図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。その両側にはアーチランプAHが設けてある。アーチランプAHは、その内部に設けられた発光素子(これは後述の電飾装置の発光素子に相当する)の点滅を通じて所定の演出を行うものである。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたリジェクトボタン133の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
図4に、発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図を示す。図4は、サブ基板20及びLED基板202を含む系統図を示す。図4の電飾LED以外の各要素は、例えばLED基板202の駆動回路(ドライバ、増幅器など)や、サブ基板20のCPUやメモリであり、予め用意された所定のプログラムをCPUが実行することで実現されるものである。あるいは、ICなどのハードウエアで構成することもできる。
LEDは、発光ダイオードなどの発光素子を含む電飾装置である。電飾装置LEDは、例えばアーチランプやバックライトのようなものに適用される。アーチランプは、図1に示すように液晶表示装置LCDの両側に設けられ、その内部に設けられた発光素子の点滅を通じて所定の演出を行うものである。バックライトは、例えば、リールユニット203に内蔵される3つの回胴の内部にそれぞれ設けられた3つの発光ユニットであり、これらの発光をゲーム表示部131を通じて遊技者に見せるものである。電飾装置LEDは、単色(電球色、白色など)で発光するもの、あるいは、三原色を含むカラーで発光するものいずれでもよい。カラーで発光する場合では、その色彩ではなく輝度について以下に説明する処理を適用することになる。
210は、複数の演出パターンの情報を予め記憶する演出情報記憶部である。図4の例では、演出情報記憶部210は、演出A〜演出D、及び、演出X、演出Yの演出パターンを記憶している。また、演出Aについては、これに含まれる複数の演出パターン(サブ演出パターン)である演出A−1、演出A−2−1、演出A−2−2、演出A−2−3も示している。演出パターンは、例えば、図7、図8、図10、図11に示すようなものである。演出Y(図11)は、本発明の実施の形態の係る引継演出(輝度引継処理)を行うための新規な演出パターンであることに注意されたい(この点を強調するために、演出Yを太枠で強調している)。
211は、演出パターン切替部212で選択された演出パターンの情報を演出情報記憶部210から読み出す演出情報読出部である。演出情報読出部211は、読み出した演出パターンを電飾制御部213へ送る。
212は、少なくとも、演出が終了したとき又は予め定められた割り込み信号を受けたとき、次に行うべき演出パターンを選択する演出パターン切替部である。割り込み信号は、ストップボタン140の押下信号などの各種信号発生に起因する信号であり、演出終了信号は現在行っている演出の終了を知らせる(あるいは予告する)信号である。これらの信号に基づき演出パターン切替部212は演出パターンを選択する。なお、どの信号を受けたときにどの演出パターンを選択すべきかは予め定められた規則に従うが、この具体的な手法は公知であるからその説明は省略する。
213は、演出情報読出部211で読み出した演出パターンの情報に基づき電飾装置LEDの発光を制御する電飾制御部である。電飾制御部213は、発明の実施の形態に係る輝度引継処理部、電飾装置LEDの輝度を指定の値に直ちに設定するSET命令処理部、及び、電飾装置LEDの輝度を指定された時間において指定の値に徐々に変化させるLINE命令処理部を含む。これらの処理については後に詳しく説明する。
214は、電飾装置LEDの発光の輝度情報を記憶する輝度記憶部である。輝度記憶部214は、演出パターン切替部212により演出が切り替えられた場合において、切り替え前の演出パターンによる最後の輝度(言い換えれば新しい演出パターンの直前の輝度)を記憶するものである。後述のように、演出の切り替えにはシーケンシャルとインタラプトがあり、後者の場合、電飾装置LEDに指示している現在の輝度が「最後の輝度」であるかどうか判断できないことがある(割り込みにより突然切り替えが行われるため)。そこで、後者の場合に対応するために、常に(言い換えれば処理ルーチンにおいて毎回)現在の輝度を輝度記憶部214に記憶しておき、割り込みがかかったときにこの内容を更新しないように制御することが行われる。なお、前者の場合は現在の輝度が「最後の輝度」であることを知る(予測する)ことが可能であるから、そのように判断したときに現在の輝度を「最後の輝度」として記憶させればよい。
図4の動作の概要は次のとおりである。
演出情報記憶部210が記憶する演出パターンは次の2種類である。
(P)演出A〜演出D、演出X
予め定められた期間(繰り返し周期・期間)における輝度の時間変化を指定するコマンド及び/又はデータ(先頭のSET命令、複数のLINE命令)を含む第1演出パターン情報(例えば図10(b))
コマンドは、一般的には、2進数のデータであって当該データの値そのものが特定の意義をもつのではなく、予め定められた規則に従って、CPU(マイクロコンピュータ)が当該2進数のデータのビットパターンを解釈し、デコードし、所定の処理を行うものである。例えば、SET命令、複数のLINE命令は、それぞれ、輝度をパラメータで指定された値に設定する命令、パラメータで指定された目標に向かって輝度を直線的に変化させる命令である。
なお、CPUが従う規則によっては、SET命令、LINE命令をコマンドでなくデータ(パラメータ)で直接指定することもある。例えば、2進数のデータの値が所定の範囲であるとき当該データはSET命令に対応するとして、当該データをパラメータとして扱い輝度をその値に変化させ、他の所定の範囲であるとき当該データはLINE命令に対応するとして、当該データをパラメータとして扱いこれで指定された目標に向かって輝度を変化させる。あるいは、後述のように「SET命令は常に変化時間=0である」と定義しておけば、変化時間に基づきコマンドを判別することができるから、演出パターンから制御命令の欄をなくすことができる(後述の図20及びその説明参照)。
本明細書では、上記2つの場合を想定して、「コマンド及び/又はデータ」というように表現している。上述の「予め定められた期間(繰り返し周期・期間)における輝度の時間変化を指定するコマンド及び/又はデータ(先頭のSET命令、複数のLINE命令)を含む第1演出パターン情報」における「コマンド及び/又はデータ」は、SET命令、LINE命令として機能するコマンドあるいは、これと同等に作用するデータ(パラメータ)を指している。なお、一般的には、SET命令、複数のLINE命令そのものは、コマンドと解して差し支えない。
なお、SET命令は中間・最後にあってもよい。例えば、図7の演出パターンの中間にある輝度=0%と100%となる矩形波状の繰り返しはSET命令によって実現できる。
(Q)演出Y
予め定められた期間(繰り返し周期・期間)における輝度の時間変化を指定するコマンド及び/又はデータ(複数のLINE命令、中間・最後のSET命令(図示せず))とともに、輝度記憶部214に記憶された輝度情報を参照することを指示する引継フラグ(例えば図11(b)の先頭の「輝度=−1」のSET命令。図11(b)の引継フラグにおいて重要なのはコマンドに対応付けられたデータ(パラメータ)の方である)を含む第2演出パターン情報
引継フラグは、演出パターンの先頭に置かれるものであり、引き継ぎ処理を行うように指示するためのものである。引継フラグはこの目的を達成できるものであればよく、例えば、存在しない輝度(輝度が0〜15で定義されているときの「輝度=−1」)、先頭コマンド及び/又はデータの欠落(先頭が必ずSET命令であると規定されている場合において先頭にSET命令が存在しない)、存在しない命令(LINE命令であるにも関わらず「変化時間=0」)、引き継ぎ処理を指示する固有の命令、などを引継フラグとして使用することができる。
電飾制御部213は次の処理を行う。
(1)演出パターンの情報に引継フラグが含まれていないときは、コマンド及び/又はデータに基づき期間における輝度情報を算出し、当該輝度情報に基づき電飾装置LEDを発光させる。
(2)演出パターンの情報に引継フラグ(例えば「輝度=−1」)が含まれているときは、輝度記憶部214に記憶された輝度情報を読み出し、当該輝度情報とコマンド及び/又はデータ(例えば図11(b)の命令番号=2のLINE命令)とに基づき輝度情報を算出する。図11(b)の例であれば、変化時間=10の範囲において、輝度記憶部214の前回輝度情報から命令番号=2のLINE命令で指定された輝度=9へ徐々に変化するように電飾装置LEDを発光させる。この際、前回の演出パターンの最後(輝度記憶部214の前回輝度情報)と今回の演出パターンの最初(命令番号=2のLINE命令で指定された輝度=9)の間において輝度が滑らかに変化するように、輝度が調整される。例えば、これらの間を直線で補間する。なお、命令番号=3乃至5は、上記(1)と同様にコマンド及び/又はデータに基づき期間における輝度情報を算出し、当該輝度情報に基づき電飾装置LEDを発光させる。命令番号=3乃至5の処理は公知であるので、その説明は省略する。
(3)少なくとも、前記演出パターン切替部により次に行うべき演出パターンが選択されたとき、そのとき又はその直前の輝度情報を輝度記憶部214に記憶する。
例えば、インタラプトの場合には常に(言い換えれば処理ルーチンにおいて毎回)現在の輝度を輝度記憶部214に記憶しておき、割り込みがかかったときにこの内容を更新しないように制御し、シーケンシャルの場合には現在の輝度が「最後の輝度」であると判断したときに現在の輝度を「最後の輝度」として輝度記憶部214に記憶させる。
なお、変化時間・輝度に関して具体的な数値を示して説明を加えることがあるが、言うまでもなくこれらの数値は一例である。例えば、輝度を0〜15の範囲で定義する。これらの数値は電飾装置LEDの発光素子の輝度に対応している(具体的には輝度の数値は電流値に対応している。パルス駆動の場合はそのデューティ比に対応している)。変化時間の数値は、予め定められた時間を単位としてこれの何倍の時間であるかを示すものである。数値が大きいほど時間が長くなる。
図5は、演出の切り替えパターンの説明図である。各演出パターンの実行順序を矢印で示したものである。
図6は、演出の切り替えパターンを時系列で表現した説明図である。
図5及び図6を参照して演出とその切り替えパターンの関係について説明を加える。
電飾装置LEDの光源(発光素子)の輝度を制御するためのデータ(テーブル)は、一般的に各種演出に関連付けされている。演出は複数のパターンが存在し、遊技に於いてはそれぞれの演出をつなぐことでさまざまな表現を行っている。
例えば、図5及び図6のように、演出A〜演出D、及び、演出X、演出Yの演出パターンがあるとして、演出Aにおいては演出A−1の後に演出A−2−1〜A−2−3のいずれかが行われる。演出A−2−1の後は再び演出A−2−1が繰り返されるか、あるいは演出A−1に戻る。演出A−2−2の後は演出A−2−3が行われ、演出A−2−3の後は演出A−1に戻る。また、演出Aから演出B〜D、Xのいずれかにつながることもある。
これらの演出の切り替えには、大きく分けて、現在実行中の演出終了に伴う切り替え(シーケンシャル)と、各種入力などによる強制的な切り替え(インタラプト)の2種類がある。図5及び図6では、実線の矢印はシーケンシャルな演出切り替えを示し、点線の矢印はインタラプトな演出切り替えを示す。
演出パターンA−1、A−2−1〜A−2−3は、図7及び図8に示すように最初と最後において同じ輝度となるように定められている。このようにすることで、同じ演出を繰り返した場合でも途中で輝度が不連続に変化することがない。したがって遊技者が違和感を持たなくなるという利点を生じる。
ところが、演出パターンを上記のように定めても、演出パターンの両端(最初と最後)の値自体が演出パターンごとに異なるため、演出の切替時には輝度が不連続に変化することがある。これは、シーケンシャルとインタラプトいずれにおいても生じる現象である。
図9にその様子を示す。図9(a)は演出パターンA−1からA−2−1への移行状態を示すが、この移行の際に演出パターンA−1の最後の輝度L(A−1)=0%から、次の演出パターンA−2−1の最初の輝度L(A−2−1)=50%へ急速に増加する。したがって、この接続点は遊技者に違和感を生じさせることになる。
図9(b)は演出パターンA−1からA−2−2への移行状態を示すが、この場合は演出パターンA−1の最後の輝度L(A−1)=0%と演出パターンA−2−2の最初の輝度L(A−2−2)=0%が同じであるので輝度が不連続に変化することがない。しかし、これは、たまたまである。
図9(c)は演出パターンA−1からA−2−3への移行状態を示すが、この移行の際に演出パターンA−1の最後の輝度L(A−1)=0%から、次の演出パターンA−2−3の最初の輝度L(A−2−3)=80%へ急速に増加する。したがって、この接続点は遊技者に違和感を生じさせることになる。
これに対し、演出パターンXから演出パターンYへの移行の際には、常に、輝度が不連続に変化することがない。演出パターンXに代わって任意の演出パターンA−1,A−2−1,・・・B,C,Dから演出パターンYへ移行する際も同じである。これは演出パターンYが上記(Q)の構成をもち、かつ、電飾制御部213が上記(1)〜(3)の処理(輝度引継処理)を行うためである。
以下、この点について詳しく説明する。
図10(a)は、演出パターンXの輝度変化の具体例を示す。この例では、0から36までを繰り返し周期として輝度変化が示されている。時間と輝度を座標で表示するようにして、(0,6),(8,2),(12,14),(22,10),(30,12),(36,6)の6つの点が定義され、これらの間を直線で結んだものが演出パターンXである。
図10(b)は、同図(a)の演出パターンXを与えるコマンド及び/又はデータを示す。これは1つのSET命令と5つのLINE命令からなる。これら命令がそれぞれ上記6つの座標に対応している。すなわち、命令番号=1のSET命令は演出開始直後(時間=0)において輝度を6に直ちに設定する。これにより輝度は(0,6)となる。次に、命令番号=2のLINE命令は、現在の輝度(すなわち座標(0,6))を8単位時間かけて輝度=2へ変化させる。その実行完了時の座標は(8,2)となる。言い換えれば、LINE命令は現在の座標(0,6)と目的の座標(8,2)を直線で結ぶことを意味する。これは公知の線形補間であるので、その具体的な処理手順の説明は省略する。次に、命令番号=3のLINE命令は、現在の輝度(すなわち座標(8,2))を4単位時間かけて輝度=14へ変化させる。その実行完了時の座標は(8,2)+(4,14−2)=(12,14)となる。命令番号=4以降も同様である。
他の演出パターンA−1,A−2−1,・・・B,C,Dも、演出パターンXと同様のコマンド及び/又はデータをもつ。
図11(a)は、演出パターンYの輝度変化の具体例を示す。この例では、0から40までを繰り返し周期として輝度変化が示されている。時間と輝度を座標で表示するようにして、(10,9),(20,12),(30,4),(40,7)の4つの点が定義され、これらの間を直線で結んだものが演出パターンYである。なお、時間=0における座標は定義されていない。この点が図10と異なる。
図11(b)は、同図(a)の演出パターンYを与えるコマンド及び/又はデータを示す。これは1つのSET命令と4つのLINE命令からなる。4つのLINE命令がそれぞれ上記4つの座標に対応している。しかし、命令番号=1のSET命令はその輝度として通常あり得ない値である−1に設定されているので、演出開始直後(時間=0)において輝度設定は行われない。命令番号=1のSET命令は、輝度記憶部214に記憶された輝度情報を参照することを指示する引継フラグである。引継フラグは、演出パターンの先頭に置かれるものであり、引き継ぎ処理を行うように指示するためのものである。
これに対し、命令番号=2のLINE命令は、輝度記憶部214に記憶された輝度(具体的な値は直前の行われていた演出パターンの最後の輝度となる)を10単位時間かけて輝度=9へ変化させる。その実行完了時の座標は(10,9)となる。命令番号=3以降も同じである。
図12は演出パターンXからYにかけての輝度変化を示す。この図を参照して引継処理について説明を加える。
電飾制御部213は、図10(b)の命令番号=6のLINE命令を実行し、演出パターンXの最後において輝度=6とする(これが図12のα点、演出パターンXの座標(36,6))。最後の輝度=6が輝度記憶部214に記憶される。これで演出パターンXの実行を終了する。
次に、電飾制御部213は、図11(b)の命令番号=1を読み込む。これには引継フラグ(「輝度=−1」)が含まれているので、輝度記憶部214に記憶された輝度情報=6を読み出す。次に、命令番号=2を読み込む。このLINE命令は、現在の輝度(すなわち演出パターンYの(0,6)、これは演出パターンXの座標(36,6)と同じ点を意味する)を10単位時間かけて輝度=9へ変化させる。これは線形補間に相当し、単位時間当たり0.3(=(9−6)÷10)づつ輝度を増加させる。この変化後の点が図12のβ点、座標(10,9)となる。図12において、引き継ぎ処理(補間処理)の部分を点線で示している(点線の部分が「第1輝度」に相当する)。以下、命令番号=3以下の命令を順番に実行する(「第1輝度」以後の実線の部分が「第2輝度」に相当する)。
上記処理により、図12の点αと点βは直線で補間される。なお、曲線、例えば2次曲線などで補間するようにしてもよい。したがって、演出パターンXから演出パターンYへ切り替わる際に、常に滑らかな(補間された)輝度変化を表現することが可能になり、遊技者に違和感を生じさせることがない。
なお、電飾制御部213は、演出パターンの情報に引継フラグが含まれていないときは、補間を行うことなく輝度を算出し、当該輝度に基づき電飾装置LEDを発光させる(図13及びその説明参照)。
また、電飾制御部213は、前記演出パターン切替部により次に行うべき演出パターンが選択されたとき、そのとき又はその直前の輝度情報を輝度記憶部214に記憶する。
次に、図13〜図16のフローチャートを参照して、発明の実施の形態に係る遊技機の処理をさらに詳しく説明する。
図13は、図4の電飾制御部213の処理フローチャートを示す。
S1:電飾制御部213が、演出情報読出部211で読み込んだ演出パターンの先頭の命令を読み込む。先頭の命令とは、例えば図10(b)のSET命令(変化時間=0、輝度=6)、図11(b)のSET命令(変化時間=0、輝度=−1)である。
S2:電飾制御部213が、引継フラグの有無を判定する。引継フラグについては前述した。
例えば図11(b)のSET命令であれば、引継フラグが「有」となり、S3の処理が実行される。この処理については後述する(図14参照)。
例えば図10(b)のSET命令であれば、引継フラグが「無」となり、S4の処理が実行される。この処理については後述する(図15参照)。
S5:電飾制御部213が、次の命令を読み込む。例えば図10(b)のLINE命令(変化時間=8、輝度=2)、図11(b)のLINE命令(変化時間=10、輝度=9)が読み込まれる。
S6:電飾制御部213が、LINE命令を実行する。この処理については後述する(図16参照)。なお、LINE命令の他にSET命令を実行するようにしてもよい。
S7:電飾制御部213が、全ての命令を読み込んだかどうか判定する。
図10の演出パターンXであれば、命令番号=6のLINE命令を読み込んだら「YES」となり、図11の演出パターンYであれば、命令番号=5のLINE命令を読み込んだら「YES」となる。
そうでなければ(NO)、S5に戻り次の命令を読み込む。次に、例えば図10(b)のLINE命令(変化時間=4、輝度=14)、図11(b)のLINE命令(変化時間=10、輝度=12)が読み込まれる。
S8:電飾制御部213が、最後の輝度を輝度記憶部214に書き込む。最後の輝度は演出パターンの最後の命令の実行を完了したときの輝度であり、例えば図10(b)では輝度=6)、図11(b)では輝度=7である。
なお、上記S8をS7の後に行うことで、シーケンス切替において、演出パターンの全命令の実行を完了した後の最後の輝度を輝度記憶部214に書き込むことができるが、インタラプト切替の場合は全命令の実行完了の前に演出パターンの切り替えが生じるから、上記S8が実行されないことがあり得る。これを避けるために、上記S8をS6の後かつS7の前に行うようにすることが考えられる。このようにすれば、処理が煩雑になるものの、LINE命令完了ごとに最新の輝度を輝度記憶部214に書き込むことができる。さらに完璧を記すには、上記S8を図16のS34の後かつS35の前に行うようにすることが考えられる。このようにすれば、さらに処理が煩雑になるものの、LINE命令完了前にインタラプト切替が生じた時でも最新の輝度を輝度記憶部214に書き込むことができる。
図13及び図18において、上記S8の処理の位置を上述のように設定することができる。
図14は、電飾制御部213の輝度引継処理部のフローチャートを示す。
S10:輝度引継処理部が、輝度記憶部214から記憶した「最後の輝度」を読み出す。
図10の例であれば、輝度=6が「最後の輝度」となる。
S11:輝度引継処理部が、次の命令を読み込む。
図11(b)の例であれば、命令番号=2、LINE命令(変化時間=10、輝度=9)を読み込む。なお、命令番号=1、SET命令は、図13のS1で既に読み込まれている。
S12:輝度引継処理部が、目標の輝度を取得する。
図11(b)の例であれば、輝度=9となる。
S13:輝度引継処理部が、変化時間を取得する。
図11(b)の例であれば、変化時間=10となる。
S14:輝度引継処理部が、最後の輝度、目標の輝度、変化時間に基づき、単位時間当たりの輝度変化量を求める。
(単位時間当たりの輝度変化量)=((目標の輝度)−(最後の輝度))÷変化時間
図11(b)の例であれば、0.3=(9−6)÷10となる。
S15:輝度引継処理部が、単位時間当たりの輝度変化量に基づき輝度を変化させる。
(輝度)=(最後の輝度)+(単位時間当たりの輝度変化量)×(時間)
S16:輝度が目標に達したかどうか判定する。これは、変化時間だけS15の処理を行ったかどうか、と同じことである。
輝度が目標に達していれば(YES)、図14の処理を終了し、目標に達していないのであれば(NO)、S15の処理を繰り返す。
図15は、電飾制御部213のSET命令処理部のフローチャートを示す。
S20:SET命令処理部が、目標の輝度を取得する。
図10の例では、目標の輝度=6である。
S21:SET命令処理部が、現在の輝度を目標の輝度に設定する。
図10(b)の例では、変化時間=0であるので直ちに現在の輝度=目標の輝度となる。もっとも、変化時間=0といっても、命令を読み込んで解釈し、実行するというステップに一定の時間を要する。変化時間=0は最速で処理を行うことを意味する(前記一定の時間を無視している)。言い換えれば、S20とS21の間にはWAIT処理(待機処理)が存在しないことを意味する。
なお、SET命令においても変化時間≠0とすることができる。例えば、変化時間=2、輝度=6であれば、SET命令を読み込んだら速やかに輝度=6とし、この状態を2単位時間だけ継続する、といったことができる。なお、LINE命令の変化時間=1とすることで、SET命令と同様の急激な輝度変化を実現できるから、SET命令の変化時間は常に0であるとしてもあまり支障は生じない。
図16は、電飾制御部213のLINE命令処理部のフローチャートを示す。
図16の前には、図13のS5により次の命令が読み込まれている。図11(b)の例であれば、命令番号=3、LINE命令(変化時間=10、輝度=12)を読み込む。
S30:LINE命令処理部が、現在の輝度を取得する。
図13に示すように、LINE命令は、輝度引継処理又はSET命令あるいは他のLINE命令の後に実行されるから、それらの処理の終了時点における輝度を現在の輝度(最後の輝度)として取得する。
図11(b)の例であれば、現在の輝度は順に9,12,4,7となる。
S31:LINE命令処理部が、目標の輝度を取得する。
図11(b)の例であれば、命令番号=3について輝度=12となる。
S32:LINE命令処理部が、変化時間を取得する。
図11(b)の例であれば、変化時間=10となる。
S33:LINE命令処理部が、現在の輝度、目標の輝度、変化時間に基づき、単位時間当たりの輝度変化量を求める。
(単位時間当たりの輝度変化量)=((目標の輝度)−(現在の輝度))÷変化時間
図11(b)の命令番号=3、LINE命令(変化時間=10、輝度=12)であれば、0.3=(12−9)÷10となる。
S34:LINE命令処理部が、単位時間当たりの輝度変化量に基づき輝度を変化させる。
(輝度)=(現在の輝度)+(単位時間当たりの輝度変化量)×(時間)
S35:輝度が目標に達したかどうか判定する。これは、変化時間だけS34の処理を行ったかどうか、と同じことである。
輝度が目標に達していれば(YES)、図16の処理を終了し、目標に達していないのであれば(NO)、S34の処理を繰り返す。
発明の実施の形態によれば、演出の切替に伴う急激な光源の輝度変化を防ぎ、遊技者の違和感を減少させることができる。
すなわち、演出パターンの先頭に前回の輝度の引き継ぎを指示する引継フラグを含ませることにより、これ以降の輝度を滑らかに変化させるようにできる。また、図9(a)(c)のように、演出切替時に輝度変化が明確になることが好ましい場合は、引継フラグを含ませないようにするとともに、開始時の輝度を明示することで、そのような輝度変化を実現することができる。なお、言うまでもなく、上記演出パターン(第2演出パターン)は例示であり、様々なバリエーションを設定することができる。
次に、変形例について説明を加える。
上記実施形態では、引継フラグは、存在しない輝度(輝度が0〜15で定義されているときの「輝度=−1」)であった。これ以外にも、引継フラグとして、先頭コマンド及び/又はデータの欠落を用いることができる。
例えば、先頭が必ずSET命令(あるいは他の特定のコマンド)であると規定しておき、先頭にSET命令が存在しないことが引継フラグであるとする。あるいは、命令番号がデータに含まれている場合において、先頭が命令番号≠1であることが引継フラグであるとする。
この引継フラグによる演出パターンの例を図17に示す。この演出パターンは、先頭が必ずSET命令でなく、しかも先頭の命令番号≠1であることから、引継フラグを含んでいる。
図18は、この変形例における電飾輝度制御処理フローチャートを示し、図19は、同じく輝度引継処理フローチャートを示す。図18及び図19において、図13及び図14と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略することにする。
まず、図18について説明する。
S2b:電飾制御部213が、引継フラグの有無を判定する。すなわち、先頭の命令がSET命令であるかどうか判定する。あるいは、先頭の命令番号=1であるかどうか判定するようにしてもよい。
SET命令がない(あるいは先頭の命令番号≠1)であれば、引継フラグが「有」となり、S3の処理が実行される。この処理については次に説明する(図19参照)。
SET命令(あるいは先頭の命令番号=1)であれば、引継フラグが「無」となり、S4の処理が実行される。この処理については既に説明した(図15参照)。
次に、図19について説明する。図19では、図18のS1で読み込んだ命令を処理するので、図14のS11は不要である。
S12b:輝度引継処理部が、読み込んだ命令の目標の輝度を取得する。
図17の例であれば、輝度=9となる。
S13b:輝度引継処理部が、読み込んだ命令の変化時間を取得する。
図17の例であれば、変化時間=10となる。
他の処理は、前述の場合と同じである。
この変形例も、同様の作用効果を奏する。この変形例によれば、先頭のSET命令が不要になるので、演出パターンのデータ量を削減できるという効果を奏する。
次に、他の変形例について説明を加える。
SET命令は常に変化時間=0である、と定義しておけば、変化時間に応じてコマンドを判別することができる。すなわち、変化時間=0であればSET命令、変化時間≠0であればLINE命令であるとする。こうすることで、演出パターンから制御命令の欄をなくすことができ、そのデータ量をさらに削減できる。
図20(a)(b)はそのような演出パターンの例を示す。図20(a)(b)はそれぞれ図10(b)と図11(b)に対応している。
図21は、この変形例における電飾輝度制御処理フローチャートを示す。図21において、図13と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略することにする。
S9:電飾制御部213は、変化時間に応じて命令を判別する。変化時間=0であればSET命令であるとしてS4を実行し、変化時間≠0であればLINE命令であるとしてS6を実行する。
この変形例も、同様の作用効果を奏する。
以上の説明において、遊技機としてもっぱらスロットマシンを例にとったが、本発明の実施の形態はこれに限定されず、パチンコ機などの他の遊技機にも適用することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。