JP2012122543A - 断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温での熱収縮の小さい断熱材を提供すること。
【解決手段】シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子Sと、石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、小粒子Sよりも粒子径が大きい複数の大粒子Lと、を備える断熱材。
【選択図】図1

Description

本発明は、断熱材に関する。
室温での空気分子の平均自由行程は約100nmである。したがって、直径100nm以下の空隙を有する多孔質体内では、空気による対流や伝導による伝熱が抑制されるため、このような多孔質体は優れた断熱作用を示す。
この断熱作用の原理に従い、超微粒子を断熱材に用いることで、熱伝導率の極めて低い断熱材が得られることが知られている。例えば、下記特許文献1には、微孔性絶縁物質、赤外線遮断剤、粒状の絶縁性フィラー物質の混合物からなる、断熱材とその製造方法が開示されている。
特表2008−533402号公報
しかしながら、本発明者が特許文献1に記載の断熱材の挙動を調べたところ、高温使用時(例えば900℃24時間加熱)における体積変化(熱膨張、熱収縮)が大きいことが分かった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温での熱収縮が小さい断熱材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、下記の特徴を有する断熱材は、高温での熱収縮が小さいことを見出し、本発明を成すに至った。
本発明の断熱材は、シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子と、石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子と、を備える。本発明の断熱材は、高温での熱収縮が小さい。
上記本発明では、複数の小粒子の比重をC、複数の小粒子の質量の合計値をM、複数の大粒子の比重をC、複数の大粒子の質量の合計値をM、としたときに、Mに対するMの比率M/Mが0.092C/C以上3以下であることが好ましい。これにより、かさ密度が低く、施工性が良好な断熱材を得易くなる。
また、小粒子の平均粒子径Dが5nm以上50nm未満であり、大粒子の平均粒子径Dが50nm以上50μm以下であることが好ましい。これらの小粒子及び大粒子を用いた場合、優れた断熱性能を達成しやすい。
上記本発明の断熱材は、大粒子が小粒子により囲まれたコア−シェル構造を有することが好ましい。この場合、断熱材の熱伝導率が低下し、断熱性能が向上し易い。
上記本発明の断熱材は、無機繊維をさらに含有することが好ましい。そして、小粒子及び大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。これにより、粒子の付着力と無機繊維のからみあいの効果により、低圧での加圧成形が可能となるため、かさ密度が小さくなりやすい。
上記本発明では、小粒子及び大粒子、無機繊維以外に、赤外線不透明化粒子を含んでも、効果を発現することは可能である。この場合、平均粒子径が0.5μm以上30μm以下である赤外線不透明化粒子の含有率が、断熱材の全質量を基準として、0質量%超59.5質量%以下であることが好ましい。赤外線不透明化粒子を含有する断熱材では、輻射による伝熱が抑制されるため、特に高い温度での断熱性能を必要とする場合に好ましい。
上記本発明では、無機繊維は生体溶解性を有することが好ましい。生体溶解性の無機繊維を用いた断熱材は、生体に対して非溶解性の無機繊維(セラミック繊維等)を用いた断熱材に比べて、人体にとって安全である。
本発明によれば、高温での熱収縮の小さい断熱材を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る断熱材の断面模式図である。 シリカパウダー#300の粉末X線回折測定結果を示すチャート図である。 シリカヒュームEFACOの粉末X線回折測定結果を示すチャート図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。なお、図面において、同一の要素については同一の符号を付し、同一の要素の符号の一部は省略する。各粒子の位置関係及び寸法比は図面に示すものに限定されない。
図1は、本発明の一実施形態に係る断熱材の断面模式図である。
(断熱材)
本実施形態の断熱材は、複数の小粒子Sと、小粒子Sよりも大きい複数の大粒子Lとを含有する。断熱材内において、小粒子S及び大粒子Lは混合しており、図1に示すように小粒子Sが大粒子Lを取り囲むように大粒子Lの表面に付着している。小粒子Sはシリカを含む第一の無機化合物からなる。小粒子Sの比重はCである。大粒子Lは、石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなる。大粒子Lの比重はCである。
小粒子の比重C及び大粒子の比重Cは、ピクノメーター法により求められる真比重を指す。成形欠陥の抑制及び断熱性向上の観点から、好ましいCは2.0以上4.0以下である。2.0以上3.0以下であると、断熱材のかさ密度が小さくなるため、より好ましい。2.0以上2.5以下であると、小粒子のかさ密度が小さいため、大粒子との混合時において、より小さな動力で混合が可能となるため、生産性が向上し、さらに好ましい。
大粒子の比重Cは、2.0以上3.0以下であると、断熱材のかさ密度が小さいため、好ましい。Cが2.0以上2.9以下であると、小粒子との比重差が小さく、小粒子との均一混合が容易であるため、好ましい。Cは、2.1以上2.8以下であると、小粒子との比重差がさらに小さく、貯蔵や輸送において小粒子と大粒子の分離が起こりにくいため、より好ましい。
小粒子の平均粒子径Dは5nm以上50nm未満であることが好ましい。平均粒子径Dは、小粒子1000個を電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、その等面積円相当径を求めることにより、確認することができる。
小粒子の平均粒子径Dが5nmよりも小さいと、Dが上記の数値範囲内である場合に比べて、小粒子が化学的に不安定である傾向があり、断熱性能が安定し難い傾向がある。Dが50nm以上であると、Dが上記の数値範囲内である場合に比べて、小粒子同士の接触面積が大きくなり、断熱材の固体伝導による伝熱が増し、断熱性能が不十分となる傾向がある。
小粒子の平均粒子径Dは、5nm以上40nm以下であると、小粒子と大粒子の粒径の差が大きくなり、大粒子の小粒子に対する分散が容易となり、より好ましい。Dが5nm以上30nm以下であると、粒子の付着力が増して、断熱材からの粒子の脱落が減少し、さらに好ましい。
小粒子を構成する第一の無機化合物はシリカを含有する。第一の無機化合物におけるシリカの含有率は、50質量%以上であると、断熱材の固体伝導による伝熱が小さくなるため、好ましい。第一の無機化合物は、シリカを75質量%以上含むと、粒子の付着力が増して、断熱材からの粒子の脱落が減少するため、より好ましい。なお、本発明においてシリカとは、組成式SiOで表される成分を指す。第一の無機化合物は、純粋な二酸化ケイ素であってもよく、Si及び種々の他元素との塩や複合酸化物であってもよく、水酸化物のような含水酸化物であってもよい。第一の無機化合物が、シラノール基を有していてもよい。第一の無機化合物は、結晶質であっても、非晶質であっても、それらの混合体であってもよいが、非晶質であると、断熱材中の固体伝導による伝熱が小さくなり、断熱性能が向上するため、好ましい。
第一の無機化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シリカや石英と呼ばれるケイ素の酸化物。
ケイ素の部分酸化物。
シリカアルミナやゼオライトのようなケイ素の複合酸化物。
Na,Ca,K,Mg,Ba,Ce,B,Fe及びAl等のいずれかのケイ酸塩(ガラス)。
ケイ素以外の元素の酸化物,部分酸化物,塩又は複合酸化物(アルミナやチタニア等)と、ケイ素の酸化物,部分酸化物,塩又は複合酸化物との混合体。
SiCやSiNの酸化物。
小粒子がシリカを含有することは、例えば、小粒子を断熱材より分級して固体Si−NMR測定を行い、Q4構造を検出することで、確認することができる。小粒子におけるシリカの含有量は、例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(FE−SEM EDX)により、求めることができる。
第一の無機化合物は、断熱材の使用される温度において、熱的に安定であることが好ましい。具体的には、断熱材の使用最高温度において1時間保持したときに、第一の無機化合物の重量が10%以上減少しないことが好ましい。また、第一の無機化合物は耐水性を有することが好ましい。具体的には、25℃の水100gに対する第一の無機化合物の溶解量が0.1g未満であることが好ましく、0.01g未満であることがより好ましい。
大粒子を構成する第二の無機化合物は、石英の結晶構造を有する。本明細書中、「石英の結晶構造を有する」か否かは、JCPDFカード番号46−1045に記載されている回折パターンに基づき判断される。具体的には、分級された大粒子に、内部標準物質としてシリコン(Si)を添加したサンプルを調整し、CuKa1線を用いて、回折角2θが20°から70°の範囲で粉末X線回折(以下、XRDという)を測定し、石英に帰属されるピークを検出する。そして、内部標準物質であるシリコンの2θ=28.442°に現れる(111)のピーク面積をS、石英に帰属されるピークのうち、2θ=20.859°、26.639°に現れるそれぞれ(100)、(101)の合計ピーク面積をSとした時、SとSの比S/Sが1以上である場合に、第二の無機化合物が石英の結晶構造を有するものとする。内部標準物質であるシリコンは、2θ=28.442°に現れる(111)のピークについて、シェラーの式から求められる結晶子サイズが5nm以上のものを使用する。
/Sは、断熱材の強度が向上する観点から2以上がより好ましく、混合時に大粒子の磨耗が少ない観点から、3以上が更に好ましい。
第二の無機化合物は、石英である二酸化ケイ素(SiO)の他に、構成成分として不純物を含んでいても構わない。第二の無機化合物がSiOを85%以上含むと、断熱材の熱収縮が小さくなり、好ましい。SiOを90%以上含むと、小粒子と大粒子との付着性が向上するため、より好ましい。SiOを95%以上含むと、断熱材成形体のかさ比重が小さいため、最も好ましい。
第二の無機化合物は、アルミニウムを、酸化アルミ(Al)換算で200ppm以上10%以下含んでいると、断熱材の熱収縮が小さいため、好ましい。酸化アルミを200ppm以上5%以下含んでいると、小粒子との付着性が高いため、より好ましい。酸化アルミを200ppm%以上3%以下含むと、断熱材成形体のかさ比重が小さくなるため、最も好ましい。
断熱材の熱収縮の観点で、第二の無機化合物はNaOとKOを含み、NaOの含有量が0.5%以下であり、かつNaOとKOの含有量の合計が2%以下であるのが好ましい。NaOの含有量が0.2%以下であり、かつNaOとKOの含有量の合計が1%以下であると、小粒子との付着性が高いため、より好ましい。NaOの含有量が0.2%以下であり、かつNaOとKOの含有量の合計が0.5%以下であると、断熱材成形体のかさ比重が小さいため、最も好ましい。
好ましい第二の無機化合物の具体例としては、破砕した硅石が挙げられる。
大粒子の平均粒子径Dは50nm以上50μm以下であることが好ましい。Dは、前述のDと同じ方法により求められる。Dが50nmより小さいと、Dが上記の数値範囲内である場合に比べて、断熱材におけるスプリングバックが大きくなる傾向がある。Dが50μmより大きいと、かさ密度が大きくなる傾向がある。
大粒子の平均粒子径Dは、50nm以上30μm以下がより好ましい。この平均粒子径を示す大粒子は、無機繊維や赤外線不透明化粒子との均一な混合が容易である。Dは、50nm以上20μm以下であると、粒子の付着力が増し、断熱材からの粒子の脱落が少ないため、さらに好ましい。
がDの2倍以上であると、成形欠陥が起こりにいため、好ましい。DがDの3倍以上であると、小粒子と大粒子の混合粉体のかさ比重が大きく、粉体体積が小さいため作業性が高いので、より好ましい。DはDの4倍以上であると、小粒子と大粒子の粒径の差が大きくなり、大粒子の小粒子に対する分散が容易となり、さらに好ましい。
本発明者は、断熱材に含まれる全小粒子の質量の合計値Mと断熱材に含まれる全大粒子の質量の合計値Mとの比率M/Mが、0.092C/C以上3以下であると、成形欠陥が発生せず、かつ十分な断熱性能を有する断熱材が得られ易い傾向があることを見出した。
/Mが、0.092C/C未満であると、断熱性能が不十分となる傾向がある。また、M/Mが3より大きいと、断熱材に成形欠陥が発生する傾向がある。
/Mは、例えば、断熱材に含まれる小粒子及び大粒子を分級して、それぞれの質量を測定し、小粒子の質量を大粒子の質量で除することにより、求められる。
/Mは、0.25C/C以上2以下であることが、混合が容易となるため、より好ましい。M/Mは、0.25C/C以上1以下であると、小粒子と大粒子の混合粉体を加圧成形する際に、混合粉体と成形体の体積差が小さくなり、加圧成形が容易となるため、さらに好ましい。
断熱材内で粒子の付着力が発現するメカニズムは明らかではないが、一般的に、粒径がD、Dの二粒子間の付着力Fは、定数A、粒子表面間距離zを用いて、F=−A×D/(D+D)/(12z)と表わされることが知られている。このため、DとDがほぼ同じである場合よりも、DとDに差があるほうが、付着力が強くなる。このため、小粒子と大粒子を所定の比率で混合した粉体は、付着力が強くなり、低圧での加圧成形が可能となると推測される。
本発明者は、小粒子及び大粒子の混合体を用いて断熱材を作製し、その熱伝導率とM/Mの関係を詳細に調べた。その結果、M/Mが0.092C/C以上3以下の範囲では、断熱材の熱伝導率は十分小さく、かつM/Mの減少量に対する熱伝導率の増加量(熱伝導率の増加率)も小さいことを本発明者らは発見した。さらに、本発明者らは、M/Mが0.092C/C未満の範囲では、M/Mの減少に従い熱伝導率が増加する傾向があることを見出した。この理由は明らかではないが、M/Mが0.092C/C以上の領域では、断熱材が、気体伝導と固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造をとり易いためであると考えられる。
以下に、M/Mが0.092C/C以上のとき、断熱材中に伝熱に対するボトルネックが発生する構造となり易い原理を説明する。
仮に、すべての大粒子が真球状で同一の粒子径Dを有し、粒子間力が無いため大粒子は凝集せずに単分散すると仮定する。
一定の空間に大粒子を充填し、断熱材を形成すると、空間における大粒子の充填率は、少なくとも単純立方格子に占める大粒子の体積百分率の理論値である52体積%以上になると見積もられる。この空間とは、断熱材全体において大粒子及び小粒子が占める全体積に相当する。大粒子間に生じた48体積%のすべての空隙が、内部の細孔サイズが100nm以下の小粒子凝集体により充填される場合、この小粒子凝集体が気体伝導による伝熱に対するボトルネックとなり、断熱材全体において気体伝導による伝熱が小さくなる。加えて、小粒子の数をわずかに増やして、大粒子同士の各接点に、2個分の小粒子を直列に挿入すれば、大粒子同士が直接接触しない構造となる。このような構造においては、大粒子から大粒子への固体伝導による伝熱経路は、必ず伝熱抵抗が大きな小粒子の点接合部を通ることとなる。この小粒子の点接合部が、固体伝導による伝熱に対するボトルネックとなるため、断熱材全体において固体伝導による伝熱は小さくなる。
つまり、上記空間内に存在する小粒子凝集体の体積の合計値が上記空間内に存在する全大粒子の体積の理論値52体積%よりもわずかに大きい場合、断熱材は、気体伝導及び固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造となる。
小粒子凝集体のかさ比重は、小粒子のみを加圧成形した断熱材のかさ比重とほぼ等しいと考えることができる。このような小粒子のみを加圧成形した断熱材の空隙率は、概ね90%程度であり、かさ比重は真比重Cの10分の1程度であることが知られている。
以上の前提に基づけば、上記空間内に存在する全大粒子の体積の理論値(下限)と、上記空間内に存在する小粒子凝集体の体積の合計値(上限)との比52:48は、下記数式(1)で表される。
52:48=(M/C):(M/0.1C) ・・・(1)
大粒子間に生じた全空隙を充填するために必要な小粒子凝集体の質量の合計値Mの下限は、上記式(1)に基づく下記数式(2)で表される。換言すれば、気体伝導及び固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造を断熱材内に形成するために必要なMの下限は下記数式(2)で表される。
=(M/C)×(48/52)×0.1C=M×0.092(C/C) ・・・(2)
数式(2)から明らかなように、M/Mが0.092C/C以上であれば、大粒子間に生じた全空隙を充填するために充分な小粒子が断熱材に含有される。断熱材内で大粒子が凝集している場合、大粒子が単分散している場合と同様に、M/Mを0.092C/C以上とすることにより、すべての大粒子凝集体の間の空隙を、小粒子凝集体により充填することが可能である。
なお、M/Mが0.092C/C以上のとき、断熱材が伝熱に対するボトルネックを有する構造となり易い原理は、以上のものに限定されない。
断熱材は、大粒子が小粒子により囲まれたコア−シェル構造を有することが好ましい。つまり、大粒子は小粒子により囲まれており、断熱材の端から端まで大粒子が直接連結している構造が存在しないことが好ましい。この場合、大粒子間に小粒子が介在するため、大粒子間に生じた空隙が小粒子で充填され易く、大粒子同士が直接接触し難い。そのため、断熱材中に固体伝導の大きい伝熱経路が存在せず、断熱材全体の熱伝導率が低くなり易い。断熱材が、コア−シェル構造を有することは、断熱材断面をFE−SEMで観察することにより、確かめることができる。
断熱材中の大粒子は、分散性が良いほど断熱性能が向上する傾向となるため、単分散していることが好ましい。
また、大粒子及び小粒子は球状の形状を有することが好ましいが、成形性や施工性が損なわれず良好な断熱性が維持できる程度であれば、多面体状の形状を有していてもよい。
本実施態様の断熱材は、無機繊維を含むと、かさ密度の低い断熱材の成形が容易となり、好ましい。
無機繊維の平均太さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。無機繊維の平均太さが1μm以上であると、無機繊維は飛散し難く、作業性がよい。平均太さが20μm以下であると、無機繊維内の固体伝導による伝熱が抑えられ、断熱性能を確保する意味で好ましい。
無機繊維の平均太さは、FE−SEMにより、無機繊維1000本の太さを求めて、これを平均して求めることができる。
無機繊維の平均太さに対する無機繊維の平均長さの比(アスペクト比)は10以上であることが、曲げ強度が向上するため、好ましい。アスペクト比が100以上であると、無機繊維が飛散しにくくなり、より好ましい。無機繊維のアスペクト比は、FE−SEMにより測定した無機繊維1000本の太さ及び長さの平均値から求めることができる。
無機繊維の含有率は、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下だと、加圧成形が可能となり、好ましい。無機繊維の含有量が1%以下であると、成形また、無機繊維の含有量が60質量%より大きいと、圧力によらず加圧成形が困難となる。
断熱性能の観点から、無機繊維の含有量は0.5質量%以上40質量%以下がより好ましい。小粒子や大粒子、赤外線不透明化粒子との混合を容易にする観点から、無機繊維の含有率は0.5質量%以上20質量%以下であることが、さらに好ましい。
無機繊維の含有率は、例えば、無機繊維を断熱材から分級することにより、求めることができる。
なお、ここで言う無機繊維とは、無機化合物からなる繊維状のもののことを指す。
無機繊維として例を示すと、ガラス長繊維(フィラメント)(SiO−Al−B−CaO)、グラスウール(SiO−Al−CaO−NaO)、耐アルカリガラス繊維(SiO−ZrO−CaO−NaO)、ロックウール(バサルトウール)(SiO−Al−Fe−MgO−CaO)、スラグウール(SiO−Al−MgO−CaO)、セラミックファイバー(ムライト繊維)(Al−SiO)、シリカ繊維(SiO)、アルミナ繊維(Al−SiO)、チタン酸カリウム繊維、アルミナウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー(セッコウ繊維)、酸化亜鉛ウィスカー、ジルコニア繊維、炭素繊維、黒鉛ウィスカー、フォスフェート繊維、AES(Alkaline Earth Silicate)ファイバー(SiO−CaO−MgO)、 天然鉱物のウォラストナイト、セピオライト、アタパルジャイト、ブルーサイトなど、従来から知られる無機繊維を挙げることができる。
無機繊維の中でも、特に人体にとって安全である生体溶解性のAESファイバー(Alkaline Earth Silicate Fiber)を用いることが好ましい。AESファイバーとしては、例えば、SiO−CaO−MgO系の無機質のガラス(無機高分子)が挙げられる。
断熱材には、赤外線不透明化粒子が混合されていることが、高い温度での断熱性能を発現させることから、好ましい。赤外線不透明化粒子とは、赤外線を反射、散乱又は吸収するような材料からなる粒子を指す。断熱材に赤外線不透明化粒子が混合されていると、輻射による伝熱が抑制されるため、特に200℃以上の高い温度領域での断熱性能が向上する。
赤外線不透明化粒子の例を示すと、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、鉄チタン酸化物、酸化鉄、酸化銅、炭化ケイ素、金鉱石、二酸化クロム、二酸化マンガン、グラファイトなどの炭素質物質、炭素繊維、スピネル顔料、アルミニウムの粒子、ステンレス鋼の粒子、青銅の粒子、銅/亜鉛合金の粒子、銅/クロム合金の粒子を挙げることができる。従来から赤外線不透明物質として知られる上記の金属粒子又は非金属粒子を、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
赤外線不透明化粒子としては、特に、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン又は炭化ケイ素を用いることが好ましい。
赤外線不透明化粒子の組成は、小粒子の場合と同様に、FE−SEM EDXにより求められる。
赤外線不透明化粒子の平均粒子径は、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。赤外線不透明化粒子の平均粒子径が0.5μm以上である場合、200℃以上での十分な断熱性能を達成し易い。赤外線不透明化粒子の平均粒子径が30μm以下である場合、断熱材における固体伝導が抑制され、200℃未満での十分な断熱性能を達成し易い。なお、赤外線不透明化粒子の平均粒子径は、小粒子と同じ方法により求められる。
赤外線不透明化粒子の平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが、無機繊維や小粒子、大粒子との混合が容易となるため、より好ましい。
断熱材中の赤外線不透明化粒子の含有率は、断熱材の全質量を基準として、0質量%超59.5質量%以下であることが好ましい。赤外線不透明化粒子の含有率が59.5質量%より大きいと、固体伝導による伝熱が増すため、200℃未満での断熱性能が低下する傾向がある。200℃以上での断熱性能を向上させるためには、赤外線不透明化粒子の含有量は、2質量%以上であることが好ましい。
赤外線不透明化粒子の含有率は、2質量%以上30質量%以下であると、無機繊維や大粒子、小粒子との混合が容易となり、さらに好ましい。
赤外線不透明化粒子の含有率は、例えば、赤外線不透明化粒子のみが含有する元素を、蛍光X線分析法により定量することで、求めることができる。
本実施形態の断熱材は、高温に曝されても熱収縮が小さい。このような熱収縮は、例えば以下のようにして評価することができる。すなわち、作製した断熱材(成形体)の室温(25℃)における外寸法及び体積を測定後、断熱材を電気炉を使用して900℃24時間加熱する。その後、自然放冷により断熱材を室温まで冷却し、再度外寸法及び体積を測定し、下記数式(3)に基づき、収縮率を求める。これにより、断熱材の熱収縮を評価することができる。
収縮率(%)={(加熱前の成形体の体積)−(加熱後の成形体の体積)}/(加熱前の成形体の体積)×100 ・・・(3)
(断熱材の製造方法)
小粒子としては、従来知られる製法で製造されるシリカ成分を有する粒子を使用することができる。例えば、小粒子は、酸性又はアルカリ性の条件下での湿式法により、ケイ酸イオンを縮合して製造された粒子でもよい。小粒子は、湿式法でアルコキシシランを加水分解・縮合して製造されたものでもよい。小粒子は、湿式法で製造されたシリカ成分を焼成して製造されたものでもよい。小粒子は、塩化物などケイ素の化合物を気相で燃焼して製造されたものでもよい。小粒子は、ケイ素金属やケイ素を含む原料を加熱して得られたケイ素ガスを酸化・燃焼して製造されたものでもよい。小粒子は、ケイ石などを溶融して製造されたものでもよい。
小粒子に含まれるシリカ成分以外の成分としては、上記の製法において原料中に不純物として存在しているものを利用してもよい。シリカ成分以外の成分を、製造プロセス中に意図的に原料に添加してもよい。
小粒子として用いるシリカとしては、従来から知られる製法で製造された下記のシリカが好適に使用される。
<湿式法で合成されるシリカ>
ケイ酸ナトリウムを原料に酸性で作られるゲル法シリカ。
ケイ酸ナトリウムを原料にアルカリ性で作られる沈降法シリカ。
アルコキシシランの加水分解・縮合で合成されるシリカ。
<乾式法で合成されるシリカ>
ケイ素の塩化物を燃焼して作られるヒュームドシリカ。
ケイ素金属ガスを燃焼して作られるシリカ。
フェロシリコン製造時などに副生するシリカヒューム。
アーク法やプラズマ法で製造されるシリカ。
ケイ石を溶融して作られる溶融シリカなど。
上記のシリカのうち、小粒子としては、ヒュームドシリカを用いることがより好ましい。
大粒子としては、天然の硅石を破砕した硅石粉末が好適に用いられる。硅石粉末は、例えば、天然の硅石から、粘土類などの夾雑物を除去したあと、各種方法により粉砕し、焼成し、さらに細かく粉砕した後、分級することにより、製造される。
断熱材は、小粒子と大粒子とを混合することにより製造される。さらに使用状況に応じて、この混合体に無機繊維や赤外線不透明化粒子を添加して形成した粉体を断熱材として用いてもよい。この粉体を加圧成形したものを断熱材として用いてもよい。
小粒子、大粒子、赤外線不透明化粒子及び無機繊維は、粉体の混合に用いられる各種の混合機を使用して混合することができる。公知の混合機としては、例えば、容器回転型(容器自体が回転、振動、揺動する)として水平円筒型、V型(攪拌羽根が付いていてもよい)、ダブルコーン型、立方体型及び揺動回転型、機械撹拌型(容器は固定され、羽根などで撹拌する)として、単軸リボン型、複軸パドル型、回転鋤型、二軸遊星攪拌型、円錐スクリュー型、高速撹拌型、回転円盤型、ローラー付き回転容器型、撹拌付き回転容器型、高速楕円ローター型、流動撹拌型(空気、ガスによって撹拌する)として、気流撹拌型、重力による無撹拌型が挙げられる。これらの混合機を組み合わせて使用してもよい。
小粒子、大粒子、赤外線不透明化粒子及び無機繊維の混合は、従来から粉体の粉砕に用いられる各種の粉砕機を使用して、粒子を粉砕したり、無機繊維を裁断したり、粒子や無機繊維の分散性を向上させながら行ってもよい。従来から知られる粉砕機としては、ロールミル(高圧圧縮ロールミル、ロール回転ミル)、スタンプミル、エッジランナー(フレットミル、チリアンミル)、切断・せん断ミル(カッターミルなど)、ロッドミル、自生粉砕機(エロフォールミル、カスケードミルなど)、竪型ローラーミル(リングローラーミル、ローラーレスミル、ボールレースミル)、高速回転ミル(ハンマーミル、ケージミル、ディスインテグレーター、スクリーンミル、ディスクピンミル)、分級機内蔵型高速回転ミル(固定衝撃板型ミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル、アニュラー型ミル)、容器駆動媒体ミル(転動ボールミル(ポットミル、チューブミル、コニカルミル)、振動ボールミル(円形振動ミル、旋動振動ミル、遠心ミル)、遊星ミル、遠心流動化ミル)、媒体撹拌式ミル(塔式粉砕機、撹拌槽式ミル、横型流通槽式ミル、竪型流通槽式ミル、アニュラーミル)、気流式粉砕機(気流吸込型、ノズル内通過型、衝突型、流動層ジェット吹込型)、圧密せん断ミル(高速遠心ローラーミル、インナーピース式)、乳鉢、石臼などが挙げられる。これらの粉砕機を組み合わせて使用してもよい。
これらの混合機と粉砕機のうち、高速回転ミル、分級機内蔵型高速回転ミル、媒体撹拌式ミル、圧密せん断ミル、石臼が、粒子や無機繊維の分散性が向上するため、好ましい。
断熱材は、金型プレス成形法(ラム式加圧成形法)、ラバープレス法(静水圧成形法)、押出成形法など、従来から知られるセラミックス加圧成形法によって成形することができる。生産性の観点から、金型プレス成形法が好ましい。
金型プレス成形法やラバープレス法において粉末状の断熱材を型に充填するときには、粉末状の断熱材に振動を与えるなどして、均一に充填することが、断熱材成形体の厚みが均一となるため、好ましい。
型内を減圧・脱気しながら粉末状の断熱材を型に充填すると、粉体を短時間で充填できるため、生産性の観点から好ましい。
加圧成形中又は加圧成形後の断熱材を、断熱材の耐熱性が十分である温度や時間の条件の範囲内で、断熱材が構造変化しないように加熱乾燥し、断熱材中の吸着水を除去した後、実用に供すると、熱伝導率が低くなるため、好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、大粒子として、シリカパウダー#300(商品名、竹折砿業所株式会社製)を用いた。小粒子として、ヒュームドシリカHDK−N20(商品名、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を用いた。
シリカパウダー#300に内部標準物質としてシリコンを20質量%添加し、粉末X線回折装置RINT 2500(商品名、株式会社リガク製)を使用して粉末X線回折測定(CuKa1線、回折角2θ:20°〜70°)を行ったところ、図2に示すとおり、JCPDFカード番号46−1045に記載されている、石英の回折パターンを有していた。また、内部標準物質であるシリコンの2θ=28.442°に現れる(111)のピーク面積をS、石英に帰属されるピークのうち、2θ=20.859°、26.639°に現れるそれぞれ(100)、(101)の合計ピーク面積をSとした時、SとSの比S/Sは4.2であり、シリカパウダー#300が石英の結晶構造を有するものであることが確認できた。
各粒子の平均粒子径を、FE−SEM装置S−4700(商品名、日立ハイテクフィールディング製)を使用してより求めた。シリカパウダー#300の平均粒子径は6μmであった。ヒュームドシリカHDK−N20の平均粒子径は14nmであった。
メーカーの分析値によると、ヒュームドシリカHDK−N20中のシリカの含有率は100質量%であった。
自動湿式真密度測定器オートトゥルーデンサーMAT−7000(商品名、セイシン企業製)を使用し、各粒子の真比重を求めた。シリカパウダー#300の真比重Cは2.6であり、ヒュームドシリカHDK−N20の真比重Cは2.2であった。これより、実施例1における0.092C/Cは0.078であった。
345gのシリカパウダー#300と、115gのヒュームドシリカHDK−N20を、ボールミルを使用して均一に混合して、実施例1の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。ヒュームドシリカHDK−N20の質量の合計値Mは115gであり、シリカパウダー#300の質量の合計値Mは345gであることから、比率M/Mは0.33であった。
上記の混合粉末415gを、内寸が縦20cm、横20cmの金型を使用して加圧成形を行い、縦20cm、横20cm、厚み20mmの成形体を得た。
実施例1の断熱材には、成形欠陥は見られなかった。この断熱材の25℃での熱伝導率を、熱伝導率測定装置オートΛ HC−074 200(商品名、英弘精機株式会社製)を利用して測定した。実施例1の断熱材の熱伝導率は、0.031W・m−1・K−1であった。
室温(25℃)における成形体の寸法を測定後、電気炉を使用して成形体を900℃24時間加熱した。その後、自然放冷により成形体を室温まで冷却し、再度寸法を測定した。成形体の収縮率を、下記数式(3)に従って算出したところ、0.9%であった。
収縮率(%)={(加熱前の成形体の体積)−(加熱後の成形体の体積)}/(加熱前の成形体の体積)×100 ・・・(3)
[実施例2]
782gのシリカパウダー#300と、68gのヒュームドシリカHDK−N20とを、実施例1と同様にして混合して、実施例2の混合粉末を調製した。実施例2における比率M/Mは0.087であった。
実施例2の混合粉末800gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例2の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例2の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例2の成形体の熱伝導率は、0.045W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.8%であった。
[実施例3]
50gのシリカパウダー#300と、150gのヒュームドシリカHDK−N20を、実施例1と同様にして混合して、実施例3の混合粉末を調製した。実施例3における比率M/Mは3.0であった。
実施例3の混合粉末187gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例3の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例3の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例3の成形体の熱伝導率は、0.020W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.9%であった。
[実施例4]
シリカパウダー#300の代わりに、シリカパウダー(特)(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、実施例1と同様にして混合して、実施例4の混合粉末を調製した。実施例4における比率M/Mは0.33であった。
シリカパウダー(特)の粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、S/Sは5.3であり、シリカパウダー(特)が石英の結晶構造を有するものであることが確認できた。
実施例1と同様にしてシリカパウダー(特)の平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ25μm、2.6であった。これより、実施例4における0.092C/Cは0.078であった。
実施例4の混合粉末450gの混合粉体を、実施例1と同様にして加圧成形し、厚さ20mmの成形体を得た。実施例4の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例4の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例4の成形体の熱伝導率は、0.032W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、1.0%であった。
[実施例5]
シリカパウダー#300の代わりに、CMシリカフラワーM(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例5の混合粉末を調製した。実施例5における比率M/Mは0.33であった。
CMシリカフラワーMの粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、S/Sは5.9であり、CMシリカフラワーMが石英の結晶構造を有するものであることが確認できた。
実施例1と同様にしてCMシリカフラワーMの平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ20μm、2.6であった。これより、実施例5における0.092C/Cは0.078であった。
実施例5の混合粉末425gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例5の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例5の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様に測定した。実施例5の成形体の熱伝導率は、0.032W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.8%であった。
[実施例6]
シリカパウダー#300の代わりに、高純度シリカパウダーT−50(商品名、竹折砿業所株式会社製)を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例6の混合粉末を調製した。実施例6における比率M/Mは0.33であった。
高純度シリカパウダーT−50の粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、S/Sは6.0であり、高純度シリカパウダーT−50が石英の結晶構造を有するものであることが確認できた。
実施例1と同様にして高純度シリカパウダーT−50の平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ10μm、2.6であった。これより、実施例6における0.092C/Cは0.078であった。
実施例6の混合粉末420gを実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例6の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例6の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例6の成形体の熱伝導率は、0.031W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.9%であった。
[実施例7]
480gのシリカパウダー#300と、160gのヒュームドシリカHDK−N20と、無機繊維である40gのセラミックファイバーのSCバルク1260(商品名、新日本サーマルセラミックス株式会社製)と、120gの赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウムのミクロパックスS(商品名、ハクスイテック株式会社製)を、M20汎用ミル(商品名、IKAジャパン株式会社製)を使用して均一に混合し、実施例7の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。実施例7における比率M/Mは0.33であった。
SCバルク1260の平均太さを、FE−SEM装置S−4700を使用して求めたところ、3μmであった。また、実施例1と同様にして、ミクロパックスSの平均粒径を求めたところ1μmであった。
この混合粉末を386gずつ使用して、内径が直径30cmの円筒型の金型を使用して加圧成形を行い、直径30cm、厚み20mmの円板状の成形体を2枚得た。実施例7の断熱材に成形欠陥は見られなかった。
この2枚の成形体を用いて、400℃での熱伝導率を、保護熱板法熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製)を利用して測定した。円板状の成形体の熱伝導率は、0.045W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.8%であった。
[実施例8]
345gのシリカパウダーA−3(商品名、竹折砿業所株式会社製)と、115gのヒュームドシリカHDK−N20を、ロータリークラッシャーNR−08(商品名、三庄イインダストリー株式会社製)を使用して短時間で均一に混合して、実施例8の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。実施例8における比率M/Mは0.33であった。
シリカパウダーA−3の粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、S/Sは5.3であり、シリカパウダーA−3が石英の結晶構造を有するものであることが確認できた。
実施例1と同様にしてシリカパウダーA−3の平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ50μm、2.6であった。これより、実施例8における0.092C/Cは0.078であった。
実施例8の混合粉末440gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例8の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例8の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様に測定した。実施例8の成形体の熱伝導率は、0.045W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.5%であった。
[実施例9]
600gのシリカパウダー#300と、150gのヒュームドシリカHDK−N20とを、実施例1と同様にして混合して、実施例9の混合粉末を調製した。実施例9における比率M/Mは0.25であった。
実施例9の混合粉末727gを、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例9の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例9の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例9の成形体の熱伝導率は、0.040W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、0.7%であった。
[比較例1]
107gのヒュームドシリカHDK−N20を、実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得たところ、成形体には、成形欠陥が見られ、取り出す際に成形体の一部が破損した。そのため成形体の熱伝導率及び収縮率の評価をすることができなかった。
[比較例2]
270gのシリカヒュームEFACO(商品名、巴工業株式会社製)と、90gのヒュームドシリカHDK−N20を、実施例1と同様にして混合し、比較例2の混合粉末を調製した。
シリカヒュームEFACOの粉末X線回折測定を、実施例1と同様に行ったところ、図3に示すとおり、ブロードなチャートとなり、石英に帰属されるピークは検出されなかった。
比較例2の混合粉末322gを実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。比較例2の成形体に成形欠陥は見られなかった。
比較例2の成形体の25℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。比較例2の成形体の熱伝導率は、0.027W・m−1・K−1であった。
実施例1同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、12%であった。
本発明は、高温でも熱収縮が少なく、かつ優れた断熱性能を有するため、断熱材として好適に使用できる。
S・・・小粒子、L・・・大粒子。

Claims (7)

  1. シリカを含む第一の無機化合物からなる複数の小粒子と、
    石英の結晶構造を有する第二の無機化合物からなり、前記小粒子よりも粒子径が大きい複数の大粒子と、
    を備える断熱材。
  2. 前記複数の小粒子の比重をC、前記複数の小粒子の質量の合計値をM、前記複数の大粒子の比重をC、前記複数の大粒子の質量の合計値をM、としたときに、
    前記Mに対する前記Mの比率M/Mが0.092C/C以上3以下である、
    請求項1に記載の断熱材。
  3. 前記小粒子の平均粒子径Dが5nm以上50nm未満であり、
    前記大粒子の平均粒子径Dが50nm以上50μm以下である、
    請求項1又は2に記載の断熱材。
  4. 前記大粒子が前記小粒子により囲まれたコア−シェル構造を有する、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の断熱材。
  5. 無機繊維をさらに含有し、
    前記小粒子及び前記大粒子の含有量の合計値が、断熱材の全質量を基準として、40質量%以上99.5質量%以下であり、
    前記無機繊維の含有量が、断熱材の全質量を基準として、0.5質量%以上60質量%以下である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱材。
  6. 平均粒子径が0.5μm以上30μm以下である赤外線不透明化粒子をさらに含有し、該赤外線不透明化粒子の含有率が、断熱材の全質量を基準として、0質量%超59.5質量%以下である、
    請求項1〜5いずれか一項に記載の断熱材。
  7. 前記無機繊維が生体溶解性を有する、
    請求項5又は6に記載の断熱材。
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