JP2001305341A - 偏光板及び偏光レンズ - Google Patents

偏光板及び偏光レンズ

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JP2001305341A
JP2001305341A JP2000118937A JP2000118937A JP2001305341A JP 2001305341 A JP2001305341 A JP 2001305341A JP 2000118937 A JP2000118937 A JP 2000118937A JP 2000118937 A JP2000118937 A JP 2000118937A JP 2001305341 A JP2001305341 A JP 2001305341A
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polarizing plate
lens
polycarbonate sheet
polycarbonate
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Hisashige Yaegaki
寿成 八重垣
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Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
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Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 球面等の曲面状に形成されても度を発生する
ことがなく、また保護層であるポリカーボネートシート
にクラックが発生することがなく、しかも十分な偏光度
が得られて優れた防眩性を発揮する偏光板及び偏光レン
ズを提供する。 【解決手段】 偏光性薄膜2の片面又は両面に、リタデ
ーション値が300nm以下であり、厚さが0.05〜
0.25mmのポリカーボネートシート3を貼着して偏
光板1とする。この偏光板を曲面加工し、これの少なく
とも一方の面にインジェクション成形によりポリカーボ
ネートからなる積層樹脂層を一体化して偏光レンズとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、十分な偏光度が
得られて優れた防眩性を備え、かつ偏光度のバラツキも
なく、またたとえ曲面加工が施される場合でも度を生じ
ることのない高品質の偏光板及びこれを用いた偏光レン
ズに関する。
【0002】
【従来の技術】偏光板は、優れた防眩性を発揮すること
から、例えばサングラスやゴーグル等のレンズとして用
いられている。このような偏光板としては、従来より、
2色性色素を高分子フィルムに吸着して配向させてなる
偏光性薄膜の片面または両面に、トリアセチルセルロー
ス等のセルロース系シートや、アクリル系シートを保護
層として貼着一体化したものが用いられているが、耐衝
撃性が低く破損しやすい上に耐熱性が十分に得られない
といった問題を有していることから、前記偏光性薄膜の
保護層として耐衝撃性及び耐熱性に優れたポリカーボネ
ートシートを用いて構成した偏光板が開発されている。
【0003】このポリカーボネート系偏光板は、例えば
サングラスやゴーグル等のレンズとして構成する場合に
は、通常1.5mm程度の厚さのものが球面状にレンズ
加工されて用いられるが、この球面加工後のレンズに度
が発生してしまい、これにより商品価値の低下を来す、
あるいは欧州レンズ規格の「クラス1」に合格しないと
いった問題があった。
【0004】このような問題を解決すべく、即ち球面加
工後における度の発生を防止するべく、例えば0.6〜
0.8mm程度のより薄い厚みで構成された前記ポリカ
ーボネート系偏光板をまず球面加工した後、これの内側
にポリカーボネート樹脂をインジェクション成形によっ
て積層一体化してレンズとする手法が用いられている。
この方法によれば、球面加工することで発生した度を、
後から一体化するポリカーボネート樹脂層の厚さを微妙
に調整することによって打ち消すことが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
一般のサングラス用のレンズであればその実用厚さは
1.0〜2.0mm程度であり、このうち前記ポリカー
ボネート系偏光板の厚さが0.6〜0.8mm程度であ
るから、球面加工後のポリカーボネート系偏光板にイン
ジェクション成形によって積層する樹脂層の厚さは非常
に薄く制限されるものとなるのであるが、このような薄
さの樹脂層をインジェクション成形等の公知の成形法に
よって形成させるのは技術的に非常に困難であるし、積
層樹脂層を薄くするがために必然的にインジェクトスペ
ースが小さくなるので、製造できるレンズの形状のバリ
エーション(デザイン等)が非常に限定されてしまうと
いった問題を抱えていた。
【0006】本発明者は、これらの問題は、前記ポリカ
ーボネート系偏光板をより一層薄く形成して、これによ
って前記積層樹脂層の厚さをある程度大きく設定するこ
とができるような構成とすることで解決できると考え
た。即ち、ポリカーボネート系偏光板を構成するポリカ
ーボネートシートの厚さを0.05〜0.25mmの薄
さに規定することによってポリカーボネート系偏光板と
しての厚さを薄く形成することによって解決できると考
えた。
【0007】しかしながら、従来技術による製法でポリ
カーボネートシートの厚さを0.05〜0.25mm程
度まで薄くすると、偏光性薄膜とポリカーボネートシー
トとを接着剤を用いて貼合する際にポリカーボネートシ
ートにクラックが発生するという問題のあることが判明
した。
【0008】この発明は、かかる技術的背景に鑑みてな
されたものであって、球面等の曲面状に形成されても度
を発生することがなく、また保護層であるポリカーボネ
ートシートにクラックが発生することがなく、しかも十
分なかつバラツキのない偏光度が得られて優れた防眩性
を発揮する偏光板及び偏光レンズを提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、前述した偏光性薄膜とポリカーボネートシートとを
接着剤を用いて貼合する際にポリカーボネートシートに
クラックが発生する原因について鋭意研究を重ねた結
果、ポリカーボネートシートの薄化により該シートの耐
溶剤性が低下し、偏光性薄膜とポリカーボネートシート
とを接着剤を用いて貼合する際にポリカーボネートシー
トの一部が接着剤の溶剤に溶解するためであることを解
明した。
【0010】本発明者は耐溶剤性の向上を図るべく更に
鋭意検討をした結果、前記ポリカーボネートシートの耐
溶剤性の低下と、該シートのリタデーション値との間に
相関関係があることを見出した。即ち、従来においては
前記ポリカーボネートシートとしてはリタデーション値
が3000nm以上のものが一般的に用いられていたの
であるが、このリタデーション値が従来よりも極端に低
い特定値以下のポリカーボネートシートを用いれば該シ
ートの耐溶剤性が非常に良好なものとなり、前記貼り合
わせ時のポリカーボネートシートのクラック発生を効果
的に防止することができること、更には同特定値以下の
ポリカーボネートシートを用いれば偏光板としての偏光
度のバラツキを顕著に低減できることを見出すに至り、
この発明を完成したものである。
【0011】即ち、この発明に係る偏光板は、偏光性薄
膜の片面または両面に、リタデーション値が300nm
以下であり、かつ厚さが0.05〜0.25mmのポリ
カーボネートシートが貼着されてなることを特徴とする
ものである。
【0012】リタデーション値が300nm以下のポリ
カーボネートシートを用いるので、該シート厚さが0.
05〜0.25mmという薄い厚さに設定されていても
耐溶剤性に優れており、従って偏光性薄膜とポリカーボ
ネートシートとを接着剤を用いて貼合する際にポリカー
ボネートシートにクラックが発生することがない。ま
た、ポリカーボネートシートのリタデーション値が30
0nm以下に規定されているので、偏光板として十分な
偏光度を確保することができると共に偏光度のバラツキ
も顕著に低減することができ、ひいては高品質の偏光板
となし得る。更に、ポリカーボネートシートの厚さが
0.05〜0.25mmに規定されているので、貼合作
業が容易であり生産性に優れると共に偏光板としての薄
型化が可能となる。このような薄型化が可能となること
で、例えばこの偏光板に球面加工等の曲面加工を施して
その片面または両面に、インジェクション成形によって
樹脂層を積層する場合においても何ら問題なく生産性良
く積層樹脂層を一体化させることができると共に、前記
インジェクション成形の際のインジェクトスペースにあ
る程度の余裕ができるので、製造されるレンズ等の製品
の形状のバリエーションが制限されることがなく、意匠
性に優れたレンズ等の製品の提供を可能となし得る。
【0013】前記ポリカーボネートシートのリタデーシ
ョン値は100nm以下であるのが好ましく、このよう
な範囲に規定することによって、耐溶剤性を向上できる
上に、偏光板の表面に後から表面硬度処理等を施す場合
であってもそれからの悪影響を殆ど受けることなく上記
諸効果を十分に享受できる。
【0014】また、この発明に係る偏光レンズは、上記
いずれかの構成に係る偏光板が曲面加工され、該曲面加
工された偏光板の少なくとも一方の面にインジェクショ
ン成形法によりポリカーボネート樹脂からなる積層樹脂
層が一体化されてなることを特徴とするものである。上
記の構成によって薄型化が可能となった薄型偏光板が曲
面加工され、この曲面加工後にポリカーボネート樹脂か
らなる積層樹脂層が一体化されているので、得られるレ
ンズにおいて度を発生することがない。更に、上記構成
に係る偏光板を用いているので、偏光板として十分な偏
光度が確保されると共に偏光度のバラツキも顕著に低減
されたものとなる。
【0015】前記積層樹脂層を前記曲面加工された偏光
板の外面側に一体化させた場合には、積層後の外面側の
ポリカーボネート層のリタデーション値が変化してしま
うので、これが一定値以下になるように厳重に管理しな
いとレンズとして使用した際の偏光度低下や発色といっ
た不具合を生じる恐れがある。一方、積層樹脂層を前記
曲面加工された偏光板の内面側に一体化させた場合には
内面側のポリカーボネート層のリタデーション値に変化
が生じたとしても、該内面側のポリカーボネート層に到
達する光は既に偏光性薄膜を通過した後のものであるの
で、レンズとして使用する際には何ら問題とならない。
従って、前記積層樹脂層は、前記曲面加工された偏光板
の内面側に一体化されているのが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態に係る偏光
板を図1に示す。この偏光板(1)は、偏光性薄膜
(2)の両面に、接着剤層(4)(4)を介して、リタ
デーション値が300nm以下で、厚さが0.05〜
0.25mmのポリカーボネートシート(3)(3)が
貼着されたものである。
【0017】前記偏光性薄膜(2)としては、偏光機能
を発揮する薄膜であれば特に限定されず、例えばポリビ
ニルアルコール系フィルム等の高分子フィルムに、ヨウ
素や2色性染料等の2色性色素を吸着させて配向せしめ
たもの等が挙げられる。また、後述するように熱成形に
よってレンズ状等に曲面加工する場合には2色性染料を
用いて構成するのが好ましい。
【0018】前記2色性染料としては、例えばクロラチ
ンファストレッド、コンゴーレッド、ブリリアントブル
ー6B、ベンゾパープリン、クロラゾールブラックB
H、ダイレクトブルー2B、ジアミングリーン、クリソ
フェノン、シリウスイエロー、ダイレクトファーストレ
ッド、アシドブラック等が挙げられる。
【0019】前記偏光性薄膜(2)の製造は、例えば次
のようにして行うことができる。即ち、ヨウ素または2
色性色素を溶解させた水溶液中に前記高分子フィルムを
浸漬し、ヨウ素または2色性色素を高分子フィルムに吸
着せしめた後、金属イオンやホウ酸などの添加剤を溶解
した水溶液中に浸漬した状態である一方向に延伸するこ
とによって製造できる。もちろん、偏光性薄膜(2)は
上記例示の製造方法によって製造されるものに特に限定
されるものではない。
【0020】前記ポリカーボネートシート(3)のリタ
デーション値は300nm以下とする必要がある。リタ
デーション値が300nmを超えると偏光板(1)とし
て十分な偏光度を確保することができなくなるし、偏光
度のバラツキも大きくなる。またリタデーション値が3
00nmを超えると、ポリカーボネートシート(3)の
耐溶剤性が低下して、偏光性薄膜とポリカーボネートシ
ート(3)とを接着剤を用いて貼合する際にポリカーボ
ネートシート(3)にクラックが発生する。
【0021】中でも、ポリカーボネートシート(3)の
リタデーション値は100nm以下とするのが好まし
い。このような範囲に規定すれば、耐溶剤性を一層向上
できるし、偏光板の表面に後からハードコート処理等の
表面硬度処理等を施す場合であってもそれからの悪影響
を殆ど受けることなく上記諸効果(耐溶剤性の向上、偏
光度のバラツキの低減)を十分に享受することができる
利点がある。
【0022】なお、前記リタデーション値は、下記式で
定義される値であって、自動複屈折率計(KS−SYS
TEMS社製)により測定される値である。
【0023】リタデーション値(R)=(ポリカーボネ
ートシートの複屈折率)×(ポリカーボネートシートの
厚さ) 上記算出式におけるシートの厚さの単位は「nm」であ
る。
【0024】また、ポリカーボネートシート(3)の厚
さは、0.05〜0.25mmの範囲とする必要があ
る。0.05mm未満では偏光性薄膜(2)とポリカー
ボネートシート(3)の貼り合わせ作業が困難となる
し、一方0.25mmを超えると偏光板としての薄型化
が困難となり、例えば球面加工等の曲面加工が施された
該偏光板の片面または両面に、インジェクション成形に
よって樹脂層を積層する場合に、得られるレンズ等の製
品の厚さを所定厚さ範囲に設定する関係上、必然的にそ
の積層樹脂層(11)の厚さを非常に薄くする必要が生
じるが、このような薄さの樹脂層を形成させるのは技術
的に困難であるし、また積層樹脂層(11)の厚さを非
常に薄くする必要が生じるがためにインジェクション成
形の際のインジェクトスペースが小さくなるので、製造
できるレンズ等の製品の形状のバリエーション(デザイ
ン等)が非常に制限されるという問題を招くからであ
る。中でも、ポリカーボネートシート(3)の厚さは、
0.07〜0.20mmの範囲とするのが好ましい。
【0025】前記ポリカーボネートシート(3)として
は、ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート系共
重合体等からキャスト法等によりシート状に製造された
ものであっても良いし、あるいは押出成形法等のその他
の製造方法で製造されたものであっても良く、特に限定
されない。また、ポリカーボネートシート(3)の表面
又は内部に、帯電防止、熱線反射等の各種機能が付与さ
れたものであっても良い。
【0026】前記接着剤層(4)を形成する接着剤とし
ては、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エ
ポキシ系接着剤等が挙げられるが、偏光性薄膜(2)と
ポリカーボネートシート(3)とを十分に接着すること
ができて、光学性透視感に優れ、経時的に黄変すること
がなく、熱成形性に優れるものであればいかなるもので
も良い。
【0027】なお、上記実施形態では、偏光性薄膜
(2)の両面にポリカーボネートシート(3)が貼着さ
れた構成が採用されているが、偏光性薄膜(2)の片面
にポリカーボネートシート(3)が貼着された構成を採
用することもできる。
【0028】この発明の偏光板(1)は、平板状であっ
ても良いし、曲面加工されていても良く、その用途も特
に限定されず、例えば一般的な偏光板用途や、あるいは
曲面加工することでサングラスやゴーグル等のレンズと
して用い得る。
【0029】次に、この発明に係る偏光レンズの一実施
形態を図2(ハ)に示す。この偏光レンズ(10)は、
前記偏光板(1)が曲面加工され(図2(ロ)参照)、
該曲面加工された偏光板(1)の内面側に、インジェク
ション成形法によりポリカーボネート樹脂からなる積層
樹脂層(11)が積層一体化されたものである(図2
(ハ)参照)。
【0030】偏光レンズ(10)全体としての厚さは、
通常1.0〜2.0mmに設定される。
【0031】前記偏光板(1)の曲面加工の方法は、特
に限定されないが、例えば真空成形やプレス成形等の方
法を例示できる。
【0032】なお、上記実施形態では、曲面加工された
偏光板(1)の内面側に積層樹脂層(11)を形成させ
た構成を採用しているが、特にこのような構成に限定さ
れるものではなく、リタデーション値の制御が十分にな
されるのであれば、例えば曲面加工された偏光板(1)
の外面側に積層樹脂層(11)が形成されていても良い
し、あるいは両面に形成されていても良い。
【0033】この発明の偏光レンズ(10)は、その用
途は特に限定されないが、サングラスやゴーグルのレン
ズとして好適である。
【0034】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明
する。
【0035】<実施例1>ポリビニルアルコールフィル
ム(商品名:「クラレビニロン#7500」、クラレ株
式会社製)を2色性染料を溶解させた水溶液(ブリリア
ントブルー6Bの濃度が0.4g/L、ベンゾパープリ
ンの濃度が0.2g/L、クロラゾールブラックBHの
濃度が0.1g/L)中で40℃条件で10分間染色し
た。この染色フィルムを酢酸ニッケル4水塩(0.4g
/L)とホウ酸(40g/L)を溶解せしめた水溶液中
に40℃で20分間浸漬した後、この溶液中で1軸方向
に約2倍延伸し、次いで水洗、乾燥を行って、偏光性薄
膜を得た。
【0036】また、溶融キャスト法により厚さ0.07
mmのポリカーボネートシートを得た。このポリカーボ
ネートシートのリタデーション値は、自動複屈折率計
(KS−SYSTEMS社製)により測定したところ、
80〜110nmであった。なお、リタデーション値は
10箇所測定した際のその範囲(最も小さい数値から最
も大きい数値まで)で示した(以下、同様)。
【0037】前記偏光性薄膜の両面に、一液性湿気硬化
型ポリウレタン系接着剤を塗布し、これに上記ポリカー
ボネートシートを貼り合わせて、厚さ0.17mmの偏
光板を得た。
【0038】<実施例2、3、比較例1〜3>ポリカー
ボネートシートの厚さ、リタデーション値が表に示され
る値となるように構成した以外は、実施例1と同様にし
て、偏光板を得た。なお、リタデーション値は、ポリカ
ーボネート樹脂をシーティングする際の製造条件(例え
ば押出成形においては、ポリシングロールでの樹脂温
度、ポリシングロールと引き取りロールとの速度差等)
を変化させることにより所望の値に制御することができ
る。また、ポリカーボネートシートの厚さは、溶融キャ
スト法あるいは押出成形法等の成形方法を適宜選択する
ことで制御することができる。
【0039】<実施例4>実施例1で得られた偏光板を
真空成形法により球面加工したのち、これの内面側にイ
ンジェクション法によりポリカーボネート樹脂からなる
積層樹脂層を一体化して、偏光レンズ(厚さ2.0m
m)を得た。
【0040】上記のようにして得られた各偏光板に対し
て、下記試験法に基づいて偏光度の評価を行った。
【0041】<偏光度試験法>透過率計(株式会社村上
色彩技術研究所製:HM−100)を用いて偏光板の平
行透過率および直交透過率を求め、下記算出式により各
偏光板の偏光度を算出した。なお、平行透過率(Tp)
とは、偏光板を2枚その偏光性薄膜の分子配向が互いに
平行になるように重ね合わせた時の透過率であり、一方
直交透過率(Tc)とは、偏光板を2枚その偏光性薄膜
の分子配向が互いに直交するように重ね合わせた時の透
過率である。
【0042】
【数1】
【0043】なお、各偏光板を構成する各偏光性薄膜に
ついても上記と同様にしてその偏光度を測定した。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、この発明の実施
例1〜3の偏光板は、貼り合わせの際にポリカーボネー
トシートにクラックが発生することが全くなく、偏光板
としての偏光度も十分に確保され、かつ偏光度のバラツ
キもなかった。また実施例4の偏光レンズは、全く度が
発生しておらず高品質の偏光レンズとなし得ると共に、
偏光度も十分に確保され、かつ偏光度のバラツキもない
ことを確認し得た。
【0046】これに対し、比較例1では、偏光板として
の偏光度はある程度得られるものの、偏光度のバラツキ
が非常に大きかった。比較例2では、十分な偏光度が得
られない上に偏光度のバラツキが非常に大きかった。比
較例3では貼り合わせの際に接着剤の溶剤成分によりポ
リカーボネートシートが溶解して全面白化した。従って
偏光度は測定できなかった。
【0047】
【発明の効果】以上のように、この発明の偏光板は、保
護層であるポリカーボネートシートのリタデーション値
が300nm以下であるので、該シート厚さが0.05
〜0.25mmの薄さに設定されているにも関わらず、
耐溶剤性に優れており、従って偏光性薄膜とポリカーボ
ネートシートとを接着剤で貼合する際にポリカーボネー
トシートにクラックが発生することを防止できる。ま
た、リタデーション値が300nm以下であるので、十
分な偏光度を確保できると共に偏光度のバラツキも顕著
に低減できて高品質の偏光板となし得る。更に、ポリカ
ーボネートシートの厚さが特定範囲に規定されているの
で、良好な生産性を確保しつつ偏光板としての薄型化を
実現することができる。このような薄型化が可能となる
ことで、例えば球面加工等の曲面加工が施された該偏光
板の片面または両面に、インジェクション成形によって
樹脂層を積層してレンズ等の製品を構成する場合におい
ても、何ら問題なく生産性良く製造することを可能とで
きると共に、製造されるレンズ等の製品の形状のバリエ
ーションが制限されることがなくて、意匠性に優れたレ
ンズ等の製品を提供することが可能となる。
【0048】ポリカーボネートシートのリタデーション
値が100nm以下である場合には、耐溶剤性を向上で
きるのみならず、偏光板の表面に後から表面硬度処理等
を施す場合であってもそれからの悪影響を殆ど受けるこ
となく上記諸効果を十分に享受することができる利点が
ある。
【0049】この発明の偏光レンズは、上記構成によっ
て薄型化が可能となった上記偏光板が曲面加工されてい
るので、得られるレンズにおいて度を発生することがな
く高品質の偏光レンズとなる。更に、上記構成に係る偏
光板を用いているので、偏光板として十分な偏光度を確
保できると共に偏光度のバラツキも顕著に低減されたも
のとなる。
【0050】積層樹脂層が上記曲面加工された偏光板の
内面側に一体化されている場合には、積層後のポリカー
ボネート層のリタデーション値を管理する必要がなく、
生産性を向上できると共に安定した品質を確保できる利
点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面
図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る偏光レンズの製造
工程を工程順次に従って示す断面図である。
【符号の説明】
1…偏光板 2…偏光性薄膜 3…ポリカーボネートシート 4…接着剤層 10…偏光レンズ 11…積層樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 11:00 B29L 11:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光性薄膜の片面または両面に、 リタデーション値が300nm以下であり、かつ厚さが
    0.05〜0.25mmのポリカーボネートシートが貼
    着されてなることを特徴とする偏光板。
  2. 【請求項2】 前記ポリカーボネートシートのリタデー
    ション値が100nm以下である請求項1に記載の偏光
    板。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または2に記載の偏光板が
    曲面加工され、該曲面加工された偏光板の少なくとも一
    方の面にインジェクション成形法によりポリカーボネー
    ト樹脂からなる積層樹脂層が一体化されてなることを特
    徴とする偏光レンズ。
  4. 【請求項4】 前記積層樹脂層が、前記曲面加工された
    偏光板の内面側に一体化されている請求項3に記載の偏
    光レンズ。
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Cited By (9)

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