JP5855870B2 - 電子レンジで加熱調理される卵含有加熱ゲル化食品 - Google Patents
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Description
具体的には、茶碗蒸しやカスタードプリンなどの、加熱によってゲル化する卵含有食品を、電子レンジを用いて簡便に製造する技術に関する。本発明は、本技術分野において、電子レンジを用いた加熱調理であっても、「す(表面や内部に気泡が入った状態)」の発生が顕著に抑制され、均一で滑らかな食感や外観を有する卵含有加熱ゲル化食品を提供するものである。
通常、これら卵含有加熱ゲル化食品は、加熱ムラや「す」の発生を防止するために、蒸し器や、湯を張ったオーブンで温度管理を厳密に行いながら加熱調理される。
しかし、本加熱調理法は、加熱に数十分程度の時間を要する上、温度管理が必要となり、調理に手間がかかり、特に外食産業においては、注文から料理提供までに時間を要することが課題視されていた。
例えば、カードランを用いた茶碗蒸しの電子レンジ調理方法(特許文献1)、粉末油脂組成物を用いた茶碗蒸しの電子レンジ調理方法(特許文献2)等の技術が知られている。
また、卵含有加熱ゲル化食品を調製する容器に着目した技術として、容器の内側面と内底面の交差部を曲面に形成してある上面開放容器に具材を加えた希釈卵液を満杯充填し、かつマイクロ波遮断材からなる蓋を被せて密閉する方法(特許文献3)、容器に収容した液体状原料の表面をマイクロ波遮断材で被覆し、棒状突起物を該容器の上面、側面及び底面から選択される少なくとも1の面から容器内部に向けて突出するように該液体状原料が加熱されにくい位置に配置する方法(特許文献4)等が知られている。
しかし、電子レンジによる加熱調理方法は内部から食品を加熱するため、蒸し器や湯煎による加熱と異なり熱伝導が速く、特許文献1及び2に開示された技術では、加熱ムラが生じる、卵が凝固する前にミックス液が突沸して容器から噴き出す、部分的に卵が凝固して均一な組織ができない、「す」が生じて均一に固化できないといった課題を抱えていた。
更に、起泡性粉末油脂組成物を用いる特許文献2の技術は、ゲル化食品の食感が油っぽくなる、調製時に乳化剤を用いるため、粉末油脂組成物自体の風味が悪いといった問題も抱えていた。さらに保存による油脂の酸化に由来する風味の劣化も問題であった。
一方、容器に着目した特許文献3及び4の技術は、特別な容器を用いなければならず、外食産業など、店舗によって用いる容器が異なる販売形態では極めて汎用性が低いといった課題を抱えていた。
項1.ワキシーコーンスターチを含有することを特徴とする、電子レンジを用いた卵含有加熱ゲル化食品の製造方法。
項2.卵及びワキシーコーンスターチを含有する液状ミックスを、電子レンジを用いて加熱することを特徴とする、卵含有加熱ゲル化食品の製造方法。
項3.ワキシーコーンスターチを含有することを特徴とする、電子レンジ調理される卵含有加熱ゲル化食品用のミックス。
項4.卵含有加熱ゲル化食品が、茶碗蒸し又はカスタードプリンである、項3に記載のミックス。
項5.増粘多糖類含量が0.4質量%以下である、項3に記載の卵含有加熱ゲル化食品用のミックス。
これにより、茶碗蒸しやカスタードプリンなどを、極めて簡便な調理方法で提供することが可能となった。更に本発明は、特殊な容器を用いる必要もなく、極めて汎用性の高い技術である。
本発明で用いるワキシーコーンスターチは、ワキシーコーン(糯種)を由来とする澱粉であり、一般的な澱粉がアミロース及びアミロペクチンで構成されているのに対し、アミロースを含まず、アミロペクチンのみで構成されているという特殊性を有する。
ワキシーコーンスターチの添加量が0.3質量%より少ないと、電子レンジ調理した際に突沸を抑制する効果が弱く、均一な組織を形成するのが難しい場合がある。一方、10質量%を超えると、ボディーが重くなり、極めて口溶けの悪い食感を有する卵含有加熱ゲル化食品になる。
特には、卵を加熱した際に生じる凝固作用を利用したゲル化食品が望ましく、ゲル化食品中の卵含量としては3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%を例示できる。本発明では卵として全卵、卵黄等を使用できる。
例えば、増粘多糖類として、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガム、カラギナン、ジェランガム、グルコマンナン、寒天、ゼラチン、カードラン、ペクチン等の多糖類が挙げられる。かかる多糖類の中でも、キサンタンガム、グァーガムや寒天を使用することで、ワキシーコーンスターチを単独で使用した場合よりも、卵含有加熱ゲル化食品に更に滑らかな食感を付与することが可能となる。しかし、併用する増粘多糖類の添加量が0.4質量%を超えると、電子レンジ調理してもゲル化しない、得られた卵含有加熱ゲル化食品の保形性が弱く、目的とする固さを付与できない場合がある。また、ヌメりが生じる場合もある。
(1)卵、ワキシーコーンスターチ、その他食品の原材料(水、調味料等)を含有した卵含有加熱ゲル化食品ミックス(液状)を調製する。調理時に本ミックスを電子レンジで加熱して、卵含有加熱ゲル化食品を製造する。
(2)ワキシーコーンスターチ、その他食品の原材料(調味料等)を含有した卵含有加熱ゲル化食品ミックス(粉末状)を調製する。調理時に本粉末状のミックスに卵、水等を添加して液状とした後に、電子レンジで加熱して、卵含有加熱ゲル化食品を製造する。
かかる点で、本発明は、ワキシーコーンスターチを含有することを特徴とする、電子レンジ調理される卵含有加熱ゲル化食品用のミックスに関する発明でもある。
表1及び表2の処方に基づき、卵含有加熱ゲル化食品(茶碗蒸し)を調製した。具体的には、表2に示す安定剤を添加した溶液、卵(全卵)、食塩、調味料、色素を混合後、全量が100部となるように水を加えて撹拌した。その後、電子レンジで加熱して(500W、2分間)、卵含有加熱ゲル化食品を調製した。得られた卵含有加熱ゲル化食品について、突沸、「す」の発生、ゲル化食品の均一性、食感を評価した。
突沸 :突沸が有意に抑制されていたものから順に◎>○>△>×の4段階で評価した。
「す」:「す」の発生が有意に抑制されていたものから順に◎>○>△>×の4段階で評価した。
均一性:卵含有加熱ゲル化食品の組織が均一なものから順に◎>○>△>×の4段階で評価した。
食感:卵含有加熱ゲル化食品の組織が滑らかなものから順に◎>○>△>×の4段階で評価した。
ワキシーコーンスターチとして、加工処理が異なる澱粉を用いて卵含有加熱ゲル化食品(茶碗蒸し)を調製した。具体的には、表3に示すワキシーコーン、卵(全卵)、調味料、食塩、色素を混合後、全量が100部となるように水を加えて撹拌した。その後、電子レンジで加熱して(500W、2分間)、卵含有加熱ゲル化食品を調製した。得られた卵含有加熱ゲル化食品について、突沸、「す」の発生、ゲル化食品の均一性、食感を評価した。結果を表4に示す。
表5に示す処方に従って、卵含有加熱ゲル化食品(カスタードプリン)を調製した。具体的には、水にワキシーコーンスターチを加えて80℃で10分間攪拌することで調製した安定剤を20℃まで冷却した。そこに、牛乳、脱脂粉乳、卵(全卵)、砂糖、スクラロースを混合後、撹拌した。その後、電子レンジで加熱して(500W、2分間)、卵含有加熱ゲル化食品を調製した。得られた卵含有加熱ゲル化食品について、突沸、「す」の発生、ゲル化食品の均一性、食感を評価した。
Claims (3)
- 卵及びワキシーコーンスターチを含有する液状ミックスを、電子レンジを用いて加熱することを特徴とする、卵含有加熱ゲル化食品の製造方法。
- 卵及びワキシーコーンスターチを含有することを特徴とする、電子レンジ調理される茶碗蒸し又はカスタードプリン用のミックス。
- ワキシーコーンスターチ及び増粘多糖類を含有し、増粘多糖類含量が0.4質量%以下である、電子レンジ調理される卵含有加熱ゲル化食品用のミックス。
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