JP5824228B2 - 粉体、成形体、被包体及び粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1−1]シリカ
本発明の粉体はシリカを含有する。粉体中のシリカの含有率が50質量%以上であると、固体伝導による伝熱が小さいため、断熱材用途の場合は好ましい。また、シリカの含有率が粉体の75質量%以上であると、粉体同士の付着力が増して、粉体の飛散が少なくなるためより好ましい。本発明においてシリカとは、組成式SiO2で表される成分からなる粒子やSiO2を含む粒子を指し、SiO2に加えて金属成分等、他の無機化合物を含有する粒子を包含し、これらの粒子をシリカ粒子という場合がある。シリカ粒子は、Si及び種々の他元素との塩や複合酸化物を含有してもよいし、水酸化物のような含水酸化物を含有してもよいし、シラノール基を有していてもよい。シリカ粒子は、結晶質であっても、非晶質であっても、それらの混合体であってもよいが、断熱材用途の場合は非晶質であると、断熱材中の固体伝導による伝熱が小さく、断熱性能が向上するため、好ましい。
「シリカ」や「石英」と呼ばれるケイ素の酸化物。
ケイ素の部分酸化物。
シリカアルミナやゼオライトのようなケイ素の複合酸化物。
Na、Ca、K、Mg、Ba、Ce、B、Fe及びAlのいずれかのケイ酸塩(ガラス)。
ケイ素以外の元素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物(アルミナやチタニア等)と、ケイ素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物との混合体。
SiCやSiNの酸化物。
粉体を成形する場合、粉体は無機繊維を含有するのが好ましい。無機繊維を含有すると、特に、繊維を含む粉体は加圧成形において、成形体からの粒子の脱落が少なく、生産性が高いという利点を有する。粉体の状態においても、飛散が少ないので、取扱の上で好ましい。本明細書中、無機繊維とは平均太さに対する無機繊維の平均長さの比(アスペクト比)が10以上であるものをいう。アスペクト比は10以上であることが好ましく、粉体を成形する場合、小さい圧力で成形を可能とし、成形体の生産性を向上させる観点から50以上がより好ましく、成形体の曲げ強度の観点から100以上がさらに好ましい。無機繊維のアスペクト比は、FE−SEMにより測定した無機繊維1000本の太さ及び長さの平均値から求めることができる。無機繊維は粉体中で単分散して混合されていることが好ましいが、無機繊維が互いに絡まった状態や、複数の無機繊維が同一方向で揃った束の状態で混合されていてもかまわない。また、単分散状態において、無機繊維の向きが同一方向で揃った状態であってもかまわないが、熱伝導率を小さくする観点から、無機繊維は、伝熱方向に対して垂直方向に配向していることが好ましい。
粉体は、赤外線不透明化粒子を含有することが、高い温度での断熱性能を要する場合は、好ましい。赤外線不透明化粒子とは、赤外線を反射、散乱又は吸収する材料からなる粒子を指す。断熱材に赤外線不透明化粒子が混合されていると、輻射による伝熱が抑制されるため、特に200℃以上の高い温度領域での断熱性能が高い。
本発明の粉体は、Naを含む。Naの含有率は、粉体の全質量を基準として0.005質量%以上3質量%以下である。Naの含有率が0.005質量%未満であると粉体の飛散が多い傾向があり、3質量%以上であると断熱性能が低い傾向がある。この理由は定かではないが、以下のように推定される。すなわち、粉体の圧縮度には、粉体のかさ密度、粒子径や粒子形状、表面積、含水率、付着性等の全てが影響する。このうち、主に含水率や付着性については、粉体にNaが含まれていると、詳細は不明であるが、シリカ粒子表面の帯電状態が変化することで含水率や付着性のような因子に作用し、その結果圧縮度が小さくなり、粉体の飛散が抑制されると推定される。Naの含有率は0.005質量%以上2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上1.5質量%がより好ましく、0.005質量%以上1.0%質量%以下がさらに好ましい。粉体におけるNaの含有率は、XRF(蛍光X線分析)により定量することができる。
本発明の粉体は、BET比表面積が10m2/g以上400m2/g以下である。この範囲にBET比表面積を有する粉体は、熱伝導率が小さい傾向があるので断熱材用途として好ましい。なお、BET比表面積と圧縮度はある程度の相関が予想されるものの、必ずしも完全に応答するわけではない。BET比表面積の測定方法は、後述する。
本発明の粉体は、圧縮度が31%以下である。この範囲に圧縮度を有する粉体は、凝集しにくい傾向を示す。そのため、成形用の粉体には、金型等への供給工程で取扱が容易である点で特に好適である。圧縮度は29%以下が好ましく、27%以下がより好ましく、粉体の飛散が少ない観点から25%以下がさらに好ましい。圧縮度の測定方法は、後述する。
本発明の粉体は、30℃における熱伝導率が0.05W/m・K以下である。断熱性能の観点から、熱伝導率は0.045W/m・K以下が好ましく、0.040W/m・K以下がより好ましく、0.037W/m・K以下がさらに好ましい。本発明の粉体は、赤外線不透明化粒子を含有すると、特に200℃以上の高い温度領域での断熱性能が高いため、好ましい。本発明の粉体が赤外線不透明化粒子を含有する場合、800℃における熱伝導率は0.15W/m・K以下が好ましく、0.14W/m・K以下がより好ましく、0.13W/m・K以下がさらに好ましい。熱伝導率の測定方法は、後述する。
本実施形態の粉体は、成形性に優れ、粉体の飛散を少なくする観点から、粉体の全質量を基準としてKの含有率が0.005質量%以上5質量%以下、Mgの含有率が0.005質量%以上5質量%以下、Caの含有率が0.005質量%以上2質量%以下、Feの含有率が0.005質量%以上6質量%以下、Pの含有率が0.002質量%以上1質量%以下、Sの含有率が0.002質量%以上1質量%以下であることが好ましい。また、Kの含有率が0.005質量%以上3質量%以下、Mgの含有率が0.005質量%以上3.5質量%以下、Caの含有率が0.005質量%以上1.5質量%以下、Feの含有率が0.005質量%以上3質量%以下、Pの含有率が0.005質量%以上0.7質量%以下、Sの含有率が0.005質量%以上0.8質量%以下であることがより好ましい。さらに、Kの含有率が0.005質量%以上1.5質量%以下、Mgの含有率が0.005質量%以上2.5質量%以下、Caの含有率が0.005質量%以上1質量%以下、Feの含有率が0.005質量%以上2質量%以下、Pの含有率が0.005質量%以上0.3質量%以下、Sの含有率が0.005質量%以上0.5質量%以下であることがさらに好ましい。粉体におけるK、Mg、Ca、Fe、P、Sの含有率は、XRF(蛍光X線分析)により定量することができる。
粉体の製造方法は、シリカを含み、平均粒子径Dsが5nm以上30nm未満である小粒子と、シリカを含み、平均粒子径DLが30nm以上50μm以下である大粒子と、を混合する工程を有することが好ましい。ここで、小粒子又は大粒子の少なくとも一方はNaを含んでもよい。また、Naを含まない小粒子、大粒子、又は、小粒子及び大粒子に、Naを含む化合物を添加してもよい。
シリカ粒子としては、上述の小粒子及び/又は大粒子を用いることが好ましい。シリカ粒子は、従来の製法で製造されるシリカ成分を有する粒子を原料とし、ナトリウムの含有率、BET比表面積、圧縮度又は熱伝導率を調整したものとすることができる。例えば、シリカ粒子は、酸性又はアルカリ性の条件下での湿式法により、ケイ酸イオンを縮合して製造された粒子でもよい。シリカを含む無機化合物粒子は、湿式法でアルコキシシランを加水分解・縮合して製造されたものでもよい。シリカ粒子は、湿式法で製造されたシリカ成分を焼成して製造されたものでもよい。シリカを含む無機化合物粒子は、塩化物などケイ素の化合物を気相で燃焼して製造されたものでもよい。シリカ粒子は、ケイ素金属やケイ素を含む原料を加熱して得られたケイ素ガスを酸化・燃焼して製造されたものでもよい。シリカ粒子は、ケイ石などを溶融して製造されたものでもよい。
ケイ酸ナトリウムを原料に酸性で作られるゲル法シリカ。
ケイ酸ナトリウムを原料にアルカリ性で作られる沈降法シリカ。
アルコキシシランの加水分解・縮合で合成されるシリカ。
ケイ素の塩化物を燃焼して作られるヒュームドシリカ。
ケイ素金属ガスを燃焼して作られるシリカ。
フェロシリコン製造時などに副生するシリカヒューム。
アーク法やプラズマ法で製造されるシリカ。
粉砕したシリカ粉末を火炎中で溶融・球状化する溶融シリカ。
粉体の製造方法において、小粒子又は大粒子の少なくとも一方はNaを含んでもよい。また、Naを含まない小粒子、大粒子、又は、小粒子及び大粒子に、Naを含む化合物を添加してもよい。また、小粒子又は大粒子は、粉体におけるNaの含有率が0.005質量%以上3質量%以下となるように、Naを含むことが好ましい。Naは、シリカ粒子の製造プロセスにおいて、Naを含む化合物として添加してもよく、十分な量のNaを予め含有しているシリカ粒子を使用してもよい。Naを含む化合物としては、特に限定されないが、例えばNaの酸化物、複合酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、難溶性の塩、及びアルコキシド等が挙げられる。これらは単独で添加してもよく、もしくはこれらの混合物を添加してもよい。Naを不純物として含有するシリカを含む無機化合物粒子を粉体の原料とするのは、生産性、コスト、作業性の観点から、好ましい態様である。このようなシリカを含む無機化合物粒子は、例えば沈殿法で作られたシリカゲル由来の粒子やフェロシリコン製造時などに複製するシリカヒュームとして得ることができる。
K、Mg、Ca、Fe、P、Sは、シリカの製造プロセスや粉体の製造プロセス中に、K、Mg、Ca、Fe、P、Sを含む化合物としてそれぞれ添加してもよいが、十分な量のK、Mg、Ca、Fe、P、Sを予め含有しているシリカを含む無機化合物粒子を使用してもよい。K、Mg、Ca、Fe、P、Sを含む化合物としては、特に限定されないが、例えばK、Mg、Ca、Fe、P、Sの酸化物、複合酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、難溶性の塩、及びアルコキシド等が挙げられる。これらは単独で添加してもよく、もしくはこれらの混合物を添加してもよい。K、Mg、Ca、Fe、P、Sを不純物として含有するシリカを含む無機化合物粒子を粉体の原料とするのは、生産性、コスト、作業性の観点から、好ましい態様である。このようなシリカを含む無機化合物粒子は、例えば沈殿法で作られたシリカゲル由来の粒子やフェロシリコン製造時などに複製するシリカヒュームとして得ることができる。
粉体の製造方法においては、シリカを含み、平均粒子径Dsが5nm以上30nm未満である小粒子と、シリカを含み、平均粒子径DLが30nm以上50μm以下である大粒子とを混合する工程を有することが好ましい。小粒子及び大粒子の混合は、公知の粉体混合機、例えば、改訂六版 化学工学便覧(丸善)に掲載されているものを使用して混合することができる。この時、赤外線不透明化粒子や無機繊維を混合したり、Na、K、Mg、Ca、Fe、P、Sをそれぞれ含む化合物やその水溶液を混合することも可能である。公知の粉体混合機としては、容器回転型(容器自体が回転、振動、揺動する)として水平円筒型、V型(攪拌羽根が付いていてもよい)、ダブルコーン型、立方体型及び揺動回転型、機械撹拌型(容器は固定され、羽根などで撹拌する)として、単軸リボン型、複軸パドル型、回転鋤型、二軸遊星攪拌型、円錐スクリュー型、高速撹拌型、回転円盤型、ローラー付き回転容器型、撹拌付き回転容器型、高速楕円ローター型、流動撹拌型(空気、ガスによって撹拌する)として、気流撹拌型、重力による無撹拌型が挙げられる。これらの混合機を組み合わせて使用してもよい。
粉体が断熱用途の場合、成形等の工程を経ることなく、粉体を使用する箇所に充填しただけでそのまま成形体として用いてもよいし、粉体を加圧成形したもの(成形体)を断熱材として用いてもよい。なお、加圧成形においては粉体が凝集しやすく、例えば貯槽ホッパ内で断熱材の残量によってかさ密度が変化するため、安定した連続供給が難しい場合があるが、本粉体によれば凝集の発生を抑制し、金型への充填不足や生産性の低下を防止しやすくなる。
被包体は、粉体及び/又は粉体からなる成形体と、それを収容する外被材とを有する。被包体は粉体や成形体と比較して取扱が容易で、施工もしやすいという利点を有する。図1は、本実施形態に係る被包体の断面模式図の一例である。また、図2は本実施形態に係る小粒子及び大粒子の断面模式図の一例である。図1及び図2に示すように、本実施形態の被包体1は、複数の小粒子Sと、小粒子Sよりも粒子径が大きい複数の大粒子Lと、を含有する粉体2(又は成形体)と、粉体2(又は成形体)を収容する外被材3から構成される。粉体2(又は成形体)内において、小粒子S及び大粒子Lは混合しており、大粒子Lの周囲に小粒子Sが存在している。なお、粉体及び/又は粉体からなる成形体をコア材という場合がある。
外被材は、コア材を収容可能な限り、特に限定されないが、例として、ガラスクロス、アルミナ繊維クロス、シリカクロス等の無機繊維織物、無機繊維編物、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、フッ素系樹脂フィルム等の樹脂フィルム、プラスチック−金属フィルム、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔等の金属箔、セラミックペーパー、無機繊維不織布、有機繊維不織布、ガラス繊維紙、炭素繊維紙、ロックウール紙、無機充填紙、有機繊維紙、セラミックコーティング、フッ素樹脂コーティング、シロキサン樹脂コーティング等の樹脂コーティング等を挙げることができる。被包体を断熱材とする場合、外被材の熱容量を小さくする観点から、外被材の厚みは薄い方が好ましいが、使用状況や必要な強度等に応じて適宜選択することが可能である。外被材が、コア材を使用する温度で安定なものからなる場合、使用時においても、外被材がコア材である粉体もしくは成形体を収容した状態である。高温で使用される被包体の場合は、使用後のコア材の取扱いがし易い観点で、耐熱性の高い外被材は好ましいが、本明細書中、「外被材」はコア材の使用時にコア材を収容しているものの他、コア材の運搬や施工の工程でコア材を収容しているものを包含する。つまり、外被材は運搬時や施工時にのみコア材を保護し、使用時には溶融及び/又は揮発してしまうものを包含するので、外被材そのものや外被材に含まれる有機成分は、コア材の使用温度で溶融や消失をしてもよい。
粉体は、小粒子及び大粒子を含み、使用状況に応じて赤外線不透明化粒子や無機繊維を添加し形成した粉体をコア材として、袋状やチューブ状に加工した外被材に充填したものでもよいし、この粉体を加圧成形してコア材とし、外被材で被覆したものでもよい。粉体をコア材とする場合、外被材が形成する容積に対する粉体の充填率は、粉体を使用する対象物に応じて適宜設定することが可能である。成形体をコア材とする場合は、後述するように、粉体と外被材を共に加圧成形してもよいし、粉体を加圧成形した後に外被材で被覆することも可能である。
本実施形態のシリカ粒子とNaを含む粉体、成形体及び被包体は、断熱材の他、吸音材、防音材、遮音材、反響防止材、消音材、研磨剤、触媒担体、吸着剤、芳香剤や殺菌剤などの薬剤を吸着する担体、脱臭剤、消臭剤、調湿材、充填剤、顔料等に好適に用いることもできる。
粉体のNaの含有率の測定、BET比表面積測定、圧縮度の測定、熱伝導率の測定は、次の方法により実施する。
粉体をメノー乳鉢で粉砕し、30mmφ塩ビリングに充填してXRF錠剤成型器で加圧成形してタブレットを作成し、測定試料とする。これを株式会社リガク製蛍光X線分析装置RIX−3000で測定する。成形体の場合も、メノー乳鉢に入るサイズにした後、メノー乳鉢で粉砕することで、同様にNa含有率を測定できる。
ユアサ・アイオニクス社製のガス吸着量測定装置「オートソーブ3MP」(商品名)により、吸着ガスとして窒素を用いて、粉体の比表面積を測定する(窒素吸着法)。比表面積はBET法を採用する。
圧縮度(%)は、疎充填かさ密度と密充填かさ密度を測定し、各々の測定値を下記式(1)に代入して求める。
圧縮度=100×(密充填かさ密度−疎充填かさ密度)/密充填かさ密度 (1)
疎充填かさ密度の測定方法:筒井理化学器械株式会社製の疎充填カサ密度測定器MVD−86形を用いて、電磁振動によりアパーチャーが500μmのふるいを通してサンプルを分散させ、100mLの試料容器に落下投入させる。試料充填終了後にすり切りヘラにてすり切り、重量を測定して密度を計算し、得られた値を疎充填かさ密度とする。
密充填かさ密度の測定方法:100mLの試料容器に接続用円筒枠をのせ、粉体が円筒枠いっぱいになるまで充填後、筒井理化学器械株式会社製の密充填かさ密度測定器 VBD−2形の振動台にのせて粉体が沈まなくなるまで振動させる。振動終了後、試料容器をすり切りヘラにてすり切り、重量を測定して密度を計算し、得られた値を密充填かさ密度とする。
縦30cm、横30cm、厚み5cmの発泡スチロールの中心部を縦24cm、横24cmの正方形状にくりぬき、発泡スチロールの枠を形成する。枠の一方に縦30cm、横30cmのアルミ箔を貼り付けて凹部を形成し、試料台とする。なお、アルミ箔で覆った面を試料台の底面とし、発泡スチロールの厚み方向に対するもう一方の面を天井面とする。凹部に粉体をすりきりで充填した後、天井面に縦30cm、横30cmのアルミ箔をのせたものを測定試料とする。測定試料を用いて、30℃での熱伝導率を、JISA1412−2に従い、ヒートフローメーター HFM 436 Lambda(商品名、NETZSCH社製)を使用して熱伝導率を測定する。較正は、密度163.12kg/m3、厚さ25.32mmのNIST SRM 1450c校正用標準板を使用して、高温側と低温側の温度差が20℃の条件において、15、20、24、30、40、50、60、65℃で予め実施する。成形体を測定する場合は、縦30cm、横30cm、厚み20mmの形状にした成形体を測定試料とする。800℃における熱伝導率は、JIS A 1421−1の方法に準拠して測定する。直径30cm、厚み20mmの円板状にした成形体2枚を測定試料とし、測定装置として、保護熱板法熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製)を使用する。
BET比表面積が125m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体に、0.5mol/LのNaOH水溶液を添加してロータリークラッシャーで混合し、シリカ粉体のNaの含有率を0.53質量%とした。このシリカ粉体の圧縮度は11%であり、30℃における熱伝導率は0.0203W/m・Kであった。このシリカ粉体407gを使用して内寸が縦30cm、横30cmの金型で加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0201W/m・Kであった。なお、シリカ粉体の平均粒子径は22nmであった。実施例1のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。なお、シリカ粉体とはシリカ粒子を含む粉体を意味し、以下同様である。
BET比表面積が364m2/gでNa含有率が0%のシリカ粉体(小粒子)90質量%と、BET比表面積が0.04m2/gでNa含有率が10%のシリカ粉体(大粒子)10質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例2のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.97質量%、327m2/g、12%であり、30℃における熱伝導率は0.0200W/m・Kであった。このシリカ粉体421gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0205W/m・Kであった。なお、小粒子の平均粒子径DSは7.5nmであり、大粒子の平均粒子径DLは60μmであった。実施例2のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が195m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体に、0.5mol/LのNaOH水溶液を添加してボールミルで混合し、実施例3におけるシリカ粉体のNaの含有率を2.9質量%とした。このシリカ粉体の圧縮度は9%であり、30℃における熱伝導率は0.0191W/m・Kであった。このシリカ粉体331gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、シリカ粉体の平均粒子径は14nmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0191W/m・Kであった。実施例3のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が364m2/gでNa含有率が0%のシリカ粉体(小粒子)25質量%と、BET比表面積が0.46m2/gでNa含有率が0.1%のシリカ粉体(大粒子)75質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例4のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.074質量%、91m2/g、29%であり、30℃における熱伝導率は0.0297W/m・Kであった。このシリカ粉体936gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、小粒子の平均粒子径DSは7.5nmであり、大粒子の平均粒子径DLは6μmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0301W/m・Kであった。実施例4のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が195m2/gでNa含有率が0%のシリカ粉体(小粒子)50質量%と、BET比表面積が18m2/gでNa含有率が0.34質量%のシリカ粉体(大粒子)50質量%をハンマーミルで均一に混合し、実施例5のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.17質量%、106m2/g、15%であり、30℃における熱伝導率は0.0214W/m・Kであった。このシリカ粉体576gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、小粒子の平均粒子径DSは14nmであり、大粒子の平均粒子径DLは150nmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0211W/m・Kであった。実施例5のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が364m2/gでNa含有率が0%のシリカ粉体(小粒子)40質量%と、BET比表面積が45m2/gでNa含有率が0.273%、圧縮度が35%のシリカ粉体(大粒子)60質量%をハンマーミルで使用して均一に混合し、実施例6のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.16質量%、172m2/g、27%であり、30℃における熱伝導率は0.0281W/m・Kであった。このシリカ粉体594gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、小粒子の平均粒子径DSは7.5nmであり、大粒子の平均粒子径DLは80nmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0285W/m・Kであった。実施例6のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が195m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体(小粒子)25質量%と、BET比表面積が0.23m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体(大粒子)75質量%をロータリークラッシャーで均一に混合した後、0.5mol/LのNaOH水溶液を添加してさらにロータリークラッシャーで混合し、Naの含有率が0.009質量%、BET比表面積が49m2/gである実施例7のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体の圧縮度は26%であり、30℃における熱伝導率は0.0313W/m・Kであった。このシリカ粉体1267gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、小粒子の平均粒子径DSは14nmであり、大粒子の平均粒子径DLは10μmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0314W/m・Kであった。実施例7のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
Naの含有率が0.030質量%、BET比表面積が9m2/gのシリカ粉体をジェットミルで粉砕してBET比表面積を13m2/gにし、実施例8のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体の圧縮度は24%であり、30℃における熱伝導率は0.0441W/m・Kであった。このシリカ粉体1978gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、シリカ粉体の平均粒子径は210nmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0445W/m・Kであった。実施例8のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
Naの含有率が4.15質量%、BET比表面積が111m2/gのシリカ粉体を、硝酸で酸洗浄してNaの含有率を2.3%とし、実施例9のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体の圧縮度は20%であり、30℃における熱伝導率は0.0223W/m・Kであった。このシリカ粉体702gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、シリカ粉体の平均粒子径は25nmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0225W/m・Kであった。実施例9のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が195m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体(小粒子)20質量%と、BET比表面積が0.46m2/gでNa含有率が0.1%のシリカ粉体(大粒子)60質量%をハンマーミルで均一に混合した後、平均粒子径が1μmの、赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウム15質量%を添加して引き続き均一に混合し、さらに平均繊維径が11μmで平均繊維長が6.4mmのグラスファイバー5質量%を添加して高速せん断ミキサーで混合して均一にし、実施例10のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.063質量%、39m2/g、10%であり、30℃における熱伝導率は0.0315W/m・Kであった。このシリカ粉体491gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。なお、小粒子の平均粒子径DSは14nmであり、大粒子の平均粒子径DLは6μmであった。また、成形体の30℃における熱伝導率は0.0311W/m・Kであった。実施例10のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
0.5mol/Lの硝酸ナトリウム水溶液を、15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル溶液(日産化学社製、商品名「スノーテックス 40」、SiO2含有率:40質量%)中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸ナトリウムの混合スラリーを得た。その後、出口温度を130℃に設定したスプレードライヤー装置で混合スラリーを噴霧乾燥し固形物を得た。次いで、得られた固形物を電気炉中で室温から300℃まで2時間かけて昇温後、300℃で3時間保持した。さらに550℃まで2時間で昇温後、550℃で3時間保持して焼成した後、徐冷し実施例11のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ1.7質量%、132m2/g、29%であり、30℃における熱伝導率は0.0339W/m・Kであった。このシリカ粉体990gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0341W/m・Kであった。実施例11のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
BET比表面積が195m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体(小粒子)21質量%と、BET比表面積が18m2/gでNa含有率が0.34%のシリカ粉体(大粒子)63質量%をハンマーミルで均一に混合した後、平均粒子径が1μmの、赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウム16質量%を添加して引き続き均一に混合し、実施例12のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.22質量%、52m2/g、17%であり、30℃における熱伝導率は0.0273W/m・Kであった。このシリカ粉体1042gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。成形体の30℃における熱伝導率は0.0275W/m・Kであった。また、このシリカ粉体819gずつ使用して、内径が直径30cmの円筒型の金型を使用して加圧成形を行い、直径30cm、厚み20mmの円板状の成形体を2枚得た。この2枚の成形体を用いて、800℃における熱伝導率を測定したところ、0.0851W/m・Kであった。なお、小粒子の平均粒子径DSは14nmであり、大粒子の平均粒子径DLは150nmであった。実施例12のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体の飛散は少なかった。金型へ供給する際、粉体の凝集は発生せず安定供給が可能であり、得られた成形体に成形欠陥は見られなかった。
Naの含有率が0質量%、BET比表面積が68m2/g、圧縮度が37%のシリカ粉体の、30℃における熱伝導率は0.0411W/m・Kであった。このシリカ粉体787gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得ようとしたが、比較例1のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体が著しく飛散した。金型へ供給する際には、粉体の凝集が発生し供給量のばらつきが見られ、得られた成形体には成形欠陥が見られた。さらに、金型から取り出す際に成形体の一部が破損した。なお、シリカ粉体の平均粒子径は40nmであった。
Naの含有率が4.15質量%、BET比表面積が111m2/g、圧縮度が23%のシリカ粉体の、30℃における熱伝導率は0.0252W/m・Kであった。このシリカ粉体702gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得ようとしたが、比較例2のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体が飛散した。得られた成形体は極めて脆く、金型から取り出す際に破損した。なお、シリカ粉体の平均粒子径は25nmであった。
BET比表面積が195m2/gでNa含有率が0質量%のシリカ粉体80質量%と、平均粒子径が1μmの、赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウム15質量%をハンマーミルで混合して均一にした後、さらに平均繊維径が11μmで平均繊維長が6.4mmのグラスファイバー5質量%を添加して高速せん断ミキサーで混合して均一にし、比較例3のシリカ粉体を得た。このシリカ粉体のNaの含有率、BET比表面積、圧縮度を測定したところ、それぞれ0.003質量%、156m2/g、9%であり、30℃における熱伝導率は0.0219W/m・Kであった。このシリカ粉体409gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得ようとしたが、比較例3のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体が著しく飛散した。得られた成形体には成形欠陥が見られた。なお、シリカ粉体の平均粒子径は14nmであった。
Naの含有率が0.27質量%、BET比表面積が45m2/g、圧縮度が35%のシリカ粉体の、30℃における熱伝導率は0.0313W/m・Kであった。このシリカ粉体614gを使用して、実施例1と同様に加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得ようとしたが、比較例4のシリカ粉体をホッパへ投入する際、粉体が飛散し、さらに粉体が凝集して安定供給が困難だった。得られた成形体には成形欠陥が見られた。なお、シリカ粉体の平均粒子径は80nmであった。
Claims (16)
- シリカとナトリウムとを含む粉体であって、
前記ナトリウムの含有率が0.005質量%以上3質量%以下であり、BET比表面積が10m2/g以上400m2/g以下であり、圧縮度が31%以下であり、かつ、30℃における熱伝導率が0.05W/m・K以下である、粉体。 - カリウムを含有し、前記カリウムの含有率が0.005質量%以上5質量%以下である、請求項1に記載の粉体。
- マグネシウムを含有し、前記マグネシウムの含有率が0.005質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載の粉体。
- カルシウムを含有し、前記カルシウムの含有率が0.005質量%以上2質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体。
- 鉄を含有し、前記鉄の含有率が0.005質量%以上6質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉体。
- リンを含有し、前記リンの含有率が0.002質量%以上1質量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉体。
- 硫黄を含有し、前記硫黄の含有率が0.002質量%以上1質量%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粉体。
- 無機繊維をさらに含有し、前記無機繊維の含有率が0.1質量%以上50質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粉体。
- 平均粒子径が0.5μm以上30μm以下である赤外線不透明化粒子をさらに含有し、前記赤外線不透明化粒子の含有率が0質量%超49.5質量%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粉体。
- 800℃における熱伝導率が0.15W/m・K以下である請求項9に記載の粉体。
- 前記無機繊維が生体溶解性を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の粉体。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の粉体を含有する成形体。
- 外被材を備え、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の粉体、及び/又は、請求項12に記載の成形体を前記外被材内に収容してなる、被包体。 - 前記外被材が無機繊維を含む、請求項13に記載の被包体。
- 前記外被材が樹脂フィルムである、請求項13に記載の被包体。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の粉体の製造方法であって、シリカを含み、平均粒子径DSが5nm以上30nm未満である小粒子と、シリカを含み、平均粒子径DLが30nm以上50μm以下である大粒子と、を混合する工程を有し、前記小粒子又は大粒子の少なくとも一方がナトリウムを含む、粉体の製造方法。
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