JP5866324B2 - 中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このようにブランク部を押圧した場合には、接合板材が雌型の凹空間に流体圧力によって引き込まれる際に接合板材に生じる引っ張り力が雌型の凹空間の形状に応じて変化することにより、接合板材において局部的に過大な引っ張り力が発生する場合があり、中空状構造部品の板厚が不均一となってしまう場合がある。
流体圧力により押し広げられることで前記凹空間(10A,11A)に沿った形状に形成される前記接合板材(12)のうちの主膨張部(12X)を、前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の内側に形成される内部空間(S)内に配置するとともに、前記接合板材(12)のうちの前記主膨張部(12X)の外周側に位置するブランク部(12Y)を、前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に配置し、
前記内部空間(S)において内周長が一定であって最長に延びる最長定常部(S3)から前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法を最も大きく設定し、前記最長定常部(S3)よりも短い部位(S1,S2,S4,S5)から前記凹空間(10A、11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法は、前記最長定常部(S3)よりも短い部位(S1,S2,S4,S5)の長さが前記最長定常部(S3)よりも短くなるに従い前記最長定常部(S3)から延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法よりも漸次小さくなるように設定し、
前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間のクリアランス(C)を、前記ブランク部(12Y)の厚み(t1)よりも大きく設定し、中空状構造部品を成形することを特徴とする。
前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)との間の屈曲点(P1)及びその近傍から前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法を、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの長いもの側が大きくなるように設定することを特徴とする。
前記ブランク部(12Y)が漸減を開始する幅寸法変化開始点(P2)を、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの長いものの前記ブランク部(12Y)の幅寸法を変化させない場合の前記ブランク部(12Y)の外形線(L1)と、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの短いものの縁部の延長線(L2)と、の交点(P3)近傍に設定することを特徴とする。
前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)との変曲点(P4)及びその近傍から前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法を、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の大きいもの側が大きくなるように設定することを特徴とする。
前記ブランク部(12Y)が漸減を開始する幅寸法変化開始点(P5)を、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の大きいものの前記ブランク部(12Y)の幅寸法を変化させない場合の前記ブランク部(12Y)の外形線(L3)と、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の小さいものの該曲率半径の曲率円(L4)と、の交点(P6)近傍に設定することを特徴とする。
詳しくは、ブランク部が固定されないことにより、接合部材における最長定常部で変形される部位は、成形前後で板厚の変化がなく或いは略変化がなく、その他の最長定常部よりも短い部位は、典型的には、最長部定常部から屈曲したり、湾曲したり、縮径したりして最長定常部よりも短じかくなる部位であるが、このような短い部位によって変形される接合部材の部位は、ブランク部が小さくされて摩擦力が抑制されるため、成形前後での板厚の変化が抑制される。これにより、本発明の方法では、板厚が均一な中空状構造部品を好適に成形することができる。
図1は、本発明に係る方法により成形される中空状構造部品の一例であるサイレンサの外筒部Mを示している。外筒部Mは金属材料から形成された中空筒状体であり、一端部が図示しない排気管との接続のために開放され、他端部が閉塞されている。
なお、実施形態で説明する前後等の向きは、実施形態の説明の便宜のために規定するものであり、必ずしも実際の外筒部Mや後述する雌型の向きを示すわけではなく、実施形態における向きは本発明を限定するものではない。
なお、以下では、本実施形態でいう前後方向に直交する方向で切断した場合の断面を、縦断面と呼ぶものとする。
本実施形態に係るハイドロフォーム成形方法では、図2に示す上側雌型10、下側雌型11、及び形成材料となる接合板材12を用い、上記した外筒部Mを成形する。
凹空間10A及び凹空間11Aは、上面視(型合わせ方向視)で見た場合に、輪郭線が同一とされて重なり合う形状とされている。
そして、接合板材12の上記した流入口から例えば水等の流体を接合板材12の間に流入して、接合板材12の内側に流体圧力を供給して接合板材12を押し広げることで、凹空間10A,11Aに対応した形状の外筒部Mを成形する。
なお、成形時に、主膨張部12Xは凹空間10A,11Aに引き込まれて、成形後に、凹空間10A,11Aに沿った形状とされる部位であるが、ブランク部12Yの一部も、成形時に、凹空間10A,11Aに引き込まれる。
さらに、図3に示すように、内部空間Sから外周縁部10B、11Bの間に延びるブランク部12Yの幅寸法を、内部空間Sの形状に応じて変化させて設定する。
そして、この最長定常部S3から外周縁部10B,11Bの間に向けて延びるブランク部12Yの幅寸法W3が、ブランク部12Yのうちで最も大きく設定される。なお、この例において幅寸法は、前後方向に直交する方向に延びる寸法のことをいう。
なお、定常部S1〜S5は、内部空間Sにおいて、縦断面における断面形状が相似で、その外表面が連続して滑らかに延びる部位を形成する部位ごとで分けている。
なお、外形線L1は、縦断面の定常部に内周長から規定され、定常部における内周長が一定の部位では、一定に算出されるものであり、例えば、後述する演算で求める。
そして、後側第1定常部S4と後側第2定常部S5との変曲点P4及びその近傍から外周縁部10B,11Bの間に向けて延びるブランク部12Yの幅寸法は、後側第1定常部S4と後側第2定常部S5とのうちの曲率半径の大きいもの側が大きくなるように設定される。すなわち、この例では、後側第1定常部S4は断面で円錐台状であるため、その縁部の曲率半径は限りなく大きく、後側第2定常部S5の曲率半径よりも大きい。
このため、変曲点P4及びその近傍からの外周縁部10B,11Bの間に向けて延びるブランク部12Yの幅寸法は、後側第1定常部S4側が大きくなっている。
後側第1定常部S4と後側第2定常部S5とに跨るブランク部12Yが漸減を開始する幅寸法変化開始点P5は、後側第1定常部S4の幅寸法を漸減させない場合のブランク部12Yの外形線L3と、後側第2定常部S5の縁部の曲率円L4と、の交点P6近傍に設定される。
このような寸法は、上側雌型10の凹空間10A又は下側雌型11の凹空間11Aの縦断面における内周長よりも、成形前における、接合板材12の幅寸法を大きくすればよく、この例では、成形後に、ブランク部12Yの端部が、溶接部12Cの溶接長Aだけ残存するようにしている。なお、残存したブランク部12Yの端部は、成形後に調整加工される。
図7に示すように、縦断面における定常部S1〜S4の下側雌型11の凹空間11Aでは、凹空間11Aと外周縁部11Bとが連なる2つの角部分が円弧状に面取りされ、角部分から連なる部位が半円弧状に形成されている。
なお、角部分の円弧状の面取りの曲率半径は、定常部S1〜S4で同一とされている。
そして、円弧状の2つの角部分の周長をそれぞれD1と規定し、半円弧状の部位の半分の周長をD2と規定した場合に、凹空間11Aの内周長は、「2×D1+2×D2」と規定できる。
そして、ブランク部12Yの端部が、成形後に、外周縁部10B,11B間に溶接部12Cの溶接長Aだけ残存するようにするには、図4に示すように、成形前の接合板材12の幅寸法を「2×A+2×D1+2×D2」とすればよい。
なお、成形後に、外周縁部10B,11B間に残存するブランク部12Yの端部に余裕をもたすために、2×(A+余裕長さ)としても構わない。
そして、本実施形態では、基準長RWの端点と、「2×A+2×D1+2×D2」で定めた後側第1定常部S4のブランク部12Yの端点を滑らかに円弧で結ぶことで、後側第2定常部S5から延びるブランク部12Yの幅寸法が設定される。
なお、本実施形態では、上記のようにブランク部12Yが成形後に溶接長A分だけ残存する寸法をブランク部12Yに設定した上で、最長定常部S3から外周縁部10B,11Bの間に向けて延びるブランク部12Yの幅寸法W3が、ブランク部12Yのうちで最も大きく設定され、内部空間Sにおいて最長定常部S3よりも前後方向において短い部位から外周縁部10B,11Bの間に向けて延びるブランク部12Yの幅寸法が、最長定常部S3よりも短い部位の長さが最長定常部S3よりも短くなるに従い(或いは、短くなる程)最長定常部S3から延びるブランク部12Yの幅寸法よりも漸次小さくなる関係としたものである。
すなわち、接合板材12が上側雌型10の凹空間10A及び下側雌型11の凹空間11Aに流体圧力によって引き込まれる際にブランク部12Yが外周縁部10B,11Bとの間で摺接することにより生じる摩擦力が小さいブランク部12Yの幅寸法を大きくし、摩擦力が大きくなるブランク部12Yの幅寸法を小さくし、かつブランク部12Yを上側雌型10及び下側雌型11で押圧せずに、接合板材12間に流体圧力を供給する。
これにより、本実施形態に係るハイドロフォーム成形方法では、スムーズに接合板材12が上側雌型10の凹空間10A及び下側雌型11の凹空間11A内に供給されるとともに、接合板材12に局部的に引っ張り力が大きく働くのが抑制されるため、板厚が均一な中空状構造部品を好適に成形することができる。
10 上側雌型(雌型)
10A 凹空間
11 下側雌型(雌型)
11A 凹空間
12 接合板材
12X 主膨張部
12Y ブランク部
S 内部空間
Claims (7)
- 互いに重ね合わされて外周縁部を接合されたステンレス材からなる接合板材(12)を、それぞれに凹空間(10A,11A)が形成され、該凹空間(10A,11A)の開放側を互いに対向させて配置された一対の雌型(10,11)の間に配置し、
前記接合板材(12)の間に流体圧力を供給して前記接合板材(12)を押し広げることで、前記凹空間(10A,11A)に対応した形状の中空状構造部品を成形する中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法において、
流体圧力により押し広げられることで前記凹空間(10A,11A)に沿った形状に形成される前記接合板材(12)のうちの主膨張部(12X)を、前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の内側に形成される内部空間(S)内に配置するとともに、前記接合板材(12)のうちの前記主膨張部(12X)の外周側に位置するブランク部(12Y)を、前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に配置し、
前記内部空間(S)において内周長が一定であって最長に延びる最長定常部(S3)から前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法を最も大きく設定し、前記最長定常部(S3)よりも短い部位(S1,S2,S4,S5)から前記凹空間(10A、11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法は、前記最長定常部(S3)よりも短い部位(S1,S2,S4,S5)の長さが前記最長定常部(S3)よりも短くなるに従い前記最長定常部(S3)から延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法よりも漸次小さくなるように設定し、
前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間のクリアランス(C)を、前記ブランク部(12Y)の厚み(t1)よりも大きく設定し、中空状構造部品を成形することを特徴とする中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。 - 前記ブランク部(12Y)の幅寸法を、前記接合板材(12)と前記雌型(10,11)との間の摩擦力に応じて増減して設定することを特徴とする請求項1に記載の中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。
- 一の前記凹空間(10A,11A)の内周長よりも、前記接合板材(12)の幅寸法を大きく設定し、前記ブランク部(12Y)の幅寸法を、成形後に、その端部が前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に残存する寸法に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。
- 前記内部空間(S)に、前記最長定常部(S3)を含む複数の定常部(S1,S2,S4,S5)が形成され、前記定常部(S1,S2,S3,S4,S5)のうちの一の定常部(S2)が、隣接する他の定常部(S3)に対して屈曲して連なるように形成された前記雌型(10,11)を用い、
前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)との間の屈曲点(P1)及びその近傍から前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法を、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの長いもの側が大きくなるように設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。 - 前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とに跨る前記ブランク部(12Y)における幅寸法を、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの長いもの側から短いもの側に向けて漸減するように設定し、
前記ブランク部(12Y)が漸減を開始する幅寸法変化開始点(P2)を、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの長いものの前記ブランク部(12Y)の幅寸法を変化させない場合の前記ブランク部(12Y)の外形線(L1)と、前記一の定常部(S2)と前記他の定常部(S3)とのうちの短いものの縁部の延長線(L2)と、の交点(P3)近傍に設定することを特徴とする請求項4に記載の中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。 - 前記内部空間(S)に、前記最長定常部(S3)を含む複数の定常部(S1,S2,S4,S5)が形成され、前記定常部(S1,S2,S3,S4,S5)のうちの一の定常部(S4)に、隣接する他の定常部(S5)が湾曲して延びるように形成された前記雌型(10,11)を用い、
前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)との変曲点(P4)及びその近傍から前記凹空間(10A,11A)の外周縁部(10B,11B)の間に向けて延びる前記ブランク部(12Y)の幅寸法を、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の大きいもの側が大きくなるように設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。 - 前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とに跨る前記ブランク部(12Y)における幅寸法を、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の大きいもの側から小さいもの側に向けて漸減するように設定し、
前記ブランク部(12Y)が漸減を開始する幅寸法変化開始点(P5)を、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の大きいものの前記ブランク部(12Y)の幅寸法を変化させない場合の前記ブランク部(12Y)の外形線(L3)と、前記一の定常部(S4)と前記他の定常部(S5)とのうちの曲率半径の小さいものの該曲率半径の曲率円(L4)と、の交点(P6)近傍に設定することを特徴とする請求項6に記載の中空状構造部品のハイドロフォーム成形方法。
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