JP5869496B2 - 電磁波ノイズ抑制体、その使用方法及び電子機器 - Google Patents

電磁波ノイズ抑制体、その使用方法及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、例えば0.1〜20GHzの高周波帯域における電子機器の半導体素子又は高周波電子部品で問題となる近傍界電磁波ノイズを抑制する目的で利用可能な電磁波ノイズ抑制体、その使用方法及びそれを用いた電子機器に関する。
近年、パーソナルコンピューター(PC)、携帯電話器、携帯情報端末(PDA)、情報家電、高速道路情報システム等、0.1〜20GHzの高いクロック周波数を利用した電子機器、情報通信機器が普及している。特に、PCではCPUでの動作周波数は1GHzを超え、通信機器においては、例えば携帯電話器では0.9GHz、1.5GHz、1.9GHzが用いられ、無線LANでは2.45GHz、5.0GHz、19.0GHzが用いられるようになっている。このような背景から、今後ますますGHz帯域での高速な半導体集積素子の利用は増加することが予想される。一方、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等のモバイル電子機器や、液晶テレビ、ブルーレイディスクレコーダー、ゲーム機等の情報家電では、小型化、軽量化、薄型化、高機能化の要求に伴い、これら電子機器内部に搭載されているCPU、LSI、周辺半導体等の電子部品の高密度化、高集積化、およびプリント配線基板への電子部品の高密度実装化が進んでいる。その結果、過密に集積、実装された電子部品や配線はお互いに近接する状況となり、前述の高周波化と融合して電磁波の不要輻射が発生しやすい状態となる。すなわち、このことが機器の誤作動等の問題を引き起こし、電子機器の不具合の発生および小型化や高機能化を阻害する重大な要因となっている。
このような問題に対して、最近では、不要輻射などの電磁波障害(EMI)が指摘されており、その総合的な対策として電磁両立性(EMC)が重視され、この分野での研究が盛んに行われている。例えば、駆動周波数が低周波〜数MHzまでの電子機器では、筐体などを軟磁性材料で覆う方法がなされており、1〜2GHz程度の電子機器では、シート状の複合磁性体を電子部品や電磁波ノイズ発生源に直接貼り付ける対策が施されている。さらに、前述の電子機器の小型化、高機能化等の要求に対して、これらに用いられる電磁波シールド材、電磁波吸収体、電磁波ノイズ抑制体においても、電磁波障害を抑制する効果が高いことに加え、薄くて軽い材料が望まれている。また、電磁波ノイズ抑制効果と軽薄化を兼ね備えた材料は、半導体素子の集積回路、半導体パッケージのサブストレート、多層回路基板等への実装作業の簡便さという点でも有効であり、さらに、フレキシブルプリント基板等のフレキシブル性が必要な部分には、薄くて軽い特徴に加え、屈曲性に富んだ材料が待望されている。
前述の課題に対応した電磁波ノイズ抑制体に関して、例えば特許文献1では、支持体と、該支持体上に形成された金属材料を含むノイズ抑制層(電磁波抑制層)とを有し、ノイズ抑制層の表面抵抗の実測値から換算した体積抵抗率R1(Ω・cm)と金属材料の体積抵抗率R0(Ω・cm)とが、0.5≦logR1−logR0≦3を満足するノイズ抑制体が提案されている。より具体的には、特許文献1のノイズ抑制体は、スパッタリング法によって形成されたニッケルからなり、厚みが6〜97nmであるノイズ抑制層を備えている。また、特許文献2では、剪断弾性率が1×10〜1×1010Paである有機高分子からなる基体上に、鉄や鉄合金などの強磁性体を物理的に蒸着したものを複数枚積層したノイズ抑制体が提案されている。さらに、特許文献3では、導電性薄膜の表面抵抗Rs(Ω/□)を空間の特性インピーダンス(〜377Ω)と整合が起きる、50Ω/□以上に制御することにより反射を実務レベルの−10dB以下に低減し、表面抵抗(Rs)を、空間の特性インピーダンスとほぼ同等の値に制御すると、両者が完全に整合して、不要輻射が高効率で薄膜内に吸収されたのち、薄膜の抵抗損失および磁気損失により高効率で損失され、非常に大きな近傍界電磁波ノイズ抑制効果が得られることを提案している。
特許文献1〜3記載の電磁波ノイズ抑制体は、どれも技術的に確立されたスパッタリング法によって形成しており、既存設備を利用して容易に製造できるというメリットがある。
特開2006−295101号公報 特開2005−45193号公報 特開2006−279912号公報
しかしながら、特許文献1では、使用するニッケルの抵抗率が低いため、ニッケルのクラスターが、非常に近接した状態で、かつ個々が独立して存在する構造を形成しなければならず、使用するノイズ抑制層の表面抵抗の実測値から換算した体積抵抗率R1(Ω・cm)と金属材料の体積抵抗率R0(Ω・cm)を、0.5≦logR1−logR0≦3の範囲に制御する必要がある。すなわち、前記範囲に制御したノイズ抑制層は、均質な金属薄膜ではなく、ニッケルのクラスターが互いに接触して集団化し、ニッケルクラスターのサイズが大きくなっているものの、集団化したニッケルクラスターの間には、ニッケル材料の存在しない欠陥が多く残存している状態となっている。さらに、特許文献1では、信号伝送層、電源層およびグランド層のいずれかを構成しうる導体箔が必要である。
また、特許文献2では、強磁性体超微粒子を、基体である有機高分子の表層から数ミクロンの範囲に分散させなければならないため、有機高分子の剪断弾性率が1×10〜1×1010Paのものを使用する必要がある。これは、強磁性体超微粒子が有機高分子の表面にのみ蒸着されることで表面抵抗率の低い金属の連続膜になることを防ぎ、電磁波ノイズを抑制する効果を高めるためである。なお、従来、磁性材料を用いた電磁波ノイズ抑制体は、均質な磁性体膜を形成しないような構造となっており、これは、金属の連続膜を形成することによって、渦電流が発生して、電磁波吸収効果がなくなり、むしろ反射機能がでてくるためである。
また、特許文献3では、金属の薄膜材料の表面抵抗Rs(ρ/t)を空間の特性インピーダンスZ(377Ω)と整合するため、10Ω/□以上、1000Ω/□以下に制御する必要があり、そのため、金属材料を、ナノグラニュラ構造又はナノヘテロ構造を形成する必要がある。これも、特許文献1および2と同様、金属材料が連続した薄膜にならないことを特徴としている。
従って、電磁波ノイズを抑制する従来技術の材料は、連続した金属の薄膜ではなく、導電部分と非導電部分が共存するナノグラニュラ構造等の状態を形成し、抵抗率を所定の範囲に制御している。しかし、この構造の場合、導電部分では電磁波ノイズを抑制できるものの、非導電部分ではノイズを抑制する効果がないため、電磁波ノイズ抑制効果を向上させるためには、ノイズ抑制材料の使用面積を増やす必要があった。
本発明は、従来技術では解決できなかった前記課題に対し案出されたものであり、電子機器や電子部品などに、組み込み応用が容易で、さらに、高周波帯域における近傍界での単位面積あたりの電磁波ノイズ抑制効果が高く、長期間安定した電磁波ノイズ抑制効果を維持できる電磁波ノイズ抑制体を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、薄く、軽量で、可撓性があり、グランド層などの導体層との接続を必要としない電磁波ノイズ抑制体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意努力して検討を進めた結果、所望の構成を有する金属薄膜を備える電磁波ノイズ抑制体は、上記要求を満たすものであることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の電磁波ノイズ抑制体は、合成樹脂製の支持層と、該支持層上に形成された金属材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を備えた電磁波ノイズ抑制体であって、前記電磁波ノイズ抑制層が連続した金属薄膜であり、該金属薄膜の表面抵抗率が10〜90Ω/□の範囲内であり、かつ前記金属薄膜における表面抵抗の実測値及び該金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と、前記金属材料の比抵抗値R0(Ω・cm)とが、1≦R1/R0<√10(√10は10の平方根を示す。)を満足することを特徴とする。
本発明の電磁波ノイズ抑制体は、前記金属材料が、ニッケル合金からなるものであってもよい。
本発明の電磁波ノイズ抑制体は、前記金属材料が、ニッケル−クロム合金であることが好ましく、この場合、前記電磁波ノイズ抑制層の平均厚さが35〜300nmの範囲内であることが好ましく、さらに、前記電磁波ノイズ抑制層が、金属材料を物理的に蒸着して形成された金属薄膜であってもよい。
また、本発明の電磁波ノイズ抑制体は、前記金属材料が、ニッケル−リン合金又はニッケルーホウ素合金であることも好ましく、この場合、前記電磁波ノイズ抑制層の平均厚さが60〜300nmの範囲内であることがより好ましく、さらに、前記電磁波ノイズ抑制層が、金属材料の前駆体である金属塩又は金属イオンを還元して形成された金属薄膜であってもよい。
また、本発明の電磁波ノイズ抑制体は、前記支持層の厚みが、3μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の電磁波ノイズ抑制体は、前記支持層を構成する合成樹脂が、ポリイミド樹脂であることが好ましい。
また、本発明の電磁波ノイズ抑制体は、上記いずれかに記載の電磁波ノイズ抑制層の表面に接着剤層又は接着フィルムが積層してなるものであることが好ましい。
本発明の電磁波ノイズ抑制体の使用方法は、上記いずれかに記載の電磁波ノイズ抑制体を、0.1GHz以上20GHz以下の周波数領域で使用することを特徴とする。
本発明の電磁波ノイズ抑制体の使用方法は、上記いずれかに記載の電磁波ノイズ抑制体を、回路基板に絶縁性を維持した状態で配置することを特徴とする。
本発明の電磁波ノイズ抑制体の使用方法は、上記いずれかに記載の電磁波ノイズ抑制体を、回路基板の近傍に配置することを特徴とする。
本発明の電子機器は、電子部品と、該電子部品から発生するノイズを抑制する上記いずれかに記載の電磁波ノイズ抑制体とを備えている。
本発明の電磁波ノイズ抑制体は、連続した金属薄膜であり、該金属薄膜の表面抵抗率が10〜90Ω/□の範囲内であり、かつ金属薄膜における比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料の比抵抗値R0(Ω・cm)とが、1≦R1/R0<√10(√10は10の平方根を示す。)を満足する電磁波ノイズ抑制層を備えている。そのため、0.1GHz以上20GHz以下の周波数領域で単位面積あたりの電磁波ノイズ抑制効果が高く、かつ薄く、軽量であり、可撓性・屈曲性に優れる。さらに、本発明によれば、電磁波を効率よく熱に変換して吸収できるため、電磁波ノイズ抑制層をグランド回路に接続させる必要がない電磁波ノイズ抑制体を提供することができる。
電磁波ノイズ抑制体の構成例を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る電磁波ノイズ抑制体における電磁波ノイズ抑制層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像である。 本発明の一実施の形態に係る電磁波ノイズ抑制体における電磁波ノイズ抑制層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した画像である。 接着剤層(又は接着フィルム)を形成した電磁波ノイズ抑制体の構成例を示す断面図である。 電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果を測定する方法を示す概略図である。 実施例3の電磁波ノイズ抑制体のS11(反射減衰量)を示すグラフである。 実施例3の電磁波ノイズ抑制体のS21(透過減衰量)を示すグラフである。 実施例3の電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(Ploss)を示すグラフである。 実施例3の電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を示すグラフである。 比較例1の電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を示すグラフである。 参考例1及び参考例2の電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を示すグラフである。 参考例3〜7の電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
[電磁波ノイズ抑制体]
本実施の形態の電磁波ノイズ抑制体100は、例えば図1に示すように合成樹脂製の支持層110と、この支持層110に積層された電磁波ノイズ抑制層120と、を備えている。この電磁波ノイズ抑制体100は、0.1GHz〜20GHzの準マイクロ波のノイズ抑制能力に優れており、動作駆動周波数が主にGHz帯域の電子部品に好適に使用できるが、これに限定されるものではない。
[電磁波ノイズ抑制層]
電磁波ノイズ抑制層120は、連続した金属薄膜である。ここで、連続した膜とは、金属薄膜における表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料の比抵抗値R0(Ω・cm)との関係から確認することができる。すなわち、比抵抗値R1と比抵抗値R0とが、1≦R1/R0<√10(√10は10の平方根を示す。)を満足する場合に、金属薄膜が連続した状態になり、優れた電磁波ノイズ抑制効果が発揮される。ここで、比抵抗値R1は、後述する実施例の「金属薄膜の表面抵抗の測定」及び「金属薄膜の厚みの測定」に準じて算出することができ、比抵抗値R0は、金属材料(バルク材)の固有値(例えば、文献の値)から確認することができる。また、R1/R0が1の場合は、形成した電磁波ノイズ抑制層がバルク材の状態と等しくなるので、均質かつ完全に連続した膜(皮膜)の状態であると見做すことができる。また、R1/R0が√10よりも小さい場合は、特許文献1に記載がある式「logR1−logR0」の値が、下限値の0.5より小さくなる。この文献によると、式「logR1−logR0」の値が0.5以上3以下の範囲内にあるときに、電磁波ノイズ抑制層が金属薄膜として存在するものではなく、金属材料の金属クラスターが、非常に近接した状態で、かつ個々が独立して存在する構造を形成できると記載されており、この範囲より小さい値、すなわち、R1/R0<√10の場合は、電磁波ノイズ抑制層が連続した金属薄膜であると考えることができる。このようなことにより、電磁波ノイズを抑制する効果がない非導電部分を少なくすることにより、後述するマイクロストリップライン伝送路を用いたノイズ減衰効果測定において、クラスター状構造で発現するノイズ抑制効果より大きな抑制効果を発揮することができると考えられる。
図2は、本発明の一実施の形態に係る電磁波ノイズ抑制体100におけるニッケル−クロム合金(重量換算で、ニッケル80:クロム20)のスパッタリング法により形成した電磁波ノイズ抑制層120の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像であり、図3は、本発明の一実施の形態に係る電磁波ノイズ抑制体100の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した画像である。この電磁波ノイズ抑制体100における電磁波ノイズ抑制層120は、先行技術文献で開示されている金属クラスター状、ナノグラニュラ構造、又はヘテロ構造などの欠陥がある金属薄膜(均質でない又は連続でない金属薄膜)ではなく、支持層110上に形成された電磁波ノイズ抑制層120が、連続した金属薄膜であることが確認される。このことからも、電磁波ノイズ抑制層120が、1≦R1/R0<√10の範囲内で形成され、かつ連続した金属薄膜であることが確認できる。
電磁波ノイズ抑制層120は連続した金属薄膜であるが、該金属薄膜の表面抵抗率が、10〜90Ω/□の範囲内にあるので、反射機能を抑制し、透過機能も抑制され、すなわち、入射してきた電磁波は、電磁波ノイズ抑制層120の表面で反射することなく、しかも電磁波ノイズ抑制層120の背面に抜けることが抑制される。また、反射機能が抑制された連続した金属薄膜であることにより、電磁波が金属薄膜内部に伝播し導電電流が流れ、金属薄膜内部に取り込まれた電磁波エネルギーは効率よく熱エネルギーに変換されるものと考えられる。このようなことから、本発明に係る電磁波ノイズ抑制体100は、特に単位面積当りの電磁波ノイズ抑制効果に優れたものとなる。また、電磁波ノイズ抑制層120が連続した金属薄膜であるので、例えば加熱条件下においても、金属薄膜の状態が変化しにくく、金属薄膜の表面抵抗率が変化しにくいので、安定した電磁波ノイズ抑制効果が得られる。さらに、電磁波ノイズ抑制層120は、電磁波エネルギーから熱エネルギーへの変換効率が高いため、グランド回路に接続する必要がなく、回路基板等の電子部品への装着を容易に行うことができる。
電磁波ノイズ抑制層120に含まれる金属材料は、電磁波ノイズ抑制層120の耐酸化性及び耐熱性を考慮し、ニッケルを主成分とするニッケル合金であることが好ましい。また、電磁波ノイズ抑制層120を加熱処理した後においても電磁波ノイズ抑制効果低下の影響を殆ど受けないニッケル合金として、より好ましくはニッケル−クロム合金、ニッケル−リン合金又はニッケル−ホウ素合金がよく、更に好ましくはニッケル−クロム合金がよい。これらのニッケル合金の比抵抗値R0は、純ニッケルに比べて高いので、金属薄膜が連続であっても、金属薄膜の表面抵抗率を10〜90Ω/□の範囲内に制御しやすいので好適である。特に、ニッケル−クロム合金である場合は、金属薄膜が高温加熱処理後においても脆化しにくく、しかも好適な発熱素子として機能し、効率よく電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換できるものと考えられる。
電磁波ノイズ抑制層120の表面に接着剤層(又は接着フィルム)を積層させた本発明の一実施の形態に係る電磁波ノイズ抑制体(図4参照、後述)において、ニッケル−クロム合金は、電磁波ノイズ抑制層120の表面に多数のCr−OH結合を形成し、これらが接着剤層(又は接着フィルム)中の接着性成分の官能基と化学結合するため、接着剤層(又は接着フィルム)と優れた接着性を示す。また、ニッケル−リン合金又はニッケル−ホウ素合金は、電磁波ノイズ抑制層120の表面に緻密なニッケルの酸化皮膜を形成し、これらが接着剤層(又は接着フィルム)中の接着性成分の官能基と結合するため、接着剤層(又は接着フィルム)と優れた接着性を示す。
金属材料がニッケル−クロム合金である場合、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTは、35〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは40〜150nmの範囲内である。この場合は、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTを35nm以上にすることにより、電磁波の透過を抑制し、充分な電磁波ノイズ抑制効果を発揮することができる。一方、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTが300nmを超えると、表面抵抗率が10Ω/□よりも小さくなり、その結果、電磁波ノイズ抑制層120の表面で電磁波の反射機能が強まることで電磁波ノイズ抑制効果が小さくなり、実用的ではなくなってしまう。ここで、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTとは、例えば図3に示すように、電磁波ノイズ抑制層120の膜厚方向断面のTEM画像をもとにして、5箇所の電磁波ノイズ抑制層120の厚さをTEM画像上で測定し、平均した厚さである。
金属材料がニッケル−リン合金又はニッケル−ホウ素合金である場合、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTは、60〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは65〜250nmの範囲内であることがよい。この場合は、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTを60nm以上にすることにより、電磁波の透過を抑制し、充分な電磁波ノイズ抑制効果を発揮することができる。一方、電磁波ノイズ抑制層120の平均厚さTが300nmを超えると、表面抵抗率が10Ω/□よりも小さくなり、その結果、電磁波ノイズ抑制層120の表面で電磁波の反射機能が強まることで電磁波ノイズ抑制効果が小さくなり、実用的ではなくなってしまう。
電磁波ノイズ抑制層120は、連続した金属薄膜であれば、電磁波ノイズ抑制層120の表面に微細な凹凸があっても特に問題はない。例えば、支持層110の表面凹凸や、支持層表面の前処理条件、電磁波ノイズ抑制層120の形成条件などにより、電磁波ノイズ抑制層120の表面に10〜150nm程度の凹凸が形成される場合がある。このような場合でも、形成した電磁波ノイズ抑制層120が、前記記載の1≦R1/R0<√10の範囲内で形成した連続した金属薄膜であり、かつ該金属薄膜の表面抵抗率が、10〜90Ω/□の範囲内であれば電磁波ノイズ抑制効果に影響はない。
[支持層]
支持層110は、任意の合成樹脂により形成することができ、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリメタアクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアセタール樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ポリシロキサン樹脂、液晶ポリマー(LCP)、カルド樹脂(フルオレン樹脂)、フッ素樹脂等が挙げられるが、これに限定されない。これらの樹脂中でも、耐熱性に優れ、適度な可とう性を有するポリイミド樹脂が好ましい。
支持層110の厚みTは、電磁波ノイズ抑制体100を組み込む電子部品のサイズやスペースに応じて設定できるため特に限定されるものではないが、一例を挙げれば3μm以上200μm以下の範囲内が好ましい。このような膜厚とすることによって、0.1GHz〜20GHzの準マイクロ波において優れた電磁波ノイズ抑制能力を発揮するばかりでなく、電磁波ノイズ抑制体100をフィルム状の薄膜にすることが可能であり、電子部品や電磁波ノイズ発生源への適用が容易になる。従って、被対象物が平面状である場合は勿論のこと、立体的な場合であってもその適用が可能であり、また、可撓性能や屈曲性能が要求されるフレキシブルプリント基板などへの適用も可能である。
支持層110としては、市販の合成樹脂フィルムを用いることができる。ポリイミド樹脂を用いる場合は、例えば東レ・デュポン株式会社製のカプトンEN、カプトンH、カプトンV(いずれも商品名)、鐘淵化学株式会社製のアピカルNPI(商品名)、宇部興産株式会社製のユーピレックスS(商品名)、三菱ガス化学社製のネオプリム(商品名)、東洋紡社製のゼノマックス(商品名)、クラボウ社製のミドフィル(商品名)、三井化学社製のオーラム(商品名)等を使用することが可能である。
電磁波ノイズ抑制体100における電磁波ノイズ抑制効果は、支持層110の厚さTを変えることや、電磁波ノイズ発生源から電磁波ノイズ抑制層120までの距離を変えることなどにより制御可能である。例えば、高い電磁波ノイズ抑制効果を必要とする場合は、電磁波ノイズ発生源からの距離が150μm以下となるように、厚さTが150μm以下の支持層110を使用することが好ましい。
また、支持層110としては、電磁波ノイズ抑制層120を形成する前に、電磁波ノイズ抑制層120を積層する側の表面にプラズマ処理を施したものを使用することが好ましい。プラズマ処理によって、電磁波ノイズ抑制層120との接着性を強固なものにすることができる。プラズマ処理の条件については後述する。また、電磁波ノイズ抑制体100からの放熱を促進したり、機能性や意匠性を向上させたりするために、電磁波ノイズ抑制性能を損なわない範囲で例えば支持層110内に、強磁性フィラー、導電性フィラー、熱伝導性フィラー、補強性フィラー、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、耐熱向上材などを添加してもよい。
電磁波ノイズ抑制体100は、支持層110及び電磁波ノイズ抑制層120のほかに、例えば接着剤層(又は接着フィルム)、電磁波シールド層、電磁波吸収層等の任意の層を備えることができる。
[接着剤層又は接着フィルム]
図4は、電磁波ノイズ抑制層120の上に、さらに接着剤層130(又は接着フィルム130’)を形成した電磁波ノイズ抑制体101の構成例を示す断面図である。つまり、電磁波ノイズ抑制体101は、合成樹脂製の支持層110と、この支持層110に積層された電磁波ノイズ抑制層120と、この電磁波ノイズ抑制層120に積層された接着剤層130(又は接着フィルム130’)とを備えている。
(接着剤層)
接着剤層130の厚みTは任意であるが、電子部品への十分な接着性を確保する観点から、例えば1μm以上30μm以下の範囲内とすることが好ましい。また、接着剤層130には、強磁性フィラー、導電性フィラー、熱伝導性フィラー、補強性フィラー、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、耐熱向上材などを添加してもよい。接着剤層130にフィラーを添加しない場合は、接着剤層130の厚みTは、例えば1μm以上10μm以下の範囲内とすることが好ましい。接着剤層130の材質は、特に限定されるものではないが、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂や、フェノール系、エポキシ系、シロキサン系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂等を挙げることができる。耐熱性や可撓性が要求される場合においては、信頼性が高く好ましいものとして、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。なお、エポキシ系の熱硬化性樹脂を使用する場合には、熱プレス時のにじみ出し(リフロー)の小さいものが好ましい。ここで、ポリイミド樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等を挙げることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、テトラメチルビスフェノールA型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等のような芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
(接着フィルム)
接着フィルム130’は、図4では図示を省略しているが、基材となる樹脂フィルムの片面又は両面に接着剤層又は粘着剤層を備えており、電子部品などへの電磁波ノイズ抑制体101の貼り付けに利用できる。ここで、接着フィルム130’における接着剤層の材質としては、前述した接着剤層130と同様のものが挙げられ、粘着剤層の材質としては、例えばアクリル系粘着剤が挙げられる。接着フィルム130’の厚みTは任意であるが、例えば1μm以上200μm以下の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは3μm以上150μm以下の範囲内がよい。また、接着フィルム130’には、強磁性フィラー、導電性フィラー、熱伝導性フィラー、補強性フィラー、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、耐熱向上材などを添加してもよい。
接着フィルム130’の基材となる樹脂フィルムは、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリメタアクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアセタール樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ポリシロキサン樹脂、液晶ポリマー(LCP)、カルド樹脂(フルオレン樹脂)、フッ素樹脂等の材質のフィルムが挙げられるが、これに限定されない。接着フィルム130’としては、市販のものを利用することが可能であり、例えば寺岡製作所社製のフィルム両面テープ「商品名;7070(0.01)W」、「商品名;7072(0.005)W」、「商品名;707」などが挙げられる。
[電磁波ノイズ抑制体の製造方法]
電磁波ノイズ抑制体100の製造方法は、支持層110の表面に金属薄膜を形成して電磁波ノイズ抑制層120を形成する工程(金属薄膜形成工程)を含むことができる。
[金属薄膜形成工程]
金属薄膜の形成方法としては、物理的蒸着法、湿式還元法等が挙げられ、支持層110上に金属薄膜が連続となるように形成することが重要である。また、支持層110上に直接的に緻密な金属薄膜を形成するという観点から、物理的蒸着法による形成方法を適用することが好ましい。
[物理的蒸着法による金属薄膜形成]
物理的蒸着法は、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられ、製造コスト面のメリットから、スパッタリング法を適用することが特に好ましい。このスパッタリング法は、2極型、3極型、4極型、対抗ターゲット型、DCスパッタ、RFスパッタ、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、ECスパッタ、レーザービームスパッタ、ミラートロンスパッタ、イオンビームスパッタ、デュアルイオンビームスパッタ、ECRスパッタ、PEMSスパッタ等の各種手法が挙げられる。また、スパッタリングに使用するガス種としては、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン、窒素、酸素等を用いることができる。特に、アルゴンガスはスパッタリングの効率が高いため、好適に用いられる。これらのガスは2種類以上混合して使用することもできる。スパッタリング法による金属薄膜の成膜条件については、例えば、アルゴンガスをスパッタガスとして使用し、圧力は好ましくは1×10−2〜1Pa、より好ましくは5×10−2〜5×10−1Paであり、スパッタの電力は、好ましくは10〜1000W、より好ましくは20〜600Wの条件で行う方法がよい。
このようにして、支持層110の表面に連続した金属薄膜(電磁波ノイズ抑制層120)を形成する。このとき、支持層110の種類又は表面状態、あるいは金属薄膜の成膜条件によって、金属薄膜と支持層110との境界において、析出した金属材料の一部が支持層110に埋包されている場合がある。このような金属材料の埋包部分は支持層110と金属薄膜との接着強度を向上させるが、電磁波ノイズ抑制層120には含まれないものとする。すなわち、金属材料が埋包された範囲は、比抵抗値R1を与える電磁波ノイズ抑制層120の厚さに影響しないものとする。その具体例を図3により説明する。図3は、後述する実施例3で作製した電磁波ノイズ抑制体における支持層110及び電磁波ノイズ抑制層120の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した画像である。図3では、電磁波ノイズ抑制層120の厚みを算出するために、白い両端矢印で示す5箇所の金属薄膜の厚みを画像上で計測している。このとき、金属薄膜と支持層110との境界は、図3に示すように必ずしも明瞭ではなく、境界が不明瞭な領域が存在する。この領域は、析出した金属材料の一部が支持層110に埋包されている部分であり、連続した金属膜ではないため、該埋包領域を除外して電磁波ノイズ抑制層120の厚みを計測している。
また、電磁波ノイズ抑制体100を、電磁波ノイズ抑制層120の表面に対して垂直な角度から観察した場合に、金属薄膜の表面に付着した金属クラスターが確認される場合がある。このような金属クラスターは、連続していないものであり、かつ、金属薄膜の外部に存在しているため、本発明における連続した金属薄膜(電磁波ノイズ抑制層120)とは明確に区別される。従って、このように外的に付着した金属クラスターが存在する場合も、上記埋包領域と同様に、該金属クラスターの部分は除外して金属薄膜の厚みを計測すればよく、比抵抗値R1を与える電磁波ノイズ抑制層120の厚さに影響しないものとする。
このように、本発明の電磁波ノイズ抑制体100において、電磁波ノイズ抑制層120は、ほぼ一定の厚みを持つ連続した金属薄膜により構成されるものであり、該金属薄膜は任意の5箇所の平均膜厚を基準にした場合の最大膜厚と最小膜厚の変動幅が±50%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましい。なお、本発明の電磁波ノイズ抑制体100は、電磁波ノイズ抑制層120として、ほぼ一定の厚みを持つ連続した金属薄膜を有していればよく、例えば上述の埋包領域や外的に付着した金属クラスターなどが存在していてもよい。
金属材料が、例えばニッケル−クロム合金である場合、金属薄膜の形成は物理的蒸着法の適用が好ましく、特に好ましくはスパッタリング法の適用がよいが、ニッケル−クロム合金をスパッタリングのターゲットとして用いる場合は、クロム含有率が好ましくは5重量%以上35重量%以下の範囲内、より好ましくは15重量%以上25重量%以下の範囲内がよい。このような範囲内とすることで優れた電磁波ノイズ抑制効果を持つ金属薄膜を形成することができる。
物理的蒸着法による金属薄膜形成工程の前に、支持層110と金属薄膜との接着性を向上させる目的で、支持層110の表面に物理的処理又は化学的処理を施してもよい。化学的処理は、例えば研磨処理等の物理的な表面処理に比べ、支持層110の表面を顕著に荒らすことがないので、電磁波ノイズ抑制層120の厚みのバラつきを抑えることができ、電磁波ノイズ抑制層120が安定した電磁波ノイズ抑制効果を発揮しやすく好ましい。化学的処理としては、例えばアルカリ処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線処理、オゾン処理、電子線照射処理等が挙げられるが、プラズマ処理は、支持層110の表面の有機汚染物質の除去効果、支持層110の表面の化学結合状態の変化や支持層110の表面にナノメートルオーダーの粗化などを生じさせる効果が得られるため、最も好ましい。また、プラズマ処理を行うことによって、支持層110の表面に官能基を導入することができる。例えば酸素プラズマや大気プラズマでは、水酸基、カルボキシル基又はカルボニル基などの含酸素官能基が導入され、アンモニアガスプラズマや、窒素及び水素の混合ガスプラズマでは、アミノ基等の含窒素官能基を導入することができる。このような官能基の導入によって、次工程で形成される金属薄膜との接着性を向上させることができる。従って、金属薄膜からなる電磁波ノイズ抑制層120の上に更に接着剤層130(又は接着フィルム130’)を設けても、支持層110と電磁波ノイズ抑制層120との剥離などの不具合を防止することができる。
プラズマ処理の条件については、支持層110の種類によって適宜設定することが好ましいが、例えば支持層110としてポリイミドフィルムを適用した場合の好ましい条件を以下に挙げておく。すなわち、無機ガスの雰囲気下、プラズマ処理を行う装置の内圧を0.11Pa〜1.1×10Paの範囲内に保持した状態で、上部及び下部の平行平板電極間に50〜2000Wで直流又は交流電力を印加してグロー放電させることにより無機ガスの低温プラズマを発生させ、支持層110の表面をプラズマ処理するのがよい。このようなプラズマ処理の処理時間については、1〜100秒程度であるのがよく、また、上記無機ガスについては、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガス、又は、酸素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、空気等から選ばれた1種又は2種以上の混合ガスを使用するのがよい。
[還元法による金属薄膜形成]
金属薄膜の形成に利用できる還元方法は、例えば還元剤によって還元する湿式還元法や、光又は加熱によって還元する乾式還元法が挙げられるが、本発明に係る金属薄膜の形成には、湿式還元法が好適に利用できる。湿式還元法は、乾式還元法と比較すると、金属薄膜が連続となるように形成しやすく、このような湿式還元法として、例えば無電解めっき法、ダイレクトメタライゼーション法等が採用できる。また、ダイレクトメタライゼーション法は、金属薄膜の接着性、緻密な金属薄膜の形成、及び金属薄膜の厚みのバラつきを抑えるという観点から特に好ましく利用できる。以下、ダイレクトメタライゼーション法による製造方法を例に挙げて説明する。
ダイレクトメタライゼーション法は、例えば以下の工程1〜3;
1)イオン交換基の導入工程;
支持層110の表面(又は表層部)にイオン交換基を導入する工程、
2)金属イオンの導入工程;
前記イオン交換基に金属材料の前駆体である金属イオンを導入する工程、
3)金属イオンの還元工程;
前記金属イオンを還元することによって、金属薄膜を形成する工程、
を備えることができる。
1)イオン交換基の導入工程
イオン交換基としては、カチオン交換基及びアニオン交換基のいずれであってもよく、例えば、水酸基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、ハロホルミル基、カルバモイル基、ヒドラジノカルボニル基、アミジノ基、シアノ基、ニトリロ基、イソシアン基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、カルボニル基、チオホルミル基、チオキソ基、メルカプト基、ヒドロピルオキシル基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ジアゾ基、アジド基、ニトロ基、ニトロソ基等が挙げられる。この中でも、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、又はニトロ基が好ましい。
支持層110の表面(又は表層部)にイオン交換基を導入する方法として、例えばプラズマ処理やイオン交換基導入剤処理が挙げられる。イオン交換基導入剤処理は、支持層110の表層部にイオン交換機能を有する基を導入可能な薬剤(以下、「イオン交換基導入剤」という。)を含有する溶液(以下、「イオン交換基導入処理溶液」という。)を用い、例えば支持層110をイオン交換基導入処理溶液に浸漬する方法や、イオン交換基導入処理溶液を支持層110に塗布する方法が挙げられる。イオン交換基導入剤としては、例えばルイス酸又はルイス塩基が挙げられるがこれに限定されない。イオン交換基導入剤の具体例としては、好ましくは硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、塩化スルフリル等のスルホン化剤、塩酸、硝酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、乳酸等の酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ、これら以外のアミノ化剤、ニトロ化剤、シアノ化剤、酸化剤等が挙げられ、より好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、硫酸がよい。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリを用いる場合は、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等が導入される。なお、支持層110の表面(又は表層部)へのイオン交換基の導入は、必要に応じて、プラズマ処理とイオン交換基導入剤処理を併用してもよい。
イオン交換基導入処理溶液が、例えばアルカリ水溶液である場合について説明すると、アルカリ水溶液の濃度が0.01〜10mol/Lの範囲内、液温が5〜80℃の範囲内にある水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、例えば浸漬法、スプレー法又は刷毛塗り等の方法で支持層110に適用することができる。支持層110を構成する合成樹脂の種類によって、適宜、その処理条件を変更することが好ましい。一般的にアルカリ水溶液の濃度が薄い場合、処理時間が長くなり、また、アルカリ水溶液の液温が高くなると、処理時間は短縮される。
例えば支持層110としてポリイミドフィルムを適用した場合の好ましい条件を以下に挙げておく。例えば、浸漬法を適用する場合、ポリイミド樹脂層をアルカリ水溶液で5秒〜30分間程度の処理を行うことが有効であり、好ましくは濃度が0.1〜5mol/Lの範囲内、液温が25〜60℃の範囲内にあるアルカリ水溶液で、20秒〜25分間かけてポリイミドフィルムを処理することがよい。ポリイミドフィルムの化学構造によって、適宜、その処理条件を変更することができる。アルカリ水溶液で処理すると、ポリイミドフィルムの表面側からアルカリ水溶液が浸透し、ポリイミド樹脂のイミド環が開裂し、ポリイミドフィルムの表層部にカルボキシル基が導入される。この反応は主にイミド結合の加水分解であると考えられる。このような処理によって形成される処理層の厚みを制御することができ、金属材料の前駆体である金属イオンの導入量を制御できる。アルカリ水溶液によって処理した後は、水洗、乾燥して次の工程に供することが好ましい。なお、支持層110の合成樹脂がポリイミド樹脂の場合は、この処理によってポリイミド樹脂のイミド環が開裂した状態になるので、金属イオンの還元工程の後に、熱処理によってカルボキシル基をイミド環に閉環する処理(以下、イミド化処理という。)を行うことが好ましい。イミド化処理の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の温度条件で1〜60分間加熱するといった熱処理が好適に採用される。この場合、還元により形成した金属薄膜の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。ここでは、支持層110の合成樹脂がポリイミド樹脂である場合を例に挙げたが、支持層110の合成樹脂がポリイミド樹脂以外であっても、必要に応じて、熱処理を行うこともできる。
また、ダイレクトメタライゼーション法では、上記1)のイオン交換基の導入工程において、例えば支持層110としてポリイミドフィルムを適用した場合、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸樹脂を含有するポリアミド酸樹脂溶液を任意の基材上にキャストすることによりポリアミド酸樹脂膜を形成してもよい。この場合は、ポリアミド酸樹脂膜をイミド化して得られるポリイミドフィルムによって支持層110の一部又は全部を構成することが可能であり、上記2)の金属イオンの導入工程では、該ポリアミド酸樹脂膜に金属イオンを導入することができる。
さらに、ダイレクトメタライゼーション法では、上記1)のイオン交換基の導入工程及び2)金属イオンの導入工程に替えて、ポリアミド酸樹脂と金属材料の前駆体である金属化合物とを含有する塗布液を任意の基材上にキャストすることにより金属イオンを含有するポリアミド酸樹脂膜を形成してもよい。なお、この方法によって金属イオンを含有するポリアミド酸樹脂膜を形成する場合には、後述する金属イオンの導入工程は省略可能である。また、この場合も、ポリアミド酸樹脂膜をイミド化して得られるポリイミドフィルムを支持層110の一部又は全部を構成することができる。
キャスト法は、支持層110の厚みの制御が容易である点や、合成樹脂の化学構造に特に制限されず適用が容易である点など、有利な点も多く、必要に応じて適用すればよい。また、支持層110の合成樹脂がポリイミド樹脂以外であっても、必要に応じて、キャスト法を適用することができる。
2)金属イオンの導入工程
イオン交換基が導入された支持層110の表面(又は表層部)を金属イオン含有溶液(以下、金属イオン溶液ともいう。)で処理することによって、金属イオンを導入する。この処理によって、支持層110の導入されたイオン交換基が、金属イオンとイオン交換反応を行うことによって、金属イオンが導入されるものと考えられる。金属イオン溶液としては、目的とする金属元素含有成分で構成される金属成分が金属イオンとして存在する溶液を使用することができる。例えば、所望の金属材料を含む金属薄膜を形成する場合には、所望の金属薄膜を構成する全て又は一部の金属成分の金属イオンを含有する溶液を用い、後の工程において残りの金属材料の成分元素を含有する還元剤で処理することにより、所望の合金に還元することができる。金属としては、ニッケル、コバルト、白金等が挙げられるが、好ましくはニッケルである。金属材料が、例えばニッケル−ホウ素合金又はニッケル−リン合金である場合の例を挙げると、ニッケルイオンを含有する金属イオン溶液を用いて、後の工程において、ホウ素含有化合物又はリン含有化合物を含有する還元剤で処理することにより、ニッケル−ホウ素合金又はニッケル−リン合金として還元される。なお、金属イオンは溶液中で錯イオンとして存在してもよい。
金属イオン溶液は、一般的には、溶媒として水が使用されるが、水の代わりに、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の極性有機溶媒が好適に利用でき、これらは2種以上使用してもよく、水との混合物であってもよい。また、必要に応じて、pH調整を目的とする緩衝剤や金属イオンの沈殿防止を目的とする錯化剤等を配合することができる。
金属イオンは、一般に金属化合物として金属イオン溶液に配合される。使用される金属化合物は、例えばカルボン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、燐酸塩、亜燐酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、セレン酸塩、チオシアン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、ヨウ素酸塩、過臭酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トリスエチレンジアミン塩化物、シアン化物等が挙げられるがこれに限定されない。
金属イオン溶液は、金属化合物を1〜300mmol/Lの範囲内で含有することが好ましく、10〜150mmol/Lの範囲内で含有することがより好ましい。また、形成される金属薄膜における金属材料のモル比に応じて金属化合物を配合することができる。
金属イオン溶液による支持層110の処理方法は、支持層110におけるイオン交換基に金属イオン溶液を接触させる方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは20〜40℃付近の常温でよい。また、含浸時間は、浸漬法を適用する場合、例えば1分〜5時間が好ましく、5分〜2時間がより好ましい。金属イオン溶液による支持層110の処理後は、必要に応じて、水洗、乾燥等の処理を行うことができる。
3)金属イオンの還元工程
金属イオンの導入工程の後、支持層110は還元剤を含有する溶液中に浸漬することにより、金属イオンを還元(湿式還元)する。
還元剤としては、例えば水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等のホウ素含有化合物、次亜燐酸カリウム、次亜燐酸ナトリウム等のリン含有化合物が好ましい。還元剤として水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属塩を使用する場合は、アルカリ金属を除去する工程を加えることがよい。前記ホウ素含有化合物は、例えば水、次亜燐酸ナトリウム、ホルマリン、ヒドラジン類等の溶液(還元剤溶液)にして用いることもできる。還元剤溶液中のホウ素含有化合物の濃度は、例えば0.001〜0.5mol/Lの範囲内が好ましく、0.005〜0.1mol/Lの範囲内がより好ましい。
湿式還元処理では、10〜90℃の範囲内、好ましくは50〜70℃の範囲内の温度の還元剤溶液中に、20秒〜30分、好ましくは30秒〜20分、更に好ましくは1分〜15分の時間で浸漬する。浸漬によって、イオン交換基に導入された金属イオン(又は金属塩)が還元剤の作用で還元されて、支持層110の表層部で金属が粒子状に析出する。還元の終点では、支持層110の表面に連続した金属薄膜が形成される。このとき、金属薄膜における支持層110との接点において、析出した金属材料の一部が支持層110に埋包されていることが確認される。このような金属材料の埋包部分は、支持層110と金属薄膜との接着強度を向上させるが、電磁波ノイズ抑制層120に含まれないものとする。すなわち、金属材料の埋包部分は、比抵抗値R1を与える電磁波ノイズ抑制層120の厚さに影響しないものとする。
[接着剤層(又は接着フィルム)の形成工程]
電磁波ノイズ抑制体101の製造は、上記表面改質工程と金属薄膜形成工程とを実施した後に、さらに電磁波ノイズ抑制層120の上に、接着剤層130(又は接着フィルム130’)を形成することにより実施できる。ここで、接着剤層130を形成するには、例えば接着剤樹脂を溶剤に溶解した塗布液を電磁波ノイズ抑制層120の上に塗布し、乾燥させることによって行うことができる。接着剤樹脂を溶解する溶剤としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド系溶剤、1−メトキシ−2−プロパノ−ル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等の1種又は2種以上を用いることができる。塗布液を塗布する方法は、特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。塗布液を乾燥させる方法としては、特に制限されず、例えば60〜200℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間をかけて行うことがよいが、好ましくは、60〜150℃の範囲内の温度条件で乾燥を行うことがよい。また、接着フィルム130’を形成する場合は、接着剤成分を予め任意の基材フィルム上に、溶液の状態で塗布し、例えば80〜180℃の温度で乾燥した後、剥離して得られる接着性のフィルムをそのまま接着フィルム130’として使用してもよいし、この接着性のフィルムを任意の基材(樹脂フィルム)と積層した状態で使用してもよい。接着フィルム130’は、接着剤面に離型材を貼り合わせて離型材層を有する形態としてもよい。離型材の材質は、接着フィルム130’としての形態を損なうことなく剥離可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、これらの樹脂フィルムを紙上に積層したものなどを用いることができる。
以上のようにして得られる電磁波ノイズ抑制体100,101は、電磁波ノイズを効率良く吸収できる。また、本発明の電磁波ノイズ抑制体101は、接着剤層130との接着性にも優れている。従って、本発明の電磁波ノイズ抑制体100,101は、優れた電磁波ノイズ抑制作用を長期間安定して維持できるものであり、例えばノートパソコン、携帯電話器、携帯情報端末(PDA)等の電子機器に好ましく適用できる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
[金属薄膜の厚みの測定]
金属薄膜の厚みは、試料の断面をミクロトーム(ライカ社製、商品名;ウルトラカットUTCウルトラミクロトーム)を用いて厚さ100nmの超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子社製、商品名;JEM−2000EX)により観察し、5箇所の電磁波ノイズ抑制層の厚さを画像上で測定し、平均した値を算出した。
[金属薄膜の表面抵抗率の測定]
金属薄膜の表面抵抗率は、抵抗率計(三菱化学社製、商品名;MCP−T610)を用い、4探針プローブ(三菱化学社製、商品名;MCP−TP03P)により測定した。
[電磁波ノイズ抑制効果の評価]
電磁波ノイズ抑制効果は、近傍界用ノイズ抑制シート評価システム(IEC規格No.:IEC62333−1、IEC62333−2)により評価した。具体的には、図5に示すように、テストファクスチャー201に設けられた、規定の特性インピーダンス(50Ω)を持つマイクロストリップライン202上に、電磁波ノイズ抑制体100を密着して置き、電磁波ノイズ抑制体100を装着する前後のSパラメータの変化(反射減衰量S11および透過減衰量S21)をマイクロストリップライン202に同軸ケーブル203a,203bを介して電気的に接続されたネットワークアナライザー204で測定した。得られた反射減衰量(S11[dB])および透過減衰量(S21[dB])から、下記式により電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を求めた。なお、評価用の試料として、サイズが100mm×50mm、50mm×50mm、及び20mm×20mmの3種類の試料を準備した。
[金属薄膜表面のXPS分析]
金属薄膜表面の金属の状態は、XPS分析計(日本電子社製、商品名;JPS−9010)を用いて分析した。なお、スパッタリング法により作製した試料については、測定して得られたCr 2p3/2、Ni 2p3/2の結合エネルギーからCrおよびNiの存在および化学的状態を同定した。また、ダイレクトメタライゼーション法により作製した試料については、金属膜の組成を分析した。
[金属薄膜の接着性の評価]
金属薄膜の接着性は、JIS K5400−5−6に準拠してクロスカット試験(碁盤目テープ法)を行い、評価した。
[実施例1]
支持層を形成するための支持体として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名;カプトンEN、12cm角、厚さ;25μm、剪断弾性率;1.5×10Pa〜1.5×10Pa、炭酸ガス透過係数;1.0×10−11[cm(STP)cm/(cm・sec・cmHg)])を用意した。このフィルムをバッチ式スパッタリング装置(ANELVA社製SPF−332HS)へセットし、真空ポンプおよびターボモレキュラポンプを用いて、3.0×10−4Paまで減圧し、アルゴンガスを導入して、2.0×10−1Paの圧力になるよう調整した。次に、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、出力400Wの条件で、200秒間、スパッタリングを行い、支持体の片面に、平均厚み121nm(最小厚み;119nm、最大厚み;122nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体1を得た。この電磁波ノイズ抑制体1における金属薄膜の表面抵抗率は14.7Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.77であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体1(評価試料のサイズ;100mm×50mm)の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にCr−OH(結合エネルギー576.3eV)の存在を確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体1に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体1’における金属薄膜の平均厚みは109nm(最小厚み;108nm、最大厚み;110nm)であり、表面抵抗率は13.8Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.50であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体1’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。
[実施例2]
支持層を形成するための支持体として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名;カプトンEN、12cm角、厚さ;25μm、剪断弾性率;1.5×10Pa〜1.5×10Pa、炭酸ガス透過係数;1.0×10−11[cm(STP)cm/(cm・sec・cmHg)])を用意した。このフィルムをバッチ式スパッタリング装置(ANELVA社製SPF−332HS)へセットし、真空ポンプおよびターボモレキュラポンプを用いて、3.0×10−4Paまで減圧し、アルゴンガスを導入して、2.0×10−1Paの圧力になるよう調整した。次に、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、出力400Wの条件で、100秒間、スパッタリングを行い、支持体の片面に、平均厚み85nm(最小厚み;82nm、最大厚み;88nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体2を得た。この電磁波ノイズ抑制体2における金属薄膜の表面抵抗率は34.6Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、2.94であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体2(評価試料のサイズ;100mm×50mm)の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にCr−OH(結合エネルギー576.3eV)の存在を確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体2に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体2’における金属薄膜の平均厚みは76nm(最小厚み;75nm、最大厚み;77nm)であり、表面抵抗率は30.5Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、2.32であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体2’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
[実施例3]
支持層を形成するための支持体として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名;カプトンEN、12cm角、厚さ;25μm、剪断弾性率;1.5×10Pa〜1.5×10Pa、炭酸ガス透過係数;1.0×10−11[cm(STP)cm/(cm・sec・cmHg)])を用意した。このフィルムをバッチ式スパッタリング装置(ANELVA社製SPF−332HS)へセットし、真空ポンプおよびターボモレキュラポンプを用いて、3.0×10−4Paまで減圧し、アルゴンガスを導入して、2.0×10−1Paの圧力になるよう調整した。次に、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、出力400Wの条件で、33秒間、スパッタリングを行い、支持体の片面に、平均厚み40nm(最小厚み;39nm、最大厚み;42nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体3を得た。この電磁波ノイズ抑制体3における金属薄膜の表面抵抗率は44.9Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.80であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体3(評価試料のサイズ;100mm×50mm)の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にCr−OH(結合エネルギー576.3eV)の存在を確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。この電磁波ノイズ抑制体3のS11(反射減衰量)を図6に、S21(透過減衰量)を図7に、電磁波ノイズ抑制効果(Ploss)を図8に、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を図9に、それぞれ示した。また、この電磁波ノイズ抑制体3における電磁波ノイズ抑制層の厚さの測定に用いた透過型電子顕微鏡(TEM)の画像を図3に示した。
次に、電磁波ノイズ抑制体3に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体3’における金属薄膜の平均厚みは36nm(最小厚み;35nm、最大厚み;38nm)であり、表面抵抗率は40.0Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.44であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体3’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
[実施例4]
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを用意し、このポリイミドフィルムの片面にプラズマ処理(処理条件;アルゴンプラズマ、周波数13.56MHz、圧力33.9Pa、出力60W、照射時間30秒)を行った。このポリイミドフィルムのプラズマ処理面に、実施例1と同様にして、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、スパッタリングを行い、平均厚み133nm(最小厚み;129nm、最大厚み135nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体4を得た。この電磁波ノイズ抑制体4における金属薄膜の表面抵抗率は15.7Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、2.09であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体4の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にCr−OH(結合エネルギー576.3eV)の存在を確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体4に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体4’における金属薄膜の平均厚みは120nm(最小厚み;119nm、最大厚み;121nm)であり、表面抵抗率は14.6Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.75であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体4’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
[実施例5]
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを用意し、このポリイミドフィルムの片面にプラズマ処理(処理条件;アルゴンプラズマ、周波数13.56MHz、圧力33.9Pa、出力60W、照射時間30秒)を行った。このポリイミドフィルムのプラズマ処理面に、実施例1と同様にして、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、スパッタリングを行い、平均厚み91nm(最小厚み;89nm、最大厚み93nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体5を得た。この電磁波ノイズ抑制体5における金属薄膜の表面抵抗率は34.6Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、3.15であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体5の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にCr−OH(結合エネルギー576.3eV)の存在を確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体5に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体5’における金属薄膜の平均厚みは82nm(最小厚み;81nm、最大厚み;83nm)であり、表面抵抗率は30.7Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、2.52であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体5’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
[実施例6]
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを用意し、このポリイミドフィルムの片面にプラズマ処理(処理条件;アルゴンプラズマ、周波数13.56MHz、圧力33.9Pa、出力60W、照射時間30秒)を行った。このポリイミドフィルムのプラズマ処理面に、実施例1と同様にして、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、スパッタリングを行い、平均厚み50nm(最小厚み;47nm、最大厚み53nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体6を得た。この電磁波ノイズ抑制体6における金属薄膜の表面抵抗率は46.2Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、2.31であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体6の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にCr−OH(結合エネルギー576.3eV)の存在を確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体6に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体6’における金属薄膜の平均厚みは45nm(最小厚み;44nm、最大厚み;46nm)であり、表面抵抗率は45.1Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、2.03であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体6’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
[実施例7]
5規定の水酸化カリウム水溶液の中に、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトンEN;厚さ25μm)を50℃、20分間浸漬した後、浸漬したポリイミドフィルムをイオン交換水で充分洗浄し、表面改質ポリイミドフィルムA1を作製した。このときのポリイミド改質層の厚みは2.8μmであった。フィルムA1におけるポリイミド改質層の赤外吸収スペクトルを測定したところ、カルボキシル基のカリウム塩に由来する1580cm−1及び1406cm−1の吸収が確認された。フィルムA1を、100mmol/Lの酢酸ニッケルと100mmol/Lのアンモニアを混合した水溶液(25℃)に10分間浸漬した後、圧縮空気を吹き付けて乾燥し、表面改質ポリイミドフィルムB1を作製した。フィルムB1を、10mmol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液(30℃)へ10分間浸漬して、金属薄膜を形成した。
続いて、1wt%の塩酸水溶液に5分間浸漬(30℃)し、洗浄、乾燥後、真空下、300℃で10分間加熱処理し、イミド化を行うことで、平均厚み90nm(最小厚み;87nm、最大厚み93nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体7を得た。この電磁波ノイズ抑制体7における金属薄膜の表面抵抗率は25.7Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.16であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体7の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にNiの酸化皮膜(結合エネルギー856.0eV)の存在を確認した。金属薄膜の組成は、Ni(ニッケル)93%:B(ホウ素)7%であり、ニッケル−ホウ素合金であることを確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体7に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体7’における金属薄膜の平均厚みは89nm(最小厚み;87nm、最大厚み;92nm)であり、表面抵抗率は25.0Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.11であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。この電磁波ノイズ抑制体7’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
[実施例8]
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら29.2gの1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)を332gのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させた。次に、その溶液に窒素気流中で29.4gの3,3’,4,4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、15重量%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液の粘度は38,974センチポアズ(=38.9Pa・s)であった。
得られたポリアミド酸溶液を基板上に塗布した後、130℃で10分間乾燥させ、厚み20μmのポリアミド酸フィルムを作製した。このポリアミド酸フィルムを、100mmol/Lの酢酸ニッケルを含有する600mmol/Lアンモニア水溶液に、25℃で1時間浸漬することにより、Niイオンをポリアミド酸フィルム中に含浸させた後、5mmol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液(30℃)で20分間浸漬させて還元処理し、金属薄膜を形成した。
続いて、1wt%の塩酸水溶液に10分間浸漬(30℃)し、洗浄、乾燥後、真空下、300℃で10分間加熱処理し、イミド化を行うことで、平均厚み95nm(最小厚み;92nm、最大厚み98nm)の金属薄膜が形成された電磁波ノイズ抑制体8を得た。この電磁波ノイズ抑制体8における金属薄膜の表面抵抗率は27.5Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.30であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。得られた電磁波ノイズ抑制体8の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。また、XPS分析により、金属薄膜表面にNiの酸化皮膜(結合エネルギー856.0eV)の存在を確認した。金属薄膜の組成は、Ni(ニッケル)93%:B(ホウ素)7%であり、ニッケル−ホウ素合金であることを確認した。金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに金属薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したが、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造はいずれも確認されず、均質な連続した金属薄膜であることを確認した。また、金属薄膜の接着性も問題はなかった。
次に、電磁波ノイズ抑制体8に対し、2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体8’における金属薄膜は、厚み91nm、表面抵抗率26.5Ω/□であり、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、1.21であり、1≦R1/R0<√10を満足していた。走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、金属薄膜の表面および断面を観察したところ、熱処理前と殆ど変化がなかった。また、この電磁波ノイズ抑制体8’の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を超える特性を有していた。
[実施例9]
実施例1と同様にして、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、スパッタリングを行い、平均厚み121nm(最小厚み;119nm、最大厚み;122nm)の金属薄膜(表面抵抗率14.7Ω/□)が形成された電磁波ノイズ抑制体9を得た。
銅張積層板(新日鐵化学社製、MB12−25−12REQ)を用いて、回路のライン/スペースが100μm/200μmとなるように銅箔をエッチング加工して櫛型回路パターンを形成後、カバーレイフィルム(信越化学工業社製、商品名;CN383)を、160℃、30分間、圧力5MPaの条件でプレスして、回路配線基板を作製した。
次に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製、商品名;YD−128)、硬化剤として、ノボラック型フェノール樹脂(昭和高分子社製、商品名;BRG−555)、及び硬化促進剤として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名;2E4MZ)を配合したエポキシ樹脂ワニスを、電磁波ノイズ抑制体9の金属薄膜の表面に塗布し、120℃の熱風オーブンにて乾燥させ、25μm厚みのBステージ状態の接着剤層を形成した。この接着剤層の表面を、上記の回路配線基板のカバーレイフィルム側の表面に貼り合わせてラミネートした後、180℃の熱風オーブンで硬化させることにより、多層回路基板9を得た。
[実施例10]
実施例1と同様にして、Ni80wt%/Cr20wt%の合金(Ni−Cr合金として99.9wt%以上)のターゲットを用いて、スパッタリングを行い、平均厚み121nm(最小厚み;119nm、最大厚み;122nm)の金属薄膜(表面抵抗率14.7Ω/□)が形成された電磁波ノイズ抑制体10を得た。
実施例9と同様にして、回路配線基板を作製したのち、この回路配線基板のカバーレイフィルム側の表面と、電磁波ノイズ抑制体10の金属薄膜の表面を、フィルム両面テープ(寺岡製作所社製、商品名;7070(0.01)W)によって貼り合わせることにより、多層回路基板10を得た。
[比較例1]
実施例1におけるNi80wt%/Cr20wt%の合金のターゲットを用いたことの代わりに、Ni100%のターゲットを用いたこと、及び200秒間のスパッタリングを行ったことの代わりに、216秒間のスパッタリングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、平均厚み140nmの電磁波ノイズ抑制体を作製した。この電磁波ノイズ抑制体における金属薄膜の表面抵抗率は2.8Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、5.73であり、1≦R1/R0<√10を満足していなかった。得られた電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzの範囲で90%を下回る部分があった。この電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を図10に示した。
次に、電磁波ノイズ抑制体を2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体における金属薄膜の平均厚みは125nmであり、表面抵抗率は2.2Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、4.02であり、1≦R1/R0<√10を満足していなかった。また、この電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり90%を下回る部分があった。
[比較例2]
実施例1におけるNi80wt%/Cr20wt%の合金のターゲットを用いたことの代わりに、Ni100%のターゲットを用いたこと、及び200秒間のスパッタリングを行ったことの代わりに、43秒間のスパッタリングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、平均厚み75nmの電磁波ノイズ抑制体を作製した。この電磁波ノイズ抑制体における金属薄膜の表面抵抗率は26.4Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、28.9であり、1≦R1/R0<√10を満足していなかった。得られた電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzの範囲で93%を下回る部分があった。
次に、電磁波ノイズ抑制体を2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体における金属薄膜の平均厚みは65nmであり、表面抵抗率は23.5Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、22.3であり、1≦R1/R0<√10を満足していなかった。また、この電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり93%を下回る部分があった。
[比較例3]
実施例1におけるNi80wt%/Cr20wt%の合金のターゲットを用いたことの代わりに、Ni100%のターゲットを用いたこと、及び200秒間のスパッタリングを行ったことの代わりに、21秒間のスパッタリングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、平均厚み26nmの電磁波ノイズ抑制体を作製した。この電磁波ノイズ抑制体における金属薄膜の表面抵抗率は96.7Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、36.7であり、1≦R1/R0<√10を満足していなかった。得られた電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzの範囲で70%を下回る部分があった。
次に、電磁波ノイズ抑制体を2.5×10Paに減圧した部屋へ設置し、300℃、10分間の熱処理を行った。熱処理後の電磁波ノイズ抑制体における金属薄膜の平均厚みは25nmであり、表面抵抗率は86.1Ω/□であった。また、金属薄膜の表面抵抗の実測値と金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と金属材料(バルク材)の比抵抗値R0(Ω・cm)の比(R1/R0)は、31.5であり、1≦R1/R0<√10を満足していなかった。また、この電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)の百分率は、1GHz〜6GHzにわたり70%を下回る部分があった。
上記実施例1〜8の結果を表1及び表2に示し、比較例1〜3の結果を表3に示した。
[電磁波ノイズ抑制体の面積に対する評価]
本発明に係る電磁波ノイズ抑制体における電磁波ノイズ抑制体の面積に対する電磁波ノイズ抑制効果を、以下のように評価した。
[参考例1]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3の評価試料のサイズを、100mm×50mmから50mm×50mmに変更して、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した結果、その百分率は1GHz〜2GHzにわたり95%を下回る部分があったが、2GHzから6GHzにわたり、95%を超える特性を有していた。
[参考例2]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3の評価試料のサイズを、100mm×50mmから20mm×20mmに変更して、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した結果、その百分率は、1GHz〜5GHzにわたり90%を下回る部分があったが、5GHzから6GHzにわたり、90%を超える特性を有していた。
以上の参考例1及び参考例2の電磁波ノイズ抑制体の電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を図11に示した。
[電磁波ノイズ抑制体のマイクロストリップ線路からの距離に対する評価]
また、本発明に係る電磁波ノイズ抑制体におけるマイクロストリップ線路から電磁波ノイズ抑制体までの距離に対する電磁波ノイズ抑制効果を、以下のように評価した。
[参考例3]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3(評価試料のサイズ;100mm×50mm)の電磁波ノイズ抑制層とマイクロストリップラインとの距離を150μm(電磁波ノイズ抑制体3とマイクロストリップラインとの間に25μm厚のポリイミドフィルム5枚を挟んだ)にし、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した結果、その百分率は1GHz〜2GHzにわたり96%を下回る部分があったが、2GHzから6GHzにわたり、96%を超える特性を有していた。その結果を図12に示した。
[参考例4]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3(評価試料のサイズ;100mm×50mm)電磁波ノイズ抑制層とマイクロストリップラインとの距離を225μm(電磁波ノイズ抑制体3とマイクロストリップラインとの間に25μm厚のポリイミドフィルム8枚を挟んだ)にし、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した結果、その百分率は、1GHz〜3GHzにわたり96%を下回る部分があったが、3GHzから6GHzにわたり、96%を超える特性を有していた。その結果を図12に示した。
[参考例5]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3(評価試料のサイズ;100mm×50mm)電磁波ノイズ抑制層とマイクロストリップラインとの距離を275μm(電磁波ノイズ抑制体3とマイクロストリップラインとの間に25μm厚のポリイミドフィルム10枚を挟んだ)にし、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した。その結果を図12に示した。
[参考例6]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3(評価試料のサイズ;100mm×50mm)電磁波ノイズ抑制層とマイクロストリップラインとの距離を400μm(電磁波ノイズ抑制体3とマイクロストリップラインとの間に25μm厚のポリイミドフィルム15枚を挟んだ)にし、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した。その結果を図12に示した。
[参考例7]
実施例3で得られた電磁波ノイズ抑制体3(評価試料のサイズ;100mm×50mm)電磁波ノイズ抑制層とマイクロストリップラインとの距離を525μm(電磁波ノイズ抑制体3とマイクロストリップラインとの間に25μm厚のポリイミドフィルム20枚を挟んだ)にし、電磁波ノイズ抑制効果(ΔPloss/Pin)を測定した。その結果を図12に示した。
参考例3〜参考例7は、本発明に係る電磁波ノイズ抑制体の使用方法を示した。すなわち、本発明に係る電磁波ノイズ抑制体は、使用目的に応じ、電磁波ノイズ抑制体と回路基板等の距離を制御することで、電磁波ノイズ抑制効果を制御できる使用方法を例示したものである。例えば、1〜3GHzの特定の周波数領域での電磁波ノイズ抑制効果を低く抑え、3GHz〜6GHzでの周波数領域での電磁波ノイズ抑制効果を活用したい場合には、参考例6又は参考例7のような使用方法が考えられる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る電磁波ノイズ抑制体100,101は、優れた電磁波ノイズ抑制効果を有している。従って、本実施の形態の電磁波ノイズ抑制体100,101は、回路基板等の電子部品を備えた電子機器において、電磁波ノイズ対策として利用できる。例えば、回路基板の回路を覆うカバーレイフィルムの表面に電磁波ノイズ抑制体101の接着剤層130を張り合わせ、グランド回路に接続せずに絶縁性を維持した状態で配置して使用することができる。また、例えば回路基板を収容する筐体の内壁面に、電磁波ノイズ抑制体100を貼り付けることにより、電磁波ノイズ抑制体100を回路基板から離間させた状態で、その近傍に配置して使用することができる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば、図1に示す支持層110と電磁波ノイズ抑制層120とを有する電磁波ノイズ抑制体100を複数重ね、積層構造体としてもよい。また、支持層110の両面に、それぞれ電磁波ノイズ抑制層120及び必要に応じて接着剤層130を設ける構成としてもよい。
110…支持層、120…電磁波ノイズ抑制層、130…接着剤層、100,101…電磁波ノイズ抑制体

Claims (11)

  1. 合成樹脂製の支持層と、該支持層上に形成されたクロム含有率が5重量%以上35重量%以下の範囲内のニッケル−クロム合金からなる電磁波ノイズ抑制層と、を備えた電磁波ノイズ抑制体であって、
    前記電磁波ノイズ抑制層が、平均厚さ35〜300nmの範囲内の連続した金属薄膜であり、
    該金属薄膜の表面抵抗率が10〜90Ω/□の範囲内であり、かつ前記金属薄膜における表面抵抗の実測値及び該金属薄膜の厚さから算出した比抵抗値R1(Ω・cm)と、前記金属材料の比抵抗値R0(Ω・cm)とが、1≦R1/R0<√10(√10は10の平方根を示す。)を満足するとともに、該金属薄膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した場合に、金属クラスター、ナノグラニュラ構造、及びヘテロ構造がいずれも観察されないことを特徴とする電磁波ノイズ抑制体。
  2. 前記金属薄膜の表面にCr−OHを有する請求項1に記載の電磁波ノイズ抑制体。
  3. 前記支持層の厚みが、3μm以上200μm以下の範囲内である請求項1又はに記載の電磁波ノイズ抑制体。
  4. 前記支持層を構成する合成樹脂が、ポリイミド樹脂である請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体。
  5. さらに、前記電磁波ノイズ抑制層の表面に接着剤層又は接着フィルムが積層してなるものである請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体。
  6. 回路基板を覆うカバーレイフィルムの表面側に、グランド回路に接続せずに配置されるものである、請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体を、0.1GHz以上20GHz以下の周波数領域で使用することを特徴とする電磁波ノイズ抑制体の使用方法。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体を、回路基板に絶縁性を維持した状態で配置することを特徴とする電磁波ノイズ抑制体の使用方法。
  9. 請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体を、回路基板の近傍に配置することを特徴とする電磁波ノイズ抑制体の使用方法。
  10. 電子部品と、該電子部品から発生するノイズを抑制する請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制体とを備えた電子機器。
  11. 回路パターン及び該回路パターンに圧着されたカバーレイフィルムを有する回路基板と、
    請求項5に記載の電磁波ノイズ抑制体と、
    を備え、
    前記接着剤層又は前記接着フィルムが、前記カバーレイフィルムの表面側に貼り合わされて積層された構造を有する多層回路基板。
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