JP2003343720A - トロイダル型無段変速機の制御装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の制御装置

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JP2003343720A
JP2003343720A JP2002151425A JP2002151425A JP2003343720A JP 2003343720 A JP2003343720 A JP 2003343720A JP 2002151425 A JP2002151425 A JP 2002151425A JP 2002151425 A JP2002151425 A JP 2002151425A JP 2003343720 A JP2003343720 A JP 2003343720A
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torque
force
continuously variable
variable transmission
holding force
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JP2002151425A
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Toshishige Sano
敏成 佐野
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無段変速機における外乱時のトルク伝達を制
限し、またグロススリップを防止する。 【解決手段】 入力ディスクと出力ディスクとの間にこ
れらのディスクの間のトルクの伝達を媒介する回転部材
を挟み込み、その回転部材3をトルクの伝達に伴って作
用する接線力に抗して所定位置に保持する保持力を生じ
させるトロイダル型無段変速機の制御装置であって、前
記無段変速機に作用するトルクが所定値以上の場合にそ
のトルクに基づく前記接線力で前記回転部材3を移動さ
せるように前記保持力を制御する保持力制御手段25,
26を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トロイダル面を
持った入力ディスクと出力ディスクと間に、外周面をト
ロイダル面に対応した曲面としたパワーローラなどの回
転部材を挟み込み、これら三者の間に形成されるトラク
ションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達
するトロイダル型(トラクション式)無段変速機に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】この種の無段変速機の基本的な構成を模
式的に示せば、図6および図7のとおりである。これを
簡単に説明すると、入力ディスク1と出力ディスク2と
の間に、一対のパワーローラ3が挟み込まれている。入
力ディスク1が所定のトルクで回転すると、この入力デ
ィスク1とパワーローラ3との間に、これらの間に介在
されているトラクションオイルの特性に主に基づいて定
まるトラクション係数μと法線力Nとから定まる接線力
Fが生じ、その接線力Fに応じたトルクがパワーローラ
3に対して伝達される。それと同様の状態がパワーロー
ラ3と出力ディスク2との間に生じ、その接線力Fに応
じたトルクが出力ディスク2に伝達される。
【0003】ここで、法線力Nは、図6の(B)に示す
ように、各ディスク1,2とパワーローラ3との接触面
の法線方向に作用する力である。したがってパワーロー
ラ3を挟み付ける軸線方向の力(軸力)を2・Na と
し、かつパワーローラ3と入力ディスク1との接触面で
の法線方向と入力ディスク1の軸線方向とのなす角度を
θとすると、法線力Nは、 N=Na/cosθ で表される。
【0004】一方、パワーローラ3は、各ディスク1,
2の中心軸線を通る平面に対して垂直な方向に上下動
(図6(A)の上下方向)できるようにトラニオン4に
よって保持されている。そのトラニオン4は、油圧サー
ボシリンダ5に連結されている。この油圧サーボシリン
ダ5は、パワーローラ3を上下動(図6(A)の上下方
向)させ、また前記接線力Fに対抗してパワーローラ3
を所定位置に保持するように機能する。すなわち、ピス
トン6を挟んだ両側の油室に所定の油圧PA ,PBを供
給し、その差圧(リアクション圧)PR (=PA −PB
)が前記接線力Fの2倍(2×F)に制御されて、各
ディスク1,2の中心軸線を通る平面上に回転中心が位
置するようにパワーローラ3が保持され、またそのリア
クション圧PR が接線力Fの2倍の圧力より大きくな
り、あるいは反対に小さくなることにより、パワーロー
ラ3がトラニオン4と共に前進もしくは後退し、それに
伴うサイドスリップ力によってパワーローラ3が傾転
し、変速が生じる。
【0005】なお、一対設けられている各パワーローラ
3が、ディスク1,2の回転方向で同方向に移動するよ
うに、それぞれの油圧サーボシリンダ5の各油圧が連通
されている。すなわち、図7の左側に示す油圧サーボシ
リンダ5における上側の油室が、図7の右側に示す油圧
サーボシリンダ5における下側の油室に連通され、同様
に、左側の油圧サーボシリンダ5における下側の油室が
右側の油圧サーボシリンダ5における上側の油室に連通
されている。
【0006】ここで、上記のトロイダル型無段変速機で
の変速制御について簡単に説明すると、上記の油圧PA
,PB の給排を制御する弁スリーブ7と一方の油圧サ
ーボシリンダ5のピストン6(すなわちトラニオン軸)
とが、プリセスカム8を介して連結されている。このプ
リセスカム8は、パワーローラ3の傾転を直線方向の変
位に変換するためのものである。
【0007】したがって、例えば上記の弁スリーブ7を
収容している弁ハウジング9をパルスモータ10によっ
て軸線方向に移動させることによりポートを開いて一方
の油室に油圧を供給し、かつ他方の油室から排圧する
と、ピストン6と共にトラニオン4およびパワーローラ
3が移動し、前記ディスク1,2の中心軸線を通る平面
からオフセットする。パワーローラ3がオフセットして
生じるサイドスリップ力によりパワーローラ3が傾転
し、これがプリセスカム8によって直線方向の変位に変
換され、前記弁スリーブ7に伝達される。その結果、弁
スリーブ7が弁ハウジング9と同じ方向に移動してポー
トの開閉状態が反転する。すなわち、油室に対する油圧
の給排の状態が反対となる。そのため、傾転したパワー
ローラ3がトラニオン4と共にオフセット位置からいわ
ゆる中立位置に押し戻される。また弁スリーブ7が各ポ
ートを閉じた状態に戻る。
【0008】このようにしてトルクが伝達され、また変
速がおこなわれるトロイダル型無段変速機における前述
したトラクション係数μは、上記の法線力Nと接線力F
との比率(F/N)であり、これは、トラクションオイ
ルの特性や油温、変速比などに影響を受ける。したがっ
てパワーローラ3を挟み付けることにより生じる法線力
Nが一定であれば、伝達可能なトルクは、その法線力N
と許容されるトラクション係数μとで決まる接線力に応
じたトルクに制限される。
【0009】そのため、無段変速機に作用するトルクを
法線力Nに反映させるための機構が従来設けられてい
る。例えば、一方のディスクの背面側に、トルクを推力
に変換するトルクカムが配置され、無段変速機に入力さ
れるトルクが増大した場合、そのトルクに応じた推力
(軸線方向力)を生じさせて法線力Nを増大させるよう
にしている。したがってこのような構成であれば、無段
変速機に作用するトルクに基づく接線力の増大と、法線
力の増大とが共に生じるので、トラクション係数が許容
範囲を超えることがない。言い換えれば、各ディスク
1,2とパワーローラ3との間に滑り(グロススリッ
プ)が回避される。
【0010】また、上述したパワーローラ3を上下動
(図6(A)の上下方向)させるための油圧サーボシリ
ンダ5に給排される油圧は、変速のために制御されてい
る。しかしながら、一般には、複数のパワーローラ3を
一対の入出力ディスク1,2の間に配置し、かつ単一の
制御バルブで制御するように構成しているので、いずれ
かの油圧サーボシリンダ5における油圧の変動が他の油
圧サーボシリンダ5に影響することがある。
【0011】そこで、特開平8−233056号公報に
記載された発明では、各油圧サーボシリンダ5の油室に
到る油路を直接連通させずに、各油圧サーボシリンダ5
の油室に到る油路を、制御バルブを介して連通させ、変
速の生じていない定常的な状態では、その制御バルブの
スプールが、各油圧サーボシリンダ5の油室同士の油路
を遮断するように構成している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにトロイ
ダル型無段変速機で伝達できるトルクは、トラクション
係数μおよび法線力によって制限を受けるので、伝達す
るべきトルクが急激に増大した場合であっても、グロス
スリップを防止するために上述したトルクカムなどの法
線力(パワーローラの挟持圧)を増大させる機構を設け
ている。しかしながら、パワーローラの挟持圧を高くす
れば、各ディスクのトルク伝達面やパワーローラの外周
面における面圧が高くなり、その耐用寿命が低下した
り、変形による損傷が生じたりする。
【0013】また、例えば外乱によるトルクは、回転を
止める方向に作用することがあり、このような場合に上
述したトルクカムによって法線力を増大して伝達トルク
を増大させると、出力側から入力されるトルクがそのま
ま入力側に伝達され、エンジンなどの動力源の回転数を
引き下げるように作用してしまう。
【0014】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであり、いわゆる外乱によるトルクを緩和するよう
にトロイダル型無段変速機を作用させてそのグロススリ
ップや耐久性の低下を防止し、また動力源の回転数の低
下を回避することのできる制御装置を提供することを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段およびその作用】この発明
は、上記の目的を達成するために、入力ディスクと出力
ディスクとの間に挟み込まれているパワーローラなどの
回転部材を保持する保持力を、無段変速機に作用する外
乱トルクに応じて制御するように構成したことを特徴と
するものである。より具体的には、請求項1の発明は、
入力ディスクと出力ディスクとの間にこれらのディスク
の間のトルクの伝達を媒介する回転部材を挟み込み、そ
の回転部材をトルクの伝達に伴って作用する接線力に抗
して所定位置に保持する保持力を生じさせるトラクショ
ン式無段変速機の制御装置において、前記無段変速機に
作用するトルクが所定値以上の場合にそのトルクに基づ
く前記接線力で前記回転部材を移動させるように前記保
持力を制御する保持力制御手段を備えていることを特徴
とする制御装置である。
【0016】したがって請求項1の発明では、無段変速
機に所定値以上のトルクが作用すると、各ディスクとパ
ワーローラなどの回転部材との間に作用する接線力が増
大する。これに対してその回転部材を各ディスクの間に
保持する保持力が、増大した接線力よりも相対的に小さ
くなり、その結果、前記増大した接線力によって回転部
材が移動する。すなわちディスクと回転部材との間で伝
達するべきトルクに対する反力が相対的に低下する。そ
のため、増大したトルクが出力側での負のトルクである
場合には、入力側の動力源の回転数が低下させられるこ
とが回避される。また、接線力が低下することにより、
トラクション係数の増大が防止もしくは抑制されるの
で、ディスクと回転部材との間にグロススリップが生じ
ることが回避される。
【0017】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
において、前記保持力制御手段が、前記保持力を生じさ
せるアクチュエータに対する入力量を制限する制限手段
であることを特徴とする制御装置である。
【0018】したがって請求項2の発明では、前記回転
部材を所定位置に保持するための保持力となる入力量が
制限され、その結果、無段変速機に作用するトルクの増
大によって前記接線力が増大した場合に、回転部材がそ
の増大した接線力によって移動させられ、伝達トルクお
よびトラクション係数の増大が防止もしくは抑制され
る。
【0019】さらに、請求項3の発明は、請求項2の発
明において、前記アクチュエータが油圧によって動作す
るように構成され、かつ前記制限手段は、そのアクチュ
エータのドレン油圧を変更可能な可変ドレン機構を含む
ことを特徴とする制御装置である。
【0020】したがって請求項3の発明では、上記の油
圧の上限値となるドレン油圧が可変ドレン機構によって
変更される。そのため、無段変速機の運転状態に適した
伝達トルクあるいはトラクション係数の制限が可能にな
る。
【0021】そして、請求項4の発明は、請求項1ない
し3のいずれかの発明において、前記接線力で前記回転
部材を移動可能にする前記保持力を、前記無段変速機で
設定される変速比に応じて変化させるように構成されて
いることを特徴とする制御装置である。
【0022】したがって請求項4の発明では、前記接線
力で前記回転部材を移動可能にする前記保持力、言い換
えれば保持力の上限値が、変速比に応じて設定される。
そのため、無段変速機の運転状態に適した伝達トルクあ
るいはトラクション係数の制限が可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を図面に示す具
体例に基づいて説明する。この発明で対象とするトロイ
ダル型(トラクション式)無段変速機は、前述した図6
および図7に示す基本構造を備えたものである。したが
って図6および図7に示す基本構造のユニットを一組備
えたいわゆるシングルキャビティ型のものや二組備えた
いわゆるダブルキャビティ型のものを対象とすることが
できる。また、各キャビティに一対のパワーローラを設
けた構成以外に、各キャビティに三つ以上のパワーロー
ラを設けた構成のものを対象とすることができる。
【0024】さらに、この発明の回転部材に相当するパ
ワーローラを所定位置に保持するための油圧は、図7に
示すように、単一のバルブによって制御する構成として
も良く、あるいは各パワーローラ毎に、あるいは各キャ
ビティ毎に制御弁を設けてもよい。そしてまた、パワー
ローラの傾転角を直線運動に変換して制御弁にフィード
バックするカスケード制御系の構成は、上述したプリセ
スカムを使用した構成に限られず、従来知られている適
宜の構成のものを使用することができる。
【0025】上述したトロイダル型無段変速機を対象と
するこの発明の制御装置の特徴は、パワーローラを所定
位置に保持する保持力を、外乱に伴って無段変速機に作
用する大きいトルクに対応して制御するように構成した
点にある。より具体的には、そのようないわゆる外乱ト
ルクに基づく接線力によってパワーローラを移動させる
ように保持力を制御する機構を設けた点にこの発明の特
徴がある。
【0026】図1はそのための機構の一例を原理的に示
している。図1には、複数備えられているパワーローラ
3のうちの一つについての構成を示しており、トラニオ
ン軸20が油圧サーボシリンダ5におけるピストン6と
一体に連結されている。そのピストン6を挟んだ両側に
油室21,22が形成されており、油圧(仮に押圧油圧
とする)PA が供給されることにより、トラニオン4を
押圧する油室(仮に押圧油室とする)21に押圧油圧P
A の給排を制御する第1の変速制御弁23が連通されて
いる。また、他方の油室(仮に引き戻し油室とする)2
2に対する油圧(仮に引き戻し油圧とする)PB の給排
を制御する第2の変速制御弁24が、その引き戻し油室
22に連通されている。
【0027】これらの変速制御弁23,24は、一方の
油室21(もしくは22)に対して油圧を供給すると同
時に、他方の油室22(もしくは21)から排圧するこ
とにより、パワーローラ3を前進もしくは後退させ、ま
た各油室21,22に圧油を閉じこめることにより、パ
ワーローラ3を所定位置に保持するように制御する制御
弁である。すなわち前記押圧油圧PA と引き戻し油圧P
B との差圧(PA −PB )がリアクション圧PR となっ
ている。したがって、これらの変速制御弁23,24と
して前述した図7に示す構成のバルブを採用することが
できる。
【0028】なお、図1には記載していないが、これら
の変速制御弁23,24と前記トラニオン軸20との間
には、パワーローラ3の傾転角を直線運動に変換して変
速制御弁23,24にフィードバックするフィードバッ
ク機構(カスケード制御系)が設けられている。
【0029】前記パワーローラ3を図1の上下方向に移
動させて変速を実行し、また傾転力(サイドスリップ
力)の生じないいわゆる中立位置にパワーローラ3を保
持するいわゆる保持力は、上記の押圧油圧PA と引き戻
し油圧PB との差圧であるリアクション圧PR に基づく
力となる。このリアクション圧PR は、パワーローラ3
がいわゆる中立位置にあって各油室21,22に対する
油圧の給排が生じていない場合には、圧油が各油室2
1,22およびこれに連通する油路に閉じこめられてお
り、また圧油が非圧縮性流体であるから、そのままの状
態であれば、伝達するトルクに基づく接線力に応じた圧
力になる。このリアクション圧PR を制御して前記接線
力によってパワーローラ3を移動させるとともに伝達ト
ルクを制御するための機構が設けられている。
【0030】この種の機構の一例が、図1には可変ドレ
ン機構25,26として記載してある。一方の可変ドレ
ン機構25が前述した押圧油圧PA のドレン圧を適宜に
変更して設定する機構であり、他方の可変ドレン機構2
6は前述した引き戻し油圧PB のドレン圧を適宜に変更
して設定する機構である。
【0031】前述したように、各油室21,22に圧油
を閉じこめている状態では、接線力に抗する反力すなわ
ち保持力に相当する油圧が発生し、パワーローラ3がい
わゆる中立位置に保持される。上記の各可変ドレン機構
25,26は、このようして接線力に対応して増大する
油圧の上限値を設定し、各油室21,22の油圧がその
設定された上限値に達すると、可変ドレン機構25,2
6から排圧され、油圧がそれ以上には高くならないよう
になっている。すなわちパワーローラ3の保持力および
その反力としての接線力が、可変ドレン機構25,26
によって設定した油圧に応じた大きさに制限されるよう
になっている。
【0032】また、各可変ドレン機構25,26によっ
て設定される上限値は所定の範囲で任意に設定できるよ
うになっている。これは、以下の理由による。パワーロ
ーラ3を挟み付ける法線力(挟持力)Nおよびその法線
力Nを得るための油圧PN は、変速比によって変化させ
る必要があり、この傾向を概略的に図示すれば、図2の
とおりであり、変速比が大きいほど高い油圧になる。こ
れに対して、動力の伝達効率を良好な状態に維持するた
めにトラクション係数を一定とし、また無段変速機で伝
達するトルクを一定とした場合、法線力が上記のように
変化するので、トラクション係数を一定に維持するため
には、接線力およびこれを発生させるリアクション圧P
R を図2に示すように変化させる必要がある。
【0033】このように変化させる必要のあるリアクシ
ョン圧PR の制限のために前記上限値を設定することに
なるので、その上限値(ドレン圧)は、図2に破線で示
すように、変速比が大きいほど、大きい値に設定するこ
とになる。そのために、各可変ドレン機構25,26は
その設定値(ドレン圧)を変速比に応じて変化させるよ
うになっているのである。なお、変速比以外に、油温、
入力回転数、入力トルク(もしくはエンジン負荷)など
の他の要因によって可変ドレン機構25,26の設定値
を変えるようにしてもよい。
【0034】上述した可変ドレン機構25,26の具体
的な構成の一例を図3に示してある。変速制御弁27と
前記押圧油室21とを連通させている油路に、第1のリ
リーフ弁28が接続されている。このリリーフ弁28
は、油圧を逃がす圧力(ドレン圧)をスプリングの弾性
力と信号圧とで設定するように構成されたバルブであ
り、その信号圧が、出力圧を電気的に制御できるソレノ
イド弁29から供給されている。また、同様に、変速制
御弁27と前記引き戻し油室22とを連通させている油
路に第2のリリーフ弁30が接続されており、その第2
のリリーフ弁30に、そのドレン圧を設定する信号圧
が、他のソレノイド弁31から供給されている。
【0035】なお、変速制御弁27は、元圧Ps が供給
される入力ポート32と、二つの出力ポート33,34
と、これらの出力ポート33,34に連通させられるド
レンポート35,36とを備え、三つのランドを有する
スプール37をその軸線方向に移動させることにより、
入力ポート32およびドレンポート35,36を閉じ、
また一方の出力ポート33(もしくは34)を入力ポー
ト32に連通させるとともに、他方の出力ポート34
(もしくは33)をドレンポート36(もしくは35)
に連通させるようになっている。
【0036】これらのリリーフ弁28,30で設定され
ているドレン圧は、例えば上記の無段変速機を搭載した
車両の駆動輪がスリップした後、グリップ力を回復した
り、制動時にスリップが生じて駆動輪がロックするなど
の外乱により、無段変速機に大きいトルク(例えば負ト
ルク)が作用した場合に、パワーローラ3の保持力(接
線力)を制限してパワーローラ3を移動させる程度の圧
力である。これは、予め定めた関係式から求められ、あ
るいは予め用意されたマップ値が採用される。
【0037】したがってパワーローラ3がいわゆる中立
位置にあって変速が生じていない状態で外乱が発生し、
無段変速機に大きくトルクが作用すると、前記油圧サー
ボシリンダ5の油室21,22に圧油が閉じ込められて
いるので、トルクの増大に伴う接線力の増大により、い
ずれか一方の油室21,22の圧力が上昇する。その過
程では、パワーローラ3の保持力と伝達トルクに起因す
る接線力とがバランスしているので、パワーローラ3が
いわゆる中立位置に保持されている。
【0038】そして、いずれかの油室21,22の圧力
が、リリーフ弁28,30で設定してあるドレン圧を超
えると、そのリリーフ弁28,30が開弁して油圧を逃
がすので、いずれかの油室21,22の圧力がそれ以上
に高くならず、その結果、パワーローラ3の保持力も所
定値以上には増大しなくなる。これに対して外乱トルク
が更に大きいと、それに伴う前記接線力も大きくなるの
で、パワーローラ3がその増大した接線力によって移動
させられる。すなわちパワーローラ3の回転中心線が、
各ディスク1,2の中心軸線を通る平面から外れる(オ
フセットする)ので、パワーローラ3にサイドスリップ
力が作用してこれが傾転する。すなわち変速が生じる。
そのため、出力側から入力される外乱トルクが、無段変
速機の変速によって緩和される。
【0039】このように、この発明に係る上記の制御装
置によれば、無段変速機に作用するトルクが外乱により
急激に増大した場合には、パワーローラ3の保持力を制
限して、外乱トルクによって変速を生じさせるので、外
乱トルクが緩和されて入力側に伝達される。そのため、
パワーローラ3と各ディスク1,2との間のグロススリ
ップが防止されるとともに、入力側に接続されているエ
ンジンなどの動力源の回転数が大きく引き下げられるこ
とがなく、エンジンストールが回避される。したがって
また、無段変速機の入力側にロックアップクラッチ付き
の流体継ぎ手(例えばトルクコンバータ)を配置してあ
る場合、そのロックアップクラッチを強制的に解放する
必要がなくなり、その分、制御が簡素化される。
【0040】なお、上述した可変ドレン機構25,26
としては種々の構成のものを採用することができ、例え
ば図4に示すように、一つのソレノイド弁29(もしく
は31)の出力圧を、各リリーフ弁28,30にそれぞ
れの信号圧として供給するように構成してよい。あるい
は図5に示すように、各油室21,22をシャトル弁3
8を介して一つのリリーフ弁28(もしくは30)に接
続し、そのリリーフ弁28(もしくは30)に一つのソ
レノイド弁29(もしくは31)から信号圧を供給する
ように構成してもよい。
【0041】ここで、上述した具体例とこの発明との関
係を簡単に説明すると、図1に示す可変ドレン機構2
5,26および図3ないし図5に示すリリーフ弁28,
30、ソレノイド弁29,31ならびにシャトル弁38
が、この発明の保持力制御手段および制限手段に相当す
る。
【0042】なお、この発明は上記の具体例に限定され
ないのであって、無段変速機に作用するトルクが外乱な
どによって増大した場合に、パワーローラなどのトルク
の伝達を媒介する回転部材の保持力を制限してその回転
部材を移動させるように構成されていればよいのであ
り、したがってこの発明は、言い換えれば、伝達トルク
の増大に伴って増大する接線力に対抗する保持力を制限
する手段を備えていることを特徴とする発明である。も
しくはこの発明は、伝達トルクの増大に伴って増大する
リアクション圧の上限値を変更して設定する手段を備え
ていることを特徴とする発明である。したがってこの発
明ではパワーローラなどの回転部材の保持力を発生する
アクチュエータは上述した油圧式のものに限られないの
であり、電力によって保持力を発生する型式のものであ
ってもよい。その場合、この発明の制限手段は、入力量
としての電力を制限することになる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
無段変速機に所定値以上のトルクが作用すると、各ディ
スクの間に挟み込まれているパワーローラなどの回転部
材とを、トルクが増大したことに基づく作用力で移動さ
せて変速を生じさせるので、トラクション係数の増大を
防止もしくは抑制してグロススリップを回避できるとと
もに、出力側から入力されるトルクが増大した場合に
は、入力側に伝達されるトルクを低減することができる
ので、入力側に連結されている動力源の回転数が低下す
ることを回避することができる。また、回転部材を挟み
付ける圧力の増大を抑制することができるので、無段変
速機の寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の構成を原理的に示す図である。
【図2】 可変ドレン機構によって設定される油圧の一
例を模式的に示す線図である。
【図3】 可変ドレン機構をリリーフ弁とソレノイド弁
とで構成した例を示す油圧回路図である。
【図4】 可変ドレン機構をリリーフ弁とソレノイド弁
とで構成した他の例を示す油圧回路図である。
【図5】 可変ドレン機構をシャトル弁とリリーフ弁と
ソレノイド弁とで構成した例を示す油圧回路図である。
【図6】 トロイダル型無段変速機の基本的な構成、お
よび軸力と法線力との関係を模式的に示す図である。
【図7】 パワーローラを保持かつ移動させて変速をお
こなう変速制御機構の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…入力ディスク、 2…出力ディスク、 3…パワー
ローラ、 4…トラニオン、 25,26…可変ドレン
機構、 28,30…リリーフ弁、 29,31…ソレ
ノイド弁、 37…シャトル弁。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 63:06 F16H 63:06 Fターム(参考) 3J051 AA03 AA08 BA03 BD02 BE09 CA05 CB07 DA04 DA05 FA02 3J552 MA09 MA12 NA01 NB01 PA14 PA19 PA55 PA61 QA48C QB01 RA01 RC14 SA46 SB12 SB13 TA01 TB11 VA22W VA24Y VA27W VA32Z VA34W VA48Z VA74W VC02Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ディスクと出力ディスクとの間にこ
    れらのディスクの間のトルクの伝達を媒介する回転部材
    を挟み込み、その回転部材をトルクの伝達に伴って作用
    する接線力に抗して所定位置に保持する保持力を生じさ
    せるトロイダル型無段変速機の制御装置において、 前記無段変速機に作用するトルクが所定値以上の場合に
    そのトルクに基づく前記接線力で前記回転部材を移動さ
    せるように前記保持力を制御する保持力制御手段を備え
    ていることを特徴とするトロイダル型無段変速機の制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記保持力制御手段は、前記保持力を生
    じさせるアクチュエータに対する入力量を制限する制限
    手段であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダ
    ル型無段変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記アクチュエータが油圧によって動作
    するように構成され、かつ前記制限手段は、そのアクチ
    ュエータのドレン油圧を変更可能な可変ドレン機構を含
    むことを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段
    変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記保持力制御手段は、前記接線力で前
    記回転部材を移動可能にする前記保持力を、前記無段変
    速機で設定される変速比に応じて変化させるように構成
    されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載のトロイダル型無段変速機の制御装置。
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