図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。その両側にはアーチランプAHが設けてある。アーチランプAHは、その内部に設けられた発光素子(これは後述の電飾装置の発光素子に相当する)の点滅を通じて所定の演出を行うものである。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたリジェクトボタン133の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部205を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板(処理部)20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、メイン基板10を取り外す際に、ケースに痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップボタン140、リールユニット203、リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(ホッパ駆動部80、ホッパ81及びメダル検出部82は前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、図示しないスピーカを駆動して音響を発生するスピーカ基板201、電飾装置の発光素子を駆動してこれを点滅させるLED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
次に、遊技機における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1回胴〜第3回胴の回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1回胴〜第3回胴のうち押下されたストップボタン140に対応する回胴について回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個の回胴に対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個の回胴に対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
図5は、サブ基板20とその周辺基板(デバイス制御基板)の接続の説明図である。図3に示すように、サブ基板20には、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202が接続されている。これらは、サブ基板20の周辺基板と言うべきものである。
これら複数の周辺基板は、図5のように接続されている。すなわち、複数の周辺基板が共通のバスに接続され、当該バスを通じてサブ基板20と通信を行う。当該バスを流れる信号は、パラレル信号(例えば8ビットの線で信号を伝送するもの)あるいはシリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。なお、図5の例ではサブ基板20から出た信号がサブ基板20に戻っているが、これは一例であり、一般的なバス構造のように接続端の反対側の端が開放されていてもよい。
サブ基板20から周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板としての液晶制御基板200へデータを送る場合は、液晶制御基板200に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。液晶制御基板200は、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチに取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。取り込んだデータが、液晶制御基板200で取得したあるいは取得可能なデータをサブ基板20へ送信するコマンドであれば、当該データをサブ基板20へ送信する(所定のデータ受信後は、予め定められたデータを常にサブ基板20へ送信するようにすることもできる)。
この動作は、スピーカ基板201とLED基板202についても同様である。
液晶制御基板200はラッチとともにVDP(Video Display Processor)を内蔵している。
スピーカ基板201はラッチとともにサウンドコントローラを内蔵している。スピーカ基板201には音響を発生するデバイスとしてスピーカSPが接続されている。サウンドコントローラについては後述する。
LED基板202はラッチとともに、発光素子を駆動する駆動部を含む電飾制御部212を内蔵している。LED基板202は、電飾装置LEを制御する。電飾装置LEは、発光ダイオードなどの発光素子を含む装置であり、具体的には、例えば、図1のアーチランプAHであるが、これ以外にも、サイドランプやバックライト等が電飾装置LEに該当する。サイドランプはアーチランプAHの下部の遊技機筐体の左右両側に設けられた装置である。バックライトは、例えば、リールユニット203に内蔵される3つの回胴の内部にそれぞれ設けられた3つの発光ユニットであり、これらの発光をゲーム表示部131を通じて遊技者に見せるものである。電飾装置LEDは、単色(電球色、白色など)で発光するもの、あるいは、三原色を含むカラーで発光するものいずれでもよい。
なお、図5に示したほかの基板が接続されることもある。例えば、いわゆる役物の動作を制御する基板が接続されることがある。このような基板も、本発明の実施の形態の制御対象とすることができる。
以下の説明では、送信先を特定することなく、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの任意の送信先について適用する動作であるとき、主に「周辺基板」という用語を用いる。どの周辺基板へのデータ送信であるか特定する必要があるときは、「LED基板202」というように具体的に特定するものとする。
周辺基板へのデータ送信に際して、サブ基板20は0又は1のデータが複数集まったデータ(例えば8ビットのデータ)を単位として処理を行う。また、サブ基板20は周辺基板へ、これに所定の動作を行わせるためのコマンド(命令)を送信するが、上記データにはコマンドを含む。なお、コマンドは、所定ビットのひとまとまりのデータ、例えば8ビット単位のデータのセットであって、所定のコマンド体系に基づき作成されているものである。以下の説明では「データ」という用語を用いるが、周辺機器への命令であることを明確にするために「コマンド」という用語を用いることもある。
液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺機器へデータを送るために、サブ基板20はデータ送信部20TXを備える。データ送信部20TXは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
図6は、サウンドコントローラSCの内部ブロック図を示す。同図は概念図であり、動作の説明に必要な部分のみを示している。
SC1は、予め再生の順番が定められ、続けて再生される複数のサウンドデータを含むフレーズデータを予め記憶するフレーズデータ記憶部である。
SC2は、フレーズデータをデコードして音響を再生するデコーダである。デコーダは、所定のサウンドデータ(例えばWAV)を音響に戻すものであり、この処理は公知であるので説明は省略する。
SC3は、デコーダSC2で再生された音響の音量を調整する音量調整部である。音量調整部SC3はデジタル又はアナログ回路で構成される。その入力がデジタル信号のときはデジタル回路、例えば乗算器で構成され、ボリュームの値を音響デジタルデータに乗算することで音量を調整する。その入力がアナログ信号のときはアナログ回路、例えば増幅器で構成され、当該増幅器の増幅率(可変抵抗器)を変えることで音量を調整する。音量調整部SC3の出力はスピーカSPへ送られる。
図7(a)はフレーズデータ記憶部SC1の記憶内容の概略を示すものである。演出A,B,C,D,・・・のように複数の演出があるときそれぞれに対応してサウンドA,B,C,D,・・・(サウンドフレーズ、サウンドデータ)を記憶している。サウンドフレーズの数には上限があり、例えば255個のサウンドフレーズを記憶することができる。
図7(b)は演出Aのサウンドデータ(例えばWAV)の構造を示すものである。演出Aは3つのサウンド、すなわち第1サウンド(カットイン音)、第2サウンド(キャラボイス)、第3サウンド(発展音)から構成されている。
カットイン音とは、あるショット(場面)に別のショットを挿入するカットインに対応付けられているサウンドである。キャラボイスとは、画面に表示されているキャラクタの台詞のサウンドである。発展音とは、演出の最後に、別の演出に発展する場合に加えられるサウンドである。
サブ基板20はスピーカ基板201へ、例えば図7(b)の演出Aのカットイン音を再生するデータ、キャラボイスを再生するデータ、発展音を再生するデータをそれぞれ送信する。これら3つのデータ(コマンド)を受けて、サウンドコントローラSCが所定のサウンドを発生する。
図8は、本発明の実施の形態に係る遊技機における周辺基板の制御手順の説明図(概念的フローチャート)である。以下の説明では、スピーカ基板201に対する制御と、LED基板202に対する制御について述べ、液晶制御基板200に対する制御の説明は省略する。また、「デバイス」は、具体的には前述の電飾装置LEを意味し、「デバイス制御コマンド」はLED基板202に対するコマンドを意味する。なお、前述のように、周辺基板として図5に示したもの以外の基板(例えば役物の制御基板)が接続されることがあり、この場合は当該基板も本発明の実施の形態の制御手順の対象となる。したがって、「デバイス」は、電飾装置LE以外の物(例えば役物)も含むことがある。このことを踏まえて以下の説明においては「デバイス」という用語を使用するが、説明の便宜上、制御対象を具体的に示すために「デバイス」に代えて電飾装置LEやLED基板202と表記することもある。
サブ基板20は、メイン基板10からの所定のコマンドを受けたときなどに所定の演出を行う。例えば、特定のコマンドAを受けたとき、あるいはサブ基板20のプログラムに従って動作を行い所定の条件を満たしたときに所定の演出Aを開始する(この処理は公知であるので詳しく説明しない)。この演出Aが音響とこれに同期した電飾装置LEの点滅を含み、異なる複数の周辺基板へコマンドを送る必要のあるものであり、しかも、演出Aが指定された回数繰り返されるような場合に、図8の処理が行われる。具体的には、演出Aは、同じサウンド(音楽)が何度か繰り返され、その間、サウンドのリズムに合わせて電飾が同じパターンで点滅を繰り返すような演出である。
ところで、サブ基板20においてコマンド送信に係る処理には、割り込み処理が利用されている。サブ基板20は、図示しないがタイムカウンタを含み、これが出力する一定時間の割込信号に基づき複数の割り込み処理を順次実行する。例えば、サブ基板20は最大12系統の割り込み処理を行うことができる。これを利用して異なる12種類の処理を割り込みにより行うことができる。割り込み処理の間隔は例えば500μsである(CPUに対して割り込み処理を行うように指示する信号は割り込み信号であるが、当該信号を発生する割り込みコントローラの信号発生間隔が例えば500μsである)。ひとつの割り込み処理について着目すれば、当該割り込み処理は6ms間隔で実行されることになる。したがって、図8のS20−1とS20−2の実行間隔は6msである。なお、演出Aを実行する際にスピーカ基板201に対するコマンドとLED基板202に対するコマンドをほぼ同時に生成し、ほぼ同時に送信することができるから、図8のS10とS20−1は同時とみなしても差し支えない。
以下、図8について説明を加える。
S10:サブ基板20は、演出Aのサウンドを何度か繰り返して再生(以下「ループ再生」と表現する)させるためのコマンドをデータ送信部TXからスピーカ基板201へ送信する。このコマンドにはループ再生の回数の情報も含まれている。
S11:スピーカ基板201が上記コマンドを受信する。
S12:上記コマンドに従い、スピーカ基板201が指定されたサウンドを所定回ループ再生する。
S10乃至S12の処理は公知であるので、その詳細な説明は省略する。
図6のサウンドコントローラSCが、図7の演出Aのサウンドデータを読出し、これを指定された回数(例えば2回)繰り返し再生する。つまり、図7(b)のカットイン音〜発展MEまでの一連のサウンドが2回繰り返される。図9に示すようにこのサウンドの長さが600msであれば、S10のコマンドにより合計1200msのサウンドが発生される。なお、サウンドの繰り返し回数(例えば2回)に対応して、デバイス制御コマンドの送信が2回行われている(S20−1、S20−2)。LED202はコマンドに応じて電飾LEを点滅させる機能しか有していないので、指定された任意の時間だけ電飾LEを点灯又は消灯すること、点灯又は消灯を繰り返して行うといったことはできない。したがって、デバイス制御コマンドは繰り返し回数に応じてコマンド送信を繰り返すことになる。
ところで、サウンドの長さは、サウンドデータで決まり、任意の時間となり得る。すなわち、サウンドの長さは上記割り込み処理の間隔(6ms)には依存しない。これに対し、次に説明するようにデバイスについての繰り返し制御は上記割り込み処理の間隔(6ms)に依存する。
S20−1:サブ基板20は、演出Aのサウンドに対応して電飾LEを点滅させるためのデバイス制御コマンドをデータ送信部TXからLED基板202へ送信する。上述のように、LED202は点灯又は消灯を繰り返して行うといったことはできないので、当該コマンドにはループ再生の回数の情報は含まれない。
S21−1:LED基板202が上記コマンドを受信する。
S22−1:上記コマンドに従い、LED基板202が電飾装置LEを点滅させる。
上記コマンドは、例えば、一定時間(60ms)の間、所定のパターンで電飾装置LEを点灯又はさせるものである。例えば、電飾装置LEが8つの発光素子を備えるとき、それぞれに1バイトデータの1ビットを割り当てることで点灯(=1)と消灯(=0)を制御する。前記パターンが00000000であれば全ての発光素子を60msの間消灯させることになる。前記パターンが11111000であれば複数の発光素子の1番目から5番目を点灯、6番目から8番目を消灯させるという状態を60ms継続することになる。00000000と11111000の2つのコマンドを送ることで電飾装置LEを点滅させることができる。
なお、上記例の60msは一例であり、この他の値(例えば600ms)とすることもできる。
また、割込間隔(6ms)を単位としてデバイス制御コマンドの送信を繰り返し行うことで点灯又は消灯の持続時間を調整することもできる。上記の例では、同一のデバイス制御コマンドの送信を繰り返し2回行えば120ms動作が継続し、10回行えば600ms動作が継続する。
S20−2:サブ基板20は、S20−1と同様にデバイス制御コマンドをデータ送信部TXからLED基板202へ送信する(S20−1と同じく、例えば00000000と11111000の2つのコマンドを送る)。なお、この際、補完処理を行う。補完処理については後に詳しく説明を加える。
S21−2:LED基板202が上記コマンドを受信する。
S22−2:上記コマンドに従い、LED基板202が電飾装置LEを点滅させる。
S20−1〜S22−1とS20−2〜S22−2により演出Aに係る電飾LE(デバイス)の制御が2回繰り返される。これとS10〜S12の処理により、音響と電飾LEの組み合わせによる演出Aが2回繰り返される(言うまでもなく「2回」は例示である)。
図8の処理により実現される演出について、図9〜図11のタイミングチャートを参照して説明を加える。
もし、演出Aが、600msのサウンドを2回繰り返し、これに合わせて600msの制御(電飾LEの点滅)をデバイスに対して2回繰り返すのであれば、図9のように演出の始期と終期は一致し、両者は完全に同期している。サウンドについての演出はS10のコマンド送信で実現され、デバイスについての演出はS20−1とS20−2のコマンド送信で実現される。
もし、演出Aが、図10の符号アのように597ms(前述のようにサウンドの長さは任意に設定できる)のサウンドを2回繰り返すが、図10の符号ウのように600msの制御をデバイスに対して2回繰り返した場合、サウンドの長さは合計で1194ms、デバイスの動作時間は合計で1200msとなり、両者は一致しない。図10の符号ウでは演出の始期は一致しているが、終期については6msのズレがある(遅くなっている)。デバイスの動作時間を597msとすればズレ(誤差)は生じないが、前述のようにデバイスはタイマー割り込みにより制御しているのでその間隔である6msを単位としてしか長さを設定できないために、図10の場合はサウンドの長さにデバイスの動作時間を一致させることはできない。このズレは、演出の繰り返しに伴い累積し増大するので、遊技者に違和感を生じさせるおそれがある。
もし、演出Aが、図11の符号アのように603msのサウンドを2回繰り返し、図11の符号ウのように600msの制御をデバイスに対して2回繰り返す場合でも、図10と同様のズレが生じる。図11の符号ウでは演出の始期は一致しているが、終期については6msのズレがある(早くなっている)。図11のズレも、演出の繰り返しに伴い累積し増大するので、遊技者に違和感を生じさせるおそれがある。
そこで、発明の実施の形態では、図10と図11の符号イに示すように、デバイスの2回目の制御において時間を±6msすることでズレを解消している。割込間隔は6msであるので、両者のズレが6msに達した時点でこのような処理は可能である(この処理を本明細書において「補完処理」と表現する)。図10の符号イのようにデバイスの動作時間を6msだけ短くすることは、例えば、図8のS20−2で送信するコマンドの制御の持続時間を短くする(600ms→594ms)こと、あるいは、割り込み間隔(6ms)ごとに繰り返し送信するコマンドの送信回数を1回減らすことにより実現できる。同様に、図11の符号イのようにデバイスの動作時間を6msだけ長くすることは、コマンドの制御の持続時間を長くする(600ms→606ms)こと、あるいは、繰り返し送信するコマンドの送信回数を1回増やすことにより実現できる。割込間隔の6ms単位であれば、デバイスの動作時間を任意に増減できる。
図12は、発明の実施の形態に係る補完処理を実現するためのブロック図を示す。同図は図8の処理の説明に必要な要素のみを示し、他の要素の表示は省略している。図8の装置は、サブ基板20のCPUが予め定められたプログラムを実行することにより実現される。
2001は、予め定められた間隔(例えば6ms)で割込信号を発生するタイマーである。
2002は、スピーカSPを制御するスピーカ基板201(音響装置を制御する音響制御装置)へサウンド再生コマンド(制御コマンド)を送信するサウンド再生コマンド送信部である。サウンド再生コマンド送信部2002は、タイマー2001の割込信号に基づき制御コマンドを生成して送信する。この処理は、図8のS10に相当する。サウンド再生コマンドは、サウンド(音響)を予め定められた時間を単位として(この音響発生の単位を「単位音響」とする)、指定された回数だけ単位音響を繰り返して発生させるものである。図10の例では597msの長さのサウンドを2回繰り返して発生している。
2003は、電飾装置LE(音響に同期して音響以外の演出に係る動作を行うためのデバイス)を制御するLED基板202(デバイス制御装置)へ電飾点滅コマンド(制御コマンド)を送信するデバイス制御コマンド送信部である。デバイス制御コマンド送信部2003は、タイマー2001の割込信号に基づき制御コマンドを生成して送信する。この処理は、図8のS20−1とS20−2の処理に相当する。デバイス制御装置に対する制御コマンドは、予め定められた時間(例えば600ms)だけ電飾装置LE(デバイス)に点滅(演出)を行わせるものである。図8及び図9〜図11の例では当該制御コマンドは2回(サウンドの繰り返し回数)だけ繰り返し送信されている。
2004は、デバイス制御コマンド送信部2003の制御コマンドの送信回数を計数する繰り返し回数カウンタである。
2005は、サウンドの単位音響(図10の597msの長さのサウンド)の時間とデバイスの演出に係る動作(電飾装置LEの点滅の時間600ms)との差に応じて、補完処理を行うべきタイミングを指定するための規定数を予め記憶している規定数テーブルである(規定数の求め方は後述する)。規定数テーブル2005の内容の例を、図13に示す。
2006は、繰り返し回数カウンタ2004の値が規定数テーブル2005の規定数(あるいはこれに対応する値(例えば(規定数−1))になったときに、デバイス制御コマンド送信部2003の制御コマンドによるデバイスの演出に係る動作の時間を、規定数の符号に応じて割込信号の間隔の整数倍だけ増加又は減少させる補完処理部である。
図13(a)に示すように、規定数テーブル2005は、演出ごとのサウンドとデバイスデータ(デバイスに所定の演出を行わせるためのデータ、点滅などの情報とともに動作時間の情報を含む)の組み合わせごとに規定数を予め記憶している。同図では、例えばサウンドAとデバイスデータAの組み合わせについて規定数Aが対応付けられている。
図13(b)は規定数の求め方の説明図である。
規定数の求め方は次のとおりである。
(1)タイマー2001の割込信号の間隔をTIとする。TIは予め定められている(例えば6ms)。
(2)サウンド再生に関する単位音響の時間(図9の600ms、図10の597ms、図11の603ms)とデバイスの前記演出に係る動作の時間(図9〜図11の600ms、前述のようにTI(=6ms)を単位としてしか時間設定できない)との差(尺誤差)をTeとする。具体的には、式1:Te=(デバイスの前記演出に係る動作の時間)−(単位音響の時間)となる。Teはサウンドデータとデバイスデータの組み合わせにより定まり、予め知ることができる。
(3)式2:規定数=TI÷Te(ただし前記規定数は整数)に従って規定数を計算する。
サウンド再生に関する単位音響の時間は、割込信号の間隔で常に割り切れるとは限らない(図9のケースは割り切れるが、図10と図11では余りが生じる)。規定数は、単位音響の時間を何回繰り返せば割込信号の間隔で割り切れるようになるかを示すパラメータである。割り切れるようになれば補完処理を行うことができる(図10と図11では2回繰り返すことで割り切れるようになる)。この定義から、(規定数)×(余り)=(割込信号の間隔)の関係が成立するから、上記のように規定数を容易に求めることができる。
デバイスデータは、サウンドデータに同期するように作成されるから(実際に、サウンドデータに合わせてデバイスデータが作られるから)、両者の差Teの絶対値はTIより小さい(Teの絶対値<TI)。これを前提とすると、TI=6msとし、デバイスデータとサウンドデータの差が例えば1ms単位で生じるとしたとき、Teは+3ms、+2ms、+1ms、−1ms、−2ms、−3msのいずれかになる。仮に+4msとなったときは、そのデバイスデータによる動作の時間を調整可能なTI=6ms分だけ減少させることで、それをTe=−2msに置き換えることができる。このようにTeは上記範囲(すなわち、−TI/2から+TI/2の範囲内)で考慮すれば十分である。ただし、規定数が整数になるTIとTeの組み合わせを選択するものとする。
なお、デバイスデータとサウンドデータの差Teの絶対値が割込信号の間隔TIよりも大きい場合は、TIで補完を行うようにし(上記TI=6msの調整と同様)、このときに生じた余りについて上記のように規定数を適用すればよい。
上記具体例によれば、規定数は図13(b)の右欄のように、+3ms、+2ms、+1ms、−1ms、−2ms、−3msに対して、2,3,6,−6,−3,−2となる。なお、誤差がない±0msのときは規定数が無い、と定義しておく。
式2を変形すると、TI=規定数×Teとなる。これはデバイスデータによる動作を規定数繰り返すと、その累積誤差が調整可能なTIに達することを意味する。そこで、発明実施の形態ではそのタイミングにおいてTIを単位として時間調整することにより、誤差の累積を防止している。
すなわち、補完処理部2006は、規定数の符号が正のとき、デバイスの演出に係る動作の時間を割込信号の間隔TIだけ減少させるようにデバイス制御コマンド送信部を制御し、規定数の符号が負のとき、デバイスの演出に係る動作の時間を割込信号の間隔TIだけ増加させるようにデバイス制御コマンド送信部2002を制御する。具体的には、デバイスの演出に係る動作の時間が600msであるとき、前者の場合は594ms経過の時点で動作を中止させ(図10の符号イの斜線部分を削除する)、後者の場合は606msまで動作を延長させる(図11の符号イ’の部分を追加する)。この処理は、例えばデバイス制御コマンド送信部2002における割込信号の計数値を−1又は+1することで実現可能である。
また、補完処理部2006は、規定数が無いときは、デバイスの演出に係る動作の時間の増加又は減少を行わない(図9のように同期が取れているので行う必要がない)。
なお、(単位音響の時間)<(デバイスの前記演出に係る動作の時間)のとき規定数の符号は正となり、(単位音響の時間)>(デバイスの前記演出に係る動作の時間)のとき規定数の符号は負となる。
図14及び図15のフローチャートを参照して、図12の装置の動作について説明を加える。
なお、規定数が「無し」及びS34−1〜S38−1の処理は図9に対応し、規定数が「正」及びS34−2〜S38−2の処理は図10に対応し、規定数が「負」及びS34−3〜S38−3の処理は図11に対応する。
S31:デバイス制御コマンド送信部2003が、デバイスデータを取得する。
S32:補完処理部2006が、規定数テーブル2005からデバイスデータの規定数を取得する。
例えば、図13(a)の演出Aに係るデバイスデータAを取得したとする。これに対応する規定数は「規定数A」である。
S33:補完処理部2006が、規定数に応じて処理を振り分ける。
規定数が「無し」であればS34−1〜S38−1の処理を行い、規定数が正であればS34−2〜S38−2の処理を行って図10の符号イを実現し、規定数が負であればS34−3〜S38−3の処理を行って図11の符号イを実現する。
まず、S34−1〜S38−1の処理について説明を加える。
S34−1:デバイス制御コマンド送信部2003が、デバイス制御コマンドを送信する。
図9のように、持続時間600msとしてデバイスを動作させるコマンドを送信する。
S35−1とS36−1:タイマー割り込みに基づき、デバイスの動作が所定の持続時間に達したかどうか判定する。達していなければ当該動作を継続し、達したときはS37−1に進む。
S37−1:S36−1でYESのとき、繰り返し回数カウンタ2004の値を+1する。
S38−1:予め定められた繰り返し回数に到達したとき(YES)、デバイス制御コマンド送信部2003が処理を停止する。到達していなければ(NO)、S34−1〜S37−1の処理を繰り返す。
図9乃至図11の例では、繰り返し回数=2のときに処理を停止している。
次に、S34−2〜S38−2の処理について説明を加える。S34−2〜S37−2、S38−2は、S34−1〜S37−1、S38−1と同じであるので、これらの説明は省略する。
S40−2:補完処理部2006が、繰り返し回数が規定数に到達しているかどうか判断する。到達していれば(YES)補完処理S41−2〜S45−2を行うように制御し、到達していなければ(NO)、S34−2〜S37−2の処理を繰り返す。
例えば、繰り返し回数=(規定数−1)になったときに到達したとみなす。なお、S34−2の処理の前に「繰り返し回数の初期値を1にする」という処理を行うようにしたときは、繰り返し回数=規定数になったときに到達したとみなすことができる。このようにS40−2の具体的な判定は初期値や繰り返し回数カウンタ2004の動作態様によって若干異なるが、いずれも、繰り返し回数カウンタ2004の値が規定数に対応する値かどうかを判断するという点では同じである。
S41−2:補完処理部2006が、補完時間=持続時間−割り込み間隔を求め、これをデバイス制御コマンド送信部2003へ渡す。
S40−2により、繰り返し回数=(規定数−1)又は繰り返し回数=規定数になったときに補完処理を行うので、ここではデバイスの動作時間の調整単位である割り込み間隔を減算する。なお、補完処理の回数を減らすために、規定数の整数倍でS40−2の判断を行う場合、具体的には、繰り返し回数=(所定の整数×規定数−1)又は繰り返し回数=所定の整数×規定数になったときにS41−2の処理を行う場合は、S41−2において、割込信号の間隔の整数倍の補完を行う(補完時間=持続時間−所定の整数×割り込み間隔)。「所定の整数」が大きいほど補完処理の回数が減る。遊技者が違和感を感じない程度に「所定の整数」を定めればよい。
S42−2:デバイス制御コマンド送信部2003が、デバイス制御コマンドを送信する。
このときのデバイスの動作の持続時間は、補完時間である。
S43−2とS44−2:タイマー割り込みに基づき、デバイスの動作が補完時間に達したかどうか判定する。達していなければ当該動作を継続し、達したときはS45−2に進む。
S45−2:S44−2でYESのとき、繰り返し回数カウンタ2004の値を+1する。
次に、S34−3〜S38−3の処理について説明を加える。S34−3〜S37−3、S42−3〜S45−3、S38−3は、S34−2〜S37−2、S42−2〜S45−2、S38−2と同じであるので、これらの説明は省略する。
S40−3:補完処理部2006が、繰り返し回数が規定数の絶対値(規定数が負であるので絶対値を求めている)に到達しているかどうか判断する。到達していれば(YES)補完処理S41−3〜S45−3を行うように制御し、到達していなければ(NO)、S34−3〜S37−3の処理を繰り返す。
具体的には、繰り返し回数=(規定数の絶対値−1)になったときに到達したとみなす。これはS40−2と同様である。
S41−3:補完処理部2006が、補完時間=持続時間+割り込み間隔を求め、これをデバイス制御コマンド送信部2003へ渡す。
発明の実施の形態によれば、動作時間を任意に設定できるサウンドの演出と、動作時間をタイマー割り込み間隔でしか設定できないデバイスの演出との尺誤差を抑制することができ、両演出を同期させることができる。特に、同じサウンド・デバイスの演出が繰り返される場合において、尺誤差が累積することを避けることができる。尺誤差が累積しないので2つの演出のズレが大きくならない。遊技者は演出のズレを認識しないから、遊技者に演出のズレという違和感を生じることがなくなる。
発明の実施の形態では既存のデバイスデータを補完して使用しているので、そのデータ量が増大するという問題は生じない。これに対し、繰り返し回数に応じてそれぞれデバイスデータを用意するようにすれば尺誤差の累積を避けることができるものの、データ量が繰り返し回数の倍数にまで増えてしまう。データ量の増大を避けることができるという点で本発明の実施の形態は優れている。
なお、以上の説明においては、もっぱらサブ基板20に接続されている電飾装置などのデバイスを例にとり説明を加えたが、本発明の実施の形態はメイン基板10に接続されているリールユニット203などのデバイスについても適用することができる。例えば、図16に示すように、タイマー2001〜補完処理部2006をメイン基板10に設け、デバイス制御コマンドでリールユニット203を制御することで、サウンドと演出に係る回胴の回転を正確に同期させることができる。図16では、サウンド再生コマンドはサブ基板20を経由してスピーカ基板201へ送られるが、これに要する伝播時間は割り込み間隔に比べて十分小さく、無視することができる。
図16の装置は、いわゆる回胴演出を行う遊技機に好適である。通常、回胴はスタートスイッチの押下による遊技の開始で回転し、ストップスイッチの押下で停止するものであるが、回胴による演出機能を備えるスロットマシンでは、スタートスイッチ押下からストップボタン押下までの期間、より正確に言えばスタートスイッチ押下から回胴が定常回転になるまでの期間において、各回胴を不規則に上下に動かすなどの特殊な動作を行うことで、内部当選を報知することがある(通常遊技における回胴の動きは一方向かつ一定速度の規則的なものであるから、演出による回胴の動きとは容易に区別することができる)。このようなリールの動作は、回胴演出と呼ばれる。この回胴演出に発明の実施の形態を適用することができる。
以上の説明においてスロットマシンを例に取り上げたが、本発明の実施の形態はこれに限らずパチンコ機のようなほかの遊技機にも適用できることは言うまでもない。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。