JP2016218335A - 光学多層膜付きガラス部材 - Google Patents

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満幸 舘村
Mitsuyuki Tatemura
満幸 舘村
和範 清久
Kazunori Kiyohisa
和範 清久
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Abstract

【課題】紫外線によるガラス基材の着色が抑制された、可視光の透過率の高い光学多層膜付きガラス部材を提供する。【解決手段】ガラス基材11上に光学多層膜13が形成された光学多層膜付きガラス部材10であって、前記ガラス基材と前記光学多層膜との間に、波長200nm〜280nmの光を吸収する1層または2層以上からなる紫外線吸収層12を備える。紫外線吸収層は、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、および酸化ニオブ(Nb2O5)のいずれかから選ばれる材料からなる酸化物膜で構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、カメラや表示装置等の光学部品として利用される光学多層膜付きガラス部材に関する。
モバイル機器等の表示装置のカバーガラスには、ガラス表面での光の反射を抑制するため、反射防止膜がガラス基材上に形成される。また、デジタルスチルカメラやビデオカメラに利用される光学フィルタには、特定の波長の光(例えば、近赤外線)を遮蔽するため、近赤外線遮蔽膜がガラス基材上に形成される(特許文献1参照)。
光学多層膜は、反射防止膜や近赤外線遮蔽膜の場合、高屈折率層と低屈折率層とをガラス基材上に複数交互積層したもので、高屈折率層および低屈折率層の材質、厚さ、層数等の構成を適宜設定することで、光の干渉を利用して光を選択透過するものである。
特開平2−213803号公報
光学多層膜をガラス基材上に形成する際、スパッタリング法による成膜方法で行うことが知られている。しかし、ガラス基材面に対して、スパッタリング法を用いて光学多層膜を形成した場合、ガラス基材自体が着色し、可視光の透過率が低下するという現象が見られた。
その理由としては、以下の点が挙げられる。
スパッタリング法においては、成膜中にガラス基材の直近でプラズマを発生させる。このプラズマには紫外線が含まれている。例えば、スパッタリング法でガラス基材上にSiO膜を成膜する場合、ガラス基材はSi(珪素)原子の原子発光(波長200〜300nmにピークを備える)に曝される。そのため、ガラス基材には、これら紫外線の暴露に起因してガラスの構造欠陥(非架橋酸素ホールセンタの生成)が生じ、ガラス基材自体が着色すると考えられる。また、ガラス基材の製造工程においては、成膜工程以外に、例えば洗浄工程でガラス基材に紫外線を照射することがあり、この工程においても同様の現象が発生することが想定される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、紫外線によるガラス基材の着色が抑制された、可視光の透過率の高い光学多層膜付きガラス部材を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ガラス基材と光学多層膜との間に紫外線を吸収する層を備えることで、紫外線によるガラス基材の着色が抑制された、可視光の透過率の高い光学多層膜付きガラス部材が得られることが見出した。
すなわち、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、ガラス基材上に光学多層膜が形成された光学多層膜付きガラス部材であって、前記ガラス基材と前記光学多層膜との間に、波長200nm〜280nmの光を吸収する1層または2層以上からなる紫外線吸収層を備えることを特徴とする。
また、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、前記紫外線吸収層の波長200〜280nmにおける平均透過率が20%以下であることを特徴とする。
また、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、前記紫外線吸収層が、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、および酸化ニオブ(Nb)のいずれかから選ばれる材料からなる酸化物膜を、前記ガラス基材側の第1層に備えることを特徴とする。
また、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、前記紫外線吸収層が前記光学多層膜の光学特性に実質的に影響を与えないことを特徴とする。
また、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、前記紫外線吸収層が前記光学多層膜の一部を構成することを特徴とする。
また、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、前記光学多層膜が、反射防止膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜、紫外線および赤外線遮蔽膜から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
また、本発明の光学多層膜付きガラス部材は、前記光学多層膜が反射防止膜であって、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(Si)および酸化窒化珪素(SiO)から選ばれる2つ以上の材料の交互多層膜であることを特徴とする。
本発明によれば、紫外線によるガラス基材の着色が抑制された、可視光の透過率の高い光学多層膜付きガラス部材を得ることができる。
本発明の光学多層膜付きガラス部材の第1の実施形態を示す断面図である。 本発明の光学多層膜付きガラス部材の第2の実施形態を示す断面図である。 TiO膜の総膜厚が8nm、16nm、24nmのそれぞれの場合の分光透過率の測定結果を示すグラフである。 参考例1、実施例1,2および比較例1,2のガラスについて、分光透過率を測定した結果を示すグラフである。 実施例3および実施例4において、紫外線吸収層の吸収のみを考慮した分光透過率のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例3および実施例4において、紫外線吸収層および光学多層膜が形成されたガラス部材の反射率のシミュレーション結果を示すグラフである。 ガラスに表2に示す膜が層数別(1L〜3L、1L〜4L、1L〜5L、1L〜6L、1L〜7L)に設けられた場合の、分光透過率のシミュレーション結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の光学多層膜付きガラス部材の第1の実施形態を示す断面図である。
光学多層膜付きガラス部材(以下、ガラス部材という)10は、ガラス基材11、紫外線吸収層12、および光学多層膜13を有する。紫外線吸収層12および光学多層膜13は、ガラス基材11の一方の主面側に、この順で設けられている。また、第1の実施形態のガラス部材10は、紫外線吸収層12が光学多層膜13の光学特性に実質的に影響を与えないものである。
(ガラス基材)
ガラス基材11の形状は、特に限定されるものではなく、ブロック状であっても、板状であっても、フィルム状であってもよい。また、金型等で任意の形状に成形されたものであってもよい。
ガラス基材11の厚みは、ガラス部材10の用途にも依存するが、0.03mm〜5mmが好ましく、薄型化の点から、0.05mm〜1mmがより好ましい。
ガラス基材11は、可視光域の光を透過する多成分系ケイ酸塩ガラスであって、かつ紫外線の照射によりガラス自体が着色するガラスであれば、構成するガラス組成系は特に限定されない。例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス等が挙げられる。
紫外線の照射によりガラス自体が着色するか否か(耐ソラリゼーション性)は、以下の方法で評価することができる。
耐ソラリゼーション性は、厚さが0.3mmとなるよう両面光学研磨加工した所定形状(25mm×25mm×0.3mm)のガラスについて、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、型番:U−4100)により、波長400nm〜440nmにおける透過率を測定する。次に、日本光学硝子工業会測定規格JOGIS−04に基づき、理化学用高圧水銀ランプ((株)東芝製、型番:H−400P)を用い、15cmの距離から5時間、ガラスに対して紫外線を照射した後、再度ガラスの透過率を測定し、紫外線照射後の波長400nm〜440nmにおける透過率変化を比較する。そして、紫外線照射前後における波長400nm〜440nmの範囲の光透過率の低下量の最大値が、5%以上である場合、本発明において、紫外線の照射によりガラス自体が着色すると定義する。
(紫外線吸収層)
紫外線吸収層12は、ガラス基材11の少なくとも一方の面上であって、ガラス基材11と光学多層膜13との間に設けられる。
紫外線吸収層12は、ガラス部材10の製造工程において、ガラス基材11に紫外線が暴露される場合に、紫外線を吸収することでガラス基材11への紫外線照射量を抑制するための層である。
紫外線吸収層12は、波長200nm〜280nmの光を吸収する層である。また、紫外線吸収層12は、層を構成する膜材自体の紫外線吸収特性により、波長200nm〜280nmの光の平均透過率が20%以下となる層が好ましい。紫外線吸収層12をガラス基材11の成膜側表面に設けることで、ガラス基材11に到達する紫外線(波長200nm〜280nmの光)の量が、紫外線吸収層12を設けない場合と比較して大幅に抑制される。なお、紫外線吸収層12の光吸収特性として、波長200nm〜280nmの光を選択した理由は、波長280nm超の光は、ガラスの着色に大きく関与しないためである。また、波長200nm未満の光は、ガラスの着色への影響が未知である。紫外線吸収層12は、波長240nm〜280nmの光の平均透過率が20%以下となる層がより好ましい。
紫外線吸収層12は、1層または2層以上からなる。紫外線吸収層12が2層以上からなる場合、層間に紫外線吸収能を備えない層を挟み込んでもよい。紫外線吸収層12は、物理膜厚が5nm〜100nmであることが好ましい。5nm未満であると、紫外線を十分に吸収できないおそれがある。また、100nm超であると、可視領域の光の透過率を低下させるおそれがある。なお、紫外線吸収層12が2層以上で構成される場合、紫外線吸収層12の物理膜厚とは、紫外線吸収能を備える層の合計の物理膜厚をいうものであり、紫外線吸収層12の層間の紫外線吸収能を備えない層の物理膜厚は含まない。紫外線吸収層12は、層数が多くなると、光学特性への影響を考慮して膜構成の設計が複雑となるため、5層以下であることが好ましい。典型的には3層以下である。また、紫外線吸収層12が2層以上で構成される場合、紫外線吸収層12の間に、低屈折率膜(例えば、SiO膜)を積層し、各層の屈折率差による紫外線の反射特性を前述の吸収特性と併用して、紫外線の一部を遮蔽してもよい。
紫外線吸収層12は、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、および酸化ニオブ(Nb)のいずれかからなる酸化物膜を、ガラス基材11側の第1層に備えることが好ましい。これら酸化物膜は、波長200nm〜280nmの光の吸収性が高く、物理膜厚が薄くても所望の紫外線吸収性を備えるため、可視領域の光の透過特性への影響を少なくすることができる。また、これら酸化物膜を、ガラス基材11側の第1層すなわちガラス基材11の上に設けることで、第2層以降の成膜工程時にガラス基材11が紫外線に曝されたとしても、紫外線によるガラス基材11の着色を抑制することができる。
(光学多層膜)
光学多層膜13は、紫外線吸収層12の上(ガラス基材11と反対側)に設けられる。光学多層膜13は、反射防止膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜、紫外線および赤外線遮蔽膜の少なくとも1種であることが好ましい。このような光学多層膜13を用いることで、ガラス部材10に所望の機能を付与することができる。
光学多層膜13は、反射防止膜であって、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(Si)および酸化窒化珪素(SiO)から選ばれる2種以上の材料との交互多層膜であることが好ましい。ガラス部材10は、筺体の表面のカメラ用窓や表示装置のカバーガラスとして用いられる場合、耐傷性の高い膜が求められる。前述の材料を含む光学多層膜13は、膜の硬度が高いため、耐傷性の高いガラス部材10とすることができる。
膜の構成としては、ガラス基材11側からSiO/Si/SiO/Si/SiOの構成や、ガラス基材11側からSiO/SiO/SiO/SiO/SiOの構成など、適宜の膜構成を用いることができる。なお、前述の材料は、波長200nm〜280nmの光を吸収する特性をほとんど備えない。そのため、紫外線吸収層12を用いることなく前述の反射防止膜(酸化珪素(SiO)、窒化珪素(Si)および酸化窒化珪素(SiO)から選ばれる2種以上の材料の交互多層膜)を設けると、ガラス基材11が紫外線に曝されることにより着色するおそれがある。
(製造方法)
ガラス部材10は、公知の成膜方法で形成することができる。具体的には、加熱蒸着法やスパッタリング法、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)法などの成膜法を用い、紫外線吸収層12および光学多層膜13を形成する。特に、光学多層膜13として耐傷性の高い膜を形成する場合は、緻密な膜が得られるように、スパッタリング法やイオンアシスト蒸着法を用いることが好ましい。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の光学多層膜付きガラス部材の第2の実施形態を示す断面図である。
本実施形態において、光学多層膜付きガラス部材(以下、ガラス部材という)20は、図2に示すように、紫外線吸収層22が光学多層膜23の一部を構成する点で、第1の実施形態と異なる。本実施形態は、この点およびこれに関連する点を除き、第1の実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、第1の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
(紫外線吸収層)
紫外線吸収層22は、ガラス基材11の少なくとも一方の面上にあって、光学多層膜23の一部である。例えば、紫外線吸収層22が高屈折率物質である場合、光学多層膜23の高屈折率層として、ガラス基材11側の第1層に、つまりガラス基材11の上に設けられる。また、紫外線吸収層22は、前述の第1層に加え、ガラス基材11側の第3層、つまりガラス基材11側から数えて3番目の層として設けてもよい。このように紫外線吸収層22が設けられることで、光学多層膜23の第2層以降の成膜工程時にガラス基材11が紫外線に曝されたとしても、紫外線によるガラス基材11の着色が抑制することができる。
紫外線吸収層22が光学多層膜23の一部として構成される場合、両者をそれぞれ別の構成として設計や膜形成を行うのと比較して、低コストでガラス部材20を製造することができる、もしくは紫外線吸収層を薄くしても良いため、設計上の自由度が上がる。
(光学多層膜)
光学多層膜23は、ガラス基材11の上に設けられる。前述のとおり、紫外線吸収層22は、光学多層膜23の一部を構成し、光学特性に影響を及ぼす。光学多層膜23は、反射防止膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜、紫外線および赤外線遮蔽膜の少なくとも1種であることが好ましい。このような光学多層膜23を用いることで、ガラス部材20に所望の機能を付与することができる。
(製造方法)
ガラス部材20は、公知の成膜方法で形成することができる。具体的には、加熱蒸着法やスパッタリング法、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)法などの成膜法を用い、紫外線吸収層22を含む光学多層膜23を形成する。特に、光学多層膜23として耐傷性の高い膜を形成する場合は、緻密な膜が得られるように、スパッタリング法やイオンアシスト蒸着法を用いることが好ましい。
(変形例)
本発明の光学多層膜付きガラス部材の第1の実施形態や第2の実施形態は、例として示したものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、省略、置き換え、変更などを適宜行うことができる。
例えば、ガラス部材は、紫外線吸収層および光学多層膜が形成された側と反対の面に、各実施形態と同様の紫外線吸収層および光学多層膜を設けてもよい。また、ガラス部材は、紫外線吸収層および光学多層膜が形成された側と反対の面に紫外線が照射されることがなければ、紫外線吸収層を用いず、光学多層膜のみを設けてもよい。これは、ガラス基材が紫外線に曝されることでガラス自体に着色が生じるためであり、紫外線の入射面側でない面の紫外線吸収層は、ガラス基材に紫外線が到達するのをカットする機能を奏さないためである。
また、ガラス基材と紫外線吸収層との間に紫外線吸収能を有しない層を介在させてもよい。この場合、紫外線吸収能を有しない層の物理膜厚は、10nm以下であることが好ましい。この程度の物理膜厚であれば、成膜時間が短く、ガラス基材が受ける紫外線の積算光量が少ないため、ガラス基材の着色への影響が小さいためである。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
(紫外線吸収層の紫外線吸収能)
紫外線吸収層の紫外線吸収能を、以下の方法で確認した。
波長200nm〜1200nmの広い範囲で光透過率が高い石英ガラスに対して、スパッタリング法により、TiO膜を8nmの厚さ(物理膜厚)で成膜した。
次いで、TiO膜が形成された石英ガラスを3つに分割した。
そして、石英ガラスが1枚の場合(TiO膜の総膜厚:8nm)について、透過率を測定した。また、石英ガラスが1枚の場合の透過率の測定結果を基に、石英ガラスを2枚積層した場合(TiO膜の総膜厚:16nm)、石英ガラスを3枚積層した場合(TiO膜の総膜厚:24nm)のそれぞれについて、透過率を算出した。なお、これら透過率の算出においては、石英ガラス表面における透過率の反射を考慮している。TiO膜の総膜厚が8nm、16nm、24nmの場合の、波長200nm〜1200nmの透過率を、図3に示す。
この結果から、紫外線吸収層であるTiO膜の総膜厚が16nm以上の場合、波長200〜280nmの光の平均透過率が20%以下となることがわかる。なお、石英ガラスが1枚の場合(TiO膜の総膜厚:8nm)の波長200nm〜280の平均透過率は、32.2%であった。これに対し、石英ガラスが2枚の場合(TiO膜の総膜厚:16nm)の波長200nm〜280の平均透過率は、10.4%であり、石英ガラスが3枚の場合(TiO膜の総膜厚:24nm)の波長200nm〜280の平均透過率は、3.4%であった。
次に、ガラスに紫外線吸収層を設けることで、紫外線照射によるガラスの着色が抑制されることを確認した。
(参考例1)
市販のアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)の波長350nm〜850nmの分光透過率を、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、型番:U−4100)を用いて調べた。結果を図4に示す。なお、このガラスの耐ソラリゼーション性は、前記した測定方法により確認した。その結果、紫外線照射前後において、波長400nm〜440nmの光透過率の最大低下量は10.4%であった。
(比較例1)
参考例1と同じアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)に対し、紫外線吸収層を設けることなく、スパッタリング法によりSiO膜を442nmの厚さ(物理膜厚)で成膜した。その際、スパッタリング法による成膜時間は46分間であった。スパッタリング法によりSiO膜を成膜することで、波長200nm〜300nmにピークを有するSi(珪素)原子のプラズマ発光(紫外線を含む)にガラスを曝した。このガラスの波長350nm〜850nmの分光透過率を、前記紫外可視近赤外分光光度計を用いて調べた。結果を図4に示す。
(実施例1)
参考例1と同じアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)に対し、前述のTiO膜(8nm)が形成された石英ガラスをスパッタリングターゲット側に2枚積層して、比較例1と同一の方法・条件でSiO膜を成膜した。このガラスの波長350nm〜850nmの分光透過率を、前記紫外可視近赤外分光光度計を用いて調べた。結果を図4に示す。
(実施例2)
参考例1と同じアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)に対し、前述のTiO膜(8nm)が形成された石英ガラスをスパッタリングターゲット側に3枚積層して、比較例1と同一の方法・条件でSiO膜を成膜した。このガラスの波長350nm〜850nmの分光透過率を、前記紫外可視近赤外分光光度計を用いて調べた。結果を図4に示す。
(比較例2)
参考例1と同じアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)に対し、前述のTiO膜(8nm)が形成された石英ガラスをスパッタリングターゲット側に1枚積層して、比較例1と同一の方法・条件でSiO膜を成膜した。このガラスの波長350nm〜850nmの分光透過率を、前記紫外可視近赤外分光光度計を用いて調べた。結果を図4に示す。
図4に示す分光透過率のグラフから、以下のことがわかる。
参考例1と比較例1の結果から、ガラスに対して紫外線照射を行う(例えば、SiO膜の成膜)ことで、ガラスが着色し、波長500nm未満の分光透過率が低下することがわかる。
また、実施例1、実施例2および比較例2の結果から、ガラスに紫外線吸収層を設けることで、ガラスに対して紫外線照射を行う(例えば、SiO膜の成膜)場合であっても、ガラスが着色して波長500nm未満の分光透過率が低下する現象を抑制できるが、波長200nm〜280nmの光の平均透過率が20%超の紫外線吸収層をガラスに設けた場合は、ガラスが着色し波長500nm未満の分光透過率が低下する現象を抑制できないことがわかる。
次いで、ガラスに紫外線吸収層を設け、その上に反射防止機能を備える光学多層膜を作成した。
(実施例3)
参考例1と同じアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)に対し、ガラス側から順に表1に示す層構成で紫外線吸収層および光学多層膜を形成した。なお、表1において、紫外線吸収層は1Lおよび3Lである。紫外線吸収層の吸収のみを考慮した分光透過率を、図5に示す。また、紫外線吸収層および光学多層膜が形成された実施例3のガラス部材の反射率を図6に示す。なお、図5および図6の結果は、いずれもシミュレーション結果(ソフトウエアスペクトラ社製:TFCalcにより算出)である。
Figure 2016218335
(実施例4)
参考例1と同じアルミノシリケートガラス(板厚:0.3mm)に対し、ガラス側から順に表2に示す層構成で紫外線吸収層および光学多層膜を形成した。なお、表2において、紫外線吸収層は1Lおよび3Lである。紫外線吸収層の吸収のみを考慮した分光透過率を、図5に示す。また、紫外線吸収層および光学多層膜が形成された実施例4のガラス部材の反射を図6に示す。なお、図5および図6の結果は、いずれもシミュレーション結果(ソフトウエアスペクトラ社製:TFCalcにより算出)である。
Figure 2016218335
実施例3および実施例4の結果から、ガラスに紫外線吸収層を設けることで、特に可視波長域において透過率の高いガラスが得られることがわかる。すなわち、図5に示すとおり、ガラス上に紫外線吸収層を設けることで紫外線の透過率特性が低くなる。そのため、ガラス上に紫外線吸収層を設けた後に光学多層膜を成膜すると、成膜工程に起因するガラス部材の紫外線暴露に対して、ガラスの可視光の透過率の低下を抑制することができる。これは、図6に示す光学多層膜が形成されたガラス部材の反射率からも明確である。このように、実施例3および実施例4は、可視光の表面反射率が抑えられ、かつガラス自体の着色が抑制された、耐擦傷性の高い反射防止膜付きガラス部材であることがわかる。
また、ガラスに表2に示す膜が層数別(1L〜3L、1L〜4L、1L〜5L、1L〜6L、1L〜7L)に設けられた場合の、各分光透過率のシミュレーション結果を、図7に示す。これによれば、実施例4のガラス部材は、層数4L以降の膜が紫外線を反射する干渉層として機能することで、紫外線吸収層との併用により高い紫外線遮蔽性を備えることがわかる。
10,20…光学多層膜付きガラス部材、11…ガラス基材、12,22…紫外線吸収層、13,23…光学多層膜。

Claims (7)

  1. ガラス基材上に光学多層膜が形成された光学多層膜付きガラス部材であって、
    前記ガラス基材と前記光学多層膜との間に、波長200nm〜280nmの光を吸収する1層または2層以上からなる紫外線吸収層を備えることを特徴とする光学多層膜付きガラス部材。
  2. 前記紫外線吸収層は、波長200nm〜280nmにおける平均透過率が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学多層膜付きガラス部材。
  3. 前記紫外線吸収層は、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、および酸化ニオブ(Nb)のいずれかから選ばれる材料からなる酸化物膜を、前記ガラス基材側の第1層に備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学多層膜付きガラス部材。
  4. 前記紫外線吸収層は、前記光学多層膜の光学特性に実質的に影響を与えないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学多層膜付きガラス部材。
  5. 前記紫外線吸収層は、前記光学多層膜の一部を構成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学多層膜付きガラス部材。
  6. 前記光学多層膜は、反射防止膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜、紫外線および赤外線遮蔽膜から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学多層膜付きガラス部材。
  7. 前記光学多層膜は、反射防止膜であって、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(Si)および酸化窒化珪素(SiO)から選ばれる2つ以上の材料の交互多層膜であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学多層膜付きガラス部材。
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