JP5872230B2 - 油中水型含水チョコレート - Google Patents
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Description
従来より水中油型のものは柔らかくて口溶けがよく、高級洋菓子素材としてもよく使用されている。その特徴としては連続層が水性成分であることから、通常のチョコレートとは異なり、冷却しても柔らかさやウエット感を保ち、完全に固化することはない。
一方、油中水型のものは冷却すると固化するため、単体又はセンター入り菓子のカバー材料としても利用できるなど、用途が広い。
しかしながら、油中水型の乳化状態は非常に不安定であるため、生産中の温度変化や攪拌等の衝撃で分離しやすい。
特許文献1では、油中水型乳化が壊れるのを防ぐために主要結合脂肪酸がエルカ酸であるHLBが2のショ糖不飽和脂肪酸エステルを含水チョコレート生地100重量部に対し1重量部添加して乳化を安定させる技術が開示されている。
(1)固形分粒子メディアン径が6μm以下であるチョコレート生地と、水性成分とを混合し、油中水型に乳化されていることを特徴とする含水チョコレート。
(2)使用するチョコレート生地がホワイトチョコレートであることを特徴とする、(1)に記載の含水チョコレート。
(3)使用するチョコレート生地が、湿式粉砕装置にて粉砕処理して得られることを特徴とする、(1)または(2)の何れか一つに記載の含水チョコレート。
(4)湿式粉砕装置がビーズミルであることを特徴とする、(3)に記載の含水チョコレート。
(5)固形分粒子メディアン径が6μm以下であるチョコレート生地と、水性成分とを混合し、油中水型に乳化することを特徴とする含水チョコレートの製造方法。
(6)使用するチョコレート生地がホワイトチョコレートであることを特徴とする、(5)に記載の含水チョコレートの製造方法。
(7)使用するチョコレート生地が、湿式粉砕装置にて粉砕処理して得られることを特徴とする、(5)または(6)の何れか一つに記載の含水チョコレートの製造方法。
(8)湿式粉砕装置がビーズミルであることを特徴とする、(7)に記載の含水チョコレートの製造方法。
本発明において、固形分粒子メディアン径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200 (株式会社 島津製作所)で測定された粒子径分布における積算値が50%となる粒子径のことをさす。
また、本発明において、粘度は、B型粘度計を用い、40℃で、ローターNo.6、測定回転数4rpmにて測定した値である。
ホワイトチョコレートとは、チョコレートのうち、カカオマスを含まないものをさすが、本発明の効果を奏する限りにおいて、少量のカカオマスを添加しても構わない。
本発明において、チョコレート生地の調製は、常法により行うが、例えば以下の方法により行うことができる。
ここで、乳製品とは、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、チーズパウダーなどが挙げられる。ここで、糖類としては、ショ糖(砂糖、粉糖)ぶどう糖、果糖、麦芽糖、転化糖、乳糖などの単糖類及び二糖類などが挙げられる。
スクラロース、サッカリンなどの高甘味度甘味料が添加されていてもよい。
また、ココアバター以外にココアバター代用油脂またはココアバターとココアバター代用油脂の混合物を用いることもある。ここにおいて、ココアバター代用油脂としては、動物又は植物由来のテンパリング脂あるいはノンテンパリング脂が挙げられる。
乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。乳化剤以外に香料や着色料が添加されてもよい。
本発明ではこの粉砕処理を1次粉砕処理といい、その結果得られたチョコレート生地を1次処理チョコレート生地という。
1次処理チョコレート生地の粒子のメディアン径は、例えば8〜15μmである。
その後、1次処理チョコレート生地を湿式粉砕装置で2次粉砕処理することにより、粒子のメディアン径が6μm以下の生地を得る。
本発明では2次粉砕処理で得られたチョコレート生地を2次処理チョコレート生地という。
湿式粉砕装置としては、例えば、ストーンミル、レファイナー、ビーズミル等が挙げられるが、チョコレート生地を粉砕し、固形分粒子のメディアン径が6μm以下にできるものであれば良く、特にビーズミルが好ましい。
ビーズミルにおいては、液状の1次処理チョコレート生地は、粉砕室と呼ばれる容器の中に、ポンプで送り込まれる。
粉砕室にはビーズが例えば85%程度充填してある。また、ビーズの粒径は、粉砕されるものにより決定される。
本発明に用いるビーズの粒径は、例えば0.1mm〜3.0mmが挙げられるが、好ましくは、0.3mm〜2.0mmがよい。
粉砕室中央の回転軸を回転させることにより、充填されているビーズが運動する。
粉砕室に送り込まれた1次処理チョコレート生地は、ビーズと衝突することによって微細粒子化され、かつ分散される。
微細粒子化された粉砕処理物は、一度粉砕室を通過した後、連続して、粉砕室を複数回通過してもよい。回転軸の回転速度は、例えば1,000〜4,000rpmが挙げれるが、1,000〜2,800rpmが好ましい。
ビーズの材質としては、ガラス、石英、チタニア、窒化ケイ素、アルミナ、セラミックス(ジルコニア・ジルコニア強化型アルミナ)、スチール、ステレンスなどが挙げられる。
ビーズミルとしては、例えば、ターボ工業株式会社製のOBミル(商品名)や、株式会社井上製作所のマイティーミル(商品名)などが用いられる。ビーズミル処理して得られる粉砕処理物の特徴としては、粒度分布の幅が狭いことが挙げられる。
また、1次粉砕処理または2次粉砕処理されたものは、コンチェにより、コンチングされてもよい。
本発明で用いられる水性成分には、生クリーム、牛乳、発酵乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料、果汁、酒等の高水分飲料や、糖、タンパク、アミノ酸等を含む高水分液が挙げられる。
本発明では、2次処理チョコレート生地に水性成分を攪拌混合、乳化することで油中水型含水チョコレート生地を得る。
乳化方法は特に限定しないが、チョコレート生地と水性成分を合わせた後速やかに全体が均一になるよう攪拌混合することが好ましい。
乳化状態が油中水型であることを確認するには、乳化物の電気抵抗をテスターを用いて測定し判別する方法が容易である。
乳化物の電気抵抗が無限大を示す、つまり通電しなければ油中水型、一定の電気抵抗値を示す、つまり通電すれば水中油型である。
2次処理チョコレート生地は、必要に応じ、予めテンパリングしておいても良い。
テンパリングは常法通りのテンパリングでも良いし、高融点油脂であるBOB(1,3−ジベヘノイル−2−オレオイル−sn−グリセロール)やSOS(1,3―ジステアリル−2−オレオイル−sn−グリセロール)のβ型安定結晶ようなシード剤を添加してもよい。
本発明では、油中水型含水チョコレート生地を成形し、冷却固化させてもよい。
成形方法は通常のチョコレートの成形方法と同じで構わない。
例えばモールド型に注入して冷却固化後、剥離しても構わないし、平板上に直接所定の形状にデポして冷却固化しても構わない。
(製造例1)
得られたチョコレート生地の粘度は5,000cps、固形分粒子のメディアン径は6.9μmであった。
得られたチョコレート生地をビーズミル(OBミル;商品名、ターボ工業株式会社製、ビーズの粒径;0.5mm)にポンプで送り、品温が62.2〜63.2℃で、回転速度が、1,000rpmの条件下で、粉砕室の中を通過させ、2次処理チョコレート生地を得た。得られた2次処理チョコレート生地の粘度は3,750cps、固形分粒子のメディアン径は5.6μmであった。
得られた含水チョコレート生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、通電せず、乳化が油中水型であることが分かった。
得られた含水チョコレート生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、通電せず、乳化が油中水型であることが分かった。
得られた含水チョコレート生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、通電せず、乳化が油中水型であることが分かった。
(比較製造例1)
得られたチョコレート生地の粘度は5,000cps、固形分粒子のメディアン径は6.9μmであった。
(比較例1)
得られた生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、250kΩを示し、油中水型の乳化が不十分であることが分かった。
更にカッターミキサーで攪拌し、攪拌再開後3分、5分、7分の時点での生地の電気抵抗を確認したが、いずれも抵抗値を示し、通電したため、水中油型の乳化状態であり、油中水型にはならなかった。
(製造例2)
得られたフレークを常法通りコンチングし、液化したペースト状の生地に、ココアバター30重量部、乳化剤0.3重量部、香料0.3重量部を充分混合し、油分50%の1次処理ホワイトチョコレート生地を得た。
生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ8.5μm及び30,000cpsであった。
得られた1次処理ホワイトチョコレート生地をビーズミル(OBミル;商品名、ターボ工業株式会社製、ビーズの粒径;0.5mm)にポンプで送り、品温が62.2〜63.2℃で、回転速度が、1,000rpmの条件下で、粉砕室の中を通過させ、2次処理ホワイトチョコレート生地を得た。生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ3.2μm及び50,000cpsであった。
得られた含水ホワイトチョコレート生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、通電せず、乳化が油中水型であることが分かった。
得られた含水ホワイトチョコレート生地は通電しないことより乳化が油中水型であった。
生地表面は滑らかで艶があり、良好な乳化状態であった。
得られた含水ホワイトチョコレート生地は通電しないことより乳化が油中水型であった。
生地表面は滑らかで艶があり、良好な乳化状態であった。
(比較製造例2)
得られたフレークを常法通りコンチングし、液化したペースト状の生地に、ココアバター30重量部、乳化剤0.3重量部、香料0.3重量部を充分混合し、油分50%のホワイトチョコレート生地を得た。
生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ8.5μm及び30,000cpsであった。
(比較例2)
得られた含水ホワイトチョコレート生地の通電性をテスターで確認したところ、通電したので、水中油型の乳化状態であり、油中水型にはならなかった。さらに3分間攪拌混合したが、油中水型にはならなかった。
(比較例3)
テスターで確認したところ得られた含水ホワイトチョコレートは通電しなかったことから油中水型に乳化していた。
しかし生地表面には艶がなくやや劣った乳化状態であった。
(比較例4)
テスターで確認したところ得られた含水ホワイトチョコレートは通電しなかったことから油中水型に乳化していた。
しかし生地表面には艶がなくやや劣った乳化状態であった。
(試験例1)
実施例4,5,6の油中水型含水ホワイトチョコレート生地は外観に変化はなく、良好な乳化状態を保っていた。
一方、比較例3、4では乳化が壊れて表面に分離した油脂が観察され、品質上好ましくない状態となっていた。
(試験例2)
実施例4,5,6の含水ホワイトチョコレートは表面のベタつきもなく固化していた。
該含水ホワイトチョコレートを食したところ、舌触りが滑らかで良好な食感であった。
比較例3、4の含水ホワイトチョコレートは表面のベタつきもなく固化していた。
該含水ホワイトチョコレートを食したところ、ザラザラした舌触りであり、劣った食感であった。
比較例2の含水ホワイトチョコレートは完全に固化しておらず、表面はべとついていた。
さらに10℃30分冷却したが、固化状態、表面のべとつきは変わらなかった。
得られた含水チョコレート生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、通電せず、乳化が油中水型であることが分かった。
得られた含水チョコレート生地を縦30mm、横20mm深さ7mmのモールド型に注入、13℃で30分冷却固化し、剥離した。
得られた含水チョコレートの表面には通常のチョコレートの様な光沢があり良好な外観であった。
(比較例5)
得られた含水チョコレート生地の電気抵抗をテスター(DIGITAL MULTIMETER PC10、SANWA製)で測定したところ、通電したため、乳化が水中油型であることが分かった。
得られた含水チョコレート生地を縦30mm、横20mm深さ7mmのモールド型に注入、13℃で30分冷却固化した。
実施例7の含水チョコレートに比べモールドからの剥離が困難であった。
得られた含水チョコレートの表面には光沢がなくざらついており、劣った外観であった。
Claims (4)
- 固形分粒子メディアン径が6μm以下であるチョコレート生地と、水性成分とを混合し、
油中水型に乳化することを特徴とする含水チョコレートの製造方法。 - 使用するチョコレート生地がホワイトチョコレートであることを特徴とする、請求項1に
記載の含水チョコレートの製造方法。 - 使用するチョコレート生地が、湿式粉砕装置にて粉砕処理して得られることを特徴とする
、請求項1または請求項2の何れか一つに記載の含水チョコレートの製造方法。 - 湿式粉砕装置がビーズミルであることを特徴とする、請求項3に記載の含水チョコレート
の製造方法。
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