JP3870117B2 - ウッドゴルフクラブヘッドおよびウッドゴルフクラブ - Google Patents

ウッドゴルフクラブヘッドおよびウッドゴルフクラブ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウッドゴルフクラブヘッドおよびウッドゴルフクラブに関し、特にゴルフボールを打球した際の打球音を改善することができるウッドゴルフクラブヘッドおよび該ヘッドを備えたウッドゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフクラブの打球音は重要視されてきており、様々な改善提案がなされている。またゴルフクラブヘッドの大型化に伴い、打球音は大きくなる傾向にある。加えて打球時に聞こえる打球音は、ゴルフクラブヘッドの良し悪しだけではなく、打球動作や打球点の良し悪しなど様々な情報を打球者のみならず周囲のものにまで与えるものであるから、このような観点からも打球音の音色の重要性は増しているといえる。
【0003】
打球音の改善に関し、従来から種々の提案がなされているが、その中に下記の各公報に記載のものがある。
【0004】
たとえば特開平10−179817号公報には、フェース部材の材質および熱処理条件を適切に選択することで、6〜8kHzの周波数帯域の打球音残響性を高めたチタン製ゴルフクラブウッドの製造方法が開示されている。
【0005】
特開平10−179818号公報には、フェース部材の材質および熱処理条件を適切に選択することで、6〜8kHzの周波数帯域の打球音残響性を高め、4〜6kHzの周波数帯域の打球音残響性を低くしたチタン製ゴルフクラブウッドの製造方法が開示されている。
【0006】
特開平10−179819号公報には、フェース部材の材質および熱処理条件を適切に選択することで、4〜6kHzおよび8〜10kHzの周波数帯域の打球音残響性を高めたチタン製ゴルフクラブウッドの製造方法が開示されている。
【0007】
特開2000−300700号公報には、インパクト加振法による測定法において、インパクト音のピーク周波数が4500〜8000Hzの範囲にあり、かつ、該インパクト音のピーク周波数のピーク音圧が78dB(A)以上を示すように、打撃主要部ないし全体を構成したゴルフクラブが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ゴルフクラブの打球音は、短いといえども減衰して聞こえなくなるまでに約0.5秒ほどかかり、その内訳は、最初にボールとヘッドの衝突によって生じる大きな打撃音と、それに続くボールがヘッドから離れた後の、主にヘッドによる残響音とに大別される。
【0009】
打球音のエネルギーは、ボールとヘッドの衝突によってヘッドにもたらされるものであるが、この間ヘッドはフェース面の打点にボールが衝突時の大きな力で押しつけられた状態となっている。その後、ボールはヘッドから離れ、ヘッドはヘッド自身の固有振動数の周波数の音を中心として、これにシャフトなどヘッドに付属している他の部品の音などの種々の音が加わった残響音を発する。これらの音全体が合わさって打球音となる。
【0010】
ところで、物体が振動することで音は発生するが、一般に物体はその物体固有の幾つかの振動しやすい振動モードと振動数とをもっており、それを固有振動数と呼んでいる。誰がどのような強さで叩いても音叉がいつも同じ高さ(周波数)の音を出したり、ギターなどがその弦の長さの半波長や1波長の周波数の高さの音を出すのはこの原理を利用したものである。なお、周波数と振動数はほぼ同じ意味であるが、音や電波に関する場合に周波数を、物体に関する場合には振動数を用いることが多い。
【0011】
また、基本周波数の異なるいくつかの単音を同時に聞くとき、それらの基本周波数が簡単な整数比をなすときは澄んだ快音感を生じる。この時それらの音は協和しているといい、その組合せを協和音という。これに対して基本周波数が簡単な整数比からずれているときは、濁った不快な感じを受ける。このとき音は協和しておらず、その組合せを不協和音という。
【0012】
たとえば2つの単音の基本周波数の比が1:2のときは音楽上のオクターブの和音、2:3は純5度、3:4は純4度の和音になる。ただし、比が簡単でなくなるほど協和の度合いは低くなる。また、2つの音だけでなく、3つの音が2以上5以下の簡単な自然数の整数比をもつと、音楽でいうところの和音となり、より快適な音となることが知られている。
【0013】
前述のように、打球音は、最初フェース面のほぼ中央部分を拘束した状態での各種の振動モードの固有振動数の音が基本となり、その後拘束のない状態でのヘッドの各種の振動モードの固有振動数が基本となった音である。
【0014】
したがって、打球した際の前半部の音と後半部の音の振動数が簡単な整数比、たとえば2:3や1:2であれば、打球音はその立ち上がりから収束に至るまで不協和音を生ずることなく自然な心地良い音となるが、これらの比から固有振動数がずれたヘッドでは、打球音が耳障りな不協和音となってゴルファーに不快感を与えることに加え、打点の良否、いわゆるナイスショットの判断を著しく困難にしてしまう。
【0015】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、心地良い打球音を発し、打球動作や打点の良し悪しの判断をも容易に行うことができるウッドゴルフクラブヘッドおよびウッドゴルフクラブを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るウッドゴルフクラブヘッドは、フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との比を、n:n+1(nは1以上3以下の整数)としたことを特徴とする。
【0017】
ヘッドの拘束状態での一次の固有振動数と、ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との関係を上記のように整数比の関係とすることにより、拘束状態のヘッドから発する音と、非拘束状態のヘッドから発する音とを協和させることができ、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0018】
好ましくは、当該比の値を、1:2、2:3のいずれかにする。つまり、非拘束状態での一次の固有振動数をフェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数の2倍あるいは1.5倍とする。なお、2.0±0.1倍以内(オクターブの関係)あるいは1.5±0.1倍以内(純5度の関係)とした場合も、実質同一である。
【0019】
この場合、拘束状態のヘッドから発する音と、非拘束状態のヘッドから発する音を、オクターブの関係あるいは純5度の関係とすることができる。よって、これらの音を協和させることができ、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0020】
フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数は、好ましくは、600Hz以上1200Hz以下である。またヘッドの体積は、好ましくは、300cm3以上500cm3以下である。
【0021】
フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態でのソール部が関係する振動モードでの固有振動数との比を1:3にすることが好ましい。つまり、非拘束状態でのソール部が関係する振動モードでの固有振動数を、拘束状態の一次の固有振動数の3倍とする。なお、3±0.2倍以内であれば実質同一である。また、「ソール部が関係する振動モード」とは、ソール部が凸凹する振動モード(たとえば図12,13に示すモード3,4)のことである。
【0022】
また、フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態でのフェース部が関係する振動モードでの固有振動数との比を1:n(nは3以上5以下の整数)とすることが好ましい。つまり、フェース部が関係する振動モードでの固有振動数を、拘束状態での一次の固有振動数の3倍、4倍あるいは5倍とする。なお、3±0.2倍以内、4±0.2倍以内、5±0.2倍以内の場合も実質同一である。ここで、「フェース部が関係する振動モード」とは、フェース部が凸凹する振動モード(たとえば図14に示すモード5)のことである。
【0023】
また、フェース部が凸凹する振動モードの固有振動数とともにソール部が凸凹する振動モードの固有振動数をも、フェース拘束状態での一次の固有振動数および非拘束状態でのヘッドの一次の固有振動数と協和音の関係とすることにより、打球音をより一層効果的に協和音とすることができる。たとえば、フェース拘束状態での一次の固有振動数、非拘束状態でのヘッドの一次の固有振動数、非拘束状態でのソール部が関係する振動モードでのヘッドの固有振動数と、非拘束状態でのフェース部が関係する振動モードでのヘッドの固有振動数とを、1:2:3:4とすることにより、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0024】
本発明のウッドゴルフクラブは、上述のゴルフクラブヘッドを備える。それにより、打球時に協和音あるいはそれに近い音を発するゴルフクラブが得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のウッドゴルフクラブは、ヘッド、シャフトおよびグリップを備える。ヘッドは、たとえば金属製であり、フェース部、クラウン部、サイド部およびソール部を有する。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用する。
【0026】
本発明では、ウッドゴルフクラブヘッドにおけるフェース部やクラウン部などの各部の肉厚や弾性率を変化させることによって各部の剛性を変化させ、それにより各振動モードにおける固有振動数を変化させてフェース部拘束時のヘッドの固有振動数と、非拘束(フリー)時のヘッドの固有振動数を変化させ、その比を1:2や2:3,3:4などの和音の関係にすることにより、自然で心地良い打球音を発生させるようにしたものである。
【0027】
ここで、「非拘束時」とは、ヘッドを全く拘束していない状態のことで、いわゆる自由振動の状態である。これに対し、固有振動数測定時などヘッドをフェース部中央で加振機に接着固定して加振するような状態を強制振動の状態と呼ぶ。
【0028】
フェース部拘束時におけるヘッドの固有振動数は、フェース部中央を加振機に接着剤等にて固定して共振周波数を走査することにより測定することができる。また、ヘッドの非拘束の状態での固有振動数は、ヘッドのネック端など剛性が非常に高く影響の比較的少ない箇所で剛性のほとんどない糸等を用いてヘッドを保持して近似的にヘッドを非拘束状態にし、微小な加速度センサをヘッド各部に貼り付けて固有振動数を測定することができる。
【0029】
本願発明者等は、ウッドゴルフクラブヘッドの振動モードおよび固有振動数を詳細に評価するため、今回プロ−メカニカ(パナメトリック・テクノロジー・コーポレーション社製)の有限要素法の固有値解析ソフトを用いた。
【0030】
解析用データはフェース面やクラウン面など各面の中立面のサーフェスを用い、解析用メッシュにはシェル要素を用い、メッシュ分割サイズは自動設定とし、各面間の結合は節点共有とした。
【0031】
そして各部の肉厚を任意に設定し、かつその材料の弾性率を設定し、拘束条件を設定することにより、当該ヘッドの各種の振動モードやその固有振動数を解析し算出することができる。
【0032】
たとえば薄肉中空構造を持つチタンメタルウッドにおいて、フェース部、クラウン部、サイド部、ソール部およびネック部の各部の肉厚を設定し、チタン材料の比重および弾性率を入力し、フェース部の中央を拘束する条件を設定すれば、フェース部拘束状態におけるヘッドの固有振動数を算出でき、拘束なしにすれば非拘束状態におけるヘッドの固有振動数を算出することができる。
【0033】
一例として体積が300cm3程度のチタンウッドヘッドにおいて、フェース部肉厚2.8mm、クラウン部肉厚1.0mm、サイド部肉厚1.0mm、ソール部肉厚1.2mmの場合、フェース部拘束状態におけるヘッドの固有振動数は、1058、1919,2576,3122,3521,3942,4622…Hzで、非拘束状態におけるヘッドの固有振動数は、1937,2615,3194,3548,3903,4531、4940…Hzとなる。
【0034】
このとき、非拘束状態におけるヘッドの一次の固有振動数は、フェース部拘束状態におけるヘッドの一次の固有振動数の1.83倍となっており、必ずしも協和音の関係にはなっていない。
【0035】
そこで、本発明に係るウッドゴルフクラブヘッドでは、フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との比を、簡単な整数比、たとえばn:n+1(nは1以上3以下の整数)とする。
【0036】
好ましくは、フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との比を、1:2、2:3のいずれかにする。つまり、非拘束状態での一次の固有振動数をフェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数の2倍(オクターブの関係)あるいは1.5倍(純5度の関係)とする。なお、2.0±0.1倍以内あるいは1.5±0.1倍以内とした場合も、実質同一である。
【0037】
ヘッドの拘束状態での一次の固有振動数と、ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との関係を上記のものとすることにより、拘束状態のヘッドから発する音と、非拘束状態のヘッドから発する音との関係を、協和音の関係、たとえばオクターブの関係あるいは純5度の関係とすることができる。したがって、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができ、心地良い打球音を発し、かつ打球動作や打点の良し悪しの判断をも容易に行えるウッドゴルフクラブが得られる。
【0038】
フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数は、好ましくは、600Hz以上1200Hz以下である。
【0039】
フェース拘束時の一次の固有振動数が1200Hzを超えるウッドゴルフクラブヘッドは、剛性が高いので打球音が元々あまり大きくない。よって、上述した協和音の効果をそれほど期待できない。他方、フェース拘束時の一次の固有振動数が600Hz下回ると、ヘッドの剛性が低くなり、強度や反発性能等の点で好ましくない影響があるものと考えられる。したがって、フェース拘束時の一次の固有振動数を上記範囲とすることにより、ヘッドの強度や反発性能等の低下を抑制しながら打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0040】
上記ヘッドの体積は、好ましくは、300cm3以上500cm3以下である。通常ヘッド質量はヘッド以外の要素との関係でほぼ決定されてしまうので、ヘッド体積を大きくしてもヘッド質量を増大させることはできない。そのため、ヘッド体積が大きくなればなるほどヘッド各部の肉厚が薄くなり、打球音が大きくなる。したがって、ヘッド体積を300cm3以上と大きくした場合に、上述した協和音の効果が顕著となる。しかし、ヘッドの体積が500cm3を超えると、ヘッドの重心が高くなりすぎたり、ヘッドの各部肉厚が薄くなりすぎて打球音が極端に大きくなり、かえって好ましいものではなくなる。
【0041】
フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態でのソール部が関係する振動モードでの固有振動数との比を1:3にすることが好ましい。つまり、非拘束状態でのソール部が関係する振動モードでの固有振動数を、拘束状態の一次の固有振動数の3倍とする。なお、3.0±0.2倍以内であれば実質同一である。また、「ソール部が関係する振動モード」とは、ソール部が凸凹する振動モード(たとえば図12,13に示すモード3,4)のことである。
【0042】
このようにフェース拘束状態での一次の固有振動数と、非拘束状態での一次の固有振動数とを協和音の関係にするとともに、打球時の発音部として大きな影響があるソール部が凸凹する振動モードの固有振動数をも協和音の関係とすることにより、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0043】
フェース部の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態でのフェース部が関係する振動モードでの固有振動数との比を1:n(nは3以上5以下の整数)とすることが好ましい。つまり、フェース部が関係する振動モードでの固有振動数を、拘束状態での一次の固有振動数の3倍、4倍あるいは5倍とする。なお、3.0±0.2倍以内、4.0±0.2倍以内、5.0±0.2倍以内の場合も実質同一である。ここで、「フェース部が関係する振動モード」とは、フェース部が凸凹する振動モード(たとえば図14に示すモード5)のことである。
【0044】
この場合にも、フェース拘束状態での一次の固有振動数と、非拘束状態での一次の固有振動数とを協和音の関係にするとともに、打球時の発音部として大きな影響があるフェース部が凸凹する振動モードの固有振動数をも協和音の関係とすることにより、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0045】
また、フェース部が凸凹する振動モードの固有振動数とともにソール部が凸凹する振動モードの固有振動数をも、フェース拘束状態での一次の固有振動数および非拘束状態での一次の固有振動数と協和音の関係とすることにより、打球音をより一層協和音に近づけることができる。たとえば、フェース拘束状態での一次の固有振動数、非拘束状態での一次の固有振動数、非拘束状態でのソール部が関係する振動モードでの固有振動数および非拘束状態でのフェース部が関係する振動モードでの固有振動数を、1:2:3:4とすることにより、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができる。
【0046】
【実施例】
以下、図1〜図16を用いて、本発明の実施例について説明する。
【0047】
図1は、本発明の実施例1における金属製ウッドゴルフクラブのヘッド1の斜視図である。図2は、図1のヘッド1の断面図である。なお、シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用できるので、本願明細書において図示および説明は省略する。
【0048】
図1および図2に示すように、本発明のヘッド1は、フェース部2と、クラウン部3と、サイド部4と、ソール部5とを備え、チタンあるいはチタン合金で構成される。このヘッド1を作製するには、たとえばフェース部2、クラウン部3、サイド部4およびソール部5を構成する各パーツを鍛造成形し、該パーツを溶接等により接合すればよい。また、本発明のゴルフクラブを作製するには、該ヘッド1を周知の手法でシャフトおよびグリップと接続すればよい。
【0049】
本実施例では、標準的なヘッドの例として、体積が300cm3、フェース部2の肉厚が2.8mm、クラウン部3の肉厚が1.0mm、サイド部4の肉厚が1.0mm、ソール部5の肉厚が1.2mmのヘッドを挙げ、このヘッドの各部の肉厚や材料の弾性率等の各種パラメータを変化させる。
【0050】
この標準的なヘッドの振動モードおよび固有振動数を詳細に評価するため、上述のプロ−メカニカ(パナメトリック・テクノロジー・コーポレーション社製)の有限要素法の固有値解析ソフトを用い、表1、表2に示すように各部の肉厚およびその材料の弾性率を設定し、拘束条件を設定することにより、当該ヘッドの各種の振動モードとその固有振動数を算出した。なお、比重はすべて4.83とした。
【0051】
【表1】
Figure 0003870117
【0052】
【表2】
Figure 0003870117
【0053】
拘束時の振動モードは、図3〜図9に示すモード1〜7であり、非拘束時の振動モードは、図10〜図16に示すモード1〜7である。これらの図では、変形前のヘッド1を実線で示し、ヘッドの各部の変形後の状態の一例を破線で示している。
【0054】
上記の標準的なヘッドのフェース拘束時の固有振動数は、表1および表2の1a,1bに示す値となり、フェース中央部拘束の一次の固有振動数(モード1)と、非拘束の状態のヘッドの一次の固有振動数(モード1)との比b1/a1の値は、1.83となっており、必ずしも協和音の関係にはなっていない。
【0055】
そこで、表1の2a,2bのようにフェース部2の肉厚を1割下げると、フェース中央部拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を2.0とすることができる。また、クラウン部3の肉厚を2割厚くしても、表1の3a,3bに示すように、フェース中央部拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約2.0とすることができる。なお、表1には示していないが、クラウン部3だけでなく、サイド部4やソール部5に対しても同様に肉厚を厚くすることにより、上記比の値をほぼ2とすることができる。
【0056】
上記のように各部の肉厚だけでなく、フェース部2の剛性を下げる手段としてフェース部2の弾性率を下げても、表1の4a,4bのように上記比b1/a1の値をほぼ2とすることができる。同様に、フェース部2以外の部分の剛性を上げる手段としてクラウン部3、サイド部4あるいはソール部5の弾性率を上げても、上記比の値をほぼ2とすることができる。また、ヘッド1の各部の肉厚と、各部の弾性率との双方を変化させて上記比の値をほぼ2とすることもできる。
【0057】
なお、各部の弾性率を下げる方法としては、チタン合金の場合は熱処理による方法があり、材料自体をチタンからアルミニウム、鋼からチタン、アルミニウムからマグネシウムに変えることも有効である。各部の弾性率を上げるには、これらとは逆の方法が考えられる。すなわち、チタン合金の場合は冷間処理による方法があり、材料自体をアルミニウムからチタン、チタンから鋼、マグネシウムからアルミニウムに変えることが考えられる。
【0058】
次に、表2の5a,5bに示すように、フェース部2の肉厚を2割上げると、フェース中央部拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を1.5に近い値とすることができる。また、表2の6a,6bに示すように、クラウン部3の肉厚を4割下げても、上記比の値をほぼ1.5に近い値とすることができる。
【0059】
各部の肉厚だけでなく、フェース部2の弾性率を上げたり、フェース部2以外の部分の弾性率を下げることによっても、表2の7a,7bに示すように、上記比の値を1.5に近い値とすることができる。また、各部の肉厚と、各部の弾性率とをともに調節することで、上記比の値をほぼ1.5に近い値とすることも可能である。
【0060】
なお、表2に示す例では、比b1/a1の値を1.5±0.1の範囲内にはないが、ヘッド1の肉厚や弾性率を適切に調節することで、比b1/a1の値を1.5±0.1の範囲内にすることは可能である。
【0061】
ソール部5が主に振動するモードであるソール関連の振動モードには、図12,13に示す非拘束時のモード3,4が対応するが、クラウン部3の肉厚を適当に厚くすることにより、表1の3a,3bに示すように、フェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約2.0とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの三次の固有振動数(モード3:ソール関連の振動モード)との比b3/a1の値を約3.0とすることができる。
【0062】
また、表2の5a,5bに示すように、フェース部2の肉厚を適当に厚くすることにより、フェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約1.5とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの四次の固有振動数(モード4:ソール関連の振動モード)との比b4/a1の値を約3.0とすることができる。
【0063】
フェース部2が主に振動するモードであるフェース関連の振動モードには、図14〜16に示す非拘束時のモード5〜7が対応するが、フェース部2の弾性率を適当に下げることにより、表1の4a,4bに示すように、フェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約2.0とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの七次の固有振動数(モード7:フェース関連の振動モード)との比b7/a1の値を約5.0とすることができる。
【0064】
また表2の6a,6bに示すように、フェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約1.5とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの七次の固有振動数(モード7:フェース関連の振動モード)との比b6/a1の値を約4.0とすることができる。
【0065】
また、クラウン部3の肉厚を適切に厚くすることにより、表1の3a,3bに示すように、フェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約2.0とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの三次の固有振動数(モード3:ソール関連の振動モード)との比b3/a1の値を約3.0とし、さらにフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの七次の固有振動数(モード7:フェース関連の振動モード)との比b7/a1の値を約5.0とすることができる。
【0066】
さらに、表2の7a,7bに示すように、フェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束状態のヘッドの一次の固有振動数との比b1/a1の値を約1.5とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの四次の固有振動数(モード4:ソール関連の振動モード)との比b4/a1の値を約3.0とし、かつフェース拘束時の一次の固有振動数と、非拘束の状態のヘッドの七次の固有振動数(モード7:フェース関連の振動モード)との比b7/a1の値を約4.0とすることができる。
【0067】
なお、上述の実施例では、ヘッド1のフェース拘束状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との比を、1:2あるいは2:3とした場合について説明したが、ヘッド1の各部の厚みや材質を適切に調節することで、上記の比を3:4とすることも当然に可能である。
【0068】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、ヘッドの拘束状態での一次の固有振動数と、ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との関係を適切に調節することにより、拘束状態のヘッドから発する音と、非拘束状態のヘッドから発する音を、協和音あるいはそれに近い関係の音とすることができる。具体的には、たとえば拘束状態のヘッドから発する音と、非拘束状態のヘッドから発する音をオクターブの関係や純5度の関係とすることができる。したがって、打球音を協和音あるいはそれに近い音とすることができ、心地良い打球音を得ることができるばかりでなく、打球動作や打点の良し悪しの判断をも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属製ウッドゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【図2】 本発明の金属製ウッドゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図3】 フェース中央部を拘束した場合の一次の振動モード(モード1)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図4】 フェース中央部を拘束した場合の二次の振動モード(モード2)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図5】 フェース中央部を拘束した場合の三次の振動モード(モード3)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図6】 フェース中央部を拘束した場合の四次の振動モード(モード4)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図7】 フェース中央部を拘束した場合の五次の振動モード(モード5)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図8】 フェース中央部を拘束した場合の六次の振動モード(モード6)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図9】 フェース中央部を拘束した場合の七次の振動モード(モード7)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図10】 ヘッドの非拘束状態の一次の振動モード(モード1)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図11】 ヘッドの非拘束状態の二次の振動モード(モード2)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図12】 ヘッドの非拘束状態の三次の振動モード(モード3)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図13】 ヘッドの非拘束状態の四次の振動モード(モード4)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図14】 ヘッドの非拘束状態の五次の振動モード(モード5)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図15】 ヘッドの非拘束状態の六次の振動モード(モード6)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【図16】 ヘッドの非拘束状態の七次の振動モード(モード7)におけるヘッドの変形状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ヘッド、2 フェース部、3 クラウン部、4 サイド部、5 ソール部、6 ネック部。

Claims (7)

  1. ゴルフクラブヘッドのフェース部(2)の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態での一次の固有振動数との比を、n:n+1(nは1以上3以下の整数)とした、ウッドゴルフクラブヘッド。
  2. 前記比を、1:2、2:3のいずれかにした、請求項1に記載のウッドゴルフクラブヘッド。
  3. 前記フェース部(2)の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数は、600Hz以上1200Hz以下である、請求項1または請求項2に記載のウッドゴルフクラブヘッド。
  4. 前記ヘッドの体積が300cm3以上500cm3以下である、請求項3に記載のウッドゴルフクラブヘッド。
  5. 前記フェース部(2)の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態でのソール部(5)が関係する振動モードでの固有振動数との比を1:3にした、請求項1から請求項4のいずれかに記載のウッドゴルフクラブヘッド。
  6. 前記フェース部(2)の中央部を拘束した状態での一次の固有振動数と、当該ヘッドの非拘束状態での前記フェース部(2)が関係する振動モードでの固有振動数との比を1:n(nは3以上5以下の整数)とした、請求項1から請求項5のいずれかに記載のウッドゴルフクラブヘッド。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のヘッドを備えたウッドゴルフクラブ。
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