JP5883505B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子に関する。
光学ガラスレンズ等の光学素子は、所望の光学特性を得るために、光学面となる表面が光学薄膜によってコーティング(coating)される。光学薄膜としては、近年、単層膜、又は、多層膜のものが知られ、酸化アルミニウム(Al)層を含む多層構造の光学薄膜が用いられることがある(例えば特許文献1参照)。
特開平9−159803号公報
しかしながら、酸化アルミニウム層を含む光学薄膜は、光学素子の光学面をコーティングした場合に、光学素子の表面に色ムラが発生することがある。この色ムラは、光学面の面内における光学薄膜の膜質(膜の屈折率や膜密度など)が局所的に不均一になることから生じる。色ムラの発生は、光学薄膜の光学特性(例えば反射率やコート色品質(色味))の不均一性による製品歩留まりを低下させる要因となる。そのため、色ムラについては、その発生を未然に防止することが望まれる。
この発明の目的は、酸化アルミニウム層を含む光学薄膜であっても、色ムラが発生することのない均一かつ緻密な膜質の光学薄膜を備えた光学素子を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
上記目的達成のために、本願発明者らは、先ず、色ムラの発生要因について検討した。その結果、色ムラの発生は、酸化アルミニウム層が、成膜中または成膜後に水分等を取り込んでしまうことが原因である。このことは、詳細を後述するシフト量(波長シフト、換言すれば、常温時と加熱時の分光特性の変化量)についての検証結果からも明らかと言える。
そして、このような知見に基づき、本願発明者らは、さらに鋭意検討を重ねた結果、均一かつ緻密な膜質の酸化アルミニウム層を実現できれば、色ムラの発生要因となる水分等の取り込みを防止できるのではないかとの着想を得た。
本発明は、上述した本願発明者らによる新たな知見および着想に基づいてなされたものである。つまり、本願発明者らは、上述した新たな知見および着想に基づき、以下に述べる課題解決手段に想到した。
本発明の一形態に係る光学素子は、光学薄膜を備えている。光学薄膜は、酸化アルミニウムを主成分とし、光学的膜厚及び中心波長に基づいて規定される、0.010以上2.00以下の範囲の光学薄膜係数を有する酸化アルミニウム層を備え、中心波長帯域の同一波長において、常温時における第1の反射率と、加熱時における第2の反射率とのシフト量が0.50%以下である。
本発明によれば、酸化アルミニウム層を含む光学薄膜であっても、色ムラが発生することのない均一かつ緻密な膜質の光学薄膜を備える光学素子を得ることができる。
本発明の実施形態1が適用された光学素子の構成例を示す要部断面図である。 本発明の実施例1における光学薄膜(酸化アルミニウム層)の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。 本発明の実施例1との比較対象となる比較例1についての説明図である。 本発明の実施形態2が適用された光学素子の構成例を示す要部断面図である。 本発明の実施例2における光学薄膜の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。 本発明の実施例2との比較対象となる比較例2についての説明図である。 本発明の実施例3における光学薄膜の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。 本発明の実施例4における光学薄膜の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。 本発明の実施例5における光学薄膜の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。
以下、本発明の実施形態1及び2を図面に基づいて説明する。
ここでは、各実施形態について、以下の順序で項分けをして説明を行う。
1.光学素子の全体構成
2.光学薄膜の構成
3.成膜手順
また、実施形態1及び2について、共通に下記の説明をする。
4.実施形態1及び2の効果
5.変形例
実施形態1では、光学素子の光学面上に構成された光学薄膜が、単層膜により構成されている。また、後述の実施形態2では、光学素子の光学面上に構成された光学薄膜が、多層膜により構成されている。
また、以下の実施形態において、中心波長帯域を、可視光の波長帯域を一例に挙げ、波長領域を400nm以上700nm以下、中心波長λを550nmとして説明する。また、光学薄膜係数は、0.010〜2.00の範囲を取り得るものとして説明する。なお、波長領域以外の数値に関する記載において、特段の断りがない限り、「数値〜数値」は、両端の値を含む。
実施形態1
<1.光学素子の全体構成>
先ず、光学素子の全体構成について説明する。
光学素子とは、光(特に可視光)に対して何らかの光学的な処理を行う素子であり、具体的にはレンズ、プリズム、ミラー、フィルター、ライトガイド、回折素子等の光学デバイスが該当する。
図1は、本発明が適用された光学素子の構成例を示す要部断面図である。
図1に示すように光学素子1は、素子基材である光学素子基材10の光学面5が、光学薄膜20によってコーティングされている。
光学素子基材10は、光学ガラス材からなり、光学素子基材10の表面に光学面5となる、球面または非球面、平面、回折格子などの光学機能面が形成されている。また、光学素子基材10の光学ガラス材として、例えば、M−TAFD305、M−LAC130、M−BACD12、M−FDS2、M−FD80、M−TAFD307、M−FCD1、M−FCD500、M−PCD4、M−TAF101、E−FDS1、E−FDS2、TAFD30、TAFD35、TAF1、FCD100、FCD505、BACD5(HOYA株式会社製)などを用いることができる。
<2.光学薄膜の構成>
次に、光学素子1の光学素子基材10の光学面5に形成される光学薄膜20について説明する。
光学薄膜20は、光学素子1の光学作用(光学特性)を補助する機能を有し、具体的にはレンズ表面での光の反射を低減(防止)させる機能を有する。
光学素子基材10の光学面5に接する側に位置する層は、酸化アルミニウム(アルミナ)によって形成された層(以下、「酸化アルミニウム層」という。)21である。ただし、本実施形態1において酸化アルミニウム層21は、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理によって形成される。具体的には、後述するイオンビームアシスト蒸着(Ion−beam Assisted Deposition、以下「IAD」と略す)を用いる。この酸化アルミニウム層21は、光学薄膜20として用いると、光の波長と光の反射率との関係について、水分を除去可能な所定温度までの加熱処理の前後で、400nm以上700nm以下の波長領域における光の反射率の変化の最大値が0.50%以下となる膜構造を有する。
ここで、「加熱処理の前」とは、光学薄膜20を加熱する前(つまり、光学薄膜20が常温時である場合)を示し、「加熱処理の後」とは、光学薄膜20を加熱しているときの加熱時を示す。また、「光の反射率の変化の最大値」とは、400nm以上700nm以下の波長領域の同一波長において、常温時における第1の反射率R1と、加熱時における第2の反射率R2との差の絶対値(以下、シフト量ΔR(=|R1−R2|)と記載する)を示す。
また、本実施形態の好ましい態様として、酸化アルミニウム層21は、400nm以上700nm以下の波長領域の同一波長において、常温時における第1の反射率R1と、加熱時における第2の反射率R2とのシフト量ΔRが0.30%以下となる膜構造を有する。なお、以下の説明においては、常温時とは、25℃を意味し、加熱時とは、一例として、150℃に加熱したときを意味する。
また、本実施形態の態様として、酸化アルミニウム層21の屈折率nが1.64以上1.70以下となっている。なお、酸化アルミニウム層21を形成する成膜手順、酸化アルミニウム層21の層構造等については、その詳細を後述する。
<3.成膜手順>
次に、上述した構成の光学薄膜20の成膜手順について説明する。
光学薄膜20は、光学素子1の光学素子基材10の光学面5上に、薄膜成粒子を成膜させることによって形成する。
(成膜工程)
酸化アルミニウム層21を形成する成膜工程について、詳しく説明する。
(酸化アルミニウム層の成膜手法)
本実施形態1の成膜工程では、酸化アルミニウム層21は、イオンビームアシスト蒸着(Ion−beam Assisted Deposition、以下「IAD」と略す)を用いて、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を光学素子基材10の光学面5上に堆積させる成膜処理により形成される。
ここで、IADは、真空蒸着中にイオン銃でガスイオン(および中和のための同量の電子)を被成膜物に対して照射し、その運動エネルギーを利用しつつ、膜構成粒子を堆積させる成膜処理である。このようなIADによれば、照射するイオンエネルギーを大きくすることができ、均一かつ緻密な膜質の膜を得ることができる。なお、ここで、光学薄膜20が、酸化アルミニウム層1層から形成される場合における「均一かつ緻密な膜質」とは、光の波長と光の反射率との関係について、水分を除去可能な所定温度までの加熱処理の前後で、400nm〜700nmの波長領域における光の反射率の変化の最大値が0.50%以下となる膜構造を有しているものと定義する。また、光学薄膜20が、酸化アルミニウム層を含む多層膜から形成される場合における「均一かつ緻密な膜質」とは、400nm以上700nm以下の波長領域の同一波長において、常温時における第1の反射率R1と、加熱時における第2の反射率R2とのシフト量ΔRが0.30%となる膜構造を有しているものと定義する。なお、ここでいう「均一かつ緻密な膜質」を有する膜であれば、色ムラは発生しない。
(酸化アルミニウム層の成膜条件)
本実施形態1の成膜工程におけるIADの成膜条件は、以下の通りである。
例えば、IADに用いるイオン銃が熱電子励起型イオン銃の場合には、成膜処理室内の導入ガスとして酸素とアルゴンの混合ガスを用いるとともに、その導入ガス流量については、酸素:0〜200SCCM(Standard Cubic Centimeter per Minutes)およびアルゴン:0〜200SCCMの少なくとも何れか一方を0SCCMより多くする。イオン銃の出力については、イオン銃のフィラメントに印加する電圧、および、電流をそれぞれフィラメント電圧:10〜100V、フィラメント電流:15〜150Aとする。さらに、イオン銃のアノードに印加する電圧、および、電流をそれぞれアノード電圧:10〜500V、アノード電流1〜30Aとする。また、成膜レートについては、0.01〜1.50nm/secにする。
本実施形態1においては、熱電子励起型のイオン銃を備える薄膜形成装置を使用している(不図示)。この熱電子励起型のイオン銃は、イオン銃を構成する熱電子発生部材であるフィラメントの本数を増やすことにより、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させ、均一かつ緻密な膜質の層を形成することができる。
また、例えば、IADに用いるイオン銃が高周波(RF)励起型イオン銃の場合には、イオン銃の出力については、イオン銃の加速電極に印加する電圧、および、電流をそれぞれ加速電圧:10〜1500V、加速電流:10〜1500mAとする。なお、加速電極に対しては、電極およびアース間を+に印加する。また、イオン銃のサプレッサー電極に印加する電圧、および、電流をそれぞれサプレッサー電圧:0〜1000V、サプレッサー電流:10〜100mAとする。なお、サプレッサーに対しては、電極およびアース間を−に印加する。また、そのほかは、上述した熱電子イオン銃の場合と同じ条件である。
(酸化アルミニウム層の膜質)
このような条件で成膜すると、光学素子基材10の光学面5には、10eV以上(具体的には、例えば1000eV程度)のイオンエネルギーで酸化アルミニウム層21の膜構成粒子が堆積される。そのため、光学素子基材10の光学面5上には、均一かつ緻密な膜質の酸化アルミニウム層21が形成される。
次に、実施例を挙げて、本発明の実施形態を具体的に説明する。ただし、本発明が、以下の実施例に限定されないことは勿論である。
また、層を構成する酸化物膜は、所望の膜質であればよく、その組成は特に限定されるものではない。酸化アルミニウム膜の組成については、化学量論組成である酸化アルミニウム(Al)を含むものが安定であるため、以下の説明においてはAl層として記載するが、Alに限定されるものではなく、組成をAlとした場合、例えば、y/x=1〜2程度のものが存在していてもよい。以下で説明される酸化珪素膜、酸化タンタル膜などの各種酸化物膜についても同様のことが言える。
また、以下の説明において、層の番号は、レンズ基板10の光学面5側から順に付す。また、各層の屈折率をn、物理的膜厚をd、光学的膜厚をnd、光学薄膜係数をx、中心波長をλと、それぞれ示す。なお、光学的膜厚ndは、屈折率nと物理的膜厚dとの積で表される。
なお、光学薄膜係数xは、次式(1)により表され、光学的膜厚nd及び中心波長λに基づいて規定される。
光学薄膜係数x = nd×(1/(λ/4))・・・式(1)
また、光学的膜厚nd及び中心波長λに基づいて規定され、酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム層の光学薄膜係数xは、0.010以上2.000以下の範囲で設定される。また、中心波長λは、550nmとして説明するが、500nm、1000nmや2000nmなどに設定することができる。また、酸化アルミニウム層の物理的膜厚dは、8.0nm以上500.0nm以下の範囲で設定することができる。なお、上記式(1)及び以下の説明において、中心波長λを除する値として、「4」を用いているが、これに限られない。例えば、「2」や「6」などの整数とすることができる。
(実施例1)
具体的に、実施例1では、以下のような光学薄膜20を形成した。
表1は、実施例1に係る光学薄膜20の膜構成を示している。また、表2は、実施例1に係る光学薄膜20の膜形成条件を示している。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
光学素子基材10は、ガラスモールドレンズ用硝種であるM−TAFD305(HOYA株式会社製)を用いた。そして、その光学素子基材10の光学面5上には、単層構造の光学薄膜20を形成した。光学薄膜20は、物理的膜厚92.91nmのAl層21である。
Al層21は、90eVのイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させるべく、以下のような成膜条件で成膜処理した。すなわち、Al層21を成膜する成膜工程では、イオン銃として熱電子励起型イオン銃を用い、アノードに印加する電圧、および、電流をそれぞれアノード電圧:90V、アノード電流:15Aとした。また、フィラメントに印加する電圧、および、電流をそれぞれフィラメント電圧:55V、フィラメント電流:90Aとした。また、成膜処理室内の導入ガスとして酸素(O)とアルゴン(Ar)の混合ガスを用い、Oのガス流量を35SCCM、Arのガス流量を5SCCMとした。また、成膜処理対象物である光学素子基材10の温度を250℃とした。また、Alの蒸発速度(成膜レート)を0.10nm/secとした。
以上のような成膜条件で光学薄膜20(酸化アルミニウム層21により構成される単層膜)について、光の波長と光の反射率との関係を測定したところ、図2に示す結果が得られた。
図2は、実施例1における光学薄膜20(酸化アルミニウム層21)の光の波長と光の反射率との関係を二次元座標平面上にプロットした説明図である。図2では、酸化アルミニウム層21に対して、常温時、及び、水分を除去可能な所定温度の一例である150℃まで加熱している時のそれぞれについて、光の波長と光の反射率との関係を、横軸が光の波長(単位:nm)、縦軸が光の反射率(単位:%)である二次元座標平面上にプロットしている。
なお、図2は、本実施形態1で説明した条件でIADを行って得られた酸化アルミニウム層21について、光の波長と反射率との関係の一具体例を示している。また、図2の一部拡大図では、反射率R1及びR2は、所定の同一波長における常温時の反射率と加熱時の反射率をそれぞれ示している。
また、表3は、表3の左側5列に図2における波長400nm、500nm、600nm、700nmにおける(A)常温時における反射率R1と、(B)加熱時における反射率R2と、シフト量ΔR(常温時における反射率R1と加熱時における反射率R2との差を絶対値で表したもの)を示している。また、表3の右側2列に図2における波長400nm〜700nmの最大シフト量ΔRmax及び最小シフト量ΔRminと、ΔRmax及びΔRminのときの波長をそれぞれ示している。
Figure 0005883505
図2,表3に示した内容からも明らかなように、酸化アルミニウム層21は、光の波長と反射率との関係についての二次元座標平面上へのプロット位置が、常温時と加熱時とではほとんど変化していないことがわかる。つまり、それぞれのプロット位置が重なる程に近寄っており、常温時と加熱時とで反射率の変化が極めて小さいことがわかる。
図2における常温時と加熱時での反射率のシフト(変化)量ΔRは、具体的には以下のとおりである。
可視域である400nm以上700nm以下の波長帯域において、反射率のシフト(変化)量ΔRは、波長が415nmのときが最も大きい。そして、常温時の反射率R1が6.893%であるのに対して、加熱時の反射率R2が6.951%であり、その差(常温時と加熱時の反射率のシフト量ΔR)が0.058%となっている。また、シフト量ΔRが最も小さいのは、波長が433nm、665nmおよび666nmのときで、シフト量ΔRが0.014%となっている。このような波長帯域においては、その他の波長についても、シフト量ΔRが最小値0.014%〜最大値0.058%の範囲内に属している。つまり、400nm以上700nm以下の波長帯域において、シフト量ΔRが0.058以下であり、極めて小さく抑えられている。
このように、シフト量ΔRが極めて小さいのは、酸化アルミニウム層21が均一かつ緻密な膜質を有しているからである。
図2、表3に示す測定結果によれば、少なくとも可視領域である400nm以上700nm以下の波長領域において、酸化アルミニウム層21は均一かつ緻密な膜質であり、色ムラは発生しなかった。また、実施例1における光学薄膜20であれば、可視領域において十分に反射防止機能が発揮され得ると言える。なお、実施例1において形成した光学薄膜20は、酸化アルミニウム層により構成される単層膜であり、シフト量ΔRを0.10%以下にすることがより好ましい。
(比較例1)
図3は、本発明の実施例1との比較対象となる比較例1についての説明図である。また、図3は、図2に示した内容との比較のため、真空蒸着によって光学素子基材10の光学面5上に構成された酸化アルミニウム層を成膜した場合について、光の波長と反射率との関係の一具体例を示している。
光学素子基材10には、ガラスモールドレンズ用硝種であるM−BACD12(HOYA株式会社製)を用いた。そして、その光学素子基材10の光学面5上には、単層膜からなる光学薄膜を形成した。
具体的に、比較例1では、以下のような光学薄膜を形成した。
表4は、比較例1に係る光学薄膜の膜構成を示している。また、表5は、比較例1に係る光学薄膜の膜形成条件を示している。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
光学薄膜は、真空蒸着によって成膜された物理的膜厚84.41nmのAl層である。また、Al層は、Alを蒸着させるべく、表5に示される成膜条件で成膜処理した。すなわち、Al層の成膜工程では、成膜処理室内の導入ガスとして酸素(O)ガスを用い、Oのガス流量を15SCCMとした。また、成膜処理対象物である光学素子基材10の温度を250℃とした。また、Alの蒸発速度(成膜レート)を0.80nm/secとした。
以上のような成膜条件で光学薄膜(酸化アルミニウム層により構成される単層膜)について、光の波長と光の反射率との関係を測定したところ、図3に示す結果が得られた。
図3に示した光の波長と反射率との関係は、二次元座標平面上へのプロット位置が、常温時と加熱時とで、大きく異なっていることがわかる。図3における常温時と加熱時での反射率のシフト(変化)量は、具体的には表6及び以下のとおりである。なお、表6は、表6の左側に図3における波長400nm、500nm、600nm、700nmにおける(A)常温時における反射率R1(不図示)と、(B)加熱時における反射率R2(不図示)と、シフト量ΔR(常温時における反射率と加熱時における反射率との差を絶対値で表したもの)を示している。また、表6の一番右側の列に図3における波長400nm〜700nmの最大シフト量ΔRmaxと、ΔRmaxのときの波長を示している。
Figure 0005883505
可視域である400nm以上700nm以下の波長帯域において、反射率のシフト量ΔRは、波長が489nmおよび502nmのときが最も大きい。波長が489nmのときは、常温時の反射率が7.293%であるのに対して、加熱時の反射率が6.786%であり、その差(常温時と加熱時の反射率のシフト量ΔR)が0.507%となっている。また、波長が502nmのときは、常温時の反射率が7.349%であるのに対して、加熱時の反射率が6.842%であり、その差(常温時と加熱時での反射率のシフト量ΔR)が0.507%となっている。
つまり、400nm以上700nm以下の波長帯域において、常温時と加熱時での反射率のシフト量ΔRは、その最大値が0.50%を超えるものとなっている。
このように、真空蒸着による酸化アルミニウム層の場合、シフト量ΔRが大きいのは、形成された酸化アルミニウム層が多孔質であり、常温時(すなわち水分を除去するための処理の前)は水分等を取り込んでいるが、その加熱時には取り込んでいた水分等が除去されるためと考えられる。換言すると、シフト量ΔRの最大値が0.50%を超えるため、このような酸化アルミニウム層は、均一かつ緻密な膜質ではない。
以上に示した図2,3の内容を総合的に勘案すると、400nm以上700nm以下の波長領域における常温時と加熱時の反射率のシフト量ΔRの最大値が0.50%以下(好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.10%以下)であれば、酸化アルミニウム層21は、均一かつ緻密な膜質であると言える。
実施形態2
次に、実施形態2を説明する。実施形態2では、上述したように、光学素子基材10の光学面5上に構成された光学薄膜20が、多層膜で構成されている。実施形態1と実施形態2とは、共通部分を多く含む。そのため、以下の実施形態2の説明では、実施形態1と異なる部分を重点的に説明する。
<1.光学素子の全体構成>
光学素子の全体構成は、実施形態1と同じである。
<2.光学薄膜の構成>
次に、図4に示されている光学素子1の光学素子基材10の光学面5に形成される光学薄膜20(多層膜)の構成について説明する。図4は、本発明の実施形態2が適用された光学素子1の例として光学素子の構成例を示す要部断面図である。図4に示されている光学薄膜20は、反射防止膜機能を有するものであり、光学素子基材10は、光学ガラスレンズである。また、光学薄膜20は、反射防止機能が得られるように光学素子基材10の光学面5の側から順に形成された第1層から第8層までを含む8層構造で構成されている。なお、光学薄膜20は、8層以外のm層(mは2以上の整数)から構成されてもよい。
(第1層)
第1層の構成については、実施形態1と同じである。
(第2層〜第7層)
第1層から第8層までの多層膜のうち、第1層である酸化アルミニウム層21に重ねて形成される第2層から第7層までは、低屈折率材料層と高屈折率材料層とが交互に積層された繰り返し構造部となっている。さらに詳しくは、第2層、第4層および第6層が低屈折率材料層22,24及び26となっている。また、第3層、第5層および第7層が高屈折率材料層23,25及び27となっている。低屈折率材料層22,24及び26の形成材料としては、例えば屈折率nが1.45〜1.50である酸化ケイ素を用いることができる。また、高屈折率材料層23,25及び27の形成材料としては、例えば屈折率nが2.00〜2.35である酸化タンタルを用いることができる。
なお、ここで挙げた繰り返し構造部の層構造は、単なる一具体例に過ぎない。例えば、繰り返し構造部を構成する層数については、上述したような低屈折率材料層と高屈折率材料層がそれぞれ3層ずつ計6層ではなく、それぞれを4層ずつ計8層とするといったように、他の層構造のものであっても構わない。また、例えば、低屈折率材料層22,24及び26の形成材料については、上述したような酸化ケイ素ではなく、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化イットリウム、フッ化ネオジウム等を用いても構わない。さらに、例えば、高屈折率材料層23,25及び27の形成材料については、上述したような酸化タンタルではなく、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化パラジウム、酸化亜鉛等を用いても構わない。また、第2層から第8層の各層は、これらの材料を適量な割合で混合した混合材料を用いても構わない。
(第8層)
第1層から第8層までの多層膜のうち、外表面の側に位置する第8層は、フッ化マグネシウムによって形成された層28である。なお、第8層は、保護膜としての機能を果たすものであれば、例えば酸化珪素、フッ化アルミニウム、フッ化イットリウム、フッ化ネオジウムのような、他の低屈折率材料によって形成されたものであっても構わない。
<3.成膜手順>
次に、上述した構成の光学薄膜20の成膜手順について説明する。
光学薄膜20は、光学素子1の光学素子基材10の光学面5上に、第1層から第8層までを順に成膜する。
(第1層成膜工程)
第1層成膜工程は、実施形態1と同じであるため、説明を省略する。
(第2層成膜工程〜第8層成膜工程)
第1層成膜工程で酸化アルミニウム層21を成膜した後は、次いで、第2層を成膜する第2層成膜工程、第3層を成膜する第3層成膜工程、第4層を成膜する第4層成膜工程、第5層を成膜する第5層成膜工程、第6層を成膜する第6層成膜工程、第7層を成膜する第7層成膜工程、および、第8層を成膜する第8層成膜工程を順に経る。
第2層成膜工程〜第8層成膜工程では、上述した実施形態1の成膜工程の場合と同様に、IADによって、第2層〜第8層を成膜することができる。ただし、第2層成膜工程〜第8層成膜工程は、必ずしもIADによって行う必要はなく、例えば真空蒸着により成膜しても構わない。
なお、第2層成膜工程〜第8層成膜工程の詳細については、公知技術を利用して行えばよいため、ここではその説明を省略する。また、第2層成膜工程〜第m層成膜工程にIADを用いる場合には、上述の成膜条件及び以下に具体的に示す条件により成膜することができる。
以上のような第1層成膜工程〜第8層成膜工程を順に経ることで、光学素子1の光学素子基材10の光学面5をコーティングする光学薄膜20が成膜される。
次に、実施例を挙げて、本発明の実施形態2を具体的に説明する。ただし、本発明が、以下の実施例に限定されないことは勿論である。
図5、図7〜9は、本発明の実施例2〜実施例5についての説明図である。また、図6は、比較例2についての説明図である。
また、各層を構成する酸化物膜は、所望の膜質であればよく、その組成は特に限定されるものではない。アルミニウム酸化膜の組成については、化学量論組成である酸化アルミニウム(Al)を含むものが安定であるため、以下の説明においてはAl層として記載するが、Alに限定されるものではなく、組成をAlとした場合、例えば、y/x=1〜2程度のものが存在していてもよい。以下で説明される酸化珪素膜、酸化タンタル膜などの各種酸化物膜についても同様のことが言える。
(実施例2)
具体的に、実施例2では、表7に示される光学薄膜20を形成した。
表7は、実施例2に係る光学薄膜20の膜構成を示している。また、表8は、実施例2に係る光学薄膜20の膜形成条件を示している。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
実施例2では、光学素子基材10に、ガラスモールドレンズ用硝種であるM−LAC130(HOYA株式会社製)を用いた。そして、その光学素子基材10の光学面5上には、8層構造の光学薄膜20を形成した。すなわち、光学薄膜20における第1層は、IADによって成膜された物理的膜厚10.00nmのAl層21である。
第2層〜第7層は、物理的膜厚4.20nmのSiO層22、物理的膜厚28.44nmのTa層23、物理的膜厚16.45nmのSiO層24、物理的膜厚74.71nmのTa層25、物理的膜厚15.04nmのSiO層26、物理的膜厚30.86nmのTa層27が順に積層されてなる繰り返し構造部である。この繰り返し構造部を構成する第2層〜第7層についても、IADによって成膜されている。
光学薄膜20の最表面層となる第8層は、蒸着によって製膜された物理的膜厚97.74nmのMgF層28である。
このように、光学薄膜20は、複数の成膜材料を積層して形成される多層膜21〜28であり、多層膜21〜28は、酸化シリコンにより形成される酸化シリコン層22,24,26と、酸化タンタルにより形成される酸化タンタル層23,25,27とを含む。
これら多層膜のうち、Al層21は、90eVのイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させるべく、以下のような成膜条件で成膜処理した。すなわち、Al層21を成膜する第1層成膜工程では、イオン銃として熱電子励起型イオン銃を用い、アノードに印加する電圧、および、電流をそれぞれアノード電圧:90V、アノード電流:18Aとした。また、フィラメントに印加する電圧、および、電流をそれぞれフィラメント電圧:55V、フィラメント電流:90Aとした。さらにまた、成膜処理室内の導入ガスとしてOとArの混合ガスを用い、Oのガス流量を40SCCM、Arのガス流量を10SCCMとした。また、成膜処理対象物である光学素子基材10の温度を250℃とした。また、Alの蒸発速度(成膜レート)を0.10nm/secとした。因みに、SiOの蒸発速度(成膜レート)は0.30nm/sec、Taの蒸発速度(成膜レート)は0.50nm/sec、MgFの蒸発速度(成膜レート)は0.80nm/secである。
以上のような成膜条件で成膜した光学薄膜20について、光の波長と光の反射率との関係を測定したところ、図5に示す結果が得られた。
図5は、本発明の実施例2における光学薄膜の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。なお、図5の一部拡大図では、反射率R1及びR2は、所定の同一波長における常温時の反射率R1と加熱時の反射率R2をそれぞれ示している。また、以下の説明において、常温時の反射率R1と加熱時の反射率R2の差の絶対値を、シフト量ΔRとして記載する。
また、表9は、表9の左側5列に図5における波長400nm、500nm、600nm、700nmにおける(A)常温時における反射率R1と、(B)加熱時における反射率R2と、シフト量ΔR(常温時における反射率R1と加熱時における反射率R2との差を絶対値で表したもの)を示している。また、表9の右側2列に図5における波長400nm〜700nmの最大シフト量ΔRmax及び最小シフト量ΔRminと、ΔRmax及びΔRminのときの波長をそれぞれ示している。
Figure 0005883505
図5、表9に示した内容からも明らかなように、酸化アルミニウム層21は、光の波長と反射率との関係についての二次元座標平面上へのプロット位置が、常温時と加熱時でほとんど変化していないことがわかる。つまり、それぞれのプロット位置が重なる程に近寄っており、常温時と加熱時の反射率R1、R2のシフト量ΔRが極めて小さいことがわかる。また、波長400nm以上700nm以下の波長帯域において、反射率は、0.50%以下で反射防止機能を有することがわかる。
図5における常温時と加熱時の反射率のシフト量は、具体的には以下のとおりである。可視域である400nm以上700nm以下の波長帯域に着目において、反射率のシフト量は、波長が400nmのときが最も大きい。そして、常温時の反射率R1が0.222%であるのに対して、加熱時の反射率R2が0.278%であり、その差(常温時と加熱時の反射率のシフト量ΔR)が0.056%となっている。また、シフト量ΔRが最も小さいのは、波長が670nmおよび680nmのときで、常温時と加熱時の反射率の差が0%となっている。400nm以上700nm以下の波長帯域においては、その他の波長についても、常温時と加熱時の反射率の差が最小値0%〜最大値0.056%の範囲内に属している。つまり、400nm以上700nm以下の波長帯域においては、常温時と加熱時の反射率R1、R2のシフト量ΔRが0.30%以下であり、酸化アルミニウム層21は均一かつ緻密な膜質であると言える。実施例2における光学薄膜20においては、色ムラは発生していなかった。また、可視領域において十分に反射防止機能が発揮され得ると言える。
(比較例2)
具体的に、比較例2では、反射防止機能を有する、以下のような光学薄膜を形成した。
表10は、比較例2に係る光学薄膜の膜構成を示している。また、表11は、比較例2に係る光学薄膜の膜形成条件を示している。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
ここで、上述した実施例2との比較のために、比較例2について説明する。図6は、本発明の実施例2との比較対象となる比較例2についての説明図である。比較例2では、真空蒸着法を用いつつ、以下のような光学薄膜を形成した。
光学素子1の光学素子基材10には、ガラスモールドレンズ用硝種であるM−BACD12(HOYA株式会社製)を用いた。そして、その光学素子基材10の光学面5上には、反射防止機能を有する、4層構造の光学薄膜を形成した。
すなわち、光学薄膜における第1層〜第4層は、物理的膜厚59.66nmのAl層、物理的膜厚91.84nmのAl層、物理的膜厚115.58nmのZrO+TiO層、物理的膜厚89.43nmのMgF層が順に積層されてなる繰り返し構造部である。この繰り返し構造部を構成する第1層〜第4層については、以下の条件で成膜している。
成膜処理室内の導入ガスであるOのガス流量を、それぞれ第1層のAl層及び第3層のZrO+TiO層のときは、15SCCM、第2層のAl層のときは13SCCMとした。また、成膜処理対象物である光学素子基材10の温度を250℃とした。また、Al、ZrO+TiO、MgFの蒸発速度(成膜レート)は、それぞれ0.80nm/secである。
図6は、以上のような条件で成膜した光学薄膜について、光の波長と光の反射率との関係を測定した結果を示している。また、表12は、表12の左側5列に図6における波長400nm、500nm、600nm、700nmにおける(A)常温時における反射率R1(図6において不図示)と、(B)加熱時における反射率R2(図6において不図示)と、シフト量ΔR(常温時における反射率R1と加熱時における反射率R2との差を絶対値で表したもの)を示している。また、表12の一番右列に図6における波長400nm〜700nmの最大シフト量ΔRmaxと、ΔRmaxのときの波長を示している。
Figure 0005883505
図6や表12に示した光の波長と反射率との関係は、二次元座標平面上へのプロット位置が、常温時と加熱時で、大きく異なっていることがわかる。図6における常温時と加熱時の反射率のシフト量ΔRは、具体的には以下のとおりである。可視域である400nm以上700nm以下の波長帯域において、反射率のシフト量ΔRは、波長が400nmのときが最も大きい。波長が400nmのときは、常温時の反射率R1が0.350%であるのに対して、加熱時の反射率R2が0%であり、その差(シフト量ΔR)が0.350%となっている。つまり、400nm以上700nm以下の波長帯域において、シフト量ΔRは、その最大値が0.30%を超える大きなものとなっており、均一かつ緻密な膜質とは言えない。比較例2における光学薄膜20には、色ムラの発生が見られ、可視領域において十分に反射防止機能が発揮され得ると言えない。
(実施例3〜実施例5)
次に、実施例3〜実施例5について説明する。実施例3〜実施例5においては、実施例2ですでに説明した内容については、説明を省略し、実施例2と相違する内容について記載する。
実施例3〜実施例5において、共通する説明を先に記載する。実施例3〜実施例5においては、実施例1及び2のような加熱処理の結果について示していないが、発明者らは、以下に示す実施例においても色ムラが発生しなかったことから本発明を適用することができると考える。
実施例3〜実施例5では、光学素子基材10に、M−LAC130(HOYA株式会社製)を用いた。また、表13,15,17は、各実施例に係る光学薄膜20の膜構成を示している。また、表14,16,18は、各実施例に係る光学薄膜20の膜形成条件を示している。図7〜図9は、各実施例における光学薄膜の光の波長と光の反射率との関係の一具体例を二次元座標平面上にプロットした説明図である。また、上述の実施例と同様に、実施例3〜実施例5における光学薄膜20は、反射防止機能を有する。なお、各表においても繰り返しになるものは説明を省略する。
(実施例3)
実施例3では、第1層の酸化アルミニウム層の物理的膜厚dを変更し、第1層に加え、第3層及び第5層を酸化アルミニウム層により構成している。また、膜構成材料として、SiOを用いず、Taにより第2,4,6層を構成した。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
以上のような成膜条件で成膜して得られた光学薄膜20について、光の波長と光の反射率との関係を測定したところ、図7に示す結果が得られた。図7に示す測定結果によれば、少なくとも可視領域である400nm以上700nm以下の波長領域においては反射率が低く抑えられていることがわかる。また、実施例3における光学薄膜20において、色ムラは確認されなかった。
また、この結果から、酸化アルミニウム層21は、第1層だけでなく、第3層及び第5層に形成してもよく、物理的膜厚dを変更してよいことが言える。
(実施例4)
実施例4では、第1層の酸化アルミニウム層を、RF励起型電子銃を用いたIADにより成膜している。また、光学薄膜20の層数を、8層から10層に変更している。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
以上のような成膜条件で成膜して得られた光学薄膜20について、光の波長と光の反射率との関係を測定したところ、図8に示す結果が得られた。図例に示す測定結果によれば、少なくとも可視領域である400nm以上700nm以下の波長領域においては反射率が低く抑えられていることがわかる。また、実施例4における光学薄膜20において、色ムラは確認されなかった。
また、この結果から、酸化アルミニウム層21は、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理であれば、高周波放電励起型電子銃であってもよいことが言える。また、光学薄膜20の層数は、8層に限られず、複数層であってもよいことが確認された。
(実施例5)
実施例5では、第1層の酸化アルミニウム層21の物理的膜厚dを厚く形成するとともに、光学薄膜20の層数を、8層から10層に変更している。
Figure 0005883505
Figure 0005883505
以上のような成膜条件で成膜して得られた光学薄膜20について、光の波長と光の反射率との関係を測定したところ、図9に示す結果が得られた。図例に示す測定結果によれば、少なくとも可視領域である400nm以上700nm以下の波長領域においては反射率が低く抑えられていることがわかる。また、実施例5における光学薄膜20において、色ムラは確認されなかった。
また、この結果から、酸化アルミニウム層21は、物理的膜厚dを厚くしてもよいと言える。
(まとめ)
以上に挙げた実施例1〜5と、比較例1及び2の結果を勘案すると、実施例1〜5におけるAl層21を含む光学薄膜20であれば、Al層21が均一かつ緻密な膜質であるため、光学素子基材10の光学面5をコーティングする場合であっても、色ムラが発生することなく、良好な反射防止機能を実現することが可能となる。
<4.実施形態1及び2の効果>
実施形態1及び2で説明した光学薄膜20によれば、以下に述べる効果が得られる。
実施形態1及び2によれば、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理であるIADによって酸化アルミニウム層21が形成されており、その酸化アルミニウム層21が、均一な膜質を有したものとなっている。すなわち、酸化アルミニウム層21は、400nm以上700nm以下の波長領域の同一波長において、常温時における第1の反射率R1と、加熱時における第2の反射率R2とのシフト量ΔRが0.30%以下となる膜構造を有している。
そのため、実施形態1及び2における酸化アルミニウム層21は、水分等を取り込む余地が殆ど無い、均一かつ緻密な膜質を有していることから、色ムラの発生要因となる水分等の取り込みを有効に防止することができる。したがって、光学素子基材10の光学面5と接するように酸化アルミニウム層21を位置させる場合や酸化アルミニウム層21を第2層〜第m層に形成する場合であっても、光学素子1の製品歩留まり低下等を招く要因となり得る色ムラが発生することがない。そのため、色ムラに起因する光学面5の面内における光学特性(例えば屈折率nや光透過率)の不均一さを是正することができる。つまり、本実施形態によれば、酸化アルミニウム層21を含む光学薄膜であっても、色ムラが発生することない光学薄膜20を得ることができる。
また、実施形態1及び2によれば、IADでの形成によって酸化アルミニウム層21が「均一かつ緻密な膜質」を有することになるので、その酸化アルミニウム層21の屈折率nについて、1.64以上1.70以下という高い屈折率を実現可能である。つまり、このような高い屈折率は、酸化アルミニウム層21が均一な膜質を有した膜構造だから得られるものである。したがって、このような高い屈折率の酸化アルミニウム層21を実現することによっても、光学素子1の製品歩留まり低下等を招く要因となり得る色ムラの発生を回避することができる。
<5.変形例>
以上に実施形態1及び2を説明したが、上述した開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、酸化アルミニウム層21の形成にあたり、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理として、IADを行う場合を例に挙げている。ただし、酸化アルミニウム層21を形成するための成膜処理は、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させるものであれば、例えばスパッタリングのようにIAD以外の手法による成膜処理であっても構わない。
また、上述の実施形態2では、光学薄膜20を構成する第2層〜第m層の各層について、IADを利用して形成する場合を例に挙げている。ただし、各層を形成するための成膜処理は、少なくとも酸化アルミニウム層について、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理であればよく、他の層については特に限定されるものではない。
また、上述の実施形態2では、光学薄膜20の成膜手順として、第1層から第8層又は第10層までを順に成膜する場合を例に挙げている。ただし、光学薄膜20は、上述の実施形態で説明した成膜手順ではなく、光学素子1の光学素子基材10とは別体で形成されたものであってもよい。その場合に、光学素子基材10と別体で形成された光学薄膜20は、光学素子基材10の光学面5に貼り付けられることで、光学面5をコーティングすることになる。
また、上述の実施形態1及び2では、光学素子が光学ガラスレンズであり、その光学ガラスレンズのレンズ基材の光学面5を反射防止膜でコーティングする場合を例に挙げている。ただし、光学ガラスレンズ以外の例えば、球面ガラスレンズや非球面ガラスレンズ、光学フィルター、回折格子などの光学素子であっても、上述の実施形態の場合と同様に本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態1及び2では、中心波長帯域として可視光の波長帯域を一例に挙げ、波長領域を400nm以上700nm以下(中心波長λは550nm)として説明したが、これに限られない。例えば、中心波長帯域は、200nm以上2000nm以下の範囲内において設定することができ、可視光領域として、380nm以上780nm以下の範囲に設定でき、好ましくは、400nm以上700nm以下の範囲に設定することができる。また、この他に、中心波長帯域は、200nm以上380nm以下の範囲(紫外領域)に設定することができる。また、中心波長帯域は、780nm以上2000nm以下の範囲(赤外領域)に設定することができる。なお、中心波長λは、設定した波長帯域の範囲内において適宜設定することができ、中心波長帯域を400nm以上700nm以下の範囲とした場合は、中心波長λを、550nmに設定することが好ましい。
また、上述した式(1)を用いて、実施例1における光学薄膜係数xの算出例を示す。
(実施例1の場合の算出例)
式(1)及び表1より、実施例1における光学薄膜係数xの算出例を示す。
1.波長帯域を400nm以上700nm以下と設定し、設定した波長帯域における中心波長λを550nmとする。
2.次に、屈折率n及び物理的膜厚dを規定する。実施例1においては、n=1.6745、d=92.91となる。
3.上記1,2において規定した数値を上記式(1)に代入し、光学薄膜係数xの値(x=1.131)を得る。
また、上述の実施形態1及び2では、光学薄膜20を例に説明したが、これに限られない。本願発明は、IRカットフィルタ、UVカットフィルタなどの光学薄膜に適用することができる。
また、上述の実施形態1では、シフト量ΔRが、0.50%以下である例について説明したが、これに限られない。シフト量ΔRは、0.30%以下としてもよく、また、好ましくは、0.20%以下としてもよい。さらに好ましくは、シフト量ΔRを0.10%以下とすることができ、0.070%以下とすることもできる。
また、上述の実施形態2では、シフト量ΔRが、0.30%以下である例について説明したが、これに限られない。シフト量ΔRは、0.20%以下としてもよく、また、好ましくは、0.15%以下としてもよい。さらに好ましくは、シフト量ΔRを0.10%以下とすることができ、0.070%以下とすることもできる。
また、上述の実施例1の成膜条件により、平板状のガラス基板10上に物理的膜厚が89nmとなるように成膜した酸化アルミニウム層21の膜密度について、以下の条件、装置を用いて測定した。
膜密度は、高分解能ラザフォード後方散乱分析法により、高分解能RBS(Rutherford Backscattering Spectrometry)分析装置(株式会社神戸製鋼所社製)を用いて測定した。
このようにして得られた酸化アルミニウム層21の膜密度を測定した結果、膜密度は、2.93g/cmであった。
また、上述の実施例2〜5において、酸化アルミニウム層を第1層に設ける例について説明したが、これに限られない。酸化アルミニウム層は、第2層〜第m層のいずれの層に配置することができる。
また、上述の実施例3において、酸化アルミニウム層を第1,3,5層に3層設ける例について説明したが、これに限られない。酸化アルミニウム層は、第2,4層に2層設けてもよく、4層以上設けてもよい。また、酸化アルミニウム層は、例えば、第2,3層と連続して設けることができる。
最後に、本発明の実施形態1及び2を、図等を用いて総括する。
本発明の実施形態にかかる光学素子1は、図1及び図4に示されているように、光学薄膜20を備えている。光学薄膜20は、酸化アルミニウムを主成分とし、光学的膜厚nd及び中心波長λに基づいて規定される、0.010以上2.00以下の範囲の光学薄膜係数を有する酸化アルミニウム層21を備え、中心波長帯域の同一波長において、常温時における第1の反射率R1と、加熱時における第2の反射率R2とのシフト量ΔRが0.50%以下である。
また、好ましくは、光学的膜厚は、屈折率n及び物理的膜厚dに基づいて規定され、屈折率nは、1.64〜1.70の範囲である、
また、更に、好ましくは、物理的膜厚dは、8.0nm以上500.0nm以下の範囲である。
また、更に、好ましくは、光学薄膜20は、酸化アルミニウム層21により構成される単層膜であり、シフト量ΔRは、0.10%以下である。
また、更に、好ましくは、光学薄膜20は、複数の成膜材料を積層して形成される多層膜21〜28であり、多層膜21〜28)は、酸化シリコンにより形成される酸化シリコン層(22,24,26)と、酸化タンタルにより形成される酸化タンタル層(23,25,27)とを含む。
また、別の他の局面では以下のように捉えることができる。本発明の実施形態にかかる光学薄膜20は、図4に示されているように、多層膜(21〜28)が積層されてなる多層構造を有し、光学素子1の素子基材10の光学面5に配されて用いられ、多層膜(21〜28)のうちの光学面5に接する側の第1層21が、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理によって形成された酸化アルミニウム層21であり、酸化アルミニウム層21は、光の波長と光の反射率との関係について、水分を除去可能な所定温度までの加熱処理の前後で、400nm以上700nm以下の波長領域における光の反射率の変化の最大値が0.50%以下となる膜構造を有している。
また、好ましくは、酸化アルミニウム層21は、屈折率nが1.64以上1.70以下である。
また、更に、好ましくは、多層膜(21〜28)は、酸化アルミニウム層21の他に、低屈折率材料層(22,24、及び26)と、高屈折率材料層(23,25、及び27)とが交互に積層された繰り返し構造部を有する。
また、別の他の局面では以下のように捉えることができる。本発明の実施形態にかかる光学素子1は、図4に示されているように、素子基材10の光学面5が光学薄膜20によってコーティングされ、光学薄膜20は、多層膜(21〜28)が積層されてなる多層構造を有するとともに、多層膜(21〜28)のうちの光学面5に接する側の第1層21が、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理によって形成された酸化アルミニウム層21であり、酸化アルミニウム層21は、光の波長と光の反射率との関係について、水分を除去可能な所定温度までの加熱処理の前後で、400nm以上700nm以下の波長領域における光の反射率の変化の最大値が0.50%以下となる膜構造を有している。
また、好ましくは、光学素子1は、光学ガラスレンズからなる。
また、別の他の局面では以下のように捉えることができる。本発明の実施形態にかかる光学薄膜20の製造方法は、図4に示されているように、多層膜(21〜27)が積層されてなる多層構造を有し、光学素子1の素子基材10の光学面5に配されて用いられる光学薄膜20の製造方法であって、多層膜(21〜27)のうちの光学面5に接する側の第1層21として、酸化アルミニウム層21を、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理によって形成する第1層成膜工程を備え、第1層成膜工程で形成する酸化アルミニウム層21は、光の波長と光の反射率との関係について、水分を除去可能な所定温度までの加熱処理の前後で、400nm以上700nm以下の波長領域における光の反射率の変化の最大値が0.50%以下となる膜構造を有している。
また、別の他の局面では以下のように捉えることができる。本発明の実施形態にかかる光学素子1の製造方法は、図4に示されているように、素子基材10の光学面5が光学薄膜20によってコーティングされてなる光学素子1の製造方法であって、多層膜(21〜28)が積層されてなる多層構造を有する光学薄膜20を光学面5に形成する光学薄膜成膜工程を備え、光学薄膜成膜工程は、多層膜(21〜28)のうちの光学面5に接する側の第1層21として、酸化アルミニウム層21を、10eV以上のイオンエネルギーで膜構成粒子を堆積させる成膜処理によって形成する第1層成膜工程を含み、第1層成膜工程で形成する酸化アルミニウム層21は、光の波長と光の反射率との関係について、水分を除去可能な所定温度までの加熱処理の前後で、400nm以上700nm以下の波長領域における前記光の反射率の変化の最大値が0.50%以下となる、膜構造を有している。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内の全ての変更が含まれることが意図される。
1…光学素子
5…光学面
10…光学素子基材
20…光学薄膜
21…酸化アルミニウム層
22,24,26…低屈折率材料層
23,25,27…高屈折率材料層
n…屈折率
d…物理的膜厚
x…光学薄膜係数
λ…中心波長
R1…第1の反射率
R2…第2の反射率
ΔR…シフト量。

Claims (4)

  1. 光学薄膜を備える光学素子であって、
    前記光学薄膜は、
    酸化アルミニウムを主成分とし、光学的膜厚及び中心波長に基づいて規定される、0.010以上2.00以下の範囲の光学薄膜係数を有する酸化アルミニウム層を備え、
    前記酸化アルミニウム層により構成される単層膜であり、
    400nm以上700nm以下の光の波長領域の同一波長において、前記酸化アルミニウム層の常温時における第1の光の反射率と、水分を除去可能な所定温度での加熱時における第2の光の反射率とのシフト量の最大値が0.10%以下である、光学素子。
  2. 前記光学薄膜は、屈折率及び物理的膜厚に基づいて規定され、
    前記屈折率は、1.64以上1.70以下の範囲である、
    請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記物理的膜厚は、8.0nm以上500.0nm以下の範囲である、
    請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記光学素子は、光学素子基材をさらに備え、
    前記光学薄膜は前記光学素子基材上に設けられ、
    前記光学素子基材は光学ガラスレンズである、
    請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の光学素子。
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