JP5860374B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置として利用する、無段変速装置の改良に関する。
具体的には、低速用クラッチ及び高速用クラッチの断接に基づいて、変速比(減速比)の大きな低速モードと、変速比(減速比)の小さな高速モードとを切り換える構造を有する無段変速装置で、前記低速用クラッチ又は高速用クラッチが接続されるタイミングの不具合が、重大な損傷に結び付くのを防止できる構造の実現を意図したものである。
車両(自動車)用変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、例えば多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されていて周知である。又、変速比の変動幅を大きくすべく、トロイダル型無段変速機と差動ユニット(例えば歯車式の差動ユニットである遊星歯車式変速機)とを組み合わせた無段変速装置も、例えば特許文献1〜2等に記載される等により従来から広く知られている。これら両特許文献には、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を停止させる、所謂ギヤード・ニュートラル(GN)状態を挟んで、この出力軸の回転状態を正転、逆転に切り換えられるモード(例えば、第一のモード、低速モード)を備えた無段変速装置が記載されている。
図4〜5は、前記両特許文献に記載される等により、従来から知られている、ギヤード・ニュートラル状態を実現できるモードを備えた無段変速装置を示している。このうちの図4は無段変速装置のブロック図を、図5は、この無段変速装置を制御する為の油圧回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、特許請求の範囲に記載した入力部材である主軸3に入力される。この主軸3に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機5に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機5の構成部材の差動成分が、クラッチ装置6、即ち、図5の低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8を介して、特許請求の範囲に記載した出力部材に相当する出力軸9に取り出される。又、前記トロイダル型無段変速機4は、入力ディスク10と、力ディスク11と、複数個のパワーローラ12と、複数個のトラニオン(図示省略)と、アクチュエータ13(図5)と、押圧装置14と、変速比制御ユニット15とを備える。
このうちの入力ディスク10及び力ディスク11は、例えば特許文献2の図4〜5に具体的構造が記載されている様に、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。又、前記各パワーローラ12はそれぞれがトロイド曲面であり、互いに対向する前記入力ディスク10の軸方向側面と前記力ディスク11の軸方向側面の間に挟持されて、こ入力ディスク10とこの力ディスク1の間で動力(力、トルク)を伝達する。又、前記各トラニオンは、前記各パワーローラ12を回転自在に支持している。又、前記アクチュエータ13は、油圧式のもので、前記各パワーローラ12を支持した前記各トラニオンを、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記入力ディスク10と出力ディスク11との間の変速比を変える。又、前記押圧装置14は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものであり、前記入力ディスク10と前記出力ディスク11とを互いに近付く方向に押圧する。又、前記変速比制御ユニット15は、前記入力ディスク10と出力ディスク11との間の変速比を所望値にする為に、前記アクチュエータ13の変位方向及び変位量を制御する。
図示の例の場合、前記変速比制御ユニット15は、特許請求の範囲に記載した制御器に相当する制御器(ECU)16と、この制御器16からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ17と、ライン圧制御用電磁弁18と、押圧力制御用電磁弁19と、モード切換用電磁弁20と、このうちのステッピングモータ17及びモード切換用電磁弁20により作動状態を切り換えられる制御弁装置21とにより構成している。尚、この制御弁装置21は、変速比制御弁22と、特許請求の範囲に記載した低速側電動式制御弁及び低速用電磁式調圧弁に相当する低速クラッチ用制御弁23と特許請求の範囲に記載した高速側電動式制御弁及び高速用電磁式調圧弁に相当する高速クラッチ用制弁24(図5)とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁22は、前記アクチュエータ13への圧油の給排を制御するものである。又、前記低速クラッチ用制御弁23及び高速クラッチ用制弁24は、前記モード切換用電磁弁20に相当するもので、前記低速用クラッチ7及び高速用クラッチ8への油圧の導入状態を切り換える。即ち、前記低速クラッチ用制御弁23と前記高速クラッチ用制御弁24とが合わさって、前記モード切換用電磁弁20となる。具体的には、前記低速クラッチ用制御弁23は、前記低速用クラッチ7の油圧室への油圧の導入状態を切り換えるものである。一方、前記高速クラッチ用制御弁24は、前記高速用クラッチ8の油圧室への油圧の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ2部分から取り出した動力により駆動される給油ポンプ25から吐出した圧油は、前記制御弁装置21並びに前記押圧装置14に送り込まれる。即ち、油溜26(図5)から吸引されて前記給油ポンプ25により吐出された圧油は、押圧力調整弁27(図5)により所定圧に調整される。この押圧力調整弁27は、前記アクチュエータ13にピストンを挟んで設けた1対の油圧室同士の間に存在する油圧の差(差圧)に応じた油圧、並びに、前記制御器16からの指令により制御される前記ライン圧制御用電磁弁18の開閉に基づく油圧の導入に基づき、開弁圧を調節される。そして、この開弁圧を最高値として、前記押圧力制御用電磁弁19が、前記押圧装置14が発生する押圧力を、その時点での運転状態に応じた最適な値に規制する。
又、前記ライン圧制御弁18及び前記押圧力調整弁27により調整された油圧は、減圧弁28、前記低速クラッチ用制御弁23又は高速クラッチ用制御弁24を介して、前記低速用クラッチ7の油圧室内又は高速用クラッチ8の油圧室内に送り込まれる。又、この低速用クラッチ7は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤード・ニュートラル状態)を含む}低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、前記高速用クラッチ8は、前記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に、前記高速モードを実現する際に接続される。又、前記低速用クラッチ7及び前記高速用クラッチ8への圧油の給排状態は、前記モード切換用電磁弁20の切り換えに応じて切り換えられる。尚、前記低速用クラッチ7及び前記高速用クラッチ8の切り換えに基づいて、前記低速モードと前記高速モードとを切り換える際には、無段変速装置全体としての速度比(1/減速比)が前記低速モードと前記高速モードとで同じとなる様に、前記トロイダル型無段変速機4の速度比を調節する。
尚、前記制御器16には、入力ディスク回転センサ29、出力ディスク回転センサ30、出力軸回転センサ31が検出する各部の回転速度を表す信号を入力すると共に、エンジン制御器32との間で信号の受け渡しを行わせる他、前記低速用クラッチ7及び前記高速用クラッチ8の断接状態を表す変速モード切換信号を入力している。又、セレクトレバーの操作位置を表すT/Mセレクト位置信号、手動変速の為のパドルシフト信号、ブレーキペダル操作の有無を表すフットブレーキ信号、アクセルペダルの踏み込み量を表すアクセルペダル開度信号を、前記エンジン制御器32を介して、前記制御器16に入力している。
図6は、トロイダル型無段変速機4の速度比と無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。例えば、前記低速用クラッチ7が接続され、前記高速用クラッチ8の接続が断たれた低速モードでは、実線αで示す様に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、ギヤード・ニュートラル状態を実現できる値(GN値、GNポイント)から減速側に変化させる程、無段変速装置全体としての変速比を停止状態(変速比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に、増速する方向に変化させられる。又、同じくGN値から増速側に変化させる程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速する方向に変化させられる。一方、前記高速用クラッチ8が接続され、前記低速用クラッチ7の接続が断たれた高速モードでは、実線βで示す様に、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を増速側に変化させる程、前記無段変速装置全体としての変速比を(前進方向に)増速側に変化させられる。
前記低速モードと前記高速モードとの切り換え、即ち、前記低速用クラッチ7及び前記高速用クラッチ8の断接は、前記両実線α、β同士の交点γで行う。このγ点では、前記低速モード状態での変速比と前記高速モード状態での変速比とが互いに一致する。前記低速モードと前記高速モードとの間での切り換え時には、例えば特許文献3、4等により従来から知られている様に、それまで接続されていなかったクラッチを接続し、一次的に前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とを同時に接続する。その後、次に実現すべきモードに対応する、新たに接続されたクラッチのみを接続したまま、それまで接続されていたクラッチの接続を断つ。これにより、モード切換時の変速ショックの低減を図る。
上述の様な無段変速装置で、モード切換を円滑に行う為には、前記低速モードと前記高速モードとの切り換えの瞬間に、この低速モードとこの高速モードとの間で、無段変速装置の変速比が一致している事が条件になる。この変速比が一致していない状態で前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とを同時に接続すると、前記トロイダル型無段変速機4に過大な負荷が加わる。具体的には、前記入力ディスク10及び前記力ディスク11と前記各パワーローラ12との転がり接触部(トラクション部)で転がり接触する1対の面同士の周速が互いに不一致になる。この結果、前記各転がり接触部で過大な滑り(グロススリップ)が発生して、前記トロイダル型無段変速機4の耐久性が著しく損なわれる。更に著しい場合には、このトロイダル型無段変速機4が短時間で破損し、無段変速装置を搭載した車両の走行が不能になる可能性もある。
尚、この様な問題は、トロイダル型無段変速機と歯車式の差動機構とを組み合わせて成り、油圧式の低速用クラッチ及び高速用クラッチの断接により、低速モードと高速モードとを切り換える形式の無段変速装置であれば、必ずしもギヤード・ニュートラルを実現できる構造でなくても生じる。例えば、特許文献5に記載されている様に、低速モード時にはトロイダル型無段変速機でのみ動力を伝達し、高速モード時にはトロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とで動力を伝達する事で、伝達効率を高める、所謂パワー・スプリットと呼ばれる無段変速装置も、従来から知られている。この様なパワー・スプリット型の無段変速装置でも、モード切換時に同様の問題を生じる。
特許文献6〜11には、自動車用変速機のクラッチの故障を検知する為の構造に就いて記載されているが、何れも、モード切換時に、同時に接続する事を前提とした無段変速装置の特殊性を考慮したものではなく、上述の様な問題の解決には利用できない。
特開2011−174486号公報 特開2012−002330号公報 特開2005−291486号公報 特開2009−197892号公報 特開平11−236955号公報 特開平01−120461号公報 特開平01−135951号公報 特許第2882794号公報 特許第3823728号公報 特開2008−120224号公報 特開2010−151193号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、低速用クラッチ及び高速用クラッチの断接により低速モードと高速モードとを切り換えるべく、この低速モードとこの高速モードの切換時に前記低速用クラッチと前記高速用クラッチを同時に接続する機能を備え、この低速用クラッチ又はこの高速用クラッチが接続されるタイミングの不具合が、重大な損傷に結び付くのを防止できる無段変速装置を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、エンジンにより回転駆動される入力部材と、トロイダル型無段変速機と、歯車式の差動機構と、被駆動部を回転駆動する為の出力部材と、これらトロイダル型無段変速機と差動機構との間の動力の伝達状態を切り換える為の、油圧室内への油圧の導入の有無により断接される、それぞれが油圧式の低速用クラッチ及び高速用クラッチと、この低速用クラッチの油圧室内への油圧の導入状態を切り換える為の低速側電動式制御弁と、前記高速用クラッチの油圧室内への油圧の導入状態を切り換える為の高速側電動式制御弁と、前記トロイダル型無段変速機の変速比調節すると共に、前記低速側電動式制御弁の開閉に基づく前記低速用クラッチの断接及び前記高速側電動式制御弁の開閉に基づく前記高速用クラッチの断接を切り換える為の変速制御器とを備える。
そして、この変速制御器からの指令に基づき、前記低速側電動式制御弁と前記高速側電動式制御弁とを選択的に切り換えて前記低速用クラッチと前記高速用クラッチとを選択的に断接する事により、前記入力部材と前記出力部材との間の変速比が大きな低速モードとこの入力部材とこの出力部材との間の変速比が小さな高速モードとのうちの何れかを実現すると共に、前記低速モードとこの高速モードとで前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事により、前記入力部材と前記出力部材との間の変速比を調節可能としている。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、前記低速用クラッチの油圧室内の油圧を検出する為の低側油圧センサと、前記高速用クラッチの油圧室内の油圧を検出する為の高速側油圧センサと、前記低速用クラッチとこの高速用クラッチとのうちの接続を断たれている一方のクラッチの油圧室内の油圧と前記変速制御器から出力され、前記低速側電動式制御弁と前記高速側電動式制御弁とのうちの前記一方のクラッチの油圧室内への油圧の導入状態を切り換える為の一方の電動式制御弁の開閉状態を制御する為のクラッチ圧制御用駆動信号とを比較する比較器とを備える。
そして、この比較器が、このクラッチ圧制御用駆動信号と前記一方のクラッチの油圧室内の油圧とが所定値以上で整合しない状態が、所定時間を越えて連続していると判定した場合に、前記変速制御器が前記無段変速装置の変速制御を停止する。
この様な本発明を実施する場合に、例えば請求項2、5に記載した発明の様に、前記低速側電動式制御弁として、低速用電磁式調圧弁を使用すると共に、前記高速側電動式制御弁として、高速用電磁式調圧弁を使用する。のうちの低速用電磁式調圧弁は、ソレノイドへの通電時に前記低速用クラッチの油圧室内に油圧を導入する為の流路を開き、このソレノイドへの非通電時にこの流路を閉じる。一方、前記高速用電磁式調圧弁は、ソレノイドへの通電時に前記高速用クラッチの油圧室内に油圧を導入する為の流路を開き、このソレノイドへの非通電時にこの流路を閉じる。この様なソレノイドへの通電、非通電に伴う流路の開閉は、μsec単位の極く短時間で行う。そして、単位時間当たりにこのソレノイドに通電している時間の割合であるデューティ比を変える事により、前記低速用クラッチの油圧室及び前記高速用クラッチの油圧室内に導入する油圧を調節する。
そして、請求項2に記載した発明の場合には、前記比較器は、前記クラッチ圧制御用駆動信号が、前記低速用電磁式調圧弁と前記高速用電磁式調圧弁とのうちの何れか一方の電磁式調圧弁を閉じる旨を表すものである場合に、この一方の電磁式調圧弁により油圧の導入を停止されるべき油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が前記無段変速装置の変速制御を停止する。
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項3、4に記載した発明の様に、前記変速制御器は、低速モード又は高速モードの何れか一方のモード時に、この一方のモードで繋がれないはずのクラッチ(低速用クラッチ又は高速用クラッチ)の油圧室内の油圧を観察する。
例えば、請求項3に記載した発明の様に、前記低速用クラッチを接続すると共に前記高速用クラッチの接続を断ち、前記低速モードを実現する為、前記低速用電磁式調圧弁を開き、前記高速用電磁式調圧弁を全閉とする旨の指令信号を発している状態で、前記高速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合には、前記高速用クラッチに異常があると判定する。
これに対して、請求項4に記載した発明の様に、前記高速用クラッチを接続すると共に前記低速用クラッチの接続を断ち、前記高速モードを実現する為、前記高速用電磁式調圧弁を開き、前記低速用電磁式調圧弁を全閉とする旨の指令信号を発している状態で、前記低速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が、前記低速用クラッチに異常があると判定する。
そして、何れの場合でも、無段変速装置の変速制御のうちの少なくとも一部の制御を停止する。
この場合に於ける無段変速装置の変速制御停止とは、次の(1)〜(5)に示した5種類の制御停止を言う。
(1) ライン圧制御停止
この場合には、ライン圧制御電磁弁18(図5)の駆動信号を停止する(例えばデューティ比=0%とする)。
この様な制御を行った場合には、無段変速装置のシステム全体の制御圧を低圧にする事により、トロイダル型無段変速機に過大な負荷が加わる事を防止できる。
(2) 押圧装置の油圧室内への油圧導入停止
この場合には、その時点で出力している、押圧力制御用電磁弁19(図5参照)の駆動信号を停止する(例えばデューティ比=0%とする)。
この様な制御を行った場合には、押圧装置14(図4〜5参照)の押圧力が低下乃至は消失し(例えば予圧ばねの押圧力のみとなり)、入力ディスク及び力ディスクと各パワーローラとの転がり接触部(トラクション部)の面圧が低下する。この結果、前記トロイダル型無段変速機の伝達トルクが低下するので、前記各転がり接触部で強い擦れ合いが生じる事を防止できる。
(3) 低速用クラッチの油圧室内の油圧制御停止
この場合には、その時点で出力している、低速用クラッチ7(図5参照)の駆動信号を停止する(例えばデューティ比=0%とする)。
この様な制御を行った場合には、前記低速用クラッチ7の接続を断ち、低速モード状態での動力伝達経路を断つ。この場合に、本来が高速モードであるべき場合には高速モードでの走行が可能になるが、低速モードである場合には、無段変速装置による動力伝達は不能になる。但し、トロイダル型無段変速機の破損は防止できるので、修理に要する費用の低減を図れる。
(4) 高速用クラッチの油圧室内の油圧制御停止
この場合には、その時点で出力している、高速用クラッチ8(図5参照)の駆動信号を停止する(例えばデューティ比=0%とする)。
この様な制御を行った場合には、前記高速用クラッチ8の接続を断ち、高速モード状態での動力伝達経路を断つ。この場合に、本来が低速モードであるべき場合には低速モードでの走行が可能になるが、高速モードである場合には、無段変速装置による動力伝達は不能になる。但し、トロイダル型無段変速機の破損は防止できるので、修理に要する費用の低減を図れる。
(5) ステッピングモータの駆動制御停止
この場合には、ステッピングモータ17(図4〜5参照)への駆動信号の送り込みを停止する。この為、前記トロイダル型無段変速機の変速比がそのままの値に維持される。この結果、変速比変更に伴って各転がり接触部に加わる負担をなくして、前記トロイダル型無段変速機の転がり接触部の損傷を抑えられる。
前述の無段変速装置の変速制御停止とは、上述の(1)〜(5)の通りであるが、無段変速装置の構成によってはこれ以上、又はこれ以下の制御停止でも同等の効果を発揮できる。
又、異常状態がどの様な走行状況で発生するのか限定できない場合には、前記(1)〜(5)の停止制御を総て実施する事が好ましいが、何らかのセンサにより異常発生状況を特定できるのであれば、その状況に応じて、前記(1)〜(5)の停止制御の一部を実行する様にしても良い。
何れの場合でも、異常が発生した場合には、エンジン制御器32(図4参照)に信号を送り、アクセルペダルの踏み込み状況に拘らず、エンジンをアイドリング状態とすれば(アクセルペダルの操作を無効にすれば)、無段変速装置に入力される動力を低減して、前記無段変速装置の損傷を抑えられる。
尚、上述の請求項3、4に記載した発明を実施する場合に設定する、前記所定時間とは、油圧応答遅れを考慮しても異常に長いと判定できる、設計的配慮により設定するチューニング値であり、例えば0.5秒程度の時間とする。
又、前記所定値とは、前記低速用クラッチ又は前記高速用クラッチ(請求項3に係る発明の場合の高速用クラッチ、請求項4に記載した発明の場合の低速用クラッチ)が、動力伝達を可能となる程の圧力値未満であり、電気ノイズやハーネス抵抗等により生じ得る微小圧力値よりも大きな値として、設計的配慮により設定するチューニング値であり、例えば0.1MPa程度の値とする。
又、請求項5に記載した発明の場合には、前記変速制御器は、それまで接続を断たれていた、前記低速用クラッチ又は前記高速用クラッチを接続すべく、前記低速用電磁式調圧弁又は前記高速用電磁式調圧弁のデューティ比を、これら低速用クラッチ又は高速用クラッチが接続されない程度にまで高くしておくプリチャージ制御時に、前記一方のクラッチの油圧室内の油圧が所定時間以上連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が無段変速装置の変速制御を停止する。
例えば請求項6に記載した発明の様に、前記低速用クラッチを接続すると共に前記高速用クラッチの接続を断った低速モードで運転中に、この高速用クラッチをプリチャージ制御した状態で、この高速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上の場合に、この高速用クラッチが異常であると判定する。
これに対して、請求項7に記載した発明の場合には、前記高速用クラッチを接続すると共に前記低速用クラッチの接続を断った高速モードで運転中に、この低速用クラッチをプリチャージ制御した状態で、この低速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上の場合に、この低速用クラッチが異常であると判定する。
そして、何れの場合でも、無段変速装置の変速制御のうちの少なくとも一部の制御を停止する。この場合に於ける無段変速装置の変速制御停止とは、前述の(1)〜(5)の通りである。
尚、上述の請求項6、7に記載した発明を実施する場合に設定する、前記所定時間とは、油圧応答遅れを考慮しても異常に長いと判定できる、設計的配慮により設定するチューニング値であり、例えば0.3秒程度の時間とする。
又、前記所定値とは、前記低速用クラッチ又は前記高速用クラッチ(請求項6に係る発明の場合の高速用クラッチ、請求項7に記載した発明の場合の低速用クラッチ)が、プリチャージを行うにしても、動力伝達を可能となる程の圧力値未満の値として、設計的配慮により設定するチューニング値であり、例えば0.3MPa程度の値とする。尚、この値は、プリチャージの効果を得る面から、少なくとも0.2MPa程度は必要であるが、これよりもどの程度高くするかは、設計的配慮により決定する。
更に、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項8に記載した発明の様に、前記比較器は、前記クラッチ圧制御用駆動信号と前記一方のクラッチの油圧室内の油圧とが所定値以上で整合しない状態が所定時間を越え、連続していると判定し、前記変速制御器が前記無段変速装置の変速制御を停止した場合に、この変速制御器前記低速用電磁式調圧弁及び前記高速用電磁式調圧弁の電源が遮断されるまでの間、前記無段変速装置の変速制御を停止したままの状態に維持する。
上述の様に構成する本発明によれば、低速用クラッチ及び高速用クラッチの断接により低速モードと高速モードとを切り換えるべく、この低速モードとこの高速モードとの切換時に前記低速クラッチと前記高速クラッチとを同時に接続する機能を備えた無段変速装置で、この低速クラッチ又はこの高速クラッチが接続されるタイミングの不具合が、重大な損傷に結び付く事の防止を図れる。
即ち、本発明の無段変速装置の場合には、本来動力伝達可能な程に接続される事があってはならないクラッチの油圧室の油圧が上昇した場合に、無段変速装置の変速制御を停止する(トロイダル型無段変速機保護の為の「バックアップ制御」を開始する)ので、前記低速クラッチ又は前記高速クラッチが接続されるタイミングの不具合に基づき、前記トロイダル型無段変速機の転がり接触部(トラクション部)に過大な滑りが発生する事を防止できて、このトロイダル型無段変速機に重大な損傷が発生する事を防止できる。
又、本発明の対象となる無段変速装置では、クラッチ圧の異常状態は、直ちにトロイダル型無段変速機の破損に繋がる可能性が高い為、異常と判定する根拠となった圧力条件が不成立になっても、直ちに復帰させる(通常制御に戻る)と、前記トロイダル型無段変速機の故障を誘発する可能性がある。これに対して、請求項8に記載した発明の様に、一度変速制御器が制御を停止した場合に、電源が遮断されるまでの間中、この停止状態を維持すれば、前記トロイダル型無段変速機の保護(信頼性向上)を強化できる。
本発明の実施の形態の1例を示す、無段変速装置のクラッチの異常有無を判定する際の動作の全体を示すフローチャート。 同じく低速モード状態での動作を示すフローチャート。 同じく高速モード状態での動作を示すフローチャート。 本発明の対象となる無段変速装置の1例を示すブロック図。 同じく油圧回路図。 トロイダル型無段変速機の速度比と無段変速装置全体としての速度比との関係を示す線図。
本発明の実施の形態の1例に就いて、必要に応じて図4〜5を参照しつつ、図1〜3により説明する。
先ず、図1のステップ1(S1)で、低速用クラッチ7の油圧室又は高速用クラッチ8の油圧室の油圧のうちの何れか(又は双方)の油圧が異常であると、過去に於いて診断していたか否かに就いて判定する。このステップ1で、何れかの油圧が異常であると過去に診断した(何れかの油圧の異常が解消されていない)と判定した場合には、そのまま異常であるとの診断のまま、後述するステップ7(S7)で、無段変速装置(IVT)の変速制御停止を継続する。
前記ステップ1で、何れの部分に関しても、油圧が異常であると過去に診断した事がないと判定した場合には、ステップ2(S2)に移り、エンジンが回転しているか否かを判定する。この判定は、例えば、前記エンジン制御器32(図4)の制御信号等から分かる、エンジンの回転速度が所定値(例えば500min-1)以上であるか否かにより、或いは前記エンジン制御器32中にエンジンが回転している事を表すフラグが立っているか否かにより判定する。何れにしても、前記ステップ2で、エンジンが回転していないと判定した場合には、車両は走行中ではなく、前記無段変速装置の制御は不要であるので、そのまま終了する。
これに対して、前記ステップ2でエンジンが回転していると判断した場合には、次のステップ3(S3)で、現在のモードが何れであるか{低速モード(Lowモード)であるか、高速モード(Highモード)であるか}を判定する。
そして、現在のモードが低速モードである場合には、ステップ4(S4)に移り、この低速モードに対応して、本来は接続されるべきでない、高速用クラッチ8(図5参照)の油圧が正常である(動力伝達を可能にする程には高くない)か否かを判定する。
これに対して、現在のモードが高速モードである場合には、ステップ5(S5)に移り、この高速モードに対応して、本来は接続されるべきでない、低速用クラッチ7(図5参照)の油圧が正常である(動力伝達を可能にする程には高くない)か否かを判定する。
次に、これらステップ4、5で行う、前記低速用クラッチ7の油圧室又は前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が正常であるか否かの判定手順に就いて、図2〜3により説明する。
先ず、前記ステップ4で行う、低速モード時に本来は接続されるべきでない高速用クラッチ8の油圧が正常であるか否かを判定する手順に就いて、図2により説明する。
先ず、ステップ4−1(S4−1)で、前記高速用クラッチ8の油圧室に油圧を導入する為の高速クラッチ用制御弁24(図5参照)のソレノイドへの通電が全停止状態(デューティ比=0%である)か否かを判定する。同時に、所定時間(0.5秒或いは0.3秒)をカウントする為の、故障検出時間カウンタ(エラーカウンタ)をスタートさせる。
そして、全停止状態にある場合には、ステップ4−2(S4−2)で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定(例えば、前述した様に0.1MPa)を超えているか否かを判定する。
前記ステップ4−2で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えていないと判定された場合には、この高速用クラッチ8は正常に動作していると判断されるので、ステップ4−3(S4−3)に移り、例えば0.5秒程度の所定時間をカウントする為の、前記故障検出時間カウンタをリセットしてから終了する。
これに対して、前記ステップ4−2で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えていると判定された場合には、この高速用クラッチ8の動作が異常である可能性があるので、ステップ4−4(S4−4)に移り、前記故障検出時間カウンタ値を更新(カウント値を1だけ増加)してからステップ4−5(S4−5)に移る。このステップ4−5では、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えてからの時間が所定時間(例えば、前述した様に0.5秒)を超えているか(エラーカウンタが0.5秒に相当するカウント値を超えているか)否かを判定する。前記ステップ4−5で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えてからの時間が所定時間を超えていないと判定された場合には、前記ステップ4−2に戻る。以後、前記ステップ4−2で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えていると判定される限り、「ステップ4−2」→「ステップ4−4」→「ステップ4−5」を繰り返す。途中で前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えない状態となったならば、前記ステップ4−3を介して終了する。
これに対して、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えた状態のまま、前記所定時間を超えたならば、ステップ4−6に移り、前記高速用クラッチ8の動作が異常であると判定(診断)し、前述の図1に示したステップ6に移る。
更に、前記ステップ4−1で、高速クラッチ用制御弁24のソレノイドへの通電が全停止状態ではないと判定した場合には、ステップ4−7(S4−7)に移り、前記高速用クラッチ8がプリチャージ制御されているか否かを判定する。このステップ4−7で、この高速用クラッチ8がプリチャージ制御されていないと判定された場合には、低速モードから高速モードへの切換に伴って、前記低速用クラッチ7と前記高速用クラッチ8とが同時に接続されている状態であると判断され、この高速クラッチ8が異常ではないと判断されるので、前記ステップ4−3を介して終了する。
これに対して、前記ステップ4−7で、前記高速用クラッチ8がプリチャージ制御中であると判定された場合には、このプリチャージ制御が正常に行われているか否かを判定する。この判定の為に、先ず、ステップ4−8(S4−8)で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定(例えば、前述した様に0.3MPa)を超えているか否かを判定する。
前記ステップ4−8で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えていないと判定された場合には、この高速用クラッチ8は正常に動作していると判断されるので、ステップ4−3に移り、例えば0.3秒程度の所定時間をカウントする為の、故障検出時間カウンタをリセットしてから終了する。
前記ステップ4−8で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えていると判定された場合には、この高速用クラッチ8のプリチャージ制御が正常に行われていない可能性があるので、ステップ4−9(S4−9)に移り、前記故障検出時間カウンタ値を更新(カウント値を1だけ増加)してからステップ4−10(S4−10)に移る。このステップ4−10では、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えてからの時間が所定時間(例えば、前述した様に0.3秒)を超えているか否かを判定する。前記ステップ4−10で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えてからの時間が所定時間を超えていないと判定された場合には、前記ステップ4−8に戻る。以後、前記ステップ4−8で、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えていると判定される限り、「ステップ4−8」→「ステップ4−9」→「ステップ4−10」を繰り返す。途中で前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えない状態となったならば、前記ステップ4−3を介して終了する。
これに対して、前記高速用クラッチ8の油圧室内の油圧が所定を超えた状態のまま、前記所定時間を超えたならば、ステップ4−6に移り、前記高速用クラッチ8の動作が異常であると判定(診断)し、前述の図1に示したステップ6に移る。
一方、前記ステップ5で行う、高速モード時に本来は接続されるべきでない低速用クラッチ7の油圧が正常であるか否かを判定する手順は、図3の通りである。この図3に示した、高速モード時に前記低速用クラッチ7の油圧室内の油圧が正常であるか否かを判定する手順に関しては、判定対象が高速用クラッチ8の油圧室内の油圧から低速用クラッチ7の油圧室内の油圧に変わった以外、前記ステップ4で行う判定の手順と同じである。即ち、図3のS5−1〜S5−10は、図2のS4−1〜S4−10に対応する。
以上に述べた、低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8が異常であるか否かの診断は、次の(A)〜(M)に示した13通りの要素により行う。
(A) エンジン回転数が正常に回転中である。
(B) 高速クラッチ用制御弁24のソレノイドへの通電が全停止状態(HighDuty=0「%」又はHigh電流=0[A])である。
(C) 高速用クラッチ側油圧センサ33(特許請求の範囲に記載した高速側油圧センサに相当する)の検出圧がほぼ0ではない(High>0.1[MPa])。
(D) 前記(B)及び(C)の条件が所定時間(例えば0.5秒)を越え、継続して成立した{エラーカウンタ>ERR_Timer_High1(0.5秒)}。
(E) 低速クラッチ用制御弁23のソレノイドへの通電が全停止状態(LowDuty=0「%」又はLow電流=0[A])である。
(F) 低速用クラッチ側油圧センサ34(特許請求の範囲に記載した低速側油圧センサに相当する)の検出圧がほぼ0ではない(Low>0.1[MPa])。
(G) 前記(E)及び(F)の条件が所定時間を越え、継続して成立した{エラーカウンタ>ERR_Timer_Low1(0.5秒)}。
(H) 高速クラッチ用制御弁24のソレノイドがプリチャージ制御状態である(例えば、目標Highクラッチ圧=0.2[MPa])。
(I) 高速用クラッチ側油圧センサ34の検出圧が、0.2[MPa]+α(例えばα=0.1[MPa]よりも高い(HighPress>0.3[MPa])。
(J) 前記(H)及び(I)の条件が所定時間(例えば0.3秒)を越え、継続して成立した{エラーカウンタ>ERR_Timer_High2(0.3秒)}。
(K) 低速クラッチ用制御弁23のソレノイドがプリチャージ制御状態である(例えば、目標Lowクラッチ圧=0.2[MPa])。
(L) 低速用クラッチ側油圧センサ35の検出圧が、0.2[MPa]+α(例えばα=0.1[MPa]よりも高い(LowPress>0.3[MPa])。
(M) 前記(K)及び(L)の条件が所定時間(例えば0.3秒)を越え、継続して成立した{エラーカウンタ>ERR_Timer_Low2(0.3秒)}。
そして、前記(A)の要素が満たされる事を条件とし、更に次の(a)〜(d)の4通りの何れかの組み合わせが満たされた場合に、何れかのクラッチが異常作動していると判定する。
(a) (B)+(C)+(D)
(b) (E)+(F)+(G)
(c) (H)+(I)+(J)
(d) (K)+(L)+(M)
これら(a)〜(d)の何れの組み合わせにより異常判定がされた場合でも、下記の(1)〜(5)に示した5種類の制御停止のうちの少なくとも何れか1種類の制御停止を行う。
(1) ライン圧制御停止
(2) 押圧装置の油圧室内への油圧導入停止
(3) 低速用クラッチの油圧室内の油圧制御停止
(4) 高速用クラッチの油圧室内の油圧制御停止
(5) ステッピングモータの駆動制御停止
これら(1)〜(5)に示した5種類の制御停止の内容は前述した通りであり、これら各制御停止により得られる効果も前述した通りであるから、重複する説明は省略する。
本発明の無段変速装置は、自動車用自動変速機として利用する事が最も効果的ではあるが、エンジンを動力源とする回転伝達装置中に組み込む変速装置であれば、自動車用に限らず、建機用変速機、飛行機用ジェネレータ用変速機としても利用できる。
又、ギヤード・ニュートラルを実現できる構造に限らず、パワー・スプリット型の無段変速装置でも実施できる。
1 エンジン
2 ダンパ
3 主軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力ディスク
11 出力ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器(ECU)
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁弁
19 押圧力制御用電磁弁
20 モード切換用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 低速クラッチ用制御弁
24 高速クラッチ用制御弁
25 給油ポンプ
26 油溜
27 押圧力調整弁
28 減圧弁
29 入力ディスク回転センサ
30 出力ディスク回転センサ
31 出力軸回転センサ
32 エンジン制御器
33 高速用クラッチ側油圧センサ
34 低速用クラッチ側油圧センサ

Claims (8)

  1. エンジンにより回転駆動される入力部材と、トロイダル型無段変速機と、歯車式の差動機構と、被駆動部を回転駆動する為の出力部材と、これらトロイダル型無段変速機と差動機構との間の動力の伝達状態を切り換える為の、油圧室内への油圧の導入の有無により断接される、それぞれが油圧式の低速用クラッチ及び高速用クラッチと、この低速用クラッチの油圧室内への油圧の導入状態を切り換える為の低速側電動式制御弁と、前記高速用クラッチの油圧室内への油圧の導入状態を切り換える為の高速側電動式制御弁と、前記トロイダル型無段変速機の変速比調節すると共に、前記低速側電動式制御弁の開閉に基づく前記低速用クラッチの断接及び前記高速側電動式制御弁の開閉に基づく前記高速用クラッチの断接を切り換える為の変速制御器とを備え、この変速制御器からの指令に基づき、前記低速側電動式制御弁と前記高速側電動式制御弁とを選択的に切り換えて前記低速用クラッチと前記高速用クラッチとを選択的に断接する事により、前記入力部材と前記出力部材との間の変速比が大きな低速モードと、この入力部材とこの出力部材との間の変速比が小さな高速モードとのうちの何れかを実現すると共に、前記低速モードとこの高速モードとで前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事により、前記入力部材と前記出力部材との間の変速比を調節可能とした無段変速装置に於いて、前記低速用クラッチの油圧室内の油圧を検出する為の、低速側油圧センサと、前記高速用クラッチの油圧室内の油圧を検出する為の高速側油圧センサと、この低速用クラッチとこの高速用クラッチとのうちの接続を断たれている一方のクラッチの油圧室内の油圧と前記変速制御器から出力され、前記低速側電動式制御弁と前記高速側電動式制御弁とのうちの前記一方のクラッチの油圧室内への油圧の導入状態を切り換える為の一方の電動式制御弁の開閉状態を制御する為のクラッチ圧制御用駆動信号とを比較する比較器とを備え、この比較器が、このクラッチ圧制御用駆動信号と前記一方のクラッチの油圧室内の油圧とが所定値以上で整合しない状態が所定時間を越え、連続していると判定した場合に、前記変速制御器が前記無段変速装置の変速制御を停止する事を特徴とする無段変速装置。
  2. 前記低速側電動式制御弁は、ソレノイドへの通電時に前記低速用クラッチの油圧室内に油圧を導入する為の流路を開き、このソレノイドへの非通電時にこの流路を閉じ、単位時間当たりにこのソレノイドに通電している時間の割合であるデューティ比を変える事により、前記低速用クラッチの油圧室内に導入する油圧を調節する、低速用電磁式調圧弁であり、
    前記高速側電動式制御弁は、ソレノイドへの通電時に前記高速用クラッチの油圧室内に油圧を導入する為の流路を開き、このソレノイドへの非通電時にこの流路を閉じ、単位時間当たりにこのソレノイドに通電している時間の割合であるデューティ比を変える事により、前記高速用クラッチの油圧室内に導入する油圧を調節する、高速用電磁式調圧弁であり、
    記比較器が、前記クラッチ圧制御用駆動信号が、前記低速用電磁式調圧弁と前記高速用電磁式調圧弁とのうちの何れか一方の電磁式調圧弁を閉じる旨を表すものである場合に、この一方の電磁式調圧弁により油圧の導入を停止されるべき油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が前記無段変速装置の変速制御を停止する、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. 前記変速制御器が、前記低速用クラッチを接続すると共に前記高速用クラッチの接続を断ち、前記低速モードを実現する為、前記低速用電磁式調圧弁を開き、前記高速用電磁式調圧弁を全閉とする旨の指令信号を発している状態で、前記高速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が、無段変速装置の変速制御のうちの少なくとも一部の制御を停止する、請求項2に記載した無段変速装置。
  4. 前記変速制御器が、前記高速用クラッチを接続すると共に前記低速用クラッチの接続を断ち、前記高速モードを実現する為、前記高速用電磁式調圧弁を開き、前記低速用電磁式調圧弁を全閉とする旨の指令信号を発している状態で、前記低速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が、無段変速装置の変速制御のうちの少なくとも一部の制御を停止する、請求項2に記載した無段変速装置。
  5. 前記低速側電動式制御弁は、ソレノイドへの通電時に前記低速用クラッチの油圧室内に油圧を導入する為の流路を開き、このソレノイドへの非通電時にこの流路を閉じ、単位時間当たりにこのソレノイドに通電している時間の割合であるデューティ比を変える事により、前記低速用クラッチの油圧室内に導入する油圧を調節する、低速用電磁式調圧弁であり、
    前記高速側電動式制御弁は、ソレノイドへの通電時に前記高速用クラッチの油圧室内に油圧を導入する為の流路を開き、このソレノイドへの非通電時にこの流路を閉じ、単位時間当たりにこのソレノイドに通電している時間の割合であるデューティ比を変える事により、前記高速用クラッチの油圧室内に導入する油圧を調節する、高速用電磁式調圧弁であり、
    記変速制御器が、前記一方のクラッチを接続すべく、前記低速用電磁式調圧弁又は前記高速用電磁式調圧弁のデューティ比を、前記低速用クラッチ又は前記高速用クラッチが接続されない程度にまで高くしておくプリチャージ制御を行うものであり、前記比較器が、このプリチャージ制御時に、前記一方のクラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が無段変速装置の変速制御を停止する、請求項1に記載した無段変速装置。
  6. 前記低速用クラッチを接続すると共に前記高速用クラッチの接続を断った低速モードで運転中に、この高速用クラッチをプリチャージ制御した状態で、この高速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が、無段変速装置の変速制御のうちの少なくとも一部の制御を停止する、請求項5に記載した無段変速装置。
  7. 前記高速用クラッチを接続すると共に前記低速用クラッチの接続を断った高速モードで運転中に、この低速用クラッチをプリチャージ制御した状態で、この低速用クラッチの油圧室内の油圧が所定時間を越え、連続して所定値以上であると判定した場合、前記変速制御器が、無段変速装置の変速制御のうちの少なくとも一部の制御を停止する、請求項5に記載した無段変速装置。
  8. 前記比較器が、前記クラッチ圧制御用駆動信号と前記低速用クラッチと前記高速用クラッチとのうちの接続を断たれている一方のクラッチの油圧室内の油圧とが所定値以上で整合しない状態が所定時間を越え、連続していると判定し、前記変速制御器が前記トロイダル型無段変速機の変速制御を停止した場合に、この変速制御器前記低速側電動式制御弁、及び前記高速側電動式制御弁の電源が遮断されるまでの間、前記無段変速装置の変速制御を停止したままの状態に維持する、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
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