JP3681325B2 - 光学用積層成型品の製造方法および積層成型品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高度な偏光性能を有する光学用眼鏡レンズの製造方法およびそのレンズに関するものであり、両面にセルローストリアセテートフィルムが貼着されている偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に種々のプラスチックフィルムを貼り合わせて得た積層シートを、熱プレス加工にて成型し、これを射出成型機の成型型に挿入して、上記プラスチックフィルム側に該プラスチックフィルムと融着する樹脂を用いて成型することにより、色々な材質の偏光レンズが得られると共に、成型に使用する樹脂に種々の顔料などを混入することにより、一種類の偏光シートを使用して多様な偏光レンズが製造できることを特徴とするものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスを用いた偏光レンズは古くから製造されており、これはガラスレンズ二枚の間に接着剤を用いて偏光フィルムを圧着接着するものである。しかしながら、近年は眼鏡の軽量化および破損による目への安全性のために、種々のプラスチック素材のレンズが使用されている。その代表的なものがCR−39(米国、PPG社の熱硬化性成型樹脂の商品名)を使用して注入成型によって製造した偏光レンズである。これは一般的にはキャスト法といわれ、凹面と凸面とからなるモールドによって形成される空隙間に球面状に予備成型した偏光フィルムを装着して形成する方法(特公昭53−29711号公報)である。
【0003】
また、特公昭50−3656号公報には、偏光性薄膜の両面に厚さの異なる熱可塑性樹脂を積層し、これをプレス成型することによる製造方法が記載されている。特公昭61−56090号公報においては、偏光素子を融着性素材に直接張り合わせた偏光シートを使用することを特徴とした成型レンズの製法であり、さらに特公平7−94154号公報には偏光性薄膜の両側にポリカーボネートフィルムまたはシートを積層し、厚み0.5〜2.5mmの積層体を製造し、この積層体を加圧熱成型することにより偏光ポリカーボネートレンズを製造する方法が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のいずれの方法も製造に長時間を要したり、使用する偏光シートが特殊なため経済性に問題があったり、またシートからの熱曲げ成型では歪みが生じたりして、多様なニーズに合わせるために多くの着色シートを用いなければならないといった多くの問題が存在している。
【0005】
本発明者は近年開発されている種々のプラスチック材料素材に対応できるハイレベルの偏光レンズを経済的に製造すると共に、さらにはファッション性に対応するために一種類の偏光シートを用いて多種類の色ならびに光線透過率を有する偏光レンズの製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の種々の問題を解決するために、最近技術的に大きな進歩をしているLCD用の高度な技術を用いた光線透過率が高く、しかも偏光度が限りなく100%に近く、色濃度の低い偏光フィルムの両面を光線透過率の非常に高いセルローストリアセテートフィルムで挟んで得た偏光シートの片面に、目的レンズ材質と相溶性があり、融着性がある光学的に透明性を有するプラスチックフィルムを接着剤を用いて積層し、この積層シートを成型目的物と同じ形状に熱プレス加工にて成型し、この成型シートを型抜きし、これを目的成型品の成型型に融着面が内側になるように挿入して目的レンズ材樹脂を射出成型する方法を見出したものである。
【0007】
即ち、この発明は、偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを貼着して得た、厚さが0.2mm以下、全光線透過率が40%以上、偏光度が99.0%以上である偏光シートを用い、この偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に、全光線透過率が80%以上であり、その厚さが0.1〜0.3mmのプラスチックフィルムを接着剤を用いて積層し、この積層シートを成型目的物の外側形態に近い形状に該シートのセルローストリアセテートフィルム面が外面になるように熱プレス加工にて成型し、これを成型型の内面に挿入した後、上記プラスチックフィルムと融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型する、偏光性能を有する光学用積層成型品の製造方法とそれより得られる光学用積層成型品を特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明に使用できる偏光シートは、ベースフィルムとして一般的に使用されているポリビニルアルコール系フィルムを耐湿熱性を有する二色性染料を用いて染色、延伸して製造した偏光フィルムと、この偏光フィルムの両面に光学的に優れた透明性を有するセルローストリアセテートフィルムを接着剤を用いて貼り合わせて構成された偏光シートであり、その総厚さが0.2mm以下であり、またその全光線透過率が40%以上、偏光度が99.0%以上であるものが使用できる。偏光シートの総厚さを0.2mm以下とするのは、0.2mm以下であれば全光線透過率を目的の40%以上に維持しやすくなると共に材料コストが最も経済性をもつためである。
【0009】
全光線透過率が80%以上であり、しかもその厚さを0.1〜0.3mm(好ましくは0.12〜0.2mm)とするプラスチックフィルムとしては、基本的にはレンズを構成する主材である成型樹脂と相溶性があり、融着性がある素材で形成されたフィルムが使用できる。一般的にはポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、セルロースなどの樹脂の単独またはそれらの変性樹脂を製膜して得られたフィルムが使用できる。この場合のフィルム厚さが0.3mm以上であれば、このフィルムと偏光シートを貼り合わせた後熱曲げ成型を施すが、この時フィルム内に分子歪みが生じやすくなり、その結果光学的な性能を損ない、またさらにはその歪み問題を解消しようとすれば、熱曲げに要する時間が長くなり、製造時の経済性を損なうことになる。また、このフィルムの厚さを0.1mm以上とする理由は、この後の工程に於いて成型型に挿入後高温のレンズ成型樹脂を射出成型してレンズを成型する。この時このフィルムとレンズ成型樹脂が界面で溶解して均一に一体化されるが、そのフィルムが、0.1mm以下の場合はレンズ成型樹脂の成型時の熱と圧力と型内での樹脂流れによる剪断力でこのフィルムをとうしてその外部にある偏光シートを破壊するためである。
【0010】
偏光シートとプラスチックフィルムを接着する接着剤としては、高透明性はもちろん、熱曲げ工程に耐える伸度、成型時に耐える耐熱性、さらには様々なレンズの使用状態に対応できる性能を持った接着剤が必要である。また、種々のプラスチックフィルムと偏光シートのセルローストリアセテートとを機械的強度に耐える接着力を付与する性能を持った接着剤であることが必要である。本発明ではこれらの性能を得るために平均分子量が10,000以上、200,000以下のポリエステルウレタン樹脂またはポリエーテルウレタン樹脂、さらにはポリエステルポリエーテルウレタン樹脂等を主にしたポリオールと架橋硬化剤としてポリイソシアネートを配合する二液硬化型接着剤が使用できる。
【0011】
また、レンズ成型用樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂などを目的に合わせて選択使用すればよい。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
実施例1
ヨウ素系染料を用いて偏光度99.95%のポリビニルアルコールでできた厚さ0.02mmの偏光フィルムの両面に0.08mm厚さのセルローストリアセテートフィルムを接着することにより得られた厚さ0.18mm、全光線透過率が43.7%の偏光シート(住友化学工業株式会社製:商品名 スミカランSQ−1852A)を用い、この偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に全光線透過率92%、厚さ0.15mmのポリカーボネートフィルムを二液硬化型ポリエーテルポリウレタン樹脂を接着剤に用いて積層した。得られたシートの厚さは約0.34mmである。このシートを目的のレンズ型と同じ形状をした凹面、凸面の熱プレス型を用いてポリカーボネートフィルム側を凹面側にして135℃で2分間加圧成型し、この成型部分を型抜きした。得られた型抜き品をレンズ成型用射出成型機の型内に装着し、レンズ成型用ポリカーボネート樹脂をポリカーボネートフィルム側に射出成型して、目的とするポリカーボネート偏光レンズを得た。
【0013】
このレンズの偏光シート部分は偏光シートの結合部分であるポリカーボネートフィルムと溶融状態のレンズ成型用ポリカーボネートとが一体化して強固な一体成型物を構成しており、光学的に欠点のない偏光ポリカーボネートレンズを得ることができた。このレンズの偏光度は99.0%以上であり、また、その全光線透過率は40.0%であった。
【0014】
実施例2
実施例1において、レンズ成型用ポリカーボネート樹脂に顔料着色加工を行い、その全光線透過率を60%とした樹脂を用いて実施例1と同様に成型したところ、全光線透過率が25%、偏光度99.0%のカラー偏光レンズを得ることができた。
【0015】
実施例3
実施例1と同じ偏光シート(住友化学工業株式会社製:商品名 スミカランSQ−1852A)を用い、この偏光シートの一方の面に、厚さ0.18mm、全光線透過率85%のポリエステルフィルムを二液硬化型ポリエステルポリウレタン樹脂を接着剤に用いて積層した。得られたシートを目的とするレンズ型と同じ形状をした凹凸面の熱プレス型を用いて130℃で2分間加圧成型を行った。得られた成型シートを型抜きし、これを実施例1と同様に射出成型機の成型型に挿入して、ポリエステルフィルム側に光学用ポリエステル樹脂を射出成型して、光学用ポリエステル偏光レンズを得た。このレンズは偏光度99.2%、全光線透過率39.5%であった。
【0016】
【発明の効果】
上記、発明の詳細な説明および実施例から明らかなように、本発明の製造方法により得られる光学用偏光レンズは従来品に比べて量産しやすく、また、その製造に係わる材料も従来多様な色調に着色した高価な偏光シートを準備していたが、その必要がなくなり、単にレンズ成型用樹脂に着色等を施すことで対応できるため、高偏光度のレンズを経済的に製造することに成功したものである。
Claims (2)
- 偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを貼着して得た、厚さが0.2mm以下、全光線透過率が40%以上、偏光度が99.0%以上である偏光シートを用い、この偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に全光線透過率80%以上、厚さ0.1〜0.3mmのプラスチックフィルムを接着剤を用いて積層し、この積層シートを成型目的物の外側形態に近い形状に該シートのセルローストリアセテートフィルム面が外面になるように熱プレス加工にて成型し、これを成型型の内面に挿入した後、上記プラスチックフィルムと融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型することを特徴とする偏光性能を有する光学用積層成型品の製造方法。
- 偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを貼着して得た、厚さ0.2mm以下、全光線透過率40%以上、偏光度99.0%以上である偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に、厚さ0.1〜0.3mmのプラスチックフィルムを貼着して得た積層シートの前記プラスチックフィルム面に、このプラスチックフィルムと融着可能なレンズ成型樹脂層を形成したことを特徴とする光学用積層成型品。
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