JP2023149257A - 偏光性積層体、偏光性湾曲積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡 - Google Patents

偏光性積層体、偏光性湾曲積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体において、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっているものを、優れた精度で、かつ安定的に、熱曲げ加工を施すことで用意することができる偏光性積層体、かかる偏光性積層体を用いて得られた偏光性湾曲積層体、かかる偏光性湾曲積層体を備え信頼性に優れた眼鏡用レンズおよび眼鏡を提供すること。【解決手段】本発明の偏光性積層体15は、偏光膜13と第1樹脂層11と第2樹脂層12とを備えるものであり、第2樹脂層12は、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、第2樹脂層12の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きいことを満足する。【選択図】図2

Description

本発明は、偏光性積層体、偏光性湾曲積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡に関する。
ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂等を主材料として構成される被覆層で偏光膜の両面を被覆した構成をなす偏光性湾曲積層体(樹脂基板)を備える眼鏡用レンズが提案されている。
この眼鏡用レンズは、例えば、平面視で平板状をなす偏光性積層体の両面に保護フィルムを貼付した状態で、平面視で円形状等の所定の形状に、偏光性積層体を打ち抜く。その後、この偏光性積層体に加熱下で熱曲げ加工を施すことで、熱曲げにより湾曲形状とされた、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える偏光性湾曲積層体とする。そして、偏光性湾曲積層体から、保護フィルムを剥離させた後に、湾曲形状とされた凹部を備える金型に、金型の凹部と偏光性湾曲積層体の凸部とが当接するようにして、偏光性湾曲積層体を吸着させた状態で、インサート射出成形法を用いて、この偏光性湾曲積層体の凹面にポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂等の樹脂材料を主材料として構成される樹脂層を形成することにより製造される(例えば、特許文献1参照)。
このような眼鏡用レンズの製造方法では、前述の通り、偏光性積層体に対する、加熱下における熱曲げ加工により、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体が得られるが、この偏光性湾曲積層体として、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっている構成をなすものを、用意することを求められることがある。
しかしながら、かかる構成をなしている偏光性湾曲積層体を、優れた精度で、かつ安定的に用意することは、技術的に困難を伴うのが実情であった。
特開2009-294445号公報
本発明の目的は、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体において、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっているものを、優れた精度で、かつ安定的に、熱曲げ加工を施すことで用意することができる偏光性積層体、かかる偏光性積層体を用いて得られた偏光性湾曲積層体、かかる偏光性湾曲積層体を備え信頼性に優れた眼鏡用レンズおよび眼鏡を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 偏光膜と、前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層とを備え、平板状をなす偏光性積層体であって、
前記第2樹脂層は、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、前記第2樹脂層の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きいことを特徴とする偏光性積層体。
(2) 前記一方向における加熱収縮率をS[mm]とし、前記直交方向における加熱収縮率をS[mm]としたとき、10.0%<S-S<65.0%なる関係を満足する上記(1)に記載の偏光性積層体。
(3) 前記加熱収縮率Sは、15.0%以上50.0%以下である上記(2)に記載の偏光性積層体。
(4) 前記第1樹脂層は、前記一方向における加熱収縮率が、前記直交方向における加熱収縮率よりも大きい上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の偏光性積層体。
(5) 前記一方向は、当該偏光性積層体のMDであり、前記直交方向は、当該偏光性積層体のTDである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の偏光性積層体。
(6) 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とは、リタデーションが異なっており、前記第1樹脂層のリタデーションが0nm以上500nm以下であり、前記第2樹脂層のリタデーションが2600nm以上8000nm以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の偏光性積層体。
(7) 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、それぞれ独立して、ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂を主材料として構成される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の偏光性積層体。
(8) 前記主材料のガラス転移点は、100℃以上190℃以下である上記(7)に記載の偏光性積層体。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の偏光性積層体を、前記一方の面側を湾曲凹面とし、前記他方の面側を湾曲凸面とする湾曲状態とした偏光性湾曲積層体であって、
当該偏光性湾曲積層体の前記湾曲凸面において、前記一方向における曲率半径は、前記直交方向における曲率半径よりも小さいことを特徴とする偏光性湾曲積層体。
(10) 上記(9)に記載の偏光性湾曲積層体を備えていることを特徴とする眼鏡用レンズ。
(11) 上記(10)に記載の眼鏡用レンズを備えていることを特徴とする眼鏡。
本発明によれば、偏光膜と、前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層とを備る偏光性積層体において、前記第2樹脂層では、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、前記第2樹脂層の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きく設定されている。そのため、本発明の偏光性積層体に対する、加熱下における熱曲げ加工により、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体を得る際に、この偏光性湾曲積層体を、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっている構成をなすものとして、優れた精度で、かつ安定的に得ることができる。
本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズを備えるサングラスの実施形態を示す斜視図である。 本発明の偏光性積層体を用いて本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の偏光性積層体の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の偏光性湾曲積層体の実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の偏光性積層体、偏光性湾曲積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の偏光性積層体15は、偏光膜13と、この偏光膜13の一方の面側に設けられた第1樹脂層11と、偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層12とを備え、平板状をなすものであり、第2樹脂層12は、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、第2樹脂層12の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きいことを満足する。
これにより、偏光性積層体15に対する、加熱下における熱曲げ加工により、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体10を得る際に、この偏光性湾曲積層体10を、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっている構成をなすものとして、優れた精度で、かつ安定的に得ることができる。
本発明の偏光性積層体15を、加熱下における熱曲げ加工を施すことで得られる、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体10(本発明の偏光性湾曲積層体)は、例えば、眼鏡の一種であるサングラス100が備える眼鏡用レンズ30が有する偏光性の樹脂基板として使用される。そこで、以下では、まず、本発明の偏光性積層体15および偏光性湾曲積層体10を説明するのに先立って、このサングラス100(本発明の眼鏡)について説明する。
<サングラス>
図1は、本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズを備えるサングラスの実施形態を示す斜視図である。なお、図1において、サングラスを使用者の頭部に装着した際に、レンズの使用者の目側の面を裏側の面と言い、その反対側の面を表側の面と言う。
サングラス100は、図1に示すように、フレーム20と、眼鏡用レンズ30とを備えている。
なお、本明細書中において、「眼鏡用レンズ」とは、集光機能を有するものと、集光機能を有していないものとの双方を含むこととする。
フレーム20は、使用者の頭部に装着され、眼鏡用レンズ30を使用者の目の前方近傍に配置させるためのものである。
このフレーム20は、リム部21と、ブリッジ部22と、テンプル部23と、ノーズパッド部24とを有している。
リム部21は、リング状をなし、右目および左目にそれぞれ対応して1つずつ設けられており、内側に眼鏡用レンズ30が装着される。これにより、使用者は、眼鏡用レンズ30を介して、外部の情報を視認することができる。
また、ブリッジ部22は、棒状をなし、使用者の頭部に装着された際に、使用者の鼻の上部の前方に位置して、一対のリム部21を連結する。
テンプル部23は、つる状をなし、各リム部21のブリッジ部22が連結されている位置の反対側における縁部に連結されている。このテンプル部23は、使用者の頭部に装着する際に、使用者の耳に掛けられる。
ノーズパッド部24は、サングラス100を使用者の頭部に装着する際に、各リム部21における使用者の鼻に対応する縁部に設けられ、使用者の鼻に当接し、このとき使用者の鼻の当接部に対応した形状をなしている。これにより、装着状態を安定的に維持することができる。
フレーム20を構成する各部の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や、各種樹脂材料等を用いることができる。なお、フレーム20の形状は、使用者の頭部に装着することができるものであれば、図示のものに限定されない。
眼鏡用レンズ30(本発明の眼鏡用レンズ)は、各リム部21に、それぞれ装着されている。この眼鏡用レンズ30は、光透過性を有し、外側に向って湾曲した板状をなす部材であり、樹脂層35と、偏光性湾曲積層体10とを有している。
樹脂層35は、光透過性を有し、レンズの裏側に位置し、眼鏡用レンズ30に、集光機能を付与する際には、この樹脂層35が集光機能を有している。
眼鏡用レンズ30の構成材料としては、光透過性を有する樹脂材料であれば、特に限定されないが、例えば、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のような各種硬化性樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられるが、中でも、後述する偏光性湾曲積層体10が備える第1樹脂層11を主材料として構成する樹脂材料と、同種もしくは同一であるのが好ましい。これにより、樹脂層35と、偏光性湾曲積層体10との密着性の向上を図ることができる。また、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との間における屈折率差を低く設定することができるため、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との間において、光が反射されるのを的確に抑制または防止し得ることから、優れた光透過率をもって、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との間で光を透過させることができる。なお、樹脂層35と偏光性湾曲積層体10との間における屈折率差は、0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。これにより、前記屈折率差を低く設定することで得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。
樹脂層35の厚さは、特に限定されず、例えば、0.5mm以上5.0mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であるのがより好ましい。これにより、眼鏡用レンズ30における、比較的高い強度と、軽量化との両立を図ることができる。
偏光性湾曲積層体10は、樹脂層35の外側の面、すなわち、湾曲凸面上に、かかる形状に対応して湾曲形状をなして接合される湾曲樹脂基板であり、この偏光性湾曲積層体10を眼鏡用レンズ30が備えることにより、サングラス100に偏光性が付与される。その結果、サングラス100が、偏光性を有する偏光サングラスとしての機能を発揮する。この偏光性湾曲積層体10が、本発明の偏光性湾曲積層体で構成されるが、その詳細な説明は、後に行うこととする。
なお、前述の通り、サングラス100が備える眼鏡用レンズ30は、集光機能を有するものであっても、集光機能を有していないもののいずれであってもよい。
また、サングラス100は、前述のように、フレーム20を有するものの他、ファッション性、軽量性等の観点から、フレームのない構成をなすものであってもよい。
さらに、本実施形態では、本発明の眼鏡を、サングラス100に適用することとしたが、これに限定されず、本発明の眼鏡は、例えば、度付き眼鏡、伊達メガネ、風雨、塵芥、薬品等から眼を保護するゴーグル等であってもよい。
以上のような構成をなすサングラス100において、サングラス100が備える眼鏡用レンズ30は、本発明では、以下に示すような、眼鏡用レンズ30の製造方法を経ることで製造される。
<眼鏡用レンズの製造方法>
図2は、本発明の偏光性積層体を用いて本発明の偏光性湾曲積層体を有する眼鏡用レンズの製造方法を説明するための模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図1の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、本発明の偏光性湾曲積層体10を備える眼鏡用レンズ30の製造方法の各工程を詳述する。
[1]まず、第1樹脂層11と偏光膜13と第2樹脂層12とを備え、これらがこの順で積層された、全体形状が平板状をなす偏光性積層体15(本発明の偏光性積層体)を用意する。そして、この偏光性積層体15の両面に、保護フィルム50(マスキングテープ)を貼付することで、偏光性積層体15の両面に保護フィルム50が貼付された多層積層体150を得る(図2(a)参照)。
[2]次に、図2(b)に示すように、用意した多層積層体150を、すなわち、偏光性積層体15の両面に保護フィルム50を貼付した状態で偏光性積層体15を、その厚さ方向に打ち抜くことで、多層積層体150を平面視で円形状をなすものとする。
[3]次に、図2(c)に示すように、円形状とされた多層積層体150に対して、加熱下で熱曲げ加工を施すことで、多層積層体150を、第1樹脂層11側が湾曲凹面とされ、第2樹脂層12側が湾曲凸面とされた湾曲形状をなす湾曲多層積層体200とする。これにより、平板状をなす偏光性積層体15を、両面に保護フィルム50が貼付された状態で、湾曲形状をなす偏光性湾曲積層体10(本発明の偏光性湾曲積層体)とすることができる。
この熱曲げ加工は、通常、プレス成形または真空成形により実施される。
この際の多層積層体150(偏光性積層体15)の加熱温度(成形温度)は、前述の通り、本実施形態では、偏光性積層体15が樹脂層11、12を備え、樹脂層11、12の溶融または軟化温度を考慮して、好ましくは110℃以上170℃以下程度、より好ましくは130℃以上160℃以下程度に設定される。加熱温度をかかる範囲内に設定することにより、偏光性積層体15の変質・劣化を防止しつつ、偏光性積層体15を軟化または溶融状態として、偏光性積層体15を確実に熱曲げして、湾曲形状をなす偏光性湾曲積層体10とすることができる。
[4]次に、熱曲げがなされた偏光性湾曲積層体10から、保護フィルム50を剥離させる。その後、図2(d)に示すように、湾曲形状とされた湾曲凹面を備える金型40に、金型40の湾曲凹面と偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面とが当接するようにして、偏光性湾曲積層体10を吸着させた状態で、例えば、インサート射出成形法を用いて、この偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、樹脂材料を主材料として構成される樹脂層35を射出成形する。すなわち、溶融状態とされた樹脂層35の構成材料を、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、接触させた状態で冷却して固化させることにより、偏光性湾曲積層体10の湾曲凹面に、接着剤層等を介することなく、樹脂層35を、直接、接触させた状態で成形する。これにより、熱曲げがなされた偏光性湾曲積層体10と、樹脂層35とを備える眼鏡用レンズ30(本発明の眼鏡用レンズ)が製造される。
また、インサート射出成形法の中でも、射出圧縮成形法が好ましく用いられる。射出圧縮成形法は、金型40の中に樹脂層35を形成するための樹脂材料を低圧で射出した後、金型40を高圧で閉じてこの樹脂材料に圧縮力を加える方法をとるため、成形体としての樹脂層35ひいては眼鏡用レンズ30に成形歪みや成形時の樹脂分子の局所的配向に起因する光学的異方性が生じにくいことから好ましく用いられる。また、樹脂材料に対して均一に加わる金型圧縮力を制御することにより、一定比容で樹脂材料を冷却することができるので、寸法精度の高い樹脂層35を得ることができる。
以上のような眼鏡用レンズ30の製造方法における、前記工程[3]において、偏光性積層体15に対する、加熱下における熱曲げ加工により、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体10を得ることができる。このとき、この偏光性湾曲積層体10として、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっている構成をなすものを、用意することを求められることがある。かかる要求に対して、加熱下における熱曲げ加工が施される偏光性積層体15として、本発明の偏光性積層体を用いることで、上記のような構成をなしている偏光性湾曲積層体10を、優れた精度で、かつ安定的に得ることができる。そのため、信頼性に優れた眼鏡用レンズ30ひいてはサングラス100を歩留まり良く製造することができるが、以下、本発明の偏光性積層体15について詳述する。
<偏光性積層体15>
本発明の偏光性積層体15は、偏光膜13と、この偏光膜13の一方の面側に設けられた第1樹脂層11と、偏光膜13の他方の面側に設けられた第2樹脂層12とを備え、平板状をなすものであり、第2樹脂層12は、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、第2樹脂層12の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きいことを満足している。
以下、この偏光性積層体15(本発明の偏光性湾曲積層体)について、まず、偏光性積層体15を構成する各部(各層)について説明する。なお、偏光性積層体15は、上記の通り、第1樹脂層11と、偏光膜13と、第2樹脂層12とを備えていればよいが、本実施形態では、さらに、偏光膜13と第1樹脂層11とを接合(接着)する接着剤層16と、偏光膜13と第2樹脂層12とを接合(接着)する接着剤層17とを備える場合について説明する。
図3は、本発明の偏光性積層体の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1の上側を「上」、下側を「下」と言う。
(偏光膜13)
偏光膜13は、入射光(偏光していない自然光)から、所定の一方向に偏光面をもつ直線偏光を取り出す機能を有している。これにより、偏光性積層体15を通過する光は、偏光されたものとなる。
偏光膜13の偏光度は、特に限定されないが、例えば、50%以上100%以下であるのが好ましく、80%以上100%以下であるのがより好ましい。また、偏光膜13の可視光線透過率は、特に限定されないが、例えば、10%以上80%以下であるのが好ましく、20%以上50%以下であるのがより好ましい。
このような偏光膜13の構成材料としては、上記機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン価物等で構成された高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着、染色させ、一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
これらの中でも、偏光膜13は、ポリビニルアルコール(PVA)を主材料とした高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着、染色させ、一軸延伸したものが好ましい。ポリビニルアルコール(PVA)は透明性、耐熱性、染色剤であるヨウ素または二色性染料との親和性、延伸時の配向性のいずれもが優れた材料である。したがって、PVAを主材料とする偏光膜13は、耐熱性に優れたものとなるとともに、偏光能に優れたものとなる。
なお、本明細書中において、「主材料」とは、このものを含有する層(膜)を構成する構成材料のうち、50重量%以上含有する構成材料のことを言うこととする。
なお、上記二色性染料としては、例えばクロラチンファストレッド、コンゴーレッド、ブリリアントブルー6B、ベンゾパープリン、クロラゾールブラックBH、ダイレクトブルー2B、ジアミングリーン、クリソフェノン、シリウスイエロー、ダイレクトファーストレッド、アシッドブラックなどが挙げられる。
この偏光膜13の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。
また、偏光膜13の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.45以上1.55以下であるのが好ましく、1.47以上1.53以下であるのがより好ましい。
(第1樹脂層11および第2樹脂層12)
第1樹脂層11および第2樹脂層12は、図2(d)、図3、図4に示すように、それぞれ、偏光膜13の下面側(一方の面側)および上面側(他方の面側)に設けられ、これにより、偏光膜13を保護する保護層として機能する。
これら第1樹脂層11および第2樹脂層12は、特に限定されないが、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、および、トリアセチルセルロースのようなセルロース樹脂等の樹脂材料を主材料として構成され、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリアミド系樹脂またはポリカーボネート系樹脂を主材料として構成されていることが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富むため、偏光性積層体15の透明性や耐衝撃性を向上させることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は、その比重が1.2程度であり、樹脂材料の中でも軽いものに分類されることから、偏光性積層体15の軽量化が図られる。また、ポリアミド系樹脂は、透明性および耐衝撃性の他に、耐薬品性、耐応力性等の向上を図ることができる。
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができ、例えば、脂環式ポリアミド、半芳香族ポリアミド等が挙げられる。脂環式ポリアミドは、耐衝撃性に優れた材料である。そのため、偏光性積層体15を優れた耐衝撃性を発揮するものとすることができる。また、半芳香族ポリアミドは、弾性率の高い材料である。そのため、曲げ等の応力に対して、優れた耐性を有する偏光性積層体15とすることができる。
なお、本明細書において、半芳香族ポリアミドとは、ポリアミドを構成するモノマーとしてのジカルボン酸、ジアミンのうちの一方が芳香族性化合物であり、他方が脂肪族化合物であるポリアミドのことを言い、具体的には、下記式(1B)で表すことができる。
(ただし、式(1B)中のRおよびRは、一方が2価の芳香族置換基、他方が2価の脂肪族置換基であり、nは、2以上の整数である。)
なお、ポリアミドは、ジカルボン酸、ジアミンのうち少なくとも一方について、2種以上のモノマーを含む共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)であってもよい。
また、上記式(1B)中のR、Rのうちの芳香族置換基としては、下記式(2B)で表されるものであるのが好ましい。
(ただし、式(2B)中、l、mは、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。)
これにより、偏光膜13をより好適に保護することができるとともに、偏光性積層体15の加工性をより優れたものとすることができる。また、樹脂層11、12にリタデーションを付与する場合には、樹脂層11、12の延伸によるリタデーションの制御をより容易に行うことができる。
上記式(1B)中のR、Rのうちの脂肪族置換基は、炭素数が4以上18以下のものであるのが好ましく、炭素数が4以上18以下の炭化水素基であるのがより好ましく、炭素数が4以上18以下の飽和炭化水素基であるのがさらに好ましい。
これにより、偏光性積層体15の加工性をより優れたものとすることができる。
さらに、半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジアミンとを構成モノマーとして含むものであるのが好ましい。これにより、偏光膜13をより好適に保護することができるとともに、偏光性積層体15の加工性をより優れたものとすることができる。また、延伸によるリタデーションの制御をより容易に行うことができる。
脂環式ポリアミドは、その分子内に脂環式の化学構造を有しており、主鎖構造内に脂環式の化学構造を有していてもよいし、側鎖構造内に脂環式の化学構造を有していてもよい。
この脂環式ポリアミドとしては、例えば、ポリアミドを構成するモノマーとしてのジカルボン酸、ジアミンのうちの少なくとも一方が脂環式の化学構造を有する化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、下記式(3B)で表すことができる。
(ただし、式(3B)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が4以下の炭化水素基、oは、2以上14以下の整数、pは、0以上6以下の整数、nは、2以上の整数である。)
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができるが、中でも、芳香族系ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、その主鎖に芳香族環を備えており、これにより、偏光性積層体15の強度をより優れたものとすることができる。
この芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
(式(1A)中、Xは、炭素数1~18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
なお、前記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’-(ペンタン-2,2-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ブタン-2,2-ジイル)ジフェノール、1,1’-(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2-シクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3-ビスシクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールに由来する骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を主成分とするのが好ましい。かかるビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を用いることにより、偏光性積層体15は、さらに優れた強度を発揮するものとなる。
第1樹脂層11および第2樹脂層12中に主材料として含まれる樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、100℃以上190℃以下であるのが好ましく、120℃以上165℃以下であるのがより好ましい。これにより、前記工程[3]における偏光性積層体15の熱曲げ加工による偏光性積層体15の形成を比較的容易に実施することができる。また、第1樹脂層11および第2樹脂層12にリタデーションを発現させる際には、このリタデーションの発現のための延伸を好適に行うことができる。さらに、偏光性積層体15の耐久性、信頼性を優れたものとすることができる。
また、第1樹脂層11および第2樹脂層12には、主材料として含まれる樹脂材料以外に、他の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、特に限定されないが、例えば、主材料以外の樹脂材料や、染料等の着色剤、充填材、配向助剤、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤等)、可塑剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤および粘度調整剤等が挙げられる。
この場合、第1樹脂層11または第2樹脂層12中の樹脂材料の含有量は、特に限定されないが、第1樹脂層11または第2樹脂層12の100質量部中、75質量部以上であるのが好ましく、85質量部以上であるのがより好ましい。樹脂材料の含有量を上記範囲内とすることにより、偏光性積層体15を、優れた強度を発揮するものとすることができる。
なお、第1樹脂層11および第2樹脂層12を構成する構成材料は、それぞれ、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
これら第1樹脂層11および第2樹脂層12のうち第2樹脂層12は、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、第2樹脂層12の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きく設定されている。
ここで、前記工程[3]において、偏光性積層体15に対する、加熱下における熱曲げ加工により、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体10を得ることができる。この偏光性湾曲積層体10として、第2樹脂層12側の湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なっている構成をなすものを、用意することを求められることがある。
これに対応して、本発明では、上記の通り、偏光性積層体15において、一方向における加熱収縮率が、前記直交方向における加熱収縮率よりも大きく設定されている。そのため、偏光性積層体15に対して、加熱下における熱曲げ加工を施した際に、湾曲凸面を形成すべき、第2樹脂層12が位置する偏光性積層体15の表面において、一方向における曲率半径が、前記直交方向における曲率半径よりも小さくなる。すなわち、熱曲げ加工を施すことで得られる偏光性湾曲積層体10において、第2樹脂層12側の湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、前記直交方向に沿った曲率半径とを、異なる大きさのものとし得る。そして、一方向および直交方向における曲率半径の大きさが、それぞれ、一方向および直交方向における加熱収縮率の大きさに基づいて、設定されることとなる。そのため、一方向に沿った曲率半径と、前記直交方向に沿った曲率半径とが、異なる大きさとなっている複数の偏光性湾曲積層体10を、これら曲率半径の大きさがほぼ一定に保たれたものとして、優れた精度で、かつ安定的に得ることができる。
偏光性積層体15の第2樹脂層12における、一方向における加熱収縮率は、上記の通り、前記直交方向における加熱収縮率よりも大きければよいが、具体的には、一方向における加熱収縮率をS[mm]とし、前記直交方向における加熱収縮率をS[mm]としたとき、10.0%<S-S<65.0%なる関係を満足するのが好ましく、14.0%<S-S<51.0%なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、一方向における加熱収縮率Sが直交方向における加熱収縮率Sよりも十分量の大きさで大きく設定されていると言うことができる。そのため、熱曲げ加工を施すことで得られる偏光性湾曲積層体10の第2樹脂層12側の湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、前記直交方向に沿った曲率半径とを、確実に異なる大きさに設定すること、具体的には、一方向に沿った曲率半径をR[mm]とし、前記直交方向に沿った曲率半径をR[mm]としたとき、後述するような、0.59<R/R<0.95なる関係を満足させることができる。
このとき、一方向における加熱収縮率Sは、15.0%以上50.0%以下であることが好ましく、20.0%以上45.0%以下であることがより好ましい。また、直交方向における加熱収縮率Sは、-30.0%以上5.0%以下であることが好ましく、-20.0%以上-5.0%以下であることがより好ましい。これにより、前記(S-S)の大きさを、確実に前記範囲内に設定することができる。
これに対して、偏光性積層体15の第1樹脂層11における、一方向における加熱収縮率は、第2樹脂層12と同様に、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きいのが好ましい。これにより、加熱下における熱曲げ加工により得られる偏光性湾曲積層体10を、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径と、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径とが異なる大きさを有するものとして、より確実に得ることができる。
このとき、第1樹脂層11において、前記一方向における加熱収縮率をS[mm]とし、前記直交方向における加熱収縮率をS[mm]としたとき、0.0%<S-S<10.0%なる関係を満足するのが好ましく、0.0%<S-S<5.0%なる関係を満足するのがより好ましい。前記(S-S)の大きさは、前記(S-S)の大きさと比較して小さくはなるが、前記(S-S)の大きさを、前記範囲内に設定することで、熱曲げ加工を施すことで得られる偏光性湾曲積層体10を、湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径Rと、この一方向に直交する直交方向に沿った曲率半径Rとが、確実に異なる大きさを有するものとして、より優れた精度で得ることができる。
また、具体的には、一方向における加熱収縮率Sは、-5.0%以上15.0%以下であることが好ましく、-3.0%以上10.0%以下であることがより好ましい。さらに、直交方向における加熱収縮率Sは、-10.0%以上10.0%以下であることが好ましく、-7.0%以上-5.0%以下であることがより好ましい。これにより、前記(S-S)の大きさを、確実に前記範囲内に設定することができる。
また、加熱収縮率S~Sが前記範囲内に設定されることで、第2樹脂層12は、熱収縮により曲率半径が小さくなる方向に変形しやすく、第1樹脂層11は、第2樹脂層12と比較して、熱収縮により変形しにくいものであると言うことができる。ここで、偏光性積層体15に熱曲げ加工を施すことで得られた偏光性湾曲積層体10は、前述の通り、図2に示したような、眼鏡用レンズ30が備えるものに適用される。このとき、湾曲凸面側に第2樹脂層12が位置し、湾曲凹面側に第1樹脂層11が位置することとなる。この際に、第2樹脂層12の加熱収縮率が高いため、比較的熱変形しやすいが、偏光性湾曲積層体10において、第1樹脂層11は、第2樹脂層12の熱変形を抑制する機能を発揮する。したがって、偏光性湾曲積層体10全体として、熱による過剰な変形を防止することができる。その結果、偏光性湾曲積層体10の熱変形に起因して、眼鏡用レンズ30自体の形状が変形するのを、的確に抑制または防止することができる。
以上のような、加熱収縮率Sと加熱収縮率Sとを有する第2樹脂層12および加熱収縮率Sと加熱収縮率Sとを有する第1樹脂層11は、例えば、第2樹脂層12および第1樹脂層11に主材料として含まれる樹脂材料の種類、第2樹脂層12および第1樹脂層11の平均厚さ、前記一方向を、第2樹脂層12および第1樹脂層11のMD(流れ方向)とし、前記直交方向を、第2樹脂層12および第1樹脂層11のTD(流れ方向に対して垂直な方向)としたとき、第2樹脂層12および第1樹脂層11を、MDに沿って延伸する延伸倍率を適宜設定することで得ることができる。
第2樹脂層12のMDに沿った延伸倍率は、特に限定されないが、前記加熱収縮率Sおよび加熱収縮率Sの大きさに設定されるように、1.5以上3.5以下であるのが好ましい。また、第1樹脂層11のMDに沿った延伸倍率は、特に限定されないが、前記加熱収縮率Sおよび加熱収縮率Sの大きさに設定されるように、例えば、0.95以上1.1以下であるのが好ましい。
また、第1樹脂層11および第2樹脂層12を、MDに沿って延伸されたものとすることで、第1樹脂層11および第2樹脂層12にリタデーションを発現させることができ、この場合、加熱収縮率S~Sを前記範囲内に設定することで、第1樹脂層11のリタデーションを、第2樹脂層12のリタデーションよりも低く設定することが可能となる。
この場合、第1樹脂層11のリタデーションは、0nm以上500nm以下であるのが好ましく、50nm以上350nm以下であるのがより好ましい。第2樹脂層12のリタデーションは、2600nm以上8000nm以下であるのが好ましく、3500nm以上6500nm以下であるのがより好ましい。これにより、第1樹脂層11のリタデーションを十分に低くすることができるとともに、第2樹脂層12のリタデーションを十分に高くすることができるため、偏光性積層体15の偏光性能を十分に高めることができる。
第2樹脂層12の平均厚さは、例えば、0.2mm以上1.0mm以下であるのが好ましく、0.25mm以上0.7mm以下であるのがより好ましい。これにより、加熱収縮率Sおよび加熱収縮率Sが前記範囲内に設定されている第2樹脂層12を、比較的容易に得ることができる。
また、第1樹脂層11の平均厚さは、例えば、0.1mm以上0.8mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上0.4mm以下であるのがより好ましい。これにより、加熱収縮率Sおよび加熱収縮率Sが前記範囲内に設定されている第2樹脂層12を、比較的容易に得ることができる。
また、第1樹脂層11および第2樹脂層12の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.45以上1.66以下であるのが好ましく、1.48以上1.60以下であるのがより好ましい。
(接着剤層16および接着剤層17)
接着剤層16(第1接着剤層)および接着剤層17(第2接着剤層)は、それぞれ、偏光膜13と第1樹脂層11とを、および、偏光膜13と第2樹脂層12とを接合する機能を有している。これにより、偏光性積層体15の耐久性の向上を図ることができる。
接着剤層16、17を構成する接着剤(または粘着剤)としては、特に限定されず、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。中でも、ウレタン系接着剤が好ましい。これにより、接着剤層16、17の透明性、接着強度、耐久性をより優れたものとしつつ、形状変化に対する追従性を特に優れたものとすることができる。
この接着剤層16、17の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。これにより、接着剤層16、17としての機能を、確実に付与することができる。
また、接着剤層16、17の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.45以上1.55以下であるのが好ましく、1.47以上1.53以下であるのがより好ましい。
さらに、かかる構成をなしている偏光性積層体15は、その総厚が0.1mm以上2mm以下であるのが好ましい。
以上のような各部(各層)の構成をなしている偏光性積層体15は、例えば、加熱収縮率Sおよび加熱収縮率Sの大きさが前記範囲内に設定されている第2樹脂層12、ならびに、加熱収縮率Sおよび加熱収縮率Sの大きさが前記範囲内に設定されている第1樹脂層11を用意し、これらを、それぞれ、偏光膜13に対して、第1接着剤層16ならびに第2接着剤層17を介して接合することで得ることができる。
なお、偏光性湾曲積層体10において、接着剤層16、17は、第1樹脂層11、第2樹脂層12および偏光膜13の構成等によっては、その形成を省略することもできる。
このような偏光性積層体15(本発明の偏光性積層体)を、前記工程[3]において、熱曲げ加工を施すことで、第1樹脂層11側(一方の面側)の表面が湾曲凹面をなし、第2樹脂層12側(他方の面側)の表面が湾曲凸面をなす偏光性湾曲積層体10として、前記湾曲凸面において、前記一方向における曲率半径Rは、前記直交方向における曲率半径Rよりも小さくなっているものが得られることとなる。すなわち、偏光性湾曲積層体10として、第2樹脂層12側(他方の面側)の湾曲凸面における、一方向に沿った曲率半径Rと、前記直交方向に沿った曲率半径Rとが異なっている構成をなすものを用意することができる。以下、この偏光性湾曲積層体10(本発明の偏光性湾曲積層体)について説明する。
<偏光性湾曲積層体10>
図4は、本発明の偏光性湾曲積層体の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1の上側を「上」、下側を「下」と言う。
ここで、前述した眼鏡用レンズの製造方法の前記工程[4]における、インサート射出成形法を用いた偏光性湾曲積層体10に対する樹脂層35の形成では、湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体10を、金型40が備える湾曲凹面に、偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面が対応するように吸着させる作業が生じる。
このとき、金型40への偏光性湾曲積層体10の吸着は、一般的に、作業者の手により実施されるが、この際の、作業台からの偏光性湾曲積層体10の掴み取りを円滑に行う必要がある。
かかる要求があるところ、前記工程[3]における、平板状をなす偏光性積層体15を、加熱下で熱曲げ加工を施すことによる、湾曲形状をなす偏光性湾曲積層体10の形成では、一般的には、前記工程[4]で用いる金型40の湾曲凹面の曲率に対して、偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面の曲率がほぼ同一になるように設定して、偏光性湾曲積層体10が作製される。
そして、眼鏡用レンズの製造方法に用いられる金型40は、通常、その湾曲凹面の一方向における曲率半径をRB1[mm]、前記一方向に直交する直交方向における曲率半径をRB2[mm]としたとき、RB1=RB2のものが高頻度で用いられる。
したがって、金型40の湾曲凹面に密着される偏光性湾曲積層体10として、その前記一方向における曲率半径R[mm]と、前記直交方向における曲率半径R[mm]との関係が、RB1=RB2=R=Rを満足するものが一般的に用意される。
しかしながら、偏光性湾曲積層体10において、R=Rを満足するものを用いた場合、偏光性湾曲積層体10を水平な作業台に静置すると、偏光性湾曲積層体10と作業台の接触点が多くなり、偏光性湾曲積層体10を掴み取ることに困難が生じていた。
これに対して、本願発明では、偏光性湾曲積層体10として、前記一方向に沿った曲率半径Rと、前記直交方向に沿った曲率半径Rとが異なっている構成をなすものとして、R<Rなる関係を満足するものを用意することができる。このように、偏光性湾曲積層体10として、R<Rなる関係を満足するものを用いること、すなわち、曲率半径R[mm]と曲率半径R[mm]とを、Rの方を小さくすることで、偏光性湾曲積層体10を水平な作業台に静置する際に、偏光性湾曲積層体10の曲率半径の小さい前記一方向の底部と作業台とが点でのみ接触する。そのため、偏光性湾曲積層体10を掴み取る作業を簡易にすることができることから、作業者の作業の効率を改善することができる。
金型40の湾曲凹面は、その曲率が成形すべき眼鏡用レンズ30に対応して設定されており、通常、前記一方向および前記直交方向ともに、1カーブ以上9カーブ以下に設定されており、曲率半径RB1、曲率半径RB2に換算すると、58mm以上523mm以下に設定されている。
このような眼鏡用レンズ30の形成の際に、偏光性湾曲積層体10において、R<Rなる関係を満足すればよいが、さらに、R/Rは、0.59<R/R<0.95なる関係を満足することが好ましい。作業台に偏光性湾曲積層体10を湾曲凸面が上方向となるように積み重ねる際に、上記関係を満足することで、積み重ねた偏光性湾曲積層体10が容易に倒れることなく、かつ、偏光性湾曲積層体10の掴みやすさも維持することができる。
また、前述の通り、眼鏡用レンズの製造方法の前記工程[4]における、インサート射出成形法を用いた偏光性湾曲積層体10に対する樹脂層35の形成では、湾曲形状とされた偏光性湾曲積層体10を、金型40が備える湾曲凹面に、偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面が対応するようにして、脱落させることなく吸着させる必要が生じる。
特に、インサート射出成形法として射出圧縮成形法を用いた場合には、金型40の中に樹脂層35を形成するための樹脂材料を低圧で射出することから、この際に、位置精度よく、金型40が備える湾曲凹面に偏光性湾曲積層体10を吸着させる必要がある。
かかる要求があるところ、前記工程[3]における、平板状をなす偏光性積層体15を、加熱下で熱曲げ加工を施すことによる、湾曲形状をなす偏光性湾曲積層体10の形成では、通常、前記工程[4]で用いる金型40の湾曲凹面の曲率に対して、偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面の曲率がほぼ同一になるように設定して、偏光性湾曲積層体10が作製される。ところが、この場合、金型40に対して偏光性湾曲積層体10を優れた吸着性をもって吸着させ得ないことに起因して、偏光性湾曲積層体10が高頻度で金型40から脱落すると言う問題があった。
本発明者は、かかる問題点について鋭意検討を行った結果、偏光性湾曲積層体10の湾曲凸面の曲率を、金型40の湾曲凹面の曲率に対して、一致させることなく、意図的にズレを生じさせることで、金型40からの偏光性湾曲積層体10の脱落の頻度を低減させ得ることが判ってきた。
そして、本発明者は、このズレの大きさについて、さらなる検討を行った結果、R≠RB1、R≠RB2のうちの少なくとも一方を満足するときに、0.75<RB1/R<1.3、0.75<RB2/R<1.3なる関係を満足するズレの大きさに設定することで、金型40に対して偏光性湾曲積層体10を、優れた吸着性をもって吸着させて、金型40からの偏光性湾曲積層体10の脱落の頻度を的確に抑制または防止することができることから、信頼性に優れた眼鏡用レンズ30を歩留まり良く製造し得ることを見出した。
そこで、本願発明では、偏光性湾曲積層体10として、前記一方向に沿った曲率半径Rと、前記直交方向に沿った曲率半径Rとが異なっている構成をなすものとして、曲率半径R<曲率半径Rなる関係を満足するものを用意することができる。そのため、R<Rなる関係を満足させつつ、曲率半径Rおよび曲率半径Rの大きさを適宜設定することで、0.75<RB1/R<1.3、0.75<RB2/R<1.3なる関係を満足させることができるため、金型40からの偏光性湾曲積層体10の脱落の頻度を的確に抑制または防止することができる。
また、曲率半径R<曲率半径Rの関係を満足しつつ、曲率半径Rおよび曲率半径Rの大きさを適宜設定することで、R<RB1かつR>RB2であるときには、さらに、1.05<RB1/R<1.3、0.75<RB2/R<0.95なる関係を満足することが好ましい。これにより、金型40からの偏光性湾曲積層体10の脱落の頻度をより顕著に減少させることができる。
また、曲率半径Rと曲率半径Rとは、以下に示す2つの関係式を満足することが好ましい。
具体的には、一方としては、R<RB1かつR>RB2であるとき、さらに0.59<R/R<0.95を満足するのがより好ましい。
また、他方としては、下記関係式(1)を満足するのが好ましく、下記関係式(1’)を満足するのがより好ましい。
Figure 2023149257000006
前記関係式(1)、(1’)を前記範囲内に設定することにより、金型40からの偏光性湾曲積層体10の脱落の頻度をより顕著に減少させることができる。そのため、信頼性に優れた眼鏡用レンズ30をさらに歩留まり良く製造することができる。
以上、本発明の偏光性積層体、偏光性湾曲積層体、眼鏡用レンズおよび眼鏡について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の偏光性積層体および偏光性湾曲積層体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、本発明の偏光性積層体および偏光性湾曲積層体は、前述した構成に加え、任意の構成物が付加されていてもよい。
より具体的には、例えば、本発明の偏光性湾曲積層体は、中間層や、レンズとしての度数を調整する度数調整層等を備えていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.偏光性湾曲積層体の製造
(実施例1)
まず、ポリビニルアルコール系フィルムを、水槽中で延伸しながら、染料を溶解した水溶液にて染色し、ホウ酸で処理した。その後、処理されたポリビニルアルコール系フィルムを水洗いし、乾燥した。これにより、厚さが35μmの偏光膜13を得た。
一方で、第1樹脂材料としてポリアミド系樹脂(脂環式ポリアミド、EMS社製、「Grilamid TR90」)を用い、ベント式単軸押出機による押出成形により、厚さ0.2mm、リタデーション100nmのシート状の第1樹脂層11を得た。
得られた第1樹脂層11について、MD(流れ方向)およびTD(流れ方向に直交する直交方向)の双方における加熱収縮率を、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、第1樹脂層の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分、第1樹脂層11を加熱して測定した。すなわち、得られた第1樹脂層11について、試料(幅150mm、長さ150mm、厚さ4mm)にコンパスで直径100mmの円を描き、90℃設定の熱風循環型オーブンで24時間加熱し乾燥させ、23℃までデシケーター中で冷却した後、乾燥後のMDおよびTDの双方における直径Lを測定した。その後、170℃設定の熱風循環型オーブンで60分加熱し、23℃までデシケーター中で冷却し、先に測定した円の直径箇所の加熱後の直径Lを測定した。下記式(A)により、加熱収縮率S(%)を算出した。この算出における2回の平均値を求めたところ、MDにおける加熱収縮率S(%)が1.0%であり、TDにおける加熱収縮率S(%)が1.0%であった。
S(%)=(L-L)/L×100 … (A)
また、第2樹脂材料としてポリアミド系樹脂(EMS社製、「Grilamid TR90」)を用い、ベント式単軸押出機による押出成形により厚さ0.5mmの第1シートを得た。該第1シートが120℃となるように加熱しながら2倍に一軸延伸することにより、厚さ0.4mm、リタデーション2600nmのシート状の第2樹脂層12を得た。
なお、延伸後の第2樹脂層12を、135℃、10minの条件で加熱することでアニール処理を施した。
得られた第2樹脂層12について、MD(流れ方向)およびTD(流れ方向に直交する直交方向)の双方における加熱収縮率を、上述したJIS K 7133に規定された方法に準拠して測定したところ、MDにおける加熱収縮率S(%)が31.0%であり、TDにおける加熱収縮率S(%)が-13.3%であった。
次いで、第1樹脂層11の一方の面上に、第1接着剤として二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤(主剤:三井化学社製、「タケラック A-520」、硬化剤:三井化学社製、「タケネート A-50」)をバーコーターにて乾燥後の厚さが20μmになるように塗布した。また、第2樹脂層12の一方の面上に、第2接着剤として二液型湿気硬化型ポリウレタン接着剤(主剤:三井化学社製、「タケラック A-520」、硬化剤:三井化学社製、「タケネート A-50」)をバーコーターにて乾燥後の厚さが20μmになるように塗布した。
次いで、第1接着剤および第2接着剤がそれぞれ塗布された第1樹脂層11および第2樹脂層12を、オーブンに入れ、第1接着剤および第2接着剤中の溶剤分が乾燥するまで加熱した。これにより、第1樹脂層11の一方の面上に接着剤層16(第1接着剤層)が積層された第1積層体を得るとともに、第2樹脂層12の一方の面上に接着剤層17(第2接着剤層)が積層された第2積層体を得た。
その後、偏光膜13の一方の面上に、第1接着剤層16が接触するように、第1積層体を偏光膜13に積層し、偏光膜13の他方の面上に、第2接着剤層17が接触するように、第2積層体を偏光膜13に積層することで、実施例1の偏光性積層体15を得た。この際、ラミネーター機のゴムロールを用いて、第1積層体、偏光膜13および第2積層体をそれぞれ圧着させて、偏光性積層体15の総厚を0.75mmとした。
そして、このような偏光性積層体15の両面側、すなわち、第1樹脂層11の偏光膜13とは反対側の面上に、また、第2樹脂層12の偏光膜13とは反対側の面上にそれぞれポリオレフィンからなる保護フィルム50をラミネート法により積層した。
次いで、この偏光性積層体15を、直径8cmに打ち抜いた後に、レマ成形機(真空成形機)(CR-32型)を用いて、140℃、10分間、吸引しつつ熱曲げ加工を行うことで、MD(一方向)における曲率半径Rが80.5mmであり、TD(一方向に直交する直交方向)における曲率半径Rが87.2mmである、実施例1の偏光性湾曲積層体10を得た。
(実施例2~実施例12、実施例14~実施例16、比較例1)
第1樹脂層11および第2樹脂層12を得る際の条件を適宜変更して、表1に示すようなリタデーションの大きさとなっており、また、偏光性積層体15を、レマ成形機(真空成形機)(CR-32型)を用いて吸引しつつ熱曲げ加工を行うことで、表1に示すような曲率半径Rおよび曲率半径Rの大きさとなっている偏光性湾曲積層体10としたこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~実施例12、実施例14~実施例16、比較例1の偏光性湾曲積層体10を得た。
なお、延伸後の第2樹脂層12をアニール処理する際の条件は、それぞれ、以下に示す通りとした。
条件A: 135℃、10min
条件B: 100℃、10min
条件C: 60℃、10min
(実施例13)
第1樹脂層11の形成に用いる第1樹脂材料、および、第2樹脂層12の形成に用いる第2樹脂材料として、それぞれ、ポリアミド系樹脂(EMS社製、「Grilamid TR90」)に代えて、ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、「ユーピロンE-2000」)を用いて、表1に示すようなリタデーションの大きさとなっており、また、偏光性積層体15を、レマ成形機(真空成形機)(CR-32型)を用いて150℃、10分間、吸引しつつ熱曲げ加工を行うことで、表1に示すような曲率半径Rおよび曲率半径Rの大きさとなっている偏光性湾曲積層体10としたこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例14の偏光性湾曲積層体10を得た。
2.評価
各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10について、それぞれ、以下の評価を行った。
(金型40からの偏光性湾曲積層体10の脱落性)
各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10について、それぞれ、以下の評価を行った。
すなわち、各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10について、それぞれ、表1に示すような曲率半径RB1[mm]および曲率半径RB2[mm]となっている湾曲凹面を有する金型40に対して吸着させ、5秒後における金型40からの脱落の有無を確認した。
そして、各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10の脱落の有無の確認を、それぞれ、各実施例および比較例について、それぞれ、100個ずつ実施した。
(偏光性湾曲積層体の掴みやすさ(保護手袋なし))
各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10を、水平な作業台に湾曲凸面が上になるように静置し、10人に保護手袋なしで掴みやすさの効果があるかを確認した。
◎:10人中8~10人に効果あり。
〇:10人中3~7人に効果あり。
×:10人中0~2人に効果あり。
(偏光性湾曲積層体の掴みやすさ(保護手袋あり))
各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10を、水平な作業台に湾曲凸面が上になるように静置し、市販の保護手袋を装着してもらった10人に掴みやすさの効果があるかを確認した。
◎:10人中8~10人に効果あり。
〇:10人中3~7人に効果あり。
×:10人中0~2人に効果あり。
(偏光性湾曲積層体の積み重ね個数)
各実施例および比較例の偏光性湾曲積層体10を、水平な作業台に湾曲凸面が上方向となるように積み重ねていき、何個まで重ねることができたかを確認した。
以上のような偏光性湾曲積層体10の評価において得られた評価結果を表1に示す。
表1に示すように、各実施例では、MD(一方向)における加熱収縮率Sが、TD(一方向に直交する直交方向)における加熱収縮率Sよりも大きく設定されており、これにより、偏光性積層体15に対する、加熱下における熱曲げ加工により得られる偏光性湾曲積層体10として、その第2樹脂層12側の湾曲凸面における、MDに沿った曲率半径Rを、TDに沿った曲率半径Rよりも小さくなっているもの、すなわち、曲率半径Rと曲率半径Rとが異なっているものが優れた精度で得られる結果を示した。
これに対して、比較例では、加熱収縮率Sと加熱収縮率Sとが同じ大きさに設定されており、これに起因して、偏光性積層体15に対する、加熱下における熱曲げ加工により得られる偏光性湾曲積層体10として、その第2樹脂層12側の湾曲凸面における、曲率半径Rと曲率半径Rとが異なっているものを得ることができない結果となった。
10 偏光性湾曲積層体
11 第1樹脂層
12 第2樹脂層
13 偏光膜
15 偏光性積層体
16 第1接着剤層
17 第2接着剤層
20 フレーム
21 リム部
22 ブリッジ部
23 テンプル部
24 ノーズパッド部
30 眼鏡用レンズ
35 樹脂層
40 金型
50 保護フィルム
100 サングラス
150 多層積層体
200 湾曲多層積層体

Claims (11)

  1. 偏光膜と、前記偏光膜の一方の面側に設けられた第1樹脂層と、前記偏光膜の他方の面側に設けられた第2樹脂層とを備え、平板状をなす偏光性積層体であって、
    前記第2樹脂層は、JIS K 7133に規定された方法に準拠して、前記第2樹脂層の主材料のガラス転移点よりも15℃高い温度で60分加熱した際に測定される、一方向における加熱収縮率が、前記一方向に直交する直交方向における加熱収縮率よりも大きいことを特徴とする偏光性積層体。
  2. 前記一方向における加熱収縮率をS[mm]とし、前記直交方向における加熱収縮率をS[mm]としたとき、10.0%<S-S<65.0%なる関係を満足する請求項1に記載の偏光性積層体。
  3. 前記加熱収縮率Sは、15.0%以上50.0%以下である請求項2に記載の偏光性積層体。
  4. 前記第1樹脂層は、前記一方向における加熱収縮率が、前記直交方向における加熱収縮率よりも大きい請求項1ないし3のいずれか1項に記載の偏光性積層体。
  5. 前記一方向は、当該偏光性積層体のMDであり、前記直交方向は、当該偏光性積層体のTDである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偏光性積層体。
  6. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とは、リタデーションが異なっており、前記第1樹脂層のリタデーションが0nm以上500nm以下であり、前記第2樹脂層のリタデーションが2600nm以上8000nm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の偏光性積層体。
  7. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、それぞれ独立して、ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂を主材料として構成される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の偏光性積層体。
  8. 前記主材料のガラス転移点は、100℃以上190℃以下である請求項7に記載の偏光性積層体。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の偏光性積層体を、前記一方の面側を湾曲凹面とし、前記他方の面側を湾曲凸面とする湾曲状態とした偏光性湾曲積層体であって、
    当該偏光性湾曲積層体の前記湾曲凸面において、前記一方向における曲率半径は、前記直交方向における曲率半径よりも小さいことを特徴とする偏光性湾曲積層体。
  10. 請求項9に記載の偏光性湾曲積層体を備えていることを特徴とする眼鏡用レンズ。
  11. 請求項10に記載の眼鏡用レンズを備えていることを特徴とする眼鏡。
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