JP5845222B2 - 微孔樹脂フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents

微孔樹脂フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池のセパレータに好適に用いられる微孔樹脂フィルム及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、微孔樹脂フィルムを含んでいるリチウムイオン電池用セパレータに関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン電池が用いられている。このリチウムイオン電池は、一般的に、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムを塗布してなる正極と、銅箔の表面にカーボンを塗布してなる負極と、この正極と負極の短絡を防止するために正極と負極とを仕切るセパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。
そして、リチウムイオン電池は、その充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に進入する一方、放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動することによって充放電が行われる。従って、リチウムイオン電池に用いられているセパレータは、リチウムイオンが良好に透過し得ることが必要である。
リチウムイオン電池の充放電を繰り返すと、負極端面にリチウムのデンドライト(樹枝状結晶)が発生し、このデンドライトがセパレータを突き破って正極と負極とが微小な内部短絡(デンドライトショート)を起こし、著しく電池容量が劣化するという問題がある。
リチウムイオン電池の安全性の向上のため、ポリエチレンを主とするオレフィン系樹脂の多孔フィルムがセパレータに使用されている。これは、リチウムイオン電池が短絡などによって異常発熱した場合に、多孔フィルムを構成しているポリエチレンが130℃前後の温度領域で溶融し、多孔構造が閉塞すること(シャットダウン)によって、リチウムイオン電池の異常発熱を停止させて安全性を確保することができるからである。
近年、自動車用のリチウムイオン電池のような大型電池は高出力化が進んでおり、130℃を超える急激な温度上昇もあり得るため、シャットダウン機能は必ずしも求められておらず、リチウムイオン電池の耐熱性が重要視されている。又、リチウムイオン電池の高出力化のためには、リチウムイオンがセパレータを通過する際の低抵抗化が求められており、セパレータの高い透気性が必要とされている。更に、大型のリチウムイオン電池の場合には、長寿命、長期安全性の保障も重要となる。
耐熱性の高いポリプロピレンの多孔フィルムを用いたセパレータは種々提案されており、例えば、特許文献1には、ポリプロピレンとポリプロピレンより溶融結晶化温度の高いポリマーおよびβ晶核剤となる組成物を溶融押出し、高温でシート状に成形後、少なくとも一軸延伸することを特徴とするポリプロピレン微孔性フィルムの製造方法が提案されている。
しかしながら、上記ポリプロピレン微孔性フィルムの製造方法で得られたポリプロピレン微孔性フィルムは、透気性が低く、リチウムイオンの透過性が不充分であり、高出力を要するリチウムイオン電池に用いることは困難である。
又、特許文献2には、ポリオレフィン樹脂多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラー又は融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含有する厚さ0.2μm以上100μm以下の多孔層を備え、透気度が1〜650秒/100ccである多層多孔膜が提案されている。しかしながら、上記多層多孔膜も、リチウムイオンの透過性が不充分であり、高出力を要するリチウムイオン電池に用いることは困難である。
更に、特許文献3には、ポリプロピレンフィルムを一軸延伸して多孔化する多孔質ポリプロピレンフィルムの製造方法が開示されている。しかしながら、引用文献3の方法で得られた多孔質ポリプロピレンフィルムでは、孔が均一に形成されていない。不均一に形成された孔を有している多孔質ポリプロピレンフィルムでは、リチウムイオンの透過性も不均一となり、多孔質ポリプロピレンフィルム中でリチウムイオンの透過性が高い部位と低い部位とが生じる。このような多孔質ポリプロピレンフィルムでは、リチウムイオンの透過性が高い部位にデンドライトが発生して微短絡が起こり易くなり、セパレータの寿命、長期安全性が充分ではないという問題点を有する。
特開昭63−199742号公報 特開2007−273443号公報 特開平10−100344号公報
本発明は、リチウムイオンの透過性に優れており高性能のリチウムイオン電池を構成することができ、高出力用途に用いてもデンドライトによる正極と負極の短絡や放電容量の急激な低下が生じにくい微孔樹脂フィルム及びその製造方法を提供する。さらに、本発明は、微孔樹脂フィルムを含んでいるリチウムイオン電池用セパレータを提供する。
[微孔樹脂フィルム]
本発明の微孔樹脂フィルムは、結晶性樹脂を含む結晶性樹脂フィルムを一軸延伸することによって微小孔部が形成されてなる微孔樹脂フィルムであって、
透気度が250s/100mL以下であり、105℃で2時間加熱した後の熱収縮率が4%以下であり、且つ75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差が5%以下であることを特徴とする。
結晶性樹脂フィルムに用いられる結晶性樹脂とは、固体状態で結晶になる性質を有する樹脂であって、X線回折によって明瞭な結晶回折パターンを確認することができ、ガラス転移点及び融点を有している樹脂を意味する。
結晶性樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、及びポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。なかでも、耐熱性及び透気性に優れる微孔樹脂フィルムが得られることから、プロピレン系樹脂が好ましい。
プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
プロピレン系樹脂としては、優れた結晶性を有することから、プロピレン単独重合体が好ましく、アイソタクチックポリプロピレン及びシンジオタクチックポリプロピレンがより好ましく、アイソタクチックポリプロピレンが特に好ましい。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量は、小さいと、微孔樹脂フィルムの微小孔部の形成が不均一となることがあり、大きいと、製膜が不安定になることがあり、又、微小孔部が形成されにくくなる虞れがあるので、25万〜50万が好ましく、28万〜48万がより好ましい。
プロピレン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、小さいと、微孔樹脂フィルムの表面開口率が低くなることがあり、大きいと、微孔樹脂フィルムの機械的強度が低下することがあるので、7.5〜12.0が好ましく、8.0〜11.5がより好ましく、8.0〜11.0が特に好ましい。
ここで、プロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、ポリプロピレン6〜7mgを採取し、採取したポリプロピレンを試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)のo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えて結晶性樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転数25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてポリプロピレンをBHTのo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってプロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
プロピレン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
プロピレン系樹脂の融点は、低いと、微孔樹脂フィルムの高温における機械的強度が低下することがあり、高いと、製膜が不安定になることがあるので、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。
本発明の微孔樹脂フィルムは、上述した結晶性樹脂を含む結晶性樹脂フィルムを一軸延伸することによって得られる。
微孔樹脂フィルムの透気度は、大きいと、微孔樹脂フィルムのリチウムイオンの透過性が低下して、微孔樹脂フィルムを用いたリチウムイオン電池の電池性能が低下することがあることから、250s/100mL以下に限定される。一方、微孔樹脂フィルムの透気度が、小さいと、微孔樹脂フィルムの機械的強度が低下するので、100〜250s/100mLが好ましく、100〜200s/100mLがより好ましい。
なお、微孔樹脂フィルムの透気度は、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下でJIS P8117に準拠して、微孔樹脂フィルムの長さ方向に10cm間隔で10箇所測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値とする。
微孔樹脂フィルムを105℃で2時間加熱した後の微孔樹脂フィルムの熱収縮率は、4%以下に限定される。熱収縮率が4%を超える微孔樹脂フィルムでは、これを組み込んでなるリチウムイオン電池内部の温度が高温となった際に、上記微孔樹脂フィルムが熱収縮することにより、正極と負極とが接触する内部短絡を発生させる虞れがある。
なお、微孔樹脂フィルムの熱収縮率の測定は、以下の要領にて行うことができる。まず、微孔樹脂フィルムにおける任意の箇所から幅2cm×長さ300cmの帯状体を切り出す。この時、微孔樹脂フィルムの長さ方向(押出方向)が帯状体の長さ方向となるようにする。次に、帯状体をその長さ方向に10cm毎に切断することにより、短辺2cm×長辺10cmの平面長方形状の試験片を30個得る。その後、試験片の一方の短辺における中央部と試験片の他方の短辺における中央部とを結ぶ直線状の仮想線上に長さ8cmの標線を引き、試験片をJIS K7100に規定される標準雰囲気2級(温度23±5℃、相対湿度105±3%)の雰囲気下に30分間放置した後、試験片に引いた標線の長さ(L0)をJIS B7505に準拠したノギスを用いて小数点以下2桁まで測定する。しかる後、試験片を、その長辺方向を上下に向けて垂直に吊るした状態で、内部の温度が105℃である恒温槽中に設置して2時間加熱した後、試験片をJIS K7100に規定される標準雰囲気2級(温度23±5℃、相対湿度105±3%)の雰囲気下に30分間放置した上で、試験片に引いた標線の長さ(L1)をJIS B7505に準拠したノギスを用いて小数点以下2桁まで測定し、下記式に基づいて熱収縮率(%)を算出する。そして、上記と同様の手順にて、30個の試験片のそれぞれについて熱収縮率をそれぞれ測定し、その相加平均値を微孔樹脂フィルムの熱収縮率(%)とする。
熱収縮率(%)=[(L0−L1)×100]/L0
微孔樹脂フィルムの75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差は、5%以下に限定されるが、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差が5%以下である微孔樹脂フィルムを用いることにより、デンドライト(樹枝状結晶)による正極と負極の短絡が生じにくくなり、放電容量の急激な低下が生じ難いリチウムイオン電池を提供することができる。この理由は定かではないが、本発明者らは以下のように想定している。即ち、リチウムイオンの透過性が不均一な微孔樹脂フィルムでは、リチウムイオンの透過性が高い部位にデンドライト(樹枝状結晶)が発生して、このデンドライトがセパレータを突き破って正極と負極とが微小な内部短絡(デンドライトショート)を起こすと考えられる。75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差を5%以下とすることにより、微孔樹脂フィルムにおいてリチウムイオンの透過性が略均一となり、この結果、デンドライト(樹枝状結晶)による正極と負極の短絡が生じ難く、リチウムイオン電池の放電容量の急激な低下も生じ難くいリチウムイオン電池を提供することができると想定している。
なお、微孔樹脂フィルムの75度鏡面光沢度の測定は、以下の要領にて行うことができる。微孔樹脂フィルムにおける任意の箇所において、幅が14mmであり且つ長さが微孔樹脂フィルムの全幅と等しい帯状部分を測定領域とする。この時、測定領域の幅方向が微孔樹脂フィルムの長さ方向となるようにし、測定領域の長さ方向が微孔樹脂フィルムの幅方向となるようにする。なお、微孔樹脂フィルムの幅方向とは、微孔樹脂フィルムの長さ方向(押出方向)に直交する方向を意味する。次に、測定領域を、その長さ方向に26mm毎に区分することにより、短辺が14mmであり且つ長辺が26mmの平面長方形状の区分測定領域に区画する。なお、測定領域の長さ方向における最端部において長辺が26mm未満となった区分測定領域は、測定対象から除外する。その後、各区分測定領域をもれなく測定するようにして、各区分測定領域の75度鏡面光沢度を、ISO 824−1に準拠した鏡面光沢計(例えば、(株)村上色彩技術研究所製 製品名「True GLOSS GM−26PRO/AUTO(75°)」)を用いて測定する。そして、得られた全ての測定値における最大値と最小値をそれぞれ、微孔樹脂フィルムの75度鏡面光沢度の最大値(DH)と最小値(DL)とし、これらの差(DH−DL)を算出することにより、微孔樹脂フィルムの75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差を求めることができる。
微孔樹脂フィルムの表面開口率は、25〜55%が好ましく、30〜50%がより好ましい。微孔樹脂フィルムの表面開口率が小さいと、微孔樹脂フィルムの透気性が低下する虞れがある。また、微孔樹脂フィルムの表面開口率が大きいと微孔樹脂フィルムの機械的強度が低下する虞れがある。
なお、微孔樹脂フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、微孔樹脂フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成された各微小孔部を、長辺と短辺の何れか一方が延伸方向に平行となる長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち、測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
微孔樹脂フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、大きいと、局所的なリチウムイオンの移動によってデンドライトショートが発生する虞れがあり、又、微孔樹脂フィルムの機械的強度が低下する虞れがあるので、1μm以下が好ましく、100nm〜900nmがより好ましい。
微孔樹脂フィルムにおける微小孔部の開口端の平均長径は、大きいと、デンドライトショートが発生する虞れがあるので、500nm以下が好ましく、10nm〜400nmがより好ましい。
なお、微孔樹脂フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、微孔樹脂フィルムの表面をカーボンコーティングする。次に、微孔樹脂フィルムの表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、微孔樹脂フィルムの表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち、最大の長径を微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、測定対象から除外する。
微孔樹脂フィルムの孔密度は、微小孔部のサイズをデンドライトショートが発生しにくいサイズとするために、15個/μm2以上が好ましく、17個/μm2以上がより好ましい。
なお、微孔樹脂フィルムの孔密度は、下記の要領で測定する。先ず、微孔樹脂フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。そして、測定部分において微小孔部の個数を測定し、この個数を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除すことによって孔密度を算出することができる。
[微孔樹脂フィルムの製造方法]
(押出工程)
次に、微孔樹脂フィルムの製造方法について説明する。先ず、結晶性樹脂を押出機に供給して溶融混練した上で、押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより結晶性樹脂フィルムを得る押出工程を行う。
結晶性樹脂を押出機にて溶融混練する際の結晶性樹脂の温度は、結晶性樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つ結晶性樹脂の融点よりも100℃高い温度以下が好ましく、結晶性樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つ結晶性樹脂の融点よりも80℃高い温度以下であることがより好ましく、結晶性樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つ結晶性樹脂の融点よりも60℃高い温度以下であることが特に好ましい。結晶性樹脂を押出機にて溶融混練する際の結晶性樹脂の温度が低いと、得られる結晶性樹脂フィルムの厚みが不均一となり或いは結晶性樹脂フィルムの表面平滑性が低下する虞れがある。また、結晶性樹脂を押出機にて溶融混練する際の結晶性樹脂の温度が高いと、結晶性樹脂の配向性が低下して結晶性樹脂フィルム中において結晶性樹脂がラメラを生成しない虞れがある。
結晶性樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比が小さいと、結晶性樹脂に加わる張力が低下して、結晶性樹脂の分子配向が不充分となり、結晶性樹脂がラメラを充分に生成しない虞れがある。又、結晶性樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比が大きいと、結晶性樹脂の分子配向は高いものとなるが、結晶性樹脂フィルムの製膜安定性が低下し、得られる結晶性樹脂フィルムの厚み精度や幅精度が低下する虞れがある。したがって、結晶性樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、70〜230がより好ましい。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出された結晶性樹脂フィルムの厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。また、Tダイから押出された結晶性樹脂フィルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出された結晶性樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
更に、結晶性樹脂フィルムの製膜速度は、小さいと、結晶性樹脂に加わる張力が低下して、結晶性樹脂の分子配向が不充分となり、結晶性樹脂がラメラを充分に生成しない虞れがあり、大きいと、結晶性樹脂の分子配向は高いものとなるが、結晶性樹脂フィルムの製膜安定性が低下し、得られる結晶性樹脂フィルムの厚み精度や幅精度が低下するので、10〜300m/分が好ましく、15〜250m/分がより好ましく、15〜30m/分が特に好ましい。
そして、Tダイから押出された結晶性樹脂フィルムをその表面温度が上記結晶性樹脂の融点よりも100℃低い温度以下となるまで冷却することにより、結晶性樹脂フィルムを構成している結晶性樹脂が結晶化してラメラを生成する。本発明では、溶融混練した結晶性樹脂を押出すことにより、結晶性樹脂フィルムを構成している結晶性樹脂分子を予め配向させた上で、結晶性樹脂フィルムを冷却することにより、結晶性樹脂が配向している部分がラメラの生成を促進させることができる。
冷却された結晶性樹脂フィルムの表面温度は、結晶性樹脂の融点よりも100℃低い温度以下が好ましく、結晶性樹脂の融点よりも140〜110℃低い温度がより好ましく、結晶性樹脂の融点よりも135〜120℃低い温度が特に好ましい。冷却された結晶性樹脂フィルムの表面温度が高いと、結晶性樹脂フィルムを構成している結晶性樹脂の結晶化度が向上しない虞れがある。
(養生工程)
次いで、上述した押出工程により得られた結晶性樹脂フィルムを養生する。この結晶性樹脂の養生工程は、押出工程において結晶性樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。このことにより、結晶性樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造を促進させることができ、後述する結晶性樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
養生工程は、押出工程により得られた結晶性樹脂フィルムを、結晶性樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記結晶性樹脂の融点より5℃低い温度以下にて養生することにより行う。
結晶性樹脂フィルムの養生温度は、低いと、結晶性樹脂フィルムのラメラの結晶化が促進できず、高いと、結晶性樹脂フィルムの結晶性樹脂分子の配向が緩和してしまい、ラメラ構造が崩れる虞れがあるので、結晶性樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ結晶性樹脂の融点よりも5℃低い温度以下に限定されるが、結晶性樹脂の融点よりも25℃低い温度以上で且つ結晶性樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。
なお、結晶性樹脂フィルムの養生温度とは、結晶性樹脂フィルムの表面温度である。しかしながら、結晶性樹脂フィルムの表面温度を測定できないような場合、例えば、結晶性樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、結晶性樹脂フィルムの養生温度とは、雰囲気温度とする。例えば、熱風炉などの加熱装置内部で結晶性樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生を行う場合には、加熱装置内部の温度を養生温度とする。
結晶性樹脂フィルムの養生は、結晶性樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、結晶性樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。
結晶性樹脂フィルムの養生を結晶性樹脂フィルムを走行しながら行う場合、結晶性樹脂フィルムの養生時間は、1分以上が好ましく、5分〜60分がより好ましい。
結晶性樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態の結晶性樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの表面から内部まで全体的に結晶性樹脂フィルムをその温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、結晶性樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、養生時間が長すぎると、養生時間の増加分に見合った結晶性樹脂フィルムのラメラの成長が見込まれず、かえって結晶性樹脂フィルムが熱劣化する虞れがある。したがって、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
なお、結晶性樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させた場合、養生工程後の結晶性樹脂フィルムロールから結晶性樹脂フィルムを巻き出して、後述する延伸工程及びアニーリング工程を実施すればよい。
(第一延伸工程)
次に、養生工程後の結晶性樹脂フィルムを巻き出し、一軸延伸する延伸工程を行う。この延伸工程は、第一延伸工程と、この第一延伸工程に続く第二延伸工程とを含むのが好ましい。第一延伸工程では、結晶性樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。
第一延伸工程において、結晶性樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させる。
第一延伸工程において、結晶性樹脂フィルムの表面温度は、低いと、延伸時に結晶性樹脂フィルムが破断する虞れがあり、高いと、ラメラ間の非結晶部において亀裂が発生しにくくなるので、−20〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。
第一延伸工程において、結晶性樹脂フィルムの延伸倍率は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が形成されにくくなり、大きいと、微孔樹脂フィルムに微小孔部が均一に形成されないことがあるので、1.05〜2倍が好ましく、1.1〜1.8倍がより好ましい。
なお、本発明において、結晶性樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後の結晶性樹脂フィルムの長さを延伸前の結晶性樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
結晶性樹脂フィルムの第一延伸工程における延伸速度は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が均一に形成されにくくなるので、20%/分以上が好ましく、大き過ぎると、結晶性樹脂フィルムが破断する虞れがあるので、20〜3000%/分がより好ましく、20〜70%/分が特に好ましい。
なお、本発明において、結晶性樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりの結晶性樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第一延伸工程における結晶性樹脂フィルムの延伸方法としては、結晶性樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、結晶性樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第二延伸工程)
次いで、第一延伸工程における一軸延伸後の結晶性樹脂フィルムに、好ましくは、結晶性樹脂フィルムの表面温度が第一延伸工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つ結晶性樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて一軸延伸処理を施す(第二延伸工程)。第二延伸工程においても、結晶性樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。このように、第一延伸工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度よりも高い表面温度にて結晶性樹脂フィルムに第一延伸工程時と同一方向に延伸処理を施すことによって、第一延伸工程にて結晶性樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第二延伸工程において、結晶性樹脂フィルムの表面温度は、低いと、第一延伸工程において結晶性樹脂フィルムに形成された微小孔部が成長し難く、微孔樹脂フィルムの透気性が向上しないことがあり、高いと、第一延伸工程において結晶性樹脂フィルムに形成された微小孔部が閉塞してしまい、かえって微孔樹脂フィルムの透気性が低下することがあるので、第一延伸工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つ結晶性樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下が好ましく、第一延伸工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つ結晶性樹脂の融点より15〜80℃低い温度以下がより好ましい。
第二延伸工程において、結晶性樹脂フィルムの延伸倍率は、小さいと、第一延伸工程時に結晶性樹脂フィルムに形成された微小孔部が成長し難く、微孔樹脂フィルムの透気性が低下することがあり、大きいと、第一延伸工程において結晶性樹脂フィルムに形成された微小孔部が閉塞してしまい、かえって微孔樹脂フィルムの透気性が低下することがあるので、1.05〜3倍が好ましく、1.8〜2.5倍がより好ましい。
第二延伸工程において、結晶性樹脂フィルムの延伸速度は、大きいと、結晶性樹脂フィルムに微小孔部が均一に形成されないことがあるので、500%/分以下が好ましく、400%/分以下がより好ましく、60%/分以下が特に好ましい。また、第二延伸工程において、結晶性樹脂フィルムの延伸速度は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が均一に形成されにくくなるので、15%/分以上とするのが好ましい。
第二延伸工程における結晶性樹脂フィルムの延伸方法としては、結晶性樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、結晶性樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(アニーリング工程)
次に、延伸工程において一軸延伸が施された結晶性樹脂フィルムにアニール処理を施すアニーリング工程を行う。アニーリング工程では、延伸工程後の結晶性樹脂フィルムを、その表面温度が110〜165℃にて加熱しながら、表面の十点平均粗さRzが0.6〜500μmであるアニーリングロール(A)、又は表面にフッ素原子を含有する層を有するアニーリングロール(B)からなる少なくとも2本のアニーリングロールに順次、供給して搬送し、上記結晶性樹脂フィルムをその延伸方向に3〜10%の収縮率で収縮させる。このようなアニーリング工程によれば、上述した延伸工程において加えられた延伸によって結晶性樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和して、得られる微孔樹脂フィルムに加熱による熱収縮が生じるのを抑えることができる。
アニーリング工程では、結晶性樹脂フィルムを加熱炉内で複数のアニーリングロールにそれぞれ掛け渡して搬送させながら、結晶性樹脂フィルムAを所定時間加熱することにより、結晶性樹脂フィルムAにアニール処理を施すことができる。延伸工程において生じた結晶性樹脂フィルムに生じた残存歪みを充分に緩和するためには、結晶性樹脂フィルムの表面温度を110〜165℃と比較的高温に加熱しながら結晶性樹脂フィルムをアニールする必要がある。しかしながら、このような高温で結晶性樹脂フィルムをアニールすると、結晶性樹脂フィルムが部分的にアニーリングロールに貼り付いてしまい、アニーリングロールから剥がれ難くなる場合がある。そして、このような結晶性樹脂フィルムをアニーリングロールから無理に剥がすことで、結晶性樹脂フィルムの表面にスジやシワなどの欠陥が発生し、結果として、得られる微孔樹脂フィルムの表面にもスジやシワなどの欠陥が残存して、微孔樹脂フィルムの表面全体における75度鏡面光沢度に大きなバラツキが生じる。また、結晶性樹脂フィルムをアニーリングロールから無理に剥がすことで、結晶性樹脂フィルムに局所的な伸びが発生して残留歪みが生じるために、得られる微孔樹脂フィルムの熱収縮率が高くなる問題も生じる。
したがって、本発明の方法では、後述する所定のアニーリングロールを少なくとも2本用い、これらのアニーリングロールに延伸工程において延伸が施された結晶性樹脂フィルムを順次、供給して搬送しながらアニーリングすることによって、比較的高温に加熱しながら結晶性樹脂フィルムにアニール処理を行っても結晶性樹脂フィルムがアニーリングロールに貼り付くことを抑制し、75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差が5%以下であり、且つ105℃で2時間加熱した後の熱収縮率が4%以下である微孔樹脂フィルムを得ることが可能となる。また、このようにして得られた微孔樹脂フィルムは、多数の微小孔部が均一に形成されており、透気性にも優れている。
このようなアニーリング工程に用いられるアニーリングロールとしては、表面の十点平均粗さRzが0.6〜500μmであるアニーリングロール(A)、又は表面にフッ素原子を含有する層を有するアニーリングロール(B)を用いることができる。
アニーリングロール(A)の表面の十点平均粗さRzは、0.6〜500μmに限定されるが、0.6〜300μmが好ましい。アニーリングロール(A)の表面の十点平均粗さRzが低過ぎると、アニーリング工程においてアニーリングロール(A)から結晶性樹脂フィルムが剥がれ難くなり、結晶性樹脂フィルムの表面にスジやシワなどの欠陥が発生し、結果として、得られる微孔樹脂フィルム表面の75度鏡面光沢度のバラツキが大きくなる虞れがある。また、アニーリングロール(A)の表面の十点平均粗さRzが高過ぎると、アニーリングロール(A)から微孔樹脂フィルムへの熱伝達性が低下して、結晶性樹脂フィルムに生じた残存歪みを充分に緩和することができない虞れがある。
なお、アニーリングロール(A)の表面の十点平均粗さRzの測定は、JIS B0601(2001)に準拠した方法によって行うことができる。具体的には、触針式表面粗さ計(例えば、小坂研究所(株)社製 製品名「表面粗さ測定機 サーフコーダSE500」)を用いて、触針半径2μm、測定力0.75μm、カットオフ値0.8mm、測定長さ4mmとして、アニーリングロール(A)表面について任意の5ヶ所測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値を、アニーリングロール(A)の表面の十点平均粗さRzとする。
表面の十点平均粗さRzが0.6〜500μmであるアニーリングロール(A)は、例えば、金属ロールの表面に、グリッドブラスト処理によって凹凸加工を施した後に、さらに金属メッキ処理を施すことによって製造することができる。ブラスト処理によって金属ロール表面の十点平均粗さRzを調整したり、金属メッキ処理によって得られる金属膜の厚みを調整することによって、得られるアニーリングロール(A)表面の十点平均粗さRzを調整することができる。
グリッドブラスト処理では、酸化アルミニウム又は酸化珪素などがグリッドとして用いられる。金属ロールとしては、鋳造時に表面を急冷硬化させたチルドロールが好ましく、チルド鉄ロールがより好ましい。
金属メッキ処理としては、電気メッキ処理及び化学メッキ処理が挙げられ、化学メッキ処理が好ましい。化学メッキ処理によれば、均一な厚みを有する金属膜を金属ロール表面に形成することができ、得られるアニーリングロール(A)表面の十点平均粗さRzを容易に調整することができる。化学メッキ処理は、例えば、硫酸ニッケル及び塩化ニッケルなどの金属塩と、亜リン酸ナトリウムなどの還元剤と、酢酸ナトリウムなどの緩衝剤とを含むメッキ浴が用いて行うことができる。
アニーリングロール(B)は、その表面にフッ素原子を含有する層を有していることによって、結晶性樹脂フィルムに対する離型性が優れている。したがって、このようなアニーリングロール(B)によって比較的高温に加熱しながら結晶性樹脂フィルムにアニール処理を行っても、結晶性樹脂フィルムがアニーリングロール(B)に貼り付くことを抑制することができる。
アニーリングロール(B)の表面に形成されるフッ素原子を含有する層としては、フッ素樹脂を含む層(b1)、及び金属皮膜中にフッ素樹脂粒子が分散されてなる層(b2)が好ましく挙げられる。
層(b1)に含まれているフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニレンフルオライド(PVDE)、ポリクロロトリフルオロエチレン共重合体(PCTFE)、及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。フッ素樹脂は、一種単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。なかでも、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
層(b1)は、フッ素樹脂を含む層であるが、フッ素樹脂フィルムからなる層であることが好ましい。
層(b1)の厚みは、充分な離型性を得るためには、0.1〜1000μmが好ましく、0.3〜500μmがより好ましい。
層(b1)は、ロールの表面に直接形成されていてもよいが、粘着剤層によってロールの表面に接着一体化されていることが好ましい。
粘着剤層は、シリコーン系粘着剤を含んでいることが好ましい。シリコーン系粘着剤によれば、加熱温度が高温となっても優れた粘着性を維持することができる粘着剤層を提供することができる。
フッ素樹脂を含む層(b1)が粘着剤層によって表面に接着一体化されているロールの製造方法としては、例えば、予め粘着剤層が一方の面に形成されているフッ素樹脂を含む層(b1)を作製し、このフッ素樹脂を含む層(b1)を粘着剤層を介してロールの表面に接着一体化する方法が用いられる。また、粘着剤が一方の面に予め塗布されたフッ素樹脂を含む層(b1)として、市販品を用いることもできる。例えば、シリコーン系粘着剤を含む粘着剤層が一方の面に形成されているPTFEフィルムからなる層(b1)が、粘着テープ(日東電工株式会社製 製品名 ニトフロン(登録商標) No.903UL、No.9030UL)として販売されている。
金属皮膜中にフッ素樹脂粒子が分散されてなる層(b2)において、金属皮膜を構成する金属としては、ニッケル、リン、ホウ素、及びこれらの合金などが挙げられる。合金としては、ニッケル及びリンの合金、ニッケル及びホウ素の合金、並びにニッケル、リン及びホウ素の合金が挙げられる。なかでも、ニッケルが好ましい。
層(b2)のフッ素樹脂粒子を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビリニレンフルオライド(PVDE)、ポリクロロトリフルオロエチレン共重合体(PCTFE)、及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。フッ素樹脂は、一種単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。なかでも、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
アニーリングロール(B)の表面に合金中にフッ素樹脂粒子が分散されている層(b2)を形成する方法としては、フッ素樹脂微粒子を含有するめっき液を用いて汎用の要領で電解めっき処理又は無電解めっき処理を行う方法などが用いられる。このような方法としては、例えば、特開2001−49449号公報や特開2007−39711号公報に開示されている方法などを用いることができる。
アニーリングロール(B)の表面に形成されるフッ素原子を含有する層としては、上述した層(b1)及び(b2)の他にも、フッ素樹脂粒子及び界面活性剤が水中に分散されている分散液を用いてなる層(b3)、及びフッ素系ガスを使用したプラズマ重合によって形成されてなる層(b4)なども挙げられる。フッ素樹脂粒子及び界面活性剤が水中に分散されている分散液を用いてなる層(b3)を、アニーリングロール(B)の表面に形成する方法としては、例えば、特開2007−39711号公報に開示されている方法など、公知の方法を用いることができる。
アニーリング工程では、延伸工程後の結晶性樹脂フィルムを、その表面温度が110〜165℃にて加熱しながら2本以上の複数本のアニーリングロールに順次、供給し、搬送して、結晶性樹脂フィルムにアニール処理を施す。複数本のアニーリングロールにおいて、アニーリングロール(A)又は(B)のうちいずれか一方のみが用いられてもよく、アニーリングロール(A)及び(B)の双方が用いられてもよい。
2本のアニーリングロールを用いてアニーリング工程を実施する場合、熱風炉内に相互に所定の間隔を存して配設された2本のアニーリングロール間に結晶性樹脂フィルムを掛け渡して搬送しながら、結晶性樹脂フィルムを所定時間加熱して収縮させることにより、結晶性樹脂フィルムにアニール処理を施すことができる。各アニーリングロールの周速度を制御して、アニーリングロール間の結晶性樹脂フィルムにその搬送方向(押出方向)に付加される張力を調整することによって、結晶性樹脂フィルムの収縮率を調整することができる。
2本のアニーリングロールは、例えば、相互に所定の間隔を存して上下に配設し、結晶性樹脂フィルムの搬送方向において、上流側のアニーリングロールに対して、下流側のアニーリングロールを上方に配設する。そして、結晶性樹脂フィルムを、上流側のアニーリングロールの下側周面に載せた後、下流側のアニーリングロールの上側周面に載せた状態となるようにして、2本のアニーリングロール間に掛け渡して連続的に搬送することが好ましい。
アニーリング工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度は、110〜165℃に限定されるが、125〜160℃が好ましく、130〜150℃がより好ましい。アニーリング工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度が低過ぎると、結晶性樹脂フィルムを充分に収縮させることができずに、結晶性樹脂フィルム中に残存した歪みの緩和が不充分となって、得られる微孔樹脂フィルムの熱収縮率が高くなる虞れがある。また、アニーリング工程における結晶性樹脂フィルムの表面温度が高過ぎると、アニーリング工程において結晶性樹脂フィルムがアニーリングロールに貼り付いてしまい、結晶性樹脂フィルムにシワやスジなどの欠陥が発生することがある。
アニーリング工程では、結晶性樹脂フィルムをその延伸方向に3〜10%の収縮率で収縮させる。アニーリング工程において結晶性樹脂フィルムの収縮が大き過ぎると、微小孔部が閉塞する虞れがある。また、アニーリング工程において結晶性樹脂フィルムの収縮が小さ過ぎると、結晶性樹脂フィルム中に残存した歪みの緩和が不充分となって、得られる微孔樹脂フィルムの熱収縮率が低下する虞れがある。したがって、アニーリング工程における結晶性樹脂フィルムの収縮率は、3〜10%に限定されるが、3〜5%が好ましい。
なお、結晶性樹脂フィルムの延伸方向の収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向における結晶性樹脂フィルムの収縮長さを、延伸工程後(好ましくは第二延伸工程後)の延伸方向における結晶性樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
上述した本発明の方法によれば、多数の微小孔部がフィルム表裏面を貫通して形成されており、優れた透気性を有していると共に、リチウムイオンが円滑に且つ均一に透過し易く、リチウムイオンが通過する際の抵抗が低い微孔樹脂フィルムを製造することができる。
本発明の微孔樹脂フィルムは、上述の如き構成を有しているので、例えば、リチウムイオン電池に用いた場合にはリチウムイオンの通過を円滑で且つ均一なものとし、リチウムイオン電池の内部抵抗を低減させることができる。したがって、このような微孔樹脂フィルムをセパレータとして用いてなるリチウムイオン電池は、デンドライトによる正極と負極の短絡や放電容量の急激な低下が抑制されており、高電流密度で充放電を行うことが可能であり、電気自動車等の車両など高出力用途に好適に用いられる。
また、本発明の微孔樹脂フィルムの製造方法によれば、上記の如き微孔樹脂フィルムを容易に製造することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1]
(押出工程)
アイソタクチックホモポリプロピレン(重量平均分子量Mw413,000、数平均分子量Mn44,300、分子量分布(Mw/Mn)9.3、融点163℃)を押出機に供給して樹脂温度200℃にて溶融混練し、押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出した後、表面温度が30℃となるまで冷却して、厚みが30μmで且つ幅が200mmの長尺状のホモポリプロピレンフィルムを得た(押出工程)。なお、押出量は10kg/時間、製膜速度は22m/分、ドロー比は70であった。
(養生工程)
次に、外径が178mmの円筒状の芯体を用意し、この芯体をその軸芯を中心にして周方向に回転させて、芯体に長尺状のホモポリプロピレンフィルム(長さ400m)をロール状に巻取ることによりホモポリプロピレンフィルムロールを得た。このホモポリプロピレンフィルムロールを、ホモポリプロピレンフィルムロールを設置している場所の雰囲気温度が145℃である熱風炉中で24時間に亘って放置して養生した。このとき、ホモポリプロピレンフィルムロールの表面から内部まで全体的にホモポリプロピレンフィルムの温度が熱風炉内部の温度と同じ温度になっていた。
(第一延伸工程)
次に、養生を施したホモポリプロピレンフィルムロールからホモポリプロピレンフィルムを0.5m/分の巻出速度で連続的に巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度が23℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.4倍に押出方向にのみ一軸延伸装置を用いて一軸延伸した。
(第二延伸工程)
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置を用いて表面温度が120℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率2倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(アニーリング工程)
次に、内部に2本のアニーリングロール(A1)が相互に所定の間隔を存して上下に配設されている熱風炉を用いてアニーリング工程を実施した。2本のアニーリングロール(A1)は、それぞれ、表面に硬質クロムめっき処理が施されてなり且つ表面の十点平均粗さRzが0.6であった。そして、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における上流側に配置されたアニーリングロール(A1)を回転速度1.4m/分で回転させ、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(A1)を回転速度1.36m/分で回転させた。また、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向において、上流側のアニーリングロール(A1)に対して、下流側のアニーリングロール(A1)を上方に配置した。
第2延伸工程後のホモポリプロピレンフィルムを熱風炉内に供給し、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における上流側に配置されたアニーリングロール(A1)の下側周面にホモポリプロピレンフィルムを載せた後、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(A1)の上側周面に載せた状態となるようにして、ホモポリプロピレンフィルムを2本のアニーリングロール間に掛け渡して連続的に搬送しながら、ホモポリプロピレンフィルムをその表面温度を135℃とした上で1分間に亘って加熱することにより、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に3%の収縮率となるように収縮させた。これにより、厚みが27μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[実施例2]
アニーリング工程において、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(A1)の回転速度を1.26m/分とすることによって、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に10%の収縮率となるように収縮させた以外は、実施例1と同様にして、厚みが28μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[比較例1]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、表面が硬質クロムめっき処理されてなり且つ表面の十点平均粗さRzが0.3であるアニーリングロール(A2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚みが25μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[比較例2]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、表面が硬質クロムめっき処理されてなり且つ表面の十点平均粗さRzが630であるアニーリングロール(A3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚みが25μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[比較例3]
アニーリング工程において、表面が硬質クロムめっき処理されてなり且つ表面の十点平均粗さRzが630であるアニーリングロール(A3)を用い、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(A3)の回転速度を1.26m/分とすることによって、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に10%の収縮率となるように収縮させた以外は、実施例1と同様にして、厚みが27μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[実施例3]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、シリコーン系粘着剤を含む粘着剤層とPTFEフィルムからなる層(b1)とがこの順で積層一体化されてなる粘着テープ(日東電工株式会社製 製品名 ニトフロン(登録商標) No.903UL)が、粘着剤層によって表面に接着一体化されることにより、PTFEを含む層(b1)が最表面に配置されているアニーリングロール(B1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚みが25μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[実施例4]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、シリコーン系粘着剤を含む粘着剤層とPTFEフィルムからなる層(b1)とがこの順で積層一体化されてなる粘着テープ(日東電工株式会社製 製品名 ニトフロン(登録商標) No.903UL)が、粘着剤層によって、表面に接着一体化されることによって、PTFEを含む層(b1)が最表面に配置されているアニーリングロール(B1)を用い、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(B1)の回転速度を1.26m/分とすることによって、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に10%の収縮率となるように収縮させた以外は、実施例1と同様にして、厚みが27μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[実施例5]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、無電解ニッケル皮膜中にポリテトラフルオロエチレン粒子が分散されている層(b2)が、表面に形成されてなるアニーリングロール(B2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚みが25μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[実施例6]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、無電解ニッケル皮膜中にポリテトラフルオロエチレン粒子が分散されている層(b2)が、表面に形成されてなるアニーリングロール(B2)を用い、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(B2)の回転速度を1.26m/分とすることによって、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に10%の収縮率となるように収縮させた以外は、実施例1と同様にして、厚みが28μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[比較例4]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、無電解ニッケル皮膜中にポリテトラフルオロエチレン粒子が分散されている層(b2)が、表面に形成されてなるアニーリングロール(B2)を用い、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(B2)の回転速度を1.37m/分とすることによって、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に2%の収縮率となるように収縮させた以外は、実施例1と同様にして、厚みが24μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[比較例5]
アニーリング工程において、アニーリングロール(A1)に代えて、無電解ニッケル皮膜中にポリテトラフルオロエチレン粒子が分散されている層(b2)が、表面に形成されてなるアニーリングロール(B2)を用い、ホモポリプロピレンフィルムの搬送方向における下流側に配置されたアニーリングロール(B2)の回転速度を1.19m/分とすることによって、ホモポリプロピレンフィルムをその延伸方向(搬送方向)に15%の収縮率となるように収縮させた以外は、実施例1と同様にして、厚みが28μmであり且つ長尺状の微孔ホモプロピレンフィルムを得た。
[評価]
得られた微孔ホモプロピレンフィルムの透気度、105℃で2時間加熱した後の熱収縮率、75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差、微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径、孔密度及び表面開口率を上述の要領で測定した。また、微孔ホモプロピレンフィルム表面にスジやシワなどの欠陥の発生の有無を目視によって評価した。さらに、下記手順に従って、微孔ホモプロピレンフィルムをセパレータとして用いてリチウムイオン電池を作製し、リチウムイオン電池について放電容量の保持率を測定した。これらの結果を表1及び2に示した。
(リチウムイオン電池の作製)
正極活物質としてマンガン酸リチウム92重量%、導電助剤としてカーボンブラック4重量%、及びバインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン4重量%を混合して攪拌することにより正極形成用組成物を調製し、この正極形成用組成物を正極集電体としてのアルミニウム箔の一面にコンマコーターを用いて塗布し、乾燥させることにより正極活物質層を作製した。その後、正極活物質層が一面に形成されている正極集電体を縦37mm×横37mmに打ち抜くことにより正極を得た。
負極活物質としてグラファイト粒子91重量%、導電助剤としてカーボンブラック5重量%、及びバインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン4重量%を混合して攪拌することにより負極形成用組成物を調製した。負極集電体として電解法により一面が粗面化された電解銅箔を用意し、この電解銅箔の粗面化された面に負極形成用組成物をコンマコーターを用いて塗布し、乾燥させることにより負極活物質層を作製した。その後、負極活物質層が一面に形成されている負極集電体を縦39mm×横39mmに打ち抜くことにより負極を得た。
正極と負極とを微孔ホモプロピレンフィルムを介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように重ね合わせて積層体を形成し、各電極にタブを配設した後、積層体を80℃にて12時間に亘って減圧乾燥した。積層体を減圧乾燥した後、積層体を外装材に収納しアルゴンガス雰囲気中にて電解液を注入した後、外装材を減圧下でシールしてリチウムイオン電池を作製した。なお電解液には、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を重量比(EC:DEC=3:7)で含む有機溶媒中に、LiPF6及びビニレンカーボネートが分散又は溶解されている溶液を用いた。溶液中において、LiPF6濃度は1mol/L、ビニレンカーボネート濃度は1重量%とした。
リチウムイオン電池を25℃の恒温槽中に設置して充放電を500サイクル行った。放電は1Cに相当する電流で2.7Vまで行った。充電は0.5Cに相当する電流で4.2Vまで行った。そして、1サイクルの充放電を行った後のリチウムイオン電池の初期放電容量A0(mAh)、及び500サイクルの充放電を行った後のリチウムイオン電池の放電容量A1(mAh)をそれぞれ測定し、下記式に基づいて500サイクル放電容量保持率(%)を算出した。
500サイクル放電容量保持率(%)=100×(A1/A0
Figure 0005845222
Figure 0005845222

Claims (7)

  1. 結晶性樹脂を含む結晶性樹脂フィルムを一軸延伸することによって微小孔部が形成されてなる微孔樹脂フィルムであって、
    透気度が250s/100mL以下であり、105℃で2時間加熱した後の熱収縮率が4%以下であり、且つ75度鏡面光沢度の最大値と最小値との差が5%以下であることを特徴とする微孔樹脂フィルム。
  2. 結晶性樹脂が、プロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の微孔樹脂フィルム。
  3. プロピレン系樹脂は、重量平均分子量が25万〜50万であり、分子量分布が7.5〜12.0であり、且つ融点が160〜170℃であることを特徴とする請求項2に記載の微孔樹脂フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の微孔樹脂フィルムを含んでいることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  5. 結晶性樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより結晶性樹脂フィルムを得る押出工程と、
    上記押出工程で得られた結晶性樹脂フィルムを、上記結晶性樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記結晶性樹脂の融点より5℃低い温度以下にて養生する養生工程と、
    上記養生工程後の結晶性樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程と、
    上記延伸工程後の結晶性樹脂フィルムを、その表面温度が110〜165℃にて加熱しながら、表面の十点平均粗さRzが0.6〜500μmであるアニーリングロール(A)、又は表面にフッ素原子を含有する層を有するアニーリングロール(B)からなる少なくとも2本のアニーリングロールに順次、供給して搬送し、上記結晶性樹脂フィルムをその延伸方向に3〜10%の収縮率で収縮させるアニーリング工程と、を含むことを特徴とする微孔樹脂フィルムの製造方法。
  6. 押出工程において、結晶性樹脂を押出機にて上記結晶性樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つ上記結晶性樹脂の融点よりも100℃高い温度以下にて溶融混練することを特徴とする請求項5に記載の微孔樹脂フィルムの製造方法。
  7. 延伸工程が、結晶性樹脂フィルムをその表面温度が−20〜100℃にて延伸倍率1.05〜2倍に延伸する第一延伸工程と、この第一延伸工程後の結晶性樹脂フィルムをその表面温度が第一延伸工程における上記延結晶性樹脂フィルムの表面温度より高く且つ上記結晶性樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて延伸倍率1.05〜3倍に延伸する第二延伸工程とを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の微孔樹脂フィルムの製造方法。
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