JP6211471B2 - 偏光光学物品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
こうした偏光光学物品として、偏光子シートの両面をガラスで覆った偏光性ガラスレンズが知られているが、衝撃に弱い欠点があった。
すなわち、セルローストリアセテート系偏光板の1つの面にプラスチックフィルムを貼付、積層し、得られた積層体を射出成形機の金型にインサートし、プラスチックフィルム面にバックアップ樹脂を射出成形する光学用積層成形品の製造方法が提案されている(特許文献2)。
すなわち、本発明は、
[1] アシルセルロースシートで両方の面を挟持された偏光子シートからなるアシルセルロース系偏光板を内部に包埋して含む偏光光学物品;
[2] 該アシルセルロース系偏光板の全面がバックアップ樹脂層によって包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[3] 該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の樹脂シートが貼付され、該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面ならびに外周面および樹脂シートの外周面にバックアップ樹脂が成形され、該アシルセルロース系偏光板の該もう1つの面ならびに外周面、および該樹脂シートと該バックアップ樹脂層とが密着または熱接合されてアシルセルロース系偏光板が包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[4] 該アシルセルロース系偏光板の1つの面の少なくとも一部分にアシルセルロース以外の樹脂シートが貼付され、該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面ならびに外周面および該1つの面の残りの面にバックアップ樹脂が成形され、該アシルセルロース系偏光板の該もう1つの面ならびに外周面、および該1つの面の残りの面、および該樹脂シートと該バックアップ樹脂層とが密着または熱接合されてアシルセルロース系偏光板が包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[5] 該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の樹脂シートが貼付され、該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面にバックアップ樹脂が成形され、該アシルセルロース系偏光板の該もう1つの面と該バックアップ樹脂層とが密着または熱接合され、該アシルセルロース系偏光板の外周面、および該樹脂シートの外周面、および該バックアップ樹脂の外周面に耐久性被覆材が被覆されてアシルセルロース系偏光板が包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[6] 該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートが貼付され、もう1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第2の樹脂シートが貼付され、該第2の樹脂シート面にバックアップ樹脂層が成形され、該第2の樹脂シート面と該バックアップ樹脂層とが密着または熱接合され、該アシルセルロース系偏光板の外周面、および該第1の樹脂シートの外周面、および該第2の樹脂シートの外周面、および該バックアップ樹脂の外周面に耐久性被覆材が被覆されてアシルセルロース系偏光板が包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[7] 該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートが貼付され、もう1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第2の樹脂シートが貼付され、該第2の樹脂シート面ならびに外周面、および該アシルセルロース系偏光板の外周面、および該第1の樹脂シートの外周面にバックアップ樹脂層が成形され、該第2の樹脂シート面ならびに外周面、および該アシルセルロール系偏光板の外周面、および該第1の樹脂シートと該バックアップ樹脂層とが密着または熱接合されてアシルセルロース系偏光板が包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[8] 該アシルセルロース系偏光板の1つの面の少なくとも一部分にアシルセルロース以外の第1の樹脂シートが貼付され、もう1つの面の少なくとも一部分にアシルセルロース以外の第2の樹脂シートが貼付され、該第2の樹脂シート面ならびに外周面ならびに残りの面、および該アシルセルロール系偏光板の外周面、および該第1の樹脂シートの外周面ならびに残りの面にバックアップ樹脂層が成形され、該第2の樹脂シート面ならびに外周面ならびに残りの面、および該アシルセルロース系偏光板の外周面、および該第1の樹脂シートならびに残りの面と該バックアップ樹脂層とが密着または熱接合されてアシルセルロース系偏光板が包埋された前記[1]記載の偏光光学物品;
[9] 該樹脂シートまたは第1の樹脂シートが、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂よりなる群から選択されるいずれか1の樹脂からなることを特徴とする前記[3]〜[8]のいずれか1に記載の偏光光学物品;
[10] 該樹脂シートまたは第1の樹脂シートが、キャスト成形法で製造されたシートであることを特徴とする前記[3]〜[9]のいずれか1に記載の偏光光学物品;
[11] 該樹脂シートまたは第1の樹脂シートが、延伸法で製造されたシートであることを特徴とする前記[3]〜[9]のいずれか1に記載の偏光光学物品;
[12] 該第2の樹脂シートが、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂よりなる群から選択されるいずれか1の樹脂からなることを特徴とする前記[6]〜[8]のいずれか1に記載の偏光光学物品;
[13] 該バックアップ樹脂層が、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂よりなる群から選択されるいずれか1の樹脂からなることを特徴とする前記[2]〜[12]のいずれか1に記載の偏光光学物品;
[14] 偏光子シートをアシルセルロースシートで保護するアシルセルロース系偏光板をモールドにセットし、キャスト成形法で製造する、該アシルセルロース系偏光板を内部に包埋する偏光光学物品;
[15] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースシートを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板を加熱して球面またはシリンダー形状に曲げ加工し、
3)該アシルセルロース系偏光板の1つの面に第1のバックアップ樹脂を射出成形し、
4)該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面に、該アシルセルロース系偏光板から突出するように第2のバックアップ樹脂を射出成形して、該1のバックアップ樹脂と該第2のバックアップ樹脂とを該アシルセルロース系偏光板の外周面において密着または熱接合して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[16] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースシートを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形の樹脂シートを貼付し、
3)該アシルセルロース系偏光板を、該樹脂シートが凸面になるように加熱して球面またはシリンダー形状に曲げ加工し、
4)該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面および外周面にバックアップ樹脂を射出成形して、該樹脂シートと該バックアップ樹脂とを該アシルセルロース系偏光板の外周面において密着または熱接合して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[17] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースシートを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板の1つの面の一部分に樹脂シートを貼付し、
3)該アシルセルロース偏光板を、該樹脂シートが凸面になるように加熱して球面またはシリンダー形状に曲げ加工し、
4)該アシルセルロース偏光板のもう1つの面および外周面ならびに該1つの面の残りの部分にバックアップ樹脂を射出成形して、該第1の樹脂シートと該バックアップ樹脂とを該アシルセルロース系偏光板の該1つの面において密着または熱接合して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[18] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の樹脂シートを貼付し、
3)該アシルセルロース系偏光板を、該樹脂シートが凸面になるように加熱して球面またはシリンダー形状に曲げ加工し、
4)該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面にバックアップ樹脂を射出成形して、該もう1つの面と該バックアップ樹脂とを密着または熱接合し、
5)該アシルセルロース系偏光板の外周面および該樹脂シートの外周面および該バックアップ樹脂の外周面に耐水性被覆材を被覆して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[19] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートを貼付し、
3)該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第2の樹脂シートを貼付し、
4)該アシルセルロース系偏光板を、該第1の樹脂シートが凸面になるように加熱して球面またはシリンダー形状に曲げ加工し、
5)該第2の樹脂シート面にバックアップ樹脂を射出成形して、該第2の樹脂シート面と該バックアップ樹脂とを密着または熱接合し、
6)該アシルセルロース系偏光板の外周面および該第1の樹脂シートの外周面および該第2の樹脂シートの外周面および該バックアップ樹脂の外周面に耐水性被覆材を被覆して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[20] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースシートを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートを貼付し、
3)該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第2の樹脂シートを貼付し、
4)該アシルセルロース系偏光板の該第2の樹脂シート面および該アシルセルロース系偏光板の外周面にバックアップ樹脂を成形し、ついで
5)該アシルセルロース系偏光板の外周面において、該第1の樹脂シートと該第2の樹脂シートとバックアップ樹脂とを密着または熱接合して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[21] 1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースシートを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造し、
2)該アシルセルロース系偏光板の1つの面の少なくとも一部分にアシルセルロース以外の第1の樹脂シートを貼付し、
3)該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面の少なくとも一部分にアシルセルロース以外の第2の樹脂シートを貼付し、
4)該アシルセルロース系偏光板の該第2の樹脂シート面ならびに残りの面、および該アシルセルロース系偏光板の外周面、および該第1の樹脂シートの残りの面にバックアップ樹脂を成形し、ついで
5)該アシルセルロース系偏光板の外周面および該1つの面および該もう1つの面において、該第1の樹脂シートと該第2の樹脂シートとバックアップ樹脂とを密着または熱接合して該アシルセルロース系偏光板を包埋する
工程を含む偏光光学物品を製造する方法;
[22] 樹脂シートが貼付されたアシルセルロース系偏光板を打ち抜いた後に、該アシルセルロース系偏光板にバックアップ樹脂を成形する前記[16]、[18]〜[20]のいずれか1に記載の偏光光学物品を製造する方法
を提供する。
また、本明細書中において「密着」とは圧力をかけて複数の材料をくっつけることをいい、「熱接合」とは加熱下で複数の材料の接合する面を融解させてくっつけることをいう。
本明細書中において、「包埋する」とは、対象物が他の材料によって封じ込められることをいい、ここで対象物を封じ込めるために使用される他の材料には1または2種以上の材料が含まれる。
本発明の偏光光学物品に用いるアシルセルロース系偏光板は、1の偏光子シートの両方の面を2のアシルセルロースシートで挟持および保護する積層構造体である。
偏光子シートの主成分は、通常、ポリビニルアルコールまたはその変性体である。
偏光子シートは、通常、湿式法で製造する。
偏光子シートの一般的な製法は、ポリビニルアルコールまたはその変性体の水溶解物を、スリット状口金を通して凝固浴の中に押し出し、シート状に製膜する。ついで、延伸浴を通し、4倍前後の延伸倍率で1軸延伸する。
本発明で用いる偏光子シートには、ヨウ素ドーピング法または染料ドーピング法のいずれの方法をも適用できる。ヨウ素を用いるヨウ素ドーピング法は、染料ドーピング法と比べて、偏光子シートに固有の着色を与えることが少ないうえ、高い偏光度が得られやすいので好ましい。
さらに、ヨウ素でドーピングする前、ドーピング中またはドーピング後に染料で染色することによって、高い偏光度を付与し、かつ、サングラスなどに適する色相にすることも可能である。反面、ヨウ素ドーピング法によりドープした偏光子シートは耐熱性に劣る欠点がある。
一方、偏光子シートの耐水性を高めるために、凝固浴または延伸浴に、ポリビニルアルコールと錯体を形成するホウ酸やアルミニウム化合物のような無機化合物を添加することができる。
本発明で用いる偏光子シートは、約0.1mm以下の厚さのシートであり、偏光度が約80%以上、好ましくは約95%以上であることが好ましい。
押し出し成形法は、溶融したアシルセルロースを、押し出し成形機のスリット状口金からシート状に押し出し、引き取る製膜方法である。熱可塑性を高めるために、製膜前のアシルセルロースに可塑剤を加えることができる。また、口金から押し出したシートを、長手方向に延伸することもできる。
また、本発明で用いる代表的な粘着剤には、酢酸ビニル系、アクリル系粘着剤がある。
これらの接着剤あるいは粘着剤は、グラビアコーティング法、オフセットコーティング法、スクリーン印刷法など、通常用いられている塗布方法により、偏光子シート、アシルセルロースシートまたはその両方の貼り合わせる面に塗布する。接着剤あるいは粘着剤の塗布面で両者を積層し、貼り合せる。
このうち、ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、ポリビスフェノールAを骨格成分にするポリカーボネート、1,1'−ジヒドロキシジフェニル−フェニルメチルメタン、1,1'−ジヒドロキシジフェニル−ジフェニルメタンまたは1,1'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニル−2,2−プロパンを骨格成分にするポリカーボネートまたはそれらの共重合ポリカーボネートなどが含まれる。なかでも、良好な透明性と耐衝撃性から、ポリビスフェノールAを骨格成分にするポリカーボネートが好ましい。
このうち、ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、メタキシレンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネートおよび1,5−ナフタレンジイソシアネートに代表される芳香族ジイソシアネート類、および、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添TDIおよび水添MDIに代表される脂肪族ジイソシアネート類などが含まれる。これらのジイソシアネートは単独または混合して用いることができる。なかでも、黄変性が低いため、脂肪族ジイソシアネート類が好ましい。
一方、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールおよび1,6−ヘキシレングリコールに代表される脂肪族グリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールに代表されるポリエーテル系グリコール類、カプロラクトン系、アジペート系およびコポリエステル系に代表されるポリエステル系グリコール類、カーボナート系グリコール類、および、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物に代表される芳香族グリコール類などが含まれる。これらのジオールは、単独または混合して用いることができる。なかでも、無黄変性や耐加水分解性、透明性(非晶性)から、ポリエーテル系グリコール類およびポリエステル系グリコール類が好ましく、商業的に入手可能なBASF社のポリエステル系ポリウレタン“エラストラン(ELASTOLLAN)”ET590、“エラストラン”ET595、“エラストラン”ET598や、同社のポリエーテル系ポリウレタンなどが好ましい。
本発明で用いるバックアップ樹脂は、プラ1レンズ、度付きレンズ、セミフィニッシュレンズなどの製造するレンズの用途により、一様な厚さにしたり、レンズ光路差を均一にして光学性能を良好にするためにレンズの部分によって変化させることができるが、一般的には0.5〜3.0mmの厚さである。厚さが約0.5mm未満の場合は成形性が悪くなり、一方、厚さが約3.0mmを超える場合は屈折力が生じて光学性能が低下する。
第1の樹脂シートと第2の樹脂シートとは、同じ材料または異なる材料からなる場合がある。
好ましく用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メチルメタアクリレートやシクロヘキシルメタクリレートなどの単重合体または共重合体を含むポリ(メタ)アクリレート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン・メチルメタクリレート系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、アンダマンタン環やシクロペンタン環を主鎖に有する主鎖炭化水素系樹脂、および、これらの間の透明性ポリマーアロイなどが含まれる。
このうち、ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、メタキシレンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネートおよび1,5−ナフタレンジイソシアネートに代表される芳香族ジイソシアネート類、および、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添TDIおよび水添MDIに代表される脂肪族ジイソシアネート類などが含まれる。これらのジイソシアネートは単独または混合して用いることができる。黄変性が低いため、脂肪族ジイソシアネート類が好ましい。
本発明の偏光光学物品の製造方法は、
1)偏光子シートの両方の面にアシルセルロースシートを貼付してアシルセルロース系偏光板を製造する工程、および
2)該アシルセルロース系偏光板の両方の面および外周面にバックアップ樹脂、樹脂シートおよび/または耐水性被覆材を成形、貼付および/または被覆して該アシルセルロース系偏光板を包埋する工程
を含む。
すなわち、アシルセルロース系偏光板をそのまま用いる場合(ケース1)と、アシルセルロース系偏光板の1つの面に、予めアシルセルロース以外の第1の樹脂シートを貼付する場合(ケース2)と、アシルセルロース系偏光板の両方の面に、予めアシルセルロース以外の第1の樹脂シートおよび第2の樹脂シートをそれぞれ貼付する場合(ケース3)である。
そのため、特に対物側に貼付する第1の樹脂シートは、分子配向性が実質的に無いか、一定方向にそろえられていることが好ましい。
1軸延伸シートと2軸延伸シートはシート内の分子配向を延伸方向にそろえることができるので、対物側に貼付する第1の樹脂シートとして好ましい。
1軸延伸シートの場合は、偏光子の延伸方向と、第1の樹脂シートの延伸方向を一致させることによって、偏光度の低下を防ぐことができる。
また、2軸延伸シートの場合は、偏光子の延伸方向と、第1の樹脂シートの2軸の延伸方向のいずれかの方向とを一致させることによって、偏光度の低下を防ぐことができる。
先述のケース3では、アシルセルロース系偏光板の両方の面に、それぞれ、第1の樹脂シートおよび第2の樹脂シートを貼付する。
第1の樹脂シートと第2の樹脂シートとは、樹脂と延伸倍率が同一のものであってもよいし、樹脂のみ同一で延伸倍率の異なるものであってもよいし、樹脂も延伸倍率も異なるものであってもよい。
接着剤または粘着剤には、染料や顔料のほか、フォトクロミック色素や赤外線吸収色素などの機能性色素が含まれてもよい。
接着剤または粘着剤は、グラビアコーティング法、オフセットコーティング法など通常の方法を用いて塗布する。
代表的な方法は、射出成形機を用いる。射出成形機の金型内にインサートした曲げ加工ずみのアシルセルロース系偏光板に、バックアップ樹脂を射出成形する、いわゆるインサート射出成形法と呼ばれる手法である。
インサート射出成形法には、いくつかの方法がある。球面レンズを製造する場合の方法について、いくつかを例示する。
金型直径よりも小さな径のアシルセルロース系偏光板を用意し、球面形状に曲げ加工する。「金型直径よりも小さな径のアシルセルロース系偏光板」とは、曲げ加工した後の見かけの直径が金型直径よりも小さいことを意味する(以下同じ)。
上記成形体を射出成形機の金型にセットし、今度は凸面側にバックアップ樹脂を射出成形する。
金型直径よりも小さな径のアシルセルロース系偏光板を用意し、該アシルセルロース系偏光板の直径よりわずかに大きいか、同じか、わずかに小さい第1の樹脂シートを、該アシルセルロース偏光板の中央に貼付する。該アシルセルロース系偏光板に事前に該第1の樹脂シートを貼付しておき、打ち抜き加工すれば、該アシルセルロース系偏光板と該第1の樹脂シートの直径が同じにできる。
その結果、第1の樹脂シートがアシルセルロース系偏光板に対し、わずかに足りない積層体であっても、アシルセルロース系偏光板がバックアップ樹脂と第1の樹脂シートに包埋された状態の偏光光学物品が製造される。この場合の包埋は、アシルセルロース系偏光板が第1の樹脂シートとバックアップ樹脂の中に閉じ込められた状態を意味し、水や湿度に弱いアシルセルロース系偏光板を雨や汗などの外部環境から守ることができる。
金型直径とほぼ等しい径のアシルセルロース系偏光板を用意し(該アシルセルロース系偏光板に、事前に該第1の樹脂シートを貼付しておき、打ち抜き加工すれば、該アシルセルロース系偏光板と該第1の樹脂シートの直径が同じにできる)、該アシルセルロース系偏光板の直径とほぼ同等の第1の樹脂シートを、該アシルセルロース偏光板の中央に貼付して積層体にする。「金型直径とほぼ等しい径のアシルセルロース系偏光板」とは、曲げ加工した後の見かけの直径が金型直径とほぼ等しいことを意味する。
この状態では、アシルセルロース系偏光板の露出面が水に弱いので、アシルセルロース系偏光板の少なくとも外周面だけは耐水性被覆材で被覆することが好ましい。被覆材がプライマーコートやハードコートの場合であって、該偏光光学物品の全体をディッピング法によって被覆する場合は、本発明の好ましい実施態様の1つである。
その結果、アシルセルロース系偏光板の外周面を、第1の樹脂シートとバックアップ樹脂と被覆材とで包埋する偏光光学物品が製造される。
第2−2の製造方法では、第1の樹脂シートのほか、第2の樹脂シートが貼付されていてもよい。
第2−1の製造方法と同様にして、金型直径よりも小さな径のアシルセルロース系偏光板を用意し、該アシルセルロース系偏光板の直径よりもわずかに大きいか、ほほ同じか、わずかに小さい第1の樹脂シートを、該アシルセルロース系偏光板の中央に貼付して積層体を製造する。
第2の樹脂シートとバックアップ樹脂が熱接合する場合は、積層体とバックアップ樹脂との強固な接合が得られるのが、第3の製造方法の特徴である。
この場合の包埋は、アシルセルロース系偏光板がバックアップ樹脂と第1の樹脂シートと第2の樹脂シートの中に閉じ込められた状態を意味し、水や湿度に弱いアシルセルロース系偏光板を、雨や汗などの外部環境から守ることができる。
しかし、インサートを垂直にセットする横型射出成形機でも、例えば、金型にインサートを減圧吸引して固定する方法をとれば、インサートを金型に安定セットできるので、横型射出成形機も使用可能である。
いずれも、基本的には、第1の樹脂シートおよび第2の樹脂シートに用いられる樹脂であれば、好適に用いられる。
そのため、第1〜第3の製造方法では、枠入れのための研磨はアシルセルロース系偏光板の外周面が露出しないところまでで止めておく。
キャスト成形法にも、いくつかの方法がある。本発明の偏光光学物品のうち、球面形状レンズを製造する方法について、いくつかの例を示す。
偏光板の密着したガラスモールドのプレートに、もう1枚のガラスモールドのプレートを対置し、2枚のガラスモールドのプレートの外周に粘着テープを巻き、レンズ成形用のガラスモールドを組み立てる。出来上がったガラスモールドの中に、レンズ成形用モノマーを充填し、重合し、レンズを成形する。
その結果、内部にアシルセルロース系偏光板を包埋するキャスト成形法レンズが製造される。この場合の包埋は、アシルセルロース系偏光板がレンズ成形用モノマーの重合体の中に閉じ込められた状態を意味し、水や湿度に弱いアシルセルロース系偏光板を、雨や汗などの外部環境から守ることができる。
曲げ加工したアシルセルロース系偏光板を中空に固定できる構造をそなえた2枚のガラスモールドのプレートの間に、該アシルセルロース系偏光板を挿入し、該アシルセルロース系偏光板を固定する。ガラスモールドのプレートの周囲を粘着テープで巻いて、レンズ成形用のガラスモールドを組み立てる。
出来上がったガラスモールドのなかに、レンズ成形用モノマーを充填し、重合し、レンズを成形する。
そのため、枠入れのための研磨はアシルセルロース系偏光板の外周面が露出しないところまでで止めておく。
1軸延伸法と染料ドーピング法で調製された厚さ約30μmのポリビニルアルコールシート(3)の両方の面を2枚のセルローストリアセテートシート(1aおよび1b)(厚さ約100μm。キャスト製膜法で調製)で侠持し、接着剤(2aおよび2b)で貼付した、全体の厚さ約450μmのアシルセルロース系偏光板(4a)(住友化学製。以下TAC偏光板と呼称する)を用意した。
つづいて、このTAC偏光板を直径78mmの円形に切り取り、約125℃の条件で8カーブの球面形状に曲げ加工した。つづいて、凹面側のポリプロピレン保護シートを剥離除去した。
つづいて、直径83mm、かつ8カーブの球面形状を有する金型をそなえた縦型射出成形機の凹面金型の中央に、該曲げ加工したTAC偏光板をインサートとして、水平にセットした。
凹面金型と凸面金型を重ね合わせて金型を閉じ、TAC偏光板の凹面側に、高い耐衝撃性で知られるポリカーボネート樹脂をバックアップ樹脂として射出成形した。出来上がったものは、凸面がTAC偏光板、凹面が厚さ約1mmのポリカーボネート樹脂のレンズ状物であり、かつ、偏光板の外縁部に、約4mm幅のポリカーボネート樹脂のリングが延在した。
つづいて、該レンズ状物の凸面側のポリプロピレン保護シートを剥離、除去する。該レンズ状物を縦型成形機の凸面金型の中央に吸引固定し、凸面側にポリカーボネート樹脂をバックアップ樹脂として射出成形した。
出来上がったものは、TAC偏光板が偏光光学物品の中央にあり、TAC偏光板の凸面側と凹面側とが、それぞれ厚さ約1mmのポリカーボネート樹脂で覆われ、かつ、TAC偏光板の外縁部を、約4mm幅でポリカーボネート樹脂に隈取された偏光光学物品である。
出来上がった偏光光学物品の偏光度は96.1%であった。また、該光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなく、雨や汗などの外部環境からTAC偏光板をよく保護していることが分かった。
実施例2においては、レンズとフレームとが一体的に成形される1眼のゴーグルタイプの偏光光学物品で例示する。
第1の樹脂シートとして、押し出し成形法で作った厚さ約100μmの無延伸ポリカーボネート樹脂シートを準備しておき、その1つの面に、貼付用接着剤としてポリエステル系ポリウレタンを約20μmの厚さで塗布した。
ついで、該積層体の第1の樹脂シートとは反対側の面に、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤を約20μmの厚さで塗布し、その部分に、リリース機能のあるポリプロピレン保護シートを貼付した。
ついで、該積層体の偏光子の延伸方向と、ゴーグルの左右の眼を結ぶ方向とを一致するようにして、両眼の視野部と鼻部の窪みのある形状Aを打ち抜き法で切り取った(図5参照)。
ついで、ポリカーボネート樹脂シート(第1の樹脂シート)が凸面にくるように、該積層体を、約125℃の条件で曲げ加工し、ゆるい球面形状Bにした(図5参照)。ついで、ポリプロピレン保護シートを剥離除去した。
凹面金型と凸面金型を重ね合わせて金型を閉じ、TAC偏光板の凹面側(接着剤塗布面)にポリカーボネート樹脂をバックアップ樹脂として射出成形した。
出来上がった偏光光学物品の偏光度は96.3%であった。また、この偏光光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなく、雨や汗などの外部環境からTAC偏光板をよく保護していることが分かった。
第1の樹脂シートとして、3倍に1軸延伸した厚さ約100μmのポリカーボネート樹脂シートを用い、かつ、ゴーグルの左右の眼を結ぶ方向と偏光子の延伸方向とポリカーボネート樹脂シート(第1の樹脂シート)の延伸方向が一致するように貼付し、打ち抜き法で切り取った以外は、実施例2と同様の方法で偏光光学物品を製造した。
出来上がった偏光光学物品の偏光度は98.6%であった。また、この偏光光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなかった。
第1の樹脂シートとして、ポリカーボネート樹脂シートの代わりに厚さ約100μmのポリウレタン樹脂シートを用いた以外は、実施例2と同様の方法で偏光光学物品を製造した。該ポリウレタン樹脂シートは、ポリエステル系ポリウレタン(BASF社の“エラストラン”ET590)をシート状に押し出し成形した厚さ約200μmの無延伸シートである。
出来上がった偏光光学物品のレンズ部分は、TAC偏光板が偏光光学物品の中央にあり、凸面がポリウレタンの第1の樹脂シート、凹面が厚さ約1.5mmのポリカーボネート樹脂、かつ、TAC偏光板の外縁部も、約2.5mm幅でポリカーボネート樹脂が延在する偏光光学物品であった。
ポリウレタンの第1の樹脂シートの端部とポリカーボネートのバックアップ樹脂とは、よく熱接合しており、TAC偏光板が、ポリウレタンの第1の樹脂シートとポリカーボネート樹脂の中に完全に包埋されていた。
出来上がった偏光光学物品の偏光度は97.3%であった。また、この偏光光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなかった。
第1の樹脂シートとして、ポリカーボネート樹脂シートの代わりに厚さ約120μmのPMMA樹脂シートを用い、バックアップ樹脂としてPMMA樹脂を用いた以外は、実施例2と同様の方法で偏光光学物品を製造した。該PMMA樹脂シートは、厚さ約300μmの板間重合シートである。
出来上がった偏光光学物品のレンズ部分は、TAC偏光板が偏光光学物品の中央にあり、凸面がPMMAの第1の樹脂シート、凹面が厚さ約1.5mmのPMMA樹脂になっており、かつ、TAC偏光板の外縁部に、約2.5mm幅でPMMA樹脂が延在する偏光光学物品であった。
出来上がった偏光光学物品は、偏光度が98.6%であり、かつ、PMMAの第1の樹脂シートの端部とPMMAのバックアップ樹脂とは、両者の境界でよく熱接合していた。この偏光光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなく、雨や汗などの外部環境からTAC偏光板をよく保護していることが分かった。
実施例2においては、第1の樹脂シートとして、ポリカーボネート樹脂シートの代わりに厚さ約100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂シートを用いる以外は、実施例2と同様の方法で偏光光学物品を製造した。該ポリエチレンテレフタレート樹脂シートは、縦横方向へ、それぞれ約3.5倍に2軸延伸された、厚さ約80μmのシートである。ただし、ゴーグルの左右の眼を結ぶ方向と偏光子の延伸方向と、2軸延伸されたポリエチレンテレフタレート樹脂シートのどちらかの延伸方向が一致するように貼付し、切り取った。
実施例2において、第1の樹脂シートとして、押し出し成形法で作った厚さ約100μmのポリウレタン(BASF社のELASTOLLAN ET590)樹脂シートを準備しておき、その1つの面に、貼付用接着剤としてポリエステル系ポリウレタンを約20μmの厚さで塗布した。
該第1の樹脂シートの接着剤面を実施例1で用いたTAC偏光板に重ね合わせ、貼付して積層体を製造した。
ついで、該積層体の第1の樹脂シートとは反対側の面に、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤を約20μmの厚さで塗布し、その部分に、リリース機能のあるポリプロピレン保護シートを貼付した。
ついで、該積層体の偏光子の延伸方向とゴーグルの左右の眼を結ぶ方向とを一致させて、両眼部と鼻部の窪みのある形状Aを打ち抜き法で切り取った(図5参照)。
ついで、ポリウレタン樹脂シート(第1の樹脂シート)が凸面になるように、該積層体を、約125℃の条件で曲げ加工し、ゆるい球面形状Bにした(図5参照)。ついで、ポリプロピレン保護シートを剥離除去した。
ついで、形状Aよりわずかに大きく、かつ球面形状Bと同じ曲面を有する金型を備えた縦型射出成形機の凹面金型の中央に、ポリウレタン樹脂シート(第1の樹脂シート)を凸面にする該積層体をインサートとして、水平にセットする。
凹面金型と凸面金型を重ね合わせて金型を閉じ、TAC偏光板の凹面側(接着剤塗布面)に、高い耐衝撃性で知られる透明ナイロン樹脂(エムス社の“グリルアミド”TR−90)をバックアップ樹脂として射出成形した。
ポリウレタンの第1の樹脂シートと透明ナイロンのバックアップ樹脂とはよく密着しており、TAC偏光板がポリウレタン樹脂シートと透明ナイロン樹脂の中に完全に包埋されていた。
ポリカーボネート樹脂シートとTAC偏光板を貼り合せた積層体を製造し、該積層体の曲げ加工後の直径が、縦型射出成形機の金型直径とほぼ同一にする以外は、実施例2と同様にして偏光光学物品を製造した。
偏光光学物品の外周面は、TAC偏光板の外周面がそのまま露出していた。
ついで、該偏光光学物品の全体をポリウレタン系プライマーコート液にディッピングして、厚さ約10μmのプライマーコートを偏光光学物品の全面に付与した。ついで、シラン系のハードコート液にディッピングし、120℃、2時間処理して硬化し、厚さ約7μmのハードコートを偏光光学物品の全面に付与した。
実施例2と同様、レンズとフレームを一体成形する1眼のゴーグルタイプの偏光光学物品で例示する。
第1の樹脂シートとして、3倍に1軸延伸した厚さ約200μmのポリカーボネート樹脂シートを用意し、第2の樹脂シートとして、押し出し成形法で製造した厚さ約200μmの無延伸ポリカーボネート樹脂シートを用意した。
第1の樹脂シートに厚さ約30μmのアクリル系粘着剤を塗布し、第1の樹脂シートの延伸方向がTAC偏光板の偏光子の延伸方向と一致するように、第1の樹脂シートをTAC偏光板に貼付した。
厚さ約30μmのアクリル系粘着剤を塗布した第2の樹脂シートを、TAC偏光板の、第1の樹脂シートを貼付していない側に貼付した。
ついで、偏光子ならびに第1の樹脂シートの延伸方向と、ゴーグルの左右の眼を結ぶ方向とを一致させて、両眼の視野部と鼻部の窪みのある形状Aを打ち抜き法で切り取った(図5参照)。
ついで、該積層体を、第1の樹脂シートが凸面になるように、約125℃の条件で曲げ加工し、ゆるい球面形状Bにした(図5参照)。
ついで、形状Aよりわずかに大きく、かつ球面形状Bと同じ曲面を有する金型を備えた縦型射出成形機の凹面金型の中央に、該積層体をインサートとして、水平にセットする。
凹面金型と凸面金型を重ね合わせて金型を閉じ、凹面側の第2の樹脂シートに、ポリカーボネート樹脂をバックアップ樹脂として射出成形した。
出来上がった偏光光学物品のレンズ部分は、TAC偏光板が偏光光学物品の中央にあり、凸面がポリカーボネートの第1の樹脂シート、凹面が厚さ約1.5mmのポリカーボネート樹脂、かつ、TAC偏光板の外縁部を、約2.5mm幅でポリカーボネート樹脂が延在する偏光光学物品であった。
ポリカーボネートの第1の樹脂シートとポリカーボネートのバックアップ樹脂、ポリカーボネートの第2の樹脂シートとポリカーボネートのバックアップ樹脂とは、互いによく熱接合していた。TAC偏光板は、ポリカーボネートの第1の樹脂シートとポリカーボネート樹脂(第2の樹脂シートとバックアップ樹脂)の中に完全に包埋されていた。
第1の樹脂シートとして、1軸延伸したポリカーボネート樹脂シートの代わりに、厚さ約200μmの無延伸ポリカーボネート樹脂シートを用いる以外は、実施例9と同様の方法で偏光光学物品を製造した。
製造した偏光光学物品の偏光度は96.3%であった。また、この偏光光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなかった。
第1の樹脂シートと第2の樹脂シートとして、1軸延伸したポリカーボネート樹脂シートの代わりに、実施例5で用いた板間重合したPMMAシートを、バックアップ樹脂として実施例5で用いたPMMA樹脂を用いる以外は、実施例9とほぼ同様の方法で偏光光学物品を製造した。
製造した偏光光学物品は、偏光度が98.6%であり、かつ、PMMAの第1の樹脂シートとPMMAのバックアップ樹脂とは、両者の境界でよく熱接着していた。この偏光光学物品を室温の水に72時間浸漬したところ、TAC偏光板が剥離することはなく、外部環境からTAC偏光板をよく保護していることが分かった。
実施例1で作った偏光光学物品の周囲を端部から約10mm削り、TAC偏光板の外周面を露出させた。
このものを室温の水に浸漬したところ、24時間でTAC偏光板に水の侵入がみられた。42時間後には、光学物品の半分ほどが剥離した。この結果、TAC偏光板が、雨や汗などの外部環境から十分に保護されていないことが分かった。
実施例8で作った偏光光学物品の、プライマーコートとハードコートを行わないものを室温の水に浸漬した。24時間でTAC偏光板に水の侵入がみられた。42時間後には、光学物品の半分ほどが剥離した。この結果、TAC偏光板が、雨や汗などの外部環境から十分に保護されていないことが分かった。
2a、2b 接着剤
3 偏光子シート
4a TAC偏光板
4b 第2−1と第2−2の製造法で用いた第1の樹脂シートを貼付したTAC偏光板
4c 第3の製造法で用いた第1の樹脂シートと第2の樹脂シートを貼付したTAC偏光板
5 接着剤
6 第1の樹脂シート
7 接着剤
8 第2の樹脂シート
9a、9b バックアップ樹脂
10 バックアップ樹脂の接合面
11 実施例1の偏光光学物品の断面
12 第1の樹脂シートとバックアップ樹脂の接合面
13 接着剤
14 バックアップ樹脂
15 実施例2〜7の偏光光学物品
16 プライマーコートとハードコート
17 実施例8の偏光光学物品
18 第1の樹脂シートとバックアップ樹脂の接合面
19 第2の樹脂シートとバックアップ樹脂の接合面
20 バックアップ樹脂
21 実施例9〜11の偏光光学物品
Claims (6)
- アシルセルロースシートで両方の面を挟持された偏光子シートからなるアシルセルロース系偏光板を内部に包埋して含む偏光光学物品であって、
該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートが配置され、
該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面および外周面ならびに樹脂シートの外周面に、バックアップ樹脂層が密着または熱接合されてアシルセルロース系偏光板が包埋され、かつ、耐水性被覆材で包埋されており、該耐水性被覆材を研磨する必要のない偏光光学物品。 - アシルセルロースシートで両方の面を挟持された偏光子シートからなるアシルセルロース系偏光板を内部に包埋して含む偏光光学物品であって、
該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートが配置され、
該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第2の樹脂シートが配置してなり、
該第2の樹脂シートにバックアップ樹脂層を直接密着した状態で配置してなり、
該アシルセルロース系偏光板の外周面および、該第1の樹脂シートの外周面、該第2シートの外周面に、バックアップ樹脂層が密着または熱接合されてアシルセルロース系偏光板が包埋され、かつ、耐水性被覆材で包埋されており、該耐水性被覆材を研磨する必要のない偏光光学物品。 - アシルセルロースシートで両方の面を挟持された偏光子シートからなるアシルセルロース系偏光板を内部に包埋して含む偏光光学物品であって、
該アシルセルロース系偏光板の1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第1の樹脂シートが配置され、
該アシルセルロース系偏光板のもう1つの面に当該面と同形のアシルセルロース以外の第2の樹脂シートが配置してなり、
該第2の樹脂シートにバックアップ樹脂層を直接密着した状態で配置してなり、かつ、該アシルセルロース系偏光板の外周面および、該第1の樹脂シートの外周面、該第2シートの外周面が、耐水性被覆材で包埋されており、該耐水性被覆材を研磨する必要のない偏光光学物品。 - 該樹脂シートが、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂よりなる群から選択されるいずれか1の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光光学物品。
- 該バックアップ樹脂層がポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂よりなる群から選択されるいずれか1の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光光学物品。
- 耐水性被覆材がプライマーコートおよびハードコートのいずれか一方または両方であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光光学物品。
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