JPH07167252A - 静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置 - Google Patents

静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置

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JPH07167252A
JPH07167252A JP25241194A JP25241194A JPH07167252A JP H07167252 A JPH07167252 A JP H07167252A JP 25241194 A JP25241194 A JP 25241194A JP 25241194 A JP25241194 A JP 25241194A JP H07167252 A JPH07167252 A JP H07167252A
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speed stage
stage
hydrostatic
clutch
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Ryoichi Maruyama
良一 丸山
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力 石野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置
に関し、車両の加減速の中断時間を短くする。 【構成】 任意の速度段から絶対速度の速い速度段に切
換えるに際して所定速度比E1 として実際の速度比e
が、|E1 |<|e|<|E0 |(E0 :任意の速度段
から絶対速度の速い速度段への切換点の速度比)を満た
す場合に速度段切換制御を行う。また、時間Δtでの速
度比eの上昇量Δeと任意の速度段から絶対速度の速い
速度段に切換えるクラッチの作動油のフィリングタイム
1 とが微小速度比をΔE1 として、|e|+(Δe/
Δt)×T1 >|E0 |−ΔE1 を満たす場合に速度段
切換制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動力源に連結可能な入
力軸を通して駆動される機械伝動部を設けるとともに、
この入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポンプおよび
モータより構成されて少なくとも一方の吐出量設定斜板
の角度が可変である静油圧伝動部を接続可能に設け、こ
れら機械伝動部側および静油圧伝動部側の両方に出力軸
を結合させて駆動させる差動部を設けることにより構成
される静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の静油圧−機械式変速機に
おけるクラッチ切換制御方法として、例えば特公平1−
30650号公報に開示されているものが知られてい
る。この公報に開示のクラッチ切換制御方法において
は、現速度段の上段および下段の変速クラッチとディス
クのプレートとの相対回転数を演算し、この演算される
それぞれの相対回転数が一定値以下になった時に変速信
号を発して上段もしくは下段のクラッチ係合動作に入
り、この係合動作と同時に上段もしくは下段のクラッチ
相対回転数を0に近づけるように静油圧−機械式変速機
のポンプ吐出容積を制御し、上段もしくは下段のクラッ
チからの信号によりその上段もしくは下段のクラッチの
係合を判定し、現速度段のクラッチ解放動作に入りクラ
ッチ切換制御を完了するようにされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来のクラッチ切換制御方法では次に述べるよう
な問題点があった。 クラッチ切換時にはクラッチ作動ピストンのフィリン
グタイムがあるために、このフィリングタイムの間静油
圧−機械式変速機の速度比が一定となって車両の加速ま
たは減速が中断してしまう。 クラッチの係合判定を油圧スイッチからの信号により
行っているために、この油圧スイッチが故障した場合に
クラッチ切換制御が完了できない。 走行抵抗により車速がクラッチ切換点近傍にある時、
走行抵抗の小さな変化に対しても速度段が上がったり下
がったりする、所謂ハンチング現象を起こしてしまう。 クラッチ切換制御に一度入るとその制御が完了するま
で別の制御に移れない。したがって、例えば増速側への
切換中に前進・後進のレバーを切換えた場合には、増速
側へのクラッチ切換制御を完了した後すぐに減速側への
クラッチ切換制御を行い、この後に速度比を低下させる
制御に入るという手順が必要となる。この場合2回のク
ラッチ切換制御が行われるために、タイムロスが出て減
速が遅れることになる。また、車両に急激な負荷が加わ
り速度比を下げなければならないような場合にも同様に
減速が遅れることになる。
【0004】本発明は、このような問題点を解消するこ
とを目的として、車両の加速・減速を中断させずに速度
段の切換えを行うとともに、速度段のハンチングを防止
し、かつ速度段切換時の不要なタイムロスをなくすこと
のできる静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用・効果】本発明
による静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置は、
前述された目的を達成するために、第1に、動力源に連
結可能な入力軸を通して駆動される機械伝動部を設ける
とともに、この入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポ
ンプおよびモータより構成されて少なくとも一方の吐出
量設定斜板の角度が可変である静油圧伝動部を接続可能
に設け、これら機械伝動部側および静油圧伝動部側の両
方に出力軸を結合させて駆動させる差動部を設けること
により構成される静油圧−機械式変速機において、任意
の速度段から絶対速度の速い速度段に切換えるに際し
て、前記静油圧−機械式変速機の実際の速度比eが次式 |E0 |>|e|>|E1 | ここで、E0 :任意の速度段から絶対速度の速い速度段
への切換点の速度比 E1 :速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプレ
ートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度比 を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
えることである。
【0006】この第1の発明によれば、任意の速度段か
ら絶対速度の速い速度段に切換えるに際して、係合させ
るクラッチとディスクのプレートとの相対回転速度が0
に極めて近くなった時に速度段の切換えが行われる。し
たがって、車両の加速を中断させずに加速しながら速度
段の切換えを行って加速中断時間を短くすることがで
き、また切換時の変速ショックの発生およびクラッチの
破損の発生を確実に防止することができる。
【0007】本発明による静油圧−機械式変速機の速度
段切換制御装置は、第2に、動力源に連結可能な入力軸
を通して駆動される機械伝動部を設けるとともに、この
入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモー
タより構成されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角
度が可変である静油圧伝動部を接続可能に設け、これら
機械伝動部側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結
合させて駆動させる差動部を設けることにより構成され
る静油圧−機械式変速機において、任意の速度段から絶
対速度の速い速度段に切換えるに際して、時間Δtでの
前記静油圧−機械式変速機の実際の速度比eの絶対値の
上昇量Δe(Δe>0)と、任意の速度段から絶対速度
の速い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリング
タイムT1 との関係が所定の微小速度比をΔE1 として
次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 >|E0 |−ΔE1 を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
えることである。
【0008】この第2の発明によれば、任意の速度段か
ら絶対速度の速い速度段に切換えるに際して、実際の速
度比eの絶対値の上昇量Δeと次に係合されるクラッチ
のフィリングタイムとからそのクラッチの相対速度比が
0に極めて近くなる時点が予測され、クラッチ作動油の
フィリング中にも速度比を変化させてクラッチの切換制
御が行われる。したがって、クラッチの係合とほぼ同時
に前段クラッチを解放することができ、加速中断時間を
短くすることができるとともに切換時の変速ショックの
発生およびクラッチの破損の発生を確実に防止すること
ができる。
【0009】本発明による静油圧−機械式変速機の速度
段切換制御装置は、第3に、動力源に連結可能な入力軸
を通して駆動される機械伝動部を設けるとともに、この
入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモー
タより構成されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角
度が可変である静油圧伝動部を接続可能に設け、これら
機械伝動部側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結
合させて駆動させる差動部を設けることにより構成され
る静油圧−機械式変速機において、任意の速度段から絶
対速度の速い速度段に切換えるに際して、前記静油圧−
機械式変速機の実際の速度比eが次式 |E0 |>|e|>|E1 | ここで、E0 :任意の速度段から絶対速度の速い速度段
への切換点の速度比 E1 :速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプレ
ートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度比 または時間Δtでの前記実際の速度比eの絶対値の上昇
量Δe(Δe>0)と、任意の速度段から絶対速度の速
い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリングタイ
ムT1 との関係が所定の微小速度比をΔE1 として次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 >|E0 |−ΔE1 のいずれかを満たす場合に速度段の切換えを行う切換制
御手段を備えることである。
【0010】この第3の発明によれば、任意の速度段か
ら絶対速度の速い速度段に切換えるに際して、係合させ
るクラッチとディスクのプレートとの相対速度比が0に
極めて近くなった時、または実際の速度比eの絶対値の
上昇量Δeと次に係合されるクラッチのフィリングタイ
ムとから予測される相対速度比が0に極めて近くなった
時に速度段の切換えが行われる。
【0011】この第3の発明において、前記切換制御手
段は、実際のエンジン回転速度nEと目標エンジン回転
速度NE との差nE −NE が設定値ΔNE1を越える場合
に速度段の切換えを行うようにするのが好ましい。
【0012】前記切換制御手段は、絶対速度の速い速度
段から任意の速度段への切換わり後の時間が設定値T4
以上経過している場合に速度段の切換えを行うようにす
るのが好ましい。こうすることで変速後における速度段
のハンチングを防止することができる。
【0013】前記切換制御手段は、前後進レバーにより
前進,中立および後進の切換操作がなされていない場合
に速度段の切換えを行うようにするのが好ましい。この
ようにすると、速度段の切換のタイムロスをなくすこと
ができる。
【0014】前記切換制御手段は、E0 が上限速度比E
max より小さい値である場合に速度段の切換えを行うよ
うにするのが好ましい。
【0015】前記第1乃至第3の発明において、前記切
換制御手段は、任意の速度段から絶対速度の速い速度段
への切換中において、任意の速度段のクラッチの係合状
態を保持させるとともに絶対速度の速い速度段のクラッ
チに係合信号を送り、同時に目標速度比EがE0 になる
ようにその目標速度比Eを上昇させ、0≦T2 <T 1
る時間T2 として時間T 1−T2 後に任意の速度段のク
ラッチの係合を解除する信号を送るようにするのが好ま
しい。
【0016】この場合、前記切換制御手段は、任意の速
度段から絶対速度の速い速度段への切換中において、時
間T1 −T2 以内にエンジン回転速度が目標エンジン回
転速度に対して設定値を越えて低下した時または前後進
レバーが切換操作された時に前記絶対速度の速い速度段
のクラッチの係合信号を解除するようにするのが好まし
い。
【0017】また、前記第1の発明において、前記切換
制御手段は、油温が車両の稼働温度以下の低温状態にあ
る時には、任意の速度段から絶対速度の速い速度段への
切換中において、任意の速度段のクラッチの係合状態を
保持させるとともに絶対速度の速い速度段のクラッチに
係合信号を送り、速度比eとE0 との差が微小値以内と
なる状態が所定時間継続した際に前記任意の速度段のク
ラッチに解放信号を送るようにするのが好ましい。こう
することで、低温状態においてトルク切れが生じるのを
確実に防止することができる。
【0018】本発明による静油圧−機械式変速機の速度
段切換制御装置は、第4に、動力源に連結可能な入力軸
を通して駆動される機械伝動部を設けるとともに、この
入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモー
タより構成されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角
度が可変である静油圧伝動部を接続可能に設け、これら
機械伝動部側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結
合させて駆動させる差動部を設けることにより構成され
る静油圧−機械式変速機において、任意の速度段から絶
対速度の遅い速度段に切換えるに際して前記静油圧−機
械式変速機の実際の速度比eが |E1 ’|>|e|>|E0 ’| ここで、E0 ’:任意の速度段から絶対速度の遅い速度
段への切換点の速度比 E1 ’:速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプ
レートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度
比 を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
えることである。
【0019】この第4の発明によれば、任意の速度段か
ら絶対速度の遅い速度段に切換えるに際して、係合させ
るクラッチとディスクのプレートとの相対回転速度が0
に極めて近くなった時に速度段の切換えが行われる。し
たがって、車両の減速を中断させずに減速しながら速度
段の切換えを行って減速中断時間を短くすることがで
き、また切換時の変速ショックの発生およびクラッチの
破損の発生を確実に防止することができる。
【0020】本発明による静油圧−機械式変速機の速度
段切換制御装置は、第5に、動力源に連結可能な入力軸
を通して駆動される機械伝動部を設けるとともに、この
入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモー
タより構成されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角
度が可変である静油圧伝動部を接続可能に設け、これら
機械伝動部側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結
合させて駆動させる差動部を設けることにより構成され
る静油圧−機械式変速機において、任意の速度段から絶
対速度の遅い速度段に切換えるに際して、時間Δtでの
前記静油圧−機械式変速機の実際の速度比eの絶対値の
下降量Δe’(Δe’<0)と、任意の速度段から絶対
速度の遅い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリ
ングタイムT1 ’との関係が所定の微小速度比をΔ
1 ’として次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 ’<|E0 ’|+Δ
1 ’ を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
えることである。
【0021】この第5の発明によれば、任意の速度段か
ら絶対速度の遅い速度段に切換えるに際して、実際の速
度比eの絶対値の上昇量Δeと次に係合されるクラッチ
のフィリングタイムとからそのクラッチの相対回転速度
が0に極めて近くなる時点が予測され、クラッチ作動油
のフィリング中にも速度比を変化させてクラッチの切換
制御が行われる。したがって、クラッチの係合とほぼ同
時に前段クラッチを解放することができ、減速中断時間
を短くすることができるとともに切換時の変速ショック
の発生およびクラッチの破損の発生を確実に防止するこ
とができる。
【0022】本発明による静油圧−機械式変速機の速度
段切換制御装置は、第6に、動力源に連結可能な入力軸
を通して駆動される機械伝動部を設けるとともに、この
入力軸に各々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモー
タより構成されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角
度が可変である静油圧伝動部を接続可能に設け、これら
機械伝動部側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結
合させて駆動させる差動部を設けることにより構成され
る静油圧−機械式変速機において、任意の速度段から絶
対速度の遅い速度段に切換えるに際して前記静油圧−機
械式変速機の実際の速度比eが |E1 ’|>|e|>|E0 ’| ここで、E0 ’:任意の速度段から絶対速度の遅い速度
段への切換点の速度比 E1 ’:速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプ
レートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度
比 または時間Δtでの前記実際の速度比eの絶対値の下降
量Δe’(Δe’<0)と、任意の速度段から絶対速度
の遅い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリング
タイムT1 ’との関係が所定の微小速度比をΔE1 ’と
して次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 ’<|E0 ’|+Δ
1 ’ のいずれかを満たす場合に速度段の切換えを行う切換制
御手段を備えることである。
【0023】この第6の発明によれば、任意の速度段か
ら絶対速度の遅い速度段に切換えるに際して、係合させ
るクラッチとディスクのプレートとの相対回転速度が0
に極めて近くなった時、または実際の速度比eの絶対値
の上昇量Δeと次に係合されるクラッチのフィリングタ
イムとから予測される相対速度比が0に極めて近くなっ
た時に速度段の切換えが行われる。
【0024】この第6の発明において、前記切換制御手
段は、実際のエンジン回転速度nEと目標エンジン回転
速度NE との差nE −NE が設定値−ΔNE1’未満の場
合に速度段の切換えを行うようにするのが好ましい。
【0025】前記切換制御手段は、前記絶対速度の遅い
速度段から前記任意の速度段への切換わり後の時間が設
定値T4 ’以上経過している場合に速度段の切換えを行
うようにするのが好ましい。
【0026】前記切換制御手段は、ブレーキペダルの踏
み込み操作がなされている場合に速度段の切換えを行う
ようにするのが好ましい。
【0027】前記切換制御手段は、前後進レバーにより
前進,中立および後進の切換操作がなされている場合に
速度段の切換えを行うようにするのが好ましい。
【0028】前記切換制御手段は、上限速度比Emax
0 ’より小さな値である場合に速度段の切換えを行う
ようにするのが好ましい。
【0029】前記第4乃至第6の発明において、前記切
換制御手段は、任意の速度段から絶対速度の遅い速度段
への切換中において、任意の速度段のクラッチの係合状
態を保持させるとともに絶対速度の遅い速度段のクラッ
チに係合信号を送り、同時に目標速度比EがE0 になる
ようにその目標速度比Eを下降させ、0≦T2 ’<
1’なる時間T2 ’として時間T 1’−T2 ’後に任
意の速度段のクラッチの係合を解除する信号を送るよう
にするのが好ましい。
【0030】この場合、前記切換制御手段は、任意の速
度段から絶対速度の遅い速度段への切換中において、時
間T1 ’−T2 ’以内にエンジン回転速度が目標エンジ
ン回転速度に対して設定値を越えて増加した時または前
後進レバーが切換操作された時に前記絶対速度の遅い速
度段のクラッチの係合信号を解除するようにするのが好
ましい。
【0031】また、前記第4の発明において、前記切換
制御手段は、油温が車両の稼働温度以下の低温状態にあ
る時には、任意の速度段から絶対速度の遅い速度段への
切換中において、任意の速度段のクラッチの係合状態を
保持させるとともに絶対速度の遅い速度段のクラッチに
係合信号を送り、速度比eとE0 との差が微小値以内と
なる状態が所定時間継続した際に前記任意の速度段のク
ラッチに解放信号を送るようにするのが好ましい。
【0032】本発明の目的は、後述される詳細な説明か
ら明らかにされる。しかしながら、詳細な説明および具
体的実施例は最も好ましい実施態様について説明する
が、本発明の精神および範囲内の種々の変更および変形
はその詳細な説明から当業者にとって明らかであること
から、具体例として述べるものである。
【0033】
【実施例】次に、本発明による静油圧−機械式変速機の
速度段切換制御装置の具体的実施例につき、図面を参照
しつつ説明する。
【0034】図1において、本発明における動力源の一
例であるエンジン21の出力軸22に同軸状に連結され
ている入力軸23に対して、エンジン21からの伝達動
力が分割されるように前進3速および後進3速の変速装
置を有する機械伝動部24と、油圧ポンプ・モータを有
する静油圧伝動部25とが設けられている。また、択一
的に機械伝動部24側および静油圧伝動部25側の両方
に、また静油圧伝動部25側にのみ出力軸26を結合さ
せて駆動させる差動部27が設けられている。
【0035】次に、機械伝動部24,静油圧伝動部25
および差動部27を順次に説明する。
【0036】(1)機械伝動部24 入力軸23に対して、この入力軸23の軸方向に図上に
おいて左側から各シングルプラネタリ型の後進用遊星歯
車列30および前進用遊星歯車列31が設けられてい
る。この後進用遊星歯車列30は、入力軸23に固着さ
れている太陽歯車30aと、この太陽歯車30aの外側
に位置する輪歯車30bと、これら両歯車30a,30
b間に介在して両歯車30a,30bに噛合する遊星歯
車30cと、この遊星歯車30cのキャリヤであって後
進用油圧クラッチ32により油圧制動可能な遊星キャリ
ヤ30dとより構成されている。また、前進用遊星歯車
列31は、同様に入力軸23に固着されている太陽歯車
31aと、この太陽歯車31aの外側に位置して前進用
油圧クラッチ33により油圧制動可能な輪歯車31b
と、これら両歯車31a,31b間に介在して両歯車3
1a,31bと噛合する遊星歯車31cと、この遊星歯
車31cのキャリヤであって後進用遊星歯車列30の輪
歯車30bと一体状の遊星キャリヤ31dとより構成さ
れている。次に、入力軸23の延長線上であってその入
力軸23と同軸状に中間軸35が配されているととも
に、この中間軸35には図上において左端部に2速用油
圧クラッチ36により油圧結合可能なクラッチ板37が
設けられている。なお、この2速用油圧クラッチ36
は、前進用遊星歯車列31の遊星キャリヤ31dと一体
状に構成されている。また、中間軸35に対してその中
間軸35の軸方向に図上において左側から各シングルプ
ラネタリ型の3速用遊星歯車列38および3速用遊星歯
車列39が設けられている。この3速用遊星歯車列38
は、中間軸35に回転自在に支持されている太陽歯車3
8aと、この太陽歯車38aの外側に位置して前進用遊
星歯車列31の遊星キャリヤ31dおよび2速用油圧ク
ラッチ36と一体状の輪歯車38bと、これら両歯車3
8a,38b間に介在して両歯車38a,38bと噛合
する遊星歯車38cと、この遊星歯車38cのキャリヤ
であって3速用油圧クラッチ40により油圧制動可能な
遊星キャリヤ38dとより構成されている。また、3速
用遊星歯車列39は、同様に中間軸35に回転自在に支
持されている太陽歯車39bと、この太陽歯車39bの
外側に位置して3速用遊星歯車列38の太陽歯車38a
と一体状の輪歯車39cと、これら両歯車39b,39
c間に介在して両歯車39b,39cと噛合する遊星歯
車39dと、この遊星歯車39dのキャリヤであって固
定遊星キャリヤ39eとより構成されている。
【0037】(2)静油圧伝動部25 入力軸23に対して、正側および負側の両振りの吐出量
設定可変角度斜板50aを有する可変容量ポンプ50が
歯車列51を介して連結されている。この可変容量ポン
プ50には、往路および復路から構成されている一対の
連通管52を介して片振りの吐出量設定可変角度斜板5
3aを有する可変容量モータ53が接続されている。こ
の可変容量モータ53の出力軸54は、歯車列55と連
結されている。なお、可変容量ポンプ50および可変容
量モータ53の両吐出量設定可変角度斜板50a,53
aは、これら両吐出量設定可変角度斜板50a,53a
の角度変化に対応して、次のように可変容量ポンプ50
および可変容量モータ53の回転速度変化が生じるよう
に構成されている。
【0038】可変容量ポンプ50を一定回転速度とし、
可変容量モータ53の吐出量設定可変角度斜板53aを
最大斜板角度状態にして、可変容量ポンプ50の吐出量
設定可変角度斜板50aの斜板角度を0度から正方向に
傾けて行くと、可変容量モータ53の回転速度は0から
正方向に増加する。次に、可変容量ポンプ50の吐出量
設定可変角度斜板50aを正側の最大斜板角度状態にし
て、可変容量モータ53の吐出量設定可変角度斜板53
aの斜板角度を小にすると、可変容量モータ53の回転
速度はさらに正方向に増加する。
【0039】逆に、可変容量モータ53の吐出量設定可
変角度斜板53aを最大斜板角度状態にして、可変容量
ポンプ50の吐出量設定可変角度斜板50aの斜板角度
を0度から負方向に傾けて行くと、可変容量モータ53
の回転速度は0から負方向に増加する。次に、可変容量
ポンプ50の吐出量設定可変角度斜板50aを負側の最
大斜板角度状態にして、可変容量モータ53の吐出量設
定可変角度斜板53aの斜板角度を小にすると、可変容
量モータ53の回転速度はさらに負方向に増加する。
【0040】(3)差動部27 中間軸35の軸方向の図上において右端側の延長線上に
は、同軸状に左側からダブルプラネタリ型の第1差動遊
星歯車列60およびシングルプラネタリ型の第2差動遊
星歯車列61が設けられている。この第1差動遊星歯車
列60は、中間軸35に回転自在に支持されて3速用遊
星歯車列39の太陽歯車39bおよびクラッチ板41と
一体状の太陽歯車60aと、この太陽歯車60aの外側
に位置する輪歯車60bと、これら両歯車60a,60
b間に介在して両歯車60a,60bのいずれか一方に
かつ互いに噛合する遊星歯車60cと、この遊星歯車6
0cのキャリヤであって静油圧伝動部25の可変容量モ
ータ53の出力軸54と歯車列55を介して結合する入
力歯車62と一体状の遊星キャリヤ60dとより構成さ
れている。また、第2差動遊星歯車列61は、同様に中
間軸35に回転自在に支持されて第1差動遊星歯車列6
1の遊星キャリヤ60dと一体状の太陽歯車61aと、
この太陽歯車61aの外側に位置しかつ中間軸35の延
長線上であって図上において右側にその中間軸35と同
軸状に配置されている出力軸26と一体状の輪歯車61
bと、これら両歯車61a,61b間に介在して両歯車
61a,61bと噛合する遊星歯車61cと、この遊星
歯車61cのキャリヤであって第1差動遊星歯車列60
の輪歯車60bおよび中間軸35と一体状の遊星キャリ
ヤ61dとより構成されている。
【0041】次に、これら機械伝動部24、静油圧伝動
部25および差動部27の機構動作について説明する。
なお、各速度段、言い換えれば後進の1速(R1),2
速(R2),3速(R3)および前進の1速(F1),
2速(F2),3速(F3)における速度比(=出力軸
26の回転速度/エンジン21の出力軸22の回転速度
〔エンジン回転速度〕)に対するモータ速度比(=可変
容量モータ53の出力軸54の回転速度〔モータ回転速
度〕/エンジン21の出力軸22の回転速度〔エンジン
回転速度〕)の関係は、図2に示されている通りであ
る。
【0042】(i)前,後進1速(F1,R1) 1速用油圧クラッチ42だけが作動され、この1速用油
圧クラッチ42により第1差動遊星歯車列60の太陽歯
車60aがクラッチ板41を介して油圧制動されて、中
間軸35はフリー回転状態となる。したがって、静油圧
伝動部25の可変容量油圧モータ53の回転力のみが、
この可変容量油圧モータ53の出力軸54、歯車列5
5、差動部27における入力歯車62、第1差動遊星歯
車列60の遊星キャリヤ60d、遊星歯車60c、輪歯
車60b、第2差動遊星歯車列61の遊星キャリヤ61
d、遊星歯車61c、輪歯車61bを順次に経て出力軸
26に伝達される。要するに、出力軸26は差動部27
によって静油圧伝動部25側にのみ結合されて駆動され
る。
【0043】こうして、モータ速度比を0から正方向に
増加させて行くと出力軸26の回転速度は0から正方向
に増加して行く。また、逆に、モータ速度比を0から負
方向に低下させて行くと出力軸26の回転速度も0から
負方向に低下して行く。このようにして、速度比は正負
の範囲内に無段階に変えることができる。
【0044】なお、前,後進1速(F1,R1)の場合
には、2速用油圧クラッチ36は作動していない状態で
も、作動している状態でも良い。しかし、前,後進2速
(F2,R2)へのクラッチ切換えを考慮して、2速用
油圧クラッチ36を作動させてクラッチを入れておく方
が良い。
【0045】1速の状態において出力軸26の回転速度
が正方向に増加して行き、速度比が正の所定値aとなる
場合には、前進用油圧クラッチ33は遊星歯車装置31
の輪歯車31b との相対回転速度が0になる。このとき
に、前進用油圧クラッチ33を作動させ、1速用油圧ク
ラッチ42を不作動にすると前進2速(F2)状態とな
る。なお、このときには、2速用油圧クラッチ36は作
動されている。
【0046】また、1速の状態において出力軸26の回
転速度が負方向に低下して行き、速度比が負の所定値b
となる場合には、後進用油圧クラッチ32は遊星歯車装
置30の遊星キャリヤ30c との相対回転速度が0にな
る。このときに同様に後進用油圧クラッチ32を作動さ
せ、1速用油圧クラッチ42を不作動にすると後進2速
(R2)状態となる。なお、このときには、2速用油圧
クラッチ36は作動されている。
【0047】(ii)前進2速(F2) 2速用油圧クラッチ36の作動によりクラッチ板37が
油圧結合され、また前進用油圧クラッチ33の作動によ
り前進用遊星歯車列31の輪歯車31bが油圧制動され
ているために、入力軸23の回転力が、機械伝動部24
における前進用遊星歯車列31、2速用油圧クラッチ3
6、中間軸35を介して差動部27における第2差動遊
星歯車列61に回転速度が減速されて伝達される。ま
た、静油圧伝動部25の可変容量モータ53の回転力
も、この可変容量モータ53の回転軸54、歯車列5
5、差動部27における入力歯車62、第1差動遊星歯
車60の遊星キャリヤ60dを介して第2差動遊星歯車
列61に回転速度が減速されて伝達される。この第2差
動遊星歯車列61により機械伝動部24側および静油圧
伝動部25側が結合され、回転速度が合成されて出力軸
26は駆動される。こうして、モータ速度比を低下させ
て行くと出力軸26の回転速度は正方向に増加して行
く。
【0048】前進2速F2状態においてモータ速度比が
正の状態においては、差動部27の第2差動遊星歯車列
61から回転力の一部がその第2差動遊星歯車列61の
遊星歯車61c、太陽歯車61a、第1差動遊星歯車列
60を順次に経て入力歯車62に逆流するようになり、
可変容量モータ53はポンプ作用を行なうようになる。
この可変容量モータ53のポンプ作用により可変容量ポ
ンプ50が駆動され、この可変容量ポンプ50の回転力
が歯車列51を介して入力軸23において、エンジン2
1からの回転力と合成される。
【0049】一方、モータ速度比が負の状態において
は、入力軸23の回転力の一部が歯車列51を介して可
変容量ポンプ50を駆動し、この可変容量ポンプ50の
駆動による可変容量モータ53の回転力が歯車列55、
差動部27における入力歯車62等を介して差動部27
の第2差動遊星歯車列61に伝達される。この第2差動
遊星歯車列61において機械伝動部24側からの回転力
と合成されて出力軸26が駆動される。
【0050】前進2速(F2)の状態において速度比を
増加させて所定値cとなる場合には、3速用油圧クラッ
チ40は3速用遊星歯車列38の遊星キャリヤ38dと
の相対回転速度が0になる。このときに、3速用油圧ク
ラッチ40を作動させ、2速用油圧クラッチ36を不作
動にすると、前進3速(F3)状態となる。
【0051】また、前進2速(F2)の状態において速
度比を高い状態から低下させて所定値aとなる場合に
は、1速用油圧クラッチ42はクラッチ板41との相対
回転速度が0になる。このときに1速用油圧クラッチ4
2を作動させ、前進用油圧クラッチ33を不作動にする
と前進1速F1状態となる。
【0052】(iii)前進3速(F3) 3速用油圧クラッチ40の作動により3速用遊星歯車列
38の遊星キャリヤ38dが油圧制動され、また前進用
油圧クラッチ33の作動により前進用遊星歯車列31の
輪歯車31bが油圧制動されているために、入力軸23
の回転力が、機械伝動部24における前進用遊星歯車列
31、2速用油圧クラッチ36、3速用遊星歯車列3
8、3速用遊星歯車列39を介して差動部27における
第1および第2の差動遊星歯車列60,61に回転速度
が減速されて伝達される。また、静油圧伝動部25の可
変容量モータ53の回転力も、この可変容量モータ53
の回転軸54、歯車列55を介して差動部27における
第1および第2の差動遊星歯車列60,61に回転速度
が減速されて伝達される。これら第1および第2の差動
遊星歯車列60,61により機械伝動部24側および静
油圧伝動部25側が結合され、回転速度が合成されて出
力軸26は駆動される。こうして、モータ速度比を増加
させて行くと、出力軸26の回転速度は正方向に増加し
て行く。
【0053】前進3速(F3)状態においてモータ速度
比が負の状態においては、差動部27の第1および第2
の差動遊星歯車列60,61から回転力の一部が入力歯
車62に逆流するようになり、可変容量モータ53はポ
ンプ作用になり、前述のように可変容量モータ53の回
転力が可変容量ポンプ50および歯車列51を介して入
力軸23において、エンジン21からの回転力と合成さ
れる。
【0054】一方、モータ速度比が正の状態において
は、入力軸23の回転力の一部が歯車列51を介して可
変容量ポンプ50を駆動し、前述のように可変容量モー
タ53の回転力が歯車列55、差動部27における入力
歯車62等を介して差動部27の第1および第2の差動
遊星歯車列60,61に伝達される。これら第1および
第2の差動遊星歯車列60,61において機械伝動部2
4側からの回転力と合成されて出力軸26が駆動され
る。
【0055】前進3速(F3)の状態において速度比を
高い状態から低下させて所定値cとなる場合には、2速
用油圧クラッチ36はクラッチ板37との相対回転速度
が0になる。このときに、2速用クラッチ36を作動さ
せ、3速用油圧クラッチ40を不作動にすると前進2速
(F2)状態となる。
【0056】(iv)後進2速(R2) 2速用油圧クラッチ36の作動によりクラッチ板37が
油圧結合され、また後進用油圧クラッチ32の作動によ
り後進用遊星歯車列30の遊星キャリヤ30dが油圧制
動されているために、入力軸23の回転力が、機械伝動
部24における後進用遊星歯車列30、2速用油圧クラ
ッチ36、中間軸35を介して差動部27における第2
差動遊星歯車列61に回転数が減速されて伝達される。
また、静油圧伝動部25の可変容量モータ53の回転力
も、前述のように可変容量モータ53の回転軸54、歯
車列55、差動部27における入力歯車62、第1差動
遊星歯車列60の遊星キャリヤ60dを介して第2差動
遊星歯車列61に回転速度が減速されて伝達される。こ
の第1差動遊星歯車列61により機械伝動部24側およ
び静油圧伝動部25側が結合され、回転速度が合成され
て出力軸26は駆動される。こうして、モータ速度比を
増加させて行くと出力軸26の回転速度は負方向に増加
して行く。
【0057】なお、後進2速(R2)状態においては、
モータ速度比が負の状態において差動部27の第2差動
遊星歯車列61から回転力の一部が静油圧伝動部25側
に逆流して可変容量モータ53がポンプ作用を行ない、
モータ速度比が正の状態において入力軸23の回転力の
一部が静油圧伝動部25側に流れる以外は、他は前進2
速(F2)状態と同様である。
【0058】後進2速(R2)の状態において速度比を
高い状態から低下させて所定値dとなる場合には、3速
用油圧クラッチ40は3速用遊星歯車列38の遊星キャ
リヤ38dとの相対回転速度が0となる。このときに、
3速用油圧クラッチ40を作動させ、2速用油圧クラッ
チ36を不作動にすると後進3速(R3)状態となる。
【0059】また、後進2速(R2)の状態において速
度比を増加させて所定値bとなる場合には1速用油圧ク
ラッチ42はクラッチ板41との相対回転数が0とな
る。このときに、1速用油圧クラッチ42を作動させ、
後進用油圧クラッチ32を不作動にすると後進1速(R
1)状態となる。
【0060】(v)後進3速(R3) 3速用油圧クラッチ40の作動により3速用遊星歯車列
38の遊星キャリヤ38dが油圧制動され、また後進用
油圧クラッチ32の作動により後進用遊星歯車列30の
遊星キャリヤ30dが油圧制動されているために、入力
軸23の回転力が、機械伝動部24における後進用遊星
歯車列30、2速用油圧クラッチ36、3速用遊星歯車
列38、3速用遊星歯車列39を介して差動部27にお
ける第1および第2の差動遊星歯車列60,61に回転
速度が減速されて伝達される。また、静油圧伝動部25
の可変容量モータ53の回転力も、前述のように可変容
量モータ53の回転軸54、歯車列55を介して差動部
27における第1および第2の差動遊星歯車列60,6
1に回転数が減速されて伝達される。これら第1および
第2の差動遊星歯車列60,61により機械伝動部24
側および静油圧伝動部25側が結合され、回転速度が合
成されて出力軸26は駆動される。こうして、モータ速
度比を低下させて行くと出力軸26の回転速度は負方向
に増加して行く。
【0061】なお、後進3速(R3)状態において、モ
ータ速度比が正の状態においては差動部27の第1およ
び第2の差動遊星歯車列60,61から回転力の一部が
静油圧伝動部25側に逆流して可変容量モータ53がポ
ンプ作用を行ない、モータ速度比が負の状態においては
入力軸23の回転力の一部が静油圧伝動部25側に流れ
る以外は、他は前進3速(F3)状態と同様である。
【0062】後進3速(R3)の状態において速度比を
増加させて所定値dとなる場合には2速用油圧クラッチ
36はクラッチ板37と相対回転速度が0になる。この
ときに、2速用クラッチ36を作動させ、3速用油圧ク
ラッチ40を不作動にすると後進2速(R2)状態とな
る。続いて、機械伝動部24および静油圧伝動部25に
対する制御について説明する。
【0063】図1において、エンジン21の出力軸22
には、この出力軸22の回転速度を検知してエンジン2
1のエンジン回転速度nE を検知するエンジン回転速度
検知器70が設けられているとともに、静油圧伝動部2
5の可変容量モータ53の出力軸54には回転方向も検
知できる可変容量モータ53のモータ回転速度nm を検
知するモータ回転速度検知器71が設けられている。ま
た、図示されないエンジンスロットルには操作されるエ
ンジンスロットルのスロットル位置xを検知するスロッ
トル位置検知器72が設けられており、同様に図示され
ないチェンジレバーには操作されるチェンジレバーのレ
バー位置FNR(前進,中立,後進)の位置を検知する
レバー位置検知器73が設けられており、同様に図示さ
れないブレーキペダルにはブレーキ踏込量yを検知する
ブレーキ踏込量検知器78が設けられているとともに、
同様に図示されない速度比レバーには制御の上限速度比
max を検知する最高速度比検知器79が設けられてい
る。これらエンジン回転速度検知器70、モータ回転速
度検知器71、スロットル位置検知器72、レバー位置
検知器73、ブレーキ踏込量検知器78および最高速度
比検知器79からのエンジン回転速度信号、モータ回転
速度信号、スロットル位置信号、レバー位置信号、ブレ
ーキ踏込量信号および上限速度比信号は、コントローラ
部74に与えられる。このコントローラ部74からは、
これら信号にもとづき処理を行なって、後進用油圧クラ
ッチ32、前進用油圧クラッチ33、2速用油圧クラッ
チ36、3速用油圧クラッチ40および1速用油圧クラ
ッチ42のクラッチ切換えを前述のように行なう速度段
切換バルブ75に切換制御信号が与えられる。また、可
変容量ポンプ50の吐出量設定可変角度斜板50aの角
度変位バルブ76、および可変容量モータ53の吐出量
設定可変角度斜板53aの角度変位バルブ77に角度制
御信号が与えられる。
【0064】ところで、操作されるエンジンスロットル
のスロットル位置xに対してエンジン21の回転速度の
目標エンジン回転速度NE が得られるとともに、操作さ
れるチェンジレバーのレバー位置FNRに対して回転速
度比の制御方向が得られる。したがって、コントローラ
部74においては、実際の速度比の正負等の条件に対応
して、エンジン回転速度検知器70からのエンジン回転
速度信号による実際のエンジン回転速度nE に対するス
ロットル位置検知器72からのスロットル位置信号によ
る目標エンジン回転速度NE の相対関係、およびレバー
位置検知器73からのレバー位置信号によるレバー位置
FNRにもとづき、表1に示すように速度比に対して制
御を行なっている。
【0065】
【表1】
【0066】次に、速度比の制御によるエンジン回転速
度の制御について説明する。まず、スロットル位置検知
器72からのスロットル位置信号により、スロットル位
置xに対するエンジン21の目標エンジン回転速度NE
を、予め設定され記憶されている特性関数式またはテー
ブルによって変換を含む演算を行なって求める。この特
性関数式またはテーブルは、エンジン21のエンジン回
転速度に対するトルクの特性曲線から作成されるスロッ
トル位置xに対する目標エンジン回転速度NE の特性曲
線にもとづいて設定されたものである。次に、エンジン
回転速度検知器70からのエンジン回転速度信号による
現在の実際のエンジン回転速度nE と、モータ回転速度
検知器71からの現在の実際のモータ回転速度nm とに
より、実際のエンジン回転速度nE に対する実際のモー
タ回転速度nm の比である実際のモータ速度比em (=
m /nE )を演算を行なって求める。続いて、この求
められた実際のモータ速度比em を、コントローラ部7
4自体が速度段切換バルブ75を介して制御している機
械伝動部24の速度段の現在の制御状態にもとづいて、
予め設定され記憶されている特性関数式:e=f
(em )またはテーブルにより変換して現在の実際の速
度比eを求める。この特性関数式:e=f(em )また
はテーブルは、図2に示されているものと同様の特性曲
線であって実際の速度比eに対する実際のモータ速度比
m の特性曲線にしたがって設定されている。
【0067】前述のようにして求められた目標エンジン
回転速度NE および実際の速度比e、さらには実際のエ
ンジン回転速度nE から、次式により演算して目標速度
比Eを求める。なお、kは単位が1/rpmの係数である。 E=e+k(nE −NE ) ・・・(1)
【0068】続いて、このようにして求められた目標速
度比Eを、前述と同様に機械伝動部24の速度段の現在
の制御状態にもとづいて、予め設定され記憶されている
特性関数式:Em =f(E)またはテーブルにより変換
して目標モータ速度比Em を求める。この特性関数式:
E=f(Em )またはテーブルもまた、図2に示されて
いるものと同様の特性曲線であって目標速度比Eに対す
る目標モータ速度比E m の特性曲線にしたがって設定さ
れている。次に、この目標モータ速度比Em 、さらには
実際のモータ速度比em から、目標モータ速度比Em
比例したフィードフォワード量KEm (K:フィードフ
ォワード係数)と、目標モータ速度比E m に対する実際
のモータ速度比em の偏差(=Em −em )の比例要素
分および積分要素分との和の操作量Aを求めて、角度変
位バルブ76,77に角度制御信号として出力する。こ
うして、実際のモータ速度比em が目標モータ速度比E
m に制御され、実際の速度比eが目標速度比Eに制御さ
れて、エンジンスロットルのスロットル位置xに対する
目標エンジン回転速度NE に実際のエンジン回転速度n
E が一致するように制御される。
【0069】なお、以上の説明では分かり易くするため
に目標エンジン回転速度NE をスロットル位置xによる
としているが、スロットル位置xだけで目標エンジン回
転速度NE を決めると、スロットルレバーの操作によっ
て車両を加速させた場合、目標エンジン回転速度NE
値はレバー操作に応じて即座に演算されるのに対し、実
際のエンジン回転速度nE はエンジンの慣性等の影響に
より即座に応答しないという現象があるために、(nE
−NE )の値が負値になって車両は一旦減速され、実際
のエンジン回転速度nE が目標エンジン回転速度NE
上に上昇した後に加速されることとなる。逆に車両を減
速させた場合には一旦加速されて実際のエンジン回転速
度nE が目標エンジン回転速度NE 以下に低下した後に
減速されることとなる。このような不具合をなくすため
には、スロットル位置xのみで目標エンジン回転速度N
E を決めるのはでなく目標エンジン回転速度NE の増減
率に上限値を設け目標エンジン回転速度NE の履歴とス
ロットル位置xとから目標エンジン回転速度NE を決め
るようにするのが望ましい。
【0070】また、プレーキペダルを踏んだ時にはエン
ジンブレーキ状態とし制動力を上げるためにステップ的
に目標エンジン回転速度NE を上昇させるのが好まし
い。さらに、本実施例では、目標速度比Eを式E=e+
k(nE −NE )で決めるものとしたが、チェンジレバ
ーを切換えた時にはステップ的に目標速度比E=0にし
たり、また速度比レバーを動かした時には上限速度比を
モジュレーションをかけながら変化させ、もしその上限
速度比の絶対値がE=e+k(nE −NE )の絶対値よ
り小さくなった時にはその上限速度比を目標速度比Eと
して制御するなど、オペレータのレバー操作に応じて目
標速度比Eを適宜設定するようにするのが好ましい。こ
のようにすることで前後進制御および停止制御等を的確
に行うことができる。
【0071】図3には、前述の後進用油圧クラッチ3
2,前進用油圧クラッチ33,2速用油圧クラッチ3
6,3速用油圧クラッチ40および1速用油圧クラッチ
42の各油圧クラッチを切換操作するクラッチ作動回路
が示されている。なお、この図3では2速用油圧クラッ
チ36の作動回路のみについて示されているが、他の油
圧クラッチの作動回路についても同様の構造を有してい
る。
【0072】このクラッチ作動回路においては、エンジ
ン21からの伝達動力により駆動される油圧ポンプ80
が設けられ、この油圧ポンプ80より吐出される油が油
路81を介して2速用油圧クラッチ36の作動室に供給
されるようになっている。前記油路81の途中にはフィ
ルタ(図示せず)および2位置切換弁82がそれぞれ介
挿されるとともに、この2位置切換弁82の上流側に第
1分岐油路83および第2分岐油路84がそれぞれ分岐
接続されている。第1分岐油路83にはリリーフ弁85
が介挿され、このリリーフ弁85によってクラッチ圧が
所定圧に設定されるようにされている。また、第2分岐
油路84は減圧弁86を介して2位置切換弁82に作動
油圧を供給するものであって、この第2分岐油路84に
は絞り87を有するバイパス油路88が接続されるとと
もに、ソレノイド弁89が接続されている。
【0073】こうして、クラッチの切換時にソレノイド
弁89の励磁によってそのソレノイド弁89を図3で右
方向に移動させると、油圧ポンプ80から油路81,第
2分岐油路84,バイパス油路88およびソレノイド弁
89を通る油の流れが生じ、このバイパス油路88にお
いて絞り87の上流側の油圧が高くなることによって2
位置切換弁82がバネの付勢力に抗して図3で左方向に
移動する。これによって油路81を介して供給される油
は2位置切換弁82を通過して2速用油圧クラッチ36
の作動室に供給され、この2速用油圧クラッチ36が作
動される。このような2速用油圧クラッチ36の作動状
態からソレノイド弁89が消磁されると、このソレノイ
ド弁89が図3に示される位置に戻ることによって絞り
87の前後の油圧が等しくなり、2位置切換弁82はバ
ネの付勢力によって元の位置(図3に示される位置)に
復帰し、2速用油圧クラッチ36の作動室への油圧の供
給が絶たれる。
【0074】次に、本発明の静油圧−機械式変速機の速
度段切換制御装置による速度段切換制御について図4,
図5に示されているフローチャート、図6,図7に示さ
れている制御条件説明図および図8に示されているタイ
ムチャートにもとづき説明する。なお、このフローチャ
ートは、前進2速(F2)から前進3速(F3)への速
度段切換制御および前進2速(F2)から前進1速(F
1)への速度段切換制御を中心に記述されているが、他
の速度段切換制御についても同様のフロ−に従って制御
が実行される。
【0075】S1,S2:コントローラ74による各入
力情報の取り込み処理を行い、続いて各制御に使われる
数値の演算を行う。 S3,S4:車両が速度段切換制御に入っているか否か
を判定するステップであって、車両が下段の速度段への
切換中であることを示すフラグ(Shift−dow
n)が立っておらず、かつ上段の速度段への切換中であ
ることを示すフラグ(Shift−up)が立っていな
い場合には、速度段切換制御中でないので速度段切換制
御条件判定のステップ(S5〜S27)を実行する。 一
方、上段の速度段への切換中である(Shift−up
=1)場合には後述の上段速度段切換制御のステップ
(S29〜S41)を実行し、また下段の速度段への切
換中である(Shift−down=1)場合には後述
の下段速度段切換制御のステップ(S42〜S54)を
実行する。
【0076】S5,S6:現速度段が前進2速(F2)
の場合には、前進3速(F3)への速度段切換制御に入
るための判定条件として、まず実際の速度比eが設定値
1を越えているか否かを判定する。ここで、設定値E
1 は前進2速から前進3速へ切換えるクラッチとディス
クのプレートとの相対回転速度が微小値以内となる点に
おける速度比の値(図2参照)であって、前進3速への
切換クラッチを作動油圧のモジュレーションなしで係合
させた時にクラッチの破損が生じず、また大きな変速シ
ョックの生じない値に設定されている。なお、現速度段
が前進1速(F1),前進3速(F3),後進1速(R
1),後進2速(R2),後進3速(R3)の場合には
記述が省略されているが、これらの場合にも前進2速
(F2)の場合について示す以下のフロ−と同様のフロ
ーとなる。
【0077】S7〜S9:実際の速度比eが設定値E1
以下の場合には、エンジン回転速度nE から3速用クラ
ッチのフィリングタイムT1 を算出し、次いで速度比の
上昇率Δe/Δtがその3速用クラッチのフィリングタ
イムT1 の時間だけ連続した時に速度比が設定値E0
ΔE1 を越える値になるか否かを判定する。この判定の
結果、速度比が設定値E0 −ΔE1 を越える値になる場
合には、次に油温が設定温度(車両の稼働温度)以下の
低温状態にあるか否かを判定し、低温状態にない場合に
は速度段切換制御に入るための他の判定条件を判定する
ためにステップS10へ進み、低温状態にある場合には
速度段切換制御条件判定の各ステップをスキップしてス
テップS28へ進む。
【0078】前記E0 は前進2速から前進3速へ切換え
るクラッチとディスクのプレートとの相対回転速度が0
となる切換点(図2のc点)における速度比の値であ
り、ΔE1 は所定の微小速度比の値であって、速度比e
がe=E0 −ΔE1 で一定している際、前進3速への切
換クラッチを作動油圧のモジュレーションなしで係合さ
せた時にクラッチの破損が生じず、また大きな変速ショ
ックの生じない値が選定される。また、速度比の上昇率
Δe/Δtは、例えば10msec毎にサンプリングさ
れる10個のエンジン回転速度nE およびモータ回転速
度nm の各実測値から確率論にもとづき一次回帰線が求
められてその一次回帰線の勾配から算出される。また、
エンジン回転速度nE に対応するフィリングタイムT1
の値は、例えば図9に示されているような実測データに
もとづき予めマップとして記憶部に記憶されている。
【0079】前述のように低温時にステップS8の条
件、すなわちクラッチフィリングタイムT1 を算出して
速度段切換制御条件判定を行わないのは、クラッチのフ
ィリングタイムT1 の値は油温が高い状態での値が記憶
されており、このフィリングタイムT1 の長い低温時に
そのような高温時のデータを使用してクラッチソレノイ
ドをオン作動させてもクラッチ圧が立たない状態が生じ
てトルク切れを起こしてしまうからである。なお、この
ような低温時においては、通常、車両はならし運転によ
りゆっくりと動かされるために、ステップS6のみによ
る速度段切換判定だけで速度段切換を行っても変速ショ
ックが問題となることはない。
【0080】S10〜S13:速度段切換制御に入るた
めの他の判定条件として、次にエンジン回転速度に余裕
があるかどうかを判断するために、実際のエンジン回転
速度nE と目標エンジン回転速度NE との差nE −NE
が設定値△NE1を越えているかどうかを判定し、設定値
△NE1を越えている場合には、続いてハンチング防止の
ために前回の前進3速から前進2速への速度段切換から
一定時間T4 以上経過しているかどうかを判定する。そ
して、一定時間T4 以上経過している場合には、次いで
前後進レバーにより前進,中立および後進の切換操作が
なされていないかどうかを判定し、切換操作がなされて
いない場合には更に切換点における速度比E0 が上限速
度比Emax より小さい値であるかどうかを判定する。
【0081】S14,S15:ステップS10〜S13
の各判定条件を全て満たす場合には、前進2速(F2)
から前進3速(F3)への速度段切換制御に入っても良
い状態にあると判定し、Shift−upフラグを立て
るとともにShift−downフラグを下ろし、この
後上段速度段切換制御のステップS29へ進む。なお、
図6には、前述のステップS6〜S15にて説明されて
いる前進3速(F3)への速度段切換制御に入るための
制御条件説明図が示されている。
【0082】S16:実際の速度比eがE1 以下(e≦
1 )であって、かつその速度比の上昇率Δe/Δtが
3速用クラッチのフィリングタイムT1 の時間だけ連続
した時に速度比が設定値E0 −ΔE1 を越えない(e+
(Δe/Δt)×T1 ≦E0−ΔE1 )範囲にあるとき
には、前進1速(F1)への速度段切換制御に入るため
の判定条件を満たしているか否かを判断するために、ま
ず実際の速度比eが設定値E1 ’未満であるか否かを判
定する。ここで、設定値E1 ’は前進2速から前進1速
へ切換えるクラッチとディスクのプレートとの相対回転
速度が微小値以内となる点における速度比の値(図2参
照)であって、前進1速への切換クラッチを作動油圧の
モジュレーションなしで係合させた時にクラッチの破損
が生じず、また大きな変速ショックの生じない値に設定
されている。
【0083】S17〜S19:実際の速度比eが設定値
1 ’以上(e≧E1 ’)の場合には、エンジン回転速
度nE から1速用クラッチのフィリングタイムT1 ’を
算出し、次いで速度比の下降率Δe/Δt(<0)がそ
の1速用クラッチのフィリングタイムT1 ’の時間だけ
連続した時に速度比が設定値E0 ’+ΔE1 ’未満の値
になるか否かを判定する。この判定の結果、速度比が設
定値E0 +ΔE1 未満の値になる場合には、次に油温が
設定温度(車両の稼働温度)以下の低温状態にあるか否
かを判定し、低温状態にない場合には速度段切換制御に
入るための他の判定条件を判定するためにステップS2
0へ進み、低温状態にある場合には速度段切換制御条件
判定の各ステップをスキップしてステップS27へ進
む。また、ステップS18の判定がNOの場合にもステ
ップS27へ進む。ここで、前記E 0 ’は前進2速から
前進1速へ切換えるクラッチとディスクのプレートとの
相対回転速度が0となる切換点(図2のa点)における
速度比の値であり、ΔE1 ’は所定の微小速度比の値で
あって、速度比eがe=E0 ’+ΔE1 ’で一定してい
る際、前進1速への切換クラッチを作動油圧のモジュレ
ーションなしで係合させた時にクラッチの破損が生じ
ず、また大きな変速ショックの生じない値に設定されて
いる。
【0084】S20〜S24:速度段切換制御に入るた
めの他の判定条件として、次にエンジン回転速度に余裕
があるかどうかを判断するために、実際のエンジン回転
速度nE と目標エンジン回転速度NE との差nE −NE
が設定値−△NE1未満であるかどうかを判定し、設定値
−△NE1未満である場合には、続いてハンチング防止の
ために前回の前進1速から前進2速への速度段切換から
一定時間T4 ’以上経過しているかどうかを判定する。
これら二つの判定条件のいずれかの条件が満たされてい
ない場合には、次いでブレーキペダルの踏み込みがなさ
れているかどうかを判定し、踏み込みがなされていない
場合には、次いで前後進レバーにより前進,中立および
後進の切換操作がなされているかどうかを判定し、切換
操作がなされていない場合には、更に速度比レバー等の
操作によって切換点における上限速度比Emax が速度比
0 ’より小さな値になっているかどうかを判定する。
【0085】S25,S26:nE −NE <−△NE1
満たし、かつ前進1速から前進2速への速度段切換から
一定時間T4 ’以上経過している場合および、これら二
つの条件のいずれかもしくは両方を満たしていなくても
ブレーキペダルの踏み込みがなされている場合、または
前後進レバーの切換操作がなされている場合、またはE
max <E0 ’を満たしている場合には、前進2速(F
2)から前進1速(F1)への速度段切換制御に入って
も良い状態にあると判定し、Shift−upフラグを
下ろすとともにShift−downフラグを立て、こ
の後下段速度段切換制御のステップS42へ進む。な
お、図7には、前述のステップS16〜S26にて説明
されている前進1速(F1)への速度段切換制御に入る
ための制御条件説明図が示されている。
【0086】S27,S28:前記ステップS20〜S
24のいずれの条件も満たしていない場合、またはe<
1 ’を満たさず、e+(Δe/Δt)×T1 ’<
0 ’+ΔE1 ’も満たしていない場合、またはe+
(Δe/Δt)×T1 ’<E0 ’+ΔE1 ’を満たして
いるけれども油温が低温状態にある場合には、速度段切
換制御を実行する条件が成立していないので、Shif
t−upフラグおよびShift−downフラグのい
ずれのフラグも下ろし、速度段切換制御以外の他の速度
比制御を実行してステップS1へ戻る。
【0087】S29,S30:上段速度段切換制御に入
ると前進2速(F2)から前進3速(F3)への速度段
切換フラグが立っていない場合には、3速用クラッチソ
レノイドをオン作動する作動信号を出力してその速度段
切換フラグを立て、同時に目標速度比EをE=E0 とす
る各処理を行う。一方、速度段切換フラグが立っている
場合にはそれら各処理をスキップする。
【0088】S31〜S34:油温が低温状態にない場
合には、0≦T2 ≦T1 となる時間T2 として時間T1
−T2 経過後に2速用クラッチソレノイドをオフ作動す
る作動信号を出力する。なお、図8に示されているよう
に、この時間T1 −T2 間に実速度比eはE0 に接近
し、時刻T1 になると3速用クラッチが係合し3速用ク
ラッチ作動油圧が上昇する。一方、油温が低温状態にあ
る場合には、|E0 −e|<ε(ε:微小値)の状態が
所定時間継続しているか否かを見て、所定時間継続して
いるときには2速用クラッチおよび3速用クラッチが二
重係合している状態にあるとみなし2速用クラッチソレ
ノイドをオフ作動する作動信号を出力する。
【0089】S35〜S37:前進2速(F2)から前
進3速(F3)への速度段切換フラグが立ってから時間
1 −T2 +T3 が経過すると、目標速度比EをE0
△E 2 にステップ的に変化させ、同時にF2→F3の速
度段切換フラグおよびShift−upフラグを下ろし
て速度段切換制御を完了する。ただし、実際に2速用ク
ラッチが切れて3速状態になるのは2速用クラッチソレ
ノイドの作動油圧が低下した時であり速度段切換制御の
完了とは必ずしも同時ではないが時間のずれが小さけれ
ば特に支障はない。また、実速度比eは3速用クラッチ
の係合前にE0になりショックなく3速用クラッチが係
合する。
【0090】前述のように時間T1 −T2 +T3 の経過
後に目標速度比EをE0 +△E2 にステップ的に変化さ
せるのは次の理由による。例えば前進2速から前進3速
への速度段の切換の前後において、可変容量モータ53
はモータ作用からポンプ作用に切換わるが、この切換わ
り前にはその可変容量モータ53は可変容量ポンプ50
の容積効率の低下分だけ吐出量設定可変角度斜板53a
の斜板角度が余分に絞られている状態にある。この状態
で可変容量モータ53がモータ作用からポンプ作用に切
換えられると、この切換わり時にモータ回転数およびモ
ータの吐出容積が一定のままでは、ポンプ作用をするこ
とになった可変容量モータ53の通過流量が容積効率の
低下分だけ減少して出力回転が低下し、変速ショックが
生ずることとなってしまう。このような不具合を解消す
るために、図10に示されているように、変速点でモー
タ容量を変化させ、可変容量モータ53の回転数を変え
ることなくその可変容量モータ53の流量補正を行うよ
うにしている。この場合、実際の制御においては速度比
の形で指令が出されているために、目標速度比Eが△E
2 分だけ加算されたものとなっている。こうして、変速
時における変速ショックの発生が回避されるとともに、
変速時にディスクとクラッチとの相対回転速度を0にし
て係合させることができ、クラッチの熱負荷を小さく抑
えることが可能となる。
【0091】S38〜S41:時間T1 −T2 が経過す
るまでの間に負荷変動等により実際のエンジン回転速度
E が目標エンジン回転速度NE より設定値△NE2を越
えて低下(nE <NE −△NE2)した時または前後進レ
バーを切換え操作した時には3速用クラッチソレノイド
をオフ作動する作動信号を出力すると同時にF2→F3
の速度段切換フラグおよびShift−upフラグを下
ろし速度段切換制御を中断する。
【0092】S42,S43:下段速度段切換制御に入
ると前進2速(F2)から前進1速(F1)への速度段
切換フラグが立っていない場合には、1速用クラッチソ
レノイドをオン作動する作動信号を出力してその速度段
切換フラグを立て、同時に目標速度比EをE=E0 ’と
する各処理を行う。一方、速度段切換フラグが立ってい
る場合にはそれら各処理をスキップする。
【0093】S44〜S47:油温が低温状態にない場
合には、0≦T2 ’≦T1 ’となる時間T2 ’として時
間T1 ’−T2 ’経過後に2速用クラッチソレノイドを
オフ作動する作動信号を出力する。なお、この時間
1 ’−T2 ’間に実速度比eはE0 ’に接近し、時刻
1 ’になると1速用クラッチが係合し1速用クラッチ
作動油圧が上昇する。一方、油温が低温状態にある場合
には、|E0 ’−e|<ε(ε:微小値)の状態が所定
時間継続しているか否かを見て、所定時間継続している
ときには2速用クラッチおよび1速用クラッチが二重係
合している状態にあるとみなし2速用クラッチソレノイ
ドをオフ作動する作動信号を出力する。
【0094】S48〜S50:前進2速(F2)から前
進1速(F1)への速度段切換フラグが立ってから時間
1 ’−T2 ’+T3 ’が経過すると、前述の上段速度
段切換制御と同様に目標速度比EをE0 −△E2 ’にス
テップ的に変化させ、同時にF2→F1の速度段切換フ
ラグおよびShift−downフラグを下ろして速度
段切換制御を完了する。ただし、実際に2速用クラッチ
が切れて1速状態になるのは2速用クラッチソレノイド
の作動油圧が低下した時であり速度段切換制御の完了と
は必ずしも同時ではないが時間のずれが小さければ特に
支障はない。また、実速度比eは1速用クラッチの係合
前にE0 ’になりショックなく1速用クラッチが係合す
る。
【0095】S51〜S54:時間T1 ’−T2 ’が経
過するまでの間に負荷変動等により実際のエンジン回転
速度nE が目標エンジン回転速度NE より設定値△
E2’を越えて増加(nE >NE +△NE2’)した時ま
たは前後進レバーを切換え操作した時には1速用クラッ
チソレノイドをオフ作動する作動信号を出力すると同時
にF2→F1の速度段切換フラグおよびShift−d
ownフラグを下ろし速度段切換制御を中断する。
【0096】本実施例の速度段切換制御装置によれば、
速度比eの上昇率および下降率を求め、次に係合すべき
クラッチの相対回転速度がそのクラッチのフィリングタ
イムにおいて0rpmに極めて近い状態になった時にク
ラッチ切換制御を行い、クラッチ作動油のフィリング中
にも速度比を変化させ、クラッチの係合判定と同時に前
段クラッチを解放するようにされているので、車両を加
速もしくは減速しながら速度段の切換えが行え、車両の
加減速の中断時間を最小限に抑えることができる。
【0097】また、クラッチの係合判定をクラッチフィ
リングタイムとクラッチ切換制御に入ってからの時間と
により行うようにされているので、故障し易い油圧スイ
ッチを用いずに切換制御を行うことができる。
【0098】さらに、速度段の切換完了時に目標速度比
をステップ的に変化させるようにしているので、速度段
切換わり後のポンプ吐出容積が正しく駆動できる状態に
短時間で変化させることができ、速度段切換わり時にお
ける変速ショックの発生を確実に防止することができ
る。
【0099】また、前回の速度段切換から一定時間は速
度段の切換を禁止するようにされ、エンジン回転速度の
状態から加速または減速すべき状態を判断して速度段切
換制御に入るようにされ、更に速度段切換制御に入って
からもエンジン回転速度の状態もしくはチェンジレバー
の切換状態を判断して速度段切換制御を中断できるよう
にされているので、速度段のハンチングを防止すること
ができ、速度段切換時に生ずる不要なタイムロスをなく
すことができる。
【0100】前述のように、本発明は、種々に変更可能
なことは明らかである。このような変更は本発明の精神
および範囲に反することなく、また当業者にとって明瞭
な全てのそのような変形、変更は、請求の範囲に含まれ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例による静油圧−機械
式変速機の速度段切換制御装置の全体概略ブロック図で
ある。
【図2】図2は、速度比に対するモータ速度比の関係を
示すグラフ図である。
【図3】図3は、油圧クラッチを切換操作するためのク
ラッチ作動回路を示す回路図である。
【図4】図4は、本実施例における速度段切換制御につ
いてのフローチャート図(前半)である。
【図5】図5は、本実施例における速度段切換制御につ
いてのフローチャート図(後半)である。
【図6】図6は、上段速度段切換制御に入る条件を示す
説明図である。
【図7】図7は、下段速度段切換制御に入る条件を示す
説明図である。
【図8】図8は、速度段切換制御の内容を示すタイムチ
ャート図である。
【図9】図9は、エンジン回転速度に対応するクラッチ
フィリングタイムの実測データの一例を示すグラフ図で
ある。
【図10】図10は、車速に対するポンプ容量およびモ
ータ容量の関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
21 エンジン 22,26,54 出力軸 23 入力軸 24 機械伝動部 25 静油圧伝動部 27 差動部 30 後進用遊星歯車列 31 前進用遊星歯車列 32 後進用油圧クラッチ 33 前進用油圧クラッチ 35 中間軸 36 2速用油圧クラッチ 37,41 クラッチ板 38 3速用遊星歯車列 39 3速用遊星歯車列 40 3速用油圧クラッチ 42 1速用油圧クラッチ 50 可変容量ポンプ 50a 吐出量設定可変角度斜板 51 歯車列 52 連通管 53 可変容量モータ 53a 吐出量設定可変角度斜板 55 歯車列 60 第1差動遊星歯車列 61 第2差動遊星歯車列 62 入力歯車 70 エンジン回転数検知器 71 モータ回転数検知器 72 スロットル位置検知器 73 レバー位置検知器 74 コントローラ部 75 速度段切換バルブ 76,77 角度変位バルブ 78 ブレーキ踏込量検知器 79 最高速度比検知器 80 油圧ポンプ 82 2位置切換弁 85 リリーフ弁 89 ソレノイド弁

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源に連結可能な入力軸を通して駆動
    される機械伝動部を設けるとともに、この入力軸に各々
    吐出量設定斜板を有するポンプおよびモータより構成さ
    れて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角度が可変であ
    る静油圧伝動部を接続可能に設け、これら機械伝動部側
    および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結合させて駆動
    させる差動部を設けることにより構成される静油圧−機
    械式変速機において、任意の速度段から絶対速度の速い
    速度段に切換えるに際して、前記静油圧−機械式変速機
    の実際の速度比eが次式 |E0 |>|e|>|E1 | ここで、E0 :任意の速度段から絶対速度の速い速度段
    への切換点の速度比 E1 :速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプレ
    ートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度比 を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
    えることを特徴とする静油圧−機械式変速機の速度段切
    換制御装置。
  2. 【請求項2】 動力源に連結可能な入力軸を通して駆動
    される機械伝動部を設けるとともに、この入力軸に各々
    吐出量設定斜板を有するポンプおよびモータより構成さ
    れて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角度が可変であ
    る静油圧伝動部を接続可能に設け、これら機械伝動部側
    および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結合させて駆動
    させる差動部を設けることにより構成される静油圧−機
    械式変速機において、任意の速度段から絶対速度の速い
    速度段に切換えるに際して、時間Δtでの前記静油圧−
    機械式変速機の実際の速度比eの絶対値の上昇量Δe
    (Δe>0)と、任意の速度段から絶対速度の速い速度
    段へ切換えるクラッチの作動油のフィリングタイムT1
    との関係が所定の微小速度比をΔE1 として次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 >|E0 |−ΔE1 を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
    えることを特徴とする静油圧−機械式変速機の速度段切
    換制御装置。
  3. 【請求項3】 動力源に連結可能な入力軸を通して駆動
    される機械伝動部を設けるとともに、この入力軸に各々
    吐出量設定斜板を有するポンプおよびモータより構成さ
    れて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角度が可変であ
    る静油圧伝動部を接続可能に設け、これら機械伝動部側
    および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結合させて駆動
    させる差動部を設けることにより構成される静油圧−機
    械式変速機において、任意の速度段から絶対速度の速い
    速度段に切換えるに際して、前記静油圧−機械式変速機
    の実際の速度比eが次式 |E0 |>|e|>|E1 | ここで、E0 :任意の速度段から絶対速度の速い速度段
    への切換点の速度比 E1 :速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプレ
    ートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度比 または時間Δtでの前記実際の速度比eの絶対値の上昇
    量Δe(Δe>0)と、任意の速度段から絶対速度の速
    い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリングタイ
    ムT1 との関係が所定の微小速度比をΔE1 として次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 >|E0 |−ΔE1 のいずれかを満たす場合に速度段の切換えを行う切換制
    御手段を備えることを特徴とする静油圧−機械式変速機
    の速度段切換制御装置。
  4. 【請求項4】 前記切換制御手段は、実際のエンジン回
    転速度nE と目標エンジン回転速度NE との差nE −N
    E が設定値ΔNE1を越える場合に速度段の切換えを行う
    ことを特徴とする請求項3に記載の静油圧−機械式変速
    機の速度段切換制御装置。
  5. 【請求項5】 前記切換制御手段は、前記絶対速度の速
    い速度段から前記任意の速度段への切換わり後の時間が
    設定値T4 以上経過している場合に速度段の切換えを行
    うことを特徴とする請求項4に記載の静油圧−機械式変
    速機の速度段切換制御装置。
  6. 【請求項6】 前記切換制御手段は、前後進レバーによ
    り前進,中立および後進の切換操作がなされていない場
    合に速度段の切換えを行うことを特徴とする請求項5に
    記載の静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置。
  7. 【請求項7】 前記切換制御手段は、E0 が上限速度比
    max より小さい値である場合に速度段の切換えを行う
    ことを特徴とする請求項6に記載の静油圧−機械式変速
    機の速度段切換制御装置。
  8. 【請求項8】 前記切換制御手段は、任意の速度段から
    絶対速度の速い速度段への切換中において、任意の速度
    段のクラッチの係合状態を保持させるとともに絶対速度
    の速い速度段のクラッチに係合信号を送り、同時に目標
    速度比EがE 0 になるようにその目標速度比Eを上昇さ
    せ、0≦T2 <T 1なる時間T2 として時間T 1−T2
    後に任意の速度段のクラッチの係合を解除する信号を送
    ることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれかに
    記載の静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置。
  9. 【請求項9】 前記切換制御手段は、任意の速度段から
    絶対速度の速い速度段への切換中において、時間T1
    2 以内にエンジン回転速度が目標エンジン回転速度に
    対して設定値を越えて低下した時または前後進レバーが
    切換操作された時に前記絶対速度の速い速度段のクラッ
    チの係合信号を解除することを特徴とする請求項8に記
    載の静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置。
  10. 【請求項10】 前記切換制御手段は、油温が車両の稼
    働温度以下の低温状態にある時には、任意の速度段から
    絶対速度の速い速度段への切換中において、任意の速度
    段のクラッチの係合状態を保持させるとともに絶対速度
    の速い速度段のクラッチに係合信号を送り、速度比eと
    0 との差が微小値以内となる状態が所定時間継続した
    際に前記任意の速度段のクラッチに解放信号を送ること
    を特徴とする請求項1に記載の静油圧−機械式変速機の
    速度段切換制御装置。
  11. 【請求項11】 動力源に連結可能な入力軸を通して駆
    動される機械伝動部を設けるとともに、この入力軸に各
    々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモータより構成
    されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角度が可変で
    ある静油圧伝動部を接続可能に設け、これら機械伝動部
    側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結合させて駆
    動させる差動部を設けることにより構成される静油圧−
    機械式変速機において、任意の速度段から絶対速度の遅
    い速度段に切換えるに際して前記静油圧−機械式変速機
    の実際の速度比eが |E1 ’|>|e|>|E0 ’| ここで、E0 ’:任意の速度段から絶対速度の遅い速度
    段への切換点の速度比 E1 ’:速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプ
    レートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度
    比 を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
    えることを特徴とする静油圧−機械式変速機の速度段切
    換制御装置。
  12. 【請求項12】 動力源に連結可能な入力軸を通して駆
    動される機械伝動部を設けるとともに、この入力軸に各
    々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモータより構成
    されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角度が可変で
    ある静油圧伝動部を接続可能に設け、これら機械伝動部
    側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結合させて駆
    動させる差動部を設けることにより構成される静油圧−
    機械式変速機において、任意の速度段から絶対速度の遅
    い速度段に切換えるに際して、時間Δtでの前記静油圧
    −機械式変速機の実際の速度比eの絶対値の下降量Δ
    e’(Δe’<0)と、任意の速度段から絶対速度の遅
    い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリングタイ
    ムT1 ’との関係が所定の微小速度比をΔE1 ’として
    次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 ’<|E0 ’|+Δ
    1 ’ を満たす場合に速度段の切換えを行う切換制御手段を備
    えることを特徴とする静油圧−機械式変速機の速度段切
    換制御装置。
  13. 【請求項13】 動力源に連結可能な入力軸を通して駆
    動される機械伝動部を設けるとともに、この入力軸に各
    々吐出量設定斜板を有するポンプおよびモータより構成
    されて少なくとも一方の吐出量設定斜板の角度が可変で
    ある静油圧伝動部を接続可能に設け、これら機械伝動部
    側および静油圧伝動部側の両方に出力軸を結合させて駆
    動させる差動部を設けることにより構成される静油圧−
    機械式変速機において、任意の速度段から絶対速度の遅
    い速度段に切換えるに際して前記静油圧−機械式変速機
    の実際の速度比eが |E1 ’|>|e|>|E0 ’| ここで、E0 ’:任意の速度段から絶対速度の遅い速度
    段への切換点の速度比 E1 ’:速度比E0 の近傍で、クラッチとディスクのプ
    レートとの相対回転速度が微小値以内となる点での速度
    比 または時間Δtでの前記実際の速度比eの絶対値の下降
    量Δe’(Δe’<0)と、任意の速度段から絶対速度
    の遅い速度段へ切換えるクラッチの作動油のフィリング
    タイムT1 ’との関係が所定の微小速度比をΔE1 ’と
    して次式 |e|+(Δe/Δt)×T1 ’<|E0 ’|+Δ
    1 ’ のいずれかを満たす場合に速度段の切換えを行う切換制
    御手段を備えることを特徴とする静油圧−機械式変速機
    の速度段切換制御装置。
  14. 【請求項14】 前記切換制御手段は、実際のエンジン
    回転速度nE と目標エンジン回転速度NE との差nE
    E が設定値−ΔNE1’未満の場合に速度段の切換えを
    行うことを特徴とする請求項13に記載の静油圧−機械
    式変速機の速度段切換制御装置。
  15. 【請求項15】 前記切換制御手段は、前記絶対速度の
    遅い速度段から前記任意の速度段への切換わり後の時間
    が設定値T4 ’以上経過している場合に速度段の切換え
    を行うことを特徴とする請求項14に記載の静油圧−機
    械式変速機の速度段切換制御装置。
  16. 【請求項16】 前記切換制御手段は、ブレーキペダル
    の踏み込み操作がなされている場合に速度段の切換えを
    行うことを特徴とする請求項15に記載の静油圧−機械
    式変速機の速度段切換制御装置。
  17. 【請求項17】 前記切換制御手段は、前後進レバーに
    より前進,中立および後進の切換操作がなされている場
    合に速度段の切換えを行うことを特徴とする請求項16
    に記載の静油圧−機械式変速機の速度段切換制御装置。
  18. 【請求項18】 前記切換制御手段は、上限速度比E
    max がE0 ’より小さな値である場合に速度段の切換え
    を行うことを特徴とする請求項17に記載の静油圧−機
    械式変速機の速度段切換制御装置。
  19. 【請求項19】 前記切換制御手段は、任意の速度段か
    ら絶対速度の遅い速度段への切換中において、任意の速
    度段のクラッチの係合状態を保持させるとともに絶対速
    度の遅い速度段のクラッチに係合信号を送り、同時に目
    標速度比EがE0 になるようにその目標速度比Eを下降
    させ、0≦T2 ’<T 1’なる時間T 2 ’として時間T
    1’−T2 ’後に任意の速度段のクラッチの係合を解除
    する信号を送ることを特徴とする請求項11乃至18の
    うちのいずれかに記載の静油圧−機械式変速機の速度段
    切換制御装置。
  20. 【請求項20】 前記切換制御手段は、任意の速度段か
    ら絶対速度の遅い速度段への切換中において、時間
    1 ’−T2 ’以内にエンジン回転速度が目標エンジン
    回転速度に対して設定値を越えて増加した時または前後
    進レバーが切換操作された時に前記絶対速度の遅い速度
    段のクラッチの係合信号を解除することを特徴とする請
    求項19に記載の静油圧−機械式変速機の速度段切換制
    御装置。
  21. 【請求項21】 前記切換制御手段は、油温が車両の稼
    働温度以下の低温状態にある時には、任意の速度段から
    絶対速度の遅い速度段への切換中において、任意の速度
    段のクラッチの係合状態を保持させるとともに絶対速度
    の遅い速度段のクラッチに係合信号を送り、速度比eと
    0 との差が微小値以内となる状態が所定時間継続した
    際に前記任意の速度段のクラッチに解放信号を送ること
    を特徴とする請求項11に記載の静油圧−機械式変速機
    の速度段切換制御装置。
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