JP5861151B2 - 小型りん - Google Patents
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Description
一般的には径が大きいほど振動数の少ない相対的に低い音が出ることが公知である。
近年、住環境の都市化や宗教観の変化から仏壇が小型化されつつある。
それに伴い、仏具の小型化も要求されるようになっているが、いわゆる三具足、五具足と称されるような仏具にあっては比較的小型化が容易であるものの、りんは単に小型化するだけでは打音が高音になり過ぎ、それまで和やかで伸びのある音を好んでいた人にとっては受け入れ難いものであった。
また、りんの厚みを薄くする方法では強度の維持が難しいだけでなく、伸びのある音が得られない。
特許文献2には、上向きに開口する小径鈴体の上側に、下向きに開口する大径鈴体からなる共鳴音の調整を可能にした鈴具を開示するが、固有振動そのものを少なくできるものではない。
基底部の形状は平面形状に近いものや球面に近い凸面形状等であってもよく、特に限定はない。
基底部の底面が平面状であれば、載置安定性に優れ、この底面が曲面状であれば、りんを載置し打りん場合に、りんが左右、前後に揺らぐ効果が生じる。
基底部の内面も平面状であれば、りん側部の根元と基底部の境目がはっきりするが、この内面が曲面の場合には、りん側部の根元と基底部の境目がなだらかになる。
また、りん側部は基底部から椀状に立設したものでも筒状や球面状に立設したものでもよい。
ここで、帯状とは相対的に上下方向の方が左右方向よりも細く長いことをいい、必ずしも上下方向に直線上である必要はなく、部分的にあるいは全体的に左右方向に曲がり部を有する曲線状でもよい。
さらには、スリット部は、りん側部の基底部側から前記開口端まで連続して延在していてもよい。
このようにスリット部を有し、それらがりんの開口端までつながっているとりん開口縁の振動に、より大きな影響を与える。
特にスリット部の上端がりん側部の開口端までつながっているとはスリット部の上端がそのまま開口するように切欠いた状態になっていることを意味し、スリット部にて分割されたりん側部がそれぞれ振動する端部エレメントとして作用する。
対称性があると、共振性が高くなり、高次の振動モードにも変化を与える。
また、基底部と、当該基底部周縁から立設したりん側部とを有し、りん側部の上端は開口端になっているとともに、当該りん側部は、打音調整のための貫通孔を、基底部の中心部を通過する垂直軸線廻りに点対称になるように複数有するような形態であってもよい。
りん側部の形も曲面形状の他に多面体形状とした、いわゆるミラーボールのようにしてもよい。
特にりんの開口端まで切欠いた複数のスリットを有するりんにあってはさらにこの最大外接円直径が56mm以下、42mm以下の小型に製作しても一次モードの振動数を2,200Hz以下に抑えることができる。
りん側部の中心軸廻り最大外接円の直径が小さくなるにつれて、りんの高さ寸法も小さくして良く、お椀状のりんに形成する場合には、りんの高さ寸法をりん側部の最大外接円の直径と同等以下が良い。
また、スリット部から漏れる音の回折効果により内部で発生した音が全体的に外に広がり、味わいのある音色が発現する。
スリット部の切欠き幅や長さ(深さ)によっても音の高低や音色に影響を与え、スリット部の長さはりん側部の高さの1/5〜2/3程度がよい。
また、分割された端部エレメントの形状によっても音色や加わる高い音の成分が変化する。
従って、分割された端部エレメントの上部、開口端側を外側に広げるように伸ばしたり曲げたりすることでも音色の調整ができる。
この場合に、各端部エレメントを基底部の中心部を通過する垂直軸線廻りに点対称になるように、変形させるのが良い。
複数の薄肉部、又はスリット部を基底部の中心部を通過する垂直軸線廻りに点対称に設けると、一次モードの振動数を低くすることができるだけでなく、この基本音が強調され、音に伸びが生じ余韻が強く残る音色になる。
一方、りん全体を薄肉にし、部分的に上下方向の厚肉部を形成することで強度向上を図りながら全体として一次モードの振動数の上昇を抑えることもできる。
本発明に係るりんは、小型化による振動数の上昇を抑える効果があり、りん側部や基底部の厚みも振動数に影響を与え、これらの肉厚は約1mm〜4mm程度が良い。
りん10は基底部11の周縁からりん側部12を立設し、りん側部12にはりんの開口端13から基底部11側に向けてスリット状に切欠いたスリット部14を複数有する。
本実施例では基底部11の中心を通過する垂直軸線20廻りに複数のスリット部14を点対称になるように形成した例である。
スリット部14の数は2の整数倍、特に4の整数倍がよく、本実施例1は8本有する例となっている。
スリット部の長さ(深さ)寸法h、開口端幅寸法d1及び基部幅寸法d0を適宜設定することでスリット部14にて分割された複数の端部エレメント15の振動数が変化し、りん側部全体の一次モードの振動数が少なくなるのに加え、端部エレメント15の振動が加味されることで伸びがあり、味わいのある音色となる。
スリット部14の深さ寸法は、りん側部の高さの1/5〜2/3の範囲が好ましく、本実施例では約1/3に設定し、基部幅寸法d0よりも開口端幅寸法d1を小さくすることで端部エレメント15の形状が正面視、略長方形になるように設定した例となっている。
実施例1に示した形状でりん側部の軸廻りにおいて最大となる外接円の直径が40mmの真鍮製のりんを試作し評価したところ、一次モードの振動数は約2,000Hzであった。
端部エレメント15aは、スリット部14aにて分離しているので開口端側を部分的に垂直にしたり、あるいは花びらが開くように外側に折り曲げることもできる。
図5(b)に薄肉部17の断面図を示す。
サンプルA:図1に示した形状スリット数8つ、軸廻り最大径38mm、りん側部の肉
厚2mm、スリット幅d0=d1=3mm、スリット深さh=10mm、
りんの全高約28mm
サンプルB:サンプルAと形状が同じで、りん側部の肉厚を1mmにしたもの
サンプルC:サンプルAと同じ外形及び肉厚でスリット部が無いもの
サンプルA、B、Cの振動数の測定チャートを図10、図11及び図12にそれぞれ示す。
この結果、スリット部の無い球形椀状のサンプルCは、一次モードの振動数が約5,350Hzであったものがスリット部を有するサンプルAは、一次モードの振動数が約2,180Hzであり、大幅に振動数が小さくなっているとともに二次モード以上の高次のモードの振動数の発現にも差が認められた。
また、肉厚の薄いサンプルBは一次モードの振動数が約1,120Hzとさらに小さくなっていた。
11 基底部
12 りん側部
13 開口端
14 スリット部
15 端部エレメント
16 スリット部
20 垂直軸線
Claims (1)
- 基底部と、当該基底部周縁から立設したりん側部とを有し、
りん側部の上端は開口端になっているとともに、開口端外径よりもりん側部外径が大きい椀状であり、当該りん側部は略垂直方向帯状に延在させたスリット部を有し、
前記スリット部は、りん側部の基底部側から前記開口端まで連続して延在し、且つ基底部の中心部を通過する垂直軸線廻りに点対称となるように2の整数倍であって4本以上有し、
前記スリット部の基部幅寸法d 0 よりも開口端部寸法d 1 の方が小さく設定してあり、
前記りん側部の中心軸廻り外接円直径が62mm以下であって、且つ一次モードの振動数が2,200Hz以下であることを特徴とするりん。
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