JP6880775B2 - ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法、上記改善方法を利用した低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法に関する。
合成樹脂製微多孔膜は、各種分離膜や、電池セパレータの材料として利用されている。中でもポリオレフィン系微多孔膜は、耐薬剤性が高く、様々な方法で多孔化が可能である点で、薬剤に接した状態で使用される各種分離膜や、電池セパレータ微多孔膜などの材料として有用である。
ポリオレフィン系樹脂から微多孔膜を製造するための多孔化方法は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法では、ポリオレフィン系樹脂と、可塑剤、オイル、パラフィンなどからなる溶融混合物をフィルム状に展開する。次にポリオレフィン系樹脂以外の成分を抽出し、これら成分が存在した部分を空隙化する。その結果、ポリオレフィン系樹脂が微多孔膜に成形加工される。乾式法では、ポリオレフィン系樹脂を主体とするが可塑剤、オイル、パラフィンなどの成分や溶剤を含まない原料を延伸することによって、ポリオレフィン系樹脂を微多孔膜に成形加工する方法である。乾式法としては、ポリオレフィン系樹脂中のラメラ構造の間隙に空隙を発生させる方法と、原料に添加した無機添加剤とポリオレフィン系樹脂との界面に空隙を発生させる方法とが知られている。
電池セパレータ用のポリオレフィン系微多孔膜については様々な製造方法が知られている。例えば特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂と共役ジエンポリマーとの混合物からなる原料を湿式法により微多孔膜に加工し、得られた微多孔膜を電池セパレータ材として用いることが記載されている。例えば特許文献2には、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物を乾式法により2段階で延伸することによって微多孔膜に加工し、得られた微多孔膜を電池セパレータ材として用いることが記載されている。例えば特許文献3には、ポリオレフィンに低分子量物質を配合した混合物を乾式法により2段階で延伸することによって微多孔膜に加工し、得られた微多孔膜を電池セパレータ材として用いることが記載されている。
最近の電池性能に対する要求はますます高度化している。車両や携帯端末に搭載するためのリチウムイオン電池には、より小型で薄型でありながら高い充放電容量と充放電効率が求められており、しかも高温での長期使用に耐える安定性や強度も求められている。このため電池を構成する部材にも高温環境下での耐久性が求められる。
電池セパレータの高温耐久性の一つに、高温環境に曝されたことによる変形が少ないことが挙げられる。このような変形の少なさは、電池セパレータ材である微多孔膜の熱収縮性で評価されている。電池セパレータ材に適する、熱収縮が低減されたポリオレフィン系微多孔膜として、出願人は特許文献4で、105℃で2時間の高温処理をした後の押出方向の熱収縮率が4%以下のポリプロピレン系微多孔膜を開示した。
特許文献4に記載されたポリプロピレン系微多孔膜はいわゆる乾式の2段階延伸法により製造することができる。このような製造方法は典型的には、成膜工程、熱処理工程、冷延伸工程、温延伸工程、弛緩工程からなる。この方法では、各工程の温度や延伸倍率を調整することによって、105℃で2時間の高温処理をした後の押出方向の熱収縮率が4%以下のポリプロピレン系微多孔膜を得ることができる。特許文献4には最適な条件で各工程を行い、目的の低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜を製造した例が記載されている。
この方法では各工程の条件をわずかに変更するだけで、得られるポリプロピレン系微多孔膜の上記熱収縮率は4%を超える。しかしながら、こうして得られるポリプロピレン系微多孔膜には、空孔率や機械的特性などは実用に耐えるか、むしろ上記熱収縮率が4%以下の合格品よりも優れるものがある。そこで、このような熱収縮率が4%を超えるポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性を、その製造後に改善することが望まれる。このような熱収縮率が4%を超えるポリプロピレン系微多孔膜の良好な空孔率や機械的特性などを維持したまま、その熱収縮性を改善することができれば、同一の設備を広範囲の条件で運転し、より多品種のセパレータ材用ポリプロピレン系微多孔膜を製造することができる。このことは設備コストの面で有利である。
特開2004−352834号公報 特開2008−248231号公報 特開平8−20660号公報 特開2016−128531号公報
そこで本発明の発明者らは、熱収縮性のみが劣ることを理由に従来は不合格品とされていたポリプロピレン系微多孔膜の改良を試みた。
その結果、熱収縮率が比較的高く実用に適さないポリプロピレン系微多孔膜に特定の熱処理を施すことによって、微多孔性や機械的特性が維持されしかも低熱収縮率を示すポリプロピレン系微多孔膜にこれらを改変できることを見出した。すなわち本発明は以下のものである。
(i):以下の式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を、該ポリプロピレン系微多孔膜の融点未満の温度で引張力下に加熱し、該ポリプロピレン系微多孔膜の押出方向の長さを上記加熱の前から最大で20%分を減少させる、ポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法。
Figure 0006880775
(ii):以下の式(1)定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を製造した後に、加熱処理によって該ポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性を改善する、低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法であって、
Figure 0006880775
以下の工程1〜工程6を含む、低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法。
(工程1:製膜工程)ポリプロピレン系重合体を含む原料を押出成形して原反フィルムを製膜する工程、
(工程2:熱処理工程)工程1で得られた原反フィルムを上記ポリプロピレン系重合体の融点よりも低い温度で熱処理する工程、
(工程3:冷延伸工程)工程2で得られた熱処理後の原反フィルムを、−5℃〜45℃で押出方向(MD)に1.0倍〜1.1倍に延伸して、延伸フィルムを得る工程、
(工程4:温延伸工程)工程3を終えた延伸フィルムを上記ポリプロピレン系重合体の融点よりも5℃〜65℃低い温度で押出方向(MD)に2.5倍〜5.0倍に温延伸する工程、
(工程5:弛緩工程)工程4で得られた温延伸後のフィルムを、温延伸温度より高くフィルムの融点より5℃以上低い温度で、長さが0.85倍〜0.95倍になるように弛緩させて、上記式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を得る工程、
(工程6:熱処理工程)工程5を経たポリプロピレン系微多孔膜を弛緩工程より高くフィルムの融点より5℃以上低い温度域でロールを介して引張力下に搬送し、該ポリプロピレン系微多孔膜の押出方向の長さを工程5終了時の同長さから最大で20%分を減少させる工程。
(iii):さらに以下の工程7;
(工程7:冷却工程)工程6で得られたポリプロピレン系微多孔膜を自然冷却する工程。
を行い、上記工程7で得られたポリプロピレン系微多孔膜の以下の式(1)定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が1%以下である、上記(ii)の低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法。
Figure 0006880775
本発明の方法により、微多孔性、機械的特性、低熱収縮性のいずれでも優れるポリプロピレン系微多孔膜が得られる。
本発明のポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法は、上記式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を特定の温度で加熱して、その押出方向の長さを一定割合で短縮させるものである。
すなわち、本発明のポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法において、上記式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を引張力下に加熱する。このような加熱処理は、加熱されたロールを介して上記ポリプロピレン系微多孔膜をその押出方向(MD)に引張力をかけた状態で搬送することで行うことができる。このときの加熱温度は上記ポリプロピレン系微多孔膜の融点未満の温度であり、一般的には上記ポリプロピレン系微多孔膜の製造工程における後述の弛緩温度以上で上記ポリプロピレン系微多孔膜の融点未満の温度、典型的には140〜160℃の温度域である。このときの引張力は、加熱終了時の上記ポリプロピレン系微多孔膜の押出方向(搬送方向)の長さが加熱前の押出方向の長さから最大で20%、好ましくは5%〜15%分、さらに好ましくは10%〜15%分が減少するようにロール回転を制御することで生じる。
本発明のポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法は、ポリプロピレン系樹脂からなる原反フィルムをいわゆる乾式で2段階延して得られる、上記式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜に適用することができる。このようなポリプロピレン系微多孔膜は、好ましくは、以下の工程1〜工程5を含む方法により製造される。
(工程1:製膜工程) 原料を押出成形して原反フィルムを製膜する工程である。本発明のポリプロピレン系微多孔膜の製造方法で用いるポリプロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体あるいはプロピレンと少量のコモノマーを共重合した共重合体であり、これらは一般的に結晶性ポリプロピレンと呼ばれる。このようなポリプロピレン系重合体は比較的高い融点、好ましくは150℃〜170℃、さらに好ましくは155℃〜168℃の融点を示す。このようなポリプロピレンの製造に用いるコモノマーは、一般的には、エチレンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種である。またこれらと共に、2−メチルプロペン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数4〜8の分岐オレフィン類、スチレン類、ジエン類を共重合したものであってもよい。上記コモノマーの含有量は、微多孔膜が所望の性質を示す限り、いかなる範囲にあってもよい。好ましくは、高結晶性ポリプロピレン系重合体を与える範囲である、重合体100重量部に対して5重量部以下、特に2重量部以下が好ましい。
本発明の製造方法で用いる原料ポリプロピレンとしては、一般的には、メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758(230℃、21.18N)に準拠した条件で測定)が0.1〜2.0g/10分の範囲にあり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量、Mw/Mn)が3.0〜10.0の範囲にあるポリプロピレン系重合体が用いられる。このような原料ポリプロピレンとして好ましいものは、メルトマスフローレイトが0.1〜1.0g/10分、分子量分布が4.0〜9.0のポリプロピレン系重合体である。
本発明のポリプロピレン系微多孔膜の製造方法では、原料として上記ポリプロピレン系重合体の他に結晶核剤や充填剤などの添加剤を用いることができる。添加剤の種類や量は、多孔性を損なわない範囲であれば制限されない。
工程1では、上記ポリプロピレン系重合体を押出機に供給し、ポリプロピレン系重合体をその融点以上の温度で溶融混練し、押出機の先端に取り付けたダイスからポリプロピレン系重合体フィルムを押出す。使用する押出機は限定されない。押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機のいずれもが使用可能である。使用されるダイスはフィルム成形に用いられるものであれば、いずれも使用できる。ダイスとしては例えば各種T型ダイスを使用することができる。原反フィルムの厚みや形状は特に限定されない。好ましくは、ダイスリップクリアランスと原反フィルム厚さの比(ドラフト比)は100以上、さらに好ましくは150以上である。好ましくは、原反フィルムの厚みは10μm〜100μm、さらに好ましくは15μm〜50μmである。
(工程2:熱処理工程) 工程1を終えた原反フィルムを熱処理する工程である。ポリプロピレン系重合体の融点よりも5℃〜65℃、好ましくは10℃〜25℃低い温度で、原反フィルムに押出方向(MD)の一定の張力を加える。張力は好ましくは原反フィルムの長さが1.0倍を超え1.1倍以下となる大きさに調節される。
(工程3:冷延伸工程) 工程2を終えた熱処理後の原反フィルムを比較的低い温度で延伸する工程である。延伸温度は−5℃〜45℃、好ましくは5℃〜30℃である。延伸倍率は、押出方向(MD)に1.00〜1.10、好ましくは1.02〜1.08である。ただし延伸倍率は1.0より大きい。延伸手段は制限されない。ロール延伸法、テンター延伸法などの公知の手段が使用できる。延伸の段数は任意に設定できる。1段延伸でもよく、複数のロールを経て2段以上の延伸を行ってもよい。冷延伸工程では、原反フィルムを構成するポリプロピレン系重合体において、分子鎖が密なラメラ部と、ラメラ間の分子鎖が疎な領域(クレーズ)とを有する延伸フィルムが得られる。
(工程4:温延伸工程) 工程3を終えた延伸フィルムを比較的高い温度で延伸する工程である。延伸温度はポリプロピレン系重合体の融点よりも5℃〜65℃低い温度、好ましくはポリプロピレン系重合体の融点よりも10℃〜45℃低い温度である。延伸倍率は、押出方向(MD)に2.5倍〜5.0倍、好ましくは3倍〜4.5倍、さらに好ましくは3.0倍〜4.0倍である。延伸手段は制限されない。ロール延伸法、テンター延伸法などの公知の手段が使用できる。延伸の段数は任意に設定できる。1段延伸でもよく、複数のロールを経て2段以上の延伸を行ってもよい。温延伸工程では、工程3で生じたクレーズが引き延ばされた結果、延伸されたフィルムに空孔が発生する。
(工程5:弛緩工程) 工程4を終えた温延伸後のフィルムの収縮を防ぐためにフィルムを弛緩させる工程である。弛緩温度は、温延伸温度より高くポリプロピレン系重合体の融点よりも5℃〜25℃低い温度が好ましい。弛緩の度合いは、工程4を終えた延伸フィルムの長さが最終的に0.85倍〜0.95倍、好ましくは0.88倍〜0.92倍になるように調整される。
本発明のポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法を、上記工程1〜工程5を含む方法で得られた上記式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜に適用する場合には、以下の工程6を上記工程5の後に行う。
(工程6:熱処理工程)工程5を経たポリプロピレン系微多孔膜を弛緩工程より高くフィルムの融点より5℃以上低い温度域でロールを介して引張力下に搬送し、該ポリプロピレン系微多孔膜の押出方向の長さを工程5終了時の同長さから最大で20%分を減少させる工程。
上記工程5の後に直ちに上記工程6を行ってもよく、また、上記工程5を終えたポリプロピレン系微多孔膜を冷却しさらに保管したものを、工程6に用いてもよい。
工程6を経たポリプロピレン系微多孔膜は自然冷却され(工程7)、通常の手段で加工、保管、包装、出荷される。工程6を経たポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性を以下の式(1)に定義する熱収縮率で評価すると、t=105℃における熱収縮率(S(105))が1%以下、好ましくは0.5%以下である。
Figure 0006880775
さらにt=130℃における熱収縮率(S(130))は6%以下、好ましくは3%以下に低下している。またt=150℃における熱収縮率(S(150))は25%以下、好ましくは20%以下に低下している。
上記工程5の後に上記工程6を行うことによって、驚くべきことに、工程5で得られたポリプロピレン系微多孔膜の空孔率と引張特性は概ね維持される。
[熱収縮性改善前のポリプロピレン系微多孔膜の製造]
原料として、日本ポリプロ社製「ノバテックEA7AD」を使用した。これはMFR(JIS K6758(230℃、21.18N)に準拠して測定)が1.50g/10分、融点が158℃のポリプロピレンである。
(工程1)上記原料ポリプロピレンを200℃で溶融混練し、単軸押出機を用いてTダイから押出し、厚さ23μmの原反フィルムを製造した。
(工程2)上記原反フィルムを145℃で熱処理した。
(工程3)工程2を経た原反フィルムを25℃で押出方向(MD)に1.06倍に冷延伸した。
(工程4)工程3を経た延伸フィルムを130℃で押出方向(MD)に3.2倍に温延伸した。
(工程5)工程4を経た延伸フィルムの長さが工程4の終了時の0.9倍になるように145℃で弛緩させた。
[参考例1]
こうして熱収縮性改善前の最終厚みが19.4μmのポリプロピレン系微多孔膜が得られた。このポリプロピレン系微多孔膜を参考例1として以下の観点で評価した。結果を表1に示す。
(熱収縮率)
ポリプロピレン系微多孔膜から、押出方向70mm×幅方向70mmの正方形片をサンプル片として切り出す。このサンプル片に対し押出方向(MD)、幅方向(TD)に5cmの標線を引く。次にサンプル片に引いた押出方向の標線の長さLMD(t0)(mm)をノギスで小数点以下2桁まで測定する。次に、上記試験片を内部温度がt℃に保たれた恒温槽(トミー精工社製オートクレーブ)内で2時間加熱したあと、室温23℃に30分放置する。上記t℃における加熱処理の後の試験片について、押出方向の標線の長さLMD(2)(mm)を加熱前の測定と同様の要領で測定する。
測定値を用い、以下の式(1)によりt℃における試験片の熱収縮率を算出する。加熱温度tを105℃、130℃、250℃に設定し、それぞれの熱収縮率S(t)(t=105℃、130℃、250℃)を求める。表1に示す値は、算出した熱収縮率:S(t)(%)の小数点以下1位の桁を四捨五入して得られた整数値である。
Figure 0006880775
(空孔率)
ポリプロピレン系微多孔膜から、押出方向120mm×幅方向50mmのサンプル片を切り出す。このサンプルについて以下の式(2)により空孔率(%)を算出する。
Figure 0006880775
(通気度)
一定容積(100mL)の空気が微多孔膜を通過する時間(秒)を通気度と呼ぶ。ポリプロピレン系微多孔膜から得られた押出方向120mm×幅方向50mmのサンプル片について、ガーレー試験機によりJIS P8117に準拠した方法で、23℃±2℃の温度下、50%±5%の湿度下の通気度を測定する。
(押出方向(MD)の引張強度)
ポリプロピレン系微多孔膜から、押出方向120mm×幅方向10mmの5枚のサンプル片を切り出す。100℃恒温槽中で、島津製作所製引張試験機(オートグラフ AGS−X)を用いて、サンプル片1枚を押出方向に引張した。引張条件は、初期チャック間距離:50mm、引張速度:50mm/分、引張方向:サンプル片押出(MD)方向とする。サンプル片が破断した時点での引張力(N)を押出方向の破断荷重(N)として測定する。以下の式(3)にしたがってサンプル片の押出方向(MD)の引張強度:TSMD(MPa)を算出した。5枚のサンプルのTSMD(MPa)の平均値を表1に示す。
Figure 0006880775
(幅方向(TD)の引張強度)
ポリプロピレン系微多孔膜から、押出方向50mm×幅方向120mmの5枚のサンプル片を切り出す。100℃恒温槽中で、島津製作所製引張試験機(オートグラフAGS−X)を用いて、サンプル片1枚を幅方向に引張した。引張条件は、初期チャック間距離:50mm、引張速度:50mm/分、引張方向:サンプル片幅(TD)方向、最大引張力:10N/mm(フィルム断面積あたりの引張力)とする。サンプル片が破断した時点での引張力(N)を幅方向の破断荷重(N)として測定する。以下の式(4)にしたがってサンプル片の幅方向(TD)の引張強度:TSTD(MPa)を算出した。5枚のサンプルのTSTD(MPa)の平均値を表1に示す。
Figure 0006880775
(押出方向(MD)の引張伸度)
ポリプロピレン系微多孔膜から、押出方向120mm×幅方向10mmの5枚のサンプル片を切り出す。100℃恒温槽中で、島津製作所製引張試験機(オートグラフ AGS−X)を用いて、サンプル片1枚を押出方向に引張した。引張条件は、初期チャック間距離:50mm、引張速度:50mm/分、引張方向:サンプル片の押出(MD)方向、とする。初期時から破断時までのサンプル片の押出方向の伸び(mm)を測定した。以下の式(5)にしたがってサンプル片の押出方向(MD)の引張伸度:TEMD(%)を算出した。5枚のサンプルのTEMD(%)の平均値を表1に示す。
Figure 0006880775
(幅方向(TD)の引張伸度)
ポリプロピレン系微多孔膜から、押出方向50mm×幅方向120mmの5枚のサンプル片を切り出す。100℃恒温槽中で、島津製作所製引張試験機(オートグラフ AGS−X)を用いて、サンプル片1枚を幅方向に引張した。引張条件は、初期チャック間距離:50mm、引張速度:50mm/分、引張方向:サンプル片の幅(TD)方向、とする。初期時から破断時までのサンプル片の幅方向の長さを測定した。以下の式(6)にしたがってサンプル片の幅方向(TD)の引張伸度:TETD(%)を算出した。5枚のサンプルのTETD(%)の平均値を表1に示す。
Figure 0006880775
(突刺強度)
突刺強度の指標として、ポリプロピレン系微多孔膜表面に直径1mmの先端が球面形状の針を侵入速度100mm/分で突刺したときに針に働く最大荷重を(gf)を測定した。この最大荷重が大きいほどポリプロピレン系微多孔膜の突刺強度が高いと評価される。
[実施例1〜7]
工程6として、上記ポリプロピレン系微多孔膜を、表1に示す加熱温度に維持されたロールで巻き取りながら搬送することによって加熱した。その押出方向(MD)の長さが表1に示す割合(長さ減少分(%))で加熱前に比べて短くなるように加熱ロールの回転速度を調節した。加熱処理を終えたポリプロピレン系微多孔膜を自然冷却した(工程7)。こうして、工程6の前後で押出方向の長さが適当な割合で減じたポリプロピレン系微多孔膜が得られた。これらを参考例1と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例1〜3]
上記工程6に替えて、フィルム長さが変化しない熱処理を行なった。すなわち、上記ポリプロピレン系微多孔膜を、表1に示す加熱温度に維持されたロールで巻き取りながら搬送することによって加熱した。その押出方向(MD)の長さが加熱前と同じ(長さ減少割合が0%)になるように加熱ロールの回転速度を調節した。加熱処理を終えたポリプロピレン系微多孔膜を参考例1と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006880775



実施例では熱収縮率が極めて低いポリプロピレン系微多孔膜が得られた。実施例で得られたポリプロピレン系微多孔膜の空孔率は40%以上であり、セパレータ材としての機能が期待できる。実施例で得られたポリプロピレン系微多孔膜の通気度、引張強度、引張伸度は熱処理前と同等か、あるいは熱処理前より改善されている。このように、本発明の熱収縮性の改善方法を用いた実施例では、低熱収縮性を示し、しかも他の性能も優れたポリプロピレン系微多孔膜が得られた。
これに対して比較例では実施例ほどにはポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性が改善されていない。しかも比較例で得られたポリプロピレン系微多孔膜は引張特性と突刺強度が劣る。
このように、適度な温度域で適度な引張力の下で加熱処理を行う本発明の方法により、熱収縮性で問題のあったポリプロピレン系微多孔膜が改質され、セパレータ材としてより適した性質を示すようになった。
本発明によって、低熱収縮性で機械特性にも優れたポリプロピレン系微多孔膜が得られる。また本発明によって、一旦製造された高いポリプロピレン系樹多孔膜を、熱収縮性と機械特性を兼ね備えた高品質のポリプロピレン系微多孔膜に作り変えることもできる。このような本発明のポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法、及び、この方法を利用したポリプロピレン系微多孔膜の製造方法は、高品質なセパレータ材の供給に貢献することができる。

Claims (3)

  1. 以下の式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を、該ポリプロピレン系微多孔膜の融点未満の温度で引張力下に加熱し、該ポリプロピレン系微多孔膜の押出方向の長さを上記加熱の前から5%〜20%分 減少させる、ポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性の改善方法であって
    上記ポリプロピレン系微多孔膜のt=105℃における熱収縮率(S(105))を1%以下、t=130℃における熱収縮率(S(130))を6%以下、t=150℃における熱収縮率(S(150))を25%以下に低下させる、改善方法
    Figure 0006880775
  2. 以下の式(1)定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を製造した後に、加熱処理によって該ポリプロピレン系微多孔膜の熱収縮性を改善する、低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法であって、
    Figure 0006880775
    以下の工程1〜工程6を含む、低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法。
    (工程1:製膜工程)ポリプロピレン系重合体を含む原料を押出成形して原反フィルムを製膜する工程、
    (工程2:熱処理工程)工程1で得られた原反フィルムを上記ポリプロピレン系重合体の融点よりも低い温度で熱処理する工程、
    (工程3:冷延伸工程)工程2で得られた熱処理後の原反フィルムを、−5℃〜45℃で押出方向(MD)に1.0倍〜1.1倍に延伸して、延伸フィルムを得る工程、
    (工程4:温延伸工程)工程3を終えた延伸フィルムを上記ポリプロピレン系重合体の融点よりも5℃〜65℃低い温度で押出方向(MD)に2.5倍〜5.0倍に温延伸する工程、
    (工程5:弛緩工程)工程4で得られた温延伸後のフィルムを、上記温延伸工程の温度よりも高く上記フィルムの融点より5℃以上低い温度で、長さが0.85倍〜0.95倍になるように弛緩させて、上記式(1)で定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が4%超のポリプロピレン系微多孔膜を得る工程、
    (工程6:熱処理工程)工程5を経たポリプロピレン系微多孔膜を上記弛緩工程の温度より高くフィルムの融点より5℃以上低い温度域でロールを介して引張力下に搬送し、該ポリプロピレン系微多孔膜の押出方向の長さを工程5の終了時の長さから5%〜20%分 減少させる工程。
  3. さらに以下の工程7を行い、
    (工程7:冷却工程)工程6で得られたポリプロピレン系微多孔膜を自然冷却する工程、
    上記工程7で得られたポリプロピレン系微多孔膜の以下の式(1)定義されるt=105℃における熱収縮率(S(105))が1%以下である、請求項2に記載の低熱収縮性ポリプロピレン系微多孔膜の製造方法。
    Figure 0006880775
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