JP4710324B2 - 障害判定手段を伴う油圧サーボ装置用油圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧サーボ装置のための油圧制御装置に係り、特に正常な作動を阻害する障害があるときそれを判定する障害判定手段を備えた油圧制御装置に係る。
第一および第二のポートを備え、第一のポートから油が供給され、第二のポートから油が排出されるとき一つの方向に作動状態を変える油圧サーボ装置は、例えば車輌技術の分野に於いては、変速機、特にトロイダル型或はベルト式無段変速機に於ける如く、多くの機械装置に於いて知られている。
上記の如き油圧サーボ装置を作動させるためには、圧油源から前記第一のポートへの油の供給を制御する油供給制御部と前記第二のポートから排油通路への油の排出を制御する油排出制御部とを有する油流制御弁と、前記油流制御弁の作動を制御する制御弁作動制御手段とを備えた油圧制御装置が設けられる。このような油圧制御装置に於ける油流制御弁は、一般にスプールの切り換え移動に応じて開閉が制御されるポートを備えたスプール弁である。
また、第一および第二のポートを備え、第一のポートから油が供給され、第二のポートから油が排出されるとき一つの方向に作動状態が変る油圧サーボ装置は、当然のことながら、第二のポートから油が供給され、第一のポートから油が排出されるときには前記一つの方向とは逆の他の一つの方向に作動状態を変えるが、そのような油圧サーボ装置を作動させるために、圧油源からの油の供給を第一と第二のポートの間に切り換え、また同時に第二と第一のポートの排油通路への接続を切り換える油流制御弁を、スプールの切り換え移動に応じて何れか一方が圧油源に接続される2つの油圧供給ポートと、何れか一方が排油通路に接続される2つの排油ンポートとを備えた4ポート型のスプール弁とし、トロイダル型無段変速機を作動させる4ポート型スプール弁を含む油圧回路を構成した一例が下記の特許文献1に示されている。
特開2002-276786
スプール弁に於いては、シリンダとスプールの間への異物の噛込みにより弁ポートの開閉が正常に行われなくなる障害が生ずる虞れがある。スプール弁を組み込んだ装置が車輌の変速装置である場合、そのことによって変速比が過剰に増大したり、或は逆に変速装置が低い値に固定されたままとなる等の不都合が生ずる。
本発明は、弁にスプールの固着(スティック)等による弁ポートの開閉障害が生じたとき、それを判定する手段を備えた油圧サーボ装置のための油圧制御装置を提供し、また更に弁ポートの開閉障害が判定されたとき、それに自動的に対処して障害の影響を軽減する補償作動を行う手段を備えた油圧制御装置を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、第一のポートから油が供給され第二のポートから油が排出されるとき一つの方向に作動状態を変える油圧サーボ装置のための油圧制御装置にして、圧油源から前記第一のポートへの油の供給を制御する油供給制御部と前記第二のポートから排油通路への油の排出を制御する油排出制御部とを有する油流制御弁と、前記油流制御弁の作動を制御する制御弁作動制御手段と、前記圧油源の油圧と前記油流制御弁の開度と前記油圧サーボ装置に作用する外力とに基づいて前記油圧サーボ装置の作動状態の前記一つの方向への変化を推定し、該変化の推定値と実測値との間に所定の限界値を越える偏差があるとき該油圧制御装置にその正常な作動を阻害する障害があると判定する障害判定手段とを有していることを特徴とする油圧制御装置を提案するものである。
前記障害判定手段は前記作動状態の変化の推定値と実測値との間に前記所定の限界値を越える偏差が生じたときの該作動状態から前記障害の度合を推定するようになっていてよい。
前記油流制御弁は、前記第一のポートを前記圧油源に接続すると共に前記第二のポートを前記排油通路へ接続する開位置と前記第一のポートを前記圧油源より遮断すると共に前記第二のポートを前記排油通路より遮断する閉位置との間に切り換えられる第一の油流制御弁と、前記第二のポートを前記圧油源に接続すると共に前記第一のポートを前記排油通路へ接続する開位置と前記第二のポートを前記圧油源より遮断すると共に前記第一のポートを前記排油通路より遮断する閉位置との間に切り換えられる第二の油流制御弁とを含み、前記第一の油流制御弁が開位置とされると共に前記第二の油流制御弁が閉位置とされることにより前記油圧サーボ装置は前記作動状態を第一の方向に変え、前記第二の油流制御弁が開位置とされると共に前記第一の油流制御弁が閉位置とされることにより前記油圧サーボ装置は前記作動状態を第二の方向に変えるようになっており、前記油圧サーボ装置の作動状態を前記第一の方向に変化させる過程で該変化の推定値と実測値との間に所定の限界値を越える偏差があるとき、前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定するようになっていてよい。
この場合、油圧制御装置は、前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定されたとき、前記第一の油流制御弁による前記圧油源から前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから前記排油通路への油の排出の少なくとも一部を前記第二の油流制御弁の開作動の変更により打ち消すようになっていてよい。
また、前記障害判定手段は前記作動状態の変化の推定値と実測値との間に前記所定の限界値を越える偏差が生じたときの該作動状態から前記開閉不良障害の度合を推定し、前記油流制御弁は、該推定された開閉不良障害の度合に応じて前記第二の油流制御弁の開作動を変更するようになっていてよい。
また前記油圧制御弁が上記の如く第一および第二の油流制御弁に分かれて構成されているときには、油圧制御装置は、前記第一および第二のポートに対する前記第一および第二の油流制御弁の接続を相互に反転する切換弁を有し、前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定されたとき、前記切換弁を反転し、前記第一の油流制御弁の開作動により行われる筈の前記圧油源からの前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから前記排油通路への油の排出を前記第二の油流制御弁により行うようになっていてもよい。
以上の如き油圧制御装置の制御対象となる油圧サーボ装置はトロイダル型無段変速機の変速制御装置であってよく、特に油圧サーボ装置が前記作動状態を前記第一の方向に変えるのは変速比を減小させるときであり、前記油圧サーボ装置が前記作動状態を前記第二の方向に変えるのは変速比を増大させるときであってよい。
上記の如く、第一のポートから油が供給され第二のポートから油が排出されるとき一つの方向に作動状態を変える油圧サーボ装置のための油圧制御装置が、圧油源から前記第一のポートへの油の供給を制御する油供給制御部と前記第二のポートから排油通路への油の排出を制御する油排出制御部とを有する油流制御弁と、前記油流制御弁の作動を制御する制御弁作動制御手段と、前記圧油源の油圧と前記油流制御弁の開度と前記油圧サーボ装置に作用する外力とに基づいて前記油圧サーボ装置の作動状態の前記一つの方向への変化を推定し、該変化の推定値と実測値との間に所定の限界値を越える偏差があるとき該油圧制御装置にその正常な作動を阻害する障害があると判定する障害判定手段とを有していれば、前記油流制御弁に異物の噛込み等による弁スプールの固着等が生じたときには、直にそれを検出することができる。
また前記障害判定手段が前記作動状態の変化の推定値と実測値との間に前記所定の限界値を越える偏差が生じたときの該作動状態から前記障害の度合を推定するようになっていれば、障害発生時に障害に対処するに当り障害の度合をみて量的に対処することができる。
特に、油流制御弁が、前記第一のポートを圧油源に接続すると共に前記第二のポートを排油通路へ接続する開位置と前記第一のポートを圧油源より遮断すると共に前記第二のポートを排油通路より遮断する閉位置との間に切り換えられる第一の油流制御弁と、前記第二のポートを圧油源に接続すると共に前記第一のポートを排油通路へ接続する開位置と前記第二のポートを圧油源より遮断すると共に前記第一のポートを排油通路より遮断する閉位置との間に切り換えられる第二の油流制御弁とを含み、前記第一の油流制御弁が開位置とされると共に前記第二の油流制御弁が閉位置とされることにより前記油圧サーボ装置は前記作動状態を第一の方向に変え、前記第二の油流制御弁が開位置とされると共に前記第一の油流制御弁が閉位置とされることにより前記油圧サーボ装置は前記作動状態を第二の方向に変えるようになっており、前記油圧サーボ装置の作動状態を前記第一の方向に変化させる過程で該変化の推定値と実測値との間に所定の限界値を越える偏差があるとき、前記第一の油流制御弁に開閉不良障害が生じたと判定するようになっていれば、前記第一の油流制御弁にスプール固着障害が生じたときそれを直ちに検出することができる。
また、更に前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定されたとき、前記第一の油流制御弁による圧油源から前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから排油通路への油の排出の少なくとも一部を前記第二の油流制御弁の開作動の変更により打ち消すようになっていれば、前記第一の油流制御弁の固着により前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから排油通路への油の排出が続くことにより油圧サーボ装置に生ずる作動障害を軽減することができる。
この場合、特に前記障害判定手段は前記作動状態の変化の推定値と実測値との間に前記所定の限界値を越える偏差が生じたときの該作動状態から前記開閉不良障害の度合を推定し、油圧制御装置が、該推定された開閉不良障害の度合に応じて前記第二の油流制御弁の開作動を変更するようになっていれば、前記第一の油流制御弁の固着により前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから排油通路への油の排出が続く場合にもその状態を量的に把握してこれに対処し、そのような障害により油圧サーボ装置に生ずる作動障害をより効果的に排除することができる。
また前記油圧制御弁が第一および第二の油流制御弁に分かれて構成されているとき、油圧制御装置が、前記第一および第二のポートに対する前記第一および第二の油流制御弁の接続を相互に反転する切換弁を有し、前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定されたとき、前記切換弁を反転し、前記第一の油流制御弁の開作動により行われる筈の前記圧油源からの前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから前記排油通路への油の排出を前記第二の油流制御弁により行うようになっていれば、前記障害判定手段による開閉不良障害の判定に基づき開閉不良障害を生じた油流制御弁による作動を即座に他方の油流制御弁による作動に置き換え、開閉不良障害を完全に排除してサーボ装置の作動を維持することができる。
油圧サーボ装置がトロイダル型無段変速機の変速制御装置であり、或は特に、油圧サーボ装置が車輌の駆動系に於けるトロイダル型無断変速機の変速制御装置であって前記油圧サーボ装置が前記作動状態を前記第一の方向に変えるのは変速比を減小させるときであり、前記油圧サーボ装置が前記作動状態を前記第二の方向に変えるのは変速比を増大させるときであるときには、油流制御弁の固着は、変速比の最大値または最小値への固定を招くので、これに対する対策は特に有用である。
添付の図1は本発明をトロイダル型無段変速機の変速制御用油圧制御装置に適用した一つの実施の形態を示す概略図である。図に於いて、10はトロイダル型無段変速機としては周知の構造に於けるパワーローラであり、トラニオン12より偏心軸14を経て支持され、図に駆動側ディスクの一部がDdとして仮想線にて示されている如き一対のディスクの間に挾圧された状態に配置され、一対のディスクに対する傾動角を変えることにより、一対のディスク間に伝達される回転動力の変速比を変更するようになっている。一対のディスクに対するパワーローラの傾動角の変更は、トラニオン12が油圧アクチュエータ16により図にて上下に一時的に変位されることによりもたらされる。
即ち、パワーローラの中心軸線がディスクの中心軸線Cdに交差しているときには、パワーローラがディスクに対し如何なる傾動角にあっても、駆動側ディスクがパワーローラとの接触点Pcに於いてパワーローラに及ぼす力(およびそれに対する反作用として被駆動側ディスクがパワーローラに及ぼす力)はパワーローラの傾動軸線に平行に作用し、従ってパワーローラには傾動角を変更させる力は作用しないが、パワーローラの中心軸線がディスクの中心軸線に対し上下何れか一方に変位されると、パワーローラと駆動側ディスクとの接点で見て、変位方向がディスクの回転方向に沿う方向であれば、パワーローラにはそれを駆動側ディスクの中心へ向かわせる方向の力が作用することから、パワーローラは変速比を増大させる方向(即ちダウンシフト方向)に傾動され、また逆に、変位方向が駆動側ディスクの回転方向に逆らう方向であれば、パワーローラにはそれを駆動側ディスクの中心より遠ざける方向の力が作用することから、パワーローラは変速比を減小させる方向(即ちアップシフト方向)に傾動される。
かくして、変速比を一定に保つべきときには、駆動側ディスクよりパワーローラに及ぼされる駆動力に抗するだけの力をトラニオンに与えてパワーローラをその中心軸線が駆動側ディスク(従ってまた被駆動側ディスク)の中心軸線に交差する位置に維持し、変速比を変更すべきときには、随時パワーローラの中心軸線をディスクの中心軸線に対し一時変位させることにより変速比を増減させることができる。図示の実施の形態に於いては、パワーローラ10は駆動側ディスクとの接触点Pcに於いて下向きに駆動されるようになっており、パワーローラ10がその中心軸線を駆動ディスクの中心軸線に交差させる中立位置より下方へ変位されると変速比は増大側に変更され(即ちダウンシフトされ)、パワーローラ10がその中立位置より上方へ変位されると変速比は減小側に変更される(即ちアップシフトされる)ようになっている。
油圧アクチュエータ16はトラニオン12の下端と連結されたピストン18と、該ピストンの下方に形成された油圧室20と、該ピストンの上方に形成された油圧室22とを有しており、ポート24より油圧室20内へ油が給入され、ポート26より油圧室22内の油が排出されることによりピストン18が上向きに変位されてアップシフトを生じ、逆にポート26より油圧室22内へ油が給入され、ポートを24より油圧室22内の油が排出されることによりピストン18が下向きに変位されてダウンシフトを生ずるようになっている。
パワーローラと駆動側ディスクおよび被駆動側ディスクの間には必要な回転動力を伝達するに足る摩擦力を発生させるべく強い押圧力が作用されている。パワーローラ10には上記の通り駆動側ディスクより下向きの駆動力が及ぼされており、トラニオン12を上向きに変位させるにはこの駆動力に抗する力が必要である。トラニオンを上下に偏倚させるための油の処理は所謂油圧制御であるが、トロイダル型無段変速機に於ける変速制御は、本質的にはパワーローラの上下変位の制御であり、油は非圧縮性であるので、本発明の対象である油圧制御装置の作動は、本質的には油圧室20および22に対する油の出し入れの量の制御である。
油圧室20および22に対する油の給排制御のための図示の油圧制御装置は、油圧ポンプ等よりなる圧油源28と、2つの油流制御弁30および32と、排油溜34とを含んでいる。油流制御弁30は、給油取入れポート36、給油取出しポート38、排油取入れポート40、排油取出しポート42を備えた弁ハウジング44と、ポート36と38の間の連通または遮断およびポート40と42の間の連通または遮断を制御する弁スプール46と、該弁スプールをポート36と38の間を遮断しまたポート40と42の間を遮断する閉位置へ付勢する圧縮コイルばね48と、弁スプール46を圧縮コイルばね48のばね力に抗してポート36と38の間を連通しまたポート40と42の間を連通する開位置へ駆動する電磁駆動装置50とを含んでいる。
同様に、油流制御弁32は、給油取入れポート52、給油取出しポート54、排油取入れポート56、排油取出しポート58を備えた弁ハウジング60と、ポート52と54の間の連通または遮断およびポート56と58の間の連通または遮断を制御する弁スプール62と、該スプールをポート52と54の間を遮断しまたポート56と56の間を遮断する閉位置へ付勢する圧縮コイルばね64と、弁スプール62を圧縮コイルばね64のばね力に抗してポート52と54の間を連通しまたポート56と58の間を連通する開位置へ駆動する電磁駆動装置66とを含んでいる。
圧油源28は、一方では、油路68と70を経て油流制御弁30の給油取入れポート36に接続され、これに対応する給油取出しポート38は油路72と74を経てトロイダル型無段変速機のポート24に接続されている。かかる給油経路に対応して、トロイダル型無段変速機のポート26は油路76と78を経て油流制御弁30の排油取入れポート40に接続され、これに対応する排油取出しポート42は油路80と82を経て排油溜34に接続されている。
更にまた、圧油源28は、他方では、油路68と84を経て油流制御弁32の給油取入れポート52に接続され、これに対応する給油取出しポート54は油路86と76を経てトロイダル型無段変速機のポート26に接続されている。かかる給油経路に対応して、トロイダル型無段変速機のポート24は、油路74と88を経て油流制御弁32の排油取入れポート56に接続され、これに対応する排油取出しポート58は油路90と82を経て排油溜34に接続されている。油流制御弁30および32の電磁駆動装置50および66への通電は、マイクロコンピュータを備えた制御弁作動制御手段92により制御されるようになっている。
上記の如き構成に於いて、任意の変速比を所定の目標値まで減小させるべきときには、制御弁作動制御手段92の制御により、先ず、油流制御弁30の電磁駆動装置50のみに電流Iuが供給される。図2のAに示す如く電流値がIuo以上となったところで給油取入れポート36と給油取出し38の間の連通が始まり、トロイダル型無段変速機の油圧室20に対する供給油圧は、最大油圧Psuまで急速に増大する。しかし、隣接するポート36と38の間には幾分かの油漏れがあり、またトロイダル型無段変速機のトラニオンにはディスクからローラに及ぼされる駆動トルクに基づく下向きの力が作用するので、油圧室20へ供給される油の流量Qは、図2のBに示す如く、油流制御弁30からの供給油圧Psに対するディスクからローラに及ぼされる駆動トルクに基づく力(図1に於けるFs)をピストン20により油圧に変換した値Pfの比Pf/Psと、油流制御弁の電磁駆動装置50へ供給される電流の大きさrf(最大値に対する比をrfで表し、以下これを電流比と称する)とにより定まる。尚、比Q/Qsに於けるQsはPfが0でrfが1.0の時のQの値である。給油取入れポート36と給油取出し38の間が連通されるとき、反対側のピストン室22は排油取入れポート40と排油取出しポート42の連通により排油溜り34に連通される。
こうしてピストン18が上方へ変位されると、パワーローラは変速比を減小させる方向(アップシフト方向)に偏向されるので、その結果生じた変速比の変化が図には示されていないパワーローラの偏向角度を検出するセンサ或は変速機の入口と出口の回転速度を検出する回転速度センサ等により検出され、その信号が制御弁作動制御手段92へ送られる。変速比の変化につれて制御弁作動制御手段92は適当なフィードバック制御を実行し、パワーローラ10に所望の傾動が生じ或いは生ずる見通しが立ったところで、電磁駆動装置50への電流の供給は0とされる。次いで油流制御弁32の電磁駆動装置66のみへ電流Idを供給してピストン18を中立位置まで戻すことが行なわれる。図2のAに於けるId、Ido、Pd、Psdはこのときの電流と供給油圧の関係を示す。このときディスクからローラに及ぼされる駆動トルクに基づく下向きの力Fsはピストン室22へ油圧の供給を助けるので、図2のBに於けるPf/Psに関する負の領域がこれに対応している。パワーローラを中立位置へ戻す制御もその変位を検出しつつフィードバック制御され、パワーローラが中立位置へ戻り或は戻る見通しが立ったところで、電磁駆動装置66への通電が停止される。
無段変速機の変速比を増大させるダウンシフト制御は、上記と逆に、先ず油流制御弁32のみを作動させてパワーローラ10を下方へ変位させ、次いで油流制御弁30のみを作動させてパワーロータ10を上方へ変位させて元の中立位置に戻す要領にて行われる。
かかる構成に於いては、油流制御弁30および32には、それらのスプールとシリンダの間に異物が噛み込まれてスプールが開閉不良を起こす可能性がある。そのような事態に対処する本発明による油圧制御装置の作動態様の一例を図3のフローチャートに沿って説明する。
油圧制御装置の作動が開始されると、ステップ10(S10)にて、その時点に於ける変速機の実際の変速比γrと変速機に要求されている変速比γreqの間の差が或る所定の値Δγ1以上であるか否かが判断される。答がイエスであることは、変速比の低減、即ちアップシフトが要求なされていることを意味する。Δγ1は変速比の低減要求に応じて変速比の変更を開始するための変速比変化量の下限値である。答がイエス(Y)であるとき、制御はステップ20へ進む。
ステップ20に於いては、このフローチャートを巡る制御の今回のフローに於ける変速比要求値γreq(n)と前回のフロー時に於ける変速比要求値γreq(n-1)の差が負であるか否かが判断される。答がイエスである間、制御はここに留まる。この種のフローチャートによる制御に於ける制御の繰り返し周期は数ミリセカンド〜数100ミリセカンドである。ステップ20は一度の変速比減小要求の最小値を確認するためのものである。答がイエスよりノー(N)に転じたところで制御はステップ30へ進む。
ステップ30に於いては、現在の実変速比γrと上に確認された変速比変更要求値γreqの差が0に近い或る微小値δγ以下であるか(即ち、実変速比γrが低減された変更要求値γreqに対し微小値δγ以下の差となるまで近づいたか)否かが判断される。答がノーである間、制御はステップ40へ進む。ステップ40に於いては、実変速比γrと変更要求値γreqの差に比例してディスクに対しローラ10を上方へ偏倚させる偏倚の目標値Sutが算出される。k1は適当な比例係数である。次いで、制御はステップ50へ進む。
ステップ50に於いては、上方偏倚目標値Sutとそれに対する上方偏倚の実測値Surの差が正であるか否かが判断される。答がイエスである間、制御はステップ60へ進み、SutとSurの差に比例する値として電流比rfの大きさが制御される。k2は適当な比例係数である。次いで、制御はステップ70へ進む。
ステップ70に於いては、ローラ10の上向き偏倚の1フローサイクル当りの増大量ΔSuの値が算出される。この値ΔSuは実測値ではなく、油圧室20への図2のBに示す如き油供給の流量Qと制御がステップ70を繰り返す間の時間差とに基づいて算出される理論上の推定値である。Qの値は、既知であるPs(図2のAに於けるPsu)の値と、駆動側ディスクよりローラ10に及ぼされる下向きの力Fsをピストン20の受圧面積により除してもとめられるPfと、電流比rfとに基づいて図2のBに示す如きマップを参照して算出できる。Fsの値は、駆動側ディスクよりローラ10に及ぼされる駆動トルクと、駆動側ディスクとローラの接触点Pcがディスクの中心軸線Cdに対しなす半径R1とから算出できる。R1の値はトロイダル型変速機の設計と各時点に於ける変速機の実変速比γr或はローラの傾動角とから算出できる。上記の駆動トルクは任意のトルクセンサにより直接検出されるか或は内燃機関等の動力源の出力制御パラメータより推定されてよい。尚、変速比を減少させるためのローラ10の上方への偏倚に対しては、Fsは抗力として作用してQを抑制する方向に作用するので、図2のBのマップは、Pf/Psの正の領域にて参照される。更にステップ80に於いて、このステップを通る各時点に於けるローラ10の上向き偏倚量Sueが、0を初期値としてその都度ΔSuが加算されることにより算出される。
次のステップ90に於いては、上に求められた算出値Sueと現在のローラ10の上方への偏倚の実測値Surとの差が或る所定の誤差値ΔEs以内であるか否かが判断される。ローラ10の偏倚の実際の大きさは偏倚センサにより直接求められる。Sue−SurがΔEs以内であり、ステップ90の答がイエスであれば、ローラ10の上方への偏倚が油流制御弁30に対する制御指令通りに生じていると判断される。このときには、制御はステップ30へ戻り、ステップ30の答がノーである限り、ステップ30〜90が繰り返し続けられる。しかし、ステップ90の答がノーになると、制御はステップ100へ進む。ステップ90の答がノーになることは、Sueに対するSurの追従遅れがΔEsに達したことであり、これは油流制御弁30に対する開弁指令に対し油流制御弁30が正常に従っていないことを示すので、ΔEsの大きさが適当に設定されれば、これによって油流制御弁30に固着等によるスプールの開閉不良が生じたと判定することができる。そこで、その時点に於けるSurの値がSusとして記憶される。このとき、ステップ110に於いてフラグF1が1にセットされ、制御はステップ30へ戻る。
ステップ30〜60が続けられると、変速比γrがγreqに近づくにつれてステップ40にて算定されるローラの上方への偏倚の目標値Sutが減小してくるので、やがて、変速比γrがγreqまで下がってステップ30の答がイエスになる前に、ローラの上方への実偏倚Surが目標値値Sutに追いついてこれを追い越すこととなり、ステップ50に答はイエスからノーに転ずる。これより制御はステップ120へ進み、油流制御弁30は閉じられる。尚、実際には、その前に、Sut−Surの漸減により、それに対応して油流制御弁30に対する電流比rfは漸減しており、従ってステップ120に於ける油流制御弁30の閉じ操作は漸閉の終局である。
油流制御弁30が制御指令に対し正常に追従していても、或は油流制御弁30にステップ90の答がノーとなるような制御指令に対する追従遅れが生じていても、このときローラはディスクに対し上方への偏倚しているので、その後やがて実変速比γrは変更要求値γreqに対しδγ以下の差となるまで下がり、ステップ30の答はノーからイエスに転じる。これより制御はステップ130へ進むようになり、ローラ10を中立位置へ戻す制御が行われる。
ステップ130に於いては、ローラ10の上方への実偏倚量Surが或る小さな所定値δSu以下になったか否かが判断される。所定値δSuはローラが中立位置へ戻った判断するための限界値である。答がノーである間、制御はステップ140へ進み、フラグF1が1であるか否かが判断される。答がノーであれば、制御はステップ150へ進み、油流制御弁32をその時点に於けるローラ10の上方への実偏倚量Surに比例する電流比rfにて開弁し、これによってピストン20を下方へ駆動してローラ10を中立位置へ戻す制御が行われる。k3は適当な比例係数である。一方、フラグF1が1であるときには、油流制御弁30にスプールの開閉不良障害が生じており、その開閉不良による油流制御弁30の開弁の程度はローラ10の上方への偏倚に換算してステップ100にて検出された偏倚Susに相当しているので、制御はステップ160へ進み、油流制御弁32に対する電流比rfをその時点に於けるローラ10の上方への偏倚Surに比例する値にSusに比例する値を加えた値に増大することが行われる。
図4は、油流制御弁30にローラの上方への偏倚時にSusに対応する開度での固着が生じた場合に、ステップ160に於いて油流制御弁32に対する電流比rfがSusに比例して増大されることを図2のBのマップにて表したものである。この場合、油流制御弁30の開弁固着により油流制御弁30に常時生ずることとなる油の流量Qeは、油流制御弁32の開弁による油の流量Qに対しそれを打ち消す方向に作用するので、油流制御弁32に対するQ/Qsの軸座標が、図4のグラフの右側に示されている如くQe/Qsに相当する差分だけ上方へシフトされ、或る所定のPfの作用の下で所定の流量Qを得るために必要な電流比rfは、その分だけ増大する。油流制御弁32に開弁固着が生じた場合にこれに対向して開弁される油流制御弁30に要する電流比の増大も同様である。
ステップ130,140,150またはステップ130,140,160が繰り返されると、ローラ10は中立位置へ戻り、ステップ130の答はイエスとなり、これにて1回のアップシフト制御は終了する。
こうして油流制御弁30にスプールの開閉不良障害が生じたときには、そのことが自動的且つ定量的に検出され、また更にそれに対処して、油圧制御装置の作動性能が該障害により低下することを補う制御態様の定量的制御を伴う自動修正が行われる。
ステップ10の答がノーのときには、制御はステップ170へ進み、要求されている変速比γreqと実変速比γrの差がある所定の限界値Δγ2より大きいか否かが判断される。答がイエスであることは、変速比の増大、即ちダウンシフトが要求されており、しかもそれがダウンシフト要求に応ずる変速比増大幅の下限値Δγ2以上であることを意味する。このときには、制御はステップ220へ進み、ステップ20〜160に沿って以上に説明したアップシフト制御に類似の要領によるダウンシフト制御が行われる。
この場合、ステップ220に於いては、今回のフローに於ける変速比要求値γreq(n)と前回のフロー時に於ける変速比要求値γreq(n-1)の差が正であるか否かが判断される。答がイエスである間、制御はここに留まる。ステップ220は一度の変速比増大要求の最大値を確認するためのものである。答がイエスよりノーに転じたところで制御はステップ230へ進む。
ステップ230に於いては、上に確認された変速比変更要求値γreqと現在の実変速比γrとの差が0に近い或る微小値δγ以下であるか(即ち、実変速比γrが増大された変更要求値γreqに対し微小値δγ以下の差となるまで近づいか)否かが判断される。答がノーである間、制御はステップ240へ進む。ステップ240に於いては、変更要求値γreqと実変速比γrの差に比例してディスクに対しローラ10を下方へ偏倚させる偏倚の目標値Sdtが算出される。k4は適当な比例係数である。次いで、制御はステップ250へ進む。
ステップ250に於いては、下方偏倚目標値Sdtとそれに対する下方偏倚の実測値Surの差が正であるか否かが判断される。答がイエスである間、制御はステップ260へ進み、SdtとSdrの差に比例する値として電流比rfの大きさが制御される。k5は適当な比例係数である。次いで、制御はステップ270へ進む。
ステップ270に於いては、ローラ10の下向き偏倚の1フローサイクル当りの変化量ΔSdの値が算出される。この値ΔSdは実測値ではなく、図2のBについて油圧室22への油供給の流量Qと制御がステップ270を繰り返す間の時間差とに基づいて算出される理論上の推定値である。変速比を減小させるためのローラ10の下方への偏倚に対しては、Fsは助成力として作用し、Qを増大させる方向に作用するので、図2のBのマップは、Pf/Psが負の領域にて参照される。更にステップ280に於いて、このステップを通る各時点に於けるローラ10の下向き偏倚量Sdeが、0を初期値としてその都度ΔSdの加算により算出される。
次のステップ290に於いては、上に求められた算出値Sdeと現在のローラ10の下方への偏倚の実測値Sdrとの差が或る所定の誤差値ΔEs以内であるか否かが判断される。Sde−SdrがΔEs以内であり、ステップ290の答がイエスであれば、ローラ10の下方への偏倚が油流制御弁32に対する制御指令通りに生じていると判断される。このときには、制御はステップ230へ戻り、ステップ230の答がノーである限り、ステップ230〜290が繰り返し続けられる。しかし、ステップ290の答がノーになると、制御はステップ300へ進む。ステップ290の答がノーになることは、Sdeに対するSdrの追従遅れがΔEsに達したことであり、これは油流制御弁32に対する開弁指令に対し油流制御弁32が正常に従っていないことを示すので、これによって油流制御弁32に固着等によるスプールの開閉不良が生じたと判定することができる。そこで、その時点に於けるSdrの値がSdsとして記憶される。このとき、ステップ310に於いてフラグF2が1にセットされ、制御はステップ230へ戻る。
ステップ230〜260が続けられると、変速比γrがγreqに近づくにつれてステップ240にて算定されるローラの下方への偏倚の目標値Sdtが減小してくるので、やがて、変速比γrがγreqまで増大してステップ230の答がイエスになる前に、ローラの下方への実偏倚Sdrが目標値値Sdtに追いついてこれを追い越すこととなり、ステップ250に答はイエスからノーに転ずる。これより制御はステップ320へ進み、油流制御弁32は閉じられる。尚、実際には、その前に、Sdt−Sdrの漸減により、それに対応して油流制御弁32に対する電流比rfは漸減しており、従ってステップ320に於ける油流制御弁32の閉じ操作は漸閉の終局である。
油流制御弁32が制御指令に対し正常に追従していても、或は油流制御弁32にステップ290の答がノーとなるような制御指令に対する追従遅れが生じていても、このときローラはディスクに対し下方への偏倚しているので、その後やがて実変速比γrは変更要求値γreqに対しδγ以下の差となるまで上がり、ステップ230の答はノーからイエスに転じる。これより制御はステップ330へ進むようになり、ローラ10を中立位置へ戻す制御が行われる。
ステップ330に於いては、ローラ10の下方への実偏倚量Sdrが或る小さな所定値δSd以下になったか否かが判断される。所定値δSdはローラが中立位置へ戻った判断するための限界値である。答がノーである間、制御はステップ340へ進み、フラグF2が1であるか否かが判断される。答がノーであれば、制御はステップ350へ進み、油流制御弁30をその時点に於けるローラ10の下方への実偏倚量Sdrに比例する電流比rfにて開弁し、これによってピストン20を上方へ駆動してローラ10を中立位置へ戻す制御が行われる。k6は適当な比例係数である。一方、フラグF2が1であるときには、油流制御弁32にスプールの開閉不良障害が生じており、その開閉不良による油流制御弁32の開弁の程度はステップ300にて検出された偏倚Sdsに相当しているので、制御はステップ360へ進み、油流制御弁30に対する電流比rfをその時点に於けるローラ10の下方への偏倚Sdrに比例する値にSdsに比例する値を加えた値に増大することが行われる。ステップ330,340,350またはステップ330,340,360が繰り返されると、ローラ10は中立へ戻り、ステップ330の答はイエスとなり、これにて1回のダウンシフト制御は終了する。
こうして油流制御弁32にスプールの開閉不良障害が生じたときにも、そのことが自動的且つ定量的に検出され、また更にそれに対処して、油圧制御装置の作動性能が該障害により低下することを補う制御態様の定量的制御を伴う自動修正が行われる。
図5は、油流制御弁30または32が弁スプールとシリンダの間への異物の噛込み等により開閉不良障害を生じたことに対処する本発明による油圧制御装置の他の一つの実施の形態を示す図1と同様の概略図である。図5に於いて図1に示す部分に対応する部分は図1に於けると同じ符号により示されている。この場合、油流制御弁30の給油取出しポート38と油流制御弁32の排油取入れポート56とを結ぶ油路72および88と、油流制御弁30の排油取入れポート40と油流制御弁32の給油取出しポート54とを結ぶ油路78および86とは、油圧室20および22に対するそれらの連結を相互に反転させる切換弁94を介して油圧室20および22に接続されている。
これによって、切換弁94が図示の如きa位置に切り換えられているときには、油流制御弁30の給油取出しポート38と油流制御弁32の排油取入れポート56とが油圧室20と接続され、油流制御弁30の排油取入れポート40と油流制御弁32の給油取出しポート54とが油圧室22と接続されるが、切換弁94がこれと反対のb位置に切り換えられるときには、油流制御弁30の給油取出しポート38と油流制御弁32の排油取入れポート56とが油圧室22と接続され、油流制御弁30の排油取入れポート40と油流制御弁32の給油取出しポート54とが油圧室20と接続される。切換弁94の切換えは制御弁制御手段92により行われるようになっている。
図6は、図5に示す油圧制御装置により油流制御弁30または32に開閉不良傷害が生じたことに対処する本発明による油圧制御装置の作動態様の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに於いて、図3に示すステップに対応するステップは図3に於けると同じステップ番号により示されている。
この場合、油流制御弁30に開閉不良傷害が生じたと判定されると、ステップ101に於いて切換弁94がb位置へ切り換えられ、ステップ110に於いてフラグF1が1にセットされる。また、ステップ50の次にはフラグF1が1であるか否かの判断ステップ51が加入されており、これによって油流制御弁30に開閉不良傷害が生じたと判定されると、その時点より電流比rfによる油流制御弁の開作動は、即座に油流制御弁32による作動に切り換えられる。そして、制御が続けられ、ステップ50の答がノーになると、ステップ112にてなされる切換弁94の切換え状態の判断に基づいてステップ120または121にて油流制御弁30または32が閉弁される。
また実変速比γrが要求変速比γreqとなり、ステップ30の答がイエスになったときには、ステップ140にて再び切換弁94の切換え状態が判断され、それに基づいて、切換弁94がa位置に切り換えられていれば、そのまま、また切換弁94がb位置に切り換えられていたときには、ステップ141にて切換弁94をa位置に戻してから、制御はステップ150へ進み、ローラを中立位置へ戻す操作が行われる。
図6に示すフローチャートに於いて、変速比を増大さるダウンシフト制御に於ける各ステップの制御は、変速比を減小させるダウンシフト制御に於ける各ステップの制御に類似であり、ただ上下の方向あるいは油流制御弁30または32の違いであるので、そのことをフローチャートの各ステップの表示に於いて明らかにし、更なる重複的説明は明細書の冗長化をさけるため省略する。
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
本発明をトロイダル型無段変速機の変速制御用油圧制御装置に適用した一つの実施の形態を示す概略図。 (A)は油流制御弁への供給電流IuまたかIdに対し油圧取り出しポート38または54に現れる油圧PuまたはPdの変化を示すグラフ、(B)は油圧室20または22への油供給の流量Qが図AのPsuまたはPsdであるPsと、駆動側ディスクよりローラに及ぼされる下向きの力に相当する油圧Pfと、油流制御弁への電流供給に於ける電流比rfとに基づいて変化する態様を例示するマップ。 図1の油圧制御装置に於いて、油流制御弁30または32に開閉不良障害が生じた場合の油圧制御装置の作動態様の一例を示すフローチャート。 油流制御弁30または32の一方に開閉不良障害が生じた場合の他方の油流制御弁に対する流量Qの座標値の修正を図2のBと同様のマップに於いて示す図。 本発明をトロイダル型無段変速機の変速制御用油圧制御装置に適用した他の一つの実施の形態を示す概略図。 図5の油圧制御装置に於いて、油流制御弁30または32に開閉不良障害が生じた場合の油圧制御装置の作動態様の一例を示すフローチャート。
符号の説明
10…パワーローラ、12…トラニオン、14…偏心軸、16…油圧アクチュエータ、18…ピストン、20,22…油圧室、24,26…ポート、28…圧油源、30,32…油流制御弁、34…排油溜、36…給油取入れポート、38…給油取出しポート、40…排油取入れポート、42…排油取出しポート、44…弁ハウジング、46…弁スプール、48…圧縮コイルばね、50…電磁駆動装置、52…給油取入れポート、54…給油取出しポート、56…排油取入れポート、58…排油取出しポート、60…弁ハウジング、62…弁スプール、64…圧縮コイルばね、66…電磁駆動装置、68〜90…油路、92…制御弁作動制御手段、94…切換弁

Claims (7)

  1. 第一のポートから油が供給され第二のポートから油が排出されるとき一つの方向に作動状態を変える油圧サーボ装置のための油圧制御装置にして、圧油源から前記第一のポートへの油の供給を制御する油供給制御部と前記第二のポートから排油通路への油の排出を制御する油排出制御部とを有する油流制御弁と、前記油流制御弁の作動を制御する制御弁作動制御手段と、前記圧油源の油圧と前記油流制御弁の開度と前記油圧サーボ装置に作用する外力とに基づいて前記油圧サーボ装置の作動状態の前記一つの方向への変化を推定し、該変化の推定値と実測値との間に所定の限界値を越える偏差があるとき該油圧制御装置にその正常な作動を阻害する障害があると判定する障害判定手段とを有し、前記油流制御弁は、前記第一のポートを前記圧油源に接続すると共に前記第二のポートを前記排油通路へ接続する開位置と前記第一のポートを前記圧油源より遮断すると共に前記第二のポートを前記排油通路より遮断する閉位置との間に切り換えられる第一の油流制御弁と、前記第二のポートを前記圧油源に接続すると共に前記第一のポートを前記排油通路へ接続する開位置と前記第二のポートを前記圧油源より遮断すると共に前記第一のポートを前記排油通路より遮断する閉位置との間に切り換えられる第二の油流制御弁とを含み、前記第一の油流制御弁が開位置とされると共に前記第二の油流制御弁が閉位置とされることにより前記油圧サーボ装置は前記作動状態を第一の方向に変え、前記第二の油流制御弁が開位置とされると共に前記第一の油流制御弁が閉位置とされることにより前記油圧サーボ装置は前記作動状態を第二の方向に変えるようになっており、前記油圧サーボ装置の作動状態を前記第一の方向に変化させる過程で該変化の推定値と実測値との間に所定の限界値を越える偏差があるとき、前記障害判定手段は前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定するようになっていることを特徴とする油圧制御装置。
  2. 前記障害判定手段は前記作動状態の変化の推定値と実測値との間に前記所定の限界値を越える偏差が生じたときの該作動状態から前記障害の度合を推定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定されたとき、前記第一の油流制御弁による前記圧油源から前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから前記排油通路への油の排出の少なくとも一部を前記第二の油流制御弁の開作動の変更により打ち消すようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記障害判定手段は前記作動状態の変化の推定値と実測値との間に前記所定の限界値を越える偏差が生じたときの該作動状態から前記開閉不良障害の度合を推定し、該推定された開閉不良障害の度合に応じて前記第二の油流制御弁の開作動を変更するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の油圧制御装置。
  5. 前記第一および第二のポートに対する前記第一および第二の油流制御弁の接続を相互に反転する切換弁を有し、前記第一の油流制御弁に開閉不良障害があると判定されたとき、前記切換弁を反転し、前記第一の油流制御弁の開作動により行われる筈の前記圧油源からの前記第一のポートへの油の供給と前記第二のポートから前記排油通路への油の排出を前記第二の油流制御弁により行うようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の油圧制御装置。
  6. 前記油圧サーボ装置はトロイダル型無段変速機の変速制御装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の油圧制御装置。
  7. 前記油圧サーボ装置は車輛の駆動系に於けるトロイダル型無断変速機の変速制御装置であり、前記油圧サーボ装置が前記作動状態を前記第一の方向に変えるのは変速比を減小させるときであり、前記油圧サーボ装置が前記作動状態を前記第二の方向に変えるのは変速比を増大させるときであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の油圧制御装置。
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