JP5860068B2 - マルチパス検出方法及び到来角度算出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、到来する電波の位相を検出して電波到来角度の算出に用いる到来角度算出装置に関する。
従来の到来方向推定装置においては、相互相関係数の算出や逆行列演算等の演算量の大きい演算が用いられており、数百シンボル分もの演算が必要であった。このため、簡便な演算で到来方向を推定できる到来方向推定装置が望まれていた。
特許文献1において、演算規模を縮小した到来方向推定装置が提案されている。特許文献1に記載の到来方向推定装置では、2つのアンテナで受信した受信信号に対して、複素共役回路と乗算回路によって到来方向の係数を算出し、到来方向検出回路において逆正接演算と逆余弦演算を行うことにより、受信波の到来方向を推定している。
この到来方向推定装置において、到来方向の推定精度を高めるために受信波中のマルチパスの影響を十分に取り除く必要がある。希望波と、マルチパスによる遅延波とを判別する方法として、特許文献2には、受信信号の電力に基づいて信号電力が極大値を示す点を希望波と判定し、次に信号電力が大きい点を第1遅延波と判定する方法が開示されている。
特開平10−177064号公報 特開2007−281991号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、希望波に対する遅延波の遅延時間が短く、希望波と遅延波とが時間的に重なるような受信波において遅延波を判別することができない。そのため、希望波と遅延波とが時間的に重なる受信波を用いて到来方向を算出すると、遅延波の影響を受けて到来方向の推定精度が低下してしまう。
希望波と遅延波とを判別する方法として、信号電力がしきい値より大きい場合に希望波と判定し、しきい値より小さい場合に遅延波と判定する方法も考えられるが、この方法では、希望波に近い信号レベルの遅延波が存在する場合に誤判定が生じる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、マルチパスを精度よく検出できるマルチパス検出方法及びマルチパスの影響による精度劣化を防止できる到来角度算出装置を提供することを目的とする。
本発明のマルチパス検出方法は、複数のアンテナで受信した信号からマルチパスの有無を判定するマルチパス検出方法であって、各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換し、前記周波数領域の振幅特性と周波数特性との少なくとも一つについてアンテナ間での比較を行うことでマルチパスの有無を判定することを特徴とする。
この構成によれば、受信信号をそれぞれ周波数領域に変換してその振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較することにより、マルチパスを精度よく検出できる。
本発明のマルチパス検出方法において、前記周波数領域の振幅特性と位相特性との双方のバランスをそれぞれ比較してマルチパスの有無を判定することが好ましい。この構成によれば、振幅特性と位相特性とをそれぞれ比較することでマルチパスの有無を判定するため、マルチパスをさらに精度よく検出できる。
本発明のマルチパス検出方法において、前記振幅特性は、振幅曲線の中心周波数を中心とした所定幅での低域側の信号電力と高域側の信号電力との比で示され、前記位相特性は、振幅曲線の中心周波数を中心とした所定幅での位相の傾斜で示されることが好ましい。この構成によれば、低域側の信号電力と高域側の信号電力との比、及び位相の傾斜により、アンテナ間でのバランスを適切に比較できるため、マルチパスを精度よく検出できる。
本発明のマルチパス検出方法において、前記振幅特性について前記アンテナ間で前記比較を行う場合に、一方のアンテナの振幅特性をPr1、他方のアンテナの振幅特性をPr2とし、2つのアンテナ間の振幅特性のバランスを比較するためにPr1とPr2との比Prを計算し、Prが1から所定値以上離れていればマルチパスがあると判定してもよい。
本発明のマルチパス検出方法において、前記位相特性について前記アンテナ間で前記比較を行う場合に、一方のアンテナの位相傾斜をΔφ1、他方のアンテナの位相傾斜をΔφ2とし、2つのアンテナ間の位相傾斜のバランスを比較するためにΔφ1とΔφ2との差Δφを計算し、Δφが0から所定値以上離れていればマルチパスがあると判定しても良い。
本発明の到来角度算出装置は、複数のアンテナと、複数のアンテナで受信した信号からマルチパスの有無を判定するマルチパス検出手段と、前記複数のアンテナで受信した信号の位相差から電波の到来角度を算出する到来角度算出手段と、を備え、前記マルチパス検出手段は、各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換し、前記周波数領域の振幅特性と周波数特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較してマルチパスの有無を判定し、マルチパスがない場合に、前記複数のアンテナで受信した信号の位相差を用いて電波の到来角度を算出することを特徴とする。
この構成によれば、各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換し、その振幅特性と周波数特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較することで、マルチパスの有無を判定することができる。これにより、到来角度の算出精度に影響のあるマルチパスを適切に検出し、精度よく到来角度を算出することができる。
本発明の到来角度算出装置において、前記マルチパス検出手段は、各アンテナの受信信号のピークを検出するピーク検出部と、各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換するFFT部と、前記周波数領域の振幅特性と周波数特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較してマルチパスの有無を判定するマルチパス判定部と、を備えても良い。
本発明によれば、マルチパスを精度よく検出できるマルチパス検出方法及びマルチパスの影響による精度劣化を防止できる到来角度算出装置を提供することができる。
実施の形態に係る到来角度算出装置の構成例を示すブロック図である。 実施の形態に係る到来角度算出装置の具体的構成(DSSS)を示すブロック図である。 実施の形態に係る信号判定部の具体的構成を示すブロック図である。 加算器の出力波形の例を示す図である。 図5Aは、タイミング制御部からの出力波形の例を示す図である。図5Bは、ピーク電力検出部からの出力波形の例を示す図である。図5Cは、FFT部からの出力波形の例を示す図である。 図6Aは、逆正接部の出力波形の例を示す図である。図6Bは、電力算出部の出力波形の例を示す図である。 アンテナに到来する電波の幾何学的関係を示す模式図である。 到来角度算出装置を含む位置検出システムの例を示す模式図である。 到来角度算出装置での到来角度算出のフロー図である。 ピーク検出部に入力される信号の模式図である。 変調方式としてDSSSを用いる場合にピーク検出部に入力される信号の例を示す模式図である。 FFT部から出力される振幅周波数曲線及び位相周波数曲線の例を示す図である。 到来角度算出部の別の例を示すブロック図である。 位相差の算出範囲について示す模式図である。 算出される位相差データの例を示す模式図である。 位相差が+180°または−180°付近となる場合の到来角度算出の概略について示す模式図である。 位相差が+180°または−180°付近となる場合の到来角度算出のフロー図である。 到来角度算出部の別の例を示すブロック図である。 実施の形態に係る到来角度算出装置の具体的構成(OFDM)を示すブロック図である。 図20Aは、OFDMにおけるシンボルの構成を示す模式図である。図20Bは、OFDMシンボル列の相関処理の様子を示す模式図である。 図21A、Bは、電力算出部からの出力波形の例を示す図である。図21Cは、加算部からの出力波形の例を示す図である。図21Dは、逆正接部の各部からの出力波形の例を示す図である。 到来角度算出装置を用いたカプセル内視鏡システムの構成例を示す模式図である。
図1は、本発明の一実施の形態に係る到来角度算出装置の構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る到来角度算出装置1は、所定の発振周波数で基準信号を発振可能な基準信号発生部10と、所定間隔離して配置された受信用アンテナ11a、11bと、受信用アンテナ11a、11bで受けた電波を、基準信号発生部10から出力される基準信号を用いて受信信号に変換し出力する受信部12a、12bと、受信部12a、12bから出力される受信信号から到来角度算出のための各種演算処理を行う演算部13と、を備える。なお、到来角度算出装置1は、電波の伝搬遅延に起因する位相遅れに基づいて到来角度を算出するため、同じ情報を持つ電波を所定間隔離れた2点(または2以上の点)で受信する必要がある。このため、受信電波に対応する2つ(またはそれ以上)のアンテナ及び受信系を備えていることが必要である。ただし、同一の到来電波(同じ情報単位)を所定間隔離れた2以上の位置で受信できるのであれば、到来角度算出装置1は、2以上の受信系を備えている構成に限定されない。
受信部12a、12bは、ローノイズアンプ、ミキサ、バンドパスフィルタなどを含み、所定周波数の電波を受信できるように構成されている。演算部13は、受信信号の相関処理を行う相関処理部21a、21bと、相関処理された受信信号のピークを検出するピーク検出部22a、22bと、ピーク検出部22a、22bで検出されたピークのタイミングに合わせて相関処理部21a、21bからの信号を出力するタイミング制御部23a、23bと、タイミング制御部23a、23bの出力に基づいてマルチパスの干渉を判定する判定部24と、タイミング制御部23a、23b及び判定部24からの信号に基づいて、到来角度の計算を行う到来角度算出部25と、を含んで構成される。なお、演算部13の構成や機能は、ハードウェアで実現しても良いし、ソフトウェアで実現しても良い。
相関処理部21a、21bは、受信部12a、12bからの受信信号と当該受信信号と相関の高い信号とを乗算して出力する。相関処理部21a、21bにおいて乗じられる信号は受信信号との相関が高いため、相関処理部21a、21bから出力される信号は、相関区間でピークを有する。ピーク検出部22a、22bは、相関処理部21a、21bからの出力信号の電力を算出し、出力信号の電力ピークを検出する。タイミング制御部23a、23bは、ピーク検出部22a、22bにおいて検出されたピークタイミングに合わせて、相関処理部21a、21bからの出力信号を判定部24及び到来角度算出部25に出力する。判定部24は、タイミング制御部23a、23bから出力される時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、当該周波数領域の信号に基づいて受信波におけるマルチパスの有無を評価する。そして、その評価に基づいて、対象となる情報単位に相当する期間(以下、情報単位期間と呼ぶ)の受信信号を到来角度の算出に使用するか否かを判定する。この判定結果は、到来角度算出部25に通知される。
図2は、変調方式として直接スペクトラム拡散(DSSS)を用いる場合の到来角度算出装置の具体的構成例を示すブロック図である。なお、図2では、図1における演算部13に相当する構成のみを示している。
図2において、相関処理部21aは、拡散コードを発生する拡散コード発生器31と、受信信号と拡散コードとを乗算する乗算器32a、32bと、乗算器32a、32bの出力を1ビット期間(情報単位期間)分だけ足し合わせてピーク検出部22a及びタイミング制御部23aに出力する加算器33a、33bとを備える。ピーク検出部22aは、加算器33a、33bから出力された信号の電力を算出する電力算出部34aと、その電力ピークを検出してタイミング制御部23aに出力するピーク電力検出部35aとを備える。タイミング制御部23aは、ピーク電力検出部35aからの信号を元に加算器33a、33bからの信号を判定部24及び到来角度算出部25に出力するタイミングを制御するバッファ部36aを備える。同様に、相関処理部21bは、拡散コード発生器31、乗算器32c、32d、加算器33c、33dを備え、ピーク検出部22bは、電力算出部34b、ピーク電力検出部35bを備え、タイミング制御部23bはバッファ部36bを備える。
図3は、判定部24の具体的構成例を示すブロック図である。図3に示すように、判定部24は、タイミング制御部23a、23bから出力される時間領域の信号を任意の期間で切りだして周波数領域の信号に変換するFFT部37a、37bと、FFT部37a、37bから出力される周波数領域の信号を元に、受信波において対象の情報単位期間にマルチパスが存在するか否かを判定するマルチパス判定部38とを備える。FFT部37a、37bにおいて周波数領域の信号に変換される期間は、マルチパスの判定を希望する期間に応じて適宜変更できる。例えば、情報単位期間全体においてマルチパスの有無を判定したい場合は情報単位期間全体を周波数領域に変換すればよく、受信信号のピーク点付近の期間(ピーク期間)におけるマルチパスの干渉を判定したい場合はピーク期間のみを周波数領域に変換すればよい。マルチパス判定部38における判定結果(評価結果)は、到来角度算出部25の平均化部45に通知される。
図2に示すように、到来角度算出部25は、バッファ部36aの出力の複素共役をとる複素共役部41と、複素共役部41の出力とバッファ部36bの出力とを複素乗算する複素乗算部42と、複素乗算部42の出力を用いて逆正接演算を行う逆正接部43と、複素乗算部42の出力信号からチップ区間ごとの電力を算出する電力算出部44と、判定部24及び電力算出部44からの情報に基づいて逆正接部43の出力を平均化する平均化部45と、平均化部45の出力を用いて到来角度に変換する到来角度変換部46とを備える。平均化部45は、マルチパス判定部38から通知された判定結果(評価結果)に基づいて対象となる情報単位期間に相当する逆正接部43の出力を用いるか否かを決定し、当該決定に応じて逆正接部43の出力を平均化できるように構成されている。
拡散コード発生器31は、DSSSによって周波数軸上に拡散された信号を逆拡散するための拡散コードを発生する。当該拡散コードは、送信側でコード変調(拡散)の際に使用された拡散コードに対応するものである。乗算器32a、32bは、受信信号に上記拡散コードを乗じて逆拡散を行う。乗算器32aには、受信部12aからの受信信号のうちの同相成分I1が入力される。また、乗算器32bには、受信部12aからの受信信号のうちの直交成分Q1が入力される。加算器33a、33bは、乗算器32a、32bのチップ区間ごとの出力を1ビットに相当する期間(ビット区間)足し合わせて出力する。図4Aに加算器33aからの出力波形の例を示す。図4Bは、図4Aに示す出力波形の部分拡大図である。また、図4Cに加算器33bからの出力波形の例を示す。図4Dは、図4Cに示す出力波形の部分拡大図である。
加算器33aの出力信号及び加算器33bの出力信号は、ピーク検出部22aの電力算出部34a、及びタイミング制御部23aのバッファ部36aに入力される。電力算出部34aは、加算器33a、33bの出力信号からチップ区間ごとの電力を算出する。具体的には、電力算出部34aは、同相成分に相当する加算器33aの出力信号の絶対値と、直交成分に相当する加算器33bの出力信号の絶対値とを足し合わせ、チップ区間ごとの電力情報としてピーク電力検出部35aに出力する。ピーク電力検出部35aは、チップ区間ごとの電力情報を受け取ると、受信信号中の電力ピークを検出し、電力ピーク情報としてタイミング制御部23aのバッファ部36aに出力する。なお、加算器33aの出力信号の2乗値と、加算器33bの出力信号の2乗値とを足し合わせてピーク電力検出部35aに出力しても良い。
ピーク検出部22a(ピーク電力検出部35a)から出力される電力ピーク情報は、受信信号のピークの有無を判定する情報である。具体的には、電力ピーク情報は、受信信号のピーク点付近の期間(ピーク期間t)における電力の和Aと、DSSSでの情報単位となる1ビット期間からピーク期間tを除いた期間tにおける電力の和Bとの比R(=A/B)がしきい値Rth1より大きいか否かを示す情報である(例えば、図10参照)。電力ピーク情報において、RがRth1より大きい場合には、タイミング制御部23a(バッファ部36a)は、そのタイミングで受信信号がピークを有するものとして、1ビット分の信号Ia1及び信号Qa1を判定部24及び到来角度算出部25に出力する。このように、電力ピーク情報を用いることでピークの位置を適切に判別することができる。なお、比R(=A/B)の値は、例えば、単位期間の期間tにおいてマルチパスが存在する場合に所定値より小さくなる。このため、Rと所定値(しきい値Rth2)とを用いてマルチパスの有無を判定しても良い。この場合、RがRth2より小さい場合に単位期間の期間tにおいてマルチパスが存在すると判定することができる。
判定部24のFFT部37aは、タイミング制御部23a(バッファ部36a)から出力される信号Ia1及び信号Qa1を任意の期間で切り出して高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換する。FFT部37aにおいて周波数領域の信号に変換する期間は、上述したように、マルチパスの判定を希望する期間に応じて適宜変更できる。図5Aに、タイミング制御部23a(バッファ部36a)からの出力波形(1ビット分)の例を示す。図5Bに、ピーク電力検出部35aからの出力波形(1ビット分)の例を示す。また、図5Cに、FFT部37aからの出力波形の例を示す。図5A及び図5Bに示すように、例えば、マルチパスの遅延時間が短く、希望波のピークに対してマルチパスが重なる場合、時間領域の信号からマルチパスの有無を判定することができない。このように、希望波とマルチパスとが時間的に重なる受信信号を用いて到来方向を算出する場合、マルチパスの影響により到来方向の推定精度が低下する。そこで、本実施の形態に係る到来角度算出装置1では、FFT部37aで時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し(図5C参照)、マルチパス判定部38がこの周波数領域の信号を用いて任意の期間におけるマルチパスの有無を判定する。具体的には、周波数領域の信号の振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較して、マルチパスの有無を判定する。もちろん、振幅特性と位相特性との双方のバランスをそれぞれ比較してマルチパスの有無を判定しても良い。これにより、時間領域の信号から判別できないマルチパスを判別できるようになるため、マルチパスが存在する受信信号を到来角度の算出に用いないようにできる。つまり、到来角度を高精度に算出することが可能である。
相関処理部21b(拡散コード発生器31、乗算器32c、32d、加算器33c、33d)、ピーク検出部22b(電力算出部34b、ピーク電力検出部35b)、タイミング制御部23b(バッファ部36b)、FFT部37bの動作や機能は、上記相関処理部21a(拡散コード発生器31、乗算器32a、32b、加算器33a、33b)、ピーク検出部22a(電力算出部34a、ピーク電力検出部35a)、タイミング制御部23a(バッファ部36a)、FFT部37aの動作や機能と同様である。すなわち、判定部24のFFT部37bは、タイミング制御部23b(バッファ部36b)から出力される信号Ia2及び信号Qa2を任意の期間で切り出して高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換し、マルチパス判定部38に送る。マルチパス判定部38により対象となる期間におけるマルチパスの有無が判定されると、当該判定結果は到来角度算出部25の平均化部45に通知される。
相関処理部21bに入力される受信信号と、相関処理部21aに入力される受信信号とは、同一電波を所定間隔離れた2点で受信した信号であり、位相が僅かに異なっている。このため、タイミング制御部23bから出力される信号と、タイミング制御部23aから出力される信号とでは、位相が僅かに相違する。タイミング制御部23aの出力Oa1、及びタイミング制御部23bの出力Oa2を、同相成分に相当する信号を実部、直交成分に相当する信号を虚部として複素数で表現すると、下記式(1)、(2)のようになる。なお、φ及びφは、各信号の位相を表す。
Figure 0005860068
Figure 0005860068
タイミング制御部23aの出力Oa1は、到来角度算出部25の複素共役部41に入力される。複素共役部41は、タイミング制御部23aの出力Oa1の複素共役を複素乗算部42に出力する。つまり、複素共役部41からは、信号Ia1と、信号Qa1の符号が反転した信号が出力される。複素共役部41の出力Oa1´を複素数で表現すると、下記式(3)のようになる。
Figure 0005860068
複素乗算部42は、複素共役部41の出力Oa1´と、タイミング制御部23bの出力Oa2とを複素乗算して、乗算結果である信号Ib及び信号Qbを逆正接部43及び電力算出部44に出力する。複素乗算部42の出力O、出力Oの同相成分Ib及び直交成分Qbは下記式(4)〜(6)のように表される。
Figure 0005860068
Figure 0005860068
Figure 0005860068
逆正接部43は、複素乗算部42の出力を用いて逆正接演算を行う。具体的には、複素乗算部42の出力信号Ibを分母とし、出力信号Qbを分子とした値の逆正接演算を行う。図6Aに逆正接部43からの出力波形の例を示す。逆正接部43の出力Oarctanは位相差φ−φに相当し、下記式(7)で表される。
Figure 0005860068
電力算出部44は、複素乗算部42の出力信号からチップ区間ごとの電力を算出する。具体的には、電力算出部44は、Ibの絶対値とQbの絶対値とを足し合わせ、チップ区間ごとの電力情報として平均化部45に出力する。なお、Ibの2乗値と、Qbの2乗値とを足し合わせて平均化部45に出力しても良い。図6Bに電力算出部44からの出力波形の例を示す。平均化部45は、チップ区間ごとの電力情報を受け取ると、判定部24から通知された判定結果に基づいて、逆正接部43の出力Oarctanを平均化して到来角度変換部46に出力する。ここで、例えば、判定部24から平均化部45に対し、対象となっている情報単位期間の受信信号にマルチパスが含まれる旨の判定が通知された場合、平均化部45は、対象の情報単位期間に相当する逆正接部43の出力Oarctanを平均化に用いない。一方、判定部24から平均化部45に対し、対象となっている情報単位期間の受信信号にマルチパスが含まれない旨の判定が通知された場合、平均化部45は、対象の情報単位期間に相当する逆正接部43の出力Oarctanを平均化に用いる。これにより、時間領域において希望波のピークと重なる干渉性のマルチパスが含まれた受信信号を除外して到来角度を算出できるので、到来角度の算出精度を高めることができる。
到来角度変換部46は、平均化部45の出力を用いて逆三角関数演算により到来角度に変換する。逆三角関数演算としては、例えば、逆正弦演算を適用することができる。当該演算によって求められる値、すなわち、到来角度変換部46の出力が、到来角度θ(rad)に相当する。到来角度変換部46の出力Oarcsinは下記式(8)で表される。なお、下記式において、λ(m)は受信波の波長であり、d(m)は受信用アンテナ間の距離である。
Figure 0005860068
上記処理により到来角度が得られるのは、図7に示すような幾何学的な関係が成立するためである。所定の方向を基準として間隔d(m)離して配置された2つの受信用アンテナ11a、11bに到来する電波のなす角度をθ(rad)とする。受信用アンテナ11bに到来する電波の伝搬距離は、受信用アンテナ11aに到来する電波の伝搬距離と比べてΔ(m)だけ長くなり、位相遅延(位相差φ−φ(rad))が生じる。このモデルにおいて生じる伝搬距離の差分Δと位相差φ−φとの関係を受信波の波長λ(m)を用いて表すと、下記式(9)のようになる。なお、下記式において、Δ<λである。
Figure 0005860068
また、上記モデルにおける伝搬距離の差分Δ、アンテナ間隔d、到来角度θの幾何学的な関係から、下記式(10)が成り立つ。
Figure 0005860068
つまり、到来角度θは下記式(11)のように表されることになる。なお、式(11)は、到来角度変換部46における処理に相当する。このように、本実施の形態の到来角度算出装置によって到来角度が算出されることが分かる。
Figure 0005860068
次に、到来角度算出装置を用いた位置検出システムの例について説明する。図8に示される位置検出システム101は、到来角度算出装置1aと、到来角度算出装置1aと所定距離D離して配置される他の到来角度算出装置1bと、アクセスポイント2又はユーザ端末3とを含んで構成される。アクセスポイント2及びユーザ端末3は、それぞれ送信系及び受信系を備え(図示せず)、双方向の情報伝送(通信)が可能に構成されている。また、アクセスポイント2及びユーザ端末3は、それぞれが備える送信系によって、到来角度算出装置1a及び到来角度算出装置1bに到来角度算出用の電波を送信できるように構成されている。位置検出の対象は、アクセスポイント2又はユーザ端末3のいずれでも良い。
到来角度算出装置1aは、アクセスポイント2の送信用アンテナから送信された電波を受信用アンテナ11aa、11abで受信して、到来角度算出装置1aを基準とする到来角度を算出する。また、到来角度算出装置1bは、アクセスポイント2の送信用アンテナから送信された電波を受信用アンテナ11ba、11bbで受信して、到来角度算出装置1bを基準とする到来角度を算出する。到来角度算出装置1aと到来角度算出装置1bの位置関係が既知であれば、それぞれを基準とする到来角度からアクセスポイント2の位置を決定することができる。ユーザ端末3の位置検出の場合は、到来角度算出装置1a及び到来角度算出装置1bは、ユーザ端末3から送信される電波の到来角度を算出する。
図9は本実施の形態に係る到来角度算出装置1における到来角度算出のフロー図である。到来角度算出装置1が到来角度算出対象の電波を受信すると、受信部12a、12bは相関処理部21a、21bに受信信号を出力する。そして、相関処理部21a、21bは、受信信号の相関処理及び加算処理を行う(ステップS201)。
その後、ピーク検出部22a、22bは、相関処理部21a、21bの出力信号から電力のピーク値Ppeakを検出する。そして、ピーク点付近の期間(ピーク期間t)における電力の和Aと、1ビット期間(情報単位の期間)からピーク期間tを除いた期間tにおける電力の和Bとを算出し、電力ピーク情報として用いられる比R(=A/B)を算出する(ステップS202)。ピーク検出部22a、22bで算出されたRは、タイミング制御部23a、23bに送られる。タイミング制御部23a、23bは、算出された比R(=A/B)と所定のしきい値Rth1とを比較して、Rth1よりRが大きい場合、受信信号にピークが存在するものとして到来角度の計算に必要な信号を到来角度算出部25に出力する。
図10には、ピーク検出部22a、22bに入力される信号を模式的に示す。図10に示されるように、ピーク期間tには希望波が、隣接する期間tにはマルチパスがそれぞれ存在している。ピーク電力Ppeakは、図10におけるピーク点Pの電力であり、Aは、ピーク期間tにおける電力の和であり、Bは、1ビット期間からピーク期間tを除いた期間tにおける電力の和である。例えば、図11に示すように、変調方式としてDSSSを用いる場合には、拡散コードの周期tcの約2倍の時間幅を有するピークが形成される。このため、当該2・tcの期間をピーク期間tとすることができる。
判定部24のFFT部37a、37bは、時間領域で表される受信信号を高速フーリエ変換によって周波数領域の信号に変換して、振幅周波数曲線(振幅曲線)と位相周波数曲線(位相曲線)とを算出する(ステップS203)。図10に示すように、時間領域において希望波のピークとマルチパスとが重なるような場合、この受信信号を用いて到来角度を算出するとマルチパスの影響により到来角度の算出精度が低下してしまう。そこで、本実施の形態に係る到来角度算出装置1は、以下のステップに示すように、振幅周波数曲線と位相周波数曲線とから算出される振幅特性及び位相特性を用いて対象の期間におけるマルチパスの有無を判定する。図12A、Bには、それぞれ、FFT部37aから出力される振幅周波数曲線及び位相周波数曲線、FFT部37bから出力される振幅周波数曲線及び位相周波数曲線の例を示す。
判定部24のマルチパス判定部38は、FFT部37aから出力される振幅周波数曲線を元に、その中心周波数より低域側の信号電力の和PL1と高周波領域の信号電力の和PH1とを算出し、電力PL1と電力PH1との比Pr(=PH1/PL1)を算出する。また、マルチパス判定部38は、FFT部37bから出力される振幅周波数曲線を元に、その中心周波数より低域側の信号電力の和PL2と高域側の信号電力の和PH2とを算出し、電力PL2と電力PH2との比Pr(=PH2/PL2)を算出する。そして、PrとPrとから、振幅特性Pr(=Pr/Pr)を算出し、Prの値が所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS204)。Pr及びPrの値は、それぞれ、FFT部37aから出力される振幅周波数曲線の中心周波数に関する対称性、及び、FFT部37bから出力される振幅周波数曲線の中心周波数に関する対称性を示している。マルチパスの影響は、これらのバランスが崩れる方向に現れるから、Prの値が所定範囲内にあるか否かによって、対象となる期間の信号がマルチパスの影響を受けているか否かを判断できる。例えば、マルチパスの影響を殆ど受けていない場合、Pr及びPrの値は1に近づくため、Prの値も1に近づく。一方、マルチパスの影響を受けている場合、PrとPrとのバランスが崩れ、Prの値は1から離れる。例えば、Prの値が0.8〜1.2である場合、マルチパスの影響を受けていないと判定することができる。
Prの値が所定範囲内である場合(ステップS204:YES)、マルチパス判定部38は、FFT部37aから出力される位相周波数曲線を元に、位相周波数曲線の傾きΔφ(平均値)を算出する。また、マルチパス判定部38は、FFT部37bから出力される位相周波数曲線を元に、位相周波数曲線の傾きΔφ(平均値)を算出する。そして、ΔφとΔφとから、位相特性Δφ(=Δφ−Δφ)を算出し、Δφの値が所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS205)。Δφの値は、FFT部37aから出力される位相周波数曲線の傾きと、FFT部37bから出力される位相周波数曲線の傾きとの差を表しており、マルチパスの影響は、これらの差が大きくなる方向に現れる。このため、Δφの値が所定範囲内にあるか否かによって、対象となる期間の信号がマルチパスの影響を受けているか否かを判断できる。例えば、Δφの値が−20°〜+20°である場合、マルチパスの影響を受けていないと判定することができる。
Δφの値が所定範囲内である場合(ステップS205:YES)、マルチパス判定部38は、対象の期間にはマルチパスが存在しないと判定し、到来角度算出部25の平均化部45にその判定結果を通知する(ステップS206)。
一方、Prの値が所定範囲外である場合(ステップS204:NO)、又はΔφの値が所定範囲外である場合(ステップS205:NO)、マルチパス判定部38は、対象の期間にマルチパスが存在すると判定し、到来角度算出部25の平均化部45にその判定結果を通知する(ステップS207)。
対象の期間にはマルチパスが存在しないと判定された場合(ステップS206)、判定結果の通知を受けた平均化部45は、対象の期間が含まれる情報単位期間に相当する逆正接部43からの出力を使用して到来角度を算出する(ステップS208)。また、対象の期間にマルチパスが存在すると判定された場合(ステップS207)、判定結果の通知を受けた平均化部45は、対象の期間が含まれる情報単位期間に相当する逆正接部43からの出力を使用しないで到来角度を算出する(ステップS208)。
以上に示すように、本実施の形態に係る到来角度算出装置1は、受信信号をそれぞれ周波数領域に変換してその振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較することにより、マルチパスを精度よく検出できる。その結果、マルチパスを適切に取り除いて到来角度を精度よく算出することができる。
図13は、到来角度算出装置1における到来角度算出部25の別の一態様を説明するブロック図である。図13に示される到来角度算出部25は、タイミング制御部23aの出力Oa1の複素共役をとる複素共役部51と、複素共役部51の出力Oa1´と、タイミング制御部23bの出力Oa2を複素乗算する複素乗算部52と、複素乗算部52の出力を用いて逆正接演算を行う逆正接部53とを備える。複素共役部51、複素乗算部52、逆正接部53の動作や機能は、上述の複素共役部41、複素乗算部42、逆正接部43の動作や機能と同様である。また、逆正接部53の演算結果(位相差)を元に演算結果を補正する位相差補正部54と、位相差補正部54の出力を平均化する平均化部55と、位相差補正部54において補正を行った場合に平均化部55の演算結果(平均値)を補正する位相差再補正部56と、位相差再補正部56の出力を用いて到来角度に変換する到来角度変換部57と、を備える。到来角度変換部57の動作や機能は、上述の到来角度変換部46の動作や機能と同様である。
位相差補正部54は、逆正接部53の演算結果である位相差が、+180°(+π)付近や−180°(−π)付近の値になる場合、逆正接部の演算結果に所定の角度(位相差)を加える処理を行う。図14のI−Q平面に示すように、本実施の形態の到来角度算出部25は、位相差を−180°〜+180°(−π〜+π)の位相差範囲の座標上に投影する。このため、例えば、図15Aに示されるように、逆正接部53によって算出される位相差が+180°及び−180°近傍の値にならない場合には、これを平均化することで適切に到来角度を算出することができる。しかし、図15Bに示されるように、逆正接部53によって算出される位相差が+180°及び−180°近傍の値になる場合、算出される位相差の僅かな誤差が角度算出に大きな影響を与えることになる。ここで、位相差データとして、−178°及び+178°の2つの値が得られ、一方の値である+178°は本来の値である−178°から−4°の誤差が生じて+178°になっていると想定する。これらの差は、実際には僅かに4°である。つまり、本来であれば、位相差の平均値は約180°となる。しかし、平均化処理において、−178°と+178°として平均化すると、平均値は0°となる。実際には約180°の位相差が存在するにもかかわらず、平均化処理によって0°として扱われてしまうのである。このように、平均化された位相差が本来の位相差から大幅にずれてしまうと、適切な到来角度算出は困難になる。
そこで、図13に示される到来角度算出部25は、逆正接部53によって算出される位相差が+180°及び−180°付近の値になる場合、位相差補正部54が逆正接部53の演算結果に所定の角度(位相差)を加える補正処理を行って、適切な平均化が行われるようにする。逆正接部53の演算結果が+180°または−180°近傍の値であるか否かは、逆正接部53の演算結果として得られる複数の位相差の分布を元に判定することができる。例えば、+90°(+π/2)より大きく、または−90°(−π/2)より小さい位相差の数が、+90°より小さくかつ−90°より大きくなる位相差の数より多い場合には、逆正接部53の演算結果が+180°及び−180°付近の値であると判定できる。位相差補正部54が加える角度(位相差)は、例えば+90°とすることができるが、適切な平均化処理が可能な角度であればこれに限られない。−90°、+180°または−180°のいずれかでも良い。
平均化部55は、位相差補正部54の出力を平均化する。本実施の形態の到来角度算出部25は、平均化に適さない位相差が算出される場合に位相差を加える補正を行うため、平均化部55において適切な平均化処理が可能である。なお、干渉性のマルチパスが存在する場合、対象の受信信号を用いずに平均化を行う点は平均化部45と同様である。位相差再補正部56は、位相差補正部54において位相差の補正を行っている場合に平均化部55の出力を補正する。具体的には、位相差補正部54において補正値として加えた角度(位相差)を減ずる補正を行う。
図16に、位相差が+180°及び−180°付近となる場合の到来角度算出の概略を模式的に示す。逆正接部53によって算出された位相差が、I−Q平面において+180°及び−180°付近の場合、位相差補正部54は位相差に補正値(+90°)を加えて座標軸を回転させ、平均値算出用の座標軸に変換する。平均化部55は、当該データを元に平均値(−92°)を算出する。位相差再補正部56は、位相差補正部54の出力データから補正値(+90°)を減ずる補正を行い、到来角度変換部57に補正されたデータ(+178°)を出力する。
図17は上記到来角度算出部25における処理フロー図である。到来角度算出部25の複素共役部51は、ステップ301において、タイミング制御部23aの出力Oa1の複素共役を算出する。また、複素乗算部52は、ステップ302において、タイミング制御部23bの出力Oa2と複素共役部51の出力Oa1´とを乗算する。そして、逆正接部53は、ステップ303において、複素乗算部52の出力を用いて逆正接演算を行い、受信信号間の位相差を算出する。
ステップ304において、位相差補正部54は、算出された位相差がI−Q平面において+180°及び−180°近傍の値であるかを判定する。算出された位相差が+180°及び−180°近傍の値でない場合はステップ305に進み、到来角度算出部25は位相差を補正することなく到来角度を算出する。算出された位相差が+180°近傍、または−180°近傍の値の場合はステップ306に進む。当該判定は、上述のように、+90°より大きく、または−90°より小さい位相差の数が、+90°より小さくかつ−90°より大きくなる位相差の数より多いかどうかを基準として行うことができる。
ステップ306において、位相差補正部54は、逆正接部53の演算結果である位相差に90°を加える処理を行う(位相差を+90°する)。ステップ307において、平均化部55は、位相差補正部54の出力を平均化する。そして、ステップ308において、位相差再補正部56は、平均化部55の演算結果である平均値から90°を減ずる処理を行う(位相差を−90°する)。その後、ステップ309において、到来角度変換部57は、位相差再補正部56の出力から到来角度を算出する。このように、図13に示される到来角度算出部25では、所定の位相差を加えて平均化した後に所定の位相差を減ずるという一連の処理によって適切な平均値が算出されるため、到来角度の算出精度が低下せずに済む。その結果、到来角度の算出精度を十分に高めることができる。
なお、ここでは、位相差補正部54が、逆正接部53の演算結果に所定の角度を加える処理を行っているが、適切な平均化処理が実現できるのであればこれに限られない。例えば、図18に示すような構成の到来角度算出部25を用いることもできる。図18に示す到来角度算出部25は、タイミング制御部23aの出力Oa1の複素共役をとる複素共役部61と、複素共役部61の出力Oa1´と、タイミング制御部23bの出力Oa2を複素乗算する複素乗算部62とを備える。複素共役部61、複素乗算部62の動作や機能は、上述の複素共役部41、複素乗算部42の動作や機能と同様である。また、複素乗算部62の出力の同相成分(I成分)の絶対値と直交成分(Q成分)の絶対値とを比較するIQ比較部63と、複素乗算部62の出力を用い、IQ比較部63の出力に応じて演算方法を選択、変更して逆正接演算を行う逆正接部64とを備える。また、逆正接部64の演算結果である位相差を平均化する平均化部65と、逆正接部64の演算方法に応じて平均化部65の演算結果である平均値を補正する位相差再補正部66と、位相差再補正部66の出力を用いて到来角度に変換する到来角度変換部67と、を備える。到来角度変換部67の動作や機能は、上述の到来角度変換部46の動作や機能と同様である。
IQ比較部63は、複素乗算部の出力の同相成分(I成分)が負であるか否かを判定すると共に、複素乗算部62の出力の同相成分(I成分)の絶対値と直交成分(Q成分)の絶対値とを比較する。具体的には、IQ比較部63は、同相成分Ibの符号を判定すると共に、同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|より十分に大きいか否か(直交成分の絶対値|Qb|が同相成分の絶対値|Ib|より十分に小さいか否か)を判定する。受信信号の位相差がI−Q平面において+180°及び−180°近傍の値をとる場合には、同相成分Ibが負になり(Ib<0)、同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|より十分に大きくなる。このため、同相成分Ibの符号を判定し、同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|より十分に大きいか否かを判定することにより、位相差が+180°及び−180°近傍の値をとるか否かを判定することができる。
逆正接部64は、複素乗算部62の出力を用い、IQ比較部63の出力に応じて演算方法を選択して逆正接演算を行う。同相成分が正である場合や、同相成分が負であり、かつ同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|と同程度であるか、または小さい場合、複素乗算部62の出力Ibを分母とし、出力Qbを分子とした値の逆正接演算を行う。同相成分が負であり、かつ同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|より十分に大きい場合、例えば、複素乗算部62の出力Qbの符号を反転させた−Qbを分母とし、出力Ibを分子とした値の逆正接演算を行う。なお、同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|より十分に大きい場合の上記処理は、座標軸を+90°回転させて逆正接演算を行う処理に相当する。つまり、当該処理によって得られる位相差は、元来の位相差に+90°が加えられた値である。
なお、同相成分の絶対値|Ib|が直交成分の絶対値|Qb|より十分に大きい場合の処理は、上述のものに限られない。例えば、複素乗算部62の出力Qbを分母とし、出力Ibの符号を反転させた−Ibを分子とした値の逆正接演算を行っても良い。当該処理は、座標軸を−90°回転させて逆正接演算を行う処理に相当する。つまり、当該処理によって得られる位相差は、元来の位相差に−90°が加えられた値(+90°が減じられた値)である。また、例えば、複素乗算部62の出力Ibの符号と、出力Qbの符号とを反転させて逆正接演算を行っても良い。当該処理は、座標軸を+180°(または−180°)回転させて逆正接演算を行う処理に相当する。つまり、当該処理によって得られる位相差は、元来の位相差に+180°(または−180°)が加えられた値である。このような処理によっても、適切な平均値を算出することができる。
平均化部65は、逆正接部64の出力を平均化する。本実施の形態の到来角度算出部25は、平均化に適さない位相差が算出される場合に実質的に位相差を加える(または減ずる)補正を行うため、平均化部65において適切な平均化処理が可能である。位相差再補正部66は、逆正接部64が座標軸を+90°回転させる処理を行っている場合に平均化部65の出力を補正する。具体的には、+90°を減ずる補正を行う。なお、逆正接部64が座標軸を−90°回転させる処理を行っている場合には、−90°を減ずる補正(つまり、+90°を加える補正)を行う。同様に、逆正接部64が座標軸を+180°(または−180°)回転させる処理を行っている場合には、+180°(または−180°)を減ずる補正を行う。
このように、図18に示す到来角度算出部25も、図13に示される到来角度算出部25と同様に適切な平均値を算出できるため、到来角度の算出精度が低下せずに済む。その結果、到来角度の算出精度を十分に高めることができる。
図19は、変調方式として直交周波数分割多重(OFDM)を用いる場合の到来角度算出装置の具体的構成例を示すブロック図である。なお、図19では、図1における演算部13に相当する構成のみを示している。
図19において、相関処理部21aは、受信部12aの出力の複素共役をとる複素共役部71aと、受信部12aの出力を所定期間だけ遅延させて出力する遅延部72aと、複素共役部71aの出力と遅延部72aの出力とを複素乗算する複素乗算部73aと、複素乗算部73aの出力をGI(ガードインターバル)期間だけ足し合わせて出力する加算器74a、74bとを備える。ピーク検出部22aは、加算器74a、74bから出力された信号の電力を算出する電力算出部75aと、その電力ピークを検出してタイミング制御部23aに出力するピーク電力検出部76aとを備える。タイミング制御部23aは、ピーク電力検出部76aからの信号を元に受信部12aからの信号の判定部24及び到来角度算出部25への出力タイミングを制御する遅延部77aを備える。同様に、相関処理部21bは、複素共役部71b、遅延部72b、複素乗算部73b、加算器74c、74dを備え、ピーク検出部22bは、電力算出部75b、ピーク電力検出部76bを備え、タイミング制御部23bは遅延部77bを備える。
判定部24は、図3に示すものと同様である。すなわち、判定部24は、タイミング制御部23a、23bから出力される時間領域の信号を任意の期間で切りだして周波数領域の信号に変換するFFT部37a、37bと、FFT部37a、37bから出力される周波数領域の信号を元に、受信波において対象の情報単位期間にマルチパスが存在するか否かを判定するマルチパス判定部38とを備える。FFT部37a、37bにおいて周波数領域の信号に変換される期間は、マルチパスの判定を希望する期間に応じて適宜変更できる。例えば、情報単位期間全体においてマルチパスの有無を判定したい場合は情報単位期間全体を周波数領域に変換すればよく、受信信号のピーク点付近の期間(ピーク期間)におけるマルチパスの干渉を判定したい場合はピーク期間のみを周波数領域に変換すればよい。マルチパス判定部38における判定結果(評価結果)は、到来角度算出部25の平均化部85に通知されるように構成されている。なお、図19において、紙面の都合上、遅延部77a、77bから判定部24への入力はそれぞれ一系統のラインで示しているが、図1の場合と同様、遅延部77aからIa1及びQa1が入力され、遅延部77bからIa2及びQa2が入力される。
到来角度算出部25は、遅延部77aの出力の複素共役をとる複素共役部81と、複素共役部81の出力と、遅延部77bの出力を複素乗算する複素乗算部82と、複素乗算部42の出力をGI(ガードインターバル)期間だけ足し合わせて出力する加算部83a、83bと、加算部83a、83bの出力を用いて逆正接演算を行う逆正接部84と、判定部24からの情報に基づいて逆正接部84の出力を平均化する平均化部85と、平均化部85の出力を用いて到来角度に変換する到来角度変換部86とを備える。平均化部85は、マルチパス判定部38から通知された判定結果(評価結果)に基づいて対象となる情報単位期間に相当する逆正接部83の出力を用いるか否かを決定し、当該決定に応じて逆正接部83の出力を平均化できるように構成されている。
遅延部72a、72bは、OFDMシンボル列の自己相関をとるため、受信部12aの出力を所定期間だけ遅延させて出力する。具体的には、遅延部72a、72bは、複素共役部71aが出力するOFDMシンボルの末部と、遅延部72a、72bが出力するGI(ガードインターバル)とが同じタイミングで複素乗算部73aに入力されるように、受信部12aの出力を所定期間だけ遅延させて出力する。複素乗算部73aは、複素共役部71aの出力と遅延部72aの出力とを複素乗算する。加算器74a、74bは、複素乗算部73aのチップ区間ごとの出力をGI期間だけ足し合わせて出力する。
図20Aは、OFDMシンボル列の構成を示す模式図である。図20Aに示すように、OFDMシンボル列は、データ部であるOFDMシンボルと、OFDMシンボルの先頭に配置されるGIとによって構成される。GIはOFDMシンボル末部をコピーしたデータであり、OFDMシンボル間の干渉を防ぐために挿入される。図20Bは、相関処理部21aにおけるOFDMシンボル列の相関処理(自己相関処理)の様子を示す模式図である。図20Aに示すように、遅延部72aの出力は、複素共役部71aの出力に対してOFDMシンボル長だけ遅れている。このため、複素乗算部73aにおいて、複素共役部71aの出力と遅延部72aの出力とを乗算することで自己相関をとることができる。自己相関値(GI相関値)は、複素共役部71aの出力と遅延部72aの出力にGIと同じデータが現れたときにピークを示すため、これを用いることで、データ部であるOFDMシンボルの先頭を検出することができる。
加算器74a、74bの出力信号は、ピーク検出部22aの電力算出部75aに入力される。電力算出部75aは、加算器74a、74bの出力信号からチップ区間ごとの電力を算出する。具体的には、電力算出部34aは、同相成分に相当する出力信号の絶対値と、直交成分に相当する出力信号の絶対値とを足し合わせ、チップ区間ごとの電力情報としてピーク電力検出部76aに出力する。なお、同相成分に相当する出力信号の2乗値と、直交成分に相当する出力信号の2乗値とを足し合わせてピーク電力検出部76aに出力しても良い。図21Aに電力算出部75aからの出力波形の例を示す。図21Bは、図21Aに示す出力波形の部分拡大図である。ピーク電力検出部76aは、チップ区間ごとの電力情報を受け取ると、受信信号中の電力ピークを検出し、電力ピーク情報としてタイミング制御部23aの遅延部77aに出力する。
ピーク検出部22a(ピーク電力検出部35a)から出力される電力ピーク情報は、受信信号のピークの有無を判定する情報である。具体的には、電力ピーク情報は、受信信号のピーク点付近の期間(ピーク期間t)における電力の和Aと、OFDMでの情報単位となる1シンボル期間からピーク期間tを除いた期間tにおける電力の和Bとの比R(=A/B)がしきい値Rth1より大きいか否かを示す情報である。変調方式としてOFDMを用いる場合、ピーク期間tはGI期間に等しくなる。また、1シンボル期間とは、GI期間とデータ期間(OFDMシンボル期間)とを合計した期間に相当する。電力ピーク情報において、RがRth1より大きい場合には、タイミング制御部23a(遅延部77a)は、そのタイミングで受信信号がピークを有するものとして、受信部12aからの受信信号を判定部24及び到来角度算出部25に出力する。
判定部24のFFT部37aは、タイミング制御部23a(遅延部77a)から出力される信号Ia1及び信号Qa1を任意の期間で切り出して高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換してマルチパス判定部38に送る。FFT部37aにおいて周波数領域の信号に変換する期間は、上述したように、マルチパスの判定を希望する期間に応じて適宜変更できる。マルチパス判定部38は、この周波数領域の信号を用いて情報単位期間におけるマルチパスの有無を判定する。具体的には、周波数領域の信号の振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較して、マルチパスの有無を判定する。もちろん、振幅特性と位相特性との双方のバランスをそれぞれ比較してマルチパスの有無を判定しても良い。これにより、時間領域の信号から判別できないマルチパスを判別できるようになるため、マルチパスが存在する受信信号を到来角度の算出に用いないようにできる。つまり、到来角度を高精度に算出することが可能である。
相関処理部21b(複素共役部71b、遅延部72b、複素乗算部73b、加算器74c、74d)、ピーク検出部22b(電力算出部75b、ピーク電力検出部76b)、タイミング制御部23b(遅延部77b)、FFT部37bの動作や機能は、相関処理部21a(複素共役部71a、遅延部72a、複素乗算部73a、加算器74a、74b)、ピーク検出部22a(電力算出部75a、ピーク電力検出部76a)、タイミング制御部23a(遅延部77a)、FFT部37aの動作や機能と同様である。すなわち、判定部24のFFT部37bは、タイミング制御部23b(遅延部77b)から出力される信号Ia2及び信号Qa2を任意の期間で切り出して高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換し、マルチパス判定部38に送る。マルチパス判定部38により対象となる期間におけるマルチパスの有無が判定されると、当該判定結果は到来角度算出部25の平均化部85に通知される。
相関処理部21bに入力される受信信号と、相関処理部21aに入力される受信信号とは、同一電波を所定間隔離れた2点で受信しているため位相が僅かに異なっている。このため、タイミング制御部23bから出力される信号と、タイミング制御部23aから出力される信号とでは、位相が僅かに相違する。
タイミング制御部23aの出力は、到来角度算出部25の複素共役部81に入力される。複素共役部81は、タイミング制御部23aの出力の複素共役を複素乗算部82に出力する。複素乗算部82は、複素共役部81の出力と、タイミング制御部23bの出力とを複素乗算して、演算結果を加算部83a、83bに出力する。加算部83a、83bは、複素乗算部82のチップ区間ごとの出力をGI期間だけ足し合わせて逆正接部84に出力する。図21Cに加算部83a、83bからの出力波形の例を示す。図中で、加算部83aの出力波形はIで示しており、加算部83bの出力波形はQで示している。
逆正接部84は、加算部83a、83bの出力を用いて逆正接演算を行い、受信信号の位相差を算出する。図21Dに逆正接部84からの出力波形の例を示す。平均化部85は、判定部24から通知された判定結果に基づいて、逆正接部84の出力を平均化して到来角度変換部86に出力する。ここで、例えば、判定部24から平均化部85に対し、対象となっている期間の受信信号にマルチパスが含まれるという判定結果が通知された場合、平均化部85は、対象の期間を含む情報単位期間に相当する逆正接部84の出力を平均化に用いない。一方、判定部24から平均化部85に対し、対象となっている期間の受信信号にマルチパスが含まれないという判定結果が通知された場合、平均化部85は、対象の期間を含む情報単位期間に相当する逆正接部84の出力を平均化に用いる。これにより、干渉性のマルチパスが含まれる受信信号を除外して到来角度を算出できるため、到来角度の算出精度を高めることができる。到来角度変換部86は、平均化部85の出力を用いて逆三角関数演算により到来角度に変換する。当該演算によって求められる値、すなわち、到来角度変換部86の出力が、到来角度に相当する。
このように、図19の演算部13を有する到来角度算出装置1においても、受信信号をそれぞれ周波数領域に変換してその振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較することにより、マルチパスを精度よく検出できる。その結果、マルチパスを適切に取り除いて到来角度を精度よく算出することができる。
図22は、到来角度算出装置1をカプセル内視鏡の位置特定に応用したカプセル内視鏡システムについて示す模式図である。図22に示すカプセル内視鏡システムは、複数のセンサアレイ401と、センサアレイ401からのデータを記録するデータレコーダー402とを備える。センサアレイ401は、到来角度算出装置1の受信用アンテナに相当するアンテナを備えており、患者が飲み込んだカプセル内視鏡からの電波を受信できるように構成されている。データレコーダー402は、センサアレイ401において受信した電波の持つ位相情報から、患者が飲み込んだカプセル内視鏡の位置を特定する。
患者が飲み込んだカプセル内視鏡は、消化管の蠕動運動によって移動する。カプセル内視鏡の位置はモニタされており、診察部位に到達したか否かを確認することができる。カプセル内視鏡が診察部位に到達すると、カプセル内視鏡は診察部位の様子を撮影してデータレコーダー402に送信し、データレコーダー402は画像情報を記録する。このように、カプセル内視鏡の位置をモニタすることで、診察部位を見逃すことなく撮影することができる。また、カプセル内視鏡が診察部位に到達したタイミングでカメラ等の電源を入れ、診察部位をはずれた場合にはカメラ等の電源を切る事が可能になるため、電池容量を小さくする事ができる。また、センサ(アンテナ)の数を削減する事が可能となる。また、電池容量が同じであれば、従来型のカプセル内視鏡と比較して多数の画像を送信でき、鮮明な画像を得ることができる。
このように、到来角度算出装置1をカプセル内視鏡の位置特定に応用することで、優れたカプセル内視鏡システムを構築することができる。
以上のように、本発明の到来角度算出装置によれば、受信信号をそれぞれ周波数領域に変換してその振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較することにより、マルチパスを精度よく検出できる。その結果、マルチパスを適切に取り除いて到来角度を精度よく算出することができる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、その効果を発揮する態様で適宜変更することができる。また、上記実施の形態において、添付図面に示されている構成などは、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明の到来角度算出装置は、対象の位置を特定するシステム、その他の各種用途に用いることができる。
本出願は、2012年2月8日出願の特願2012−25283に基づく。この内容は、全てここに含めておく。

Claims (6)

  1. 複数のアンテナで受信した信号からマルチパスの有無を判定するマルチパス検出方法であって、
    各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換し、振幅曲線の中心周波数を中心とした所定幅での低域側の信号電力と高域側の信号電力との比で示される前記周波数領域の振幅特性と、振幅曲線の中心周波数を中心とした所定幅での位相の傾斜で示される位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間で比較を行うことでマルチパスの有無を判定することを特徴とするマルチパス検出方法。
  2. 前記周波数領域の振幅特性と位相特性とをそれぞれ比較を行うことでマルチパスの有無を判定することを特徴とする請求項1に記載のマルチパス検出方法。
  3. 前記振幅特性について前記アンテナ間で前記比較を行う場合に、
    一方のアンテナの振幅特性をPr1、他方のアンテナの振幅特性をPr2とし、2つのアンテナ間の振幅特性のバランスを比較するためにPr1とPr2との比Prを計算し、
    Prが1から所定値以上離れていればマルチパスがあると判定することを特徴とする請求項1に記載のマルチパス検出方法。
  4. 前記位相特性について前記アンテナ間で前記比較を行う場合に、
    一方のアンテナの位相傾斜をΔφ1、他方のアンテナの位相傾斜をΔφ2とし、2つのアンテナ間の位相傾斜のバランスを比較するためにΔφ1とΔφ2との差Δφを計算し、
    Δφが0から所定値以上離れていればマルチパスがあると判定することを特徴とする請求項1に記載のマルチパス検出方法。
  5. 複数のアンテナと、複数のアンテナで受信した信号からマルチパスの有無を判定するマルチパス検出手段と、前記複数のアンテナで受信した信号の位相差から電波の到来角度を算出する到来角度算出手段と、を備え、
    前記マルチパス検出手段は、各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換し、振幅曲線の中心周波数を中心とした所定幅での低域側の信号電力と高域側の信号電力との比で示される前記周波数領域の振幅特性と、振幅曲線の中心周波数を中心とした所定幅での位相の傾斜で示される位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較してマルチパスの有無を判定し、
    マルチパスがない場合に、前記複数のアンテナで受信した信号の位相差を用いて電波の到来角度を算出することを特徴とする到来角度算出装置。
  6. 前記マルチパス検出手段は、
    各アンテナの受信信号のピークを検出するピーク検出部と、
    各アンテナの受信信号をそれぞれ周波数領域に変換するFFT部と、
    前記周波数領域の振幅特性と位相特性との少なくとも一つについてアンテナ間でのバランスを比較してマルチパスの有無を判定するマルチパス判定部と、
    を備えたことを特徴とする請求項に記載の到来角度算出装置。
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