JPH11299937A

JPH11299937A - ゴルフボールの打撃時に残響を発生できるゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JPH11299937A
Application number: JP10113599A
Authority: JP
Inventors: Shinya Murayama; 信也村山
Original assignee: SAN WORK KK
Current assignee: SAN WORK KK
Priority date: 1998-04-23
Filing date: 1998-04-23
Publication date: 1999-11-02

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明の主目的は、ゴルフボールの打撃時に
心地よい音響的アウトプットが得られる残響を発生する
ゴルフクラブヘッドを提供することにある。【解決手段】打撃方向の幅が高さより大きい金属製包
囲壁本体を有し、該包囲壁本体はその内部にキャビティ
を形成しかつほぼ垂直な打撃面を備え、少なくとも１つ
の細長い舌部材が形成されたゴルフクラブヘッド。舌部
材は、包囲壁本体の内面からキャビティ内への内方に突
出しておりかつ打撃面とのゴルフボールの衝突時に感知
可能な残響を発生するのに充分な長さの自由端部を有し
ている。舌部材は、打撃面に対してほぼ平行であり、か
つ１cmより大きい幅および１〜２．５mmの範囲内の厚さ
を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はゴルフクラブヘッド
に関し、より詳しくは、ゴルフボールの打撃時に大きい
残響を発生できるゴルフクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】図１には、一般に金属で作られる慣用的
なウッド型のゴルフクラブヘッド１０が示されており、
該ゴルフクラブヘッド１０は、ゴルフクラブを形成すべ
くシャフト（図示せず）に連結できるホーゼル１１を備
えた中空の主本体１０ａを有している。

【０００３】図２には別の慣用的なゴルフクラブヘッド
２０が示されており、該ゴルフクラブヘッド２０は、ゴ
ルフクラブを形成すべくシャフト（図示せず）に同様に
連結できるホーゼル２２を備えた中空の主本体２０ａを
有している。中空の主本体２０ａは前方打撃部を有し、
該前方打撃部に近いソールの内面にはカウンタバランス
２１が一体に形成されている。該カウンタバランス２１
は打撃作動中の安定性を与え、これにより、中空の主本
体２０ａにより打撃されるゴルフボールをより遠くに飛
ばすことを可能にする。

【０００４】従来のゴルフクラブの主な欠点は、ゴルフ
ボールとの衝撃時に、ゴルフクラブヘッドから、心地よ
い音響的アウトプットが得られる或る大きさの残響を発
生できないことにある。

【０００５】また、よい音響的アウトプットを得るため
に、打撃面のスイートスポットに見合うヘッドの内部
に、打撃面に直交する空洞を設け、該空洞に外部に抜け
る孔を連設して、スイートスポットで打撃したとき快音
を生じさせるようにしたものがある（特開昭５１−８０
４２８号公報）。このクラブは、前記空洞を形成する手
段の一つとして打撃面に直交する２枚の壁を設けている
が、該壁には音響上の作用はなく、打撃面で生じた衝突
音を空洞と孔を経て外部に伝播することにより快音を生
じさせようとするものであるから、残響は生じ難いと思
われる。

【０００６】また、中空のヘッドを強化するために、ヘ
ッドの内部に、十字形又はハニカム形の補強壁や、打撃
面と平行又は直交する補強壁を周壁と一体的に設けたク
ラブが特開昭６３−２６４０８５号公報に記載されてい
る。このクラブにおいても、各補強壁には音響上の作用
はなく、打撃音を良好にする手段として、周壁と補強壁
の間及び補強壁相互の間に発砲樹脂を充填している。こ
のクラブにおける補強壁は、補強の性質上その剛性が大
きく、振動により残響効果を生じるような自由端部は設
けられていない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の主目的は、ゴ
ルフボールの打撃時に心地よい音響的アウトプットが得
られる残響を発生するゴルフクラブヘッドを提供するこ
とにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】従って、本発明のゴルフ
クラブヘッドは、打撃方向の幅が高さより大きい金属製
の包囲壁本体を有し、該包囲壁本体はその内部にキャビ
ティを形成しかつ前面にロフト角が小さい打撃面を備
え、更に前記包囲壁本体の内面から前記キャビティ内へ
打撃面とほぼ平行に突出した包囲壁本体と一体の少なく
とも１つの細長い舌部材を有し、該舌部材は、１cmより
大きい幅および１〜２.５mmの範囲内の厚さを有し、且
つ打撃面とのゴルフボールの衝突時の振動によって大音
響と長い残響を発生できる長い自由端部を有することを
特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の特徴及び長所は、添付図
面に関連して述べる本発明の好ましい実施形態について
の以下の詳細な説明により明らかになるであろう。

【００１０】図３および図４には本発明のゴルフクラブ
ヘッド３０が示されており、該ゴルフクラブヘッド３０
は、ゴルフクラブを形成すべくシャフト（図示せず）に
連結されるホーゼル３４を備えた、打撃方向の幅が高さ
より大きい金属包囲壁本体３０ａを有している。金属材
料としてはチタン、アルミ合金等が用いられる。包囲壁
本体３０ａにはキャビティ３０ｂが形成されており、包
囲壁本体３０ａは、ほぼ垂直な前方打撃面３１すなわち
フェースと、下方の舌部材４１と、上方の舌部材４２と
を有している。これらの舌部材４１、４２は、それぞ
れ、壁本体３０ａの上方の内壁部３３および下方の内壁
部３２からキャビティ３０ｂ内に突出し、残響デバイス
４０を形成している。上下の各舌部材４１、４２の長手
方向に伸びる先端側端部が、打撃面３１へのゴルフボー
ルの衝突時の振動による感知可能な残響を発生させるの
に充分な長さを有する自由端部となっている。

【００１１】好ましい実施形態では、舌部材４１、４２
は、包囲壁本体３０ａ内で、打撃面３１に対してほぼ平
行に、互い違いの関係をなして配置されるように設計さ
れている。各舌部材４１、４２は、１cmより大きい幅
（Ｘ）および１〜２.５mmの範囲内の厚さ（Ｙ）を有し
ている。

【００１２】ゴルフボールが壁本体３０ａの打撃面３１
を打撃すると、舌部材４１、４２の先端側端部が振動
し、これにより音波が発生されかつ壁本体３０ａの内面
に衝突後、反復して反射され、感知可能な残響を発生す
る。この結果、プレーヤの周囲の環境には心地よい音響
的アウトプットが発生する。

【００１３】図５には本発明の別の実施形態が示されて
いる。この実施形態は、包囲壁本体３０ｃ内に形成され
た残響デバイス５０が、下方の内壁部３３ｃからキャビ
ティ内に突出する比較的広い幅（Ｘ）をもつ１つの舌部
材５１を有している点を除き前の実施形態とほぼ同じで
ある。舌部材５１の先端側端部は、打撃面３１ｃがゴル
フボールを打撃したときに舌部材５１が振動できるよう
に、包囲壁本体３０ｃの上方の内壁部３２ｃから僅かに
間隔を隔てている。

【００１４】図６以下は、出願人の依頼によって東京都
立産業技術研究所長が発行した成績書における測定装置
と測定結果を転記したもので、チタン製の１播ウッドに
つき、本発明の図５に示したクラブと、市販されている
他の２社のクラブを比較するために実験が行なわれた。
前記測定装置は、図６に示されたものであり、クラブヘ
ッド６０を定位置に固定し、そのフェース６０ａに衝突
させるための金属球６１を糸６２で支点６３から吊り下
げ、金属球６１の衝突位置の中心から５００mm離れた位
置にマイクロホン６４を設置している。金属球６１は直
径２３．８mm，重さ５５．３ｇのボールベアリングであ
り、支点６３から金属球６１の中心までの距離は２２５
mmであり、糸６２が垂直線と４５°の角度をなすように
金属球６１を引き上げ、この位置で金属球６１を解放
し、矢印のように振らせてフェースに衝突させ、衝突音
をマイクロホン６４で受けてスペクトル分析し、その結
果が図７〜９に示されている。図７〜９において、線図
は前記成績書のとおりであるが、符号ｇ₁〜ｇ₁₃，ａ₁〜
ａ₆，ｂ₁〜ｂ₆は出願人が記入したものである。

【００１５】この試験装置において、クラブを固定して
これに金属球を衝突させるようにし、且つゴルフボール
を使用せず金属球を用いた理由は、音響実験室内におい
てはゴルフボール又はクラブを実際の打球時と同程度の
高速度で運動させる手段を設けることが困難であったこ
と、また図６の実験装置でゴルフボールを用いると音が
小さくて検出困難であることによる。

【００１６】図７は本発明のクラブヘッドの測定結果を
示すもので、高い音圧レスポンスが周波数のほぼ全域に
わたって発生している。図中の符号ｇ₁〜ｇ₁₃は、出願
人が記入したもので、音圧レスポンスが約２０ｄＢ以上
の山を形成し、且つ該山より周波数が高い隣の山との差
が１０ｄＢ以上のものが殆どの高い山に見られる。この
ように、山が高く、且つ周波数の高い隣の山との差の大
きい山が多いほど、大きい音として聴覚に作用する傾向
がある。

【００１７】図８はＡ社のクラブヘッドの測定結果を示
すもので、図中ａ₁〜ａ₆は、前記ｇ₁〜ｇ₁₃と同じ基準
で選択したものであり、図７に比べると高い山数は２分
の１であり、その分布も高周波数側に偏在している。

【００１８】図９はＢ社のクラブヘッドの測定結果を示
すもので、図中ｂ₁〜ｂ₆は図７のｇ₁〜ｇ₁₃と同じ基準
で選択したものである。このクラブヘッドも図７のもの
に比べると高い山数は２分の１であり、その周波数は中
間の周波数部分に偏在している。

【００１９】次に示す表１は、前記各クラブにおける残
響時間測定結果を示すものである。

【００２０】表１品名残響時間（秒）本発明１番ウッド２．２６Ａ社〃１．９４Ｂ社〃１．９２この残響時間の測定において、測定周波数帯域は２０Ｈ
ｚ〜１２．５ＫＨｚの全帯域とし、記録計の動特性は騒
音計のＪＩＳ規格におけるＦＡＳＴとし、記録紙上に記
載された残響波形から音圧レベルが６０ｄＢ減衰するの
に相当する時間を残響時間としたもので、表１には各被
測定品につき５回の測定値の平均値が示されている。表
１において、本発明のゴルフクラブの残響時間は、他社
のゴルフクラブに比べて１６．５〜１８％長く、この差
が大きい響きの差となって聞こえると思われる。

【００２１】以上のとおり、本願発明のクラブは、他社
のクラブに比べて、スペクトル分析及び残響時間の測定
結果において格段の差があるものである。また、これら
のクラブをゴルフ練習場において実際に打ち比べてみる
と、本発明のクラブは、従来のクラブから想像できない
程の格段に大きい打球音を発生しており、このため使用
者が打球したことを強く実感することができ、爽快な感
じさえ与えられる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、以上のとおり金属製の包囲壁
本体の内部のキャビティに、打撃面に対してほぼ平行で
自由端部をもつ細長い舌部材を設けたことにより、打球
時に残響を伴う大きい打撃音を発生させることができ、
使用者は打球したことを強く実感でき、打撃練習又は競
技の励みになる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】慣用的なゴルフクラブヘッドを示す分解斜視図
である。

【図２】他の慣用的なゴルフクラブヘッドを示す分解斜
視図である。

【図３】本発明のゴルフクラブヘッドを示す分解斜視図
である。

【図４】図３の４−４線に沿う本発明のゴルフクラブヘ
ッドの断面図である。

【図５】本発明の別の好ましい実施形態を示す断面図で
ある。

【図６】音響試験装置の配置図

【図７】本発明のクラブのスペクトル分析結果を示す図
表

【図８】他社のクラブのスペクトル分析結果を示す図表

【図９】更に他社のクラブのスペクトル分析結果を示す
図表

【符号の説明】

３０ゴルフクラブヘッド３０ａ、３０ｃ包囲壁本体３０ｂキャビティ３１打撃面３２、３２ｃ上方の内壁部３３、３３ｃ下方の内壁部３４ホーゼル４０、５０残響デバイス４１上方の舌部材４２下方の舌部材５１舌部材Ｘ舌部材の幅Ｙ舌部材の厚さ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】打撃方向の幅が高さより大きい金属製の
包囲壁本体を有し、該包囲壁本体はその内部にキャビテ
ィを形成しかつ前面にロフト角が小さい打撃面を備え、
更に前記包囲壁本体の内面から前記キャビティ内へ打撃
面とほぼ平行に突出した包囲壁本体と一体の少なくとも
１つの細長い舌部材を有し、該舌部材は、１cmより大き
い幅および１〜２.５mmの範囲内の厚さを有し、且つ打
撃面とのゴルフボールの衝突時の振動によって大音響と
長い残響を発生できる長い自由端部を有することを特徴
とするゴルフクラブヘッド