JP2008214503A - ポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便なプロセスにより、ポリイミド樹脂に対して密着強度が比較的高い金属薄膜を形成する方法を提供すること。
【解決手段】(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;(3)ホウ素化合物を含有するpH7.5〜8.2および温度40〜50℃の溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および(4)イミド環を閉環する再イミド化工程を含むポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法。
【選択図】なし
【解決手段】(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;(3)ホウ素化合物を含有するpH7.5〜8.2および温度40〜50℃の溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および(4)イミド環を閉環する再イミド化工程を含むポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法。
【選択図】なし
Description
本発明はポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法に関するものである。
近年、電子機器の小型携帯化により、フレキシブル配線基板の薄型化および高密度配線化の研究が促進されている。フレキシブル配線基板の製造方法として、直接めっき法によるポリイミド金属積層板の研究が盛んに行われている。例えば、特許文献1に示されている手順を、図10に示すフローチャートを用いて以下に示す。
(1)ポリイミド樹脂1をプラズマで処理或いは、アルカリ溶液(例えば5M KOH)で処理し、ポリイミド樹脂のイミド環を開環してイオン交換基(例えばカルボキシル基)を生成する。生成された層は、改質層2である。
(2)イオン交換基を導入したポリイミド樹脂を、金属イオン含有液で処理し、前記(1)で導入されたイオン交換能を有する基が金属イオンとイオン交換反応を行うことにより金属イオンが導入される。金属イオンが導入された改質層が、金属イオン含浸改質層201である。
(3)金属イオンが導入されたポリイミド樹脂を、光触媒(例えばTiO2)含有液に浸漬する。光触媒が導入された改質層が、光触媒含浸改質層202である。
(4)光触媒が導入されたポリイミド樹脂に、電磁線(例えば紫外線)を照射する。電磁線照射の際にはマスクを使用し、配線パターン通りに電磁線を照射し、薄い金属薄膜層301を形成する。
(5)電磁線を照射したポリイミド樹脂を、還元剤溶液に浸漬し、ポリイミド樹脂表面
に金属の被膜302を形成する。
以上の工程で得られた金属皮膜上に、電解銅めっきにより配線板となる金属層を増膜し、フレキシブル配線板とする。以上の手順で得られた配線とポリイミド樹脂間の密着強度は比較的高い値、例えば10N/cmを達成することが報告されている。
(2)イオン交換基を導入したポリイミド樹脂を、金属イオン含有液で処理し、前記(1)で導入されたイオン交換能を有する基が金属イオンとイオン交換反応を行うことにより金属イオンが導入される。金属イオンが導入された改質層が、金属イオン含浸改質層201である。
(3)金属イオンが導入されたポリイミド樹脂を、光触媒(例えばTiO2)含有液に浸漬する。光触媒が導入された改質層が、光触媒含浸改質層202である。
(4)光触媒が導入されたポリイミド樹脂に、電磁線(例えば紫外線)を照射する。電磁線照射の際にはマスクを使用し、配線パターン通りに電磁線を照射し、薄い金属薄膜層301を形成する。
(5)電磁線を照射したポリイミド樹脂を、還元剤溶液に浸漬し、ポリイミド樹脂表面
に金属の被膜302を形成する。
以上の工程で得られた金属皮膜上に、電解銅めっきにより配線板となる金属層を増膜し、フレキシブル配線板とする。以上の手順で得られた配線とポリイミド樹脂間の密着強度は比較的高い値、例えば10N/cmを達成することが報告されている。
また例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5では、樹脂表面に金属薄膜層を形成する手法について、公知である直接めっき法(アルカリ改質工程→金属イオン吸着工程→金属イオン還元工程)が使用されている。しかしながら、配線パターンを形成するに当たりポリイミド樹脂を予めアルカリ水溶液やアルカリアルコール水溶液等で処理し、配線形成部のポリイミド樹脂を除去している。また樹脂表面に形成される金属薄膜層は、その析出膜厚が10〜500nmであり、しかも前記処理により形成された配線形成部(凹部)の表面に形成される事による表面積の増大効果により、ポリイミド樹脂と金属薄膜層の密着信頼性が高いとされている。
特開2002−241950号公報
特開2005−29735号公報
特開2005−45236号公報
特開2006−188757号公報
特開2006−210891号公報
現在、市販されているポリイミド樹脂ベースの銅張積層板のポリイミド樹脂と銅箔の密着強度は、例えばエスパネックス(新日鐵化学)の場合14〜15N/cm(常態)であり、本発明の直接めっき法により製作された銅張積層板においても前記の密着強度を目標にしなければならない。
しかしながら、特許文献1〜5において、直接めっきの工程中でポリイミド樹脂を改質しているが、最終的に改質層を元のポリイミドに戻す処理を実施していない。ポリイミド樹脂は、耐熱性、機械強度、耐薬品性に優れた材質であるが、直接めっき法における改質処理によってその分子構造に変化を生じているため、改質処理後は、十分な耐熱性、機械強度および耐薬品性が得られない。そのため、ポリイミド樹脂と金属薄膜との密着強度が十分でない。
そこで、特許文献1に記載されているプロセスにおいて再イミド化を行ったとしても、配線とポリイミド樹脂間の密着強度は、10N/cm程度であり、現在市販の銅張積層板に対して著しく低い値となる。また、ポリイミド樹脂への金属イオン導入工程の後に光触媒付与工程が設けられており、そのためプロセスが複雑となり、製造コスト上昇の要因となりうる。
一方、特許文献2〜5では、金属薄膜層の厚さが10〜500nmと比較的薄いので、金属薄膜を、ポリイミド樹脂に形成された凹部の表面に形成することにより、ポリイミド樹脂と金属薄膜との接する面積を増大させ、ポリイミド樹脂と金属薄膜との密着強度を高くしているものと考えられる。しかしながら、そのような技術において再イミド化を行ったとしても、ポリイミド樹脂と金属薄膜との密着強度を十分に高くすることはやはり困難である。しかも、ポリイミド樹脂に凹部を形成する工程が必要であり、プロセスが複雑となり、製造コスト上昇の要因となりうる。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡便なプロセスにより、ポリイミド樹脂に対して密着強度が比較的高い金属薄膜を形成する方法を提供することを目的とする。
本発明は、ポリイミド樹脂表面に金属薄膜を形成する方法であって、
(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;
(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;
(3)還元剤溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および
(4)イミド環を閉環する再イミド化工程;
を含み、前記(3)還元工程で用いる還元剤溶液が、ホウ素化合物を含有するpH7.5〜8.2および温度40〜50℃の溶液であることを特徴とするポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法に関する。
(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;
(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;
(3)還元剤溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および
(4)イミド環を閉環する再イミド化工程;
を含み、前記(3)還元工程で用いる還元剤溶液が、ホウ素化合物を含有するpH7.5〜8.2および温度40〜50℃の溶液であることを特徴とするポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法に関する。
本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法による効果は、以下のようなものである。
(1)金属薄膜とポリイミド樹脂との密着強度として比較的高い値、例えば14N/cmを達成でき、密着性の高い金属薄膜をポリイミド樹脂表面に形成できる。
(2)そのような金属薄膜は、直接めっき法の基本プロセスである、改質工程、金属イオン吸着工程および金属イオン還元工程と、再イミド化工程とによって形成できるので、製造プロセスが簡便で、製造コストを低減できる。
その結果、本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、ポリイミド配線板、特にフレキシブル配線板の製造方法に適用されると、信頼性の高い配線板を低コストで製造できるので、様々な分野におけるポリイミド配線板の汎用化に大いに貢献できる。
(1)金属薄膜とポリイミド樹脂との密着強度として比較的高い値、例えば14N/cmを達成でき、密着性の高い金属薄膜をポリイミド樹脂表面に形成できる。
(2)そのような金属薄膜は、直接めっき法の基本プロセスである、改質工程、金属イオン吸着工程および金属イオン還元工程と、再イミド化工程とによって形成できるので、製造プロセスが簡便で、製造コストを低減できる。
その結果、本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、ポリイミド配線板、特にフレキシブル配線板の製造方法に適用されると、信頼性の高い配線板を低コストで製造できるので、様々な分野におけるポリイミド配線板の汎用化に大いに貢献できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、いわゆる直接めっき法(ダイレクトメタライゼーション)を用いている。
本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、詳しくは、
(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;
(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;
(3)特定の還元剤溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および
(4)イミド環を閉環する再イミド化工程;
を含むことを特徴とする。
本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、いわゆる直接めっき法(ダイレクトメタライゼーション)を用いている。
本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、詳しくは、
(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;
(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;
(3)特定の還元剤溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および
(4)イミド環を閉環する再イミド化工程;
を含むことを特徴とする。
以下、本発明を図1〜図4を参照して説明する。図1は、本発明に係るポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法の製造工程を示すフロー図の一例であり、図2〜図4は、製造工程を説明するためのポリイミド樹脂(基板)の概略断面図の一例である。
(1)改質工程
本発明において、直接めっき法を用いるに際し、金属薄膜形成のためにポリイミド樹脂表面を開環処理する必要がある。詳しくは図2に示すようなポリイミド樹脂1をアルカリ溶液に浸漬することで、図3に示すように両面に改質層2を形成し、水洗する。この工程により、ポリイミド樹脂表面におけるポリイミド分子のイミド環が加水分解によって開環し、カルボキシル基が生成すると同時に、カルボキシル基の水素イオンがアルカリ溶液中の金属イオンと置換され、改質層が形成される。例えば、化学式(1)で表されるポリイミドがKOH水溶液で処理される場合、加水分解による開環によって生成したカルボキシル基にカリウムイオンが吸着し、化学式(2)で表される構造を有するようになる。
本発明において、直接めっき法を用いるに際し、金属薄膜形成のためにポリイミド樹脂表面を開環処理する必要がある。詳しくは図2に示すようなポリイミド樹脂1をアルカリ溶液に浸漬することで、図3に示すように両面に改質層2を形成し、水洗する。この工程により、ポリイミド樹脂表面におけるポリイミド分子のイミド環が加水分解によって開環し、カルボキシル基が生成すると同時に、カルボキシル基の水素イオンがアルカリ溶液中の金属イオンと置換され、改質層が形成される。例えば、化学式(1)で表されるポリイミドがKOH水溶液で処理される場合、加水分解による開環によって生成したカルボキシル基にカリウムイオンが吸着し、化学式(2)で表される構造を有するようになる。
ポリイミド樹脂の構造は特に制限されるものではなく、例えば、上記化学式(1)で表されるような、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させて製造されたポリイミド樹脂が使用可能である。
ポリイミド樹脂の形態は特に制限されず、可撓性を有するフィルム状のものから剛性を有するボード状のものまで、いかなるポリイミド樹脂も使用可能であるが、フレキシブル配線板を製造する観点からは、厚み10〜200μmの可撓性を有するフィルム状のものが好ましく使用される。ポリイミド基板を用いる場合、市販のものを使用することができ、例えば、アピカル(R)(カネカ製)、カプトン(R)(東レデュポン製)、ユーピレックス(R)(宇部興産製)等として入手可能である。
アルカリ溶液はポリイミドのイミド環を開環できる限り特に制限されるものではなく、例えば、K、Na等のアルカリ金属の水酸化物を含有する水溶液、Mg、Ca等のアルカリ土類金属の水酸化物を含有する水溶液等が使用可能である。アルカリ溶液に含有され、本工程で水素イオンと置換する金属イオンを以下、金属イオンAと呼ぶものとする。
本工程に用いられるアルカリ溶液は通常は、濃度が3〜10M(mol/l)、溶液温度が20〜70℃であり、処理時間は1〜10分である。好ましくは、溶液温度は30〜50℃、処理時間は3〜7分である。処理温度が高すぎるとイミド環の開環以外の分子構造を破壊する可能性があり、処理時間が長すぎると改質層の厚さが厚くなりポリイミド配線板としての強度が低下する恐れがある。
水洗は、ポリイミド樹脂表面に付着したアルカリ溶液を除去するために行う。従って、流水による水洗が望ましい。通常は、1〜5L/minの水量で、5分以上の水洗を行う。
(2)金属イオン吸着工程
本工程では、図3に示すような改質層2を形成されたポリイミド樹脂を金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる。詳しくは、改質層2を有するポリイミド樹脂を、金属イオン含有溶液に浸漬して、改質層中の金属イオンAを、当該金属イオン含有溶液中の金属イオンと置換させ、水洗する。
本工程では、図3に示すような改質層2を形成されたポリイミド樹脂を金属イオン含有溶液で処理して、該溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる。詳しくは、改質層2を有するポリイミド樹脂を、金属イオン含有溶液に浸漬して、改質層中の金属イオンAを、当該金属イオン含有溶液中の金属イオンと置換させ、水洗する。
金属イオン含有溶液中に含まれる金属イオンは後述の工程で還元されて金属薄膜として析出するものであり、改質工程で置換させた金属イオンAよりイオン化傾向の小さいものであれば特に制限されない。例えば、Niイオン、Cuイオン、Coイオン、Pdイオン、Agイオン、PtイオンまたはAuイオン、もしくはそれらの組み合わせが挙げられる。そのような金属イオンを含有する溶液として、具体的には、例えば、NiSO4水溶液、CuSO4水溶液、CoSO4水溶液、PdSO4水溶液、AgNO3水溶液、H2[PtCl6]・6H2O(塩化白金酸)水溶液、KAu(CN)2(シアン化金カリウム)水溶液、NiCl2水溶液、およびそれらの混合液などが使用可能である。金属イオン含有溶液に含有され、本工程で金属イオンAと置換する金属イオンを以下、金属イオンBと呼ぶものとする。
本工程に用いられる金属イオン含有溶液は通常は、濃度が0.01〜0.1M(mol/l)、処理温度が20〜30℃であり、処理時間は5分以上である。特に本工程での処理時間は、工程(1)における改質処理の条件により適宜設定される。例えば、ポリイミド改質層の厚さが約5μmの場合、少なくとも5分間吸着処理を行えば十分である。
水洗は、ポリイミド樹脂表面に付着した金属イオン含有溶液を除去するために行う。金属イオン含有溶液は通常、酸性であるため、そのまま次工程に持ち込むと還元剤のpHの変動をもたらす原因となる。水洗は通常、1〜5L/minの水量で、5分以上の条件で行う。
(3)還元工程
本工程では、改質層に金属イオンBが吸着されたポリイミド樹脂を還元処理することにより、金属イオンBを還元させる。詳しくは改質層中に金属イオンBを含有するポリイミド樹脂を、特定の還元剤溶液に浸漬することによって、改質層のより深部から金属イオンBを還元して金属粒子を析出させ、金属薄膜を形成する。本発明においては特に、ポリイミド樹脂表面から例えば、500nm以上、特に1000nm以上の深さで金属粒子を析出させることができ、金属薄膜のナノアンカーロッキング効果(アンカー効果)が有効に得られるので、金属薄膜とポリイミド樹脂との密着強度を高くすることが可能となる。
本工程では、改質層に金属イオンBが吸着されたポリイミド樹脂を還元処理することにより、金属イオンBを還元させる。詳しくは改質層中に金属イオンBを含有するポリイミド樹脂を、特定の還元剤溶液に浸漬することによって、改質層のより深部から金属イオンBを還元して金属粒子を析出させ、金属薄膜を形成する。本発明においては特に、ポリイミド樹脂表面から例えば、500nm以上、特に1000nm以上の深さで金属粒子を析出させることができ、金属薄膜のナノアンカーロッキング効果(アンカー効果)が有効に得られるので、金属薄膜とポリイミド樹脂との密着強度を高くすることが可能となる。
本工程に用いられる還元剤溶液は、ホウ素化合物含有溶液であって、pHが7.5〜8.2、特に7.8〜8.0であり、温度が40〜50℃、特に40〜45℃の水溶液である。浸漬時間は特に制限されるものではなく、通常は5〜30分間、特に7〜20分間である。これによって、還元剤が金属イオンを金属へ還元させる反応速度を適度に遅くすることができ、還元剤がポリイミド中へ浸透する時間を十分に確保できるため、ポリイミド中の深い位置で金属を析出させることが可能となる。しかも金属薄膜を均一な厚みで形成できる。それらの結果として金属薄膜とポリイミド樹脂との密着強度をより有効に向上させることができる。
ポリイミド樹脂の改質層に吸着されている金属イオンが金属に還元されるためには、還元剤の酸化反応によって、金属イオンの還元に必要な電子が供給される。ホウ素化合物として、例えばジメチルアミンボランを用いる場合、還元剤の酸化反応は、以下の式で表される。
(CH3)2NHBH3 + 4OH− →
(CH3)2NH + BO2 − + 2H2O + 3/2H2 + 3e−
あるいは
(CH3)2NHBH3 + 7OH− →
(CH3)2NH + BO2 − + 5H2O + 6e−
(CH3)2NH + BO2 − + 2H2O + 3/2H2 + 3e−
あるいは
(CH3)2NHBH3 + 7OH− →
(CH3)2NH + BO2 − + 5H2O + 6e−
上記反応は、還元剤と還元対象金属間の電極電位差により継続的に発生する。このように、還元剤の酸化反応により放出された電子が、ポリイミド樹脂中に存在する金属イオンを金属へと還元させるのであり、その反応が起こる領域は一般に、還元剤とポリイミド樹脂が接触するポリイミド樹脂表面である。その後、還元剤がポリイミド中へ浸透しポリイミド樹脂中で還元反応を開始する。ポリイミド樹脂中の金属イオンが還元されると、ポリイミド樹脂表面付近の金属イオン濃度が低下し、ポリイミド樹脂中の金属イオン濃度に勾配が発生する。そのような系では、この濃度勾配が均一な状態に戻るような機構が働くため、金属イオンがポリイミド樹脂の表面方向に拡散してくる。この時、還元剤が金属イオンを金属へ還元させる反応速度が速すぎると、還元剤がポリイミド樹脂の十分に深い位置に浸透する前に金属イオンが還元され、結果的にポリイミド樹脂表面付近の浅い位置に金属が析出する。よってアンカー効果が十分に得られず、金属薄膜の密着強度が低下する。一方、還元剤が金属イオンを金属へ還元させる反応速度が遅すぎると、金属薄膜の厚みが不均一になるので、薄い部分で密着強度が低下する。pHが低すぎると、金属薄膜の析出速度が遅すぎて、均一な金属薄膜層を得ることが出来ない。pHが高すぎると、金属薄膜の析出速度が速く、ポリイミド樹脂の表面付近のみで析出してしまう。温度が低すぎると、還元反応において金属の核生成反応よりも核成長反応が優勢となり、ポリイミド樹脂の最表面付近で析出し、アンカー効果が得られない。温度が高すぎると、改質層が剥がれてしまう原因となりやすい。
本工程で還元剤として使用されるホウ素化合物は、従来より還元剤として使用されているホウ素含有化合物が使用され、特に金属薄膜とポリイミド樹脂との密着強度の観点からは、ホウ素含有有機化合物が好ましく使用される。ホウ素含有有機化合物の具体例として、例えば、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン類が挙げられる。中でもジメチルアミンボランがより好ましい。
還元剤溶液中の還元剤濃度は、当該溶液のpHが上記範囲内であれば特に制限されず、例えば、溶液中にpH調整剤や錯化剤等の添加剤を含有させることなく、ジメチルアミンボランを単独で含有させる場合で0.03〜0.09mol/l、特に0.05〜0.07mol/lである。
還元剤溶液にはpH調整剤や錯化剤等の添加剤が含有されてもよい。添加剤が含有される場合、含有後の溶液のpHが上記範囲内であればよい。
pH調整剤として、例えば、ホウ酸、ギ酸、硫酸等が使用可能である。
錯化剤として、例えば、クエン酸、シュウ酸、グリシン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等が使用可能である。
pH調整剤として、例えば、ホウ酸、ギ酸、硫酸等が使用可能である。
錯化剤として、例えば、クエン酸、シュウ酸、グリシン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等が使用可能である。
還元処理後は通常、ポリイミド樹脂表面に付着した還元剤水溶液を除去するために水洗し、乾燥を行う。
水洗は、1〜5L/minの水量で、5分以上の条件で行う。
乾燥条件は特に制限されず、通常は温度が100〜120℃、時間は30〜60分である。得られた金属薄膜の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気で加熱処理することが望ましい。真空雰囲気で乾燥を行う場合は、特に加熱の必要はなく常温で実施しても良い。
水洗は、1〜5L/minの水量で、5分以上の条件で行う。
乾燥条件は特に制限されず、通常は温度が100〜120℃、時間は30〜60分である。得られた金属薄膜の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気で加熱処理することが望ましい。真空雰囲気で乾燥を行う場合は、特に加熱の必要はなく常温で実施しても良い。
(4)再イミド化工程
本工程ではイミド環を閉環する。詳しくは、前工程で得られたポリイミド樹脂を加熱することで、改質層2が再イミド化される。これによって、機械的強度、耐熱性、耐薬品性に劣る改質層を、元のポリイミド分子構造に戻すことができる。
本工程ではイミド環を閉環する。詳しくは、前工程で得られたポリイミド樹脂を加熱することで、改質層2が再イミド化される。これによって、機械的強度、耐熱性、耐薬品性に劣る改質層を、元のポリイミド分子構造に戻すことができる。
処理条件は、改質層の再イミド化を達成できる限り特に制限されず、例えば、温度が250℃以上、時間は1時間以上である。得られた金属薄膜の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気で加熱処理することが望ましい。
以上に示した本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法は、ポリイミド配線板、特にフレキシブル配線板の製造方法に適用可能である。
例えば、本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法によって得られた金属薄膜を有するポリイミド樹脂に対して、いわゆるサブトラクティブ法またはアディティブ法等によって配線パターンを形成すればよい。
例えば、本発明のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法によって得られた金属薄膜を有するポリイミド樹脂に対して、いわゆるサブトラクティブ法またはアディティブ法等によって配線パターンを形成すればよい。
詳しくはサブトラクティブ法においては、例えば、本発明で得られた金属薄膜を有するポリイミド樹脂に対して、所望により金属膜をさらに形成し、配線領域にレジストパターンを形成した後、金属膜の露出部(非配線領域)をエッチング除去し、レジストパターンを除去すればよい。
アディティブ法においては、例えば、本発明で得られた金属薄膜を有するポリイミド樹脂に対して非配線領域にレジストパターンを形成し、金属薄膜の露出部(配線領域)に金属膜を形成した後、レジストパターンを除去し、さらに金属膜をマスクとして金属薄膜の露出部をエッチング除去すればよい。
本発明によるポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法について、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下に説明する工程により、ポリイミド樹脂表面へCu薄膜を形成した。
対象ポリイミド樹脂は、125μm厚のポリイミドフィルムを用いた。ポリイミドフィルムとしては、東レ・デュポン社のカプトン500Hを使用した(図2)。
以下に説明する工程により、ポリイミド樹脂表面へCu薄膜を形成した。
対象ポリイミド樹脂は、125μm厚のポリイミドフィルムを用いた。ポリイミドフィルムとしては、東レ・デュポン社のカプトン500Hを使用した(図2)。
(改質工程)
まず、ポリイミド樹脂1を50℃のKOH水溶液に5分間浸漬し、改質工程を実施した。この際、KOH水溶液は、5M(mol/l)の濃度に設定した。この工程により、ポリイミド樹脂の両面についてポリイミド分子中のイミド環の加水分解が行われ、ポリイミド表面の改質層2には、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された(図3)。改質層2の厚さは、ポリイミド樹脂の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することにより、約5μmであることが判った。
次に、ポリイミド樹脂を、2リットル/分の流水で5分間水洗を実施した。
まず、ポリイミド樹脂1を50℃のKOH水溶液に5分間浸漬し、改質工程を実施した。この際、KOH水溶液は、5M(mol/l)の濃度に設定した。この工程により、ポリイミド樹脂の両面についてポリイミド分子中のイミド環の加水分解が行われ、ポリイミド表面の改質層2には、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された(図3)。改質層2の厚さは、ポリイミド樹脂の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することにより、約5μmであることが判った。
次に、ポリイミド樹脂を、2リットル/分の流水で5分間水洗を実施した。
(吸着工程)
次に、ポリイミド樹脂について、Cuイオン吸着の処理を実施した。Cuイオン吸着には、硫酸銅水溶液を用いた。処理条件は、濃度が0.05M(mol/l)、温度は25℃、処理時間は10分である。なお、溶液は攪拌している。
次に、ポリイミド樹脂について、水洗を行った。水洗は、2リットル/分の流水で5分間実施した。
次に、ポリイミド樹脂について、Cuイオン吸着の処理を実施した。Cuイオン吸着には、硫酸銅水溶液を用いた。処理条件は、濃度が0.05M(mol/l)、温度は25℃、処理時間は10分である。なお、溶液は攪拌している。
次に、ポリイミド樹脂について、水洗を行った。水洗は、2リットル/分の流水で5分間実施した。
(還元工程)
次に、ポリイミド樹脂について、還元のために浸漬処理を行った。還元溶液は、ジメチルアミンボラン水溶液であり、濃度は0.03M(mol/l)、pHは7.5、温度は50℃、処理時間は12分とした。なお、還元溶液は攪拌を行っている。12分後、ポリイミド樹脂をジメチルアミンボラン還元溶液から取り出し、水洗処理を行った。水洗は、2リットル/分の流水で5分間実施した。
次に、ポリイミド樹脂について、乾燥処理を行った。乾燥処理は、真空(10hPa)雰囲気中で、温度は25℃、時間は3時間実施した。
次に、ポリイミド樹脂について、還元のために浸漬処理を行った。還元溶液は、ジメチルアミンボラン水溶液であり、濃度は0.03M(mol/l)、pHは7.5、温度は50℃、処理時間は12分とした。なお、還元溶液は攪拌を行っている。12分後、ポリイミド樹脂をジメチルアミンボラン還元溶液から取り出し、水洗処理を行った。水洗は、2リットル/分の流水で5分間実施した。
次に、ポリイミド樹脂について、乾燥処理を行った。乾燥処理は、真空(10hPa)雰囲気中で、温度は25℃、時間は3時間実施した。
(再イミド化工程)
次に、ポリイミド樹脂について、再イミド化処理を行った。再イミド化処理は、窒素ガス雰囲気中で、300℃、1時間実施した。
次に、ポリイミド樹脂について、再イミド化処理を行った。再イミド化処理は、窒素ガス雰囲気中で、300℃、1時間実施した。
得られたCu薄膜形成ポリイミド樹脂の模式図を図4に示す。ポリイミド樹脂の表面にCu金属薄膜3が形成されていることを示す。また、図5に、実際のポリイミド樹脂の断面をSEMにより観察した像を示す。析出したCu薄膜3は、ポリイミド表面付近で層を形成しているが、それ以外にポリイミド樹脂表面からポリイミド樹脂内部の1250nm程度の位置まで析出が観察される。また、図6に、図5中のA点をEDX(エネルギー分散X線分析)分析して得られたチャートを示す。得られた金属薄膜はCuであり、ポリイミド樹脂表面4より約1240nm深さの内部にもCu粒子が有効に析出していることが判る。即ち、ポリイミド樹脂中からCuが析出したことを示している。
さらに、Cu薄膜とポリイミド樹脂の密着強度を測定するためにピール試験を実施した。ピール強度は、12〜14N/cmを示した。破断面は、Cu薄膜とポリイミド樹脂の界面であった。改質されていたポリイミド樹脂部で破断を起こしていないことから、再イミド化処理を行うことにより、ポリイミド樹脂の機械強度を保ちつつ、ポリイミド樹脂とCu薄膜層の密着強度を高くすることができた。
密着強度の測定方法について述べる。密着強度の測定は、JIS C6471に規定されている90°引き剥がし試験方法により行った。試験機は、一般的な引張試験機を用いた。金属薄膜が形成されたポリイミド樹脂を、適当な金属板に貼り付ける。貼り付けは、市販のエポキシ系接着剤を用いた。接着剤が硬化後、ポリイミド樹脂が貼り付けられた金属板をピール試験治具に取り付け、試験片の一方と、引っ張り試験機のロードセルと接続する。この後、引っ張り試験を行い、引き剥がし強度(密着強度)を求める。
[実施例2〜9]
還元工程において以下に示す還元剤溶液を用いて所定時間浸漬処理を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程および評価を実施した。
実施例2−ジメチルアミンボラン水溶液(0.07M(mol/l)、pH8.2、50℃);処理時間8分;
実施例3−ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH7.9、50℃);処理時間10分;
実施例4−ジメチルアミンボラン水溶液(0.08M(mol/l)、pH8.2、45℃);処理時間12分;
実施例5−ジメチルアミンボラン水溶液(0.07M(mol/l)、pH7.8、45℃);処理時間15分;
実施例6−ジメチルアミンボラン水溶液(0.04M(mol/l)、pH7.5、45℃);処理時間18分;
実施例7−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.2、40℃);処理時間15分;
実施例8−ジメチルアミンボラン水溶液(0.08M(mol/l)、pH7.8、40℃);処理時間18分;
実施例9−ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH7.6、40℃;処理時間21分。
還元工程において以下に示す還元剤溶液を用いて所定時間浸漬処理を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程および評価を実施した。
実施例2−ジメチルアミンボラン水溶液(0.07M(mol/l)、pH8.2、50℃);処理時間8分;
実施例3−ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH7.9、50℃);処理時間10分;
実施例4−ジメチルアミンボラン水溶液(0.08M(mol/l)、pH8.2、45℃);処理時間12分;
実施例5−ジメチルアミンボラン水溶液(0.07M(mol/l)、pH7.8、45℃);処理時間15分;
実施例6−ジメチルアミンボラン水溶液(0.04M(mol/l)、pH7.5、45℃);処理時間18分;
実施例7−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.2、40℃);処理時間15分;
実施例8−ジメチルアミンボラン水溶液(0.08M(mol/l)、pH7.8、40℃);処理時間18分;
実施例9−ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH7.6、40℃;処理時間21分。
実施例10−pH調整剤を使用した実施例
還元工程において、ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.3、50℃)にpH調整剤(ホウ酸とギ酸)を加え、pHを7.9に調整し、温度50℃で10分間還元処理を実施した事以外、実施例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程及び評価を実施した。
還元工程において、ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.3、50℃)にpH調整剤(ホウ酸とギ酸)を加え、pHを7.9に調整し、温度50℃で10分間還元処理を実施した事以外、実施例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程及び評価を実施した。
実施例2で得られたポリイミド樹脂は、断面観察の結果、実施例1と同様に、ポリイミド樹脂表面からポリイミド樹脂内部の1000nm程度の位置に析出が見られ、ポリイミド樹脂とCu薄膜の密着強度は12〜14N/cmを示した。
実施例3〜10においても、実施例2と同様の結果が得られた。
実施例3〜10においても、実施例2と同様の結果が得られた。
[比較例1〜15]
還元工程において以下に示す還元剤溶液を用いて所定時間浸漬処理を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程および評価を実施した。
比較例1−ジメチルアミンボラン水溶液(0.1M(mol/l)、pH8.5、50℃);処理時間7分;
比較例2−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.3、50℃);処理時間7分;
比較例3−ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH8.2、55℃);処理時間7分;
比較例4−ジメチルアミンボラン水溶液(0.05M(mol/l)、pH7.9、55℃);処理時間8分;
比較例5−ジメチルアミンボラン水溶液(0.02M(mol/l)、pH7.5、55℃);処理時間10分;
比較例6−ジメチルアミンボラン水溶液(0.01M(mol/l)、pH7.25、50℃);処理時間17分;
比較例7−ジメチルアミンボラン水溶液(0.02M(mol/l)、pH7.4、50℃);処理時間15分;
比較例8−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.3、45℃);処理時間10分;
比較例9−ジメチルアミンボラン水溶液(0.03M(mol/l)、pH7.4、45℃);処理時間19分;
比較例10−ジメチルアミンボラン水溶液(0.1M(mol/l)、pH8.3、40℃);処理時間15分;
比較例11−ジメチルアミンボラン水溶液(0.05M(mol/l)、pH7.45、40℃);処理時間23分;
比較例12−ジメチルアミンボラン水溶液(0.12M(mol/l)、pH8.25、35℃);処理時間18分;
比較例13−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH7.8、35℃);処理時間20分;
比較例14−ジメチルアミンボラン水溶液(0.07M(mol/l)、pH7.6、35℃);処理時間23分。
還元工程において以下に示す還元剤溶液を用いて所定時間浸漬処理を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程および評価を実施した。
比較例1−ジメチルアミンボラン水溶液(0.1M(mol/l)、pH8.5、50℃);処理時間7分;
比較例2−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.3、50℃);処理時間7分;
比較例3−ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH8.2、55℃);処理時間7分;
比較例4−ジメチルアミンボラン水溶液(0.05M(mol/l)、pH7.9、55℃);処理時間8分;
比較例5−ジメチルアミンボラン水溶液(0.02M(mol/l)、pH7.5、55℃);処理時間10分;
比較例6−ジメチルアミンボラン水溶液(0.01M(mol/l)、pH7.25、50℃);処理時間17分;
比較例7−ジメチルアミンボラン水溶液(0.02M(mol/l)、pH7.4、50℃);処理時間15分;
比較例8−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH8.3、45℃);処理時間10分;
比較例9−ジメチルアミンボラン水溶液(0.03M(mol/l)、pH7.4、45℃);処理時間19分;
比較例10−ジメチルアミンボラン水溶液(0.1M(mol/l)、pH8.3、40℃);処理時間15分;
比較例11−ジメチルアミンボラン水溶液(0.05M(mol/l)、pH7.45、40℃);処理時間23分;
比較例12−ジメチルアミンボラン水溶液(0.12M(mol/l)、pH8.25、35℃);処理時間18分;
比較例13−ジメチルアミンボラン水溶液(0.09M(mol/l)、pH7.8、35℃);処理時間20分;
比較例14−ジメチルアミンボラン水溶液(0.07M(mol/l)、pH7.6、35℃);処理時間23分。
比較例15−pH調整剤を使用した比較例
還元工程において、ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH7.9、50℃)にpH調整剤(ホウ酸とギ酸)を加え、pHを7.4に調整し、温度50℃で15分間還元処理を実施した事以外、比較例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程及び評価を実施した。
還元工程において、ジメチルアミンボラン水溶液(0.06M(mol/l)、pH7.9、50℃)にpH調整剤(ホウ酸とギ酸)を加え、pHを7.4に調整し、温度50℃で15分間還元処理を実施した事以外、比較例1と同様の方法により、改質工程〜再イミド化工程及び評価を実施した。
比較例1で得られたCu薄膜形成ポリイミド樹脂の模式図を図7に示す。ポリイミド樹脂の表面にCu金属薄膜3が形成されていることを示す。また、図8に、実際のポリイミド樹脂の断面をSEMにより観察した像を示す。析出したCu薄膜は、ポリイミド表面付近で層を形成しているが、その析出深さはポリイミド樹脂表面より300nm程度であり、実施例で得られた金属薄膜のようにポリイミド樹脂の表面より1000nm以上の深い位置に析出は見られない。
さらに、Cu薄膜とポリイミド樹脂の密着強度を測定するためにピール試験を実施した。ピール強度は、8〜10N/cmを示した。破断面は、Cu薄膜とポリイミド樹脂の界面であった。実施例1と同様に、改質されていたポリイミド樹脂部で破断を起こしていないことから、再イミド化処理の効果は見られたものの、ポリイミド樹脂とCu薄膜層の密着強度は十分ではなかった。
比較例2〜15においても、比較例1と同様の結果が得られた。
図9に、実施例/比較例で採用した還元処理条件のプロット図を示す。図9中、実施例1〜9を○印で、比較例1〜14を×印で示す。
本発明はフレキシブル配線板の製造に利用可能であり、片面フレキシブル配線板、両面フレキシブル配線板を複数枚積層した多層フレキシブル配線板や、ガラスエポキシ基板などの硬質基板とも合わせて積層したリジッド−フレキシブル配線板の製造などにも広く利用可能である。
1:ポリイミド樹脂、2:改質層、3:ポリイミド樹脂中に析出した金属薄膜、201:金属イオンを吸着した改質層、202:光触媒を吸着した改質層、301:電磁線照射後に還元析出した金属薄膜層、302:還元処理により還元析出した金属薄膜層、A:EDX分析箇所。
Claims (3)
- ポリイミド樹脂表面に金属薄膜を形成する方法であって、
(1)アルカリ溶液を用いて、ポリイミド樹脂表面のイミド環を開環し、改質層を形成する工程;
(2)金属イオン含有溶液を用いて、前記改質層に該金属イオンを吸着させる工程;
(3)還元剤溶液に浸漬することによって、前記改質層に吸着した金属イオンを還元する工程;および
(4)イミド環を閉環する再イミド化工程;
を含み、前記(3)還元工程で用いる還元剤溶液が、ホウ素化合物を含有するpH7.5〜8.2および温度40〜50℃の溶液であることを特徴とするポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法。 - 工程(2)で吸着される金属イオンが、Niイオン、Cuイオン、Coイオン、Pdイオン、Agイオン、PtイオンまたはAuイオン、もしくはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法。
- ポリイミド樹脂が、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させて製造されたポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミド樹脂表面への金属薄膜形成方法。
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