JP5683989B2 - 断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、断熱材及びその製造方法に関する。
室温での空気分子の平均自由行程は約100nmである。したがって、直径100nm以下の空隙を有する多孔質体内では、空気による対流や伝導による伝熱が抑制されるため、このような多孔質体は優れた断熱作用を示す。
この断熱作用の原理に従い、超微粒子を断熱材に用いることで、熱伝導率の極めて低い断熱材が得られることが知られている。例えば、下記特許文献1には、微孔性絶縁物質、赤外線遮断剤、粒状の絶縁性フィラー物質の混合物からなる、断熱材とその製造方法が開示されている。
特表2008−533402号公報
しかしながら、特許文献1の断熱材は、高温(例えば、900℃で24時間)に加熱したときの体積変化(熱膨張、熱収縮)が大きく、寸法安定性を求められる用途には不向きであることが分かった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温に曝されても熱収縮が小さい断熱材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、シリカを含む無機化合物の小粒子と、非晶質のシリカを含む無機化合物の大粒子を備える断熱材であって、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有率が断熱材の全質量を基準として総計で2500ppm以下である断熱材は、熱収縮が小さく、寸法安定性に優れた断熱材となることを発見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の断熱材は、シリカを含む第一の無機化合物からなり、平均粒子径Dが5nm以上30nm未満である複数の小粒子と、非晶質のシリカを含む第二の無機化合物からなり、平均粒子径Dが30nm以上50μm以下である複数の大粒子と、を備え、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有率が、断熱材の全量を基準として総計で2500ppm以下である。
本発明の断熱材は、小粒子の比重をC、大粒子の比重をCとしたときに、複数の大粒子の質量の合計値Mに対する複数の小粒子の質量の合計値Mの比率M/Mが0.035C/C以上3以下であることが好ましい。
本発明の断熱材は、無機繊維をさらに含有することが好ましく、無機繊維の含有率が0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。このとき、小粒子及び大粒子の含有率の合計値が50質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の断熱材は、平均粒子径が0.5μm以上30μm以下である赤外線不透明化粒子をさらに含有し、赤外線不透明化粒子の含有率が50質量%以下であることが好ましい。
本発明の断熱材は、無機繊維が生体溶解性を有することが好ましい。
本発明の断熱材の製造方法は、シリカを含む第一の無機化合物からなり、平均粒子径Dが5nm以上30nm未満であり、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有率が全質量を基準として総計で500ppm以下である複数の小粒子と、非晶質のシリカを含む第二の無機化合物からなり、平均粒子径Dが30nm以上50μm以下であり、前記元素の含有率が全質量を基準として総計で500ppm以下である複数の大粒子と、を混合する工程を有する。
本発明の断熱材の製造方法によれば、熱収縮が小さく、寸法安定性に優れた断熱材を作製することが可能となる。
本発明によれば、高温に曝されても熱収縮が小さい断熱材及びその製造方法を提供することができる。
シリカヒュームSF−STの粉末X線回折測定結果を示すチャート図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」とも称する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の断熱材は、シリカを含む第一の無機化合物からなり、平均粒子径Dが5nm以上30nm未満である複数の小粒子と、非晶質のシリカを含む第二の無機化合物からなり、平均粒子径Dが30nm以上50μm以下である複数の大粒子と、を備え、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有率が、断熱材の全質量を基準として総計で2500ppm以下である。なお、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素(以下、本明細書において「塩基性元素」という場合がある)の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。
[1]断熱材
[1−1]小粒子
小粒子の平均粒子径Dは、小粒子の化学的安定性を確保する観点で5nm以上であり、十分な断熱性を得る観点で30nm未満である。平均粒子径を5nm以上30nm未満に有する小粒子を含む断熱材は、小粒子が化学的に安定であるために断熱性能が安定し易い上、小粒子同士の接触面積が小さいので、断熱材の固体伝導による伝熱が少ない。平均粒子径Dは、小粒子1000個を電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、その等面積円相当径を求めて数平均を算出することにより、確認することができる。
小粒子の平均粒子径Dは、5nm以上20nm以下であると、小粒子と大粒子の粒径の差が大きくなり、大粒子の小粒子に対する分散が容易となり、好ましい。Dが5nm以上15nm以下であると、粒子の付着力が増して、断熱材からの粒子の脱落が減少し、より好ましい。
小粒子は、シリカを含有する第一の無機化合物から構成される。第一の無機化合物におけるシリカの含有率が50質量%以上であると、断熱材の固体伝導による伝熱が小さいため、好ましい。第一の無機化合物は、シリカを75質量%以上含むと、粒子の付着力が増して、断熱材からの粒子の脱落が減少するため、より好ましい。なお、本明細書中、シリカとは、組成式SiOで表される成分を指す。第一の無機化合物は、純粋な二酸化ケイ素であってもよく、Si及び種々の他元素との塩や複合酸化物であってもよく、水酸化物のような含水酸化物であってもよい。第一の無機化合物が、シラノール基を有していてもよい。第一の無機化合物は、結晶質であっても、非晶質であっても、それらの混合体であってもよいが、非晶質であると、断熱材中の固体伝導による伝熱が小さくなり、断熱性能が向上するため、好ましい。
断熱材の熱収縮を抑制する観点で、小粒子中のアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が、小粒子の全質量を基準として総計で500ppm以下であることが好ましい。塩基性元素の含有率は、融着によって形成された粒子間の接合箇所における固体伝導を抑制する観点から、総計で400ppm以下がより好ましく、総計で300ppm以下がさらに好ましい。
シリカを含む第一の無機化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。この中で、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が総計で500ppm以下であるものを用いることが好ましい。
シリカや石英と呼ばれるケイ素の酸化物。
ケイ素の部分酸化物。
シリカアルミナやゼオライトのようなケイ素の複合酸化物。
ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)、ホウ素(B)、鉄(Fe)及びアルミニウム(Al)等のいずれかのケイ酸塩(ガラス)。
ケイ素以外の元素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物(アルミナやチタニア等)と、ケイ素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物との混合体。
SiCやSiNの酸化物。
小粒子がシリカを含有することは、例えば、小粒子を断熱材より分級して固体Si−NMR測定を行い、Q4構造を検出することで、確認することができる。小粒子におけるシリカの含有率は、例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(FE−SEM EDX)により、求めることができる。
第一の無機化合物は、断熱材の使用される温度において、熱的に安定であることが好ましい。具体的には、断熱材の使用最高温度において1時間保持したときに、無機化合物の重量が10%以上減少しないことが好ましい。また、無機化合物は耐水性を有することが好ましい。具体的には、25℃の水100gに対する無機化合物の溶解量が0.1g未満であることが好ましく、0.01g未満であることがより好ましい。
小粒子の比重Cは、ピクノメーター法により求まる真比重を指す。成形欠陥の抑制及び断熱性向上の観点から、好ましいCは2.0以上4.0以下である。2.0以上3.0以下であると、断熱材のかさ密度が小さくなるため、より好ましい。2.0以上2.5以下であると、小粒子のかさ密度が小さいため、大粒子との混合時において、より小さな動力で混合が可能となるため、生産性が向上し、さらに好ましい。
[1−2]大粒子
大粒子の平均粒子径Dは30nm以上50μm以下である。Dは、前述のDと同じ方法により求められる。Dが30nmより小さいと、Dが上記の数値範囲内である場合に比べて、断熱材におけるスプリングバックが大きくなる。ここでスプリングバックとは、超微粒子を主成分とする断熱材前駆体を加圧成形する際、加圧後圧力を開放した時に成形体が大きく膨張する現象を言う。スプリングバックによって、加工成形時のプレス面に対して垂直な面に亀裂状の成形欠陥が発生することがある。このような成形欠陥が断熱材に存在すると、断熱材が破損する恐れがあるばかりか、断熱性能も低下するため好ましくない。Dが50μmより大きいと、かさ密度が大きくなる傾向がある。
大粒子の平均粒子径Dは、30nm以上10μm以下が好ましい。この平均粒子径を示す大粒子は、無機繊維や赤外線不透明化粒子との均一な混合が容易である。Dは、30nm以上5μm以下であると、粒子の付着力が増し、断熱材からの粒子の脱落が少ないため、より好ましい。
はDの2倍以上であることが、スプリングバックが小さくなるため、好ましい。DはDの3倍以上であると、小粒子と大粒子の混合粉体のかさ比重が大きくなり、粉体体積が小さくなるため作業性が向上するので、より好ましい。DはDの4倍以上であると、小粒子と大粒子の粒径の差が大きくなり、大粒子の小粒子に対する分散が容易となり、さらに好ましい。
複数の大粒子のうち粒子径が100nm以上である大粒子は、熱伝導率を小さくする観点から、球状であることが好ましい。なお、「複数の大粒子」とは、粒子径が100nm以上の大粒子だけでなく、小粒子よりも粒子径が大きい全ての大粒子を意味する。この理由は明らかではないが、粒子径が100nm以上の粒子が球状であれば、粒子の接触抵抗が大きくなるため、断熱材の熱伝導率が小さくなるためであると推測される。
本実施形態において、大粒子中に含まれる、「粒子径が100nm以上の粒子が球状」であるか否かは、以下のようにして判断される。すなわち、大粒子同士が重ならないように撮影、画像処理した大粒子のFE−SEM画像から、例えば、画像解析ソフトのA像くん(商品名、旭化成エンジニアリング株式会社製)を使用して、粒子径が100nm以上の1000個の大粒子の最大径及び面積を求める。そして、下記式(1)に基づき、個々の粒子の丸さの度合いを求め、その平均値を求める。このとき、丸さの度合いの平均値が、1以上1.3以下である場合に、大粒子中に含まれる、粒子径が100nm以上の粒子が球状であるものとする。
丸さの度合い={π×(最大径/2)/面積} (1)
丸さの度合いの平均値が1以上1.28以下であると、大粒子の付着性が低下し、ハンドリングが容易であるため、好ましい。丸さの度合いの平均値が1以上1.26以下であると、大粒子と小粒子の混合が容易となるため、さらに好ましい。丸さの度合いの平均値が1以上1.24以下であると、大粒子の単分散が容易となり、混合粉体を成形すると均質な断熱材を得ることが容易となるため、生産性が向上し、最も好ましい。
大粒子の比重Cは、前述のCと同じ方法で求められる。大粒子の比重Cは、2.0以上3.0以下であると、断熱材のかさ密度が小さくなるため、好ましい。Cが2.0以上2.9以下であると、小粒子との比重差が小さく、小粒子との均一混合が容易であるため、好ましい。Cは、2.1以上2.8以下であると、小粒子との比重差がさらに小さく、貯蔵や輸送において小粒子と大粒子の分離が起こりにくくなるため、より好ましい。
大粒子を構成する第二の無機化合物は、非晶質のシリカを含む。第二の無機化合物におけるシリカの含有率は、小粒子の場合と同様の方法で求めることができる。シリカの含有率は、50質量%以上であると、断熱材の固体伝導による伝熱が小さくなるため、好ましい。第二の無機化合物は、シリカを75質量%以上含むと、粒子の付着力が増して、断熱材からの粒子の脱落が減少するため、より好ましい。
大粒子に含まれるシリカが非晶質であることは、大粒子を分級して粉末X線回折(以下、XRDと略)を測定することで確認できる。本明細書中、「シリカが非晶質である」か否かは、JCPDFカード番号46−1045に記載されている石英の回折パターンに基づき判断される。具体的には、分級された大粒子について、CuKa1線を使用し、内部標準物質としてシリコン(Si)を添加したサンプルを回折角2θが20°から70°の範囲でXRDを測定し、上記JCPDFカード番号46−1045に記載されている回折パターンに帰属されるピークが検出されるか否かを調べる。上記回折パターンに帰属されるピークが検出されない場合は、第二の無機化合物に含まれるシリカが非晶質であるとする。上記回折パターンに帰属されるピークが検出される場合は、内部標準物質であるシリコンの2θ=28.442°に現れる(111)のピーク面積をS、石英に帰属されるピークのうち、2θ=20.859°、26.639°に現れるそれぞれ(100)、(101)の合計ピーク面積をSとした時、SとSの比S/Sが1未満である場合に、第二の無機化合物に含まれるシリカが非晶質であるとする。内部標準物質であるシリコンは、2θ=28.442°に現れる(111)のピークについて、シェラーの式から求められる結晶子サイズが6nm以上のものを使用する。
本発明者らは、複数の小粒子と複数の大粒子とを備える断熱材において、複数の大粒子に含まれるシリカが非晶質であると断熱材の熱伝導率が十分小さく、さらに、断熱材に含まれるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が、断熱材の全質量を基準として総計で2500ppm以下であると、驚くべきことに断熱材の熱収縮を抑制させる効果が現れることを見出した。すなわち、大粒子に含まれるシリカが非晶質であり、断熱材中の前記塩基性元素の含有率が総計で2500ppm以下であると、十分な断熱性能を有し、且つ熱収縮が小さい断熱材が得られることを見出した。
大粒子に含まれるシリカが非晶質であると、大粒子内部での伝熱経路がランダムとなり、固体伝導の大きい伝熱経路が存在せず伝熱が抑制されるため、熱伝導率が小さくなると考えられる。
塩基性元素を含む成分は、断熱材の使用温度や加熱処理温度において溶融し、断熱材の主要な構成成分であるシリカと反応すると推測される。その結果、シリカを含む無機化合物の粒子が互いに粒子界面で融着し、例えばSi−O−Siのような結合が生じ、粒子間で接合箇所が形成され、これに伴って断熱材の熱収縮が発生すると考えられる。さらには、粒子間の接合箇所が固体伝導の大きい伝熱経路となり、熱伝導率が大きくなると考えられる。これに対し、塩基性元素の含有率が断熱材の全質量を基準として総計で2500ppm以下であると、接合箇所の形成が抑制され、これに従って熱収縮が抑制されると考えられる。さらに、接合箇所の形成抑制によってシリカを含む無機化合物の粒子間に固体伝導の大きい伝熱経路が存在せず、断熱材全体の熱伝導率を低くすることが可能であると考えられる。すなわち、熱収縮率を抑制する観点から、塩基性元素の含有率は総計で2500ppm以下とし、融着によって形成された粒子間の接合箇所における固体伝導を抑制する観点から、総計で2400ppm以下がより好ましく、総計で2300ppm以下がさらに好ましい。なお、本明細書中、ppmは質量濃度を示す。
ただし、シリカを含む大粒子及び/又は小粒子中に塩基性元素が含まれている場合と、断熱材中に存在する無機繊維等に塩基性元素が含まれている場合とでは、断熱材の熱収縮性に与える影響が異なる。本発明者の検討によると、大粒子及び/又は小粒子に塩基性元素が含まれている場合には、個々の大粒子及び/又は小粒子が溶融し易いためか、比較的低濃度の場合であっても粒子間で接合箇所を形成し易い傾向があった。この理由については、無機繊維等と比較して大粒子及び/又は小粒子は比表面積が大きいため、粒子同士の接触面積が大きくなることによると想定している。従って、大粒子及び/又は小粒子に含まれる塩基性元素は一層低濃度であることが好ましく、具体的には大粒子及び/又は小粒子に対して質量基準で総計で500ppm以下であることが好ましい。
断熱材の熱収縮を抑制する観点で、大粒子中のアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が、大粒子の全質量を基準として総計で500ppm以下であることが好ましい。この塩基性元素の含有率は、融着によって形成された粒子間の接合箇所における固体伝導を抑制する観点から、総計で400ppm以下がより好ましく、総計で300ppm以下がさらに好ましい。
大粒子及び/又小粒子における塩基性元素の含有率は、例えば、大粒子及び/又は小粒子を断熱材より分級して、XRF(蛍光X線分析)により定量することができる。塩基性元素の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。
第二の無機化合物の具体例としては下記のものが挙げられる。この中から、シリカ成分が非晶質であるものを用いればよい。さらに、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が総計で500ppm以下であるものを用いることが好ましい。
シリカと呼ばれるケイ素の酸化物。
ケイ素の部分酸化物。
シリカアルミナやゼオライトのようなケイ素の複合酸化物。
セリウム(Ce)、ホウ素(B)、鉄(Fe)及びアルミニウム(Al)等を含むケイ酸塩。
ケイ素以外の元素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物(アルミナやチタニア等)と、ケイ素の酸化物、部分酸化物、塩又は複合酸化物との混合体。
SiCやSiNの酸化物。
第二の無機化合物は、断熱材の使用される温度において、熱的に安定であることが好ましい。具体的には、断熱材の使用最高温度において1時間保持したときに、無機化合物の重量が10%以上減少しないことが好ましい。また、無機化合物は耐水性を有することが好ましい。具体的には、25℃の水100gに対する無機化合物の溶解量が0.1g未満であることが好ましく、0.01g未満であることがより好ましい。
[1−3]小粒子及び大粒子の質量比と比重比との関係
断熱材に含まれる全小粒子の質量の合計値Mと断熱材に含まれる全大粒子の質量の合計値Mとの比率M/Mは、粒子の付着力が強く、低圧で加圧成形が可能であるためかさ密度が小さく、かつ十分な断熱性能を有する断熱材が得られる観点から、0.035C/C以上3以下であることが好ましい。
/Mが、0.035C/C未満であると、断熱性能が不十分となる。また、M/Mが3より大きいと、断熱材に成形欠陥が発生する。M/Mは、例えば、断熱材に含まれる小粒子及び大粒子を分級して、それぞれの質量を測定し、小粒子の質量を大粒子の質量で除することにより、求められる。
/Mは、0.092C/C以上0.9以下であることが、小粒子の体積が減少し、混合が容易となるため、より好ましい。M/Mは、0.092C/C以上0.5以下であると、小粒子と大粒子の混合粉体を加圧成形する際に、混合粉体と成形体の体積差が小さくなり、加圧成形が容易となるため、さらに好ましい。
本発明者らは、小粒子及び大粒子の混合体を用いて断熱材を作成し、その熱伝導率とM/Mの関係を詳細に調べた。その結果、M/Mが0.035C/C以上3以下の範囲では、断熱材の熱伝導率は十分小さく、かつM/Mの減少量に対する熱伝導率の増加量(熱伝導率の増加率)も小さいことを本発明者らは見出した。さらに、本発明者らは、M/Mが閾値の0.035C/C未満の範囲では、不連続な変化が現れ、M/Mの減少に従い熱伝導率が急激に増加することを見出した。この理由は明らかではないが、M/Mが0.035C/C以上の領域では、断熱材が、気体伝導と固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造をとるためであると考えられる。
以下に、M/Mが0.035C/C以上のとき、断熱材中に伝熱に対するボトルネックが発生する構造となる原理を説明する。
仮に、すべての大粒子が真球状で同一の粒子径Dを有し、粒子間力が無いため大粒子は凝集せずに単分散すると仮定する。一定の空間に大粒子を充填し、断熱材を形成すると、空間における大粒子の充填率は、最大で面心立方格子に占める大粒子の体積百分率の理論値である74体積%になる。この空間とは、断熱材全体において大粒子及び小粒子が占める全体積に相当する。大粒子間に生じた26体積%のすべての空隙が、内部の細孔サイズが100nm以下の小粒子凝集体により充填される場合、この小粒子凝集体が気体伝導による伝熱に対するボトルネックとなり、断熱材全体において気体伝導による伝熱が小さくなる。加えて、小粒子の数をわずかに増やして、大粒子同士の各接点に、2個分の小粒子を直列に挿入すれば、大粒子同士が直接接触しない構造となる。このような構造においては、大粒子から大粒子への固体伝導による伝熱経路は、必ず伝熱抵抗が大きな小粒子の点接合部を通ることとなる。この小粒子の点接合部が、固体伝導による伝熱に対するボトルネックとなるため、断熱材全体において固体伝導による伝熱は小さくなる。
つまり、上記空間内に存在する小粒子凝集体の体積の合計値が上記空間内に存在する全大粒子の体積の理論値26体積%よりもわずかに大きい場合、断熱材は、気体伝導及び固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造となる。
小粒子凝集体のかさ比重は、小粒子のみを加圧成形した断熱材のかさ比重とほぼ等しいと考えることができる。このような小粒子のみを加圧成形した断熱材の空隙率は、概ね90%程度であり、かさ比重は真比重Cの10分の1程度であることが知られている。
以上の前提に基づけば、上記空間内に存在する全大粒子の体積の理論値(下限)と、上記空間内に存在する小粒子凝集体の体積の合計値(上限)との比74:26は、下記数式(2)で表される。
74:26=(M/C):(M/0.1C) (2)
大粒子間に生じた全空隙を充填するために必要な小粒子凝集体の質量の合計値Mの下限は、上記式(2)に基づく下記数式(3)で表される。換言すれば、気体伝導及び固体伝導の伝熱に対するボトルネックを有する構造を断熱材内に形成するために必要なMの下限は下記数式(3)で表される。
=(M/C)×(26/74)×0.1C=M×0.035(C/C) (3)
上記数式(3)から明らかなように、M/Mが0.035C/C以上であれば、大粒子間に生じた全空隙を充填するために充分な小粒子が断熱材に含有される。断熱材内で大粒子が凝集している場合、大粒子が単分散している場合と同様に、M/Mを0.035C/C以上とすることにより、すべての大粒子凝集体の間の空隙を、小粒子凝集体により充填することが可能である。この時、大粒子同士の接触が起こるが、粒子が球状であるため、粒子同士の接触面積が小さく、大粒子間の固体伝導伝熱は低く抑えられる。
また、大粒子に粒径分布がある場合には、空間における大粒子の充填率は、最大で74%以上となり、同一の大粒子が単分散している場合と同様に、少なくともM/Mを0.035C/C以上とすることにより、全ての大粒子凝集体の間の空隙を、小粒子凝集体により充填することが可能である。大粒子に粒径100nm以下の粒子が含まれる場合、仮にこれらの粒子同士の接触が起こったとしても、粒径が小さいため、粒子同士の接触面積が小さく、大粒子間の固体伝熱は低く抑えられる。
なお、M/Mが0.035C/C以上のとき、断熱材が伝熱に対するボトルネックを有する構造となる原理は、以上のものに限定されない。
小粒子及び大粒子の含有率の合計値は、断熱材の全質量を基準として、50質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。小粒子及び大粒子の含有率の合計値が50質量%以上97.5質量%以下で無機繊維や赤外線不透明化粒子を含有する断熱材は、断熱材からの粒子の脱落の減少や高い温度での断熱性能の向上といった効果がより好適にあらわれ、より好ましい。小粒子及び大粒子の含有率の合計値は、60質量%以上97.5質量%以下であると、断熱材のかさ密度がより小さいため、さらに好ましい。
[1−4]大粒子の分散状態
大粒子の含有率を同じにして比較すると、断熱材に含まれる大粒子の分散性が高いほど断熱性能が高い傾向があるため、大粒子が単分散し、大粒子同士が直接接触しないことが好ましい。つまり、大粒子が互いに接触している箇所が存在せず、断熱材の端から端まで大粒子が直接連結していないことが好ましい。大粒子が直接連結しないことで生じる大粒子間の空隙には小粒子か、小粒子間に生じるスペースが存在することになる。空間の熱伝導より固体の熱伝導の方が大きいので、大粒子同士が直接接触しているとそこが伝熱し易いパスとなるが、大粒子の接触が少ないことで断熱材中に固体伝導の大きい伝熱経路が存在せず、断熱材全体の熱伝導率が低くなり易い。また、小粒子の存在によって大粒子間の空隙が分断されていることで、断熱材中に存在する各空隙の大きさが小さく、空気による対流や伝熱が少ないため、断熱材全体の熱伝導率が低くなり易い。
[1−5]無機繊維
本発明における断熱材は、無機繊維を含むと、かさ密度の低い断熱材の成形が容易となるため好ましい。なお、ここで言う無機繊維とは、無機化合物からなる繊維状のもののことを指す。
本明細書中、無機繊維とは平均太さに対する無機繊維の平均長さの比(アスペクト比)が10以上であるものをいう。アスペクト比は10以上であることが好ましく、小さい圧力で成形が可能となり、断熱材の生産性を向上させる観点から50以上がより好ましく、断熱材の曲げ強度を向上させる観点から100以上がさらに好ましい。無機繊維のアスペクト比は、FE−SEMにより測定した無機繊維1000本の太さ及び長さの平均値から求めることができる。無機繊維は断熱材中で単分散して混合されていることが好ましいが、無機繊維が互いに絡まった状態や、複数の無機繊維が同一方向で揃った束の状態で混合されていてもかまわない。
無機繊維として例を示すと、ガラス長繊維(フィラメント)(SiO−Al−B−CaO)、グラスウール(SiO−Al−CaO−NaO)、耐アルカリガラス繊維(SiO−ZrO−CaO−NaO)、ロックウール(バサルトウール)(SiO−Al−Fe−MgO−CaO)、スラグウール(SiO−Al−MgO−CaO)、セラミックファイバー(ムライト繊維)(Al−SiO)、シリカ繊維(SiO)、アルミナ繊維(Al−SiO)、チタン酸カリウム繊維、アルミナウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー(セッコウ繊維)、酸化亜鉛ウィスカー、ジルコニア繊維、炭素繊維、黒鉛ウィスカー、フォスフェート繊維、AES(Alkaline Earth Silicate)ファイバー(SiO−CaO−MgO)、天然鉱物のウォラストナイト、セピオライト、アタパルジャイト、ブルーサイト等、従来から知られる無機繊維を挙げることができる。
無機繊維の中でも、特に人体にとって安全である生体溶解性のAESファイバー(Alkaline Earth Silicate Fiber)を用いることが好ましい。AESファイバーとしては、例えば、SiO−CaO−MgO系の無機質のガラス(無機高分子)が挙げられる。
無機繊維の平均太さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。平均太さが1μm未満であると、無機繊維は飛散しやすいため、作業性が悪くなる。平均太さが20μmより大きいと、固体伝導による伝熱が大きくなり、断熱性能が不十分となる傾向がある。
無機繊維の平均太さは、FE−SEMにより、無機繊維1000本の太さを求めて数平均を算出することにより求めることができる。
断熱材中の無機繊維の含有率は、粒子と無機繊維とが好適にからみあうように混合され、より確実に低圧での加圧成形が可能となり、かさ密度が小さくなりやすい観点から、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。断熱材からの粉体の脱離を抑制する効果の観点から、無機繊維の含有率は0.5質量%以上であることが好ましい。無機繊維の含有率が50質量%より大きいと、圧力によらず加圧成形が困難となる傾向がある。
断熱性能を向上する観点から、無機繊維の含有率は0.5質量%以上40質量%以下がより好ましい。小粒子や大粒子、赤外線不透明化粒子との混合を容易にする観点から、無機繊維の含有率は0.5質量%以上20質量%以下であることが、さらに好ましい。
無機繊維の含有率は、例えば、無機繊維を断熱材から分級することにより、求めることができる。
[1−6]赤外線不透明化粒子
断熱材は、赤外線不透明化粒子を含有することが、高い温度での断熱性能を発現させることから、好ましい。赤外線不透明化粒子とは、赤外線を反射、散乱又は吸収する材料からなる粒子を指す。断熱材に赤外線不透明化粒子が混合されていると、輻射による伝熱が抑制されるため、特に200℃以上の高い温度領域での断熱性能が向上する。
赤外線不透明化粒子として例を示すと、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、鉄チタン酸化物、酸化鉄、酸化銅、炭化ケイ素、金鉱石、二酸化クロム、二酸化マンガン、グラファイト等の炭素質物質、炭素繊維、スピネル顔料、アルミニウムの粒子、ステンレス鋼の粒子、青銅の粒子、銅/亜鉛合金の粒子、銅/クロム合金の粒子を挙げることができる。従来から赤外線不透明物質として知られる上記の金属粒子又は非金属粒子を、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
赤外線不透明化粒子としては、特に、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン又は炭化ケイ素を用いることが好ましい。
赤外線不透明化粒子の組成は、小粒子の場合と同様に、FE−SEM EDXにより求められる。
赤外線不透明化粒子の平均粒子径は、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。赤外線不透明化粒子の平均粒子径が0.5μm以上である場合、200℃以上での十分な断熱性能を達成し易い。赤外線不透明化粒子の平均粒子径が30μm以下である場合、断熱材における固体伝導が抑制され、200℃未満での十分な断熱性能を達成し易い。なお、赤外線不透明化粒子の平均粒子径は、小粒子と同じ方法により求められる。赤外線不透明化粒子の平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが、無機繊維や小粒子、大粒子との混合が容易となるため、より好ましい。
断熱材中の赤外線不透明化粒子の含有率は、50質量%以下であることが好ましい。赤外線不透明化粒子の含有率が50質量%より大きいと、固体伝導による伝熱が増すため、200℃未満での断熱性能が低下する傾向がある。200℃以上での断熱性能を向上させるためには、赤外線不透明化粒子の含有率は、2質量%以上であることが好ましい。
赤外線不透明化粒子の含有率は、2質量%以上30質量%以下であると、無機繊維や大粒子、小粒子との混合が容易となり、さらに好ましい。
赤外線不透明化粒子の含有率は、例えば、赤外線不透明化粒子のみが含有する元素を、蛍光X線分析法により定量することで、求めることができる。
[1−7]収縮率
本実施形態の断熱材は、高温に曝されても熱収縮が小さい。このような熱収縮は、例えば以下のようにして評価することができる。すなわち、作製した断熱材(成形体)の室温(25℃)における外寸法及び体積を測定後、断熱材を電気炉を使用して900℃で24時間加熱する。その後、自然放冷により断熱材を室温まで冷却し、再度外寸法及び体積を測定し、下記数式(4)に基づき、収縮率を求める。これにより、断熱材の熱収縮を評価することができる。
収縮率(%)={(加熱前の成形体の体積)−(加熱後の成形体の体積)}/(加熱前の成形体の体積)×100 ・・・(4)
[2]断熱材の製造方法
本実施形態の断熱材の製造方法は、シリカを含む第一の無機化合物からなり、平均粒子径Dが5nm以上30nm未満であり、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が全質量を基準として総計で500ppm以下である複数の小粒子を製造する工程と、非晶質のシリカを含む第二の無機化合物からなり、平均粒子径Dが30nm以上50μm以下であり、塩基性元素の含有率が全質量を基準として総計で500ppm以下である複数の大粒子を製造する工程と、これら複数の小粒子及び複数の大粒子を混合して混合粉末を製造する工程を有する。なお、本実施形態の断熱材の製造方法においては、必要に応じ、複数の小粒子及び複数の大粒子を含む混合粉末をさらに成形して成形体を製造する工程を有していてもよい。
[2−1]小粒子の製造
小粒子としては、従来知られる製法で製造されるシリカ成分を有する粒子を使用することができる。例えば、小粒子は、酸性又はアルカリ性の条件下での湿式法により、ケイ酸イオンを縮合して製造された粒子でもよい。小粒子は、湿式法でアルコキシシランを加水分解・縮合して製造されたものでもよい。小粒子は、湿式法で製造されたシリカ成分を焼成して製造されたものでもよい。小粒子は、塩化物等ケイ素の化合物を気相で燃焼して製造されたものでもよい。小粒子は、ケイ素金属やケイ素を含む原料を加熱して得られたケイ素ガスを酸化・燃焼して製造されたものでもよい。小粒子は、ケイ石等を溶融して製造されたものでもよい。
小粒子に含まれるシリカ成分以外の成分としては、上記の製法において原料中に不純物として存在しているものが挙げられる。シリカ成分以外の成分を、製造プロセス中に意図的に原料に添加してもよい。
小粒子として用いるシリカとしては、従来から知られる製法で製造された下記のシリカが好適に使用される。この中で、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率が総計で500ppm以下であるものを用いることが好ましい。
<湿式法で合成されるシリカ>
ケイ酸ナトリウムを原料に酸性で作られるゲル法シリカ。
ケイ酸ナトリウムを原料にアルカリ性で作られる沈降法シリカ。
アルコキシシランの加水分解・縮合で合成されるシリカ。
<乾式法で合成されるシリカ>
ケイ素の塩化物を燃焼して作られるヒュームドシリカ。
ケイ素金属ガスを燃焼して作られるシリカ。
フェロシリコン製造時等に副生するシリカヒューム。
アーク法やプラズマ法で製造されるシリカ。
ケイ石を溶融して作られる溶融シリカ等。
上記のシリカのうち、小粒子としては、ヒュームドシリカを用いることがより好ましい。
[2−2]大粒子の製造
大粒子としては、従来知られる製法で製造される非晶質のシリカ成分を有する粒子を使用することができる。例えば、大粒子は、四塩化ケイ素を酸素・水素炎中で燃焼して製造されたものでもよい。大粒子は、金属シリコン製造時の副生成物でもよい。大粒子は、沈殿法又はゲル法により、ケイ酸ナトリウムを鉱酸で中和して製造されたものでもよい。大粒子は、ゾルゲル法によりアルコキキシランの加水分解で製造されたものでもよい。大粒子は、沈殿法、ゲル法、ゾルゲル法といった湿式法で製造されたシリカ成分を焼成して製造されたものでもよい。大粒子は、珪藻土、酸性白土を破砕して製造されたものでもよい。
大粒子に含まれるシリカ成分以外の成分としては、上記の製法において原料中に不純物として存在しているものが挙げられる。シリカ成分以外の成分を、製造プロセス中に意図的に原料に添加してもよい。
大粒子としては、従来から知られる製法で製造された下記の非晶質シリカが好適に使用される。この中で、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素塩基性元素の含有率をXRFによって定量し、総計で500ppm以下であるものを用いることが好ましい。
<乾式法で合成されるシリカ>
四塩化ケイ素を酸素・水素炎中で燃焼して作られる乾式シリカ。
金属シリコン製造時の副生成物であるシリカヒューム。
<湿式法で合成されるシリカ>
沈殿法によりケイ酸ナトリウムを鉱酸で中和して作られる湿式シリカ。
ゲル法によりケイ酸ナトリウムを鉱酸で中和して作られるシリカゲル。
ゾルゲル法によりアルコキシシランの加水分解で作られるコロイダルシリカ。
<天然物のシリカ>
珪藻土、酸性白土を破砕した珪藻土粉末や酸性白土粉末。
上記の非晶質シリカのうち、大粒子としては、シリカヒュームが好適に用いられる。
[2−3]混合粉末の製造
断熱材は、小粒子と大粒子とを混合することにより製造される。さらに使用状況に応じて、この混合体に無機繊維や赤外線不透明化粒子を添加してもよい。この粉体を加圧成形したものを断熱材として用いてもよい。
小粒子、大粒子、無機繊維及び赤外線不透明化粒子は、公知の粉体混合機を使用して混合することができる。公知の粉体混合機としては、例えば、容器回転型(容器自体が回転、振動、揺動する)として水平円筒型、V型(攪拌羽根が付いていてもよい)、ダブルコーン型、立方体型及び揺動回転型、機械撹拌型(容器は固定され、羽根等で撹拌する)として、単軸リボン型、複軸パドル型、回転鋤型、二軸遊星攪拌型、円錐スクリュー型、高速撹拌型、回転円盤型、ローラー付き回転容器型、撹拌付き回転容器型、高速楕円ローター型、流動撹拌型(空気、ガスによって撹拌する)として、気流撹拌型、重力による無撹拌型が挙げられる。これらの混合機を組み合わせて使用してもよい。
小粒子、大粒子、無機繊維及び赤外線不透明化粒子の混合は、公知の粉砕機を使用して、粒子を粉砕したり、無機繊維を裁断したり、粒子や無機繊維の分散性を向上させながら行ってもよい。公知の粉砕機としては、ロールミル(高圧圧縮ロールミル、ロール回転ミル)、スタンプミル、エッジランナー(フレットミル、チリアンミル)、切断・せん断ミル(カッターミル等)、ロッドミル、自生粉砕機(エロフォールミル、カスケードミル等)、竪型ローラーミル(リングローラーミル、ローラーレスミル、ボールレースミル)、高速回転ミル(ハンマーミル、ケージミル、ディスインテグレーター、スクリーンミル、ディスクピンミル)、分級機内蔵型高速回転ミル(固定衝撃板型ミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル、アニュラー型ミル)、容器駆動媒体ミル(転動ボールミル(ポットミル、チューブミル、コニカルミル)、振動ボールミル(円形振動ミル、旋動振動ミル、遠心ミル)、遊星ミル、遠心流動化ミル)、媒体撹拌式ミル(塔式粉砕機、撹拌槽式ミル、横型流通槽式ミル、竪型流通槽式ミル、アニュラーミル)、気流式粉砕機(気流吸込型、ノズル内通過型、衝突型、流動層ジェット吹込型)、圧密せん断ミル(高速遠心ローラーミル、インナーピース式)、乳鉢、石臼等が挙げられる。これらの粉砕機を組み合わせて使用してもよい。
これらの混合機と粉砕機のうち、高速回転ミル、分級機内蔵型高速回転ミル、媒体撹拌式ミル、圧密せん断ミル、石臼が、粒子や無機繊維の分散性が向上するため、好ましい。
粒子や無機繊維の分散性を向上させるには、撹拌羽根を有する粉体混合機を使用し、撹拌羽根先端の周速を100km/h以上にするのが好ましい。大粒子同士の接触をより少なくする観点で200km/h以上がより好ましく、300km/h以上がさらに好ましい。
[2−4]成形体の製造
上述のようにして得られた粉体は、以下のようにして使用することができる。すなわち、シリカを含み、塩基性元素の含有率が総計で500ppm以下である小粒子と、非晶質のシリカを含み、塩基性元素の含有率が総計で500ppm以下であり、前記小粒子よりも粒子径が大きい大粒子を含み、使用状況に応じて赤外線不透明化粒子や無機繊維を添加して形成した混合粉末は、使用する箇所に充填して断熱材として用いてもよい。また、この混合粉末を加圧成形して断熱材として用いてもよい。
断熱材は、金型プレス成形法(ラム式加圧成形法)、ラバープレス法(静水圧成形法)、押出成形法等、従来から知られるセラミックス加圧成形法によって成形することができる。生産性を向上する観点から、金型プレス成形法が好ましい。
金型プレス成形法やラバープレス法において粉末状の断熱材を型に充填するときには、粉末状の断熱材に振動を与える等して、均一に充填することが、断熱材成形体の厚みが均一となるため、好ましい。
型内を減圧・脱気しながら粉末状の断熱材を型に充填すると、粉体を短時間で充填できるため、生産性を向上する観点から好ましい。
加圧成形中又は加圧成形後の断熱材を、断熱材の耐熱性が十分である温度や時間の条件の範囲内で、断熱材が構造変化しないように加熱乾燥し、断熱材中の吸着水を除去した後、実用に供すると、熱伝導率が低くなるため、好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本発明の特許請求の範囲に包含される。
[実施例1]
実施例1では、大粒子として、シリカヒュームSF−ST(商品名、巴工業株式会社製)を用いた。小粒子として、ヒュームドシリカHDK−N20(商品名、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を用いた。
シリカヒュームSF−STに内部標準物質としてシリコンを20質量%添加し、粉末X線回折装置RINT 2500(商品名、株式会社リガク製)を使用して粉末X線回折測定(CuKa1線、回折角2θ:20°〜70°)を行ったところ、図1に示すとおりブロードなチャートが観察され、JCPDFカード番号46−1045に記載されている、石英に帰属されるピークは検出されなかった。これにより、シリカヒュームSF−STに含まれるシリカが非晶質であることが確認できた。
各粒子の平均粒子径を、FE−SEM装置S−4700(商品名、日立ハイテクフィールディング製)を使用して求めた。シリカヒュームSF−STの平均粒子径は80nmであった。ヒュームドシリカHDK−N20の平均粒子径は14nmであった。
メーカーの分析値によると、ヒュームドシリカHDK−N20中のシリカの含有率は100質量%であった。また、ヒュームドシリカHDK−N20中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、株式会社リガク製蛍光X線分析装置RIX−3000により定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
シリカヒュームSF−ST中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、ヒュームドシリカHDK−N20と同様に定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
自動湿式真密度測定器オートトゥルーデンサーMAT−7000(商品名、セイシン企業製)を使用し、各粒子の真比重を求めた。シリカヒュームSF−STの真比重Cは2.2であり、ヒュームドシリカHDK−N20の真比重Cは2.2であった。これより、実施例1における0.035C/Cは0.035であった。
861gのシリカヒュームSF−STと、80gのヒュームドシリカHDK−N20を、ロータリークラッシャーNR−08(商品名、三庄インダストリー株式会社製)を使用して均一に混合して、実施例1の混合粉末(粉末状の断熱材)を調製した。ヒュームドシリカHDK−N20の質量の合計値Mは80gであり、シリカヒュームSF−STの質量の合計値Mは861gであることから、比率M/Mは0.093であった。
実施例1の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について上記と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
上記の混合粉末を、内寸が縦30cm、横30cmの金型を使用して加圧成形を行い、縦30cm、横30cm、厚み20mmの成形体を得た。
実施例1の断熱材には、成形欠陥は見られなかった。この断熱材の30℃での熱伝導率を、ヒートフローメーター HFM 436 Lambda(商品名、NETZSCH社製)を利用して測定した。実施例1の断熱材の熱伝導率は、0.030W・m−1・K−1であった。
室温(25℃)における成形体の寸法を測定後、電気炉を使用して成形体を900℃24時間加熱した。その後、自然放冷により成形体を室温まで冷却し、再度寸法を測定した。成形体の収縮率を、下記数式(4)に従って算出したところ、2.0%であった。
収縮率(%)={(加熱前の成形体の体積)−(加熱後の成形体の体積)}/(加熱前の成形体の体積)×100 ・・・(4)
[実施例2]
514gのシリカヒュームSF−STと、171gのヒュームドシリカHDK−N20とを、実施例1と同様にして混合して、実施例2の混合粉末を調製した。実施例2における比率M/Mは0.33であった。
実施例2の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
実施例2の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例2の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例2の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例2の成形体の熱伝導率は、0.023W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、2.0%であった。
[実施例3]
94gのシリカヒュームSF−STと、282gのヒュームドシリカHDK−N20を、実施例1と同様にして混合して、実施例3の混合粉末を調製した。実施例3における比率M/Mは3.0であった。
実施例3の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
実施例3の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例3の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例3の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例3の成形体の熱伝導率は、0.019W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、2.0%であった。
[実施例4]
524gのシリカヒュームSF−STと、175gのヒュームドシリカHDK−N20を実施例1と同様にして混合した後、無機繊維である78gのS−2グラスファイバー チョップドストランド401(商品名、AGY社製)を加えてロータリークラッシャーを使用して短時間で均一に混合し、実施例4の混合粉末を調製した。実施例4における比率M/Mは0.33であった。
実施例4の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様に定量分析を行ったところ、塩基性成分の含有率は2226ppmであった。
実施例4の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例4の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例4の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例4の成形体の熱伝導率は、0.026W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、1.0%であった。
[実施例5]
834gのシリカヒュームSF−STと、278gのヒュームドシリカHDK−N20と、208gの赤外不透明化粒子であるケイ酸ジルコニウムのミクロパックスS(商品名、ハクスイテック株式会社製)を実施例1と同様にして混合した後、147gのS−2グラスファイバー チョップドストランド401を加えてロータリークラッシャーを使用して短時間で均一に混合し、実施例5の混合粉末を調製した。実施例5における比率M/Mは0.33であった。
実施例5の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様に定量分析を行ったところ、塩基性成分の含有率は2374ppmであった。
実施例1と同様にして、ミクロパックスSの平均粒径を求めたところ、1μmであった。
実施例5の混合粉末733gずつを、内径が直径30cmの円筒型の金型を使用して加圧成形し、直径30cm、厚み20mmの円板状の成形体を2枚得た。実施例5の成形体に成形欠陥は見られなかった。
この2枚の成形体を用いて、500℃での熱伝導率を、保護熱板法熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製)を利用して測定した。実施例5の成形体の熱伝導率は、0.044W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、1.0%であった。
[実施例6]
大粒子としてシリカヒュームSF−STの代わりに、454gのヒュームドシリカのAEROSIL OX50(商品名、日本アエロジル株式会社製)を使用し、小粒子として151gのヒュームドシリカHDK−N20を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例6の混合粉末を調製した。実施例6における比率M/Mは0.33であった。
ヒュームドシリカのAEROSIL OX50の粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、石英に帰属されるピークは検出されず、AEROSIL OX50に含まれるシリカが非晶質であることが確認できた。
ヒュームドシリカのAEROSIL OX50中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
実施例1と同様にしてAEROSIL OX50の平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ40nm及び2.2であった。これより、実施例6における0.035C/Cは0.035であった。
実施例6の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
実施例6の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例6の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例6の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例6の成形体の熱伝導率は、0.024W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、2.0%であった。
[実施例7]
大粒子としてシリカヒュームSF−STの代わりに、934gの溶融シリカのFB−3SDC(商品名、電気化学工業株式会社製)を使用し、小粒子として311gのヒュームドシリカHDK−N20を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例7の混合粉末を調製した。実施例7における比率M/Mは0.33であった。
溶融シリカのFB−3SDCの粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、石英に帰属されるピークは検出されず、溶融シリカのFB−3SDCに含まれるシリカが非晶質であることが確認できた。
溶融シリカのFB−3SDC中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は9.3ppmであった。
実施例1と同様にして溶融シリカのFB−3SDCの平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ3μm及び2.2であった。これより、実施例7における0.035C/Cは0.035であった。
実施例7の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は7.0ppmであった。
実施例7の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例7の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例7の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例7の成形体の熱伝導率は、0.032W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、2.0%であった。
[実施例8]
小粒子としてヒュームドシリカHDK−N20の代わりに、180gのヒュームドシリカHDK−T40(商品名:旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を使用し、大粒子として540gのシリカヒュームSF−STを使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例8の混合粉末を調製した。実施例8における比率M/Mは0.33であった。
ヒュームドシリカHDK−T40の粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、石英に帰属されるピークは検出されず、ヒュームドシリカHDK−T40に含まれるシリカが非晶質であることが確認できた。
ヒュームドシリカHDK−T40中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
実施例1と同様にしてヒュームドシリカHDK−T40の平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ7.5nm及び2.2であった。これより、実施例8における0.035C/Cは0.035であった。
実施例8の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は検出されなかった。
実施例8の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例8の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例8の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例7の成形体の熱伝導率は、0.023W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、2.0%であった。
[実施例9]
大粒子としてシリカヒュームSF−STの代わりに、ハンマーミルで平均粒子径が48μmになるまで粉砕した高純度の石英ガラス(以下、「高純度の石英ガラス粉末」という)864gを使用し、小粒子として288gのヒュームドシリカHDK−N20を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、実施例9の混合粉末を調製した。実施例9における比率M/Mは0.33であった。
高純度の石英ガラス粉末の粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、石英に帰属されるピークは検出されず、高純度の石英ガラス粉末に含まれるシリカが非晶質であることが確認できた。
高純度の石英ガラス粉末中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は1.35ppmだった。
実施例1と同様にして高純度の石英ガラス粉末の真比重を測定したところ、2.2であった。これより、実施例9における0.035C/Cは0.035であった。
実施例9の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分は1.0ppmだった。
実施例9の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得た。実施例9の成形体に成形欠陥は見られなかった。
実施例9の成形体の30℃での熱伝導率を、実施例1と同様にして測定した。実施例9の成形体の熱伝導率は、0.032W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、2.0%であった。
[比較例1]
シリカヒュームSF−STの代わりに、544gのシリカヒュームEFACO(商品名、巴工業株式会社製)と、181gのヒュームドシリカHDK−N20を使用した他は、実施例1と同様にして粉体を混合し、比較例1の混合粉末を調製した。比較例1における比率M/Mは0.33であった。
シリカヒュームEFACOの粉末X線回折測定を、実施例1と同様にして行ったところ、石英に帰属されるピークは検出されず、シリカヒュームEFACOに含まれるシリカは非晶質であった。
シリカヒュームEFACO中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について、実施例1と同様にして定量分析を行ったところ、塩基性成分の含有率は1.98質量%(19800ppm)であった。
実施例1と同様にしてシリカヒュームEFACOの平均粒子径及び真比重を測定したところ、それぞれ150nm及び2.2であった。これより、比較例1における0.035C/Cは0.035であった。
比較例1の混合粉末中のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属(塩基性元素)の量について実施例1と同様に定量分析を行ったところ、塩基性成分の含有率は1.49質量%(14900ppm)であった。
比較例1の混合粉末を実施例1と同様にして加圧成形し、厚み20mmの成形体を得て、30℃での熱伝導率を実施例1と同様にして測定した。比較例1の成形体の熱伝導率は、0.027W・m−1・K−1であった。
実施例1と同様にして、900℃24時間加熱後の成形体の収縮率を測定したところ、12%であった。

Claims (6)

  1. シリカを含む第一の無機化合物からなり、平均粒子径Dが5nm以上30nm未満である複数の小粒子と、
    非晶質のシリカを含む第二の無機化合物からなり、平均粒子径Dが30nm以上50μm以下である複数の大粒子と、を備え、
    アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有率が、断熱材の全質量を基準として総計で2500ppm以下である断熱材。
  2. 前記小粒子の比重をC、前記大粒子の比重をCとしたときに、前記複数の大粒子の質量の合計値Mに対する前記複数の小粒子の質量の合計値Mの比率M/Mが0.035C/C以上3以下である、請求項1に記載の断熱材。
  3. 無機繊維を含有し、前記無機繊維の含有率が0.5質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載の断熱材。
  4. 前記無機繊維が生体溶解性を有する、請求項に記載の断熱材。
  5. 平均粒子径が0.5μm以上30μm以下である赤外線不透明化粒子を含有し、前記赤外線不透明化粒子の含有率が50質量%以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の断熱材。
  6. シリカを含む第一の無機化合物からなり、平均粒子径Dが5nm以上30nm未満であり、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有率が全質量を基準として総計で500ppm以下である複数の小粒子と、
    非晶質のシリカを含む第二の無機化合物からなり、平均粒子径Dが30nm以上50μm以下であり、前記元素の含有率が全質量を基準として総計で500ppm以下である複数の大粒子と、を混合する工程を有する、断熱材の製造方法。
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