JP5132193B2 - 多孔質シリカ粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は多数の微粒子の集合体からなる多孔質酸化物粒子、それを含有してなる熱硬化性樹脂組成物および該熱硬化性樹脂組成物からなる半導体用封止剤に関するものであり、特に高空隙率で低比重でありながら優れた粒子破壊強度を示す多孔質酸化物粒子を提供するものである。
また、そのような特性を有する多孔質酸化物粒子を充填材として含む熱硬化性樹脂組成物およびその用途に関するものである。
酸化物微粒子を噴霧乾燥することにより微粒子の集合体を調製する技術は公知であり、例えば、特許文献1(特開昭61−270201号)には、平均粒子径250nm以下の一次粒子を含むコロイド液を噴霧乾燥することにより平均粒子径1〜20μmの無機酸化物粒子を調製する技術が開示されている。
また、特許文献2(特開2002−160907号)には、コロイド液を噴霧乾燥して得られた微粒子集合体に更に酸化物層を被覆することにより、平均粒子径が2〜250nmである無機酸化物微粒子が集まった平均粒子径が1〜100μmである無機酸化物微粒子集合体と、これを被覆する酸化物系層とからなる球状多孔質粒子が開示されている。
半導体封止材用の熱硬化性樹脂などに充填材として酸化物微粒子を配合することは公知である。例えば、特許文献3(特開2002−37620号)には、合着率が0.1%以下の非合着・非凝集性真球状酸化物粒子の集合体であって、平均粒径が0.6〜6μm、粒径の分布幅が0.3〜10μmおよび粒度分布の分散度(CV値)が10%以上であることを特徴とする真球状酸化物粒子集合体に関する発明が記載されており、半導体封止材料として、樹脂に添加されて使用される旨の記載がある。
また、特許文献4(特開2001−220496号)には、エポキシ樹脂、硬化剤、無機質充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、無機質充填剤として、比表面積が6〜200m2/g、真比重が2.0〜2.2であり、平均粒径が2〜50μmである多孔質酸化物を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する発明が開示されている。
しかし、実質的に多孔質であって低比重の多孔質酸化物からなる、粒子破壊強度に優れる粒子が求められていた。
特開昭61−270201号 特開2002−160907号 特開2002−37620号 特開2001−220496号
本発明は、空隙率が同等な従来の多孔質粒子に比べて、粒子破壊強度が高い多孔質酸化物粒子を提供することにある。また、その様な多孔質酸化物粒子が充填材として配合された熱硬化性樹脂組成物および半導体用樹脂封止材を提供することを課題とする。
本発明の多孔質酸化物粒子は、平均粒子径(D)2〜100nm、真球度0.9〜1の範囲にある球状酸化物微粒子が集合した球状集合体からなる平均粒子径(PD)0.5〜50μm、空隙率5〜50%の範囲にある多孔質酸化物粒子であって、前記球状酸化物微粒子の粒子径分布が、(1)単分散、または、(2)バイモーダルであることを特徴とする。
前記球状集合体は表面処理されたものであることが好ましい。
前記粒子径分布は、(1)単分散である球状酸化物微粒子の粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にあることが好ましい。
前記粒子径分布は、(2)バイモーダルである球状酸化物微粒子が、次の球状酸化物微粒子(a)と球状酸化物微粒子(b)を質量比100:0.1〜100:100の範囲で含むものであることが好ましい。
球状酸化物微粒子(a):平均粒子径(Da)が2〜100nmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にある。
球状酸化物微粒子(b):平均粒子径(Db)が2〜20nmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にある(但し、Da/Db≧5の範囲に限る。)。
前記多孔質酸化物粒子の組成は、ナトリウム20ppm以下、鉄20ppm以下、塩素5ppm以下、アンモニア1ppm以下、前記ナトリウムと鉄以外の無機酸化物99.99質量%以上であることが好ましい。
前記球状集合体は、下記I)及びII)の要件を満たすものであることが好ましい。
I) 細孔容積が0.003〜0.45cc/gの範囲
II) 細孔径が0.1〜10nmの範囲
前記球状集合体は、更に珪酸液に由来するシリカを含有することが好ましい。
本発明の多孔質酸化物粒子の製造方法は、下記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および(G)の各工程を含むことを特徴とするものである。
(A): 次の(A1)または(A2)から選ばれる工程
(A1): 平均粒子径2〜100nmの球状酸化物微粒子の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子分散液とする工程
(A2): 平均粒子径2〜100nmの球状酸化物微粒子(a)の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子(a)の分散液を調製し、更に、平均粒子径2〜20nmの球状酸化物微粒子(b)(但し、Da/Db≧5の範囲に限る)の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子(b)の分散液を調製し、両分散液を混合することにより粒子径分布がバイモーダルな球状酸化物微粒子分散液を調製する工程
(B): 前工程の処理を行った球状酸化物微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して球状酸化物微粒子集合体を調製する工程
(C): 前工程で得られた球状酸化物微粒子集合体を温度150〜600℃の範囲で加熱処理する工程
(D): 前工程に続いて、該球状酸化物微粒子集合体を水および/または有機溶媒に分散させ、球状酸化物微粒子集合体の分散液を調製する工程
(E): 前工程で調製した球状酸化物微粒子集合体の分散液に、次のi)、ii)またはiii)を添加することにより該球状酸化物微粒子集合体を表面処理する工程
i) 酸またはアルカリ
ii) 酸またはアルカリと、下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物
一般式: RSi(OR′)4−n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数〜18のアリール基、およびビニル基から選ばれる炭化水素基またはアクリル基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
iii) 珪酸液およびアルカリ
(F): 前工程に続いて、球状酸化物微粒子集合体の分散液を50〜350℃で水熱処理する工程
(G): 前工程に続いて、多孔質酸化物粒子の分散液から、多孔質酸化物粒子を分離し、乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理する工程
前記(B)工程で使用する噴霧液は、球状酸化物微粒子の他に珪酸液を含むものであることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂100質量部と、前記いずれかの多孔質酸化物粒子10〜95質量部を含むことを特徴とする。
本発明の半導体用封止材は、 前記熱硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明の多孔質シリカ粒子は、平均粒子径(PD)0.5〜50μm、空隙率5〜50%の範囲にある多孔質シリカ粒子であって、その組成がシリカ99.99質量%以上、ナトリウム20ppm以下、鉄20ppm以下、塩素5ppm以下、アンモニア1ppm以下であり、更に粒子破壊強度が30〜200Kgf/mm2の範囲にあることを特徴とする。
本発明の多孔質酸化物粒子は、その空隙率が同じ水準にある従来の多孔質粒子に比べて、粒子破壊強度に優れるものである。このため、従来の粒子に比べて、低比重でありながら、同等以上の粒子破壊強度を示すことが可能となった。
本発明の多孔質酸化物粒子は、充填材として樹脂または被膜形成用組成物に配合されて、それらの屈折率、誘電率、断熱性、比重、強度などについて、従来に見られないバランスのとれた特性を付与することが可能となった。
本発明に係る多孔質酸化物粒子の製造方法は、工程が簡易であり製造コストが安価である。
1.多孔質酸化物粒子
本発明の多孔質酸化物粒子は、平均粒子径2〜100nm、真球度0.9〜1の範囲にある球状酸化物微粒子が集合してなる球状集合体からなるものである。該多孔質酸化物粒子の平均粒子径(PD)は0.5〜50μmの範囲にあり、その空隙率は5〜50%の範囲にある。この多孔質酸化物粒子を構成する前記球状酸化物微粒子については、その粒子径分布が単分散またはバイモーダルであることを特徴とするものである。
球状酸化物微粒子
本発明における球状酸化物微粒子は、それぞれが集合し、結着して球状集合体を構成するものである。前記球状酸化物微粒子としては、大別して、粒子径分布が(1)単分散または(2)バイモーダルである球状酸化物微粒子が使用される。
(1)単分散球状酸化物微粒子
多孔質酸化物粒子を構成する球状酸化物微粒子の粒子径分布が単分散である場合は、均一な大きさの球状微粒子から前記球状集合体が構成されるものとなる。このため多孔質酸化物粒子内部は粒子径分布がブロードな場合に比べて、密な構造となり易いため、高空隙率でありながら優れた粒子破壊強度を示すことができる。
球状酸化物微粒子の粒子径分布が単分散である場合については、望ましくは球状酸化物微粒子の粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にあることが推奨される。粒子径変動係数2%未満の場合は、本発明にとってより望ましいものの、そのレベルの粒子径分布の球状酸化物微粒子を得ることは容易ではない。粒子径変動係数が10%を超える場合は単分散の程度が低下するため、本発明の効果が低下する。粒子変動係数の範囲については、好適には2〜7%の範囲が推奨される。
前記球状酸化物微粒子の平均粒子径としては、2〜100nmの範囲が好適である。平均粒子径が2nm未満の場合は、粒子径が小さすぎて無機酸化物微粒子の間隙による細孔容積が低下し、粒子内部が緻密である通常の粒子と変わるところがなくなり、多孔質酸化物粒子として必要な空隙率を得ることが容易ではなくなる。平均粒子径が100nmを越えると、細孔容積は大きくなるものの、微粒子同士の結合力が弱く、球状酸化物微粒子の集合体が得られ難い。また、そのような集合体は得られたとしても球状酸化物微粒子の強度が不充分となる。球状酸化物微粒子の更に好ましい平均粒子径は5〜70nmの範囲である。
なお、本願において、球状酸化物微粒子の平均粒子径については、動的光散乱法により測定された平均粒子径または画像解析法により測定された平均粒子径を意味する。
また、後記の「球状酸化物微粒子(a)」および「球状酸化物微粒子(b)」の場合も同様である。動的光散乱法による平均粒子径の測定方法については、実施例の[1A]「動的光散乱法による平均粒子径の測定方法」に記した。また、画像解析法による平均粒子径測定方法については、実施例の[5]「粒度分布の測定」にて記載した平均粒子径の測定方法により測定した。
前記球状酸化物微粒子は、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状などの、異形粒子を含まず、真球度が高いものであることが必要である。本発明において球状とは、真球度が0.90〜1.00の範囲にあるものを言う。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。真球度が0.90未満の場合は、微粒子が球状であるとは云えず、前記の異形粒子に該当するものを含む場合が生じる。
球状酸化物微粒子として真球度が0.90〜1.00の球状酸化物微粒子を使用してなる本発明の多孔質酸化物粒子は、優れた粒子破壊強度を示すことが可能となる。特に球状酸化物微粒子の真球度を0.90以上で揃えることは多孔質酸化物粒子の強度に大きな影響を与えるものとなる。
球状酸化物微粒子としては、例えば、特開平5−132309号公報等に開示した酸化物ゾルなどの酸化物微粒子、特開平10−454043号公報に開示された有機基を含む複合酸化物微粒子、特開平7−133105号公報に開示された粒子内部に空隙を有した複合酸化物微粒子などを適用することが可能であるが、前記真球度に満たない場合は、いわゆる水熱処理を行って、真球度を0.90〜1.00の範囲に調整してから、球状酸化物微粒子として使用することができる。水熱処理の条件としては、温度100〜200℃にて、1〜24時間の処理を行う方法を挙げることができる。また、水熱処理には、オートクレーブを使用することも推奨される。
なお、ここで述べた球状酸化物微粒子の粒子径分布が単分散の場合における、球状酸化物微粒子の真球度に関する説明については、後記する球状酸化物微粒子の粒子径分布がバイモーダルである場合における、球状酸化物微粒子(a)および球状酸化物微粒子(b)の場合についても共通するものである。
球状酸化物微粒子の材質については、硬質の無機酸化物であれば適用することが可能である。具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアまたはタングステンなどの無機酸化物、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニアまたはシリカ−チタニア等の複合無機酸化物を挙げることができる。このうち好適にはシリカまたはシリカ−アルミナが推奨される。
(2)バイモーダル酸化物微粒子
球状酸化物微粒子の粒子径分布がバイモーダルである場合は、大粒子と小粒子により、比較的に安定な充填構造をとるため、一定の空隙率を確保しながら優れた粒子破壊強度を示すことができるものと推察される。球状酸化物微粒子の粒子径分布がバイモーダルである場合については、望ましくは球状酸化物微粒子が、次の球状酸化物微粒子(a)と球状酸化物微粒子(b)を質量比100:0.1〜100:100の範囲で含む混合物であることが推奨される。
球状酸化物微粒子(a):平均粒子径が2〜100nmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にある
球状酸化物微粒子(b):平均粒子径が2〜20nmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にある球状酸化物微粒子(但し、Da/Db≧5の範囲に限る)
球状酸化物微粒子(a)の平均粒子径については2〜100nmの範囲が推奨される。平均粒子径が2nm未満の場合は、対応する球状酸化物微粒子(b)(小粒子)の粒子径が極めて微小になるため実用的ではない。平均粒子径が100nmを越えると、単分散の場合と同様に微粒子同士の結合力が弱く、球状酸化物微粒子の集合体が得られ難い。また、そのような集合体は得られたとしても球状酸化物微粒子の強度が不充分なため望ましくない。球状酸化物微粒子(a)の更に好ましい平均粒子径は5〜70nmの範囲である。
球状酸化物微粒子(b)の平均粒子径については、球状酸化物微粒子(a)の平均粒子径範囲に対応して2〜20nmの範囲であって、更に、Da/Db≧5の範囲にあることが求められる。この場合、一定の空隙率を確保しながら優れた粒子破壊強度を示すために好適である。なお、Da/Dbの値の上限については、10≧Da/Dbが好ましい。これ以上、DaとDbの大きさが隔絶した場合、小粒子による充填が進行し、必要な空隙率を確保し難くなる。球状酸化物微粒子(b)の更に好適な平均粒子径としては5〜15nmの範囲を挙げることができる。
球状集合体が、球状酸化物微粒子(a)および球状酸化物微粒子(b)が集合してなる多孔質酸化物粒子の場合、球状酸化物微粒子(a)および球状酸化物微粒子(b)のそれぞれが、平均粒子径2〜100nmの範囲および真球度0.9〜1の範囲を満たすものであれば、球状酸化物微粒子(a)および球状酸化物微粒子(b)の全体として、平均粒子径2〜100nmの範囲および真球度0.9〜1の範囲を満たすものとなる。
球状酸化物微粒子(a)と球状酸化物微粒子(b)の粒子変動係数については、いずれも2〜10%の範囲が好ましい。粒子変動係数がこの範囲にある場合は、一定の空隙率を確保しながら優れた粒子破壊強度を示すことができる前記効果が顕著となる。粒子変動係数2%未満の場合については、そのレベルの粒子径分布の球状酸化物微粒子を得ることは容易ではない。粒子径変動係数が10%を超える場合は、本発明の効果が低下する。これらの粒子変動係数の範囲については、好適には2〜7%の範囲が推奨される。
球状酸化物微粒子(a)および球状酸化物微粒子(b)の真球度の定義、真球度の範囲および真球度の範囲設定理由については、前記粒子径分布が単分散である球状酸化物微粒子の場合と同様である。また、球状酸化物微粒子(a)および球状酸化物微粒子(b)の材質についても前記粒子径分布が単分散である球状酸化物微粒子の場合と同様である。
球状酸化物微粒子(a)と球状酸化物微粒子(b)の比率については、質量比100:0.1〜100:100の範囲が推奨される。この範囲であれば、小粒子である球状酸化物微粒子(b)が大粒子である球状酸化物微粒子(a)間の空隙に、過不足なく充填されることにより、一定の空隙率を確保しながら優れた粒子破壊強度を示すことが可能となる。この質量比範囲については、望ましくは100:10〜100:50の範囲が推奨される。
多孔質酸化物粒子
前記多孔質酸化物粒子の平均粒子径については、0.5〜50μmの範囲が好ましい。後で述べる本発明の製造方法によれば、この範囲であれば、球状で均一な多孔質酸化物粒子を得ることが可能である。平均粒子径が0.5μm未満の多孔質酸化物粒子については、本発明の製造方法によれば、調製することが容易ではない。平均粒子径が50μmを超える場合は、本発明の製造方法によれば、異形粒子が発生し易くなるため望ましくない。なお、多孔質酸化物粒子の平均粒子径については、好適には5〜30μmの範囲が推奨される。
本願における多孔質酸化物粒子の平均粒子径については、遠心沈降法により測定されるものであり、具体的な測定方法については、実施例の[1B]「遠心沈降法による平均粒子径の測定方法」に記した。
前記多孔質酸化物粒子の空隙率については、5〜50%の範囲が好ましい。本発明の多孔質酸化物粒子は、この範囲の空隙率であっても、優れた粒子破壊強度を示すことができる。空隙率が5%未満では、空隙の割合が少なく、低比重化される割合も小さいため、実用上の利点が小さい。空隙率が50%を超える場合は、必要な粒子破壊強度を保てなくなるため望ましくない。空隙率については、望ましくは10〜30%の範囲が推奨される。
前記多孔質酸化物粒子については、前記空隙率に対応して、比重が1.1〜2.1(g/ml)の範囲のものとなる。前記多孔質酸化物粒子は相当する空隙率の従来型の多孔質粒子に比べて、低比重でありながら粒子破壊強度に優れるものであるため、軽量で高強度の粒子であると言うことができる。
表面処理
本発明における球状酸化物微粒子が集合してなる球状集合体は、所望により表面処理されていることが望ましい。表面処理により、1)球状酸化物微粒子の外表面に存在する孔部分の封鎖、2)表面の平坦化、3)表面被覆層の生成などが生じるため、多孔質酸化物粒子を各種媒体に添加した際に、その固有の特性(屈折率、断熱性など)が損なわれ難いなどの利点がある。
前記球状集合体に酸またはアルカリを添加して水熱処理することにより表面処理した場合は、球状集合体の成分(シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアまたはタングステンから選ばれる1種以上)が酸またはアルカリと反応することにより、球状集合体の表面の孔が封鎖され、表面処理の進行度合によっては、被覆層が形成される。この場合、該被覆層の成分については、球状集合体の成分と概ね同じものとなる。
球状酸化物微粒子に酸またはアルカリと下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物を添加して、水熱処理することにより表面処理した場合は、シリカ系被覆層が形成される。
一般式: RSi(OR′)4−n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数〜18のアリール基、およびビニル基から選ばれる炭化水素基またはアクリル基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
また、球状酸化物微粒子に珪酸液およびアルカリを添加して、水熱処理することにより表面処理した場合は、シリカからなる被覆層が形成される。
多孔質酸化物粒子の組成
本発明の多孔質酸化物粒子の組成については、無機酸化物が99.99質量%以上であって、ナトリウムが20ppm以下、鉄が20ppm以下、塩素が5ppm以下、アンモニアが1ppm以下であることが望ましい。ナトリウム、鉄、塩素およびアンモニア含有量が低下することにより、球状酸化物微粒子の粒子破壊強度向上に寄与するものと推察される。なお、ここで無機酸化物とは、前記球状酸化物微粒子としてのシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアまたはタングステンから選ばれる1種または2種以上の酸化物を意味する。
球状酸化物微粒子の球状集合体
本発明における球状酸化物微粒子が集合してなる球状集合体については、次のI)及び、II)の要件を満たすものが好ましい。
I) 細孔容積が0.003〜0.45cc/gの範囲
II) 細孔径が0.1〜10nmの範囲
前記球状酸化物微粒子の球状集合体は0.003〜0.45cc/gの範囲の細孔容積を有している。細孔容積が0.003cc/g未満の場合には、必要な空隙率を確保し難く、低比重化も図りにくい。細孔容積が0.45cc/gを越えると、球状集合体の強度が不充分となる。細孔容積の好ましい範囲は、0.03〜0. 20cc/gである。なお、当該細孔容積は、窒素吸着法(液体窒素温度、相対圧0. 6での窒素吸着量)によって求めることができる。
上記球状酸化物微粒子の球状集合体の細孔径については、0.1〜10nmの範囲にあることが好ましい。細孔径が0.1nm未満の場合、必要な空隙率を確保することが容易ではない。細孔径が10nmを超える場合は、必要な粒子破壊強度を得られない場合がある。該球状集合体の細孔径範囲については、望ましくは1〜5nmの範囲を推奨することができる。
球状集合体については、前記の通り表面処理により被覆層が形成される場合を含む。被覆層については、本発明の多孔質酸化物粒子の用途によっては、被覆層の厚さ(TS)が0.001〜2.5μmの範囲にあり、被覆層の厚さ(TS)と前記多孔質酸化物粒子の平均粒子径(PD)の比(TS)/(PD)が0.0001〜0.05の範囲にあるものが実用上好適であり、特に0.005〜0.1μmの範囲にあることが好ましい。厚さ(TS)が0.001μm未満の場合は、前記被覆効果を発現できる被覆層となりにくい。
即ち、使用に際して溶媒等が粒子内部に拡散し易くなるため、低屈折率や断熱効果が求められる用途においては好ましくない。厚さ(TS)が2.5μmを越えると、球状多孔質粒子の粒子径に対して被覆層が厚すぎて、空隙の容積割合が低くなるため、低屈折率や断熱効果が要求される用途においては望ましくない。このため、被覆層の厚さ(TS)と球状多孔質粒子の平均粒子径(PD)の比(TS)/(PD)が0.0001〜0.05、特に0.001〜0.05の範囲にあることが好ましい。
このような球状酸化物微粒子の球状集合体の製造方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、マイクロカプセル法、乳化法、オイル法、噴霧法などが挙げられる。中でも本願出願人の出願による特公平3−43201号公報、特公平2−61406号公報等に開示した真球状微粒子粉末の製造方法は、出発無機酸化物微粒子が球状で無い場合であっても真球状の無機酸化物微粒子集合体が得られ、製造工程が複雑でなく経済性にも優れている。この好ましい製造方法については後述する。
本発明の多孔質酸化物粒子は、その空隙率が同程度の水準にある従来の多孔質粒子に比べて、粒子破壊強度に優れるものである。また、従来の多孔質粒子に比べて、低比重でありながら、同等以上の粒子破壊強度を示すものと言える。この様な優れた効果が生じることについては、前記球状酸化物微粒子の真球度が高く、更に粒子径分布が単分散またはバイモーダルであることに起因するものと考えられる。また、本発明の多孔質酸化物粒子に含まれるナトリウム、鉄、塩素およびアンモニアの量が極めて低い水準にあることも貢献しているものと推察される。
本発明の多孔質酸化物粒子の好適な態様1
本発明の多孔質酸化物粒子の典型的な例としては、多孔質シリカ粒子を挙げることができる。多孔質シリカ粒子の好適な態様については、平均粒子径(PD)0.5〜50μmの範囲、空隙率5〜50%の範囲、比重1.1〜2.1g/mlの範囲であって、その組成については、シリカ99.99質量%以上、ナトリウム5ppm以下、鉄20ppm以下、塩素1ppm以下、アンモニア1ppm以下であることが望ましい。この様な多孔質シリカ粒子は、以下に記す球状シリカ微粒子が集合し、結着してなる球状集合体からなるものが好適である。前記球状シリカ微粒子としては、平均粒子径2〜100nm、真球度0.9〜1であって、次の[1]または[2]に相当するものが好適である。
[1]平均粒子径が2〜100nmの範囲にあり、粒子径分布が単分散であって、その粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にあるもの。
[2]次の球状シリカ微粒子(a)と球状シリカ微粒子(b)を質量比100:0.1〜100:100の範囲で含む混合物。
球状シリカ微粒子(a): 平均粒子径2〜100nm、粒子径変動係数(CV値)2〜10%
球状シリカ微粒子(b): 平均粒子径2〜20nm、粒子径変動係数(CV値)2〜10%(但し、Da/Db≧5の範囲に限る)
なお、前記球状シリカ微粒子の球状集合体としては、次のI)およびII)の要件を満たすものが好適である。
I) 細孔容積が0.003〜0.45cc/gの範囲
II) 細孔径が0.1〜10nmの範囲
本発明の多孔質酸化物粒子の典型的な例として挙げた前記多孔質シリカ粒子については、その構成および特性から、次の様に定義することも可能である。
本発明の多孔質酸化物粒子の好適な態様2
本発明の多孔質酸化物粒子のうち、平均粒子径(PD)0.5〜50μm、空隙率5〜50%の多孔質シリカ粒子であって、その組成がシリカ99.99質量%以上、ナトリウム20ppm以下、鉄20ppm以下、塩素5ppm以下、アンモニア1ppm以下であり、更に粒子破壊強度が30〜200Kgf/mm2の範囲にあることを特徴とする多孔質シリカ粒子は実用性が高く好適に使用することが可能である。
2.多孔質酸化物粒子の製造方法
本発明の球状多孔質粒子の製造方法は、以下に述べる(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および(G)の各工程を含むことを特徴とする。
(A)遠心分離処理
先に述べた通り、本発明の多孔質酸化物粒子は、多孔質酸化物粒子を構成する球状酸化物微粒子の粒子径分布が単分散である場合とバイモーダルである場合が存在する。前者の場合については、次の(A1)の工程により、後者の場合については次の(A2)の工程により球状酸化物微粒子の分散液を遠心分離処理する。
(A1) 平均粒子径2〜100nmの球状酸化物微粒子の分散液を調製し、遠心分離処理を行って、粗大粒子の除去および粒子径の均一化を図る。遠心分離処理条件については、粒子径分布が単分散相を示すまで行う。粒子変動係数(CV値)が2〜10%の範囲となるように処理を行うことが望ましい。
(A2) 平均粒子径2〜100nmの球状酸化物微粒子(a)の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子(a)の分散液を調製し、更に、平均粒子径2〜20nmの球状酸化物微粒子(b)(但し、Da/Db≧5の範囲に限る)の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子(b)の分散液を調製し、両分散液を混合することにより粒子径分布がバイモーダルな球状酸化物微粒子分散液とする。なお、両分散液とも粒子変動係数(CV値)が2〜10%の範囲となるように処理を行うことが望ましい。
遠心分離処理条件については、前記いずれの場合においても粗大粒子が除去され、粒子径分布における粒子変動係数が2〜10%となるような処理が行われる限り、格別に限定されるものではない。通常は、球状酸化物微粒子分散液の固形分濃度が1〜50質量%で、遠心力が500〜20000Gの範囲が推奨される。
(A1)工程については、予め粒子径分布が単分散相である球状酸化物微粒子分散液を原料として入手して使用する場合においては、省略することが可能となる。また、(A2)工程においても同様に予め粒子径分布がバイモーダルである球状酸化物微粒子分散液を原料として入手して使用する場合は省略することが可能である。
(B)球状酸化物微粒子集合体の調製
球状酸化物微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して球状酸化物微粒子集合体を調製する。該球状酸化物微粒子分散液の溶媒については、水または有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール等の多価アルコール等を用いることができる。
前記噴霧液については、前記球状酸化物微粒子分散液の他に、所望により珪酸液を含んでいても良い。噴霧液として、前記球状酸化物微粒子分散液に珪酸液を添加することにより、粒子の強度が増加する効果がある。珪酸液の添加量については、[球状酸化物微粒子の質量]/珪酸液(シリカ換算)で、1.3以上が望ましい。1.3未満では、珪酸液に由来するシリカの割合が過剰になり空隙率が低下する傾向が強まる。
前記噴霧液の濃度については、固形分換算で5〜60重量%、特に、10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。噴霧液の固形分濃度が5重量%未満の場合は、集合体が得られ難い。噴霧液の濃度が60重量%を越えると、噴霧液が不安定になり球状の集合体が得難くなる。また、後述する噴霧乾燥を連続的に行えず、集合体の収率が低下する。
前記噴霧液の噴霧乾燥方法としては、前記した集合体が得られれば特に制限はなく、回転ディスク法、加圧ノズル法、2流体ノズル法など従来公知の方法を採用することができる。特に、特公平2−61406号公報に開示された2流体ノズル方法は、粒子径分布の均一な球状酸化物微粒子集合体を得ることができ、また平均粒子径をコントロールすることが容易であるので好ましい。
このときの乾燥温度は、球状酸化物微粒子分散液の濃度、処理速度等によっても異なるが、スプレードライヤーを使用する場合、例えば、スプレードライヤーの入口温度としては100〜300℃、噴霧速度0.5〜3L/分、出口温度40〜100℃などの条件が好ましい。
(C)球状酸化物微粒子集合体の加熱処理
(B)工程で得られた球状酸化物微粒子集合体を、球状酸化物微粒子同士またはゲル成分との結合力を高めるために、150〜600℃の温度範囲で加熱処理する。加熱処理温度が150℃未満では結合力の向上効果が認められず、600℃を越えると球状酸化物微粒子集合体が収縮するおそれがあり、最終的に得られる球状多孔質粒子の空隙が小さくなり、好ましくない。
(D)球状酸化物微粒子集合体分散液の調製
(C)工程で得られた球状酸化物微粒子集合体を、室温〜40℃まで放冷または冷却し、水および/または有機溶媒に分散させてその分散液を調製する。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール等の多価アルコール等を用いることができる。分散液の濃度は、球状酸化物微粒子集合体を酸化物に換算した濃度で0.1〜40重量%、特に0.5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が0.1重量%未満の場合は、工程(D)において球状酸化物微粒子集合体の内部にも酸化物系成分が析出し、外表面に選択的に析出させることが困難となり、細孔容積の大きな球状多孔質粒子が得られ難くなる。他方、濃度が40重量%を越えると(D)工程において集合体同士が凝集し易くなるので好ましくない。
(E)表面処理
(D)工程で得られた集合体分散液に次のi)、ii)またはiii)を添加して球状酸化物微粒子集合体の外表面の表面処理を行う。
i) 酸またはアルカリ
ii) 酸またはアルカリと次の一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物
一般式: RSi(OR′)4−n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数〜18のアリール基、およびビニル基から選ばれる炭化水素基またはアクリル基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
iii) 珪酸液およびアルカリ
前記i)の場合の酸またはアルカリについては、通常は酸またはアルカリの水溶液が使用される。酸またはアルカリの種類については格別制限されるものではないが、塩酸水溶液、ホウ酸水溶液、アンモニウム水溶液などを挙げることができる。
前記ii)の場合の酸またはアルカリについては、i)の場合と同様に定義される。前記一般式で表される有機ケイ素化合物としては、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
なお、有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物と共に添加される酸またはアルカリは、加水分解のための触媒としても機能するが、所望により加水分解用の触媒を添加しても良い。加水分解触媒として、アルカリ金属の水酸化物や、アンモニア水、アミン等の塩基性のものを用いた場合、加水分解後これらの塩基性触媒を除去して、酸性溶液にして用いることもできる。また、有機酸や無機酸などの酸性触媒を用いて加水分解物を調製した場合、加水分解後、イオン交換等によって酸性触媒を除去することが好ましい。なお、得られた有機ケイ素化合物の加水分解物は、水溶液の形態で使用することが望ましい。ここで水溶液とは加水分解物がゲルとして白濁した状態になく透明性を有している状態を意味する。
多孔質酸化物粒子を有機樹脂に配合して用いる場合には、上記有機珪素化合物でnが1〜3の化合物あるいはフッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を用いることにより、有機溶媒への分散性がよく、有機樹脂との親和性の高い球状多孔質粒子が得られる。
なお、有機ケイ素化合物でnが0の化合物はそのまま用いることができるが、nが1〜3の化合物は親水性に乏しいので、予め加水分解しておくことにより、反応系に均一に混合できるようにすることが好ましい。加水分解には、これら有機ケイ素化合物の加水分解法として周知の方法を採用することができる。
前記iii)の場合については、珪酸液を用いる場合には、分散液中に珪酸液を所定量添加し、同時にアルカリ(前記i)の場合と同様に定義される。)を加えて珪酸液を集合体粒子の外表面に沈着させる。珪酸液としては、珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理すること等によって、アルカリを除去して得られる珪酸液を用いることができ、特に、pH2〜pH4、SiO2濃度が約7重量%以下の酸性珪酸液が好ましい。
なお、上記機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物あるいは珪酸液と共に、前述した酸化物以外の無機酸化物の前駆体金属塩を添加して酸化物と酸化物以外の無機酸化物とからなる酸化物系層を形成することもできる。酸化物以外の無機酸化物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物を用いることが好ましく、前記した金属または非金属のオキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。
このような酸化物源、酸化物以外の無機化合物塩を含む酸化物源の添加量については、通常は、球状酸化物微粒子集合体の平均粒子径および空隙率を考慮し、前記(TS)/(PD)が0.0001〜0.05の範囲となり、酸化物系層の厚さ(TS)が0.001〜2.5μmの範囲となるようにすることが好ましい。
例えば、平均粒子径が100μmで細孔容積が0. 3cc/gの球状酸化物微粒子集合体100gの外表面に厚さ2μmの被覆層を形成するのに必要な酸化物量を計算によって求めると、酸化物(または、酸化物と酸化物以外の無機酸化物)として約21gとなり、これに相当する酸化物源、酸化物以外の無機化合物塩を添加すればよい。なお、ここでは酸化物以外の無機酸化物の含有量が少ないため被覆層の密度は酸化物と同じ(d=2.2)として計算した。
酸化物系層で被覆した球状酸化物微粒子集合体の分散液は、限外濾過等の公知の洗浄方法により洗浄することができる。この場合、予め分散液中のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよびアンモニウムイオン等の一部をイオン交換樹脂などで除去した後に限外濾過してもよい。
次いで、上記分散液から粒子を濾過分離し、乾燥して第1の球状多孔質粒子を得る。この球状多孔質粒子の外表面には酸化物系層が形成されているので、水分子等の微小粒子以外は細孔内部に入り込まず、低屈折率となる。即ち、第1の球状多孔質粒子を有機樹脂のような高分子化合物に分散させて用いる場合、高分子化合物が酸化物系層の細孔を通して粒子内部の空隙に入ることがなく、このため空隙が維持されるために低屈折率や断熱効果を有する。
(F)水熱処理
(E)工程で得られた第1の球状多孔質粒子の分散液を、50〜350℃の温度範囲で水熱処理することにより、球状酸化物微粒子集合体を被覆している酸化物系層を緻密化することができる。即ち、酸化物系層の細孔を減少あるいは消失させることにより、球状多孔質粒子の内部空隙には、溶媒および/または気体が残留することになる。
水熱処理は、該分散液に必要に応じてアルカリ水溶液を添加して好ましくはpH8〜13の範囲に調整し、加熱処理することにより行われる。このときの加熱処理温度は、特に100〜300℃の範囲が好ましい。
加熱処理に際しては、分散液の濃度を予め希釈して、あるいは濃縮して処理することもできる。また、この後、前記工程(D)と同様にして、水熱処理した分散液の洗浄を行ってもよく、最後に、上記水熱処理した分散液から粒子を濾過分離し、乾燥して第2の球状多孔質粒子を得る。この球状多孔質粒子は、酸化物系被覆層が緻密化されているので、低屈折率化や断熱効果が促進される。
(G)加熱処理
さらに(F)工程で得られた第2の球状多孔質粒子を乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理して、酸化物系層により内部空隙が密封された第3の球状多孔質粒子を得ることができる。加熱処理温度が400℃未満では、酸化物系層の細孔を完全に閉塞して緻密化することができない。一方、加熱処理温度が1200℃を越えると球状多孔質粒子が互いに融着し易く、球状を保持し難い。この第3の球状多孔質粒子は、空隙に溶媒が存在しないために粒子の屈折率は極めて低い。従って、この粒子を用いて得られる被膜は低屈折率であり、被膜付基材は反射防止性能に優れる。また、この粒子を積層した膜は優れた断熱効果を有する。
本発明の多孔質酸化物粒子の製造方法の好適な態様
下記の(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および(G)の各工程を含む多孔質酸化物粒子の製造方法。
(B)次のIまたはIIから選ばれる球状酸化物微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して球状酸化物微粒子集合体を調製する工程
I: 平均粒子径が2〜100nmで、粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子分散液
II: 粒子径範囲2nm以上、20nm未満の範囲と平均粒子径20nm以上、100nm以下の範囲にそれぞれ粒子径分布のピークを有する粒子径分布がバイモーダルな球状酸化物微粒子分散液
(C): 前工程で得られた球状酸化物微粒子集合体を温度150〜600℃の範囲で加熱処理する工程
(D): 前工程に続いて、該球状酸化物微粒子集合体を水および/または有機溶媒に分散させ、球状酸化物微粒子集合体の分散液を調製する工程
(E): 前工程で調製した球状酸化物微粒子集合体の分散液に、次のi)、ii)またはiii)を添加することにより該球状酸化物微粒子集合体を表面処理する工程
i) 酸またはアルカリ
ii) 酸またはアルカリと、下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物
一般式: RSi(OR′)4−n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数〜18のアリール基、およびビニル基から選ばれる炭化水素基またはアクリル基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
iii) 珪酸液およびアルカリ
(F): 前工程に続いて、球状酸化物微粒子集合体の分散液を50〜350℃で水熱処理する工程
(G): 前工程に続いて、多孔質酸化物粒子の分散液から、多孔質酸化物粒子を分離し、乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理する工程
3.熱硬化性樹脂組成物
本発明の多孔質酸化物粒子を充填材として熱硬化性樹脂に配合することにより熱硬化性樹脂組成物とすることができる。通常は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、前記多孔質酸化物粒子10〜95質量部を含むものが好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、1分子中に複数のエポキシ基を有する硬化性エポキシ樹脂が好適に使用される。この例としては、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂については、単独又は複数種を混合して使用しても良い。また、これらのエポキシ樹脂の他に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、含複素環エポキシ樹脂、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂エポキシ樹脂等を併用しても良い。
前記硬化剤としては、酸無水物などが好適に使用される。このような例としては、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の無水フタル酸タイプの誘導体、および無水メチルナジック酸等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、所望により、各種添加剤を添加することができる。このような例としては、着色剤、応力緩和剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、難燃剤、硬化促進剤等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、多孔質酸化物粒子、硬化剤および各種添加剤を混合した後、例えば、ロールなどにより混練し、更に減圧脱泡処理することにより調製される。
4.半導体樹脂封止材
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、充填材として配合された多孔質酸化物粒子の特性に起因して、低比重、高誘電率、高強度な材料である。このため半導体用樹脂封止材として好適である。
続いて実施例および比較例を述べるが、その前に実施例および比較例における特性についての測定方法について説明する。
[1A] 動的光散乱法による平均粒子径の測定方法
合成例1−1、合成例1−2および合成例1−3で調製した球状酸化物微粒子の平均粒子径については、試料酸化物ゾルを0.58%アンモニア水にて希釈して、酸化物濃度1質量%に調整し、下記粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
〔粒径測定装置〕
レーザーパーティクルアナライザー(大塚電子社製、レーザー粒径解析システム:LP−510モデルPAR−III、測定原理: 動的光散乱法、測定角度90°、受光素子 光電子倍増管2インチ、測定範囲3nm〜5μm、光源 He-Neレーザー 5mW 632.8nm、温度調整範囲5〜90℃、温度調整方式ペルチェ素子(冷却)、セラミックヒーター(加熱)、セル 10mm角 プラスチックセル、測定対象:コロイド粒子)
なお、合成例2−1、合成例2−2および合成例2−3で調製した球状酸化物微粒子の平均粒子径については、後記[5]に記載した平均粒子径の測定方法により測定した。
[1B] 遠心沈降法による平均粒子径の測定方法
多孔質酸化物粒子の平均粒子径については、まず、多孔質酸化物粒子の分散液(水または40質量%グリセリン溶媒、固形分濃度0.1〜5質量%)を超音波発生機(iuch社製、US-2型)に5分間分散する。更に、水またはグリセリンを加えて適度に濃度を調節した分散液より、ガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に当該分散液を取り、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA−700)を用いて平均粒子径を測定した。
また、球状酸化物微粒子の球状集合体の平均粒子径についても同様に測定した。
[2] 比重の測定方法
多孔質シリカ粒子の比重については、まず、試料10gをルツボに採取し、110℃で2時間乾燥させる。次いで、デシケーターにて冷却後、25mlピクノメーターに3〜4g入れ、蒸留水を加えて懸濁し、60mmHgにて1時間真空脱気を行った後に、25℃恒温槽にて温度調整する。ピクノメーターの標線まで蒸留水を加えて容量を調整し、ピクノメーターの容量(25ml)と蒸留水の容量(ml)の差から試料の容量(ml)を算出する。加えた試料の重量(g)と算出された容量(ml)から比重を求めた。
[3] 空隙率の測定方法
多孔質シリカ粒子の空隙率については、前記[2]で求めた比重を用いて、以下の式から算出した。
100−[前記[2]で求めた多孔質シリカ粒子の比重]/[シリカの比重]×100=空隙率(%)
[4] 真球度の測定方法
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料酸化物ゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、それらの平均値を真球度とした。
[5] 粒度分布の測定
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5300型)を用いて粒子を撮影(倍率250,000倍)し、この画像の250個の粒子について、画像解析装置(旭化成株式会社製、IP−1000)を用いて、平均粒子径を測定し、粒子径分布に関する変動係数(CV値)を算定した。具体的には、粒子250個について、それぞれの粒子径を測定し、その値から平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、下記式から算定した。
変動係数(CV値)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100
[6] 細孔容積の測定方法
多孔質酸化物粒子の細孔容積については、先ず、試料10gをルツボに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却した。次いで、よく洗浄したセルに1g試料を取り、窒素吸着装置(自社製)を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出した。
細孔容積(ml/g)=(0.001567×(V−Vc)/w)
但し、0.001567: 窒素ガスと液体窒素の密度の比、
V: 圧力735mmHgでの標準状態の吸着量(ml)、
Vc: 圧力735mmHgでのセルブランク(ml)、
W: 試料重量(g) である。
[7] 細孔径の測定方法
多孔質酸化物粒子の細孔容積については、試料10gをルツボに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却した。ガラスセルに0.15g採取し、AUTOSORB DEGASSER(ユアサ アイオニクス株式会社製)を使用して真空脱気しながら試料にN2を吸着後、AUTSORB−6で細孔径を測定して得られるDIFFERENTIAL CURVE グラフより確認されるDESORPTION推移から、細孔容積が最も大きい細孔径を、多孔質酸化物粒子の細孔径とした。
[8] 被覆層の厚さ(TS)の測定方法
球状多孔質粒子を粉砕し、粒子の破断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、粒子20個について被覆層部の厚さを測定し、この平均値として求めた。
[9] pH測定
測定用サンプル約50gをポリエチレン製のサンプル瓶に採取し、これを25℃の恒温槽に30分以上浸漬した後、pH4、7および9の標準液で更正が完了した株式会社堀場製作所製のpHメータF22のガラス電極を挿入して実施した。
[10] 粒子の破壊強度測定
粒子の破壊強度については、多孔質酸化物粒子(粒子径10±1μm)1個の粒子を試料とし、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCTM−200)を用いて、試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、粒子が破壊した時点の加重値を圧縮強度(kgf/mm2)とする。 さらに、この操作を4回繰り返し、5個の試料について圧縮強度を測定し、その平均値を粒子圧縮強度とした。
[11] 多孔質シリカ粒子中のシリカ含有量測定
試料シリカゾル10gに50%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形物
を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量する。次に、秤量した固形物を微量の50%硫酸水溶
液に溶かし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15
分焼成後、冷却して秤量する。これらの重量差より多孔質シリカ粒子中のシリカ含有量を求めた。
[12] 多孔質シリカ粒子中の金属含有量測定方法
Na、Feの含有量測定方法は以下の通りである。
1)試料シリカゾル約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量する。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し,蒸発乾固する。
3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解する。
5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とする。
6)試料溶液中に存在するナトリウムと鉄の含有量を、各測定装置でそれぞれ測定した。
7)前記[12]と同様に多孔質粒子中のシリカ含有量を測定した。
8)上記6)と7)の結果からSiO2分に対する各金属の割合を算出した。
Naの含有量は、原子吸光分光光度計((株)日立製作所製、Z-5300、フレームにより試料を原子蒸気化し、その原子蒸気層に適当な波長の光を照射する。その際、原子によって吸収された光の強さを測定し、これにより試料中の元素濃度を定量する。測定モード:原子吸光、測定波長範囲は190〜900nm。)により測定した。シリカ試料の場合におけるNaの検出波長は、589.0nmである。
Feの含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイコーインスツル(株)製、SPS1200A)により測定した。シリカ試料の場合におけるFeの検出波長は、259.94nmである。
[13] 多孔質シリカ粒子中の塩素の含有量測定方法
1)試料シリカゾルの約20gを200mlビーカーに採取し、0.1mgまで秤量する。
2)アセトン100ml、酢酸5mlおよび0.002mol/lの塩化ナトリウム溶液4mlを加え、試料溶液
とする。
3)電位差自動滴定装置(京都電子工業(株)製、AT−610、検出範囲:≡2000〜2000mV、pH0〜14、温度0〜100℃)を使用して、試料溶液に対する硝酸銀アルコール溶液(硝酸銀濃度0.002mol/l)の滴定量を求める。
また試料シリカゾルを添加しない他は上記2)と同様にして空試験溶液を調製し、これについても同様に滴定量を求めた。そして、次式から試料中の塩素含有量を求めた。
Cl [ppm]= ((A − B) × f × 71)/W
A: 試料溶液の0.002mol/l 硝酸銀アルコール溶液滴定量(ml)
B: 空試験溶液の0.002mol/l 硝酸銀アルコール溶液滴定量(ml)
f: 0.002mol/l硝酸銀の力価
71: 0.002mol/l硝酸銀アルコール溶液1mlにおけるCl相当量(μg)
W: 試料採取量(g)
[14] 多孔質シリカ粒子中のアンモニア含有量測定方法
試料(多孔質酸化物粒子)を10g採取し、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えて、混ぜ合わせ、測定用試料とした。そして、アンモニア蒸留装置を用いて、同測定用試料中に含まれるアンモニアを蒸留した。なお、蒸留されたアンモニアについては、直接、濃度0.05質量%の硫酸水溶液で液化するようにアンモニア蒸留装置を設置し、得られた溶液を蒸留物とした。
同蒸留物に含まれるアンモニア含有量をイオンメーター(ORION社製、MODEL720A)とその検量線を用いて算出し、前記の試料重量と測定されたアンモニア含有量からその濃度を算出した。
合成例1−1
純水139. 1gとメタノール169. 9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28重量%)の水−メタノール溶液(水/メタノール(重量比:2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532. 5g溶解したもの)2982. 5gおよび濃度0. 25重量%のアンモニア水596. 4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0. 034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、更に60℃にて、3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、次いで限外濾過膜で濃縮し、シリカ濃度20重量%のシリカゾルを調製した。
このシリカゾルは、平均粒子径23nm(前記[1A]に記載した動的光散乱法による)のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。
合成例1−2
純水418gとエタノール620gとを混合した混合溶媒を75℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28重量%)13.8Kgとエタノール26.2Kgの混合液と、水13.3Kgと濃度28質量%のアンモニア水溶液0.96Kgとの混合液とを同時に10時間かけて添加した。添加終了後、更に75℃にて、3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、次いで限外濾過膜で濃縮し、シリカ濃度20重量%のシリカゾルを調製した。
このシリカゾルは、平均粒子径48nm(前記[1A]に記載した動的光散乱法による)のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。
合成例1−3
純水424gとエタノール630gとを混合した混合溶媒を75℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28重量%)28Kgとエタノール53.2Kgの混合液と、水26.9kgと濃度28質量%のアンモニア水溶液2.0Kgとの混合液とを同時に10時間かけて添加した。添加終了後、更に75℃にて、3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、次いで限外濾過膜で濃縮し、シリカ濃度20重量%のシリカゾルを調製した。
このシリカゾルは、平均粒子径60nm(前記[1A]に記載した動的光散乱法による)のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。
合成例2−1
珪酸液2625gを陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)0.2Lに空間速度3.1で通液させることで得られた固形分4.8重量%の高純度珪酸液2600gを得た。
この高純度珪酸液135.4gに28%アンモニア水をpH11.5になるまで添加した。ついで63℃に昇温し、その温度で30分保った後、前述の高純度珪酸液27.1kgを9時間かけて添加した。添加終了後さらに1時間、温度63℃を保った。反応終了後に得られたゾルを限外モジュール(旭化成社製SIP-1013)で10%まで濃縮した。次にロータリーエバポレーターで濃縮し、シリカ濃度16重量%のシリカゾルを調製した。
このシリカゾルは、平均粒子径5nm(前記[5]に記した走査型電子顕微鏡による平均粒子径の測定方法による)のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。
合成例2−2
合成例2−1と同様の高純度珪酸液158.8gに28%アンモニア水をpH11.5になるまで添加した。ついで65℃に昇温し、その温度で80分保った後、合成例2−1と同様の高純度珪酸液31.9Kgを15時間かけて添加した。添加終了後さらに1時間、温度65℃を保った。反応終了後に得られたゾルを限外モジュール(旭化成社製SIP-1013)で10%まで濃縮した。次にロータリーエバポレーターで濃縮し、シリカ濃度16重量%のシリカゾルを調製した。
このシリカゾルは、平均粒子径8nm(前記[5]に記した走査型電子顕微鏡による平均粒子径の測定方法による)のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。
合成例2−3
合成例2−1と同様の高純度珪酸液1292.9gに28%アンモニア水をpH11.5になるまで添加した。ついで79℃に昇温し、その温度で30分保った後、合成例2−1と同様の高純度珪酸液40.0Kgを15時間かけて添加した。添加終了後さらに1時間、温度79℃を保った。反応終了後に得られたゾルを限外モジュール(旭化成社製SIP-1013)で10%まで濃縮した。次にロータリーエバポレーターで濃縮し、シリカ濃度16重量%のシリカゾルを調製した。
このシリカゾルは、平均粒子径10nm(前記[5]に記した走査型電子顕微鏡による平均粒子径の測定方法による)のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。
合成例1−1と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%のシリカゾル5Lを遠心分離機(株式会社コクサン製、連続高速遠心機H−660)のローター(型式:QNS、容量:1L)に連続的に注入し、7000Gにて400g/分の速度で通液し、液を連続して回収することにより、粗大粒子の遠心分離処理を行った。粗大粒子はローター内に沈殿した。
このシリカゾルは、平均粒子径23nm、真球度0.93のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。なお、このシリカゾルの粒子変動係数(CV値)は、3%であり球状シリカ微粒子が単分散しているものであることが分かった。
このシリカゾルの水希釈品(シリカ濃度12.6%)2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
次いで、珪酸液2625g(シリカ濃度4.8質量%)を陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)0.2Lに空間速度3.1で通液させることで得られた固形分4.8重量%の高純度珪酸液2600gを前記シリカゾル1980gに加え([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=2に相当)、攪拌してスラリー(固形分濃度8.2質量%)とした。
得られたスラリーをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、球状酸化物微粒子集合体を得た。
得られた球状シリカ微粒子集合体を温度450℃にて、6時間加熱し、平均粒子径10μmの球状シリカ微粒子集合体260gを得た。この球状シリカ微粒子集合体について、細孔容積および細孔径を測定した結果を表1に示す。
得られた球状シリカ微粒子集合体260gを純水1300gに懸濁させ、撹拌することにより球状シリカ微粒子集合体の分散液を調製した。該分散液のpHが10.5になるまで15%アンモニア水溶液を加え、オートクレーブに入れて150℃の温度で16時間熟成した後、室温まで冷却して抜き出した。得られたスラリーをヌッチェにて脱水し、得られたケーキに60℃の純水を1500g加えて洗浄し、脱水処理を行った。
得られた該洗浄ケーキを110℃の温度で18時間乾燥したところ、球状の粉体を240g得た。更にこの粉体を温度800℃で6時間焼成することにより多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子について、平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
実施例1における珪酸液の使用量を3465g([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=1.5に相当)に変更し、スラリーの固形分濃度を7.6質量%とした他は、実施例1と同様の条件にて球状シリカ微粒子集合体を調製した。得られた球状シリカ微粒子集合体の平均粒子径は8μmであった。この球状シリカ微粒子集合体について、細孔容積および細孔径を測定した結果を表1に示す。
得られた球状シリカ微粒子集合体について、実施例1と同様な処理を行って多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子について、平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
実施例1における珪酸液の使用量を1299g([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=4に相当)に変更し、スラリーの固形分濃度を9.5質量%とした他は、実施例1と同様の条件にて球状シリカ微粒子集合体を調製した。得られた球状シリカ微粒子集合体の平均粒子径は9μmであった。この球状シリカ微粒子集合体について、細孔容積および細孔径を測定した結果を表1に示す。
得られた球状シリカ微粒子集合体について、実施例1と同様な処理を行って多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子について、平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
合成例2−1と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%のシリカゾル5Lを遠心分離機(株式会社コクサン製、連続高速遠心機H−660)のローター(型式:QNS、容量:1L)に連続的に注入し、7000Gにて400g/分の速度で通液し、液を連続して回収することにより、粗大粒子の遠心分離処理を行った。粗大粒子はローター内に沈殿した。
このシリカゾルは、平均粒子径5nm、真球度0.90のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。なお、このシリカゾルのCV値は、7%であり球状シリカ微粒子が単分散しているものであることが分かった。
このシリカゾルの水希釈品(固形分濃度10.0質量%)1600gをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、球状酸化物微粒子集合体を得た。
得られた球状シリカ微粒子集合体を温度450℃にて、6時間加熱し、平均粒子径10μmの球状シリカ微粒子集合体180gを得た。この球状シリカ微粒子集合体について、細孔容積および細孔径を測定した結果を表1に示す。
得られた球状シリカ微粒子集合体180gを純水720gに懸濁させ、撹拌することにより球状シリカ微粒子集合体の分散液を調製した。
該分散液のpHが10.5になるまで15%アンモニア水溶液を加え、オートクレーブに入れて150℃の温度で16時間熟成した後、室温まで冷却して抜き出した。得られたスラリーをヌッチェにて脱水し、得られたケーキに60℃の純水を1500g加えて洗浄し、脱水処理を行った。
得られた該洗浄ケーキを110℃の温度で18時間乾燥したところ、球状の粉体を160g得た。更にこの粉体を温度800℃で6時間焼成することにより多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子について、平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
合成例1−2と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%のシリカゾル5Lについて、実施例4と同様に遠心分離処理を行い、粗大粒子の除去を行った。このシリカゾルは平均粒子径48nm、真球度0.95、CV値2.5%の球状シリカ微粒子(a)が水に分散してなる球状シリカゾル(シリカ濃度12.6%)であった。
この球状シリカ微粒子2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
また、合成例2−2と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%のシリカゾル5Lについて、実施例4と同様に遠心分離処理を行い、粗大粒子の除去を行った。このシリカゾルは平均粒子径8nm、真球度0.91、CV値4.5%の球状シリカ微粒子(b)が水に分散してなる球状シリカゾル(シリカ濃度12.6%)であった。
この球状シリカゾル2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
そして、球状シリカ微粒子(a)と球状シリカ微粒子(b)の質量比が100:16.7となるように両シリカゾルを混合し、シリカゾル2310gを得た。
次いで、珪酸液1540g(シリカ濃度4.8質量%)に陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)0.2Lを空間速度3.1で通液させることで得られた珪酸液1515gを前記シリカゾル2310gに加え([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=4に相当)、攪拌してスラリー(固形分濃度9.5質量%)とした。
得られたスラリーをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、球状酸化物微粒子集合体を得た。
得られた球状シリカ微粒子集合体を温度450℃にて、6時間加熱し、平均粒子径9μmの球状シリカ微粒子集合体250gを得た。この球状シリカ微粒子集合体について、細孔容積および細孔径を測定した結果を表1に示す。
得られた球状シリカ微粒子集合体について、実施例1と同様な処理を行って多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子について、平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
合成例1−3と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%のシリカゾル5Lについて、実施例4と同様に遠心分離処理を行い、粗大粒子の除去を行った。このシリカゾルは平均粒子径60nm、真球度0.96、CV値2.5%の球状シリカ微粒子(a)が水に分散してなる球状シリカゾル(シリカ濃度12.6%)だった。
この球状シリカ微粒子2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
また、合成例2−3と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%のシリカゾル5Lについて、実施例4と同様に遠心分離処理を行い、粗大粒子の除去を行った。このシリカゾルは平均粒子径10nm、真球度0.92、CV値5%の球状シリカ微粒子(b)水に分散してなる球状シリカゾル(b)(シリカ濃度12.6%)だった。
この球状シリカゾル2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
そして、球状シリカ微粒子(a)と球状シリカ微粒子(b)の質量比が100:16.7となるように両シリカゾルを混合し、シリカゾル2310gを得た。
次いで、珪酸液1540g(シリカ濃度4.8質量%)を陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)0.2Lに空間速度3.1で通液させることで得られた珪酸液1515gを、前記シリカゾル2310gに加え([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=4に相当)、攪拌してスラリー(固形分濃度9.5質量%)とした。
得られたスラリーをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、球状酸化物微粒子集合体を得た。
得られた球状シリカ微粒子集合体を温度450℃にて、6時間加熱し、平均粒子径9μmの球状シリカ微粒子集合体260gを得た。この球状シリカ微粒子集合体について、細孔容積および細孔径を測定した結果を表1に示す。
得られた球状シリカ微粒子集合体について、実施例1と同様な処理を行って多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子について、平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
比較例1
平均粒子径3.4μm、空隙率70%、比重1.1の多孔質シリカ微粒子(溶融シリカ)について、粒子の破壊強度を測定した結果を表1に示す。
比較例2
平均粒子径8.1μm、空隙率0%、比重2.2の非多孔質シリカ微粒子(溶融シリカ)について、粒子の破壊強度を測定した結果を表1に示す。
比較例3
特開2002−160907号記載の実施例6に準じて、球状シリカ粒子を調製した。
具体的には、シリカゾル(触媒化成工業(株)製:Cataloid SI-50、平均粒子径25nm、濃度50重量%)800gに、水450gとを混合しシリカゾルを調製し、温度105℃の乾燥気流中に、二流体ノズルの一方に5kg/hrの流量で、他方のノズルに気体圧力を2kg/hrの流量で供給して噴霧乾燥した。この粉末を500℃で5時間焼成してシリカ微粒子集合体を得た。このシリカ微粒子集合体の平均粒子径と細孔容積を測定し、結果を表1に示した。
次いで、純水1300g、エタノール1100gに濃度29重量%のアンモニア水400gを加えた混合溶媒に、シリカ微粒子集合体20gを分散させ、分散液の温度を35℃に維持しながら、これに有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:エチルシリケート−A、SiO2 濃度28重量%)14gを14分間で添加した。次いで、この分散液をオートクレーブに充填し、180℃で10時間水熱処理し、冷却した後、濾過分離し、乾燥(180℃、16時間)し、更に800℃で6時間焼成することにより多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子の平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
比較例4
特開2002−160907号記載の実施例7に準じて、球状シリカ粒子(G)を調製した。
具体的には、シリカゾル(触媒化成工業(株)製:Cataloid SI-50、平均粒子径25nm、濃度50重量%)400gに、水60gとアエロジル(日本アエロジル(株)製:平均粒子径0. 05μm)133gを添加し、これに水を加えて濃度が20重量%のシリカゾルを調製し、温度105℃の乾燥気流中に、二流体ノズルの一方に5kg/hrの流量で、他方のノズルに気体圧力を2kg/hrの流量で供給して噴霧乾燥した。この粉末を500℃で5時間焼成してシリカ微粒子集合体を得た。このシリカ微粒子集合体の平均粒子径と細孔容積を測定し、結果を表1に示した。
次いで、純水1300g、エタノール1100gに濃度29重量%のアンモニア水400gを加えた混合溶媒に、シリカ微粒子集合体20gを分散させ、分散液の温度を35℃に維持しながら、これに有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:エチルシリケート−A、SiO2 濃度28重量%)14gを14分間で添加した。次いで、この分散液をオートクレーブに充填し、180℃で10時間水熱処理し、冷却した後、濾過分離し、乾燥(180℃、16時間)し、更に800℃で6時間焼成することにより多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子の平均粒子径、空隙率、比重、外層の厚さおよび破壊強度を測定した結果およびこのシリカ微粒子の組成分析を行った結果を表1に示す。
前記実施例および前記比較例で得られた各多孔質シリカ粒子からなる粉体220gをそれぞれミキサーに入れ、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−13)の25gを加えて混合し、110℃の温度で16時間の焼付け処理を行うことにより表面がメチル基で変性された多孔質酸化物粒子117gを得た。
この表面がメチル基で変性された各多孔質シリカ粒子117gを、それぞれエポキシ樹脂(旭化成株式会社製、AER260」)59gに添加し、30分間混合し、目視により混和性を観察した。
混和性を次の基準で評価し、評価結果を表1に記した。
○:エポキシ樹脂中に粉体が均一に分散したことが観察された。
△:エポキシ樹脂中での粉体の分散については、均一な部分と不均一な部分が観察された。
×:エポキシ樹脂中での粉体の分散は、不均一であることが観察された。
Figure 0005132193
本発明の多孔質酸化物粒子は、低比重で高い空隙率でありながら優れた粒子破壊強度を示すものであり、半導体封止用樹脂組成物の充填材に好適である。また、この多孔質酸化物粒子は低屈折率で断熱特性を有することから、断熱材、消音材、防音材等として、好適である。また、シリカ被膜の球状多孔質粒子を高級滑性フィラーとして化粧料に用いれば、非常に軽く、ソフトで伸びのよいファンデーションが得られる。
このほか、インク用体質顔料、トナー、剥離性改良剤、潤滑剤、自動車用ワックス等の研磨材、樹脂・ゴム耐摩耗性改良用高硬度フィラー剤、流動性改良剤、艶消フィラー、無収縮フィラー、パテ用充填剤、吸着剤、クロマト用担体、香料包括ビーズ、殺菌剤・殺虫剤・防黴剤包括ビーズ、液晶包括ビーズ等の用途も例示することができる。

Claims (11)

  1. 平均粒子径(D)2〜100nm、真球度0.9〜1の範囲にある球状酸化物微粒子が集合した球状集合体からなる平均粒子径(PD)0.5〜50μm、空隙率5〜50%の範囲にある多孔質シリカ粒子であって、前記球状酸化物微粒子の粒子径分布が、(1)単分散、または、(2)バイモーダルであることを特徴とする多孔質シリカ粒子。
  2. 前記球状集合体が表面処理されたものであることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカ粒子。
  3. 前記粒子径分布が(1)単分散である球状酸化物微粒子の粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多孔質シリカ粒子。
  4. 前記粒子径分布が(2)バイモーダルである球状酸化物微粒子が、次の球状酸化物微粒子(a)と球状酸化物微粒子(b)を質量比100:0.1〜100:100の範囲で含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多孔質シリカ粒子。
    球状酸化物微粒子(a):平均粒子径(Da)が2〜100nmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にある。
    球状酸化物微粒子(b):平均粒子径(Db)が2〜20nmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が2〜10%の範囲にある(但し、Da/Db≧5の範囲に限る。)。
  5. 前記多孔質シリカ粒子の組成が、ナトリウム20ppm以下、鉄20ppm以下、塩素5ppm以下、アンモニア1ppm以下、前記ナトリウムと鉄以外の無機酸化物99.99質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の多孔質シリカ粒子。
  6. 前記球状集合体が下記I)及びII)の要件を満たすものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の多孔質シリカ粒子。
    I) 細孔容積が0.003〜0.45cc/gの範囲
    II) 細孔径が0.1〜10nmの範囲
  7. 前記球状集合体が、更に珪酸液に由来するシリカを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の多孔質シリカ粒子。
  8. 下記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および(G)の各工程を含む請求項1〜7のいずれか記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
    (A): 次の(A1)または(A2)から選ばれる工程
    (A1): 平均粒子径2〜100nmの球状酸化物微粒子の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子分散液とする工程
    (A2): 平均粒子径2〜100nmの球状酸化物微粒子(a)の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子(a)の分散液を調製し、更に、平均粒子径2〜20nmの球状酸化物微粒子(b)(但し、Da/Db≧5の範囲に限る)の分散液を遠心分離処理し、粗大粒子を分離することにより粒子径分布が単分散な球状酸化物微粒子(b)の分散液を調製し、両分散液を混合することにより粒子径分布がバイモーダルな球状酸化物微粒子分散液を調製する工程
    (B): 前工程の処理を行った球状酸化物微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して球状酸化物微粒子集合体を調製する工程
    (C): 前工程で得られた球状酸化物微粒子集合体を温度150〜600℃の範囲で加熱処理する工程
    (D): 前工程に続いて、該球状酸化物微粒子集合体を水および/または有機溶媒に分散させ、球状酸化物微粒子集合体の分散液を調製する工程
    (E): 前工程で調製した球状酸化物微粒子集合体の分散液に、次のi)、ii)またはiii)を添加することにより該球状酸化物微粒子集合体を表面処理する工程
    i) 酸またはアルカリ
    ii) 酸またはアルカリと、下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物
    一般式: RSi(OR′)4−n
    〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数〜18のアリール基、およびビニル基から選ばれる炭化水素基またはアクリル基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
    iii) 珪酸液およびアルカリ
    (F): 前工程に続いて、球状酸化物微粒子集合体の分散液を50〜350℃で水熱処理する工程
    (G): 前工程に続いて、多孔質シリカ粒子の分散液から、多孔質シリカ粒子を分離し、乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理する工程
  9. 前記(B)工程で使用する噴霧液が、球状酸化物微粒子の他に珪酸液を含むものであることを特徴とする請求項8記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
  10. 熱硬化性樹脂100質量部と、請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質シリカ粒子10〜95質量部を含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項10記載の熱硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とする半導体用封止材。
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