JP2023151668A - 偏光性湾曲積層体、偏光性積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡 - Google Patents

偏光性湾曲積層体、偏光性積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂層と接着剤層との界面において、樹脂層の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止して、優れた意匠性および光学特性を発揮する偏光性湾曲積層体、また、かかる偏光性湾曲積層体を得ることできる偏光性積層体、さらに、かかる偏光性湾曲積層体を備える信頼性に優れた眼鏡用レンズおよび眼鏡を提供すること。【解決手段】本発明の偏光性湾曲積層体10は、偏光膜13と第1樹脂層11と第2樹脂層12と第1接着剤層16と第2接着剤層17とを備え、前記一方の面側を湾曲凹面とし、前記他方の面側を湾曲凸面とする湾曲状態とされたものであり、第1樹脂層11の屈折率Rr(1)と、第1接着剤層16の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))は、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足する。【選択図】図3

Description

本発明は、偏光性湾曲積層体、偏光性積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡に関する。
ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂等を主材料として構成される樹脂層(被覆層)で偏光膜の両面を被覆した構成をなす偏光性積層体(樹脂基板)を備える眼鏡用レンズが提案されている。
この眼鏡用レンズは、例えば、平面視で平板状をなす偏光性積層体の両面に保護フィルムを貼付した状態で、平面視で円形状等の所定の形状に、偏光性積層体を打ち抜く。その後、この偏光性積層体に加熱下で熱曲げ加工を施すことで、熱曲げにより湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体とする。そして、偏光性湾曲積層体から、保護フィルムを剥離させた後に、湾曲形状とされた凹部を備える金型に、金型の凹部と偏光性湾曲積層体の凸部とが当接するようにして、偏光性湾曲積層体を吸着させた状態で、インサート射出成形法等を用いて、この偏光性湾曲積層体の凹面にポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂等の樹脂材料を主材料として構成される成形層(樹脂層)を成形することにより製造される(例えば、特許文献1参照)。
このような眼鏡用レンズの製造方法では、前述の通り、偏光性積層体に対して、加熱下における熱曲げ加工を施すことで、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体を得ることができる。このように、偏光性積層体を、湾曲形状をなすものとすることで、偏光性湾曲積層体が得られることから、偏光膜と、この偏光膜を被覆する樹脂層との間に優れた密着性が求められ、その密着性を実現することを目的に、偏光膜と樹脂層との間に接着剤層を介在させることがある。
しかしながら、このように、偏光膜と樹脂層との間に接着剤層を介在させた場合、特に、樹脂層と接着剤層との界面において、樹脂層の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認され、眼鏡用レンズの見た目(意匠性)や、光学特性が低下するという問題があった。
特開2009-294445号公報
本発明の目的は、樹脂層と接着剤層との界面において、樹脂層の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止して、優れた意匠性および光学特性を発揮する偏光性湾曲積層体、また、かかる偏光性湾曲積層体を得ることできる偏光性積層体、さらに、かかる偏光性湾曲積層体を備える信頼性に優れた眼鏡用レンズおよび眼鏡を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 偏光膜と、
前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層と、
前記偏光膜と前記第1樹脂層との間、および、前記偏光膜と前記第2樹脂層との間に、それぞれ設けられた第1接着剤層および第2接着剤層と、を備え、
前記一方の面側を湾曲凹面とし、前記他方の面側を湾曲凸面とする湾曲状態とされた偏光性湾曲積層体であって、
前記第1樹脂層の屈折率Rr(1)と、前記第1接着剤層の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))は、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足することを特徴とする偏光性湾曲積層体。
(2) 前記偏光膜の屈折率Rpと、前記第1接着剤層の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rb(1)/Rp)は、0.97≦屈折率Rb(1)/Rp≦1.03なる関係を満足する上記(1)に記載の偏光性湾曲積層体。
(3) 前記第1樹脂層の前記第1接着剤層側の表面における表面粗さRa(1)は、2.0nm以上50.0nm以下であり、前記第2樹脂層の前記第2接着剤層側の表面における表面粗さRa(2)は、0.5nm以上10.0nm以下である上記(1)または(2)に記載の偏光性湾曲積層体。
(4) 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とは、リタデーションが異なっており、前記第1樹脂層のリタデーションが0nm以上500nm以下であり、前記第2樹脂層のリタデーションが2600nm以上8000nm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の偏光性湾曲積層体。
(5) 前記第1樹脂層は、その平均厚さが0.10mm以上0.80mm以下であり、前記第2樹脂層は、その平均厚さが0.20mm以上1.00mm以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の偏光性湾曲積層体。
(6) 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、それぞれ独立して、ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂を主材料として構成される上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の偏光性湾曲積層体。
(7) 前記主材料のガラス転移点は、100℃以上190℃以下である上記(6)に記載の偏光性湾曲積層体。
(8) 偏光膜と、
前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層と、
前記偏光膜と前記第1樹脂層との間、および、前記偏光膜と前記第2樹脂層との間に、それぞれ設けられた第1接着剤層および第2接着剤層と、を備える、平板状をなす偏光性積層体であって、
前記第1樹脂層の屈折率Rr(1)と、前記第1接着剤層の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))は、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足することを特徴とする偏光性積層体。
(9) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の偏光性湾曲積層体を備えることを特徴とする眼鏡用レンズ。
(10) 上記(9)に記載の眼鏡用レンズを備えていることを特徴とする眼鏡。
本発明によれば、偏光性湾曲積層体が備える、樹脂層と接着剤層との界面において、樹脂層の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、偏光性湾曲積層体を優れた意匠性および光学特性を発揮するものとし得る。
本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズを備えるサングラスの実施形態を示す斜視図である。 本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の偏光性湾曲積層体の実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の偏光性湾曲積層体、偏光性積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の偏光性湾曲積層体10は、偏光膜13と、この偏光膜13の一方の面側に設けられた第1樹脂層11と、偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層12と、偏光膜13と第1樹脂層11との間、および、偏光膜13と第2樹脂層12との間に、それぞれ設けられた第1接着剤層16および第2接着剤層17とを備え、前記一方の面側を湾曲凹面とし、前記他方の面側を湾曲凸面とする湾曲状態とされたものであり、第1樹脂層11の屈折率Rr(1)と、第1接着剤層16の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))は、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足する。
これにより、偏光性湾曲積層体10が備える、樹脂層としての第1樹脂層11と接着剤層としての第1接着剤層16との界面において、第1樹脂層11の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、偏光性湾曲積層体10、ひいては、この偏光性湾曲積層体10を備える眼鏡用レンズ30を、優れた意匠性および光学特性を発揮するものとし得る。したがって、眼鏡用レンズ30を備えるサングラス100(眼鏡)を、優れた信頼性を有するものとし得る。
本発明の偏光性湾曲積層体10は、例えば、眼鏡の一種であるサングラス100が備える眼鏡用レンズ30が有する偏光性の樹脂基板として使用される。そこで、以下では、まず、本発明の偏光性湾曲積層体10を説明するのに先立って、このサングラス100(本発明の眼鏡)について説明する。
<サングラス>
図1は、本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズを備えるサングラスの実施形態を示す斜視図である。なお、図1において、サングラスを使用者の頭部に装着した際に、レンズの使用者の目側の面を裏側の面と言い、その反対側の面を表側の面と言う。
サングラス100は、図1に示すように、フレーム20と、眼鏡用レンズ30とを備えている。
なお、本明細書中において、「眼鏡用レンズ」とは、集光機能を有するものと、集光機能を有していないものとの双方を含むこととする。
フレーム20は、使用者の頭部に装着され、眼鏡用レンズ30を使用者の目の前方近傍に配置させるためのものである。
このフレーム20は、リム部21と、ブリッジ部22と、テンプル部23と、ノーズパッド部24とを有している。
リム部21は、リング状をなし、右目および左目にそれぞれ対応して1つずつ設けられており、内側に眼鏡用レンズ30が装着される。これにより、使用者は、眼鏡用レンズ30を介して、外部の情報を視認することができる。
また、ブリッジ部22は、棒状をなし、使用者の頭部に装着された際に、使用者の鼻の上部の前方に位置して、一対のリム部21を連結する。
テンプル部23は、つる状をなし、各リム部21のブリッジ部22が連結されている位置の反対側における縁部に連結されている。このテンプル部23は、使用者の頭部に装着する際に、使用者の耳に掛けられる。
ノーズパッド部24は、サングラス100を使用者の頭部に装着する際に、各リム部21における使用者の鼻に対応する縁部に設けられ、使用者の鼻に当接し、このとき使用者の鼻の当接部に対応した形状をなしている。これにより、装着状態を安定的に維持することができる。
フレーム20を構成する各部の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や、各種樹脂材料等を用いることができる。なお、フレーム20の形状は、使用者の頭部に装着することができるものであれば、図示のものに限定されない。
眼鏡用レンズ30(本発明の眼鏡用レンズ)は、各リム部21に、それぞれ装着されている。この眼鏡用レンズ30は、光透過性を有し、外側に向って湾曲した板状をなす部材であり、樹脂層35(成形層)と、偏光性湾曲積層体10とを有している。
樹脂層35は、光透過性を有し、レンズの裏側に位置し、眼鏡用レンズ30に、集光機能を付与する際には、この樹脂層35が集光機能を有している。
眼鏡用レンズ30の構成材料としては、光透過性を有する樹脂材料であれば、特に限定されないが、例えば、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のような各種硬化性樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられるが、中でも、後述する偏光性湾曲積層体10が備える第1樹脂層11を主材料として構成する樹脂材料と、同種もしくは同一であるのが好ましい。これにより、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との密着性の向上を図ることができる。また、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10(第1樹脂層11)との間における屈折率差を低く設定することができるため、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との間において、光が乱反射されるのを的確に抑制または防止し得ることから、優れた光透過率をもって、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との間で光を透過させることができる。なお、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10(第1樹脂層11)との間における屈折率差は、0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。これにより、前記屈折率差を低く設定することで得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。
樹脂層35の厚さは、特に限定されず、例えば、0.5mm以上5.0mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であるのがより好ましい。これにより、眼鏡用レンズ30における、比較的高い強度と、軽量化との両立を図ることができる。
偏光性湾曲積層体10は、樹脂層35の外側の面、すなわち、湾曲凸面上に、かかる形状に対応して湾曲形状をなして接合される湾曲樹脂基板であり、この偏光性湾曲積層体10を眼鏡用レンズ30が備えることにより、サングラス100に偏光性が付与される。その結果、サングラス100が、偏光性を有する偏光サングラスとしての機能を発揮する。この偏光性湾曲積層体10が、本発明の偏光性湾曲積層体で構成されるが、その詳細な説明は、後に行うこととする。
なお、前述の通り、サングラス100が備える眼鏡用レンズ30は、集光機能を有するものであっても、集光機能を有していないもののいずれであってもよい。
また、サングラス100は、前述のように、フレーム20を有するものの他、ファッション性、軽量性等の観点から、フレームのない構成をなすものであってもよい。
さらに、本実施形態では、本発明の眼鏡を、サングラス100に適用することとしたが、これに限定されず、本発明の眼鏡は、例えば、度付き眼鏡、伊達メガネ、風雨、塵芥、薬品等から眼を保護するゴーグル等であってもよい。
以上のような構成をなすサングラス100において、サングラス100が備える眼鏡用レンズ30は、本発明では、以下に示すような、眼鏡用レンズ30の製造方法を経ることで製造される。
<眼鏡用レンズの製造方法>
図2は、本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズの製造方法を説明するための模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図2の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、本発明の偏光性湾曲積層体10を備える眼鏡用レンズ30の製造方法の各工程を詳述する。
[1]まず、第1樹脂層11と偏光膜13と第2樹脂層12とを備え、これらがこの順で積層された、全体形状が平板状をなす偏光性積層体15(本発明の偏光性積層体)を用意する。そして、この偏光性積層体15の両面に、保護フィルム50(マスキングテープ)を貼付することで、偏光性積層体15の両面に保護フィルム50が貼付された多層積層体150を得る(図2(a)参照)。
[2]次に、図2(b)に示すように、用意した多層積層体150を、すなわち、偏光性積層体15の両面に保護フィルム50を貼付した状態で偏光性積層体15を、その厚さ方向に打ち抜くことで、多層積層体150を平面視で円形状をなすものとする。
[3]次に、図2(c)に示すように、円形状とされた多層積層体150に対して、加熱下で熱曲げ加工を施すことで、多層積層体150を、第1樹脂層11側が湾曲凹面とされ、第2樹脂層12側が湾曲凸面とされた湾曲形状をなす湾曲多層積層体200とする。これにより、平板状をなす偏光性積層体15を、両面に保護フィルム50が貼付された状態で、湾曲形状をなす偏光性湾曲積層体10(本発明の偏光性湾曲積層体)とすることができる。
この熱曲げ加工は、通常、プレス成形または真空成形により実施される。
この際の多層積層体150(偏光性積層体15)の加熱温度(成形温度)は、前述の通り、本実施形態では、偏光性積層体15が樹脂層11、12を備え、樹脂層11、12の溶融または軟化温度を考慮して、好ましくは110℃以上170℃以下程度、より好ましくは120℃以上160℃以下程度に設定される。加熱温度をかかる範囲内に設定することにより、偏光性積層体15の変質・劣化を防止しつつ、偏光性積層体15を軟化または溶融状態として、偏光性積層体15を確実に熱曲げして、湾曲形状をなす偏光性湾曲積層体10とすることができる。
[4]次に、熱曲げがなされた偏光性湾曲積層体10から、保護フィルム50を剥離させる。その後、図2(d)に示すように、湾曲形状とされた湾曲凹面を備える金型40に、金型40の湾曲凹面と偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面とが当接するようにして、偏光性湾曲積層体10を吸着させた状態で、例えば、インサート射出成形法を用いて、この偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、樹脂材料を主材料として構成される樹脂層35(成形層)を射出成形する。すなわち、溶融状態とされた樹脂層35の構成材料を、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、接触させた状態で冷却して固化させることにより、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、接着剤層等を介することなく、樹脂層35を、直接、接触させた状態で成形する。これにより、熱曲げがなされた偏光性湾曲積層体10と、樹脂層35とを備える眼鏡用レンズ30(本発明の眼鏡用レンズ)が製造される。
この樹脂層35を射出成形する際における、溶融状態とするための樹脂層35の構成材料の加熱温度(成形温度)は、樹脂層35の構成材料の種類に応じて適宜設定されるが、樹脂層35の構成材料が、後述する偏光性湾曲積層体10が備える第1樹脂層11の構成材料と、同種もしくは同一である場合、好ましくは180℃以上320℃以下程度、より好ましくは230℃以上300℃以下程度に設定される。加熱温度をかかる範囲内に設定することにより、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、溶融状態とされた樹脂層35の構成材料を、確実に供給することができる。
また、インサート射出成形法の中でも、射出圧縮成形法が好ましく用いられる。射出圧縮成形法は、金型40の中に樹脂層35を形成するための樹脂材料を低圧で射出した後、金型40を高圧で閉じてこの樹脂材料に圧縮力を加える方法をとるため、成形体としての樹脂層35ひいては眼鏡用レンズ30に成形歪みや成形時の樹脂分子の局所的配向に起因する光学的異方性が生じにくいことから好ましく用いられる。また、樹脂材料に対して均一に加わる金型圧縮力を制御することにより、一定比容で樹脂材料を冷却することができるので、寸法精度の高い樹脂層35を得ることができる。
以上のような眼鏡用レンズの製造方法により製造される眼鏡用レンズ30が備える偏光性湾曲積層体10として、本発明の偏光性湾曲積層体が用いられる。
<偏光性湾曲積層体10>
図3は、本発明の偏光性湾曲積層体の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図3の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の偏光性湾曲積層体10は、偏光膜13と、この偏光膜13の一方の面側に設けられた第1樹脂層11と、偏光膜13の他方の面側に設けられた第2樹脂層12と、偏光膜13と第1樹脂層11との間、および、偏光膜13と第2樹脂層12との間に、それぞれ設けられた第1接着剤層16および第2接着剤層17と、を備え、前記一方の面側(第1樹脂層11側)を湾曲凹面とし、前記他方の面側(第2樹脂層12側)を湾曲凸面とする湾曲状態とされたものである。すなわち、偏光性積層体15は、その全体形状が湾曲形状をなしている、第1樹脂層11と、第1接着剤層16と、偏光膜13と、第2接着剤層17と、第2樹脂層12とが、この順で積層され、第1樹脂層11側を湾曲凹面とし、第2樹脂層12側を湾曲凸面とする積層体で構成されている。
この偏光性湾曲積層体10において、本発明では、第1樹脂層11と、第1接着剤層16とは、第1樹脂層11の屈折率Rr(1)と、第1接着剤層16の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))が0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足する。
以下、この偏光性湾曲積層体10(本発明の偏光性湾曲積層体)について、偏光性湾曲積層体10を構成する各部(各層)について説明する。
(偏光膜13)
偏光膜13は、入射光(偏光していない自然光)から、所定の一方向に偏光面をもつ直線偏光を取り出す機能を有している。これにより、偏光性湾曲積層体10を通過する光は、偏光されたものとなる。
偏光膜13の偏光度は、特に限定されないが、例えば、50%以上100%以下であるのが好ましく、80%以上100%以下であるのがより好ましい。また、偏光膜13の可視光線透過率は、特に限定されないが、例えば、10%以上80%以下であるのが好ましく、20%以上50%以下であるのがより好ましい。
このような偏光膜13の構成材料としては、上記機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン価物等で構成された高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着、染色させ、一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
これらの中でも、偏光膜13は、ポリビニルアルコール(PVA)を主材料とした高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着、染色させ、一軸延伸したものが好ましい。ポリビニルアルコール(PVA)は透明性、耐熱性、染色剤であるヨウ素または二色性染料との親和性、延伸時の配向性のいずれもが優れた材料である。したがって、PVAを主材料とする偏光膜13は、耐熱性に優れたものとなるとともに、偏光能に優れたものとなる。
なお、本明細書中において、「主材料」とは、このものを含有する層(膜)を構成する構成材料のうち、50重量%以上含有する構成材料のことを言うこととする。
なお、上記二色性染料としては、例えばクロラチンファストレッド、コンゴーレッド、ブリリアントブルー6B、ベンゾパープリン、クロラゾールブラックBH、ダイレクトブルー2B、ジアミングリーン、クリソフェノン、シリウスイエロー、ダイレクトファーストレッド、アシッドブラックなどが挙げられる。
この偏光膜13の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。
また、偏光膜13の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.45以上1.63以下であるのが好ましく1.45以上1.55以下であるのがより好ましく、1.47以上1.53以下であるのがさらに好ましい。
(第1樹脂層11および第2樹脂層12)
第1樹脂層11(第1保護層)および第2樹脂層12(第2保護層)は、図2(d)、図3に示すように、それぞれ、偏光膜13の下面側(一方の面側)および上面側(他方の面側)に設けられ、これにより、偏光膜13を保護する保護層として機能する。
これら第1樹脂層11および第2樹脂層12は、特に限定されないが、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、および、トリアセチルセルロースのようなセルロース樹脂等の樹脂材料を主材料として構成され、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリアミド系樹脂またはポリカーボネート系樹脂を主材料として構成されていることが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富むため、偏光性湾曲積層体10の透明性や耐衝撃性を向上させることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は、その比重が1.2程度であり、樹脂材料の中でも軽いものに分類されることから、偏光性湾曲積層体10の軽量化が図られる。また、ポリアミド系樹脂は、透明性および耐衝撃性の他に、耐薬品性、耐応力性等の向上を図ることができる。
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができ、例えば、脂環式ポリアミド、半芳香族ポリアミド等が挙げられる。脂環式ポリアミドは、耐衝撃性に優れた材料である。そのため、偏光性湾曲積層体10を優れた耐衝撃性を発揮するものとすることができる。また、半芳香族ポリアミドは、弾性率の高い材料である。そのため、曲げ等の応力に対して、優れた耐性を有する偏光性湾曲積層体10とすることができる。
なお、本明細書において、半芳香族ポリアミドとは、ポリアミドを構成するモノマーとしてのジカルボン酸、ジアミンのうちの一方が芳香族性化合物であり、他方が脂肪族化合物であるポリアミドのことを言い、具体的には、下記式(1B)で表すことができる。
(ただし、式(1B)中のRおよびRは、一方が2価の芳香族置換基、他方が2価の脂肪族置換基であり、nは、2以上の整数である。)
なお、ポリアミドは、ジカルボン酸、ジアミンのうち少なくとも一方について、2種以上のモノマーを含む共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)であってもよい。
また、上記式(1B)中のR、Rのうちの芳香族置換基としては、下記式(2B)で表されるものであるのが好ましい。
(ただし、式(2B)中、l、mは、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。)
これにより、偏光膜13をより好適に保護することができるとともに、偏光性湾曲積層体10の加工性をより優れたものとすることができる。また、樹脂層11、12にリタデーションを付与する場合には、樹脂層11、12の延伸によるリタデーションの制御をより容易に行うことができる。
上記式(1B)中のR、Rのうちの脂肪族置換基は、炭素数が4以上18以下のものであるのが好ましく、炭素数が4以上18以下の炭化水素基であるのがより好ましく、炭素数が4以上18以下の飽和炭化水素基であるのがさらに好ましい。
これにより、偏光性湾曲積層体10の加工性をより優れたものとすることができる。
さらに、半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジアミンとを構成モノマーとして含むものであるのが好ましい。これにより、偏光膜13をより好適に保護することができるとともに、偏光性湾曲積層体10の加工性をより優れたものとすることができる。また、延伸によるリタデーションの制御をより容易に行うことができる。
脂環式ポリアミドは、その分子内に脂環式の化学構造を有しており、主鎖構造内に脂環式の化学構造を有していてもよいし、側鎖構造内に脂環式の化学構造を有していてもよい。
この脂環式ポリアミドとしては、例えば、ポリアミドを構成するモノマーとしてのジカルボン酸、ジアミンのうちの少なくとも一方が脂環式の化学構造を有する化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、下記式(3B)で表すことができる。
(ただし、式(3B)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が4以下の炭化水素基、oは、2以上14以下の整数、pは、0以上6以下の整数、nは、2以上の整数である。)
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができるが、中でも、芳香族系ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、その主鎖に芳香族環を備えており、これにより、偏光性湾曲積層体10の強度をより優れたものとすることができる。
この芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
(式(1A)中、Xは、炭素数1~18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
なお、前記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’-(ペンタン-2,2-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ブタン-2,2-ジイル)ジフェノール、1,1’-(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2-シクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3-ビスシクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールに由来する骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を主成分とするのが好ましい。かかるビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を用いることにより、偏光性湾曲積層体10は、さらに優れた強度を発揮するものとなる。
第1樹脂層11および第2樹脂層12中に主材料として含まれる樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、100℃以上190℃以下であるのが好ましく、120℃以上165℃以下であるのがより好ましい。これにより、前記工程[3]における偏光性積層体15の熱曲げ加工の際に、偏光性積層体15を加熱する加熱温度を、好ましくは110℃以上170℃以下程度に設定することで、樹脂層11、12の変質・劣化を確実に防止しつつ、樹脂層11、12を確実に軟化または溶融状態とし得ることから、偏光性積層体15の熱曲げにより、偏光性湾曲積層体10を確実に形成することができる。また、第1樹脂層11および第2樹脂層12にリタデーションを発現させる際には、このリタデーションの発現のための延伸を好適に行うことができる。さらに、偏光性湾曲積層体10の耐久性、信頼性を優れたものとすることができる。
また、第1樹脂層11および第2樹脂層12には、主材料として含まれる樹脂材料以外に、他の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、特に限定されないが、例えば、主材料以外の樹脂材料や、染料等の着色剤、充填材、配向助剤、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤等)、可塑剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤および粘度調整剤等が挙げられる。
この場合、第1樹脂層11または第2樹脂層12中の樹脂材料の含有量は、特に限定されないが、第1樹脂層11または第2樹脂層12の100質量部中、75質量部以上であるのが好ましく、85質量部以上であるのがより好ましい。樹脂材料の含有量を上記範囲内とすることにより、偏光性湾曲積層体10を、優れた強度を発揮するものとすることができる。
なお、第1樹脂層11および第2樹脂層12を構成する構成材料は、それぞれ、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
さらに、第1樹脂層11および第2樹脂層12にリタデーションを発現させる場合、第1樹脂層11のリタデーションと第2樹脂層12のリタデーションとは、異なっているのが好ましく、第1樹脂層11のリタデーションは、第2樹脂層12のリタデーションよりも低くなっているのが好ましい。
これにより、第2樹脂層12は、熱収縮により湾曲曲率が小さくなる方向に変形しやすいが、第1樹脂層11は、熱収縮により変形しにくくすることができる。したがって、図2、図3に示したように、眼鏡用レンズ30が備える偏光性湾曲積層体10に適用することで、湾曲した湾曲状態で用いられることになるが、この際に、湾曲凸面側に第2樹脂層12が位置し、湾曲凹面側に第1樹脂層11が位置するように湾曲形状とするのが好ましい。この場合、第2樹脂層12が比較的熱収縮率が高くなるため、比較的熱変形しやすいが、偏光性湾曲積層体10では、第1樹脂層11は、第2樹脂層12の熱変形を抑制する機能を発揮する。そのため、偏光性湾曲積層体10全体として、熱による過剰な変形を防止することができる。その結果、偏光性湾曲積層体10の熱変形に起因して、眼鏡用レンズ30自体の形状が変形するのを、的確に抑制または防止することができる。
第1樹脂層11のリタデーションは、0nm以上500nm以下であるのが好ましく、50nm以上350nm以下であるのがより好ましい。第2樹脂層12のリタデーションは、2600nm以上8000nm以下であるのが好ましく、3500nm以上6500nm以下であるのがより好ましい。これにより、第1樹脂層11のリタデーションを十分に低くすることができるとともに、第2樹脂層12のリタデーションを十分に高くすることができる。よって、第1樹脂層11のリタデーションを、第2樹脂層12のリタデーションよりも低くすることにより得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。また、偏光性湾曲積層体10の偏光性能を十分に高めることができる。
なお、第1樹脂層11および第2樹脂層12のリタデーションの差異は、層中に含まれる構成材料や、厚さ、さらには、延伸倍率等を異ならせることにより発現させることができる。
第1樹脂層11の延伸倍率は、特に限定されないが、前記リタデーションの大きさに設定されるように、例えば、0.95以上1.1以下であるのが好ましい。第2樹脂層12の延伸倍率は、特に限定されないが、前記リタデーションの大きさに設定されるように、1.5以上3.5以下であるのが好ましい。
また、第1樹脂層11、第2樹脂層12および偏光膜13の延伸方向は、一致しているのが好ましい。これにより、偏光性湾曲積層体10の偏光性能をさらに高めることができる。
さらに、第1樹脂層11は、JIS B 0601に準拠して測定される、湾曲凹面における表面粗さRa(1)は、好ましくは2.0nm以上50.0nm以下、より好ましくは5.0nm以上45.0nm以下、さらに好ましくは10.0nm以上40.0nm以下、特に好ましくは15.0nm以上35.0nm以下の大きさに設定される。
ここで、前記工程[4]において、例えば、インサート射出成形法により、偏光性湾曲積層体10と樹脂層35とを備える眼鏡用レンズ30を製造する際、すなわち、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に樹脂層35を形成する際には、溶融状態とされた樹脂層35の構成材料が、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、供給され、その後、接触させた状態で冷却して固化される。これにより、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、接着剤層等を介することなく、樹脂層35が、直接、接触した状態で成形される。
このとき、第1樹脂層11の湾曲凹面における表面粗さRa(1)の大きさが前記範囲内の大きさに設定されていると、この湾曲凹面の表面が凹凸パターンで構成されていると言える。この表面の凹凸パターンに対して、溶融状態とされた樹脂層35の構成材料が、追従(埋入)した状態で、冷却・固化されて樹脂層35が形成されるため、この樹脂層35をも、凹凸パターンに対して、追従した状態で形成される。したがって、偏光性湾曲積層体10と樹脂層35との界面においてアンカー効果が得られることに起因して、偏光性湾曲積層体10と樹脂層35とが、接着剤層等を介することなく、直接、接触させた状態で接合されていたとしても、これら同士の間において、優れた密着力を得ることができる。そのため、夏場の車内のダッシュボード上のような過酷な条件下に、この眼鏡用レンズ30を、長時間放置したとしても、偏光性湾曲積層体10と樹脂層35との界面において、気泡や、剥離が発生するのを的確に抑制または防止し得ることから、偏光性湾曲積層体10を備える眼鏡用レンズ30を、優れた耐熱性を発揮するものであると言える。よって、この眼鏡用レンズ30を備えるサングラス100を、信頼性に優れたものとすることができる。また、偏光性湾曲積層体10と樹脂層35との界面においてアンカー効果が得られることから、偏光性湾曲積層体10が備える第1樹脂層11と樹脂層35とに、それぞれ主材料として含まれる樹脂材料は、同種もしくは同一であるものが好ましく用いられるが、若干広い範囲の同種のものまで用いることができる。
また、第1樹脂層11の樹脂層35とは反対の面側には、第1接着剤層16が接合されているが、前記反対の面における表面粗さが、前記湾曲凹面における表面粗さRa(1)の大きさと同様の前記範囲内の大きさに設定されていれば、偏光性湾曲積層体10と第1接着剤層16との界面においてもアンカー効果が得られることとなる。そのため、第1樹脂層11と第1接着剤層16との間においても、優れた密着力を得ることができる。
これに対して、第2樹脂層12は、JIS B 0601に準拠して測定される、湾曲凸面、および、その反対側の表面における表面粗さRa(2)が好ましくは0.5nm以上10.0nm以下、より好ましくは0.5nm以上8.0nm以下、さらに好ましくは0.5nm以上5.0nm以下、特に好ましくは1.5nm以上3.0nm以下の大きさに設定されている。これにより、この第2樹脂層12の表面が鏡面で構成されていると言える。そのため、眼鏡用レンズ30を透過させる透過光が第2樹脂層12の表面において、第2樹脂層12の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止して、偏光性湾曲積層体10、ひいては、この偏光性湾曲積層体10を備える眼鏡用レンズ30を、優れた意匠性および光学特性を発揮するものとし得る。
第2樹脂層12の平均厚さは、例えば、0.2mm以上1.0mm以下であるのが好ましく、0.25mm以上0.7mm以下であるのがより好ましい。かかる範囲内に第2樹脂層12の平均厚さが設定されることにより、第2樹脂層12の表面に比較的容易に鏡面加工を施すことができるため、第1樹脂層11の湾曲凹面における表面粗さRa(1)を、確実に前記範囲内に設定することができる。
また、第1樹脂層11の平均厚さは、例えば、0.1mm以上0.8mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上0.4mm以下であるのがより好ましい。第1樹脂層11の表面に対する凹凸パターンの形成は、比較的その平均厚さが薄い第1樹脂層11に対しても実施し得ることから、第1樹脂層11の平均厚さを、前記範囲内に設定することにより、偏光性湾曲積層体10の平均厚さが不本意に厚くなり過ぎるのを、的確に抑制または防止することができる。
また、第1樹脂層11および第2樹脂層12の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.45以上1.66以下であるのが好ましく、1.48以上1.60以下であるのがより好ましい。
(第1接着剤層16および第2接着剤層17)
第1接着剤層16および第2接着剤層17は、それぞれ、偏光膜13と第1樹脂層11との間、および、偏光膜13と第2樹脂層12との間に介在することで、これら同士を接合する機能を有するものである。
これら第1接着剤層16および第2接着剤層17のうち、第1接着剤層16は、本発明において、第1樹脂層11の屈折率Rr(1)と、第1接着剤層16の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))が、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足している。
ここで、前述の通り、第1樹脂層11は、樹脂層35と優れた密着力を得るために、その湾曲凹面における表面粗さRa(1)が好ましくは2.0nm以上50.0nm以下の大きさに設定され、この湾曲凹面とは反対側の表面についても、同様に、好ましくは2.0nm以上50.0nm以下の大きさに設定されている。そのため、第1樹脂層11の双方の面は、凹凸パターンで構成されていると言える。
このように、第1樹脂層11の湾曲凹面とは反対側の表面、すなわち、第1接着剤層16側の表面が凹凸パターンで構成されていたとしても、本発明では、上記の通り、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足して、第1接着剤層16と第1樹脂層11との間における屈折率差が低く設定されているため、第1接着剤層16と第1樹脂層11との間において、第1樹脂層11の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止し得ることから、偏光性湾曲積層体10に、優れた意匠性および光学特性を付与することができる。
なお、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足していればよいが、0.96≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.02なる関係を満足していることが好ましい。これにより、第1樹脂層11の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのをより的確に抑制または防止することができる。
また、第2樹脂層12は、その表面における表面粗さRa(2)が好ましくは0.5nm以上10.0nm以下の大きさに設定されている。このように、表面粗さRa(2)は、第1樹脂層11の表面粗さRa(1)よりも小さく設定されるため、第2接着剤層17と第2樹脂層12との間において、第2樹脂層12の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認される割合は小さくなるが、第2樹脂層12の屈折率Rr(2)と、第2接着剤層17の屈折率Rb(2)との比の関係式(屈折率Rr(2)/Rb(2))は、0.93≦屈折率Rr(2)/Rb(2)≦1.07なる関係を満足していることが好ましく、0.96≦屈折率Rr(2)/Rb(2)≦1.02なる関係を満足していることがより好ましい。これにより、第2接着剤層17と第2樹脂層12との間においても、第2樹脂層12の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止得ることから、偏光性湾曲積層体10に、優れた意匠性および光学特性を付与することができる。
さらに、第1接着剤層16は、第1樹脂層11との関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))の他、偏光膜13との関係式(屈折率Rb(1)/Rp)が0.95≦屈折率Rb(1)/Rp≦1.07なる関係を満足することが好ましく、0.97≦屈折率Rb(1)/Rp≦1.03なる関係を満足することがより好ましい。これにより、第1接着剤層16と偏光膜13との間における屈折率差についても低く設定されていると言える。そのため、第1接着剤層16と偏光膜13との間においても、偏光膜13の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止得ることから、偏光性湾曲積層体10に、優れた意匠性および光学特性を付与することができる。
また、第2接着剤層17は、第2樹脂層12との関係式(屈折率Rr(2)/Rb(2))の他、偏光膜13との関係式(屈折率Rb(2)/Rp)が0.95≦屈折率Rb(1)/Rp≦1.07なる関係を満足することが好ましく、0.97≦屈折率Rb(1)/Rp≦1.03なる関係を満足することがより好ましい。これにより、第2接着剤層17と偏光膜13との間における屈折率差についても低く設定されていると言える。そのため、第2接着剤層17と偏光膜13との間においても、偏光膜13の表面で不可避的に生じる凹凸に由来するスジが視認されるのを的確に抑制または防止し得ることから、偏光性湾曲積層体10に、優れた意匠性および光学特性を付与することができる。
また、接着剤層16、17の屈折率は、前記関係式を満足し得る大きさのものであれば、特に限定されないが、例えば、1.45以上1.60以下であるのが好ましく、1.47以上1.55以下であるのがより好ましい。
このような接着剤層16、17は、光透過性を有する接着剤により構成されており、この接着剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、ポリオレフィン系、塩素化ポリオレフィン系、シアノアクリレート系、ゴム系、ポリエステル系、ポリイミド系、フェノール系等の接着剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系およびウレタン系の接着剤であることが好ましい。シリコーン系、エポキシ系、アクリル系およびウレタン系の接着剤であれば、前記関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))を比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
なお、接着剤は、1液湿気硬化型、1液潜在性硬化剤型および2液硬化型のいずれのものであってもよい。
接着剤層16、17の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。これにより、接着剤層16、17としての機能を、確実に付与することができる。
なお、第1接着剤層16および第2接着剤層17を構成する構成材料は、それぞれ、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、第1接着剤層16および第2接着剤層17の屈折率Rb(1)、Rb(2)は、それぞれ、同一のであってもよいし、異なっていてもよい。
さらに、かかる構成をなしている偏光性積層体15は、その総厚が0.1mm以上2mm以下であるのが好ましい。
なお、偏光性積層体15(本発明の偏光性積層体)は、前記工程[3]において、熱曲げ加工を施すことで得られる偏光性湾曲積層体10に対して、熱曲げ加工を施す前、すなわち、湾曲形状をなすものとする前の状態である、平板状をなすものである。そして、この偏光性積層体15は、前述したような表面粗さRaの大きさに設定されている第1樹脂層11および第2樹脂層12を用意し、これらを、それぞれ、偏光膜13に対して、第1接着剤層16および第2接着剤層17を介して接合することで得ることができる。
また、偏光性湾曲積層体10は、偏光性積層体15に熱曲げ加工を施すことで、第1樹脂層11側の表面を湾曲凹面とし、第2樹脂層12側の表面を湾曲凸面とする湾曲状態をなすものであるが、その湾曲の程度は、湾曲凸面において、湾曲凸面の一方向と、この一方向に直交する直交方向とでは、ともに、好ましくは1カーブ以上9カーブ以下程度、すなわち、曲率半径に換算すると、好ましくは58mm以上523mm以下に設定されている。
以上、本発明の偏光性湾曲積層体、偏光性積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の偏光性湾曲積層体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、本発明の偏光性湾曲積層体は、前述した構成に加え、任意の構成物が付加されていてもよい。
より具体的には、例えば、本発明の偏光性湾曲積層体は、中間層や、レンズとしての度数を調整する度数調整層等を備えていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.原材料の準備
<ポリアミド(PA1)>
ポリカーボネート(PA1)として、Grilamid TR90(EMS社製、脂環式ポリアミド)を用意した。
<ポリアミド(PA2)>
ポリカーボネート(PA2)として、Grilamid TR-55(EMS社製、脂環式ポリアミド)を用意した。
<ポリアミド(PA3)>
ポリカーボネート(PA3)として、Grivory G21(EMS社製、芳香族ポリアミド)を用意した。
<ポリカーボネート(PC1)>
ポリカーボネート(PC1)として、ユーピロンE-2000(三菱エンジニアプラスチックス社製)を用意した。
<ポリメタクリル酸メチル(PMMA1)>
ポリメタクリル酸メチル(PMMA1)として、デルペットPM120N(旭化成社製)を用意した。
<二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤1>
二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤1として、主剤:三井化学社製、「タケラック A-1143」、硬化剤:三井化学社製、「タケネート A-50」を用意した。
<二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤2>
二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤2として、主剤:三井化学社製、「タケラック A-1143」、硬化剤:三井化学社製、「タケネート A-10」を用意した。
<光硬化型ウレタンアクリレート系接着剤1>
光硬化型ウレタンアクリレート系接着剤1として、NorlandProducts社製、「NOA132」を用意した。
<光硬化型ウレタンアクリレート系接着剤2>
光硬化型ウレタンアクリレート系接着剤2として、NorlandProducts社製、「NOA170」を用意した。
2.偏光性湾曲積層体の製造
(実施例1)
まず、ポリビニルアルコール系フィルムを、水槽中で延伸しながら、染料を溶解した水溶液にて染色し、ホウ酸で処理した。その後、処理されたポリビニルアルコール系フィルムを水洗いし、乾燥した。これにより、厚さが35μmの偏光膜13を得た。なお、この偏光膜13における、587.6nmの波長(d線)の23℃での屈折率Rpを、精密屈折計(アタゴ社製、「DR-A1-Plus」)を用いて測定したところ、1.51であった。
一方で、第1樹脂材料としてポリアミド(PA1)を用い、ベント式単軸押出機による押出成形により、厚さ0.2mm、リタデーション100nmのシート状の第1樹脂層11を得た。なお、第1樹脂層11の表面における表面粗さRa(1)を、JIS B 0601に準拠して、非接触表面形状測定機(Zygo社製、「New View 7300」)を用いて測定したところ、18.20μmであった。また、第1樹脂層11における、587.6nmの波長(d線)の23℃での屈折率Rr(1)を、精密屈折計(アタゴ社製、「DR-A1-Plus」)を用いて測定したところ、1.51であった。
また、第2樹脂材料としてポリアミド(PA1)を用い、ベント式単軸押出機による押出成形により厚さ0.5mmの第1シートを得た。そして、この第1シートが120℃となるように加熱しながら2倍に一軸延伸することにより、厚さ0.4mm、リタデーション2600nmのシート状の第2樹脂層12を得た。なお、第2樹脂層12の表面における表面粗さRa(2)を、JIS B 0601に準拠して、非接触表面形状測定機(Zygo社製、「New View 7300」)を用いて測定したところ、2.30μmであった。また、第2樹脂層12における、587.6nmの波長(d線)の23℃での屈折率Rr(2)を、精密屈折計(アタゴ社製、「DR-A1-Plus」)を用いて測定したところ、1.51であった。
次いで、第1樹脂層11の一方の面上に、第1接着剤として二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤1をバーコーターにて乾燥後の厚さが20μmになるように塗布した。また、第2樹脂層12の一方の面上に、第2接着剤として二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤1をバーコーターにて乾燥後の厚さが20μmになるように塗布した。
次いで、第1接着剤および第2接着剤がそれぞれ塗布された第1樹脂層11および第2樹脂層12を、オーブンに入れ、第1接着剤および第2接着剤中の溶剤分が乾燥するまで加熱した。これにより、第1樹脂層11の一方の面上に接着剤層16(第1接着剤層)が積層された第1積層体を得るとともに、第2樹脂層12の一方の面上に接着剤層17(第2接着剤層)が積層された第2積層体を得た。
なお、接着剤層16、17における、587.6nmの波長(d線)の20℃での屈折率Rb(1)および屈折率Rb(2)を、それぞれ、精密屈折計(アタゴ社製、「DR-A1-Plus」)を用いて測定したところ、ともに1.53であった。
その後、偏光膜13の一方の面上に、第1接着剤層16が接触するように、第1積層体を偏光膜13に積層し、偏光膜13の他方の面上に、第2接着剤層17が接触するように、第2積層体を偏光膜13に積層することで、実施例1の偏光性積層体15を得た。この際、ラミネーター機のゴムロールを用いて、第1積層体、偏光膜13および第2積層体をそれぞれ圧着させて、偏光性積層体15の総厚を0.75mmとした。
そして、このような偏光性積層体15の両面側、すなわち、第1樹脂層11の偏光膜13とは反対側の面上に、また、第2樹脂層12の偏光膜13とは反対側の面上にそれぞれポリオレフィンからなる保護フィルム50をラミネート法により積層した。
次いで、この偏光性積層体15を、直径8cmに打ち抜いた後に、レマ成形機(真空成形機)(CR-32型)を用いて、150℃、10分間、吸引しつつ熱曲げ加工を行うことで、湾曲凸面のMD(一方向)およびTD(一方向に直交する直交方向)における曲率半径がともに87.2mmである、実施例1の偏光性湾曲積層体10を得た。
(実施例2~実施例6、比較例1、比較例2)
偏光性湾曲積層体10が備える第1樹脂層11および第2樹脂層12を形成するのに用いる樹脂材料として、表1に示すものを用いて、表1に示す特性を備える第1樹脂層11および第2樹脂層12を形成し、さらに、偏光性湾曲積層体10が備える第1接着剤層16および第2接着剤層17を形成するのに用いる接着剤として、表1に示すものを用いて、表1に示す特性を備える第1接着剤層16および第2接着剤層17を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~実施例6、比較例1、比較例2の偏光性積層体15および偏光性湾曲積層体10を得た。
3.評価
各実施例および各比較例の偏光性湾曲積層体10について、それぞれ、以下の評価を行った。
<1>ラミネート後における偏光性湾曲積層体の外観の確認
各実施例および各比較例の偏光性湾曲積層体10について、蛍光灯越しに、樹脂層11、12および偏光膜13の表面における凹凸に由来するスジの発生の有無を目視にて観察し、そして、観察されたスジに基づいて、次のように評価した。
◎:偏光性湾曲積層体10に、スジを認めることはできない。
○:偏光性湾曲積層体10に、若干のスジが認められるものの、
その意匠性および光学特性に影響を及ぼさない程度のものである。
×:偏光性湾曲積層体10に、明らかなスジが認められ、
その意匠性および光学特性に明らかな影響を及ぼす。
以上のようにして得られた評価結果を、表1に示す。
表1に示すように、各実施例では、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足しており、偏光性湾曲積層体10において、第1樹脂層11の表面における凹凸に由来するスジの発生が抑制されており、意匠性および光学特性に優れた偏光性湾曲積層体10が得られる結果を示した。
これに対して、各比較例では、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足しておらず、偏光性湾曲積層体10において、第1樹脂層11の表面における凹凸に由来するスジが発生しており、意匠性および光学特性に劣る偏光性湾曲積層体10が得られる結果となった。
10 偏光性湾曲積層体
11 第1樹脂層
12 第2樹脂層
13 偏光膜
15 偏光性積層体
16 第1接着剤層
17 第2接着剤層
20 フレーム
21 リム部
22 ブリッジ部
23 テンプル部
24 ノーズパッド部
30 眼鏡用レンズ
35 樹脂層
40 金型
50 保護フィルム
100 サングラス
150 多層積層体
200 湾曲多層積層体

Claims (10)

  1. 偏光膜と、
    前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層と、
    前記偏光膜と前記第1樹脂層との間、および、前記偏光膜と前記第2樹脂層との間に、それぞれ設けられた第1接着剤層および第2接着剤層と、を備え、
    前記一方の面側を湾曲凹面とし、前記他方の面側を湾曲凸面とする湾曲状態とされた偏光性湾曲積層体であって、
    前記第1樹脂層の屈折率Rr(1)と、前記第1接着剤層の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))は、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足することを特徴とする偏光性湾曲積層体。
  2. 前記偏光膜の屈折率Rpと、前記第1接着剤層の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rb(1)/Rp)は、0.97≦屈折率Rb(1)/Rp≦1.03なる関係を満足する請求項1に記載の偏光性湾曲積層体。
  3. 前記第1樹脂層の前記第1接着剤層側の表面における表面粗さRa(1)は、2.0nm以上50.0nm以下であり、前記第2樹脂層の前記第2接着剤層側の表面における表面粗さRa(2)は、0.5nm以上10.0nm以下である請求項1または2に記載の偏光性湾曲積層体。
  4. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とは、リタデーションが異なっており、前記第1樹脂層のリタデーションが0nm以上500nm以下であり、前記第2樹脂層のリタデーションが2600nm以上8000nm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の偏光性湾曲積層体。
  5. 前記第1樹脂層は、その平均厚さが0.10mm以上0.80mm以下であり、前記第2樹脂層は、その平均厚さが0.20mm以上1.00mm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偏光性湾曲積層体。
  6. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、それぞれ独立して、ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂を主材料として構成される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の偏光性湾曲積層体。
  7. 前記主材料のガラス転移点は、100℃以上190℃以下である請求項6に記載の偏光性湾曲積層体。
  8. 偏光膜と、
    前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層と、
    前記偏光膜と前記第1樹脂層との間、および、前記偏光膜と前記第2樹脂層との間に、それぞれ設けられた第1接着剤層および第2接着剤層と、を備える、平板状をなす偏光性積層体であって、
    前記第1樹脂層の屈折率Rr(1)と、前記第1接着剤層の屈折率Rb(1)との比の関係式(屈折率Rr(1)/Rb(1))は、0.93≦屈折率Rr(1)/Rb(1)≦1.07なる関係を満足することを特徴とする偏光性積層体。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の偏光性湾曲積層体を備えることを特徴とする眼鏡用レンズ。
  10. 請求項9に記載の眼鏡用レンズを備えていることを特徴とする眼鏡。
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