間隔を適宜微調整する場合がある。
芳香族ポリカーボネート偏光シートの曲げ加工に使用する金型には、最終的に得られる芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいて射出された芳香族ポリカーボネートに接する面とは反対側の面の表面形状と同じ形状のものが用いられている。
また、芳香族ポリカーボネート偏光レンズの射出成形に使用する金型のうち、延伸ポリカーボネート偏光シート側の金型にも最終的に得られる芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおける延伸ポリカーボネート偏光シート側の表面形状と同じ形状のものが用いられ、射出成形に使用するもう一方の金型には、光学設計に基づいて最終的に得られる芳香族ポリカーボネート偏光レンズのレンズ面内における焦点屈折力やプリズム屈折力が所望の値になるような表面形状と同じ形状のものが用いられている。
例えば、焦点屈折力やプリズム屈折力が無く、延伸ポリカーボネート偏光シート側の表面のベースカーブが8の球面である芳香族ポリカーボネート偏光レンズを最終的に得たい場合には、曲げ加工を2回あるいは3回以上で行う場合もある。しかし、最終回の曲げ加工で使用する金型の形状はベースカーブが8の球面であり、射出成形に使用する金型のうち、延伸ポリカーボネート偏光シート側の金型の形状もベースカーブが8の球面であり、射出成形に使用するもう一方の金型はベースカーブが8あるいは8よりも僅かに大きな球面であって、その球面の中心位置が延伸ポリカーボネート偏光シート側の金型に対して僅かに異なる、すなわちディセンターされた表面形状が用いられている。
また、例えば、焦点屈折力やプリズム屈折力が無く、延伸ポリカーボネート偏光シート側の表面の水平方向のベースカーブが6、垂直方向のベースカーブが4の楕円面である芳香族ポリカーボネート偏光レンズを最終的に得たい場合には、曲げ加工は2回あるいは3回以上で行う場合もある。しかし、最終回で使用する金型の形状は水平方向のベースカーブが6、垂直方向のベースカーブが4の楕円面であり、射出成形に使用する金型のうち、延伸ポリカーボネート偏光シート側の金型の形状も水平方向のベースカーブが6、垂直方向のベースカーブが4の楕円面であり、射出成形に使用するもう一方の金型は水平方向のベースカーブが6あるいは6よりも僅かに大きく、垂直方向のベースカーブが4あるいは4よりも僅かに大きな楕円面である。
さらに例示すると、芳香族ポリカーボネート偏光レンズの表面形状は球面、楕円面あるいは放物面といった2次曲面だけでなく、4次曲面のような高次曲面に成形される場合もあり、かつ、水平方向と垂直方向の曲率が異なる場合もある。しかしながら、芳香族ポリカーボネート偏光レンズの射出成形後の表面形状は金型の表面形状に対して大きく異なる場合があり、その異なり方も様々である。
延伸ポリカーボネート偏光シートにおいて、芳香族ポリカーボネート偏光レンズを表面形状が球面の金型を用いて成形した際に、芳香族ポリカーボネートを射出した側の芳香族ポリカーボネートシートの延伸を無くした、あるいは少なくした延伸ポリカーボネート偏光シートを用いると、形成された偏光レンズの垂直方向のベースカーブと水平方向のベースカーブの差の絶対値(以下適宜、「ベースカーブの異方性」と記す)が低減することが知られている(特許文献3)。
芳香族ポリカーボネートを射出した側の芳香族ポリカーボネートシートの延伸を無くした、あるいは少なくした延伸ポリカーボネート偏光シート(以下適宜、「片面延伸ポリカーボネート偏光シート」と記す)を用いた芳香族ポリカーボネート偏光レンズは、レンズの表面形状を非常に高い精度で形成できることから、耐衝撃性、外観や眼精疲労に対して特に優れており、かつ、レンズの表面形状の精度が高い製品に使用されている。
このように形成された芳香族ポリカーボネート偏光レンズの表面には、適宜、ハードコート、反射防止膜などが形成され、次いで玉摺り、穴あけ、ネジ締め等によりフレームに固定してサングラスやゴーグルになる。
特開平03−39903号公報 特開平08−52817号公報 特開平08−313701号公報
前述のように、片面延伸ポリカーボネート偏光シートを用いた芳香族ポリカーボネート偏光レンズは、レンズの表面形状を非常に高い精度で形成できることから、耐衝撃性、外観や眼精疲労に対して特に優れており、かつ、レンズの表面形状の精度が高い製品に使用されている。
しかしながら、片面延伸ポリカーボネート偏光シートを用いても、曲げ加工、射出成形、ハードコート処理等の加工条件による表面形状の差が大きく、曲げ加工、射出成形、ハードコート処理等のそれぞれの加工に適した加熱温度や加熱時間では所望の精度の表面形状に成形出来るに至っていないという問題があった。
さらに、片面延伸ポリカーボネート偏光シートを用いた芳香族ポリカーボネート偏光レンズの射出成形後の表面形状は、射出金型の表面形状、すなわち光学設計に基づいて得られた所望の表面形状に対して異なり、さらに、曲げ加工、射出成形、ハードコート処理等の種々の加工条件によって異なる複雑さのために、これらの個々の加工条件によりどのように表面形状が変化するかを把握するには至っていなく、これらの個々の加工条件を適宜選定すれば所望の精度の表面形状に到達出来るか否かについてすら予見出来ていない。
延伸ポリカーボネート偏光シートを用いた芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては言うまでも無く、所望の精度の表面形状に成形出来るに至っていない。偏光レンズの表面形状の精度が極端に低い場合には、形成された偏光レンズとフレーム形状との差異により、玉摺りした後にフレームに固定出来ないという問題が生じる。
例えば、表面形状が球面でベースカーブが8の偏光レンズでは、形成された偏光レンズのベースカーブの異方性が0.25を超えると、フレームへの固定が困難になるという問題が生じる。さらに、形状精度が及ぼす影響について特筆すべきは、形成された偏光レンズのベースカーブの異方性が大きくなると、保護メガネに関する米国規格ANSI-Z87.1におけるResolving Power(以下適宜、「解像度」と記す)の規定を満たさないという問題が生じる。例えば、表面形状が球面でベースカーブが8の偏光レンズでは、形成された偏光レンズのベースカーブの異方性が概ね0.1を超えると解像度は20未満になり、米国規格ANSI-Z87.1に適合しないという問題が生じる。
前述の解像度と偏光レンズの形状精度との関係に関する先行技術文献は特に無く、本発明者らが鋭意検討した結果、形成された偏光レンズの形状精度が低いと解像度が低く、形成された偏光レンズの形状精度が高いと解像度も高いという関係を見出し、偏光レンズの表面形状の精度を非常に高めて、ベースカーブの異方性を概ね0.1以内にしたときに解像度が20以上になることを見出すに至った。
本発明は、偏光性を有するフィルムの両面に接着層を介して芳香族ポリカーボネートシートを貼り合わせた偏光シートを球面あるいは非球面に曲げ、該偏光シートの一方の面に芳香族ポリカーボネートを射出して形成した偏光レンズにおいて、該偏光シートの光入射側の面に配置されている芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値が2,000nm以上20,000nm未満であり、該芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が該偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して垂直である偏光レンズである。
また、偏光性を有するフィルムの両面に接着層を介して芳香族ポリカーボネートシートを貼り合わせた偏光シートを球面あるいは非球面に曲げ、該偏光シートの一方の面に芳香族ポリカーボネートを射出して形成した偏光レンズにおいて、該芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値が2,000nm以上20,000nm未満であり、光入射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が該偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して平行であり、光出射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が該偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して垂直である偏光レンズである。
本発明により、形状精度が高い芳香族ポリカーボネート偏光レンズを安定して提供できるようになった。
表面形状が球面の偏光レンズにおいては、ベースカーブの異方性が0.25以内のものを安定して提供できるようになり、さらに、解像度が20以上のものを安定して提供できるようになった。
本発明による芳香族ポリカーボネート偏光レンズの断面図である。
本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズに関して説明する。
まず、偏光フィルムの基材となる樹脂フィルムを一方向に延伸させつつ、ヨウ素または二色性色素などの染料を含有する染液に含浸することにより、ヨウ素または二色性色素を基材樹脂中に分散し、偏光性を付与した偏光フィルムを得る。
このときに用いる偏光フィルムの基材となる樹脂としては、ポリビニルアルコール類が用いられ、このポリビニルアルコール類としては、ポリビニルアルコール(以下PVA)、PVAの酢酸エステル構造を微量残したもの及びPVA誘導体または類縁体であるポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等が好ましく、特にPVAが好ましい。
さらに、PVAフィルムの分子量については、延伸性とフィルム強度の点から重量平均分子量が50,000から500,000のものが好ましく、特に、分子量150,000から300,000のものが好ましい。また、このときに用いる偏光フィルムの染料としては、PVAフィルムへの染色性と耐熱性の点からスルホン酸基を持つアゾ色素からなる直接染料が好ましい。PVAフィルムを延伸する際の倍率は、延伸後の二色比とフィルム強度の点から2〜8倍が好ましく、特に3〜5倍が好ましい。
次に、偏光フィルムの両面に接着層を介して、芳香族ポリカーボネートシートからなる保護層を貼付する。このときに用いる芳香族ポリカーボネートシートの樹脂材料としては、フィルム強度、耐熱性、耐久性あるいは曲げ加工性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が好ましく、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位やエステル結合を持つ構造単位が含まれても良く、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネートが好ましい。
さらに、芳香族ポリカーボネートシートの分子量については、シート自体の成形における点から粘度平均分子量で12,000〜40,000のものが好ましく、フィルム強度、耐熱性、耐久性あるいは曲げ加工性の点から、特に20,000〜35,000のものが好ましい。また、芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値については、着色干渉縞を抑制する点から、下限は2,000nm以上であり、上限は特にないがフィルム製造面から20,000nm以下が好ましく、特に4,000nm以上20,000nm以下が好ましい。リタデーション値が高い方が着色干渉縞を生じ難い反面、リタデーション値が高い方が表面形状の精度が低いというデメリットがある。
芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値の測定方法としては、クロスニコルあるいはパラレルニコル間に配置して可視光の透過スペクトルを測定し、透過スペクトルのピークバレーから算出する方法等が挙げられる。
しかし、本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては表面形状の精度を高めることが出来るので、よりリタデーション値が高い範囲においても表面形状の精度を高めることが出来る。加えて、両面に用いる芳香族ポリカーボネートからなる保護層のそれぞれの厚みについては、フィルム強度、耐熱性、耐久性あるいは曲げ加工性の点から、50μm〜1.5mmの範囲が好ましく、特に100μm〜800μmの範囲が好ましい。
このリタデーション値が高い芳香族ポリカーボネートシートを偏光フィルムの光入射側、すなわち、人の目の反対側に用いることにより着色干渉縞を生じ難くすることが出来る。
ところで、芳香族ポリカーボネートシートは、溶融押出法や溶液流延法等の方法により形成される。これらの方法で形成された芳香族ポリカーボネートシートを延伸機で流れ方向に延伸することにより、流れ方向に延伸軸を持つ芳香族ポリカーボネートシートが得られる。また、流れ方向と垂直な方向、すなわち、幅方向に延伸することにより、幅方向に延伸軸を持つ芳香族ポリカーボネートシートが得られる。このようにして得られた延伸軸が流れ方向あるいは幅方向の芳香族ポリカーボネートシートを用いることにより、量産性に優れたロールツーロールで貼り合わせることが出来る。
また、溶融押出法にて芳香族ポリカーボネートシートを形成する際に、溶融押出しでシート状に形成した芳香族ポリカーボネートシートを冷却する前に、溶融押出しに連続して延伸することも出来る。
偏光フィルムの両面に芳香族ポリカーボネートを貼り合わせるために用いる接着剤としては、アクリル樹脂系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料等が使用でき、特に、接着層自体あるいは接着した際の透明性と芳香族ポリカーボネートとの接着性の点から、ウレタン樹脂系材料であるポリウレタンプレポリマーと硬化剤からなる2液型の熱硬化性ウレタン樹脂が好ましい。このようにして芳香族ポリカーボネート偏光シートを得る。
本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズに用いられる芳香族ポリカーボネート偏光シートは、前述の芳香族ポリカーボネート偏光シートに限られるものではなく、偏光フィルムと保護層の芳香族ポリカーボネートを接着する接着剤において、調光染料を溶解させた接着剤を用いて作製された調光機能も併せ持つ芳香族ポリカーボネート偏光シートを用いても良く、このように偏光フィルムの保護層に使用する芳香族ポリカーボネートシートに予め延伸処理を施して大きなリタデーションを生じさせた延伸ポリカーボネート偏光シートを球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工し、金型内にインサートし芳香族ポリカーボネートを射出して成形した偏光レンズであれは同様な効果が得られる。
次いで、延伸ポリカーボネート偏光シートに曲げ加工が施される。
延伸ポリカーボネート偏光シートの曲げ加工条件については、特に制限はないが、射出成形に用いる金型表面に沿うように曲げられている必要があり、また偏光フィルムは曲げ加工において延伸方向に沿った亀裂、いわゆる膜切れが生じやすいのでこれらの点から、延伸ポリカーボネート偏光シートの曲げ加工における金型温度は延伸ポリカーボネート偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点前後の温度が好ましく、加えて、予熱処理により曲げ加工直前に芳香族ポリカーボネートのガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度にしておくことが好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上ガラス転移点より15℃低い温度未満にしておくことが好ましい。
次いで、延伸ポリカーボネート偏光シートに芳香族ポリカーボネートが射出される。
射出成形の加工条件については、特に制限はないが、外観に優れている必要があり、この点から、金型温度は延伸ポリカーボネート偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い温度以上ガラス転移点より15℃低い温度未満が好ましい。
次いで、ハードコート処理が施される。
ハードコートの材質あるいは加工条件については、特に制限はないが、外観や下地の芳香族ポリカーボネートに対して、あるいは続いてコートされるミラーコートや反射防止コート等の無機層に対する密着性に優れている必要がある。この点から、焼成温度は延伸ポリカーボネート偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い以上ガラス転移点より15℃低い温度未満である120℃前後の温度が好ましく、ハードコートの焼成に要する時間は概ね30分から2時間の間である。
従来の延伸ポリカーボネート偏光シートあるいは片面延伸ポリカーボネート偏光シートにおいては、偏光フィルムの延伸軸と芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が共に偏光レンズの水平方向である。この偏光シートを用いた芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいは、射出金型の表面形状、すなわち所望の表面形状に対して、水平方向のベースカーブが大きく垂直方向のベースカーブが小さくなる。すなわち、形状精度が高いものが得られない。
ここで言う偏光レンズの水平方向とは、サングラスあるいはゴーグルに固定した際に水平面に対して平行になる偏光レンズ面上の方向であり、偏光レンズの吸収軸に概ね一致する。また、ここで言う垂直方向とはサングラスあるいはゴーグルに固定した際に水平面に対して垂直な方向であり、偏光レンズの透過軸に概ね一致する。
偏光フィルムの延伸軸と芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が共に偏光レンズの水平方向である延伸ポリカーボネート偏光シートあるいは片面延伸ポリカーボネート偏光シートにおいては形状精度が高いものが得られないのに対して、本発明者らは光入射側あるいは光出射側の芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が偏光レンズの垂直方向である延伸ポリカーボネート偏光シートあるいは片面延伸ポリカーボネート偏光シートにおいて形状精度が高いものが得られることを見出した。
その結果、表面形状が球面の偏光レンズにおいて、ベースカーブの異方性が0.25以内のものを安定して成形出来るに至り、さらに、表面形状が球面の偏光レンズにおいて、解像度が20以上のものを成形出来るに至った。
尚、本実施例における説明では射出成形後にハードコート処理を行うものとして例示しているが、更に射出成形後に熱処理を行っても良く、この熱処理については、例えば、ハードコート処理後に行っても良く、さらにミラーコートや反射防止コート等の無機層をコートした後に行っても良い。また、熱処理の加熱温度と加熱時間を適宜選択することにより、ハードコート焼成における熱処理に繰り入れてもよい。
熱処理の条件については、加熱温度においては延伸ポリカーボネート偏光シートに使用した芳香族ポリカーボネートのガラス転移点より50℃低い温度以上ガラス転移点未満の温度が好ましく、特に、ガラス転移点より40℃低い以上ガラス転移点より15℃低い温度未満が好ましい。加熱時間については、所望の精度で所望の表面形状を得るべく、適宜設定した条件で行う。適宜設定した条件で熱処理を行うことにより、更に形状精度が高い偏光レンズを形成することが可能である。
以下、実施例に基づき、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
比較例1
(a)延伸ポリカーボネート偏光シート
芳香族ポリカーボネート偏光レンズに用いる延伸ポリカーボネート偏光シートとしては、0.6mm厚のユーピロンポーラシート(三菱瓦斯化学社製)を使用した。該延伸ポリカーボネート偏光シートには、偏光フィルムの両面に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを用いており、曲げ加工において着色干渉縞が生じ難い偏光シートである。該延伸ポリカーボネート偏光シートの偏光フィルムの延伸軸と芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸は共に偏光レンズの水平方向である。
(b)芳香族ポリカーボネート偏光レンズ
(a)の延伸ポリカーボネート偏光シートを、基本形状としては直径79.5mmの真円であり、垂直方向の幅が55mmにカットされる型でストリップ形状として打ち抜き、ベースカーブ7.95(曲率半径66.67mm)の金型を用いて曲げ加工を行った。曲げ加工においては金型温度150℃、予熱時間30秒、保持時間90秒の条件にて成形した。
ここで言うベースカーブとは、レンズ前面の曲率の意味で用いており、530をミリメータ単位の曲率半径で除した値のことである。
次に、射出成形用の金型内にインサートし、レンズの凹面に溶融樹脂を射出成形することにより芳香族ポリカーボネート偏光レンズを作製した。射出成形においては、1回の射出で同時に2個の芳香族ポリカーボネート偏光レンズを形成出来るベースカーブ7.932(曲率半径66.81mm)の金型を用い、計量値42mm、シリンダー温度300℃、金型温度120℃、射出速度25mm、保圧60MPa、V-P切り替え位置8mmの条件にて成形した。
更に、強制熱風循環式オーブンを用いて120℃で1時間加熱処理した。この加熱処理は従来技術のハードコートの焼成条件に相当するものである。
(c) 成形された偏光レンズの曲率半径とベースカーブの測定
(b)で形成した芳香族ポリカーボネート偏光レンズについて、水平方向と垂直方向のそれぞれの曲率半径を、3点式カーブメータ(PEACOCK製DIAL GAUGE)で測定した。
(d)成形された偏光レンズの解像度の測定
(b)で形成した芳香族ポリカーボネート偏光レンズについて、米国規格ANSI-Z87.1内「14.10 Refractive Power , Resolving Power and Astigmatism Tests」に記載されている方法により解像度を測定した。解像度の測定範囲の下限は12であり、上限は48あるいは56である。
(b)で形成した芳香族ポリカーボネート偏光レンズについて、水平方向のベースカーブから垂直方向のベースカーブを引いた値(以下ベースカーブの差)と解像度の測定結果を表1中のサンプルNo.〔1〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については6サンプルの平均値を記載し、測定を行っていないものは空欄で示した。
ベースカーブの異方性は、射出成形後では0.49、熱処理後では0.26であった。また、解像度はいずれも12未満であった。
Figure 0005891170
実施例1
(e)芳香族ポリカーボネート偏光レンズ
延伸ポリカーボネート偏光シートには、偏光フィルムの両面に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを、レンズの凸面側の延伸軸は偏光レンズの垂直方向、レンズの凹面側の延伸軸は偏光レンズの水平方向になるように接着剤で貼り合わせたものを用いた。
該延伸ポリカーボネート偏光シートを(b)と同様に偏光シートを加工し、(c)および(d)と同様に測定した。
また、該延伸ポリカーボネート偏光シートを直径79.5mmの真円型でラウンド形状として打ち抜き、ベースカーブ5.95(曲率半径89.08mm)の金型を用いて金型温度153℃、保持時間90秒の条件にて1回目の曲げ加工を行い、ベースカーブ7.95(曲率半径66.67mm)の金型を用いて金型温度153℃、保持時間120秒の条件にて2回目の曲げ加工を行った以外は(b)と同様に加工し、(c)と同様にベースカーブを測定した。更に(d)と同様に解像度を測定したが、その際に20以上の値の測定は行わなかった。
(e)の芳香族ポリカーボネート偏光レンズについて、ベースカーブの差と解像度の測定結果を表1中のサンプルNo.〔2〕および〔3〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については6サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.05、熱処理後では0.04であった。また、解像度はいずれも20以上であった。ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は、射出成形後では0.09、熱処理後では0.65であった。また、解像度は射出成形後では20以上であり、熱処理後では12未満であった。
実施例2
(f)芳香族ポリカーボネート偏光レンズ
延伸ポリカーボネート偏光シートには、偏光フィルムの両面に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを、レンズの凸面側の延伸軸は偏光レンズの平行方向、レンズの凹面側の延伸軸は偏光レンズの垂直方向になるように接着剤で貼り合わせたものを用いた。
該延伸ポリカーボネート偏光シートを(e)と同様に加工、測定した。
(f)の芳香族ポリカーボネート偏光レンズについて、ベースカーブの差と解像度の測定結果を表1中のサンプルNo.〔4〕および〔5〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については6サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.27、熱処理後では0.25であった。ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は、射出成形後では0.26、熱処理後では0.02であり、解像度は射出成形後では20以上であった。ラウンド形状、ストリップ形状ともに射出成形後のベースカーブの異方性が0.25を超えてしまっているが、各6サンプル中の半数はベースカーブの異方性が0.25以下であった。
比較例2
(a)と同様の延伸ポリカーボネート偏光シートを、直径79.5mmの真円型でラウンド形状として打ち抜き、ベースカーブ5.95(曲率半径89.08mm)の金型を用いて金型温度145℃、予熱時間25秒、保持時間120秒の条件にて1回目の曲げ加工を行い、ベースカーブ7.95(曲率半径66.67mm)の金型を用いて金型温度148℃、予熱時間40秒、保持時間240秒の条件にて2回目の曲げ加工を行った。
また、(a)と同様の延伸ポリカーボネート偏光シートを、基本形状としては直径79.5mmの真円であり、垂直方向の幅が55mmにカットされる型でストリップ形状として打ち抜き、ベースカーブ7.95(曲率半径66.67mm)の金型を用いて金型温度148℃、予熱時間40秒、保持時間960秒の条件にて曲げ加工を行った。
次に、(b)と同様に射出成形、熱処理を行い、その後、水平方向と垂直方向のそれぞれのベースカーブを、触針式の輪郭形状測定器(東京精密製コンターレコード2700SD3)で測定した。輪郭形状測定器は(c)のカーブメータと比べて、測定時に被測定物に印加する荷重が極めて低く、より正確にベースカーブが計測できる。
その後、(d)と同様に解像度を測定した。
ベースカーブの差と解像度の測定結果を表2中のサンプルNo.〔6〕および〔7〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については3サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.55、熱処理後では0.28であった。また、解像度は射出成形後では12未満、熱処理後では18であった。
ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.68、熱処理後では0.63であった。また、解像度は射出成形後、熱処理後ともに12未満であった。
Figure 0005891170
実施例3
延伸ポリカーボネート偏光シートには、偏光フィルムの両面に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを、レンズの凸面側の延伸軸は偏光レンズの平行方向、レンズの凹面側の延伸軸は偏光レンズの垂直方向になるように接着剤で貼り合わせたものを用いた。
比較例2と同様にして芳香族ポリカーボネート偏光レンズを成形し、測定した。
ベースカーブの差と解像度の測定結果を表2中のサンプルNo.〔8〕および〔9〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については3サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.24、熱処理後では0.16であった。また、解像度は射出成形後では28、熱処理後では27であった。
ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.47、熱処理後では0.29であった。解像度は射出成形後では12未満、熱処理後では18であった。
実施例4
延伸ポリカーボネート偏光シートには、偏光フィルムの両面に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを、レンズの凸面側の延伸軸は偏光レンズの垂直方向、レンズの凹面側の延伸軸は偏光レンズの平行方向になるように接着剤で貼り合わせたものを用いた。
比較例2と同様にして芳香族ポリカーボネート偏光レンズを成形し、測定した。
ベースカーブの差と解像度の測定結果を表2中のサンプルNo.〔10〕および〔11〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については3サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.05、熱処理後では0.14であった。また、解像度は射出成形後では34、熱処理後では22であった。
ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.03、熱処理後では0.32であった。また、解像度は射出成形後では17、熱処理後では12であった。
実施例5
延伸ポリカーボネート偏光シートには、偏光フィルムの両面に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを、レンズの凸面側の延伸軸は偏光レンズの垂直方向、レンズの凹面側の延伸軸も偏光レンズの垂直方向になるように接着剤で貼り合わせたものを用いた。
比較例2と同様にして芳香族ポリカーボネート偏光レンズを成形し、測定した。
ベースカーブの差と解像度の測定結果を表2中のサンプルNo.〔12〕および〔13〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については3サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.33、熱処理後では0.31であった。また、解像度は射出成形後では19、熱処理後では31であった。
ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.12、熱処理後では0.03であった。また、解像度は射出成形後では25、熱処理後では16であった。
実施例6
偏光シートには、偏光フィルムの凸面側に保護層として厚さ0.3mm、リタデーション値5500nmの芳香族ポリカーボネートシートを延伸軸が偏光レンズの垂直方向になるように接着剤で貼り合わせ、偏光フィルムの凹面側に保護層として延伸していない厚さ0.3mm、リタデーション値100nm以下の芳香族ポリカーボネートシートを接着剤で貼り合わせた片面延伸ポリカーボネート偏光シートを用いた。
比較例2と同様にして芳香族ポリカーボネート偏光レンズを成形し、測定した。
ベースカーブの差と解像度の測定結果を表2中のサンプルNo.〔14〕および〔15〕に示す。尚、ベースカーブ、解像度については3サンプルの平均値を記載した。
ラウンド形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.18、熱処理後では0.03であり、いずれも0.25以下であった。また、解像度は射出成形後、熱処理後ともに34であった。
ストリップ形状については、ベースカーブの異方性は射出成形後では0.07、熱処理後では0.14であった。また、解像度は射出成形後では27、熱処理後では12未満であった。
本実施例から明らかにわかるように、従来の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいてはベースカーブの異方性が0.25以上あり、形状精度が高いものが全く得られないのに対して、本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、ラウンド形状またはストリップ形状のいずれか、あるいは両方においてベースカーブの異方性が0.25以下の形状精度が高いものが得られることがわかる。
また、本実施例から明らかにわかるように、従来の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては解像度が20未満であり、米国規格ANSI-Z87.1に適合するものが全く得られないのに対して、本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、ラウンド形状またはストリップ形状のいずれかにおいて解像度が20以上のものが得られることがわかる。
本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、ラウンド形状の解像度が射出成形後と熱処理後のいずれも高く、実施例5〔12〕の熱処理後のようにベースカーブの異方性が0.1を遥かに超えて0.25を超えるものであっても解像度が20以上得られている。また、実施例5〔12〕の射出成形後においてもベースカーブの異方性が0.25を超えているが、解像度が19であり20を僅かに下回る程度に収まっている。
また、本発明の芳香族ポリカーボネート偏光レンズにおいては、ストリップ形状のベースカーブの異方性が小さく、実施例4〜6においてはベースカーブの異方性が0.25以下の形状精度が高いものが得られており、実施例4〔11〕の熱処理後においてはベースカーブの異方性が0.25を超えているものの0.32であって僅かに0.25を超えるに留まっている。
1 偏光フィルム
2、3 芳香族ポリカーボネートシート
4、5 接着層
6 芳香族ポリカーボネート

Claims (3)

  1. 偏光性を有するフィルムの両面に接着層を介して貼り合わされた芳香族ポリカーボネートシートを有する偏光シート球面あるいは非球面に曲げられており、該偏光シートの一方の面に芳香族ポリカーボネートからなる射出成形体有する偏光レンズにおいて、光入射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値が2,000nm以上20,000nm未満であり、該光入射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が該偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して垂直であり、
    光出射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシート上に、前記芳香族ポリカーボネートからなる射出成形体を有する、前記偏光レンズ。
  2. 光出射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が前記偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して平行である、請求項1に記載の偏光レンズ。
  3. 偏光性を有するフィルムの両面に接着層を介して貼り合わされた芳香族ポリカーボネートシートを有する偏光シート球面あるいは非球面に曲げられており、該偏光シートの一方の面に芳香族ポリカーボネートからなる射出成形体有する偏光レンズにおいて、該芳香族ポリカーボネートシートのリタデーション値が2,000nm以上20,000nm未満であり、光入射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が該偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して平行であり、光出射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシートの延伸軸が該偏光性を有するフィルムの吸収軸に対して垂直であり、
    前記光出射側に配置されている芳香族ポリカーボネートシート上に、前記芳香族ポリカーボネートからなる射出成形体を有する、前記偏光レンズ。
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