JP6581798B2 - 光学積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、光学積層体に関する。
従来、被着体に偏光板を積層することにより防眩性に優れた光学積層体が得られることが知られている。
例えば、被着体であるレンズに偏光板を貼り合わせることにより、偏光レンズを構成することができる。偏光レンズは、例えば、サングラスやカメラのレンズとして使用することができる。偏光レンズをサングラスに用いた場合、偏光レンズの偏光機能により反射光が視界に入り難くなり、その結果、眩しさを和らげることができる。また、偏光レンズをカメラに用いた場合、反射光が映り込み難くなり、その結果、明瞭な映像を撮影することができる。
また、被着体である窓ガラスに偏光板を貼り合わせることにより、防眩機能を有する窓を構成することもできる。この窓ガラスを用いることにより、反射光が室内に入り難くなり、その結果、室内から窓ガラスを介して室外を鮮明に観察することができる。
偏光板は、一般的に、偏光性を有する偏光子と、偏光子を保護する保護フィルムと、を有している。偏光子の偏光性を阻害しないように、保護フィルムとして光学的等方性を有するフィルムを用いることが一般的である。
しかしながら、曲面を有する被着体の曲面に偏光板を積層することによって得られた光学積層体は、その防眩性が不十分になるという問題がある。この問題は、偏光板を被着体の曲面に合わせて曲面加工する過程において、偏光板に含まれる保護フィルムが光学的異方性を発現することが一因であることが知られている。
この問題を解決するため、特許文献1では、保護フィルムの形成材料として2種のポリカーボネート樹脂を含むブレンド樹脂を用いることが提案されている。このブレンド樹脂を用いて保護フィルムを形成した場合、曲面加工を行っても光学的異方性が発現し難い。そのため、曲面加工を行っても防眩性に優れた偏光板及び光学積層体を提供することができる。
しかし、特許文献1のブレンド樹脂を用いたとしても、偏光板及び光学積層体の防眩性は十分とは言えない。また、特許文献1で用いられるブレンド樹脂は比較的高価であるため、これを保護フィルムの形成材料として用いた場合、偏光板の生産性が悪くなる。従って、より安価で汎用的な樹脂を用いて保護フィルムを形成することが求められている。
特開2005−25149号公報
本発明の第1の目的は、曲面加工を施しても被着体に高い防眩性を付与できる偏光板を有する光学積層体を提供することであり、本発明の第2の目的は、生産性の高い偏光板を有する光学積層体を提供することである。
本発明の光学積層体は、偏光子と、前記偏光子に積層された保護フィルムと、を有し、前記保護フィルムが、波長590nmにおける面内の複屈折率が0.008以上で且つ面内位相差値が1000nm以下の位相差フィルムを有し、前記位相差フィルムが、その遅相軸と前記偏光子の吸収軸又は透過軸が20°以下の角度を成すように偏光子に積層されている曲面用偏光板と、曲面を有する被着体と、を有し、前記曲面用偏光板が前記被着体の曲面に積層されている
ましくは、前記位相差フィルムが、ポリカーボネート系樹脂を主成分として含む。また、好ましくは、前記偏光子が、後述する一般式(1)で表される芳香族ジスアゾ化合物を含んでいる。
また、本発明の光学積層体は、凸曲面を有する透明な被着体と、前記被着体の凸曲面に積層された偏光板と、を有し、前記偏光板が、偏光子と、前記偏光子に積層された保護フィルムと、を有し、前記保護フィルムが、波長590nmにおける面内の複屈折率が0.008以上で且つ面内位相差値が1000nm以下の位相差フィルムを有し、前記位相差フィルムが、前記被着体の凸曲面の頂部に対応する部分において、その遅相軸が前記偏光子の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成すように、前記偏光子に積層されている。
本発明の曲面用偏光板は、保護フィルムが位相差フィルムを有する。位相差フィルムは、その遅相軸と前記偏光子の吸収軸又は透過軸が20°以下の角度を成すように偏光子に積層されており、さらに、位相差フィルムの面内の複屈折率が0.008以上で、面内位相差値が1000nm以下である。そのため、本発明の曲面用偏光板と曲面を有する被着体とを有する光学積層体は、高い防眩性を発揮できる。
また、位相差フィルムの上記面内の複屈折率(0.008以上)は、特定の樹脂を用いずとも、汎用的な樹脂によって実現できる。そのため、本発明の曲面用偏光板は、比較的安価に製造することができ、生産性に優れる。
図1(a)は、平面視円形の凸曲面を有する被着体の平面図であり、(b)は、同I(b)−I(b)線断面図であり、図1(c)は同側面図。 図2(a)は、図1の被着体に偏光板を載置した状態を表す平面図であり、図2(b)は同II(b)−II(b)線断面図。 図3(a)は、偏光板を被着体の凸曲面に圧着する工程を表す断面図であり、図3(b)は、圧着により曲面加工されている偏光板の平面図。 図4(a)は、凹曲面を有する被着体の平面図であり、図4(b)は、同IV(b)−IV(b)線断面図であり、図4(c)は同側面図。 図5(a)は、図4の被着体に偏光板を載置した状態を表す平面図であり、図5(b)は同V(b)−V(b)線断面図。 図6(a)は、偏光板を被着体の凹曲面に圧着する工程を表す断面図であり、図6(b)は、圧着により曲面加工されている偏光板の平面図。 本発明の偏光板を示す平面図。 図7のVIII−VIII線拡大断面図。 図9(a)は、平面視楕円形上の凸曲面を有する被着体の平面図であり、図9(b)は、同IX(b)−IX(b)線断面図であり、図9(c)は、IX(c)−IX(c)線断面図。 図10(a)は、平面視楕円形上の凹曲面を有する被着体の平面図であり、図10(b)は、同X(b)−X(b)線断面図であり、図10(c)は、同X(c)−X(c)線断面図。 図11(a)は、平面視円形の凸曲面を有する被着体の平面図であり、図11(b)は、同XI(b)−XI(b)線断面図であり、図10(c)は、同側面図。 本発明の光学積層体の層構成の一例を表す参考図。 本発明の光学積層体の層構成の他例を表す参考図。 図14(a)は、2枚の偏光板をクロスニコルに配置した状態における層構成を表す参考図であり、図14(b)は、偏光板と光学積層体をクロスニコルに配置した状態における層構成を表す参考図。
以下、本発明について具体的に説明する。
なお、本明細書において、「直交」及び「平行」は、本発明の属する技術分野において許容される誤差範囲を含むものとする。例えば、「直交」及び「平行」は、厳密な角度±3°の範囲内であることを意味し、好ましくは、±2°の範囲内である。
さらに、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
[曲面加工によって偏光板の防眩性が低下する原理]
本発明の曲面用偏光板の構成について説明する前に、曲面加工によって偏光板の防眩性が低下する原理について、光学積層体の製造方法と併せて説明する。なお、便宜上、偏光板を被着体の凸曲面に積層する場合と被着体の凹曲面に積層する場合を分けて説明する。また、本欄の説明において、偏光板2は、光学的等方性を有する保護フィルム21と、偏光子22と、を有する。
<被着体の凸曲面に偏光板を積層する場合>
図1は、凸曲面31を有する被着体3の一例を表している。
図1(a)は、被着体3の平面図であり、図1(b)は、凸曲面31の頂部311を通る切断線I(b)−I(b)で被着体3を切断した断面図であり、図1(c)は被着体3の側面図である。なお、本例において、被着体3は、どの側面から見ても図1(c)で表される。
被着体3の凸曲面31は、その面内に頂部311(最も隆起した部分)を有している。
凸曲面31に沿った仮想線であって、凸曲面31の頂部311からその周端縁312に至る無数の仮想線Xを想定した場合、仮想線Xは全て曲線となる。
本例では、図1(a)乃至図1(c)に示すように、被着体3の凸曲面31は、平面視円形であり、その円の中心が頂部311である。本例では、被着体3は、どの側面から見ても図1(c)で表されるため、無数に想定される仮想線Xは全て同じ曲率を有する曲線である。
以下、図1で表される被着体3の凸曲面31に偏光板2を積層する過程について図2及び図3を参照しつつ説明する。
まず、偏光板2を、その下面(偏光子22の下面)と被着体3の凸曲面31が接するように載置する。図2(a)は、本状態における偏光板2と被着体3の平面図であり、図2(b)は、図2(a)の断面図である。本例において、偏光板2の平面視形状は、被着体3の凸曲面31の平面視形状と相似形で且つ小径の円形であり、偏光板2の下面の中心と凸曲面31の頂部311が接するように載置されている。
続いて、このように載置した偏光板2を、適当な加熱手段により加熱する。偏光板2は加熱により軟化するため、続く図3の工程で曲面加工が可能となる。
次に、図3(a)に示すように、軟化した偏光板2を被着体3の凸曲面31を密着させ、偏光板2と被着体3の凸曲面31を接着する。即ち、偏光板2を凸曲面31に圧着する。なお、被着体3の凸曲面31には、予め感圧接着剤などを塗布することにより接着層が設けられている(図示せず)。軟化した偏光板2を凸曲面31に密着させることにより、偏光板2が被着体3の凸曲面31に追従した凸状に曲面加工されると共に被着体3の凸曲面31に接着される。このようにして、偏光板2と被着体3を含む光学積層体が得られる。
なお、偏光板2を被着体3の凸曲面31に密着させる手段については、一般的に、圧縮空気が用いられる。なお、図3(a)に示す白抜き矢印は、圧縮空気の吹きつけ方向を指している(図6(a)についても同様)。
偏光板2は、被着体3の凸曲面31に圧着される際、上方から加圧されることで曲面加工が施されるが、この際、偏光板2が延伸される。
具体的には、偏光板2は、加圧により、被着体3の凸曲面31の頂部311に対応する部分から面外に向かう全方位に延伸される。本例では、被着体3の凸曲面31の頂部311に対応する部分は偏光板2の面内中心部であるため、偏光板2は、その面内中心部から面外に向かう全方位に延伸される(図3(b)参照)。図3(b)において、偏光板の延伸方向を黒塗り矢印で示している。
本例では、円形の偏光板2を用いているため、偏光板2は、延伸された結果、被着体3の凸曲面31の平面視形状と同じ大きさ又はそれよりもやや大きな円形となる。そのため、凸曲面31の全面が偏光板2によって覆われる。
なお、本明細書において、以後、「被着体の凸曲面の頂部に対応する部分」を単に「頂部対応部」と称する場合がある。
図3(b)に示すように、曲面加工によって、偏光板2に含まれる保護フィルムは、その面内中心部から面外に向かう全方位に延伸される。
保護フィルム21は、上述のように、偏光板2の曲面加工前において光学的等方性を有する。即ち、曲面加工前において、保護フィルム21を構成する高分子化合物の大部分は、規則的に分子配向していないと考えられる。しかし、曲面加工により、保護フィルム21を構成する高分子化合物は、延伸方向に分子配向すると考えられる。そのため、保護フィルム21を構成する高分子化合物は、曲面加工後において、偏光子22の吸収軸A及び透過軸Tと45°の角度を成す4つの方向D1乃至D4に分子配向すると考えられる。その結果、曲面加工後の保護フィルム21は、偏光子22の吸収軸A及び透過軸Tと45°の角度を成す方向に複屈折性を発現すると考えられる。そうなると、曲面加工前の偏光板2で吸収し得た直線偏光の一部が保護フィルム21によって円偏光に変換される。変換された円偏光は偏光子22を透過し、偏光子22を透過した円偏光が光漏れとして知覚される。その結果、偏光板2の防眩性が低下すると考えられる。
<被着体の凹曲面に偏光板を積層する場合>
図4は、凹曲面32を有する被着体3の一例を表している。
図4(a)は、被着体3の平面図であり、図4(b)は、凹曲面32の底部321を通る切断線IV(b)−IV(b)で被着体3を切断した断面図であり、図4(c)は被着体3の側面図である。なお、本例において、被着体3は、切断線IV(b)−IV(b)に限らず、底部321を通るどの切断線で切断しても図4(b)の断面を有する。
被着体3の凹曲面32は、その面内に底部321(最も陥没した部分)を有している。凹曲面32に沿った仮想線であって、凹曲面32の底部321からその周端縁322に至る無数の仮想線Yを想定した場合、仮想線Yは全て曲線となる。
本例では、図4(a)乃至図4(c)に示すように、被着体3の凹曲面32は、平面視円形であり、その円の中心が底部321である。本例では、被着体3は、底部321を通るどの切断線で切断しても図4(b)の断面を有するため、無数に想定される仮想線Yは全て同じ曲率を有する曲線である。
以下、図4で表される被着体3の凹曲面32に偏光板2を積層する過程について図5及び図6を参照しつつ説明する。但し、凸曲面31に偏光板2を積層する場合と同じ説明については適宜省略する。
まず、偏光板2を、被着体3の凹部(凹曲面32と凹曲面32の周端縁322を輪郭線とする円形の仮想平面によって囲われた空間)を塞ぐように被着体3上に載置する。図5(a)は、本状態における偏光板2と被着体3の平面図であり、図5(b)は、図5(a)の断面図である。本例において、偏光板2の平面視形状は、被着体3の凹曲面32の平面視形状と相似形で且つ大径の円形である。
続いて、偏光板2の周端部23が被着体3の周端部33(本例では、平面視環状の部分)に固定される。固定手段としては、特に限定されないが、接着剤が例示できる。この場合、接着剤は予め被着体3の周端部33に部分的に設けられている。被着体3の周端部33の全面に接着剤を用いた場合、曲面加工の過程で被着体3の凹部に存在する空気が除かれず、偏光板2の曲面加工ができなくなるためである。
続いて、偏光板2を加熱し、軟化した偏光板2を被着体3の凹曲面32に圧着する(図6(a)参照)。
この際、偏光板2は、加圧により、凹曲面32の周端縁322から凹曲面32の底部321に向かう全方位に延伸される。本例では、偏光板2の面内中心部が凹曲面32の底部321に対応しているため、偏光板2は、凹曲面32の周端縁322に対応した部分24から面内中心部に向かう全方位に延伸される(図6(b)参照)。図6(b)において、偏光板の延伸方向を黒塗り矢印で示している。
なお、本明細書において、以後、「被着体の凹曲面の底部に対応する部分」を単に「底部対応部」と称し、「被着体の凹曲面の周端縁に対応する部分」を単に「周端縁対応部」と称する場合がある。
図6(b)に示すように、曲面加工によって、偏光板2に含まれる保護フィルム21は、その周端縁対応部24から面内中央部に向かう全方位に延伸される。その結果、保護フィルム21を構成する高分子化合物は、曲面加工後において、偏光子22の吸収軸A及び透過軸Tと45°の角度を成す4つの方向D5乃至D8に分子配向すると考えられる。そのため、保護フィルム21は、偏光子22の吸収軸A及び透過軸Tと45°の角度を成す方向に複屈折性を有することとなる。従って、曲面加工後において、偏光板2の防眩性が低下すると考えられる。
本発明者は、偏光板に含まれる光学的等方性を有する保護フィルムが曲面加工後において光学的異方性を発現する上記機序に着目し、本発明を創出した。
以下、本発明の曲面用偏光板の構成について説明する。なお、本明細書において、以後、「曲面用偏光板」を単に「偏光板」と称する場合がある。
[曲面用偏光板の構成]
本発明の偏光板は、被着体に積層されることを前提としている。被着体は、偏光板の光学補償の対象となる透明な部材である。被着体に偏光板を積層することにより、被着体に防眩性を付与することができる。
図7及び図8に示すように、偏光板2は、偏光子22と、偏光子22に積層された保護フィルム21と、を有する。偏光子22は、自然光(非偏光)から特定の振動方向を有する直線偏光を抽出する部材である。
具体的には、図7に示すように、偏光子22は、その面内に吸収軸Aと透過軸Tを有する。吸収軸Aと透過軸Tは、互いに偏光子22の面内で直交している。そして、吸収軸方向(吸収軸Aの延びる方向)と平行な振動方向を有する直線偏光は偏光子22に吸収され、透過軸方向(透過軸Tの延びる方向)と平行な振動方向を有する直線偏光は偏光子22を透過する。このように、偏光子22はその吸収軸方向と平行な振動方向を有する直線偏光を吸収するため、偏光板2を被着体に積層することにより、反視認側から偏光板2に入射した光の一部が視認側へ透過しなくなる(即ち、遮光される)。従って、光学積層体を介して視認側から反視認側を観察した場合、光学積層体を介さない場合に比して、眩しさを感じ難い。
なお、「反視認側」は、偏光板2を基準にして、偏光板2の遮光・透光対象となる光を発する光源が存在する側であり、「視認側」はその反対側である。視認側には観察者が位置する。
偏光子22には、保護フィルム21が積層されている。本発明で用いられる保護フィルム21は、面内及び/又は厚み方向に複屈折性を有する位相差フィルムを有する。本発明では、保護フィルム21は、少なくとも可視光(例えば、380nm〜780nm)の波長領域において、面内に複屈折性を有する位相差フィルムを有する。
本発明では、保護フィルム21は、位相差フィルムのみから成っていてもよいし、位相差フィルムと他のフィルムを含む積層体であってもよいが、好ましくは位相差フィルムのみから成る。保護フィルム21が、位相差フィルムと他のフィルムを含む積層体である場合、この他のフィルムが曲面加工により複屈折性を発現する虞があるためである。
以下、本明細書では、保護フィルム21が位相差フィルムのみから成る(即ち、保護フィルム21が位相差フィルムである)実施形態について説明し、位相差フィルムの符号として保護フィルムの符号「21」を用いる。
本発明では、位相差フィルム21は、その屈折率楕円体がnx>ny>nz、nx>nz>ny、又はnx>ny=nzの何れかの関係を満たす。
図7に示すように、位相差フィルム21は、その面内に遅相軸Sを有する。遅相軸Sは、面内で屈折率が最大になる方向である。なお、位相差フィルム21は遅相軸Sと直交する進相軸を有するが、便宜上、図7で進相軸は図示していない。
前記「nx」は、位相差フィルム21の面内の屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率を表し、前記「ny」は、同面内で遅相軸方向に対して直交する方向(進相軸方向)の屈折率を表し、前記「nz」は、前記遅相軸方向及び進相軸方向に直交する方向(厚み方向)の屈折率を表す。
本発明の偏光板2では、位相差フィルム21が、その遅相軸Sと偏光子22の吸収軸A又は透過軸Tが20°以下の角度を成すように偏光子に積層されている。遅相軸Sと吸収軸A又は透過軸Tの成す角度は、20°以下であれば特に限定されないが、好ましくは、10°以下であり、より好ましくは5°以下であり、さらに好ましくは3°以下であり、特に好ましくは0°である。遅相軸Sと吸収軸A又は透過軸Tの成す角度が0°であるとは、遅相軸Sと吸収軸A又は透過軸Tが平行であることを意味する。図7では、位相差フィルム21の遅相軸Sと偏光子22の吸収軸Aが20°を成している。
なお、遅相軸Sと吸収軸A又は透過軸Tの成す角度は、2つ想定される。具体的には、角度αと、角度β(β=180°−α)が想定される。本明細書では、遅相軸Sと吸収軸A又は透過軸Tの成す角度は、角度α及び角度βのうち、角度が小さい方を指す。
本発明では、位相差フィルムは、波長590nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[590])の下限値が0.008であり、好ましくは0.009であり、より好ましくは0.01である。
前記「波長590nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[590])」は、23℃、波長590nmの光で測定した、位相差フィルムの面内における複屈折率である。前記Δnxy[590]は、式:Δnxy[590]=nx−nyによって求めることができる。
また、位相差フィルムの面内の複屈折率(Δnxy[590])の上限値は、特に限定されないが、位相差フィルムの実用性を考慮すると、0.1である。
本発明では、面内の複屈折率(Δnxy[590])が0.008以上の位相差フィルムを偏光子の位相差フィルムとして用いるため、偏光板を曲面加工した際において、位相亜フィルムが偏光子の防眩性を阻害し難い。以下、本発明者が推測するその理由について説明する。
本発明では、保護フィルムが位相差フィルムを有する。上述のように、本発明では、位相差フィルムは、偏光子の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成す方向に遅相軸を有しており、その面内の複屈折率は0.008以上である。即ち、位相差フィルムを構成する高分子化合物は、偏光子の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成す方向に強く配向していると考えられる。
本発明の偏光板を曲面加工した場合、偏光板に含まれる位相差フィルムは、偏光子の吸収軸又は透過軸と45°を成す方向に延伸される(図3(b)及び図6(b)参照)。しかし、本発明では、位相差フィルムを構成する高分子化合物は、偏光子の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成す方向に強く配向しているため、曲面加工によって高分子化合物の配向が乱され難いと考えられる。即ち、曲面加工を施しても、位相差フィルムを構成する高分子化合物は、偏光子の吸収軸又は透過軸と45°を成す方向に配向し難く、保護フィルムは、この方向に複屈折性を有し難いと考えられる。
そのため、本発明の偏光板は、曲面加工を施したとしても、保護フィルムによって直線偏光が円偏光に変換され難く、それ故、光漏れが生じ難いと考えられる。従って、本発明の偏光板は、曲面加工を施しても高い防眩性を被着体に付与することができる。
本発明で用いられる位相差フィルムの面内位相差値(Re[590])の上限値は特に限定されないが、好ましくは2000nmであり、より好ましくは1000nmであり、さらに好ましくは600nmである。前記「面内位相差値(Re[590])」は、23℃、波長590nmの光で測定した、位相差フィルムの面内の位相差値である。Re[590]は、位相差フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re[590]=(nx−ny)×dによって求めることができる。
また、本発明で用いられる位相差フィルムの面内位相差値(Re[590])の下限値は特に限定されないが、好ましくは450nmであり、より好ましくは490nmであり、さらに好ましくは500nmである。
上記面内位相差値(Re[590])は、例えば、例えば、位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、製品名「KOBRA−WPR」)を用いて測定できる。
位相差フィルムの厚みの上限値は特に限定されないが、好ましくは250μmであり、より好ましくは125μmであり、さらに好ましくは75μmであり、特に好ましくは50μmである。また、位相差フィルムの厚みの下限値は特に限定されないが、好ましくは4.5μmであり、より好ましくは5.0μmである。
位相差フィルムは、偏光子を保護する目的で設けられているため、その厚みが4.5μmよりも薄い場合、偏光子を十分に保護できない虞がある。
本発明で用いられる位相差フィルムは、透明性に優れていることが好ましい。位相差フィルムの透過率(T[550])は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは92%以上である。前記「透過率(T[550])」は、23℃、波長550nmの光で測定した、位相差フィルムの光線透過率である。前記透過率は、例えば、分光光度計(株式会社日立製作所製、製品名「U−4100」)を用いて測定できる。
以下、本発明の偏光板に含まれる位相差フィルム及び偏光子の形成材料などについて説明する。但し、位相差フィルム及び偏光子の形成材料は、下記に例示したものに限定されない。
<位相差フィルム>
本発明で用いられる位相差フィルムの形成材料は、高分子化合物(ポリマー)である。位相差フィルムを構成するポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート系樹脂;スチレン系樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ノルボルネン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリビニルブチラール系樹脂;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリレート系樹脂;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;これらの重合体;及びこれらの混合物などが挙げられる。
本発明で用いられる位相差フィルムは、好ましくは、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂を主成分として含んでおり、より好ましくは、ポリカーボネート系樹脂を主成分として含んでいる。
これらの樹脂は、位相差フィルムの形成材料として汎用的に用いられており、比較的安価である。従って、これらの樹脂を用いることにより偏光板の生産性を高めることができる。
なお、「主成分として含む」とは、例えば、位相差フィルムの総質量(100質量%)のうち対象となる樹脂が50質量%以上含まれていることを意味し、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂や添加剤(例えば、重合促進剤や帯電防止剤など)などを含んでもよい。対象となる樹脂は、好ましくは70質量%以上含まれており、特に好ましくは90質量%以上含まれている。
本発明で用いられる位相差フィルムは、例えば、上記高分子化合物を含む無延伸フィルムを一軸延伸することによって形成することができる。
無延伸フィルムを延伸する倍率(延伸倍率)は、高分子化合物の種類に応じて、適宜、選択され得る。上記延伸倍率は、好ましくは1を超え3倍以下であり、さらに好ましくは1を超え2.5倍以下であり、特に好ましくは1.1倍〜2.0倍である。
また、延伸時におけるフィルムの送り速度は、特に制限はないが、機械精度、安定性などの観点から、好ましくは0.5m/分〜30m/分であり、より好ましくは1m/分〜20m/分である。
上記の延伸条件であれば、目的とする光学特性(即ち、面内の複屈折率(Δnxy[590])が0.008以上)が得られるだけでなく、光学均一性に優れた位相差フィルムを形成することができる。
<偏光子>
本発明で用いられる偏光子は、特に限定されない。偏光子は、一般的に、曲面加工により光学的性質が変化し難いためである。
偏光子としては、例えば、ヨウ素で染色された親水性ポリマーフィルムや、リオトロピック液晶性を有する有機色素を含む乾燥塗膜などが挙げられる。好ましくは、偏光子は、リオトロピック液晶性を有する有機色素を含む乾燥塗膜である。
前記リオトロピック液晶性を有する有機色素を含む偏光子は、その内部において前記有機色素が超分子会合体を形成している。ここで、「超分子会合体」とは、複数の有機色素が水素結合等によって結合して形成された1つの大きな複合体である。また、リオトロピック液晶性とは、有機色素と溶媒を含むコーティング液の温度や濃度を変化させることにより、有機色素が等方相−液晶相の相転移を生じる性質を意味する。
超分子会合体を形成した有機色素を含む偏光子は、例えば、適当な有機色素と溶媒を含むコーティング液を塗布し、それを乾燥させることによって形成することができる。
偏光子に含まれる有機色素としては、例えば、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトキノン系化合物、メロシアニン系化合物などが挙げられる。良好なリオトロピック液晶性を示すことから、アゾ系化合物を用いることが好ましい。
アゾ系化合物の中では、分子中に芳香環を有するアゾ化合物が好ましく、ナフタレン環を有するジスアゾ化合物がより好ましい。また、アゾ系化合物は、その分子中に極性基を有するアゾ系化合物が好ましい。極性基を有するアゾ系化合物は、水系溶媒に可溶であり、水系溶媒に溶解して超分子会合体を形成し易い。このため、極性基を有するアゾ系化合物を含むコーティング液は、特に良好なリオトロピック液晶性を示す。
なお、極性基とは、極性を持つ官能基を意味する。極性基としては、OH基、COOH基、NH基、NO基、CN基のような比較的電気陰性度の大きい酸素及び/又は窒素を含む官能基が挙げられる。
極性基を有するアゾ系化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される芳香族ジスアゾ化合物が好ましい。特に、下記一般式(1)で表される芳香族ジスアゾ化合物を含む偏光子は、曲面加工を施されても吸収軸が歪み難く、曲面加工前と同様の偏光性を有し得る。
Figure 0006581798
一般式(1)において、Qは、置換若しくは無置換のアリール基を表し、Qは、置換若しくは無置換のアリーレン基を表し、Rは、独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、Mは、対イオンを表し、mは、0〜2の整数を表し、nは、0〜6の整数を表す。ただし、m及びnの少なくとも何れか一方は、0でなく、1≦m+n≦6である。前記mが2である場合、各Rは、同一又は異なる。
一般式(1)に示されたOH、(NHR、及び(SOM)は、それぞれナフチル環の7つの置換部位のいずれに結合していてもよい。
なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。
前記一般式(1)のナフチル基とアゾ基(−N=N−)の結合位置は、特に限定されない。前記ナフチル基は、式(1)において右側に表されているナフチル基を指す。好ましくは、前記ナフチル基とアゾ基は、前記ナフチル基の1位又は2位で結合されている。
前記一般式(1)のRのアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基、又はフェニル基が置換基を有する場合、その置換基としては、下記アリール基又はアリーレン基において例示する、各置換基が挙げられる。
前記Rは、好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基であり、より好ましくは水素原子である。
前記置換若しくは無置換のアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)のM(対イオン)は、好ましくは、水素イオン;Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属イオン;Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属イオン;その他の金属イオン;アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムイオン;有機アミンの塩などが挙げられる。前記金属イオンとしては、例えば、Ni、Fe3+、Cu2+、Ag、Zn2+、Al3+、Pd2+、Cd2+、Sn2+、Co2+、Mn2+、Ce3+などが挙げられる。有機アミンとしては、炭素数1〜6のアルキルアミン、ヒドロキシル基を有する炭素数1〜6のアルキルアミン、カルボキシル基を有する炭素数1〜6のアルキルアミンなどが挙げられる。上記一般式(1)において、SOMが2つ以上である場合、各Mは、同一又は異なっていてもよい。また、前記一般式(1)において、SOMのMが2価以上の陽イオンである場合、そのMは、他の陰イオンと静電的に結合して安定化しているか、或いは、そのMは、隣接する他の一般式(1)のアゾ系化合物のSO と結合して超分子会合体を形成し得る。
前記一般式(1)のmは、好ましくは1である。また、一般式(1)のnは、好ましくは1又は2である。
一般式(1)のナフチル基の具体例としては、例えば、下記式(a)乃至式(l)などが挙げられる。式(a)乃至式(l)のR及びMは、一般式(1)と同様である。
Figure 0006581798
前記一般式(1)において、前記Qで表されるアリール基は、フェニル基の他、ナフチル基などのようなベンゼン環が2以上縮合した縮合環基が挙げられる。
前記Qで表されるアリーレン基は、フェニレン基の他、ナフチレン基などのようなベンゼン環が2以上縮合した縮合環基が挙げられる。
のアリール基又はQのアリーレン基は、それぞれ置換基を有していてもよいし、又は、置換基を有していなくてもよい。前記アリール基又はアリーレン基が、置換若しくは無置換のいずれの場合でも、極性基を有する一般式(1)の芳香族ジスアゾ化合物は、水系溶媒に対する溶解性に優れている。
前記アリール基又はアリーレン基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、COOM基などのカルボキシル基、SOM基などのスルホン酸基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基などが挙げられる。好ましくは、前記置換基は、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びニトロ基から選ばれる1つである。このような置換基を有する芳香族ジスアゾ化合物は、特に水溶性に優れている。これらの置換基は、1種又は2種以上置換されていてもよい。また、前記置換基は、任意の比率で置換されていてもよい。
前記一般式(1)のQは、好ましくは置換若しくは無置換のフェニル基であり、より好ましくは前記置換基を有するフェニル基である。
前記Qは、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、より好ましくは前記置換基を有するナフチレン基であり、特に好ましくは前記置換基を有する1,4−ナフチレン基である。
一般式(1)のQが置換若しくは無置換のフェニル基で、且つ、Qが置換若しくは無置換の1,4−ナフチレン基である芳香族ジスアゾ系化合物は、下記一般式(2)で表される。
Figure 0006581798
一般式(2)において、R、M、m及びnは、上記一般式(1)のそれらと同様である。
一般式(2)において、A及びBは、置換基を表し、a及びbは、その置換数を表す。前記A及びBは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、COOM基などのカルボキシル基、SOM基などのスルホン酸基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基を表す。前記aは、0〜5の整数であり、前記bは、0〜4の整数を表す。ただし、a及びbの少なくとも何れか一方は0でない。前記aが2以上の場合、前記置換基Aは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。前記bが2以上の場合、前記置換基Bは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
一般式(2)に含まれる芳香族ジスアゾ化合物の中では、下記一般式(3)で表される芳香族ジスアゾ化合物を用いることが好ましい。一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、置換基Aがアゾ基(−N=N−)を基準にしてパラ位に結合している。さらに、一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、そのナフチル基のOH基がアゾ基に隣接した位置(オルト位)に結合している。
Figure 0006581798
一般式(3)において、R、M、m及びnは、上記一般式(1)のそれらと同様であり、Aは、一般式(2)のそれと同様である。
一般式(3)において、pは、0〜4の整数を表す。前記pは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
上記一般式(1)乃至(3)で表される芳香族ジスアゾ化合物は、例えば、細田豊著「理論製造 染料化学(5版)」(昭和43年7月15日技報堂発行、135頁乃至152頁)に従って合成できる。
例えば、一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、アニリン誘導体とナフタレンスルホン酸誘導体をジアゾ化及びカップリング反応させてモノアゾ化合物を得た後、このモノアゾ化合物をジアゾ化した後、さらに、1−アミノ−8−ナフトールスルホン酸誘導体とカップリング反応させることによって合成できる。
リオトロピック液晶性を有する有機色素を含む偏光子は、コーティング液の塗布・乾燥によって容易に形成することができる。また、該偏光子は、曲面加工によって収縮し難いため、偏光子が割れ難く且つその吸収軸が歪み難い。従って、リオトロピック液晶性を有する有機色素を偏光子の形成材料として用いることで、厚みが小さく防眩性の高い偏光板を得ることができる。
[偏光板の製造方法]
本発明の偏光板は、例えば、下記の工程B乃至工程Dによって製造することができ、必要に応じて工程Bの前に工程Aを行ってもよい。また、工程Dで偏光子の表面に位相差フィルムを積層した場合、必要に応じて工程Dの後に工程Eを行ってもよい。
工程A:基板の表面に、配向処理を施す工程。
工程B:基板の表面にリオトロピック液晶性を有する有機色素を含むコーティング液を塗布し、塗膜を形成する工程。
工程C:塗膜を乾燥し、乾燥塗膜である偏光子を形成する工程。
工程D:偏光子又は基板の表面に位相差フィルムを積層する工程。
工程E:偏光子及び位相差フィルムを含む積層体を基板から引きはがす工程。
<工程A>
工程Aは、基板の表面に配向処理を行うことで、基板の表面に配向規制力を付与する工程である。予め配向規制力を有する基板を用いる場合、工程Aを実施する必要はない。
配向規制力の付与方法としては、例えば、基板の表面をラビング処理すること;フィルムの表面にポリイミドなどの膜を形成し、その膜の表面をラビング処理すること;フィルムの表面に光反応性化合物からなる膜を形成し、その膜に光照射して配向膜を形成することなどが挙げられる。基板は特に限定されず、例えば、ガラス基板、石英基板、樹脂フィルム基板、液晶フィルム基板、シリコン基板など任意の部材が用いられる。
なお、工程Eを行わない場合、実質的に光学的等方性を有する基板を用いる、即ち、実質的に光学的異方性を有さない基板を用いることが好ましい。基板が光学的異方性を有すると、偏光子によって吸収されるはずの直線偏光の位相が基板によって乱され、その結果、偏光板の防眩性が低下する虞がある。
ここで、「基板が実質的に光学的等方性を有する」とは、基板の屈折率楕円体が、nx=nz=nyである場合だけでなく、nx≒nz≒nyである場合を含む。
具体的には、基板の面内の複屈折率Δnxy(nx−ny)の絶対値、及び厚み方向の複屈折率Δnxz(nx−nz)の絶対値が、0.0005以下である場合を含み、好ましくは0.0001以下であり、より好ましくは0.00005以下である。
<工程B>
工程Bは、コーティング液を用いて塗膜を形成する工程である。
コーティング液は、上記有機色素と、有機色素を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。コーティング液は、溶媒に、有機色素を溶解又は分散させることによって得られる。有機色素としては、好ましくは、上述した一般式(1)で表される芳香族ジスアゾ化合物が用いられる。なお、必要に応じて、有機色素以外の他のポリマー、及び/又は添加剤などを前記溶媒に添加してもよい。
前記溶媒は、特に限定されず、従来公知の溶媒を用いることができるが、水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、水、親水性溶媒、水と親水性溶媒の混合溶媒などが挙げられる。前記親水性溶媒は、水に略均一に溶解する溶媒である。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。上記水系溶媒は、好ましくは、水、又は、水と親水性溶媒の混合溶媒が用いられる。
コーティング液は、液温や有機色素の濃度などを変化させることにより、リオトロピック液晶相を示す。リオトロピック液晶相は、有機色素が液中で超分子会合体を形成することによって生じる。リオトロピック液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
コーティング液中における有機色素の濃度は、それが液晶相を示すように調製することが好ましい。コーティング液中における有機色素の濃度は、通常0.05重量%〜50重量%であり、好ましくは0.5重量%〜40重量%であり、より好ましくは1重量%〜10重量%である。
また、コーティング液は、適切なpHに調整される。コーティング液のpHは、好ましくはpH2〜10程度、より好ましくはpH6〜8程度である。
さらに、コーティング液の温度は、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜30℃に調整される。
コーティング液を基板上に塗布することにより、塗膜が形成される。塗膜内において、有機色素は基板の配向規制力によって所定の方向に配向する。
コーティング液の塗布方法は特に限定されず、例えば、従来公知のコータを用いた塗布方法を採用できる。前記コータとしては、バーコータ、ロールコータ、スピンコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータなどが挙げられる。
<工程C>
工程Cは、乾燥塗膜である偏光子を形成する工程である。基板上に乾燥塗膜である偏光子を形成することで、基板と偏光子を有する積層体が得られる。
工程Bで得られた塗膜を乾燥することにより、塗膜に含まれる溶媒が揮発し、固形の有機色素を含む乾燥塗膜(偏光子)が形成される。偏光子内において、有機色素は超分子会合体を形成したままその配向が固定されている。
塗膜の乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥や強制的な乾燥を実施できる。強制的な乾燥としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。好ましくは、自然乾燥が用いられる。
塗膜の乾燥時間は、乾燥温度や溶媒の種類によって、適宜、選択され得る。例えば、自然乾燥の場合には、乾燥時間は、好ましくは1秒〜120分であり、より好ましくは10秒〜5分である。
また、乾燥温度は特に限定されないが、好ましくは10℃〜100℃であり、より好ましくは10℃〜90℃であり、特に好ましくは10℃〜80℃である。
なお、乾燥温度とは、塗膜の表面や内部の温度ではなく、塗膜を乾燥する雰囲気の温度を意味する。
<工程D>
工程Dは、偏光子の表面に位相差フィルムを積層する工程である。例えば、位相差フィルムは、接着剤又は粘着材を用いて偏光子の表面に貼付される。前記接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコン系ポリマー、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ゴム系ポリマーなどのベースポリマーとする接着剤又は粘着剤が用いられる。
接着層の厚みは、特に制限されないが、通常1〜500nm程度であり、好ましくは10〜300nmであり、より好ましくは20〜100nmである。
<工程E>
工程Eは、偏光子及び位相差フィルムを含む積層体を基板から引きはがす工程である。工程Eを行うことにより、偏光子と位相差フィルムを含む偏光板が得られる。工程Eを行わない場合は、基板と偏光子と位相差フィルムを含む偏光板が得られる。工程Eを行う場合、コーティング液が塗布される基板の表面には易剥離処理が施されていることが好ましい。
なお、上記に例示した本発明の偏光板の製造方法では、基板と位相差フィルムが独立した別部材である。しかし、本発明の偏光板の製造方法では、位相差フィルムをコーティング液の塗布対象である基板として用いることもできる。
この場合、上記工程D及びEを経ることなく、位相差フィルムと偏光子を有する偏光板を得ることができる。
[被着体]
本発明の偏光板が積層される被着体について説明する。被着体は、本発明の偏光板によって防眩性を付与される対象部材である。被着体は、曲面を有する。曲面は、凸曲面及び凹曲面から選ばれる少なくとも一方の曲面を有する。以下、凸曲面と凹曲面について説明する。
図1及び図9は、凸曲面31を有する被着体3の一例を示している。図1の被着体3の凸曲面31は平面視円形状であり、図9の被着体3の凸曲面31は平面視楕円形状である。
被着体3の凸曲面31は、三次元凸曲面である。具体的には、凸曲面31は、頂部311(最も隆起した部分)を有している。凸曲面31に沿った仮想線であって、凸曲面31の頂部311から周端縁312に至る無数の仮想線Xを想定した場合、仮想線Xは全て曲線となる。
図1では、被着体3を平面視した際における円の中心が頂部311であり、図9では、被着体3を平面視した際における楕円の中心が頂部311である。
また、図1では、無数に想定される仮想線Xは全て同じ曲率を有する曲線である。他方、図9では、被着体3を平面視した際において、楕円の長軸半径を成す仮想線X1の曲率が最大であり、楕円の短軸半径を成す仮想線X2の曲率が最小である。即ち、仮想線X1と仮想線X2の曲率は相違する。
なお、図1及び図9では、凸曲面31の頂部311は、被着体3を平面視した際における円又は楕円の中心に位置するが、頂部311は、必ずしも、円又は楕円の中心に位置していなくてもよく、円又は楕円の中心よりも周端縁312寄りに位置していてもよい(図示せず)。
図4及び図10は、凹曲面32を有する被着体3の一例を示している。図4の被着体3の凹曲面32は平面視円形状であり、図10の被着体3の凹曲面32は平面視楕円形状である。
被着体3の凹曲面32は、三次元凹曲面である。具体的には、凹曲面32は、底部321(最も陥没した部分)を有している。凹曲面32に沿った仮想線であって、凹曲面32の底部321から周端縁322に至る無数の仮想線Yを想定した場合、仮想線Yは全て曲線となる。
図4では、被着体3を平面視した際における円の中心が底部321であり、図10では、被着体3を平面視した際における楕円の中心が底部321である。
また、図4では、無数に想定される仮想線Yは全て同じ曲率を有する曲線である。他方、図10では、被着体3を平面視した際において、楕円の長軸半径を成す仮想線Y1の曲率が最大であり、楕円の短軸半径を成す仮想線Y2の曲率が最小である。即ち、仮想線Y1と仮想線Y2の曲率は相違する。
なお、図4及び図10では、凹曲面32の底部321は、被着体3を平面視した際における円又は楕円の中心に位置するが、底部321は、必ずしも、円又は楕円の中心に位置していなくてもよく、円又は楕円の中心よりも周端縁322寄りに位置していてもよい(図示せず)。
ここで、図1及び図9に示す被着体3において、凸曲面31の頂部311は、幾何学上、面積を有さない点である。しかし、図11に示すように、頂部311は面積を有する平坦面であってもよい。なお、図11において、頂部311の平面視形状は円形であるが、頂部311の平面視形状は円形に限定されない。
特に図示して説明しないが、図4及び図10に示す被着体3の凹曲面32の底部321についても同様のことが言える。即ち、底部321は、面積を有する平坦面であってもよい(図示せず)。
なお、図1及び図9では、上述のように、頂部311は、幾何学上、面積を有さない点であるが、現実的には、被着体(例えば、レンズ)をその頂部311が面積を有さないように成形することはほぼ不可能である。そのため、被着体の頂部311又は底部321は、現実的には、ある程度の面積を有すると考えられる。
また、被着体3の凸曲面31及び凹曲面32の平面視形状は、円形や楕円形に限定されず、例えば、矩形や、非定形であってもよい。もっとも、好ましくは被着体3の凸曲面31及び凹曲面32の平面視形状は、円形又は楕円形である。
被着体は、上記のような凸曲面及び/又は凹曲面を有する透明な部材であれば特に限定されず、光学積層体の用途に応じて適宜選択することができる。このような被着体としては、例えば、サングラス、カメラ、望遠鏡などに用いられるレンズ;車のフロントガラスなどのガラス窓;などが挙げられる。
なお、「透明」とは、可視光を透過する性質を有することを意味する。「透明」は、実質的に可視光を吸収せず、可視光域の全ての波長の光を透過する場合(以下、無色透明という)、及び、可視光域の一部の波長の光を吸収し、且つその波長以外の光を透過する場合(以下、有色透明という)を含む。
例えば、前記無色透明という場合の可視光線透過率は、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは95%以上である。また、前記有色透明という場合の可視光線透過率は、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。なお、可視光透過率は、JIS R 3106に準じて測定できる。
[光学積層体]
本発明の光学積層体について図12及び図13を適宜参照しながら説明する。
光学積層体1は、本発明の偏光板2を上記被着体3の曲面に積層することにより形成される積層体である。なお、本発明の光学積層体1は、偏光板2と被着体3だけでなく、他の任意の機能層を有していてもよい。なお、図12及び図13では、便宜上、光学積層体1を平坦状に描写している。また、図12及び図13では、図面の上側が反視認側であり、図面の下側が視認側である。
図12及び図13に示すように、光学積層体1は、被着体3と被着体3の曲面に積層された偏光板2を少なくとも有する。偏光板2は、位相差フィルム21が偏光子22よりも反視認側に位置するように設けられる。偏光板2は、例えば、接着剤又は粘着剤を用いて被着体3の曲面に貼付される。前記接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコン系ポリマー、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ゴム系ポリマーなどのベースポリマーとする接着剤又は粘着剤が用いられる。
図12に示す光学積層体1は、視認側から反視認側にかけて、被着体3;偏光子22、基板23、及び位相差フィルム21を含む偏光板2;を有する。なお、被着体3と偏光子22の間、及び、基板23の位相差フィルム21の間に存在する接着層(接着剤又は粘着剤を含む層)については図示していない。図12の光学積層体1で用いられる偏光板2は、例えば、上記偏光板2の製造方法の欄における工程A乃至工程Dを行うことで得られる。
図13に示す光学積層体1は、視認側から反視認側にかけて、被着体3;偏光子22及び位相差フィルム21を含む偏光板2;を有する。なお、被着体3と偏光子22の間に存在する接着層については図示していない。図13の光学積層体1で用いられる偏光板2は、例えば、上記偏光板2の製造方法の欄における工程A乃至工程Cを行うことで得られる(但し、基板として位相差フィルムを用いる)。
なお、図示していないが、光学積層体1は、被着体3の視認側に、偏光板2を構成する位相差フィルム21とは別の位相差フィルムを有することが好ましい。被着体3の視認側に別の位相差フィルムを積層することにより、被着体3の両面が保護されることとなり、光学積層体1の耐久性が向上するためである。
本発明の光学積層体は、例えば、(A)被着体の曲面に偏光板を積層する、或いは、(B)被着体の平面に偏光板を設けた後、偏光板と被着体を含む積層体を曲面加工する、ことで得られる。本発明の光学積層体において、偏光板は、被着体の凸曲面に積層されていてもよいし、被着体の凹曲面に積層されていてもよい。
(A)の場合、被着体は、偏光板が積層される前に予め曲面加工されており、被着体の曲面を鋳型として偏光板が曲面加工される(図3及び図6参照)。また、(B)の場合、被着体とは別の曲面を有する鋳型(例えば、金型)を用いて積層体が曲面加工される。
(A)及び(B)の何れの方法で光学積層体を形成しても、本発明の偏光板に含まれる位相差フィルムは、偏光子の吸収軸又は透過軸と45°を成す方向に配向に複屈折性を有し難いため、防眩性に優れた光学積層体を形成することができる。
以下、上記(A)又は(B)の方法によって得られた光学積層体の性質について、偏光板が被着体の凸曲面に積層されている場合と、偏光板が被着体の凹曲面に積層されている場合に分けて説明する。
<凸曲面に偏光板が積層された光学積層体>
光学積層体1の形成過程において、図3(a)及び図3(b)に示すように、偏光板2は、頂部対応部(本例では、偏光板の面内中心部)から面外に向かう全方位に延伸される。この際、偏光板2の頂部対応部は殆ど延伸されないため、曲面加工によって位相差フィルム21の頂部対応部の光学的性質は殆ど変化しない。換言すれば、位相差フィルム21の頂部対応部は、曲面加工を施された後であっても、曲面加工前の光学的性質を保持している。
上述のように、本発明の偏光板に含まれる位相差フィルムは、その遅相軸と偏光子の吸収軸又は透過軸が20°以下の角度を成すように偏光子に積層されており、波長590nmにおける面内の複屈折率が0.008以上である。この光学的性質は、曲面加工後の偏光板2に含まれる位相差フィルム21の頂部対応部で保持されている。即ち、本発明の光学積層体1に含まれる位相差フィルム21は、0.008以上の面内の複屈折率を有しており、その頂部対応部において、偏光子22の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成す遅相軸を有する。
なお、位相差フィルム21の頂部対応部の光学的性質は、曲面加工前の位相差フィルム21のそれと同じであるため、本欄ではその具体的な説明を省略する。
<凹曲面に偏光板が積層された光学積層体>
光学積層体1の形成過程において、図6(a)及び図6(b)に示すように、偏光板2は、その周端縁対応部24から底部対応部(本例では、偏光板の面内中央部)に向かう全方位に延伸される。この際、偏光板2の周端縁対応部24は殆ど延伸されないため、曲面加工によって位相差フィルム21の周端縁対応部24の光学的性質は殆ど変化しない。換言すれば、位相差フィルム21の周端縁対応部は、曲面加工を施された後であっても、曲面加工前の光学的性質を保持している。
上述のように、本発明の偏光板2に含まれる位相差フィルム21は、その遅相軸と偏光子の吸収軸又は透過軸が20°以下の角度を成すように偏光子に積層されており、波長590nmにおける面内の複屈折率が0.008以上である。この光学的性質は、曲面加工後の偏光板2に含まれる位相差フィルム21の周端部で保持されている。即ち、本発明の光学積層体1に含まれる位相差フィルムは、0.008以上の面内の複屈折率を有しており、その周端部において、偏光子22の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成す遅相軸を有する。
なお、位相差フィルム21の周端部の光学的性質は、曲面加工前の位相差フィルム21のそれと同じであるため、本欄ではその具体的な説明を省略する。
本発明について、実施例及び比較例を示して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた面内の複屈折率の測定方法は、以下の通りである。
[面内の複屈折率の測定方法]
位相差フィルムの面内の複屈折率(Δnxy(590))は、位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、製品名「KOBRA−WPR」)を用いて、23℃で測定波長590nmで測定した。
[実施例1]
(保護フィルムの作製)
厚み66μmのポリカーボネートフィルム((株)カネカ製:製品名「R−フィルム」)をテンター延伸機を用いて155℃にて1.5倍に一軸延伸することで位相差フィルム(保護フィルム)を作製した。得られた位相差フィルムの厚みは46μmであり、その面内の複屈折率(Δnxy(590))は、0.0122であった。
(偏光板の作製)
作製した位相差フィルムを、粘着材を用いて、偏光子(日東電工(株)製:製品名「SEG1425DU」)の表面に貼り合わせることで偏光板を作製した。なお、位相差フィルムは、その遅相軸が偏光子の吸収軸と平行となるように貼り合わされた。
(偏光板の光漏れの評価)
作製した偏光板を2枚用意し、一方の偏光板をバックライト上に位相差フィルムが下側となるように載置し、さらにその上に、他方の偏光板を位相差フィルムが下側となるように載置した(図14(a)参照)。なお、一方の偏光板に含まれる偏光子の吸収軸と他方の偏光板に含まれる偏光子の吸収軸が直交するよう(即ち、クロスニコル状態となるように)に載置した。
その後、バックライトを点灯させ、クロスニコル状態に載置された偏光板の上側からバックライトの光漏れを目視にて観察した。その結果を下記の表1に示す。なお、表1において「○」は、光漏れが観察されなかったことを意味し、「×」は、光漏れが観察されたことを意味する。
(光学積層体の作製)
凸曲面を有する被着体として、プラスチック製の8カーブレンズ((株)イトーレンズ製:製品名「単焦点レンズ」)を用意した。このレンズの凸曲面に、粘着材を用いて、偏光板に含まれる偏光子の表面を貼り合わせた。なお、レンズの凸曲面と偏光板の貼り合わせには、曲面加工装置(布施真空(株)製:製品名「NGF−0510−R型」)を用いた。レンズの凸曲面と偏光板を貼り合わせる過程で、偏光板はレンズの凸曲面に合わせて曲面加工された。
(光学積層体の光漏れの評価)
上記「偏光板の作製」の欄で作製した偏光板を用意し、位相差フィルムが下側となるように偏光板をバックライト上に載置した。さらにその上に、作製した光学積層体を位相差フィルムが下側となるように載置した。なお、偏光板に含まれる偏光子の吸収軸と光学積層体に含まれる偏光子の吸収軸が直交するよう(即ち、クロスニコル状態となるように)に載置した(図14(b)参照)。なお、図14(b)において、光学積層体は、便宜上、平坦状に図示している。
その後、バックライトを点灯させ、クロスニコル状態に載置された偏光板の上側からバックライトの光漏れを目視にて確認した。その結果を下記の表1に表す。
[実施例2]
ポリカーボネートフィルムの延伸倍率を1.4倍に変更したこと以外は実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムの厚みは48μmであり、その面内の複屈折率(Δnxy(590))は、0.0103であった。
この位相差フィルムを用いて偏光板を作製し、実施例1と同様に偏光板の光漏れの評価を行った。また、得られた偏光板を用いて光学積層体を作製し、実施例1と同様に光学積層体の光漏れの評価を行った。これらの結果を下記の表1に表す。
[比較例1]
ポリカーボネートフィルムの延伸倍率を1.3倍に変更したこと以外は実施例1と同様に位相差フィルム(保護フィルム)を作製した。得られた位相差フィルムの厚みは53μmであり、その面内の複屈折率(Δnxy(590))は、0.0078であった。
この位相差フィルムを用いて偏光板を作製し、実施例1と同様に偏光板の光漏れの評価を行った。また、得られた偏光板を用いて光学積層体を作製し、実施例1と同様に光学積層体の光漏れの評価を行った。これらの結果を下記の表1に表す。
[比較例2]
ポリカーボネートフィルムの延伸倍率を1.2倍に変更したこと以外は実施例1と同様に位相差フィルム(保護フィルム)を作製した。得られた位相差フィルムの厚みは56μmであり、その面内の複屈折率(Δnxy(590))は、0.0053であった。
この位相差フィルムを用いて偏光板を作製し、実施例1と同様に偏光板の光漏れの評価を行った。また、得られた偏光板を用いて光学積層体を作製し、実施例1と同様に光学積層体の光漏れの評価を行った。これらの結果を下記の表1に表す。
Figure 0006581798
[評価]
実施例1及び2と比較例1及び2を比較すると、実施例1及び2では、偏光板を曲面加工した後であっても光学積層体の光漏れが観察されなかったのに対し、比較例1及び2では、偏光板の曲面加工によって光学積層体の光漏れが観察された。
1…光学積層体、2…偏光板、21…保護フィルム(位相差フィルム)、22…偏光子、3…被着体、31…凸曲面、32…凹曲面、A…吸収軸、T…透過軸、S…遅相軸

Claims (4)

  1. 偏光子と、前記偏光子に積層された保護フィルムと、を有し、
    前記保護フィルムが、波長590nmにおける面内の複屈折率が0.008以上で且つ面内位相差値が1000nm以下の位相差フィルムを有し、
    前記位相差フィルムが、その遅相軸と前記偏光子の吸収軸又は透過軸が20°以下の角度を成すように偏光子に積層されている曲面用偏光板と、
    曲面を有する被着体と、を有し、
    前記曲面用偏光板が前記被着体の曲面に積層されている、光学積層体
  2. 前記位相差フィルムが、ポリカーボネート系樹脂を主成分として含む請求項1に記載の光学積層体
  3. 前記偏光子が、下記一般式(1)で表される芳香族ジスアゾ化合物を含んでいる、請求項1又は2に記載の光学積層体
    Figure 0006581798
    一般式(1)において、Qは、置換若しくは無置換のアリール基を表し、Qは、置換若しくは無置換のアリーレン基を表し、Rは、独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、Mは、対イオンを表し、mは、0〜2の整数を表し、nは、0〜6の整数を表す。ただし、m及びnの少なくとも何れか一方は、0でなく、1≦m+n≦6である。前記mが2である場合、各Rは、同一又は異なる。
  4. 凸曲面を有する透明な被着体と、前記被着体の凸曲面に積層された偏光板と、を有し、
    前記偏光板が、偏光子と、前記偏光子に積層された保護フィルムと、を有し、
    前記保護フィルムが、波長590nmにおける面内の複屈折率が0.008以上で且つ面内位相差値が1000nm以下の位相差フィルムを有し、
    前記位相差フィルムが、前記被着体の凸曲面の頂部に対応する部分において、その遅相軸が前記偏光子の吸収軸又は透過軸と20°以下の角度を成すように、前記偏光子に積層されていることを特徴とする光学積層体。
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