JP2017205099A - 多層飲料 - Google Patents

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康之 藤田
Yasuyuki Fujita
康之 藤田
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Abstract

【課題】工業規模で製造可能な多層飲料及び多層飲料を工業規模で製造可能な方法、並びに、飲料の製造時や流通時に層同士が一旦混じり合った場合でも、飲料を静置すると再度分層する、従来にない新規な多層飲料の提供。【解決手段】流動性ゲル層及び液体層を有する多層飲料。流動性ゲルが油脂及び/又は気泡を含有する多層飲料。流動性ゲル及び/又は液体が水不溶性であり、且つ比重が1より大きい成分を含有する多層飲料。容器に充填された多層飲料であって、容器を振とう後、静置した場合に2時間以内に分層する多層飲料。流動性ゲルが脱アシル型シュラルガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天等から選択されるゲル化剤を含有する、多層飲料。流動性ゲルを調製する工程、並びに、流動性ゲル及び液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、又は、流動性ゲル及び液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程を有する、多層飲料の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は多層飲料、及び多層飲料の製造方法に関する。
カクテルなどに代表される多層飲料は、いずれか一層を容器に充填後、これと混じり合わないように異なる層を充填することで調製され、異なる風味及び外観を楽しむことができるという利点を有する。しかしながら、このような多層飲料は各々の層が非固体である(流動性を有する)ため、層同士が容易に混じり合い、工業規模で多層飲料を製造することが非常に難しい。そのため、工業規模で多層飲料を製造するために適した方法はいまだ提案されていない。また、多層飲料は、層同士がいったん混じり合うと、その後に分層できず、商品流通時に層が混じり合った飲料は、多層飲料としての商品価値を失うという問題がある。
多層食品に関する従来技術として、例えば、果肉感及び果汁感がある新食感のパルプ凝縮層(ゲル層)と、非凝縮層(ゲル層)の2層が積層した容器入りゼリー飲料の製造方法が特許文献1に開示されている。しかし、当該ゼリー飲料は飲用時に容器を振とうしてゼリーを崩して飲むものであり、流通時はいずれの層も固体(ゲル)である。従って、ゼリー飲料の流通時に各々の層が混じり合うという課題がない。
また、流動性ゲル(マイクロゲル)を含有する飲料として、微細気泡を含んでいるような感覚が得られる飲料(特許文献2)、及び不溶性固形分を含有する乳飲料(特許文献3)等が知られているが、これらは飲料全体が均一な連続層を形成しており、多層飲料について何ら開示がない。
特開2013−135665号公報 特開2011−182665号公報 特開2004−173606号公報
本発明は、多層飲料を工業規模で製造可能な方法を提供するという、新規な課題に着目したものである。
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、流動性ゲルを用いて多層飲料を製造するという新規な発想を得て、更なる研究を重ねて本発明を完成させた。
本発明は、具体的には以下の態様を有する。
項1.流動性ゲル層、及び液体層を有する、多層飲料。
項2.前記流動性ゲルが(a)油脂及び/又は気泡を含有するものである、項1に記載の多層飲料。
項3.前記流動性ゲル及び/又は前記液体が、(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有するものである、項1に記載の多層飲料。
項4.前記多層飲料が容器に充填された容器入り多層飲料であり、且つ、当該容器を振とう後、静置した場合に2時間以内に分層するものである、項1〜3のいずれか1項に記載の多層飲料。
項5.前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の多層飲料。
項6.流動性ゲル層、及び液体層を有する多層飲料の製造方法であり、
(工程1)流動性ゲルを調製する工程、並びに、
(工程2)前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、
又は、前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程、
を有する、多層飲料の製造方法。
項7.前記流動性ゲルに(a)油脂及び/又は気泡を含有させる、項6に記載の多層飲料の製造方法。
項8.前記流動性ゲル及び/又は前記液体に(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させる、項6に記載の多層飲料の製造方法。
項9.前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を用いて調製されたものである、項6〜8のいずれか1項に記載の多層飲料の製造方法。
本発明によれば、工業規模で多層飲料を製造することができる。また、本発明によって得られる多層飲料は、製造時や流通時に各々の層がいったん混じり合った場合であっても、飲料を静置することで両層が分層するため、商品陳列時には多層飲料として消費者に提供できるという利点を有する。
本発明の多層飲料(下層:流動性ゲル層/上層:液体層)を混合したときの外観を示すモデル写真である。 図1の多層飲料を静置することで分層した様子を示すモデル写真である。
1.多層飲料
本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層を有する。
(流動性ゲル層)
本発明の流動性ゲル層は、流動性ゲルによって形成される。当該流動性ゲル層で用いる「流動性ゲル」は微小ゲルの集合体である。このため、流動性ゲルは、外観上、あたかも液体であるかのような流動性を有し、一般的なゲルとは全く異なった挙動を示す。流動性ゲルは「マイクロゲル」としても知られ、常法に従って製造することができる。その製造方法の詳細は「2.多層飲料の製造方法」で後述する。
流動性ゲルの粒子径は特に制限されないが、飲料特有の滑らかな喉越しを求める場合は、8000μmの篩を篩過する流動性ゲルの割合が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であることが望ましい。また、本発明の流動性ゲルの平均粒子径が8000μm以下であることが好ましく、5000μm以下であることがより好ましく、3000μm以下であることが更に好ましい。流動性ゲルの平均粒子径が3000μm以下であるか否かは、篩を用いて簡便に判断することができる。具体的には、流動性ゲルの全てが3000μmの篩を篩過した場合には、当該流動性ゲルの平均粒子径が3000μm以下であると判断することができる。
また、製造時や流通時に各々の層(液体層及び流動性ゲル層)がいったん混じり合った後、分層するまでの時間を短縮する観点からは、本発明の流動性ゲルは、50μmの篩を篩過する流動性ゲルの割合が50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下であることが望ましい。
流動性ゲルに用いるゲル化剤の種類は特に制限されないが、例えば、脱アシル型ジェランガム、寒天、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ローメトキシルペクチン(LMペクチン)、ゼラチン、及びアルギン酸類(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)からなる群から選択される1種以上が挙げられ、好ましいゲル化剤は、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、寒天、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、及びローメトキシルペクチンからなる群から選択される1種以上である。
流動性ゲルに用いるゲル化剤の含量は特に制限されないが、例えば0.05〜1.5質量%が挙げられ、好ましくは0.2〜1.2質量%、より好ましくは0.3〜1質量%である。
上記ゲル化剤中、脱アシル型ジェランガム、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ローメトキシルペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を用いる場合は、ゲル形成促進剤を併用することが好ましい。ゲル形成促進剤としては、例えば、可食性の塩類(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などの1価の塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩などの2価の塩、アルミニウム塩などの3価の塩等)又は酸(例えば、有機酸、無機酸等)などを挙げることができ、より好ましくは塩類を挙げることができる。これらは用いるゲル化剤に応じて適宜選択することができる。
例えば、ゲル化剤として、脱アシル型ジェランガム、ローメトキシルペクチン及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を用いる場合は、ゲル形成促進剤として、2価以上の多価金属塩を用いることが好ましく、カルシウム塩を用いることがより好ましい。
カルシウム塩の種類は、飲食品に利用可能な塩類であれば特に制限されないが、例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、焼成カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム等が挙げられ、好ましいカルシウム塩は、乳酸カルシウム及び/又は塩化カルシウムである。また、本発明では2価以上の多価金属塩の供給源として、乳製品、果汁等を用いることも可能である。
ゲル化剤として、カッパ型カラギナン及び/又はイオタ型カラギナンを用いる場合の好ましい塩類は、カリウム塩及び/又はカルシウム塩である。カリウム塩の種類は特に制限されないが、例えば、塩化カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、乳酸カリウム、炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、硫酸カリウム、水酸化カリウム、ソルビン酸カリウム、グルタミン酸カリウムなどが挙げられ、好ましいカリウム塩は、塩化カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム及びリン酸カリウムからなる群から選択される1種以上を挙げることができる。カルシウム塩の種類は特に制限されず、前述のカルシウム塩を使用することができる。
ゲル形成促進剤を用いる場合の、流動性ゲルにおけるゲル形成促進剤の含量は特に制限されないが、例えば、ゲル形成促進剤として塩類を用いる場合は、塩換算(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅又はアルミニウム含量)で0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.005〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である。
本発明では、少なくとも1層が流動性ゲル層であることで、液体層と明確に区別され、層ごとに異なる風味及び外観を楽しむことができる多層飲料を提供することができる。また、本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層が、商品流通時や製造時に混じり合うことがあるが、このような場合であっても、飲料を静置することで分層する。更に、本発明の多層飲料は工業規模で簡便に製造することができる。
このように本発明は、多層飲料に流動性ゲルを用いるという、従来にない全く新しい知見に基づきなされた発明である。
本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層の分層時間を短縮する観点からは、流動性ゲル層が、更に、以下の(A)〜(C)のいずれか一以上の条件を満たすことが好ましい;
(A)流動性ゲル層が液体層よりも上層に形成される場合において、流動性ゲルが(a)油脂及び/又は気泡を含有する、
(B)流動性ゲル層が液体層よりも下層に形成される場合において、流動性ゲルが(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有する、
(C)3000μmの篩を篩過しない流動性ゲルの割合が5質量%以上である。
(条件A)
本発明の多層飲料において、流動性ゲル層及び液体層の上下関係は特に制限されないが、流動性ゲル層を液体層よりも上層に形成させる場合には、流動性ゲルに(a)油脂及び/又は気泡を含有させることが好ましい。これにより、短時間で分層する多層飲料を提供することができる。
油脂は、飲食品に使用可能な油脂であれば特に制限されず使用することができ、例えば、植物油脂、動物油脂、これらの精製油、分別油、水素添加油脂(硬化油脂)、エステル交換油脂、乳化油脂等を挙げることができる。
植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、コーン油、大豆油、ヒマワリ油、オリーブ油、サフラワー油、カカオ脂、米油、精油等が挙げられ、動物油脂としては、例えば、乳脂、ラード、魚油、鯨油等が挙げられる。また、油脂として中鎖脂肪酸油(MCT)を用いることも可能である。本発明において好ましい油脂は、中鎖脂肪酸油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、及び乳脂からなる群から選択される1種以上である。
流動性ゲルにおける油脂含量は特に制限されないが、好ましい含量は1〜30質量%であり、より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
流動性ゲルに気泡を含有させる方法は特に問わず、流動性ゲルを形成する前の溶液に気泡を含有させて流動性ゲルを形成する方法、流動性ゲルの形成と同時に気泡を含有させる方法などを挙げることができる。例えば、流動性ゲルに用いるゲル化剤として、脱アシル型ジェランガム、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ローメトキシルペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を溶解させた水溶液と起泡剤(例えば、大豆多糖類、サポニン、乳化剤等)を混合し、ホイップすることで気泡を形成させ、ホイップした水溶液に対してゲル形成促進剤を添加してゲルを形成することで、流動性ゲルに気泡を含有させることができる。
(条件B)
本発明の多層飲料において、流動性ゲル層を液体層よりも下層に形成させる場合には、流動性ゲルに(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させることが好ましい。これにより、層の形成時間(分層時間)を格段に短縮させることができる。
本発明において(b)水不溶性の成分とは、95℃の水に溶解しない、又は難溶性の成分をいう。例えば、95℃の水100gに成分を添加後、5分後の溶解度が0.1g未満である成分を挙げることができる。本発明において比重は、水(4℃)の比重を1とした場合の値をいい、より簡便には、水(4℃)に成分を添加した場合に成分が沈むか否かで判別することができる。本発明で用いる(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、澱粉、デキストリン、タンパク質、セルロース、水不溶性多糖類等が挙げられ、好ましくは澱粉、デキストリン及びセルロースからなる群から選択される1種以上である。
本発明で用いることができる澱粉の由来原料は特に制限されない。例えば、米、小麦、馬鈴薯、コーン、ワキシーコーン、甘藷、豆、タピオカ又はサゴヤシ等を挙げることができる。また、本発明で用いる澱粉は、由来原料から得られた澱粉をそのまま用いてもよく、当該澱粉を精製したもの、又は当該澱粉に化学的処理若しくは物理的処理などの処理が施されたものを用いても良い。本発明において好ましい澱粉は、化学的処理及び/又は物理的処理が施された澱粉であり、より好ましい澱粉は化学的処理が施された澱粉である。
化学的処理が施された澱粉としては、例えば、リン酸架橋澱粉類(例えば、リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、又はリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等)、アジピン酸架橋澱粉類(例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉等)、アセチル化酸化澱粉、酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、又はヒドロキシプロピル澱粉等が挙げられ、好ましい澱粉は、リン酸架橋澱粉類及び/又はヒドロキシプロピル澱粉である。また、物理的処理が施された澱粉としては、例えばα化澱粉等が挙げられる。
澱粉と同様に、本発明で用いることができるデキストリンも由来原料は特に制限されない。また、本発明ではデキストリンとして、水などに溶解したデキストリン水溶液を冷蔵することで、デキストリンを結晶化させたものを用いても良い。
本発明で用いることができるタンパク質は、(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きいものであれば、変性の有無は特に制限されない。例えば、未変性のタンパク質や、変性タンパク質を用いることができる。変性タンパク質としては、熱、酸又はアルカリ等によって不可逆的に変性したタンパク質、又は多層飲料の調製中に熱、酸又はアルカリ等によって不可逆的に変性するタンパク質を用いることができる。
本発明で用いることができるセルロースとしては、例えば、果物や野菜などの植物性パルプ、ピューレ、結晶セルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロース等が挙げられる。水不溶性多糖類としては、例えば、コンニャク精粉、コンニャク加工品、カードラン、キチン、キトサン、トラガントガム等を挙げることができる。
流動性ゲルにおける前記(b)成分の含量は特に制限されないが、好ましい含量は0.01〜40質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。また、前記(b)成分として加工澱粉及び/又は結晶セルロースを用いる場合の、加工澱粉及び/又は結晶セルロースの好ましい含量は0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、更により好ましくは0.2〜3質量%である。
(条件C)
本発明の多層飲料において、流動性ゲル層を液体層よりも下層に形成させる場合には、3000μmの篩を篩過しない流動性ゲルの割合が5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更により好ましくは50質量%を超えるように流動性ゲル層を調製することで、分層時間をより一層短縮させることができる。例えば、本条件を満たすことで、他の条件を満たさない場合であっても、分層までの時間が短い多層飲料を提供することができる。
なお、本発明の多層飲料が、他の条件(例えば、条件B〜Dのいずれか一以上)を満たす場合は、多層飲料に求められる食感や目的に応じて流動性ゲル層の粒子径を調整することができる。例えば、飲料特有の滑らかな喉越しを優先させる場合は、前述の項目「(流動性ゲル層)」に記載の粒子径をとることが好ましく、分層時間の短縮を優先させる場合は、本条件(C)を満たすことが好ましい。
本発明で用いる流動性ゲルの処方は特に制限されず、香料、色素、甘味料、アルコール等をはじめとする任意の成分を含有することができる。また、流動性ゲルの食感改良を目的として、増粘多糖類(例えば、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ネイティブ型ジェランガム、タラガム、タマリンド種子多糖類、カラギナン、アラビアガム、ガティガム、トラガントガム等)を併用することも可能である。
(液体層)
本発明における液体層は、連続相が液体であれば処方は特に制限されない。液体層の原料として用いる成分には、例えば、飲料に通常使用される成分(例えば、水、糖類、糖アルコール、高甘味度甘味料、乳原料、乳化剤、香料、色素、安定剤、食物繊維、アルコール等)などを適宜用いることができる。
本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層の分層時間を短縮する観点からは、液体層が、更に、以下の(D)〜(E)のいずれか一以上の条件を満たすことが好ましい;
(D)液体層の原料として用いる液体のブリックスが20度以下、又は流動性ゲルと液体のブリックス差が2以上である、
(E)流動性ゲル層が液体層よりも下層に形成される場合において、液体層が(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有する。
(条件D)
流動性ゲル層及び液体層の分層時間をより一層短縮する観点からは、液体層の原料として用いる液体のブリックスが20(度)以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更により好ましくは7以下である。液体のブリックスの下限は特に制限されず、例えば0以上、好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.5以上を挙げることができる。本条件による分層時間の短縮化は、飲料全般で効果を奏するが、特に、流動性ゲル層が液体層よりも下層に形成される場合において好ましい条件である。
また、本発明では、流動性ゲルと液体のブリックス差が2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることが更により好ましい。本条件による分層時間の短縮化は、飲料全般で効果を奏するが、特に、炭酸飲料において高い効果を奏する。
本発明においてブリックスとは可溶性固形分の含量をいう。流動性ゲル及び液体のブリックスは、屈折糖度計によって測定することができる。具体的には、1gのショ糖が20℃の水溶液100gに溶けているとき、その溶液のブリックスが1度であるとし、このショ糖溶液と同じ屈折糖度計の値を示す溶液のブリックス値を1度として算出することができる。
(条件E)
前述のとおり、本発明の多層飲料における、流動性ゲル層及び液体層の上下関係は特に制限されないが、流動性ゲル層を液体層の下層に形成させる場合には、前記液体に(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させることによっても、分層時間を短縮させることが可能である。前記液体における(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分の含量は特に制限されないが、例えば、0.01〜40質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。また、前記(b)成分として加工澱粉及び/又は結晶セルロースを用いる場合の、加工澱粉及び/又は結晶セルロースの好ましい含量は0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、更により好ましくは0.2〜3質量%である。
本発明では、流動性ゲルに用いるゲル化剤として、脱アシル型ジェランガム、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ローメトキシルペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を用いる場合は、前記液体にもゲル形成促進剤を含有させることがより好ましい。これにより、飲料の殺菌工程後や長期保存後においても、流動性ゲル層及び液体層の分層性能に優れる多層飲料を提供することができる。
液体におけるゲル形成促進剤の含量は特に制限されないが、例えば、塩換算(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅又はアルミニウム含量)で0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.005〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である。
(多層飲料)
本発明の多層飲料は、前記流動性ゲル層と液体層を有していれば、両層の配合割合は特に制限されないが、例えば、飲料全体を100とした場合の流動性ゲルと液体の配合割合として、2:98〜30:70、好ましくは3:97〜20:80、より好ましくは5:95〜15:85を挙げることができる。
本発明の多層飲料は、好ましくは容器詰め飲料として提供される。当該容器詰め飲料は、流動性ゲル層及び液体層を混合して飲用することもでき、層ごとの異なる風味を楽しむために両層を混合せず、そのまま飲用することもできる。更に、当該容器詰め飲料は、流動性ゲル層及び液体層がいったん混じり合った場合であっても、飲料を静置することで再度分層するため、両層を混合して飲用した後、飲料を静置して層ごとに飲用することも可能である。
なお、本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層を混合後、各々の層に再度分層するまでの時間が2時間以内であることが好ましく、より好ましくは1時間以内、更に好ましくは30分以内、更により好ましくは20分以内であることが望ましい。
本発明において再度分層するまでの時間は、以下の方法に従って測定することができる;
(1)容器中の飲料の高さ(底部からの高さ)をhとする。
(2)多層飲料を24時間静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)をhとする。
(3)上記(2)の多層飲料の流動性ゲル層及び液体層が混じり合うように均一に混合後、静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)をhとする。
(4)前記高さの差異(h−h)の絶対値をh3としたときに、h/hが0.4となったときの時間を測定する。
例えば、流動性ゲル層及び液体層を10質量部:90質量部の割合で含有する多層飲料を24時間静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)hが1cm、容器中の飲料の高さ(底部からの高さ)hが10cmである場合は、多層飲料の流動性ゲル層及び液体層が混じり合うように均一に混合後、静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)hが5cmになったとき(h/hが0.4となったとき)、つまりは、この場合は、当初の飲料の高さの1/2に境界線が到達したときの時間を、再度分層するまでの時間とすることができる。
2.多層飲料の製造方法
本発明はまた、以下の形態を有する、流動性ゲル層及び液体層を有する多層飲料の製造方法にも関する;
(工程1)流動性ゲルを調製する工程、並びに、
(工程2)前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、
又は、前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程。
工程1の流動性ゲルを調製する工程は、常法に従って実施できる。
例えば、(工程1−1)ゲル化剤及び水を含有する溶解液を調製し、当該溶解液を、撹拌などの外力を加えながら、ゲル化温度以下まで冷却する工程、(工程1−2)ゲル化剤及び水を含有する溶解液を調製し、当該溶解液に撹拌などの外力を加えながら、ゲル形成促進剤を添加する工程、又は(工程1−3)ゲル化剤及び水を含有する非流動性のゲルを調製し、当該ゲルを破砕する工程、等に従って流動性ゲルを調製することができる。
前記工程で使用するゲル化剤の種類は特に制限されないが、例えば、脱アシル型ジェランガム、寒天、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ローメトキシルペクチン、ゼラチン、及びアルギン酸類(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)からなる群から選択される1種以上が挙げられ、好ましいゲル化剤は、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、寒天、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、及びローメトキシルペクチンからなる群から選択される1種以上である。
流動性ゲルにおけるゲル化剤の含量は特に制限されないが、好ましい含量は0.05〜1.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.2質量%、更に好ましくは0.3〜1質量%である。
上記ゲル化剤中、例えば、寒天及びゼラチンは、これらゲル化剤及び水を含有する液を、ゲル化剤の溶解温度以上に加熱してゲル化剤を溶解後、ゲル化温度以下に冷却することでゲルを形成する。従って、これらのゲル化剤を用いる場合は、(工程1−1)又は(工程1−3)の方法に従って流動性ゲルを調製することが好ましい。
また、脱アシル型ジェランガム、カッパ型カラギナン及びイオタ型カラギナンは、これらゲル化剤及び水を含有する液をゲル化剤の溶解温度以上に加熱してゲル化剤を溶解後、ゲル形成促進剤の存在下で、当該液をゲル化温度以下に冷却することでゲルを形成する。従って、これらのゲル化剤を用いる場合は、(工程1−1)〜(工程1−3)のいずれかの方法に従って流動性ゲルを調製することが好ましい。
上記ゲル化剤中、例えば、ローメトキシルペクチン及びアルギン酸類は、これらゲル化剤及び水を含有する液を加熱せずとも、ゲル形成促進剤の存在下でゲルを形成する。従って、これらのゲル化剤を用いる場合は、(工程1−2)又は(工程1−3)の方法に従って流動性ゲルを調製することが好ましい。
ゲル形成促進剤は、例えば、塩類(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などの1価の塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩などの2価の塩、アルミニウム塩などの3価の塩等)又は酸(例えば、有機酸、無機酸等)を挙げることができ、詳細には、「1.多層飲料」に記載のゲル形成促進剤を用いることができる。
(工程1−1)及び(工程1−2)における撹拌条件は、流動性ゲルを調製できる程度の撹拌であれば特に制限されない。撹拌手段としては、例えば、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ホモディスパー、パドルミキサー等を用いた撹拌などが挙げられる。また、(工程1−3)におけるゲルの破砕条件も特に制限されず、例えば、上記の撹拌手段によって撹拌する方法や、メッシュ等にゲルを通して破砕する方法、外力によって細管にゲルを通して破砕する方法など、各種方法を用いることができる。
本発明では、分層時間の短縮間の観点から、流動性ゲルに、(a)油脂及び/又は気泡や、(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させることが好ましい。ここで、流動性ゲルに(a)油脂、又は(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させる場合は、ゲル化剤及び水を含有する流動性ゲル層の原料液(流動性ゲルの原料液)に、これらを添加することで実施できる。また、流動性ゲルに(a)気泡を含有させる場合は、気泡を含有する流動性ゲル原料液をゲル化させることで実施できる。例えば、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ローメトキシルペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を溶解させた水溶液と起泡剤(例えば、大豆多糖類、サポニン、乳化剤等)を混合し、ホイップすることで気泡を形成させ、ホイップした水溶液に対してゲル形成促進剤を添加してゲルを形成することで、流動性ゲルに気泡を含有させることができる。
なお、流動性ゲルに用いるゲル化剤として、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、及びローメトキシルペクチンからなる群から選択される1種以上を用いる場合は、ゲル形成促進剤を添加する前の、流動性ゲルの原料液に塩類を含有しないことが好ましい。また、ゲル形成促進剤を添加する前の、流動性ゲルの原料液が塩類を含有する場合は、その含量が0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の製造方法では、かくして得られる流動性ゲルを、液体層の原料液と混合後、容器に充填する工程、または、当該流動性ゲルと液体層の原料液とを同一容器に各々充填することにより、多層飲料を調製することができる(工程2)。
本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層の両層がいったん混じり合った場合であっても、飲料を静置することで両層が分層するという利点を有する。従って、本発明によれば、飲料用の製造タンク(例えば、撹拌機付きの混合タンク)が1つあれば、多層飲料を製造することができる。
例えば、飲料用の製造タンクに流動性ゲルを調製するためのゲル化剤及び水を添加し、前述の方法に従って流動性ゲルを調製する。次いで、当該流動性ゲルを含有する製造タンクに液体層の原料液を添加して両者を混合し、当該混合液を飲料容器に充填することで、多層飲料を容易に製造することができる。
以上のように、本発明の製造方法は、従来の飲料の製造ラインをそのまま利用して多層飲料を簡便に製造することができるものであり、工業規模で多層飲料を製造する方法として極めて好適である。
また、本発明の多層飲料は、流動性ゲル及び液体層の原料液を各々調製しておき、各々を同一容器に充填(例えば、同時充填や順次充填等)して製造することも可能である。
なお、本発明の多層飲料の製造方法において、流動性ゲル及び液体の配合割合は特に制限されないが、例えば、飲料全体を100とした場合の流動性ゲルと液体の配合割合として、2:98〜30:70、好ましくは3:97〜20:80、より好ましくは5:95〜15:85を挙げることができる。
多層飲料は、必要に応じて殺菌されていても良い。殺菌条件は特に制限されないが、例えば、65〜85℃で10〜40分のボイル殺菌、90〜100℃で1〜10秒のホットパック殺菌等が挙げられる。本発明では、上記のような加熱殺菌後も分層能に優れる多層飲料を提供することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を限定するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味し、文中の「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を、また、文中の「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
実験例1 多層飲料(上層:流動性ゲル層/下層:液体層)
表1及び表2の処方に従って、上層が流動性ゲル層であり、下層が液体層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表1の処方に従って、流動性ゲル層を調製した。
水に砂糖、脱アシル型ジェランガム製剤、グァーガム、ローカストビーンガム及び乳化剤を適宜添加し、80℃で10分間撹拌し、脱アシル型ジェランガム溶解液を調製した。次いで、油脂、香料及び色素を適宜添加し、撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて均質化処理(第1段階:10MPa、第2段階:5MPa)を行い、30℃に冷却した。当該溶解液を700rpmで撹拌しながら乳酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム及びクエン酸を適宜添加して流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
注1)脱アシル型ジェランガム42質量%及びクエン酸三ナトリウム10質量%を含有する製剤。
(多層飲料の調製)
表2に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表2に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、混合液を93℃で容器にホットパック充填して、多層飲料を調製した。表2中、流動性ゲル以外は液体層の原料であり、「液体のブリックス」とは、流動性ゲルを除いた液体層のブリックスを意味する(以下、実験例2〜4において同じ)。
実施例1−1〜1−3の多層飲料は、容器に充填後、10分以内に流動性ゲル層が上層に、液体層が下層に形成された。また、実施例1−1〜1−3の多層飲料は、容器を振とうすると、流動性ゲル層及び液体層が混じり合ったが、当該飲料を静置すると、5分以内に再度両層が明瞭に分かれた。多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
実験例2 多層飲料(上層:液体層/下層:流動性ゲル層)
表3及び表4の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表3に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に脱アシル型ジェランガム製剤を添加して加熱した。液温が60℃になった時点で砂糖、アップルピューレ、結晶セルロース製剤、デキストリン(結晶化物)、加工澱粉及び色素を適宜添加して80℃で10分間撹拌し、脱アシル型ジェランガム溶解液を調製した。当該溶解液を30℃まで冷却後、300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウムを添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
注2)結晶セルロース73質量%含有製剤。
注3)三栄源エフ・エフ・アイ(株)製のデキストリン製剤「スマートテイスト[登録商標]」を7.5質量%含有する水溶液を4℃で2時間静置した、デキストリン(結晶化物、冷蔵保存)を使用。
注4)ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉。
(多層飲料の調製)
表4に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表4に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、混合液を93℃で容器にホットパック充填して多層飲料を調製した。
実施例2−1〜2−5の多層飲料は、容器に充填後、2時間以内に液体層が上層に、流動性ゲル層が下層に形成された。また、分層の速さの目安として、明細書に記載の方法に従って分層までの時間を計測したところ、実施例2−1の飲料は60分、実施例2−2〜2−4の飲料は15分、実施例2−5の飲料は1分であった。この結果より、流動性ゲルに水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい固形分を含有させることで、分層時間が格段に短縮されることが示された。
また、実施例2−1〜2−6の多層飲料は、容器を振とうすると、流動性ゲル層及び液体層が混じり合ったが、当該飲料を静置すると、再度両層が明瞭に分かれた。
更に、実施例2−1〜2−6の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
実験例3 多層飲料(上層:液体層/下層:流動性ゲル層)
表5及び表6の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表5に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に砂糖、加工澱粉及び脱アシル型ジェランガム製剤を適宜添加して加熱し、80℃達温後、30℃まで冷却した。300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウム及びリコピン色素を添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
(多層飲料の調製)
表6に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表6に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、93℃で容器にホットパック充填して多層飲料を調製した。
実施例3−1〜3−5の多層飲料は、容器に充填後、2時間以内に液体層が上層に、流動性ゲルが下層に形成された。また、分層の速さの目安として、明細書に記載の方法に従って分層までの時間を計測したところ、実施例3−1の飲料は60分、実施例3−2〜3−5の飲料は15分以内であった。この結果より、流動性ゲルに(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい固形分を含有させることで、分層時間が格段に短縮されることが示された。
また、実施例3−2〜3−4の多層飲料は、実施例3−2、3−3及び3−4の順で分層時間が早く、最も分層時間が早かった実施例3−2は5分以内に上層及び下層の境界が飲料の高さ(容器底部からの高さ)の1/2に到達した。これにより、液体層のブリックスが小さい方が、より分層時間が短縮されることが示された。
実施例3−5の多層飲料は、流動性ゲルに(b)成分を含有させず、液体(液体層の原料液)に(b)成分を含有させたものである。本飲料も実施例3−2〜3−4と同様に、実施例3−1と比べて分層時間が半分以下に短縮され、液体に(b)成分を含有させることによっても、分層時間を短縮できることが示された。
また、実施例3−1〜3−5の多層飲料は、容器を振とうすると、流動性ゲル層及び液体層が混じり合ったが、当該飲料を静置すると、再度両層が明瞭に分かれた。
更に、実施例3−1〜3−5の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
実験例4 多層飲料(上層:液体層/下層:流動性ゲル層)
表7及び表8の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表7に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に加工澱粉及び脱アシル型ジェランガム製剤を添加し、撹拌しながら80℃まで加熱した。当該溶液を30℃以下に冷却し、リコピン色素及びオレンジ香料を添加、混合した。当該溶液を300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウムを添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
(多層飲料の調製)
表8に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表8に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、93℃で容器にホットパック充填して多層飲料を調製した。
実施例4−1及び4−2の多層飲料は、容器に充填後、2時間以内に液体層が上層に、流動性ゲルが下層に形成された。また、分層の速さの目安として、明細書に記載の方法に従って分層までの時間を計測したところ、実施例4−1の飲料は45分、及び実施例4−2の飲料は5分であった。この結果より、液体のブリックスが小さい方が、より分層時間が短縮されることが示された。
特に、実施例4−2の多層飲料は、容器に充填直後から5分後には上層及び下層が明確に分層していた。
また、実施例4−1及び4−2の多層飲料は、容器を振とうすると、流動性ゲル層及び液体層が混じり合ったが、当該飲料を静置すると、再度両層が明瞭に分かれた。
更に、実施例4−1及び4−2の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
実験例5 多層飲料(上層:液体層/下層:流動性ゲル層)
表9及び表10の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表9に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に砂糖、脱アシル型ジェランガム製剤及びアルギン酸ナトリウムを添加し、撹拌しながら80℃まで加熱した。アスコルビン酸及びリコピン色素を添加、混合後、30℃に冷却した。当該溶液を300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウムを添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。また、調製された流動性ゲルは3000μmの篩を篩過しないものの割合が50質量%を超えていた。

(多層飲料の調製)
表10に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に、表10に示す炭酸水以外の原料を添加、混合し、80℃で撹拌溶解した。次いで、調製した液体40部と、炭酸水60部を容器に充填後(工程2)、70℃で20分間加熱殺菌することで多層飲料を調製した。
実施例5の多層飲料は、容器に充填後、30分以内に液体層が上層に、流動性ゲルが下層に形成された。また、分層の速さの目安として、明細書に記載の方法に従って分層までの時間を計測したところ、10分であった。更に、実施例5の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、この多層飲料は、液体層及び流動性ゲル層の食感が異なり、食感の違いも楽しめる飲料であった。

Claims (9)

  1. 流動性ゲル層、及び液体層を有する、多層飲料。
  2. 前記流動性ゲルが(a)油脂及び/又は気泡を含有するものである、請求項1に記載の多層飲料。
  3. 前記流動性ゲル及び/又は前記液体が、(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有するものである、請求項1に記載の多層飲料。
  4. 前記多層飲料が容器に充填された容器入り多層飲料であり、且つ、当該容器を振とう後、静置した場合に2時間以内に分層するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層飲料。
  5. 前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の多層飲料。
  6. 流動性ゲル層、及び液体層を有する多層飲料の製造方法であり、
    (工程1)流動性ゲルを調製する工程、並びに、
    (工程2)前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、
    又は、前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程、
    を有する、多層飲料の製造方法。
  7. 前記流動性ゲルに(a)油脂及び/又は気泡を含有させる、請求項6に記載の多層飲料の製造方法。
  8. 前記流動性ゲル及び/又は前記液体に(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大き
    い成分を含有させる、請求項6に記載の多層飲料の製造方法。
  9. 前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を用いて調製されたものである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の多層飲料の製造方法。
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