JP5854642B2 - 粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1−1]シリカ
本実施形態の粉体はシリカを含有する。粉体中のシリカの含有率が50質量%以上であると、固体伝導による伝熱が小さいため、断熱材用途の場合は好ましい。シリカ粒子の含有率が粉体の75質量%以上であると、粉体同士の付着力が増して、粉体の飛散が少なくなるためより好ましい。なお、本明細書中シリカ粒子とは、組成式SiO2で表される成分からなる粒子の他、SiO2を含む材料を指し、SiO2に加えて金属成分等、他の無機化合物を含有する粒子を包含する。シリカ粒子は、純粋な二酸化ケイ素に加えて、Si及び種々の他元素との塩や複合酸化物を含有してもよいし、水酸化物のような含水酸化物を含有してもよいし、シラノール基を有していてもよい。シリカ粒子中のシリカは、結晶質であっても、非晶質であっても、それらの混合体であってもよいが、断熱材用途の場合は非晶質であると、断熱材中の固体伝導による伝熱が小さく、断熱性能が向上するため、好ましい。
「シリカ」や「石英」と呼ばれるケイ素の酸化物。
ケイ素の部分酸化物。
シリカアルミナやゼオライトのようなケイ素の複合酸化物。
Na、Ca、K、Mg、Ba、Ce、B、Fe及びAlのいずれかのケイ酸塩(ガラス)。
ケイ素以外の元素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物(アルミナやチタニア等)と、ケイ素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物との混合体。
SiCやSiNの酸化物。
粉体を成形する場合、粉体は無機繊維を含有するのが好ましい。無機繊維を含有すると、特に、繊維を含む粉体は加圧成形において、成形体からの粒子の脱落が少なく、生産性が高いという利点を有する。粉体の状態においても、飛散が少ないので、取扱の上で好ましい。本明細書中、無機繊維とは平均太さに対する無機繊維の平均長さの比(アスペクト比)が10以上であるものをいう。アスペクト比は10以上であることが好ましく、粉体を成形する場合、小さい圧力で成形を可能とし、成形体の生産性を向上させる観点から50以上がより好ましく、成形体の曲げ強度の観点から100以上がさらに好ましい。無機繊維のアスペクト比は、FE−SEMにより測定した無機繊維1000本の太さ及び長さの平均値から求めることができる。無機繊維は粉体中で単分散して混合されていることが好ましいが、無機繊維が互いに絡まった状態や、複数の無機繊維が同一方向で揃った束の状態で混合されていてもかまわない。また、単分散状態において、無機繊維の向きが同一方向で揃った状態であってもかまわないが、熱伝導率を小さくする観点から、無機繊維は、伝熱方向に対して垂直方向に配向していることが好ましい。
粉体は、赤外線不透明化粒子を含有することが、高い温度での断熱性能を要する場合は、好ましい。赤外線不透明化粒子とは、赤外線を反射、散乱又は吸収する材料からなる粒子を指す。断熱材に赤外線不透明化粒子が混合されていると、輻射による伝熱が抑制されるため、特に200℃以上の高い温度領域での断熱性能が高い。
本実施態様の粉体は、BET比表面積が10m2/g以上400m2/g以下である。この範囲にBET比表面積を有する粉体は、熱伝導率が小さい傾向があるので断熱材用途に好ましい。BET比表面積の測定方法は、後述する。
粉体は、水分を含む。粉体における水分の含有割合、すなわち含水率は、粉体の全質量を基準として0.2質量%以上2.5質量%以下である。含水率が0.2質量%未満であると粉体の飛散が多く、装置内に付着しやすい傾向があり、2.5質量%以上であると、粉体の加熱時に水蒸気の発生が多く、温度の上昇と下降を繰り返す用途の場合は結露の問題が起こり易い。また成形体の場合は加熱時の寸法安定性が悪化する傾向がある。この理由は定かではないが、以下のように推定される。粉体の含水率は、シリカ粒子表面の帯電状態に影響を及ぼし、例えば静電気が発生しにくくなることで装置等への付着が抑制されると推定される。一方で、シリカ粒子同士には適度な付着性が生じ、粉体の飛散が抑制されると推定される。含水率は0.2質量%以上2質量%以下が好ましく、0.3質量%以上1.5質量%がより好ましく、0.4質量%以上1.0%質量%以下がさらに好ましい。粉体における含水率は、カールフィッシャー水分計により定量することができる。
本実施態様の粉体は、30℃における熱伝導率が0.05W/m・K以下である。断熱性能の観点から、熱伝導率は0.045W/m・K以下が好ましく、0.040W/m・K以下がより好ましく、0.037W/m・K以下がさらに好ましい。赤外線不透明化粒子を含有する粉体は、特に200℃以上の高い温度領域での断熱性能を要する場合に、好ましい。粉体が赤外線不透明化粒子を含有する場合、800℃における熱伝導率は0.15W/m・K以下が好ましく、0.14W/m・K以下がより好ましく、0.13W/m・K以下がさらに好ましい。熱伝導率の測定方法は、後述する。
粉体は、加熱時における塩素ガスの発生を少なくする観点や、水に接した際の塩素の溶出及び周辺部材の腐食を抑制する観点から、粉体の全質量を基準として0.2質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。粉体は、飛散を少なくする観点から、粉体の全質量を基準としてNaの含有率が0.005質量%以上3質量%以下、Kの含有率が0.005質量%以上5質量%以下であることが好ましく、Naの含有率が0.005質量%以上1.5質量%、Kの含有率が0.005質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、Naの含有率が0.005質量%以上1.0%質量%以下、Kの含有率が0.005質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。また、粉体はCl、Na、Kの他に、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、リン(P)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)を含んでいてもかまわない。各元素の含有率は、Mgの含有率が0.002質量%以上2質量%以下、Caの含有率が0.002質量%以上0.5質量%以下、Feの含有率が0.005質量%以上6質量%以下、Pの含有率が0.003質量%以上0.3質量%以下、Sの含有率が0.003質量%以上0.3質量%以下、Geの含有率が10質量ppm以上1000質量ppm以下であることが好ましく、Mgの含有率が0.002質量%以上1.8質量%以下、Caの含有率が0.002質量%以上0.4質量%以下、Feの含有率が0.005質量%以上3質量%以下、Pの含有率が0.003質量%以上0.25質量%以下、Sの含有率が0.003質量%以上0.2質量%以下、Geの含有率が10質量ppm以上900質量ppm以下であることがより好ましく、Mgの含有率が0.002質量%以上1.6質量%以下、Caの含有率が0.002質量%以上0.2質量%以下、Feの含有率が0.005質量%以上2質量%以下、Pの含有率が0.003質量%以上0.2質量%以下、Sの含有率が0.003質量%以上0.1質量%以下、Geの含有率が10質量ppm以上800質量ppm以下であることがさらに好ましい。粉体におけるCl、Na、K、その他の元素の含有率は、XRF(蛍光X線分析)により定量することができる。
本実施形態の粉体の製造方法は、シリカを含み、平均粒子径DSが5nm以上30nm未満である小粒子、及び/又は、シリカを含み、平均粒子径DLが40nm以上60μm以下である大粒子、のうちの少なくとも一方の含水率を、粉体の含水率が0.2質量%以上2.5質量%以下となるように調整する工程と、小粒子及び大粒子を混合する工程と、を有する。
シリカ粒子としては、従来の製法で製造されるシリカ成分を有する粒子を原料とし、平均粒子径、含水率、熱伝導率を調整したものとすることができる。例えば、シリカ粒子は、酸性又はアルカリ性の条件下での湿式法により、ケイ酸イオンを縮合して製造された粒子でもよい。シリカを含む無機化合物粒子は、湿式法でアルコキシシランを加水分解・縮合して製造されたものでもよい。シリカ粒子は、湿式法で製造されたシリカ成分を焼成して製造されたものでもよい。シリカを含む無機化合物粒子は、塩化物などケイ素の化合物を気相で燃焼して製造されたものでもよい。シリカ粒子は、ケイ素金属やケイ素を含む原料を加熱して得られたケイ素ガスを酸化・燃焼して製造されたものでもよい。シリカ粒子は、ケイ石などを溶融して製造されたものでもよい。
ケイ酸ナトリウムを原料に酸性で作られるゲル法シリカ。
ケイ酸ナトリウムを原料にアルカリ性で作られる沈降法シリカ。
アルコキシシランの加水分解・縮合で合成されるシリカ。
ケイ素の塩化物を燃焼して作られるヒュームドシリカ。
ケイ素金属ガスを燃焼して作られるシリカ。
フェロシリコン製造時などに副生するシリカヒューム。
アーク法やプラズマ法で製造されるシリカ。
粉砕したシリカ粉末を火炎中で溶融・球状化する溶融シリカ。
粉体は、含水率が0.2質量%以上2.5質量%以下であるシリカを含む無機化合物粒子を含有し得る。シリカ粒子の含水率が2.5質量%超である場合は、粉体の製造プロセス中に含水率を低減する処理を施して、含水率を所定範囲に調整してもよい。過剰な含水率を2.5質量%以下に調整する方法は特に限定されない。例えば、シリカ粒子に疎水化処理を施すことで、含水率を調整することが可能である。疎水化処理剤の例としては、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等のアルキルジシラザン、アルキルアルコキシシラン、界面活性剤、シランカップリング剤及びシリコーンオイルが挙げられる。疎水化処理方法としては、例えば、これらの疎水化処理剤を水又はアルコール等の溶媒で希釈したものを添加しながら粉体を攪拌後乾燥する方法、粉体を水又はアルコール等の溶媒に分散させてスラリーとし、そこへ疎水化処理剤を添加して攪拌及び濾過後、乾燥する方法や、クロロトリメチルシラン等での蒸気処理が挙げられる。シリカ粒子の含水率が0.2質量%未満である場合は、粉体の製造プロセス中に含水率を増加させる処理を施して、含水率を調整してもよい。不十分な含水率を0.2質量%以上に調整する方法は特に限定されない。例えば、シリカ粒子を強酸又は強アルカリ等で処理した後、乾燥し、粉体の原料とすることが可能である。含水率の調整は、シリカを含む無機化合物粒子を予め所望の粒子径まで粉砕した後に行ってもよいし、含水率を所定範囲に調整した後に、シリカ粒子を粉砕してもかまわない。
粉体は、Clの含有率が0.2質量%以下であるシリカ粒子を使用することが可能である。シリカ粒子のClの含有率が過剰である場合は、シリカの製造プロセスや粉体の製造プロセス中に何らかの処理を施して、Clの含有率を所定範囲に調整してもよい。過剰なClを所定範囲に調整する方法は特に限定されない。例えば、粉体を水洗した後、乾燥し、粉体の原料として用いることが可能である。また、適当な温度で加熱処理を施すことが可能である。過剰な量のClの低減は、シリカを含む無機化合物粒子を予め所望の粒子径まで粉砕した後に行ってもよいし、含水率を所定範囲に調整した後に、シリカ粒子を粉砕してもかまわない。
NaやK、Mg、Ca、Fe、P、S、Geは、シリカの製造プロセスや粉体の製造プロセス中に、シリカの製造プロセスや粉体の製造プロセス中に、Na、K、Mg、Ca、Fe、P、S、Geを含む化合物としてそれぞれ添加してもよいが、十分な量のNa、K、Mg、Ca、Fe、P、S、Geを予め含有しているシリカを含む無機化合物粒子を使用してもよい。Na、K、Mg、Ca、Fe、P、S、Geを含む化合物としては、特に限定されないが、例えばNa、K、Mg、Ca、Fe、P、S、Geの酸化物、複合酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、難溶性の塩、及びアルコキシド等が挙げられる。これらは単独で添加してもよく、もしくはこれらの混合物を添加してもよい。Na、K、Mg、Ca、Fe、P、S、Geを不純物として含有するシリカを含む無機化合物粒子を粉体の原料とするのは、生産性、コスト、作業性の観点から、好ましい態様である。このようなシリカを含む無機化合物粒子は、例えば沈殿法で作られたシリカゲル由来の粒子やフェロシリコン製造時などに複製するシリカヒュームとして得ることができる。
シリカ粒子、赤外線不透明化粒子及び無機繊維は、公知の粉体混合機、例えば、改訂六版 化学工学便覧(丸善)に掲載されているものを使用して混合することができる。この時、シリカを含む無機化合物粒子を2種類以上混合したり、Ge、Fe、K、Mg、Ca、P、Sをそれぞれ含む化合物やその水溶液を混合することも可能である。公知の粉体混合機としては、容器回転型(容器自体が回転、振動、揺動する)として水平円筒型、V型(攪拌羽根が付いていてもよい)、ダブルコーン型、立方体型及び揺動回転型、機械撹拌型(容器は固定され、羽根などで撹拌する)として、単軸リボン型、複軸パドル型、回転鋤型、二軸遊星攪拌型、円錐スクリュー型、高速撹拌型、回転円盤型、ローラー付き回転容器型、撹拌付き回転容器型、高速楕円ローター型、流動撹拌型(空気、ガスによって撹拌する)として、気流撹拌型、重力による無撹拌型が挙げられる。これらの混合機を組み合わせて使用してもよい。
粉体が断熱用途の場合、成形等の工程を経ることなく、粉体を使用する箇所に充填しただけでそのまま用いてもよいし、粉体を加圧成形したものを断熱材として用いてもよい。
被包体は、粉体及び/又は粉体からなる成形体と、それを収容する外被材とを備える。被包体は粉体や成形体と比較して取扱が容易で、施工もしやすいという利点を有する。図1は、本実施形態に係る被包体の断面模式図の一例である。また、図2は本実施形態に係る小粒子及び大粒子の断面模式図の一例である。図1及び図2に示すように、本実施形態の被包体1は、複数の小粒子Sと、小粒子Sよりも粒子径が大きい複数の大粒子Lと、を含有する成形体2と、成形体2を収容する外被材3から構成される。成形体2内において、小粒子S及び大粒子Lは混合しており、大粒子Lの周囲に小粒子Sが存在している。なお、成形体をコア材という場合がある。
外被材は、コア材である粉体及び/又は成形体を収容可能な限り、特に限定されないが、例として、ガラスクロス、アルミナ繊維クロス、シリカクロス等の無機繊維織物、無機繊維編物、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、フッ素系樹脂フィルム等の樹脂フィルム、プラスチック−金属フィルム、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔等の金属箔、セラミックペーパー、無機繊維不織布、有機繊維不織布、ガラス繊維紙、炭素繊維紙、ロックウール紙、無機充填紙、有機繊維紙、セラミックコーティング、フッ素樹脂コーティング、シロキサン樹脂コーティング等の樹脂コーティング等を挙げることができる。被包体を断熱材とする場合、外被材の熱容量を小さくする観点から、外被材の厚みは薄い方が好ましいが、使用状況や必要な強度等に応じて適宜選択することが可能である。外被材が、コア材を使用する温度で安定なものからなる場合、使用時においても、外被材がコア材である粉体もしくは成形体を収容した状態である。高温で使用される被包体の場合は、使用後のコア材の取扱いがし易い観点で、耐熱性の高い外被材は好ましいが、本明細書中、「外被材」はコア材の使用時にコア材を収容しているものの他、コア材の運搬や施工の工程でコア材を収容しているものを包含する。つまり、外被材は運搬時や施工時にのみコア材を保護し、使用時には溶融及び/又は揮発してしまうものを包含するので、外被材そのものや外被材に含まれる有機成分は、コア材の使用温度で溶融や消失をしてもよい。
粉体は、シリカ粒子を含み、使用状況に応じて大粒子、赤外線不透明化粒子や無機繊維を添加し形成した粉体をコア材として、袋状やチューブ状に加工した外被材に充填したものでもよいし、この粉体を加圧成形してコア材とし、外被材で被覆したものでもよい。粉体をコア材とする場合、外被材が形成する容積に対する粉体の充填率は、粉体を使用する対象物に応じて適宜設定することが可能である。成形体をコア材とする場合は、後述するように、粉体と外被材を共に加圧成形してもよいし、粉体を加圧成形した後に外被材で被覆することも可能である。
本実施形態のシリカ粒子を含む粉体、成形体及び被包体は、断熱材の他、吸音材、防音材、遮音材、反響防止材、消音材、研磨剤、触媒担体、吸着剤、芳香剤や殺菌剤などの薬剤を吸着する担体、脱臭剤、消臭剤、調湿材、充填剤、顔料等に好適に用いることもできる。
粉体の平均粒子径の測定、含水率の測定、熱伝導率の測定は、次の方法により実施する。粉体の付着性や粉体から発生する水蒸気の評価は、次の方法により評価する。
ユアサ・アイオニクス社製のガス吸着量測定装置「オートソーブ3MP」(商品名)により、吸着ガスとして窒素を用いて、粉体の比表面積を測定する(窒素吸着法)。比表面積はBET法を採用する。
水分加熱気化装置 VA-100型(商品名、三菱化学アナリテック株式会社製)を用いて0.1g〜0.5gのサンプルをN2中で200℃、5分間加熱して追い出した水分を水分分析計 CA-100型(商品名、三菱化学アナリテック株式会社製)を用いて測定する。測定サンプルは、温度25℃、湿度50%の雰囲気で24時間保管したサンプルを用いる。
縦30cm、横30cm、厚み5cmの発泡スチロールの中心部を縦24cm、横24cmの正方形状にくりぬき、発泡スチロールの枠を形成する。枠の一方に縦30cm、横30cmのアルミ箔を貼り付けて凹部を形成し、試料台とする。なお、アルミ箔で覆った面を試料台の底面とし、発泡スチロールの厚み方向に対するもう一方の面を天井面とする。粉体をタップや加圧をせずに凹部へ疎充填し、すりきりにした後、天井面に縦30cm、横30cmのアルミ箔をのせたものを測定試料とする。測定試料を用いて、30℃での熱伝導率を、ヒートフローメーター HFM 436 Lambda(商品名、NETZSCH社製)を使用して熱伝導率を測定する。較正は、JISA1412−2に従い、密度163.12kg/m3、厚さ25.32mmのNIST SRM 1450c校正用標準板を使用して、高温側と低温側の温度差が20℃の条件において、15、20、24、30、40、50、60、65℃で予め実施する。成形体を測定する場合は、縦30cm、横30cm、厚み20mmの形状にした成形体を測定試料とする。800℃における熱伝導率は、JIS A 1421−1の方法に準拠して測定する。直径30cm、厚み20mmの円板状にした成形体2枚を測定試料とし、測定装置として、保護熱板法熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製)を使用する。
容量500mL、外径55mm、高さ360mmの硬質ガラス製のメスシリンダー(アズワン株式会社、JIS R 3505規格品 クラスA)を水平面(実験台等)に対して60°傾斜させ、設置する。150mLの粉体を、上記メスシリンダーの内壁に接するように投入した後、水平面に対して垂直に立つように静かに動かす。さらに、粉体を投入したメスシリンダーを水平面から1cmの高さから5回自由落下させた後の、メスシリンダー内壁への粉体の付着を目視で観察し、粉体が付着している箇所がメスシリンダーの300mLの目盛よりも下である場合を○、300mLの目盛より上部にも付着している場合を×とする。
水分加熱気化装置 VA-100型(商品名、三菱化学アナリテック株式会社製)を用いて5gのサンプルをN2中で200℃、20分加熱して追い出した水分を氷冷したガラス製のコールドトラップに採取し、コールドトラップ内壁への水滴の付着を目視で観察し、水滴の付着を目視で確認できない場合を○、確認できる場合を×とする。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)90質量%と、含水率が101ppmのシリカ粉体(平均粒子径DLは60μm)10質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例1のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は327m2/gであり、含水率は2.2質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0200W/m・Kであった。このシリカ粉体421gを使用して、内寸が縦30cm、横30cmの金型で加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.23g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0205W/m・Kであった。実施例1のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)25質量%と、含水率が97ppmのシリカ粉体(平均粒子径DLは6μm)75質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例2のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は91m2/gであり、含水率は0.65質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0297W/m・Kであった。このシリカ粉体936gを使用して、実施例1と同じサイズの金型で加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.52g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0301W/m・Kであった。実施例2のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)50質量%と、含水率が0.73質量%のシリカ粉体(平均粒子径DLは150nm)50質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例3のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は106m2/gであり、含水率は1.7質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0204W/m・Kであった。このシリカ粉体576gを使用して、実施例1と同じ金型で加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.32g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0201W/m・Kであった。実施例3のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)50質量%と、含水率が0.4質量%のシリカ粉体(平均粒子径DLは80nm)50質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例4のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は199m2/gであり、含水率は1.5質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0199W/m・Kであった。このシリカ粉体594gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.33g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0201W/m・Kであった。実施例4のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が201ppmのシリカ粉体(平均粒子径DSは14nm)60質量%と、含水率が3.5質量%のシリカ粉体(平均粒子径DLは80nm)40質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例5のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は135m2/gであり、含水率は1.9質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0201W/m・Kであった。このシリカ粉体378gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.21g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0203W/m・Kであった。実施例5のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)75質量%と、含水率が155ppmのシリカ粉体(平均粒子径DLは50μm)25質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例6のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は273m2/gであり、含水率は2.0質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0195W/m・Kであった。このシリカ粉体396gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.22g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0194W/m・Kであった。実施例6のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が3.5質量%のシリカ粉体をトルエンに分散させて85℃で攪拌していることころにヘキサメチルジシラザンを滴下し、引き続き85℃還流下で5時間攪拌を続けた。その後、エバポレーターで溶媒を除去し、120℃で18時間乾燥し、さらに室温で1ヶ月保管して実施例7のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のBET比表面積は45m2/gであり、含水率は0.5質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0314W/m・Kであった。このシリカ粉体614gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.34g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0312W/m・Kであった。なお、シリカ粒子の平均粒子径DSは80nmであった。実施例7のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)21質量%と、含水率が0.73質量%のシリカ粉体(平均粒子径DLは150nm)63質量%をハンマーミルで均一に混合した後、平均粒子径が1μmの、赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウム16質量%を添加して引き続き均一に混合し、実施例8のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は88m2/gであり、含水率は1.0質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0267W/m・Kであった。このシリカ粉体を使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.58g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0266W/m・Kであった。また、このシリカ粉体を使用して、内径が直径30cmの円筒型の金型を使用して加圧成形を行い、直径30cm、厚み20mm、かさ密度が0.58g/cm3の円板状の成形体を2枚得た。この2枚の成形体を用いて、800℃における熱伝導率を測定したところ、0.0847W/m・Kであった。実施例8のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)22.5質量%と、含水率が0.4質量%のシリカ粉体(平均粒子径DLは80nm)67.5質量%をハンマーミルで均一に混合した後、平均繊維径が11μmで平均繊維長が6.4mmのグラスファイバー10質量%を添加して高速せん断ミキサーで混合して均一にし、実施例9のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、高速せん断ミキサーで混合する際共に、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。このシリカ粉体のBET比表面積は105m2/gであり、含水率は0.68質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0261W/m・Kであった。このシリカ粉体864gを使用して、実施例1と同じ金型で加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.48g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0263W/m・Kであった。実施例9のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
含水率が2.7質量%のシリカ粉体(平均粒子径DSは7.5nm)19質量%と、含水率が0.4質量%のシリカ粉体(平均粒子径DLは80nm)57質量%をハンマーミルで均一に混合した後、平均粒子径が1μmの、赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウム14質量%を添加して引き続き均一に混合し、さらに平均繊維径が11μmで平均繊維長が6.4mmのグラスファイバー10質量%を添加して高速せん断ミキサーで混合して均一にし、実施例10のシリカ粉体を得た。ハンマーミルで混合する際、高速せん断ミキサーで混合する際共に、接合部からの粉体の噴出は見られなかった。この粉体のBET比表面積は88m2/gであり、含水率は0.66質量%であり、30℃における熱伝導率は0.0273W/m・Kであった。この粉体970gを使用して、実施例1と同じ金型で加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mm、かさ密度が0.54g/cm3の成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0272W/m・Kであった。実施例10のシリカ粉体の付着性評価は○であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
BET比表面積が45m2/g、平均粒子径が80nm、含水率が3.5質量%のシリカ粉体の30℃における熱伝導率は0.0313W/m・Kであった。比較例1のシリカ粉体の付着性評価結果は○であったが、粉体から発生する水蒸気の評価は×であった。
BET比表面積が0.04m2/g、平均粒子径が60μm、含水率が101ppmのシリカ粉体の30℃における熱伝導率は0.0814W/m・Kであった。比較例2のシリカ粉体の付着性評価結果は×であり、粉体から発生する水蒸気の評価は○であった。
Claims (6)
- シリカを含有し、
BET比表面積が10m2/g以上400m2/g以下であり、含水率が0.2質量%以上2.5質量%以下であり、30℃における熱伝導率が0.05W/m・K以下である粉体の製造方法であって、
シリカを含み、平均粒子径DSが5nm以上30nm未満である小粒子、及び/又は、シリカを含み、平均粒子径DLが40nm以上60μm以下である大粒子、のうちの少なくとも一方の含水率を、粉体の含水率が0.2質量%以上2.5質量%以下となるように調整する工程と、
前記小粒子及び前記大粒子を混合する工程と、
を含む粉体の製造方法。 - 前記粉体が塩素を含有し、前記塩素の含有率が0.2質量%以下である、請求項1に記載の粉体の製造方法。
- 前記粉体が赤外線不透明化粒子をさらに含有し、前記粉体の800℃における熱伝導率が0.15W/m・K以下である、請求項1又は2に記載の粉体の製造方法。
- 前記赤外線不透明化粒子の平均粒子径が0.5μm以上30μm以下であって、前記赤外線不透明化粒子の含有率が、0質量%超49.5質量%以下である、請求項3に記載の粉体の製造方法。
- 前記粉体が無機繊維をさらに含有し、前記無機繊維の含有率が0.1質量%以上50質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉体の製造方法。
- 前記無機繊維が生体溶解性を有する、請求項5に記載の粉体の製造方法。
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