JP7378114B2 - Ndフィルタ - Google Patents

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本発明は、ND(Neutral Density)フィルタに関する。
NDフィルタとして、特開2018-322709号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。このNDフィルタ(実施例10,図4(e))では、膜厚勾配を有する光吸収層としてのNiO膜(xは0を超えて1未満)と、膜厚勾配を有さない誘電体層としてのSiO膜とが交互に積層され(反射防止膜)、透過率勾配を有するNDフィルタ(グラデーションNDフィルタ)において表面反射率の低減が図られている。
特開2018-36325号公報
しかし、上述のグラデーションNDフィルタでは、透過率はNiO膜の合計の膜厚で決定されるため、各NiO膜の膜厚、及びNiO膜の数(反射防止膜の層数)に制限が出てくる。又、NiO膜が配置されない透明部では、単層のSiO膜となり、表面反射率の低減が図られないこととなる。
そこで、本発明の主な目的は、透明部及び他の部分の双方において、ND性能及び反射防止性能並びに美観に優れたNDフィルタを提供することである。
請求項1に記載の発明は、NDフィルタにおいて、基板と、前記基板の1以上の面である成膜面に配置される光学多層膜と、を備えており、前記光学多層膜は、光吸収層を、前記成膜面の一部において1層以上含むND部と、SiO製の反射防止部低屈折率層、及び高屈折率層が交互に配置される反射防止部と、を有しており、前記反射防止部は、前記成膜面における前記光吸収層が配置された部分である減光部と、同じ前記成膜面における前記光吸収層が配置されない部分である透明部とにわたっており、前記減光部は、前記光吸収層が膜厚勾配を有する部分であるグラデーション部を、前記透明部に隣接する状態で有しており、前記グラデーション部における前記光吸収層の膜厚は、前記透明部との境界部を0の部分として前記透明部から離れるに従い単調増加し、前記ND部は、SiO製のND部低屈折率層を複数含んでおり、複数の前記ND部低屈折率層は、前記減光部及び前記透明部に、一定の膜厚で行き渡っていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記反射防止部は、全5層以上であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記透明部及び前記減光部は、寒色系の色調となっていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記ND部低屈折率層の光学膜厚は、λ=500nmとして、0.40×λ/4以上1.05×λ/4以下であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、400nm以上700nm以下の波長域における最高反射率が10%以下であり、前記波長域における平均反射率が5.5%以下であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、表面反射の視感度反射率が1.5%以下であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記光吸収層は、Nbから成るNb層、及びNiと酸素との混合物から成るNiO層(xは0を超えて1未満)のうちの少なくとも一方であり、前記高屈折率層は、Nbから成るNb層、Taから成るTa層、Siから成るSi層、TiOから成るTiO層、ZrOから成るZrO層、及びHfOから成るHfO層の少なくとも何れかであることを特徴とするものである。
本発明の主な効果は、透明部及び他の部分の双方において、ND性能及び反射防止性能並びに美観に優れたNDフィルタが提供されることである。
本発明に係るNDフィルタの模式的な横断面図である。 NDフィルタの製造装置(第1形態)の模式的な横断面図である。 図2の模式的な側面図である。 図2の動作例のフローチャートである。 NDフィルタの製造装置(第2形態)の模式的な横断面図である。 NDフィルタの製造装置(第3形態)の模式的な横断面図である。 実施例1の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例1のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例1の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例2の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例2のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例2の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例3の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例3のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例3の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例4の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例4のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 実施例4の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例1の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例1のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例1の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例2の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例2のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例2の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例3の透明部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例3のグラデーション部の中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。 比較例3の一定減光部における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。
以下、本発明に係る実施の形態の例が、適宜図面を用いて説明される。
尚、本発明は、以下の例に限定されない。
≪NDフィルタの構成等≫
本発明に係るNDフィルタは、基板表面における少なくとも1つの方向において所定波長の光の透過率が単調に増加しあるいは減少する部分(透過率勾配部,グラデーション部)を有するグラデーションNDフィルタである。グラデーションNDフィルタでは、所定波長における透過率が同一である部分において、当該所定波長を含む特定の波長域の光に対する透過率の分布がほぼ平坦であり、当該光をほぼ均一に透過する。例えば、当該波長域内で透過率[%]の最大値と最小値の差が好ましくは15ポイント以内であり、より好ましくは10ポイント以内であり、更に好ましくは5ポイント以内である。
特定の波長域として、例えば可視域が挙げられる。可視域は、例えば400ナノメートル(nm)以上780nm以下であり、その下限は、410nmあるいは420nm等とされても良いし、その上限は、800nm、あるいは780nm、760nm、700nm等とされても良い。
又、特定の波長域は、可視域に代えて、あるいは可視域と共に、紫外域あるいは赤外域とされても良いし、これらの組合せとされても良い。
以下では、均一に透過する対象としての特定の波長域が可視域であるものとして説明がなされるが、その説明は、特定の波長域を可視域に限定するものではない。
図1に例示されるように、本発明に係るNDフィルタ1では、基板2の何れかの片面あるいは両面(成膜面)に対し、光学多層膜4が形成される。光学多層膜4が基板2の両面に形成される場合、各面の光学多層膜4の構成は異なっていても良いが、好ましくはこれらの構成は互いに同一とされる。又、一方の面に本発明に係る光学多層膜4が形成され、他方の面に本発明に属さない光学多層膜あるいは光学単層膜が形成されても良い。
基板2は、透明(半透明を適宜含む)であれば、ポリカーボネイト等の樹脂、あるいはガラスを始めとしていかなる材質であっても良いが、好ましくはアルカリ元素を含んだガラスであり、より好ましくは強化ガラスであり、例えば化学強化ガラスである。
強化ガラス製の基板2は、表面に圧縮応力層が形成されているので、表面にクラックが生じたとしても、圧縮応力によりクラックの成長が抑制され、通常の(強化処理されていない)ガラス製の基板2よりも衝撃に強い。
又、基板2は、好ましくは巻き取り不能であり、ロール化不能であるものが好ましい。塑性変形を生じない限り巻き取れない程度に柔軟でない基板であれば、光学多層膜4等がより一層安定して形成され、NDフィルタ1がより一層頑丈になる。
光学多層膜4は、主にNDの機能を有するND部6と、主に反射防止(Antireflection,AR)の機能を有するAR部8と、を有する。
光学多層膜4において、好ましくは、ND部6が基板2側であり、AR部8が外側(空気側)となる。
光学多層膜4より基板側及び空気側の少なくとも一方において、ハードコート膜、防汚膜、反射防止膜、及び導電膜の少なくとも何れか等といった他の1以上の膜が付与されても良い。尚、これらハードコート膜、導電性膜等は、光学多層膜4に含まれるものとして扱われても良い。
ND部6は、1あるいは複数の層を含む膜であり、波長域が可視域の光である可視光を吸収する光吸収層10を1以上備えていて、上記の可視光の均一な透過(ND)を実現する機能を具備する。
光吸収層10は、好ましくは金属(金属酸化物を含む)製の層であり、例えばNb(ニオブ)製の層であるNb層、又はNiO(xは0を超えて1未満,不飽和酸化ニッケル)製の層であるNiO層である。光吸収層10が複数設けられるようにし、その一部がNb層あるいはNiO層以外の金属又は金属酸化物等の他の材質により形成されたものとされても良いが、好ましくは1以上の光吸収層10の全てがNb層あるいはNiO層とされる。NiO層は、Niと酸素との混合物から成る。
可視光の均一な透過のための吸収については、吸収[%]が簡易的に「100-(透過率[%]+反射率[%])」で表されることから、可視域における分光透過率分布及び分光反射率分布の少なくとも一方が平坦であることによって把握することができ、反射率が小さい場合には分光透過率分布が平坦であることによって把握することができる。吸収の平坦性については、吸収の最大値と最小値の差で評価され、分光透過率分布の平坦性については、透過率の最大値と最小値の差で評価され、いずれも差が小さいほど平坦性が高い。高い平坦性は、均一な減光をもたらすものとしてニーズが存在する。
又、例えばNDフィルタ1付きのカメラの撮像素子で利用する光は、NDフィルタ1の透過光であるところ、NDフィルタ1における反射光は、撮像素子及び光学系におけるノイズの原因となるから、NDフィルタ1の反射率を数%以下程度に低減する要請がある。
尚、NDフィルタ1全体として所望の透過率を実現するため、光吸収層10による可視光の吸収は、光学多層膜4の他の層若しくは他の膜又は基板における吸収、透過率、反射率の分布に応じた分布とされて良い。
又、NDフィルタ1におけるグラデーション部20Gを形成するため、少なくとも1つの光吸収層10は、膜厚が0の部分から単調増加する部分(膜厚勾配)を有する。好ましくは、図1で示されるように、基板2の長手方向(図1の左右方向)において光吸収層10の膜厚が単調増加し、基板2の幅方向(図1の紙面に垂直な方向)当該膜厚が一定であるものとされる。又、複数の光吸収層10を有する場合、好ましくは何れの光吸収層10も同じ膜厚勾配を有する。
更に、好ましくは、図1で示されるように、NDフィルタ1におけるグラデーション部20G(光吸収層10の膜厚が0である側)に隣接して、透明部20Tが配置される。透明部20Tは、好ましくは可視域全域で透過率が95%以上である。又、好ましくは、図1で示されるように、NDフィルタ1におけるグラデーション部20G(光吸収層10の膜厚が最大である側)に隣接して、光吸収層10の膜厚が一定である一定減光部20Fが配置される。光吸収層10が配置される、グラデーション部20Gあるいはグラデーション部20G及び一定減光部20Fは、減光部20Dである。
光吸収層10は、蒸着あるいはスパッタリング等により形成され、好ましくはスパッタリングにより形成される。
光吸収層10がNiOx層であり蒸着により形成される場合、好ましくはイオンアシスト蒸着(Ion Assist Depotition;IAD)によって形成される。NiOx層を始めとする膜の構造、あるいはイオンアシストの有無による構造の相違は、当業者にとっても直接の特定が極めて困難である。又、蒸着時におけるイオンアシストの実施によって膜の構造を特定することは、当業者にとって分かり易く有用である。
尚、イオンアシストの有無による膜の構造の相違を表し得るものとして、膜の密度が例示される。NiOx層を始めとする膜の密度は、当業者にとっても直接の測定が極めて困難であるが、イオンアシストの有無により、膜の密度の程度が相違し、イオンアシストがなされる場合には、イオンアシストがなされない場合より密度が高い。
又、イオン化した希ガスを含むイオンビームを用いたイオンアシスト蒸着の有無による構造の相違を表し得るものとして、希ガス元素の含有が例示される。蒸着膜における(主成分以外の元素の)組成の厳密な把握は、当業者によっても測定に多大な手間がかかるのであるが、イオン化した希ガスを含むイオンビームによるイオンアシスト蒸着で形成されるNiOには、その量あるいは割合はともかく、イオンビームの作用により希ガス元素が混入することが分かった。よって、イオン化した希ガスを含むイオンビームによるイオンアシストが有る場合には、かようなイオンアシストが無い場合と異なり、光吸収層10には希ガス元素が混入しており、光吸収層10はNiO(xは0を超えて1未満)と希ガス元素から成っている。
NiOx層の蒸着において、基板へ向けてイオン化したガスであるイオンビームが照射される。イオンビームは、少なくとも酸素(O)ガスを含む。イオンビームに係るガスは、アルゴンガスを始めとする希ガスとの混合ガスとされても良い。即ち、イオンビームは、イオン化した酸素ガス、あるいはイオン化した酸素ガスと希ガスの混合ガスである。
加熱により蒸発源から蒸発したNiは、イオンビームに係る酸素ガスの作用等により、基板の表面においてNiO膜となる(x=1)。NiO膜の表面では、Ni-O間の化学結合の一部がイオンビームにより切断され、酸素欠損が形成される。かような酸素欠損の量に応じてxが変化し、NiOx層(xは0を超えて1未満)が形成される。Ni-O間の化学結合がイオンビームにより全て切断される可能性は現実的にはゼロであり、xは0を超える。他方、イオンビームを照射しているのにもかかわらず、Ni-O間の化学結合が全く切断されない可能性も実際的にはないとみて良く、よってxは1未満となる。
酸素欠損の量即ちxの値は、蒸着源の加熱及びイオンビームの照射を同じ条件で連続して行うことで、1つの層において一定にすることができ、かように蒸着されたNiO層は、膜厚方向において均一な組成となる。ここでの同じ条件は、例えばイオンガンにおける一定の電圧(一定のガスのイオン化電圧)であり、又酸素ガス若しくは酸素ガスと希ガスの一定の流量である。酸素ガスと希ガスの混合ガスの場合は、1つのNiO層の蒸着中に流量が一定であれば流量の大きさは互いに同じでも良いし異なっていても良く、かような趣旨を表すため、酸素ガスの流量が「一定流量」とされ、希ガスの流量が「所定流量」とされて良い。かような同条件におけるイオンビームの照射は、一定したイオンビームの照射と捉えることができる。
そして、xの値は、イオンビームの各種の特性(イオンガンの各種の設定)により制御される。例えば、イオンビームの加速電圧の大きさ及びイオンビームの電流の大きさの少なくとも一方により、xの大小を変化させることができる。又、希ガスとの混合ガスが用いられる場合には、酸素ガスと希ガスの各導入量あるいは混合比を変更することにより、xの大小を変化させることができる。
かようにxの値は制御可能であるが、直接同定することは層全体を原子の見られる電子顕微鏡等で観察し尽くす必要があって現実的でなく、当業者にとっても直接の測定が極めて困難である。従って、NiO層(xは0を超えて1未満)と特定されることは有用であり、更に適宜蒸着時のイオンビームの特性等でNiO層が特定されることは、当業者にとって分かり易く有用である。
又、スパッタリングによってNiO層が形成される場合も、蒸着の場合と同様に、スパッタガスの種類若しくは流量、ラジカルガスの導入の有無、ラジカルガス導入時のラジカルガスの種類、流量若しくは投入電力、真空室内の真空度若しくは温度、スパッタ源の温度、ターゲット温度、又は基板温度等の成膜条件の設定によって、xの値が0を超えて1未満の範囲で調整可能である。
更に、ND部6は、低屈折率材料製の低屈折率層12(ND部低屈折率層)を有していても良い。かような低屈折率材料としては、酸化シリコン(特にSiO)が例示される。又、低屈折率材料として、他の誘電体材料、あるいは金属材料若しくは金属酸化物材料が用いられても良い。
ND部6における低屈折率層12及び光吸収層10は、好ましくは交互に配置される。かようなND部6における層の数は、特に限定されない。光吸収層10は、殆どの誘電体材料より屈折率が高いことから、主に高屈折率層として取り扱える。ND部6における最も基板側の層(基板に最も近い層)を1層目とした場合、1層目が低屈折率層12とされても良いし光吸収層10とされても良いが、好ましくは奇数層目が低屈折率層12であり、偶数層目が光吸収層10である。1層目が低屈折率層12であれば、2層目の光吸収層10が基板2に直接成膜されず低屈折率層12と接触することとなり、光吸収層10の密着性がより良好になる。
他方、AR部8は、少なくとも1層の低屈折率層12(反射防止部低屈折率層)と、少なくとも1層の高屈折率層14とが交互に積層されたものであり、優れた反射防止機能等を具備させる観点から、好ましくは全5層以上であり、より好ましくは全7層以上である。AR部8における低屈折率層12(反射防止部低屈折率層)の材質等は、ND部6における低屈折率層12(ND部低屈折率層)に係る材質等と相違しても良いが、好ましくはND部低屈折率層に係る材質等と同一とされる。
AR部8における最も基板側の層(基板に最も近い層)を1層目とした場合、1層目が低屈折率層12とされても良いし高屈折率層14とされても良いが、好ましくは奇数層目が低屈折率層12であり、偶数層目が高屈折率層14である。尚、ここでは、ND部6における最も空気側の層が光吸収層10であるものとされているところ、当該層が低屈折率層12であり、AR部8における最も基板側の層が高屈折率層14であると扱われても良い。
AR部8における低屈折率層12は、図1に示されるようにND部6における低屈折率層12と同じ低屈折率材料で形成されることが、作製の容易性(製造装置の簡略化)の観点から好ましいが、ND部6における低屈折率層12と異なる低屈折率材料で形成されても良い。
AR部8における高屈折率層14は、高屈折率材料から形成されている。かような高屈折率材料としては、例えば誘電体材料、あるいは金属材料若しくは金属酸化物材料が挙げられ、より具体的な例として、酸化ジルコニウム(特にZrO)、酸化チタン(特にTiO)、酸化タンタル(特にTa)、酸化ニオブ(特にNb)、窒化ケイ素(特にSiN,Si)、酸化ハフニウム(特にHfO)の少なくとも何れかが挙げられる。光学多層膜4の作製の容易性(製造装置の簡略化)の観点から、高屈折率材料と光吸収層10の材料とに共通する部分が存在すること(例えばNbとNb)は、好ましい。同様に、低屈折率材料と高屈折材料とに共通する部分が存在すること(例えばSiOとSiN)は、好ましい。
尚、ND部6が、光吸収層10以外の高屈折率層14を含んでいても良い。この場合、ND部6とAR部8とで高屈折率材料が異なっていても良い。又、ND部6及びAR部8の少なくとも一方において、複数種類の高屈折率層が含まれていても良く、低屈折率層においても同様である。
高屈折率層14がSiN製の層であるSiN層とされる場合について、以下更に説明される。
SiNの膜は、シリコン窒化膜とも呼ばれ、例えば、スパッタ源を有する真空室内において、高周波により放電させた窒素ガス即ちラジカル窒素がスパッタ源に導入され、スパッタ源にセットされたSiをターゲットとしたスパッタリングが行われることにより、基板上においてSiの堆積とその窒化とが繰り返されて成膜される。SiNにおけるxの値は、成膜条件、即ち真空室内の真空度、直流の投入電力、高周波の投入電力、窒素ガスの導入流量、ラジカル窒素以外のラジカルの併用の有無、併用時のラジカルの種類,投入電力,流量、真空室温度、スパッタ源の温度、ターゲット温度、基板温度等により変化し、例えば、0を超えて1.5以下の範囲内の何れかの値であって、ラジカル窒素がある程度導入されれば概ね1.33前後である1.0以上1.5以下あるいは1.2以上1.5以下に収まる。x≒1.33である場合、SiNはSiとも表される。
xの値は、成膜条件の調整によりある程度制御可能であるが、直接同定することは層全体を原子の見られる電子顕微鏡等で観察し尽くす必要があって現実的でなく、当業者にとっても直接の測定が極めて困難である。従って、SiNあるいはSiN層という特定は有用であり、更に適宜スパッタリング時の成膜条件でSiNあるいはSiN層が特定されることは、当業者にとって分かり易く有用である。
かような光学多層膜4が配置された基板2を含むNDフィルタ1は、好適にはカメラ用とされる。
カメラ用NDフィルタは、カメラのレンズの前等に後付けされるものであっても良いし、カメラの光学系に組み込まれた(カメラに内蔵された)ものであっても良い。
又、カメラ用NDフィルタは、車載カメラ用であっても良いし、警備カメラ用であっても良いし、医療機器付属のカメラ用であっても良い。
このように、本発明のNDフィルタ1は、基板2と、その1以上の面である成膜面に配置される光学多層膜4と、を備えており、光学多層膜4は、膜厚勾配(グラデーション部20G)を有する光吸収層10を、成膜面の一部において1層以上含むND部6と、低屈折率層12及び高屈折率層14が交互に配置されるAR部8と、を有しており、AR部8は、成膜面における光吸収層10が配置された部分である減光部20Dと光吸収層10が配置されない部分である透明部20Tとにわたっている。よって、NDフィルタ1は、透明部20T、及びグラデーション部20Gを含む減光部20Dにおいて、ND性能及び反射防止性能並びに美観に優れたものとなる。
又、AR部8は、全5層以上である。よって、NDフィルタ1は、より優れた反射防止性能を呈する。
更に、ND部6は、低屈折率層14を含んでいる。よって、低屈折率層14が光吸収層10と基板2の成膜面との間に配置されれば、光吸収層10は、基板2の成膜面に直に付ける場合に比べて、より安定して付着する。又、低屈折率層14が複数の光吸収層10の間に配置されれば、各光吸収層10の膜厚がより薄くなり、ND性能等がより安定して良好に発揮される。
加えて、光吸収層10は、Nbから成るNb層、及びNiと酸素との混合物から成るNiO層(xは0を超えて1未満)のうちの少なくとも一方であり、高屈折率層14は、Nbから成るNb層、Taから成るTa層、Siから成るSi層、TiOから成るTiO層、ZrOから成るZrO層、HfOから成るHfO層の少なくとも何れかである。よって、NDフィルタ1(光学多層膜4)は、シンプルに低コストで形成される。特に、光吸収層10がNb層で高屈折率層14がNb層である場合のように、光吸収層10及び高屈折率層14が同じ元素を含む場合、これらは効率良く作製可能である。
≪NDフィルタの製造装置等≫
次いで、上述のNDフィルタ1を製造する装置の実施形態が、数例説明される。
尚、本発明に係るNDフィルタ1の製造装置は、以下の形態に限定されない。
[第1形態]
図2は、第1形態に係る製造装置101の模式的な横断面図である。図3は、製造装置101の模式的な側面図である。
製造装置101は、ドラム型スパッタ成膜装置であり、基板2の片面に光学多層膜4を成膜するものである。
製造装置101は、成膜室としての真空室102と、その中央部において自身の軸周りで回転可能に配置された円筒状のドラム104と、を備えている。ドラム104の外周円筒面には、成膜対象としての基板2が、成膜面を外側に向けた状態で保持されている。
真空室102の一面には、マスクスパッタ源としての第1スパッタ源110が配置されている。
第1スパッタ源110は、第1ターゲットT1をセットするスパッタカソード112と、一対の防着板114と、スパッタガスが適宜流量調整のうえで導入されるスパッタガス導入口116と、を備えている。
スパッタカソード112は、外部直流電源(図示略)と接続されている。
防着板114は、第1のターゲットT1とこれに対向するドラム104の部分との間を、他の真空室102の内部部分から区切るように配置されている。
スパッタガス導入口116は、防着板114によって区切られた空間へ向けてスパッタガスを流す。
又、第1スパッタ源110には、マスクとしての邪魔板118が、着脱可能に設けられている。
邪魔板118は、第1スパッタ源110に装着された場合、スパッタガス導入口116とドラム104との間に配置され、防着板114の間に配置される。
邪魔板118の上端は、ドラム104において上段と下段とに分かれて周方向に並べられた基板2における、上段の基板2の中央部の径方向外方に位置している。邪魔板118の下端は、下段の基板2の中央部の径方向外方に位置している。
邪魔板118は、上段の基板2の中央部の径方向外方から下段の基板2の中央部の径方向外方までにわたっており、上段の基板2の下半部及び下段の基板2の上半部を覆う。
第1スパッタ源110は、マスクである邪魔板118の影響を受ける。
尚、邪魔板118は、第1スパッタ源110の他の部分から離れて配置されていても良い。又、マスクは、板状でなくても良い。
真空室102の別の一面には、第2スパッタ源120が配置されている。
第2スパッタ源120は、第1スパッタ源110と同様に、第2ターゲットT2をセットするスパッタカソード122と、一対の防着板124と、スパッタガス導入口126と、を備えている。
尚、第2スパッタ源120には、邪魔板118が取り付けられていない。
更に、真空室102の他の一面には、ラジカル源130が配置されている。
ラジカル源130は、ガスをバルブ132により流量調整のうえで導入可能なラジカルガス導入口134と、加速電圧用電源(図示略)により電圧が印加されることでプラズマを発生可能なガン136と、を有する。
ラジカルガス導入口134から真空室102の内部に導入されたガスは、ガン136が発生したプラズマによりラジカル化し、基板2に向かってビーム状に照射される。
尚、第1スパッタ源110、第2スパッタ源120及びラジカル源130の少なくとも何れかの配置は、上述のものに限定されない。
製造装置101の動作例(NDフィルタ1の製造方法の例)について、光吸収層10がNb層であり、低屈折率層12がSiO層であり、高屈折率層14がSiNである場合が、主に図3に基づいて説明される。
まず、基板2がドラム104にセットされると共に、第1ターゲットT1としてNbがセットされ、第2ターゲットT2としてSiがセットされる(ステップS1)。
次に、真空室102の内部が排気される(ステップS2)。
続いて、ドラム104が回転され、ドラム104に保持された基板2が、第1スパッタ源110,第2スパッタ源120,ラジカル源130の各内側を順次繰り返し高速で通過するようにされる(ステップS3)。
次いで、基板2のクリーニングが行われる(ステップS4)。即ち、ラジカル源130のラジカルガス導入口34から酸素(O)ガスが導入された状態で、ガン136に高周波電圧が印加されて、ラジカル酸素が生成され、移動している基板2に対して所定時間照射される。かようなラジカル酸素の照射により、基板2表面に有機物等が付着していたとしても、有機物等はラジカル酸素及びプラズマで発生する紫外線によって分解剥離され、基板2の表面がクリーニングされる。かようなクリーニングにより、後に形成する膜の密着性が向上する。
続いて、光学多層膜4のND部6が形成される(ステップS5)。ND部6において光吸収層10と共に低屈折率層12(SiO層)が含まれ、基板2に接する1層目にSiO層が配置される場合、まずSiO層が、主に第2スパッタ源120及びラジカル源130によるSiの堆積と酸化との繰り返しによって形成される。
即ち、ドラム104の回転が維持された状態で、第2スパッタ源120のスパッタガス導入口116から希ガス(ここではArガス)が導入され、スパッタカソード112に直流電圧が印加されることで、第2ターゲットT2表面のSiが、Arによるスパッタにより、基板2の表面上に堆積する。
同時に、ラジカル源130のラジカルガス導入口134からOガスが導入された状態で、ガン136に高周波電圧が印加されて、ラジカル酸素が生成され、Siの堆積した移動中の基板2に対して照射されて、Siの酸化がなされる。
SiO層の膜厚は、スパッタカソード112への投入電力が一定であり、単位時間当たりの成膜される物理膜厚である成膜レートが一定である場合には、スパッタリングの時間の長短により制御される。よって、所望の膜厚に相当する時間が経過した時点で、スパッタカソード112への電圧印加が停止されて、1層目のSiO層の成膜が完了する。
次いで、光吸収層10であるNb層が、主に第1スパッタ源110によるNbの堆積によって形成される(光吸収層形成ステップ)。
即ち、ドラム104の回転が維持された状態で、第1スパッタ源110のスパッタガス導入口126から希ガス(ここではArガス)が導入され、スパッタカソード122に直流電圧が印加されることで、第1ターゲットT1表面のNbが、Arによるスパッタにより、基板2の表面上に堆積する。ここでは、ラジカル源130は、不動作とされる。尚、ドラム104の回転は、1層目の形成後であって2層目の形成前等において、一時的に変速されたり一旦停止されたりしても良い。
第1ターゲットT1から出たNbは、邪魔板118により、各基板2の半分(上段の基板2の下半部及び下段の基板2の上半部)に到達せず、堆積しない(透明部20T)。又、Nbは、各基板2の別の半分(上段の基板2の上半部及び下段の基板2の下半部)に堆積する(一定減光部20F)。更に、Nbは、邪魔板118の上辺あるいは下辺からの回り込みにより、透明部20Tと一定減光部20Fとの間において膜厚勾配を有するように堆積する(グラデーション部20G)。
Nb層の膜厚は、SiO層と同様に時間により制御可能であり、所望の膜厚に相当する時間が経過した時点でスパッタカソード112への電圧印加が停止されて、2層目のNb層の成膜が完了する。
そして、同様にSiO層の成膜とNb層の成膜が適宜繰り返されることにより、ND部6の形成がなされる。SiO層は基板2の成膜面の全体に行き渡り、Nb層は基板2の成膜面の半分に広がる。
続いて、AR部8が形成される(ステップS6,反射防止部形成ステップ)。ND部6において高屈折率層14(SiN層)と共に低屈折率層12(SiO層)が含まれ、ND部6に接するAR部8の1層目にSiN層が配置される場合、まずSiN層が、主に第2スパッタ源120及びラジカル源130によるSiの堆積と窒化との繰り返しにより、AR部8の高屈折率層14であるSiN層が形成される。
即ち、ドラム104の回転が維持された状態で、第2スパッタ源120のスパッタガス導入口116から希ガス(ここではArガス)が導入され、スパッタカソード112に直流電圧が印加されることで、第2ターゲットT2表面のSiが、Arによるスパッタにより、基板2の表面上に堆積する。
同時に、ラジカル源130のラジカルガス導入口134から窒素(N)ガスが導入された状態で、ガン136に高周波電圧が印加されて、ラジカル窒素が生成され、Siの堆積した移動中の基板2に対して照射されて、Siの窒化がなされる。
SiN層の膜厚は、他の層と同様に制御され、所望の膜厚に相当する時間が経過した時点でスパッタカソード112への電圧印加が停止されて、SiN層の成膜が完了する。
そして、かようなSiN層の成膜と、上述のSiO層の成膜とが適宜繰り返されることにより、AR部8の形成がなされる。SiO層及びSiN層は、基板2の成膜面の全体に広がる。第2スパッタ源120は、低屈折スパッタ源と高屈折スパッタ源とを兼ねる。
AR部8の形成が完了すれば、光学多層膜4の成膜が完了するので、ドラム104が止められ、適宜冷却が行われた後、光学多層膜4付き基板2、即ちNDフィルタ1が取り出される(ステップS7)。
尚、AR部8の上(外側)に、製造装置101あるいは別の装置によって更に防汚膜等が付与されても良い。
又、製造装置101の別の動作例として、光吸収層10がNb層であり、低屈折率層12がSiO層であり、AR部8の高屈折率層14がNb層である場合が説明される。
即ち、ND部6が上述の動作例と同様に形成された(ステップS5)後、邪魔板118が外され、AR部8が形成される(ステップS6)。邪魔板118は、手動で外されても良いし、ボールねじあるいはロボットハンド等のマスク移動手段により、スパッタガス導入口126(第1ターゲットT1)の内側の位置(作動位置)から退避位置に移動されることで外されても良い。
AR部8の高屈折率層14であるNb層は、主に第1スパッタ源110及びラジカル源130によるNbの堆積と酸化との繰り返しによって形成される。即ち、ドラム104の回転が維持された状態で、第1スパッタ源110のスパッタガス導入口126から希ガス(ここではArガス)が導入され、スパッタカソード122に直流電圧が印加されることで、第1ターゲットT1表面のNbが、Arによるスパッタにより、基板2の表面上に堆積すると共に、ラジカル源130のラジカルガス導入口134からOガスが導入された状態で、ガン136に高周波電圧が印加されて、ラジカル酸素が生成され、Nbの堆積した移動中の基板2に対して照射されて、Nbの酸化がなされる。
Nb層は、邪魔板118がないため、基板2の成膜面の全体に広がる。
尚、更に別の動作例として、製造装置101でND部6が形成された(ステップS5)後、別の装置でAR部8が形成されても良い(ステップS6)。
又更に別の動作例として、ステップS5の光吸収層10の形成時に、Nb層に代えて、NiO層が、ラジカル酸素の生成を伴うスパッタリングにより形成されても良い。
更に、それぞれ高屈折率層14に成り得る、Taから成るTa層、TiOから成るTiO層、ZrOから成るZrO層、HfOから成るHfO層は、それぞれ、Ta,Ti,Zr,Hfの、ラジカルOガス(ラジカル源130によりラジカル化したOガス)を導入しながらのスパッタリングにより、Nb層と同様に形成可能である。Ta層については、後述される(第2形態の動作例)。
[第2形態]
図5は、第2形態に係る製造装置201の模式的な横断面図である。
製造装置201は、第1スパッタ源110の配置の変更及び第3スパッタ源230の追加を除き、第1形態の製造装置101と同様に成る。同様に成る部材あるいは部分については、適宜同じ符号が付されて説明が省略される。
製造装置201の第1スパッタ源110は、ラジカル源130に対向する面に配置される。
又、製造装置201は、第3スパッタ源230を有する。第3スパッタ源230は、真空室102の残りの一面(第2スパッタ源120に対向する面)に配置されている。
第3スパッタ源230は、第2スパッタ源120と同様に成り、第3ターゲットT3をセットするスパッタカソード232と、一対の防着板234と、スパッタガス導入口236と、を備えている。
尚、第1スパッタ源110、第2スパッタ源120、第3スパッタ源230及びラジカル源130の少なくとも何れかの配置は、上述のものに限定されない。
製造装置201の動作例(NDフィルタ1の製造方法の例)について、光吸収層10がNb層であり、低屈折率層12がSiO層であり、高屈折率層14がNbである場合が説明される。当該動作例は、製造装置101の場合と大要同様であるため、適宜同じ符号が用いられる。
基板2がドラム104にセットされると共に、第1ターゲットT1としてNbがセットされ、第2ターゲットT2としてSiがセットされ、第3ターゲットT3としてNbがセットされる(ステップS1)。尚、第1ターゲットT1としてSiがセットされ、第2ターゲットT2としてNbがセットされても良い。
真空室102の排気から、基板2のクリーニングまで(ステップS2~S4)は、製造装置101の動作と同様になされる。
次いで、ND部6が形成される(ステップS5)。
まず、低屈折率層12であるSiO層が、主に第2スパッタ源120及びラジカル源130によるSiの堆積と酸化との繰り返しによって、製造装置101と同様に形成される。
次いで、光吸収層10であるNb層が、主に第1スパッタ源110によるNbの堆積によって形成される。Nb層は、邪魔板118により、各基板2の半分において、境界部に膜厚勾配(グラデーション部20G)を有する状態で堆積する。
そして、同様にSiO層の成膜とNb層の成膜が適宜繰り返されることにより、ND部6の形成がなされる。SiO層は基板2の成膜面の全体に行き渡り、Nb層は基板2の成膜面の半分に広がる。
続いて、AR部8が形成される(ステップS6)。
まず、主に第3スパッタ源230及びラジカル源130によるNbの堆積と酸化との繰り返しにより、AR部8の高屈折率層14であるNb層が形成される。Nb層は、製造装置101の別の動作例と同様の動作により形成される。Nb層は、第3スパッタ源230に邪魔板118がないため、基板2の成膜面の全体に広がる。第1スパッタ源110の邪魔板118は、取り外す必要がない。
そして、かようなNb層の成膜と、上述のSiO層(低屈折率層12)の成膜とが適宜繰り返されることにより、AR部8の形成がなされる。SiO層及びNb層は、基板2の成膜面の全体に広がる。その後、NDフィルタ1の製造が完了する(ステップS7)。
この動作例では、第1スパッタ源110がマスクスパッタ源であり、第2スパッタ源120が低屈折スパッタ源であり、第3スパッタ源230が高屈折スパッタ源である。
又、製造装置201の別の動作例として、光吸収層10がNb層であり、低屈折率層12がSiO層であり、AR部8の高屈折率層14がTa層である場合が説明される。
基板2がドラム104にセットされると共に、第1ターゲットT1としてNbがセットされ、第2ターゲットT2としてSiがセットされ、第3ターゲットT3としてTaがセットされる(ステップS1)。尚、第2ターゲットT2としてTaがセットされ、第3ターゲットT3としてSiがセットされても良い。
真空室102の排気から、ND部6の形成まで(ステップS2~S5)は、上述の動作と同様になされる。
続いて、AR部8の形成(ステップS6)として、まず主に第3スパッタ源230及びラジカル源130によるTaの堆積と酸化との繰り返しにより、AR部8の高屈折率層14であるTa層が形成される。Ta層は、Nb層の形成と同様に形成される。Ta層は、第3スパッタ源230に邪魔板118がないため、基板2の成膜面の全体に広がる。
そして、かようなTa層の成膜と、上述のSiO層の成膜とが適宜繰り返されることにより、AR部8の形成がなされる。SiO層及びNb層は、基板2の成膜面の全体に広がる。その後、NDフィルタ1の製造が完了する(ステップS7)。
この動作例では、第1スパッタ源110がマスクスパッタ源であり、第2スパッタ源120が低屈折スパッタ源であり、第3スパッタ源230が高屈折スパッタ源である。
尚、更に別の動作例として、ステップS6において、例えばAR部8の1層目及び5層目の高屈折率層14がTa層であり3層目の高屈折率層14がNb層であるといったように、Ta層及びNb層が併有されるように形成されても良い。
又更に別の動作例として、ステップS5において、Nb層に代えて、NiO層が、ラジカル酸素の生成を伴うスパッタリングにより形成されても良い。
[第3形態]
図6は、第3形態に係る製造装置301の模式的な横断面図である。
製造装置301は、別室302の追加及び第1スパッタ源110の別室への配置を除き、第2形態の製造装置201と同様に成る。同様に成る部材あるいは部分については、適宜同じ符号が付されて説明が省略される。
製造装置301は、真空室102(第1室)における所定の一面側(製造装置201において第1スパッタ源110が配置されていた面の側)に、真空室102と同様に成る別室302(第2室)が設けられている。真空室102と別室302との間の壁体は、開閉可能なゲート303となっている。即ち、製造装置301では、成膜室が、真空室102と別室302とを含んでいる。
ドラム104は、開状態のゲート303を通過することで、真空室102と別室302との間で移動可能であり、又別室302内で真空室102での回転と同様に回転可能である。
別室302の一面(ゲート303の対向面)には、第1スパッタ源110が配置される。
好ましくは、別室302に開閉可能であり外部に連通可能である扉(図示略)が設けられ、別室302においてドラム104が外部から製造装置301内に入れられあるいは製造装置301内から外部へ取り出されて、別室302がドラム104のローディング室となるようにされる。この場合、ドラム104の出し入れ時にゲート303が閉められていれば、真空室102内が外気に晒されず、真空室102内の第2スパッタ源120等が保護される。又、邪魔板118を有する第1スパッタ源110がローディング室に設けられるため、邪魔板118等の出し入れ及び調整が行い易い。
尚、製造装置301において、第2スパッタ源120及び第3スパッタ源230のうちの少なくとも一方が省略されても良い。
又、第1スパッタ源110、第2スパッタ源120、第3スパッタ源230及びラジカル源130の少なくとも何れかの配置は、上述のものに限定されない。
製造装置301は、製造装置201と同様に動作する。
より詳しくは、ステップS2において、真空室102及び別室302が共に真空引きされる。尚、真空室102と別室302とで別々に真空引きされても良い。
又、ステップS5,S6において、第3スパッタ源230で基板2の半面に成膜するNb膜の形成前に、ゲート303が一旦開いてドラム104が別室302に移動され、Nb膜の形成後に、ゲート303が再び一旦開いてドラム104が次の成膜のために真空室102に移動される。尚、真空室102内での成膜時及び別室302での成膜時の少なくとも一方において、ゲート303が開けられていても良い。
更に別の動作例として、製造装置301でND部6が形成された(ステップS5)後、別の装置でAR部8が形成されても良い(ステップS6)。
[第1~第3形態のまとめ等]
このように、本発明の製造装置101~301は、基板2を保持した状態で回転するドラム104と、着脱可能な邪魔板118と、装着された邪魔板118の影響を受けて膜厚勾配を有する光吸収層10を、スパッタリングにより、基板2の成膜面の一部に形成する第1スパッタ源110と、低屈折率層12を、スパッタリングにより、成膜面における光吸収層10が配置された部分である減光部20Dと光吸収層10が配置されない部分である透明部20Tとにわたるように形成する第2スパッタ源120と、高屈折率層14を、スパッタリングにより、成膜面における減光部20Dと透明部20Tとにわたるように形成する第1スパッタ源110、第2スパッタ源120あるいは第3スパッタ源230(高屈折スパッタ源)と、を備えており、ドラム104は、基板2が第1スパッタ源110並びに第2スパッタ源120及び高屈折スパッタ源を繰り返し通過するように回転する。よって、透明部20T、及びグラデーション部20Gを含む減光部20Dにおいて、ND性能及び反射防止性能並びに美観に優れたNDフィルタ1を製造する製造装置101~301が提供される。
更に、ラジカル化したOガスであるラジカルOガスを照射可能なラジカル源130を備えており、ドラム104は、更に基板2がラジカル源130を繰り返し通過するように回転し、第1スパッタ源110は、Nbのスパッタリングにより、光吸収層10としてNbから成るNb層を形成するものであり、高屈折スパッタ源は、ラジカル源130から前記ラジカルOガスが導入された状態でのNbのスパッタリングにより、高屈折率層14としてNbから成るNb層を形成するものである。よって、光吸収層10及び高屈折率層14が同じNbを用いて効率良く作製されるNDフィルタ1の製造装置101~301が提供される。尚、高屈折スパッタ源は、Niに代えて、Ta,Ti,Zr,HfをラジカルOガスが導入された状態でスパッタリングすることにより、高屈折率層14として、Ta層,TiO層,ZrO層,HfO層を形成することも可能である。
更に、ラジカル化したOガスであるラジカルOガスを照射可能なラジカル源130を備えており、ドラム104は、更に基板2がラジカル源130を繰り返し通過するように回転し、第2スパッタ源120は、ラジカル源130からラジカルOガスが導入された状態でのSiのスパッタリングにより、低屈折率層12としてSiOから成るSiO層を形成するものである。よって、性能及びコストにおいて有利なSiO製の低屈折率層12が効率良く作製されるNDフィルタ1の製造装置101~301が提供される。
又、本発明のNDフィルタ1の製造方法は、マスクの影響を受ける第1スパッタ源110によって、基板2における成膜面の一部に対して光吸収層10が形成される光吸収層形成ステップ(ステップS5)と、第2スパッタ源120及び高屈折スパッタ源によって、成膜面における光吸収層10が配置された部分である減光部20Dと光吸収層10が配置されない部分である透明部20Tとにわたるように、低屈折率層12と高屈折率層14とが交互に配置されたAR部8が形成される反射防止部形成ステップ(ステップS6)と、を有している。よって、ND性能及び反射防止性能並びに美観に優れたNDフィルタ1を製造する方法が提供される。
又、第1スパッタ源110及び高屈折スパッタ源は、Nbをスパッタリングするものを含み、光吸収層10は、Nbから成るNb層を含み、高屈折率層14は、高屈折スパッタ源と、ラジカル化したOガスであるラジカルOガスを照射可能なラジカル源130との同時作動により形成される、Nbから成るNb層を含んでいる。よって、光吸収層10及び高屈折率層14が同じNbを用いて効率良く作製されるNDフィルタ1の製造方法が提供される。尚、高屈折スパッタ源は、Niに代えて、Ta,Ti,Zr,HfをラジカルOガスが導入された状態でスパッタリングすることにより、高屈折率層14として、Ta層,TiO層,ZrO層,HfO層を形成することも可能である。
次いで、本発明の好適な実施例、及び本発明に属さない比較例が説明される(実施例1~4,比較例1~3)。
尚、本発明は、以下の実施例に限定されない。又、本発明の捉え方により、下記の実施例が実質的には比較例となったり、下記の比較例が実質的には実施例となったりすることがある。
≪実施例1~4の構成等≫
実施例1のNDフィルタ1は、上述の製造装置201により、フラットで透明な白板ガラス製の基板2(コーニング社製B270)の片面に光学多層膜4が成膜されることで形成された。光学多層膜4は、次の[表1]に示されるように、基板2に最も近い1層目がSiO層(低屈折率層12)とされた状態でSiO層がNb層(光吸収層10)と交互に積層された全6層のND部6と、更にその上においてND部6に最も近い7層目がSiO層(低屈折率層12)とされた状態でSiO層がNb層(高屈折率層14)と交互に積層された全7層(7~13層目)のAR部8と、を有する。光学多層膜4は、グラデーション部20G及び一定減光部20Fでは全13層であり、透明部20Tでは、ND部6の全SiO層とAR部8の最も基板2に近い側のSiO層とをまとめると、全7層である。
尚、真空室102の内部は9×10-4Pa(パスカル)とされた。
又、ドラム104の回転数は100rpm(回毎分)とされた。
更に、基板2のクリーニングでは、ラジカル源130のラジカルガス導入口134から酸素(O)ガスが500ccm(毎分500ミリリットル)の流量で導入された状態で、ガン136に高周波電圧が投入電力3kW(キロワット)で印加されて、ラジカル酸素が生成され、移動している基板2に対して30秒間照射された。
製造装置201は、室温環境下に置かれ、真空室102、ドラム104及び基板2に対する加熱はなされず、ラジカル源130等の動作による発熱を加味しても、全工程中における基板2の最大温度は150℃であった。
Nb層の形成時、第1スパッタ源110のスパッタガス導入口116からArガスが120ccmで導入され、スパッタカソード112に6kWの投入電力による直流電圧が印加されることで、第1ターゲットT1表面のNbが、Arによるスパッタにより、基板2の表面上に堆積した。ここでは、ラジカル源130は、不動作とした。尚、ドラム104の回転は、一時的に変速されたり一旦停止されたりしても良い。
SiO層の形成時、第2スパッタ源120のスパッタガス導入口126からArガスが100ccmで導入され、スパッタカソード122に8kWの投入電力による直流電圧が印加されることで、第2ターゲットT2表面のSiが、Arによるスパッタにより、基板2の表面上に堆積した。同時に、ラジカル源130のラジカルガス導入口134からOガスが80ccm導入された状態で、ガン136に高周波電圧が投入電力3kWで印加されて、ラジカル酸素が生成され、Siの堆積した移動中の基板2に対して照射されて、Siの酸化がなされた。
Nb層は、SiO層と同様に形成された。
実施例2のNDフィルタ1は、次の[表2]に示されるように、AR部8の層数を除き実施例1と同様に形成された。実施例2のAR部8は、全9層(7~15層目)のSiO/Nb交互膜である。
実施例3のNDフィルタ1は、次の[表3]に示されるように、ND部6の層数及び光吸収層10の種類並びにAR部8の層数及び高屈折率層14の種類を除き、実施例1と同様に形成された。実施例3におけるND部6の一定減光部20F及びグラデーション部20Gは全8層のSiO/NiO交互膜であり、AR部8は全7層(9~15層目)のSiO/Ta交互膜である。NiO層及びTa層は、SiO層と同様に形成された。
実施例4のNDフィルタ1は、次の[表4]に示されるように、ND部6の層数及びAR部8の層数を除き実施例1と同様に形成された。実施例4におけるND部6の一定減光部20F及びグラデーション部20Gは、全8層のSiO/Nb交互膜であり、AR部8は、全21層(9~29層目)のSiO/Nb交互膜である。
Figure 0007378114000001
Figure 0007378114000002
Figure 0007378114000003
Figure 0007378114000004
≪比較例1~3の構成等≫
比較例1のNDフィルタは、上述の製造装置201により、上述の基板2の片面にND部6のみを有する光学多層膜4が成膜されることで形成された。比較例1のND部6は、次の[表5]に示されるように、白板ガラス製の基板2に最も近い1層目が基板2の半分にわたるNb層(光吸収層10)とされた状態で、Nb層が基板2の全体にわたるSiO層(低屈折率層12)と交互に積層されたものである。ND部6は、グラデーション部20G及び一定減光部20Fでは全6層であり、透明部20Tでは、SiO層をまとめると、全1層である。
比較例2のNDフィルタの光学多層膜は、比較例1と同様に成膜され、次の[表6]に示されるように、基板2に最も近い1層目が基板2の全体にわたるSiO層とされた状態で、SiO層が基板2の半分にわたるNb層(光吸収層10)と6層目まで交互に積層され、更に最外層の7層目にフッ化マグネシウム(MgF)の層が形成された全7層(透明部20Tは全2層)のものである。
比較例3のNDフィルタの光学多層膜は、MgF層の物理膜厚を除き、比較例2と同様である。
Figure 0007378114000005
Figure 0007378114000006
Figure 0007378114000007
≪透過率及び反射率等≫
図7,10,13,16,19,22,25は、順に実施例1~4,比較例1~3の透明部20Tにおける透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。
図8,11,14,17,20,23,26は、順に実施例1~4,比較例1~3のグラデーション部20Gの中央における透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。
図9,12,15,18,21,24,27は、順に実施例1~4,比較例1~3の一定減光部20Fにおける透過率並びに表面反射率及び界面反射率に係るグラフである。
ここで、表面反射は、光学多層膜の最外層の外面における反射であり、界面反射は、基板2と光学多層膜の1層目との界面における反射である。
又、これらの図において、波長域は、可視域(400nm以上700nm以下)、及びその隣接域(350nm以上400nm以下,700nm以上800nm以下)とされている。
これらの図によれば、実施例1~4,比較例1~3では、可視域で、透明部20T,グラデーション部20G,一定減光部20Fの透過率がそれぞれ所定の値付近で一定である。
又、実施例1,3,4における表面反射の視感度反射率は、1.5%以下となっており、十分に視感度反射率が抑制されている。
更に、実施例1~4における界面反射率の可視域での平均は、各部において何れも4%以下と、ガラス製の基板2における界面反射率の程度以下に抑制される。
加えて、実施例3では、各部の平均反射率(表面反射及び界面反射)が何れも1.5%以下に抑制され、実施例4では、各部の平均反射率(表面反射及び界面反射)が何れも0.5%以下に抑制される。
又、実施例2の構成に対してND部6の低屈折率層12(SiO層)の膜厚が様々に変わった別の実施例2-1~2-5が合わせて作製され、可視域での最高反射率及び平均反射率が測定された。
次の[表8]に、実施例2-1~2-5における、当該SiO層の光学膜厚(基準波長λを例えばλ=500とした場合の物理膜厚×λ/4)、可視域での表面反射に係る最高反射率及び平均反射率が示される。又、当該最高反射率が10%以下であり且つ当該平均反射率が5.5%以下である条件を満たした(○)か否か(×)も、[表8]に示される。
Figure 0007378114000008
[表8]によれば、ND部6のSiO層の光学膜厚が0.4以上1.05以下であると、上述の条件を満たして反射防止性能が良好となる。
≪色調等≫
次に示される[表9]~[表15]では、順に実施例1~4,比較例1~3における透明部20T,グラデーション部20G,一定減光部20Fの各色調等の値が示される。
ここで、「x」,「y」は、xy表色系でのものである。xy表色系でのxy座標(x,y)は、CIE(国際照明委員会)色度図で表される。色の(x,y)は、D65光源のもとでの10°視野における値であり、以下同様である。
又、「色」は、CIE色度図上でのものであり、対応する可視光の波長が有る場合にはその波長が続けて示される。
更に、「視感度」は、視感度反射率(視感度透過率)であり、「平均」は、可視域(400nm以上700nm以下)における平均値であり、「最高」は、可視域(400nm以上700nm以下)内での最高値である。
又、実施例1~4,比較例1~3の各表面反射についてまとめた表が、以下[表16]として示される。
Figure 0007378114000009
Figure 0007378114000010
Figure 0007378114000011
Figure 0007378114000012
Figure 0007378114000013
Figure 0007378114000014
Figure 0007378114000015
Figure 0007378114000016
これらの表によれば、比較例1では透明部20T,グラデーション部20G,一定減光部20Fの色が揃うものの、NDフィルタ(特にカメラ用)としては美観上好まれない暖色(薄いオレンジ)となる。又、比較例2,3では、透明部20Tにおいて暖色(薄い黄色)となり、グラデーション部20G,一定減光部20Fの色(青,紫)と合わない。更に、比較例1~3では、表面反射色と界面反射色とが合致し難い。
これに対し、実施例1~4では、各部が寒色に揃い、特に実施例2,4では同一色(うす紫)に揃う。更に、実施例1~4では、表面反射色と界面反射色とが合致し易くなっている。又、実施例1~4では、透明部20T、並びに減光部20D(グラデーション部20G及び一定減光部20F)の全領域において、寒色系の色調となっている。
≪まとめ等≫
以上より、実施例1~4のNDフィルタは、少なくとも透明部20T及びグラデーション部20Gにおいて、ND性能及び反射防止性能並びに美観に優れたものとなる。
1・・NDフィルタ、2・・基板、4・・光学多層膜、6・・ND部、8・・AR部(反射防止部)、10・・光吸収層、12・・低屈折率層、14・・高屈折率層、20D・・減光部、20T・・透明部、101,201,301・・(NDフィルタ1の)製造装置、104・・ドラム、110・・第1スパッタ源(マスクスパッタ源)、118・・邪魔板(マスク)、120・・第2スパッタ源(低屈折スパッタ源)、130・・ラジカル源、230・・第3スパッタ源。

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板の1以上の面である成膜面に配置される光学多層膜と、
    を備えており、
    前記光学多層膜は、
    光吸収層を、前記成膜面の一部において1層以上含むND部と、
    SiO製の反射防止部低屈折率層、及び高屈折率層が交互に配置される反射防止部と、
    を有しており、
    前記反射防止部は、前記成膜面における前記光吸収層が配置された部分である減光部と、同じ前記成膜面における前記光吸収層が配置されない部分である透明部とにわたっており、
    前記減光部は、前記光吸収層が膜厚勾配を有する部分であるグラデーション部を、前記透明部に隣接する状態で有しており、
    前記グラデーション部における前記光吸収層の膜厚は、前記透明部との境界部を0の部分として前記透明部から離れるに従い単調増加し、
    前記ND部は、SiO製のND部低屈折率層を複数含んでおり、
    複数の前記ND部低屈折率層は、前記減光部及び前記透明部に、一定の膜厚で行き渡っている
    ことを特徴とするNDフィルタ。
  2. 前記反射防止部は、全5層以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタ。
  3. 前記透明部及び前記減光部は、寒色系の色調となっている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のNDフィルタ。
  4. 前記ND部低屈折率層の光学膜厚は、λ=500nmとして、0.40×λ/4以上1.05×λ/4以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のNDフィルタ。
  5. 400nm以上700nm以下の波長域における最高反射率が10%以下であり、
    前記波長域における平均反射率が5.5%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のNDフィルタ。
  6. 表面反射の視感度反射率が1.5%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載のNDフィルタ。
  7. 前記光吸収層は、Nbから成るNb層、及びNiと酸素との混合物から成るNiO層(xは0を超えて1未満)のうちの少なくとも一方であり、
    前記高屈折率層は、Nbから成るNb層、Taから成るTa層、Siから成るSi層、TiOから成るTiO層、ZrOから成るZrO層、及びHfOから成るHfO層の少なくとも何れかである
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載のNDフィルタ。
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