JP2017205099A - 多層飲料 - Google Patents
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Abstract
Description
項1.流動性ゲル層、及び液体層を有する、多層飲料。
項2.前記流動性ゲルが(a)油脂及び/又は気泡を含有するものである、項1に記載の多層飲料。
項3.前記流動性ゲル及び/又は前記液体が、(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有するものである、項1に記載の多層飲料。
項4.前記多層飲料が容器に充填された容器入り多層飲料であり、且つ、当該容器を振とう後、静置した場合に2時間以内に分層するものである、項1〜3のいずれか1項に記載の多層飲料。
項5.前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の多層飲料。
項6.流動性ゲル層、及び液体層を有する多層飲料の製造方法であり、
(工程1)流動性ゲルを調製する工程、並びに、
(工程2)前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、
又は、前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程、
を有する、多層飲料の製造方法。
項7.前記流動性ゲルに(a)油脂及び/又は気泡を含有させる、項6に記載の多層飲料の製造方法。
項8.前記流動性ゲル及び/又は前記液体に(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させる、項6に記載の多層飲料の製造方法。
項9.前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を用いて調製されたものである、項6〜8のいずれか1項に記載の多層飲料の製造方法。
本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層を有する。
(流動性ゲル層)
本発明の流動性ゲル層は、流動性ゲルによって形成される。当該流動性ゲル層で用いる「流動性ゲル」は微小ゲルの集合体である。このため、流動性ゲルは、外観上、あたかも液体であるかのような流動性を有し、一般的なゲルとは全く異なった挙動を示す。流動性ゲルは「マイクロゲル」としても知られ、常法に従って製造することができる。その製造方法の詳細は「2.多層飲料の製造方法」で後述する。
流動性ゲルに用いるゲル化剤の含量は特に制限されないが、例えば0.05〜1.5質量%が挙げられ、好ましくは0.2〜1.2質量%、より好ましくは0.3〜1質量%である。
カルシウム塩の種類は、飲食品に利用可能な塩類であれば特に制限されないが、例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、焼成カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム等が挙げられ、好ましいカルシウム塩は、乳酸カルシウム及び/又は塩化カルシウムである。また、本発明では2価以上の多価金属塩の供給源として、乳製品、果汁等を用いることも可能である。
このように本発明は、多層飲料に流動性ゲルを用いるという、従来にない全く新しい知見に基づきなされた発明である。
(A)流動性ゲル層が液体層よりも上層に形成される場合において、流動性ゲルが(a)油脂及び/又は気泡を含有する、
(B)流動性ゲル層が液体層よりも下層に形成される場合において、流動性ゲルが(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有する、
(C)3000μmの篩を篩過しない流動性ゲルの割合が5質量%以上である。
本発明の多層飲料において、流動性ゲル層及び液体層の上下関係は特に制限されないが、流動性ゲル層を液体層よりも上層に形成させる場合には、流動性ゲルに(a)油脂及び/又は気泡を含有させることが好ましい。これにより、短時間で分層する多層飲料を提供することができる。
油脂は、飲食品に使用可能な油脂であれば特に制限されず使用することができ、例えば、植物油脂、動物油脂、これらの精製油、分別油、水素添加油脂(硬化油脂)、エステル交換油脂、乳化油脂等を挙げることができる。
植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、コーン油、大豆油、ヒマワリ油、オリーブ油、サフラワー油、カカオ脂、米油、精油等が挙げられ、動物油脂としては、例えば、乳脂、ラード、魚油、鯨油等が挙げられる。また、油脂として中鎖脂肪酸油(MCT)を用いることも可能である。本発明において好ましい油脂は、中鎖脂肪酸油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、及び乳脂からなる群から選択される1種以上である。
流動性ゲルにおける油脂含量は特に制限されないが、好ましい含量は1〜30質量%であり、より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
本発明の多層飲料において、流動性ゲル層を液体層よりも下層に形成させる場合には、流動性ゲルに(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させることが好ましい。これにより、層の形成時間(分層時間)を格段に短縮させることができる。
本発明において(b)水不溶性の成分とは、95℃の水に溶解しない、又は難溶性の成分をいう。例えば、95℃の水100gに成分を添加後、5分後の溶解度が0.1g未満である成分を挙げることができる。本発明において比重は、水(4℃)の比重を1とした場合の値をいい、より簡便には、水(4℃)に成分を添加した場合に成分が沈むか否かで判別することができる。本発明で用いる(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、澱粉、デキストリン、タンパク質、セルロース、水不溶性多糖類等が挙げられ、好ましくは澱粉、デキストリン及びセルロースからなる群から選択される1種以上である。
本発明の多層飲料において、流動性ゲル層を液体層よりも下層に形成させる場合には、3000μmの篩を篩過しない流動性ゲルの割合が5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更により好ましくは50質量%を超えるように流動性ゲル層を調製することで、分層時間をより一層短縮させることができる。例えば、本条件を満たすことで、他の条件を満たさない場合であっても、分層までの時間が短い多層飲料を提供することができる。
なお、本発明の多層飲料が、他の条件(例えば、条件B〜Dのいずれか一以上)を満たす場合は、多層飲料に求められる食感や目的に応じて流動性ゲル層の粒子径を調整することができる。例えば、飲料特有の滑らかな喉越しを優先させる場合は、前述の項目「(流動性ゲル層)」に記載の粒子径をとることが好ましく、分層時間の短縮を優先させる場合は、本条件(C)を満たすことが好ましい。
本発明における液体層は、連続相が液体であれば処方は特に制限されない。液体層の原料として用いる成分には、例えば、飲料に通常使用される成分(例えば、水、糖類、糖アルコール、高甘味度甘味料、乳原料、乳化剤、香料、色素、安定剤、食物繊維、アルコール等)などを適宜用いることができる。
(D)液体層の原料として用いる液体のブリックスが20度以下、又は流動性ゲルと液体のブリックス差が2以上である、
(E)流動性ゲル層が液体層よりも下層に形成される場合において、液体層が(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有する。
流動性ゲル層及び液体層の分層時間をより一層短縮する観点からは、液体層の原料として用いる液体のブリックスが20(度)以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更により好ましくは7以下である。液体のブリックスの下限は特に制限されず、例えば0以上、好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.5以上を挙げることができる。本条件による分層時間の短縮化は、飲料全般で効果を奏するが、特に、流動性ゲル層が液体層よりも下層に形成される場合において好ましい条件である。
また、本発明では、流動性ゲルと液体のブリックス差が2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることが更により好ましい。本条件による分層時間の短縮化は、飲料全般で効果を奏するが、特に、炭酸飲料において高い効果を奏する。
前述のとおり、本発明の多層飲料における、流動性ゲル層及び液体層の上下関係は特に制限されないが、流動性ゲル層を液体層の下層に形成させる場合には、前記液体に(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有させることによっても、分層時間を短縮させることが可能である。前記液体における(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分の含量は特に制限されないが、例えば、0.01〜40質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。また、前記(b)成分として加工澱粉及び/又は結晶セルロースを用いる場合の、加工澱粉及び/又は結晶セルロースの好ましい含量は0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、更により好ましくは0.2〜3質量%である。
液体におけるゲル形成促進剤の含量は特に制限されないが、例えば、塩換算(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅又はアルミニウム含量)で0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.005〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である。
本発明の多層飲料は、前記流動性ゲル層と液体層を有していれば、両層の配合割合は特に制限されないが、例えば、飲料全体を100とした場合の流動性ゲルと液体の配合割合として、2:98〜30:70、好ましくは3:97〜20:80、より好ましくは5:95〜15:85を挙げることができる。
本発明の多層飲料は、好ましくは容器詰め飲料として提供される。当該容器詰め飲料は、流動性ゲル層及び液体層を混合して飲用することもでき、層ごとの異なる風味を楽しむために両層を混合せず、そのまま飲用することもできる。更に、当該容器詰め飲料は、流動性ゲル層及び液体層がいったん混じり合った場合であっても、飲料を静置することで再度分層するため、両層を混合して飲用した後、飲料を静置して層ごとに飲用することも可能である。
本発明において再度分層するまでの時間は、以下の方法に従って測定することができる;
(1)容器中の飲料の高さ(底部からの高さ)をh0とする。
(2)多層飲料を24時間静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)をh1とする。
(3)上記(2)の多層飲料の流動性ゲル層及び液体層が混じり合うように均一に混合後、静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)をh2とする。
(4)前記高さの差異(h2−h1)の絶対値をh3としたときに、h3/h0が0.4となったときの時間を測定する。
例えば、流動性ゲル層及び液体層を10質量部:90質量部の割合で含有する多層飲料を24時間静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)h1が1cm、容器中の飲料の高さ(底部からの高さ)h0が10cmである場合は、多層飲料の流動性ゲル層及び液体層が混じり合うように均一に混合後、静置したときの境界線の位置(底部からの高さ)h2が5cmになったとき(h3/h0が0.4となったとき)、つまりは、この場合は、当初の飲料の高さの1/2に境界線が到達したときの時間を、再度分層するまでの時間とすることができる。
本発明はまた、以下の形態を有する、流動性ゲル層及び液体層を有する多層飲料の製造方法にも関する;
(工程1)流動性ゲルを調製する工程、並びに、
(工程2)前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、
又は、前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程。
例えば、(工程1−1)ゲル化剤及び水を含有する溶解液を調製し、当該溶解液を、撹拌などの外力を加えながら、ゲル化温度以下まで冷却する工程、(工程1−2)ゲル化剤及び水を含有する溶解液を調製し、当該溶解液に撹拌などの外力を加えながら、ゲル形成促進剤を添加する工程、又は(工程1−3)ゲル化剤及び水を含有する非流動性のゲルを調製し、当該ゲルを破砕する工程、等に従って流動性ゲルを調製することができる。
流動性ゲルにおけるゲル化剤の含量は特に制限されないが、好ましい含量は0.05〜1.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.2質量%、更に好ましくは0.3〜1質量%である。
また、脱アシル型ジェランガム、カッパ型カラギナン及びイオタ型カラギナンは、これらゲル化剤及び水を含有する液をゲル化剤の溶解温度以上に加熱してゲル化剤を溶解後、ゲル形成促進剤の存在下で、当該液をゲル化温度以下に冷却することでゲルを形成する。従って、これらのゲル化剤を用いる場合は、(工程1−1)〜(工程1−3)のいずれかの方法に従って流動性ゲルを調製することが好ましい。
本発明の多層飲料は、流動性ゲル層及び液体層の両層がいったん混じり合った場合であっても、飲料を静置することで両層が分層するという利点を有する。従って、本発明によれば、飲料用の製造タンク(例えば、撹拌機付きの混合タンク)が1つあれば、多層飲料を製造することができる。
例えば、飲料用の製造タンクに流動性ゲルを調製するためのゲル化剤及び水を添加し、前述の方法に従って流動性ゲルを調製する。次いで、当該流動性ゲルを含有する製造タンクに液体層の原料液を添加して両者を混合し、当該混合液を飲料容器に充填することで、多層飲料を容易に製造することができる。
以上のように、本発明の製造方法は、従来の飲料の製造ラインをそのまま利用して多層飲料を簡便に製造することができるものであり、工業規模で多層飲料を製造する方法として極めて好適である。
また、本発明の多層飲料は、流動性ゲル及び液体層の原料液を各々調製しておき、各々を同一容器に充填(例えば、同時充填や順次充填等)して製造することも可能である。
なお、本発明の多層飲料の製造方法において、流動性ゲル及び液体の配合割合は特に制限されないが、例えば、飲料全体を100とした場合の流動性ゲルと液体の配合割合として、2:98〜30:70、好ましくは3:97〜20:80、より好ましくは5:95〜15:85を挙げることができる。
表1及び表2の処方に従って、上層が流動性ゲル層であり、下層が液体層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表1の処方に従って、流動性ゲル層を調製した。
水に砂糖、脱アシル型ジェランガム製剤、グァーガム、ローカストビーンガム及び乳化剤を適宜添加し、80℃で10分間撹拌し、脱アシル型ジェランガム溶解液を調製した。次いで、油脂、香料及び色素を適宜添加し、撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて均質化処理(第1段階:10MPa、第2段階:5MPa)を行い、30℃に冷却した。当該溶解液を700rpmで撹拌しながら乳酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム及びクエン酸を適宜添加して流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
表2に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表2に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、混合液を93℃で容器にホットパック充填して、多層飲料を調製した。表2中、流動性ゲル以外は液体層の原料であり、「液体のブリックス」とは、流動性ゲルを除いた液体層のブリックスを意味する(以下、実験例2〜4において同じ)。
表3及び表4の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表3に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に脱アシル型ジェランガム製剤を添加して加熱した。液温が60℃になった時点で砂糖、アップルピューレ、結晶セルロース製剤、デキストリン(結晶化物)、加工澱粉及び色素を適宜添加して80℃で10分間撹拌し、脱アシル型ジェランガム溶解液を調製した。当該溶解液を30℃まで冷却後、300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウムを添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
注3)三栄源エフ・エフ・アイ(株)製のデキストリン製剤「スマートテイスト[登録商標]」を7.5質量%含有する水溶液を4℃で2時間静置した、デキストリン(結晶化物、冷蔵保存)を使用。
注4)ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉。
表4に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表4に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、混合液を93℃で容器にホットパック充填して多層飲料を調製した。
また、実施例2−1〜2−6の多層飲料は、容器を振とうすると、流動性ゲル層及び液体層が混じり合ったが、当該飲料を静置すると、再度両層が明瞭に分かれた。
更に、実施例2−1〜2−6の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
表5及び表6の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表5に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に砂糖、加工澱粉及び脱アシル型ジェランガム製剤を適宜添加して加熱し、80℃達温後、30℃まで冷却した。300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウム及びリコピン色素を添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
表6に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表6に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、93℃で容器にホットパック充填して多層飲料を調製した。
また、実施例3−2〜3−4の多層飲料は、実施例3−2、3−3及び3−4の順で分層時間が早く、最も分層時間が早かった実施例3−2は5分以内に上層及び下層の境界が飲料の高さ(容器底部からの高さ)の1/2に到達した。これにより、液体層のブリックスが小さい方が、より分層時間が短縮されることが示された。
実施例3−5の多層飲料は、流動性ゲルに(b)成分を含有させず、液体(液体層の原料液)に(b)成分を含有させたものである。本飲料も実施例3−2〜3−4と同様に、実施例3−1と比べて分層時間が半分以下に短縮され、液体に(b)成分を含有させることによっても、分層時間を短縮できることが示された。
更に、実施例3−1〜3−5の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
表7及び表8の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表7に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に加工澱粉及び脱アシル型ジェランガム製剤を添加し、撹拌しながら80℃まで加熱した。当該溶液を30℃以下に冷却し、リコピン色素及びオレンジ香料を添加、混合した。当該溶液を300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウムを添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。
表8に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に表8に示す全ての原料を添加、混合し(工程2)、93℃で容器にホットパック充填して多層飲料を調製した。
特に、実施例4−2の多層飲料は、容器に充填直後から5分後には上層及び下層が明確に分層していた。
更に、実施例4−1及び4−2の多層飲料は、上層及び下層が異なった色及び風味を有しており、見た目でも味でも楽しめる飲料であった。更に、サラリとした飲みごごちで飲みやすい飲料であった。
表9及び表10の処方に従って、上層が液体層であり、下層が流動性ゲル層である多層飲料を調製した。
(流動性ゲルの調製)
表9に示す処方に従って、流動性ゲルを調製した。
水に砂糖、脱アシル型ジェランガム製剤及びアルギン酸ナトリウムを添加し、撹拌しながら80℃まで加熱した。アスコルビン酸及びリコピン色素を添加、混合後、30℃に冷却した。当該溶液を300rpmで撹拌しながら乳酸カルシウムを添加し、流動性ゲルを調製した(工程1)。
調製された流動性ゲルは8000μmの篩を篩過する割合が95質量%以上であり、且つ50μmの篩を篩過する割合が5質量%以下であった。更に、調製された流動性ゲルはいずれも6.5メッシュを篩過し、その平均粒子径が少なくとも2800μm以下であることが確認された。また、調製された流動性ゲルは3000μmの篩を篩過しないものの割合が50質量%を超えていた。
表10に示す処方に従って、多層飲料を調製した。詳細には、水に、表10に示す炭酸水以外の原料を添加、混合し、80℃で撹拌溶解した。次いで、調製した液体40部と、炭酸水60部を容器に充填後(工程2)、70℃で20分間加熱殺菌することで多層飲料を調製した。
Claims (9)
- 流動性ゲル層、及び液体層を有する、多層飲料。
- 前記流動性ゲルが(a)油脂及び/又は気泡を含有するものである、請求項1に記載の多層飲料。
- 前記流動性ゲル及び/又は前記液体が、(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大きい成分を含有するものである、請求項1に記載の多層飲料。
- 前記多層飲料が容器に充填された容器入り多層飲料であり、且つ、当該容器を振とう後、静置した場合に2時間以内に分層するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層飲料。
- 前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記
載の多層飲料。 - 流動性ゲル層、及び液体層を有する多層飲料の製造方法であり、
(工程1)流動性ゲルを調製する工程、並びに、
(工程2)前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を混合後、容器に充填する工程、
又は、前記流動性ゲル及び前記液体層の原料液を同一容器に各々充填する工程、
を有する、多層飲料の製造方法。 - 前記流動性ゲルに(a)油脂及び/又は気泡を含有させる、請求項6に記載の多層飲料の製造方法。
- 前記流動性ゲル及び/又は前記液体に(b)水不溶性であり、且つ、比重が1より大き
い成分を含有させる、請求項6に記載の多層飲料の製造方法。 - 前記流動性ゲルが、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸類、カラギナン、寒天及びLMペクチンからなる群から選択される1種以上のゲル化剤を用いて調製されたものである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の多層飲料の製造方法。
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